特許第6617523号(P6617523)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6617523
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】密封装置、及び、密封装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/3204 20160101AFI20191202BHJP
   F16J 15/324 20160101ALI20191202BHJP
【FI】
   F16J15/3204 201
   F16J15/324
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-220634(P2015-220634)
(22)【出願日】2015年11月10日
(65)【公開番号】特開2017-89756(P2017-89756A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河林 毅
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−034054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/3204
F16J 15/324
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手部材のシール面に摺動可能に接触する摺接面を備えた環状のシールリップを有し、前記シール面と前記摺接面との接触により流体を密封する密封装置の製造方法であって、
少なくとも下記(1)及び(2)の工程を経ることを特徴とする密封装置の製造方法。
(1)金型内面の前記摺接面を形成する領域に、脱離性粉末を含有する離型剤溶液を塗布する工程。
(2)前記金型内に原料組成物を注型し、加硫成形する工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオイルシール等の密封装置、及び、密封装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トランスミッションやディファレンシャルギヤ用のオイルシールをはじめ、自動車用途では多くのオイルシールが用いられている。
これらの用途のオイルシールでは、オイルの密封性とともに低燃費化の要求に伴い低トルク化が求められている。
オイルシールの低トルク化を図る手法として、オイルシール(シールリップ)の摺動面に凹凸を形成する手法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、シールリップの摺接面の一部又は全部に、金型の転写により微細な凹凸を形成し、低トルク化を図ることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−8455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1で提案されているように、シールリップの摺接面に凹凸を設けることにより、低トルク化を図ることは可能である。
一方、シールリップの摺接面に金型の転写により凹凸を設けた場合、通常、凸部は尖った山型形状を有する。このような形状の凸部を備えたシールリップの摺接面は、相手部材と摺接した際に摩耗しやすく、その結果、摺接面の凹凸(凸部)が消失してしまうことがある。そのため、金型の転写により形成された摺接面を有するシールリップ(オイルシール)では、長期間に渡って低トルクを維持することができないとの課題がある。
一方、低トルクを長期間に渡って維持すべく、凸部を高く形成しておくことも考えられるが、この場合、オイルシール(シールリップ)のシール性が損なわれ、オイルを確実に密封することができないとの課題がある。
このように、低トルク化と優れたオイル密封性とは背反関係にあり、両者を両立することは困難であった。
【0006】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、優れたオイル密封性を確保しつつ、シールリップの低トルク化を図ることができる密封装置、及び、そのような密封装置の製造方法を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の密封装置は、相手部材のシール面に摺動可能に接触する摺接面を備えた環状のシールリップを有し、上記シール面と上記摺接面との接触により流体を密封する密封装置であって、上記シールリップは、脱離性粉末を含有し、上記脱離性粉末は、上記シールリップの上記摺接面側に偏在していることを特徴とする。
【0008】
このような密封装置では、シールリップが摺接面近傍に脱離性粉末を含有しているため、シールリップの摺接面が相手部材のシール面と摺動した際に、シールリップの摩耗に伴い脱離性粉末が徐々にシールリップから脱落する。脱離性粉末が脱落すると、上記摺接面は、脱離性粉末が存在していた部分が凹部となり、他の部分が平滑面となる。そして、上記密封装置では、上記脱離性粉末の脱落により凹部が形成されることで摺接面積が減少し、更には形成された凹部でオイルを保持することができるためシールリップの低トルク化が達成される。また、上記摺接面の凹部以外の部分は平滑面であるため、優れたオイル密封性も確保される。
【0009】
上記密封装置において、上記シールリップは、ゴム成分及び脱離性粉末を含有するゴム組成物からなり、上記脱離性粉末は、シリコーン粉末、ポリエチレン粉末及びフッ素樹脂粉末のうちの少なくとも1つであることが好ましい。
上記脱離性粉末が、シリコーン粉末、エチレン樹脂粉末及びフッ素樹脂粉末のうちの少なくとも1つである場合、これらの脱離性粉末はゴムとの接着性が乏しいため、シールリップが相手部材に摺動した際に容易に脱落することができ、シールリップの摺動面により確実に凹部を形成することができる。
【0010】
上記密封装置において、上記脱離性粉末の平均粒子径は、上記シールリップの上記摺接面における摺接幅よりも小さいことが好ましい。
これにより、上記シールリップの摺接面に凹部が形成された際に、オイルが漏れることを回避することができ、オイルの密封性をより確実に確保することができる。
【0011】
上記密封装置において、上記脱離性粉末の平均粒子径は、5〜40μmであることが好ましい。この範囲の平均粒子径を有する脱離性粉末を使用することにより、シールリップの摺接面に低トルク化とオイル密封性との両立に適した凹部を設けることができる。
【0012】
本発明の密封装置の製造方法は、相手部材のシール面に摺動可能に接触する摺接面を備えた環状のシールリップを有し、上記シール面と上記摺接面との接触により流体を密封する密封装置の製造方法であって、
少なくとも下記(1)及び(2)の工程を経ることを特徴とする。
(1)金型内面の上記摺接面を形成する領域に、脱離性粉末を含有する離型剤溶液を塗布する工程。
(2)上記金型内に原料組成物を注型し、加硫成形する工程。
このような密封装置の製造方法は、上記工程(1)及び(2)を経るため、脱離性粉末が摺接面側に偏在したシールリップを有する本発明の密封装置を製造するのに適している。
【発明の効果】
【0013】
本発明の密封装置によれば、優れたオイル密封性を確保しつつ、シールリップの低トルク化を図ることができる。加えて、シールリップの低トルク化により、上記密封装置では、摺動時のシールリップの発熱が抑制され、シールリップの熱老化によるへたりを抑制することができる。
本発明の密封装置の製造方法によれば、本発明の密封装置を好適に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態にかかるオイルシールの断面斜視図である。
図2図1の要部拡大断面図である。
図3図1に示したオイルシールの摺接面及びその近傍を模式的に示す模式図である。
図4】本発明の第2実施形態にかかるオイルシールの要部拡大断面図である。
図5】(a)、(b)は本発明の実施形態にかかる密封装置の製造方法を説明するための模式図である。
図6】実施例及び比較例で作製したオイルシールにおける、シールリップの大気側傾斜面のレーザー顕微鏡観察像であり、(a)は実施例1の観察像で、(b)は比較例1の観察像である。
図7】実施例及び比較例で作製したオイルシールにおける、接触反力とトルクとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態にかかる密封装置について図面を参照しながら詳述する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態にかかるオイルシールの断面図である。図2は、図1の要部拡大断面図である。図3は、図1に示したオイルシールの摺接面及びその近傍を模式的に示す模式図である。
オイルシール10は環状に形成され、その外周部が、例えばトランスミッションのハウジング35等に固定され、内周部が回転軸36等の相手部材に摺接され、ハウジング35内に封入した潤滑油等を密封する。また、オイルシール10は、芯金部材11と弾性部材12とを加硫接着してなり、芯金部材11は、軸方向に平行な部分14と、垂直な部分15とによって断面L字形状に屈曲して形成されている。弾性部材12は、芯金部材11の平行部分14の外周面及び垂直部分15の軸方向一側面を覆うように接着されるとともに、径方向内側にシールリップ18及びダストリップ19を備えている。シールリップ18の外周面には、締め付け力を補助するための締め付けバネ13が設けられている。
【0016】
ダストリップ19は、回転軸36に向かって延び、回転軸36との間の粉塵の通過を阻止している。また、ダストリップ19は、シールリップ18から離れる方向へ向けて斜めに延びている。
シールリップ18は、芯金部材11の平行部分14の内周側に配置されるとともに、その外周面に締め付けバネ13を嵌合する凹溝18aを有し、内周面は、径方向内方に向けて先細り形状となっている。したがって、シールリップ18の内周面には、先細り形状の先端縁(境界縁)24を境として軸方向両側に、互いに反対方向側に傾斜する2つの傾斜面20,23が形成されている。
【0017】
ダストリップ19から離れて配置された一方の傾斜面20は、油保持側に配置された油側(流体側)傾斜面とされ、ダストリップ19側に配置された他方の傾斜面23は、大気側(空気側)傾斜面とされている。シールリップ18では、大気側傾斜面23の一部が、回転軸36の外周面(シール面)36aに摺接する摺接面を主に構成する部分となる。なお、シールリップ18は、回転軸36の外周面36aに接触することによって径外方向に湾曲し、摺接面(大気側傾斜面)23の広い範囲で外周面36aに接触するが、図1では、湾曲していない状態のシールリップ18を示している。
【0018】
シールリップ18は、脱離性粉末30を含有しており、弾性材料と脱離性粉末とを含む組成物からなる。ここで、脱離性粉末30は、シールリップ18において、図2に模式的に示すように、大気側傾斜面23側(摺接面側)に偏在している。
このようなシールリップ18を備えたオイルシール10では、シールリップ18が回転軸36と摺接した際に、摺接面が摩耗されるにともなって摺接面から脱離性粉末30が脱落し、その結果、摺接面に凹部が形成される。
【0019】
また、シールリップ18の摺接面では、脱離性粉末30の脱落により凹部が形成されるため、図3に示すように、摺接面33は、平滑面32とほぼ半球状の凹部31とで構成されることとなる。このような摺接面33では、ほぼ半球状の凹部31でオイルを保持することもでき、この点でもオイルシールの低トルク化に貢献することができる。
【0020】
上記弾性材料としては、例えば、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)等の合成ゴム、天然ゴムや弾性を有する樹脂等を用いることができる。
【0021】
上記脱離性粉末としては、シールリップを構成する主成分(ゴム成分)との接着性に乏しい粉末を用いることができる。上記合成ゴムや天然ゴムに対しては、例えば、シリコーン粉末、ポリエチレン粉末及びフッ素樹脂粉末等を好ましく使用することができる。
【0022】
上記脱離性粉末としては、他にも、ポリプロピレン粉末等のポリエチレン以外のポリオレフィンからなる粉末、アクリル樹脂粉末等の他の樹脂粉末、無機粉末、金属粉末等がシールリップを構成する主成分(ゴム成分)によっては使用することができる。
また、上記脱離性粉末は、シリコーン樹脂やフッ素樹脂等によって、表面が被覆された樹脂であってもよい。
上記脱離性粉末は、1種類のみを使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0023】
上記シリコーン粉末の具体例としては、例えば、モーメンティブ社製のトスパールシリーズ(例えば、トスパール2000B、トスパール1100、トスパール1110等)等が挙げられる。このシリコーン粉末は、表面にメチル基を有し、合成ゴム等との接着性が乏しいため、シールリップの摺接面から容易に脱落することができる。また、このシリコーン粉末は粒度分布が狭いため、均一形状の凹部を形成するのに適している。
上記フッ素樹脂粉末としては、例えば、PTFEからなる粉末等が挙げられる。PTFEからなる粉末は、表面にパーフルオロアルキル基を有するため、合成ゴム等との接着性が乏しく、シールリップの摺接面から容易に脱落することができる。
【0024】
上記脱離性粉末の平均粒子径は、上記シールリップの摺接面33における摺接幅W(図3参照)よりも小さいことが好ましい。ここで、摺接幅Wとは、シールリップの相手部材との摺接部分における上記軸方向の長さをいう。
上記脱離性粉末の平均粒子径が、上記摺接幅以上であると、脱離性粉末の脱落により、上記摺接面を幅方向に跨ぐように凹部が形成されることがあり、この場合、オイルの密封性が低下する場合がある。
なお、本発明において、脱離性粉末の平均粒子径は、コールター原理を用いた細孔電気抵抗法の粒度分析計により測定すればよい。
【0025】
脱離性粉末30の平均粒子径は、低トルク化とオイル密封性の両立を図る観点から、5〜40μmであることが好ましい。
上記平均粒子径が5μm未満では、充分に低トルク化を図ることができない場合があり、一方、上記平均粒子径が40μmを超えると、脱離性粉末が脱落することにより形成される凹部が大きくなり、凹部に沿ってオイルが漏れだし、オイルの密封性が低下することがある。
【0026】
また、脱離性粉末30は粒度分布が狭く、その粒子径が揃っているほど好ましい。
この場合、脱離性粉末の脱離により形成される凹部が均一な形状の凹部となるからである。
【0027】
[他の実施形態]
図4は、本発明の第2実施形態にかかるオイルシールの要部拡大断面図である。
第2実施形態では、図4に模式的に示したように、脱離性粉末30は、シールリップ18において、大気側傾斜面23及び油側傾斜面20の両側に偏在していてもよい。
シールリップ18が回転軸等の相手部材に摺接する際には、油側傾斜面20の一部も相手部材に摺接することがある。この場合、油側傾斜面20側にも脱離性粉末30が偏在していることによって、より確実に低トルク化を達成することができる。
【0028】
本発明の実施形態にかかるオイルシールでは、脱離性粉末がシールリップの摺接面側に偏在している。ここで、摺接面側に偏在しているとは、シールリップの相手部材側に偏在していること意味し、上記脱離性粉末は、上記摺接面及びその近傍にのみ存在してもよいし、シールリップの相手部材側全体に存在してもよい。
また、本発明の実施形態にかかるオイルシールは、上記シールリップの上記摺接面側以外の部分にも脱離性粉末を含有していてもよい。
【0029】
本発明の実施形態にかかる密封装置は、例えば、本発明の実施形態にかかる密封装置の製造方法により製造することができる。
以下、本発明の実施形態にかかる密封装置の製造方法につき、工程順に説明する。
図5(a)、(b)は本発明の実施形態にかかる密封装置の製造方法を説明するための模式図である。
【0030】
(1)金型50の内面に、脱離性粉末を含有する離型剤溶液53をスプレー54等により塗布する。
このとき、上記離型剤溶液は、雌型51の内面51Aにのみ塗布してもよいし(第1手法:図5(a)参照)、雄型52の内面52A及び雌型51の内面51Aの両方に塗布してもよい(第2手法)。
第1手法の場合には、成形後のシールリップにおいて、図2に示したように、シールリップ18の大気側傾斜面23に脱離性粉末が偏在している。
一方、第2手法の場合には、成形後のシールリップにおいて、図4に示したように、シールリップ18の大気側傾斜面23及び油側傾斜面20の両側に脱離性粉末が偏在している。
【0031】
上記離型剤溶液としては、例えば、従来公知のシリコーン系離型剤やフッ素系離型剤に上記脱離性粉末を分散させたものを用いることができる。
上記離型剤溶液において、上記脱離性粉末の濃度は特に限定されないが、例えば、2〜50g/lとすればよい。
また、上記離型剤溶液は、例えば、上記濃度の離型剤溶液を金型内面の単位面積あたりの塗布量が、400〜20000g/mになるように塗布すればよい。
【0032】
(2)次に、金型50内に、原料組成物を注型し、所定の条件で加硫成形する。
上記原料組成物としては、例えば、未加硫ゴム及び加硫剤、更には、必要に応じて加硫促進剤などの各種添加剤を含有する組成物等を用いればよく、この原料組成物は、予め各配合成分を計量し、混合しておく。
【0033】
また、本工程では、上記原料組成物を加硫成形する際に、芯金部材11を金型内に予め設けておき、芯金部材11と弾性部材12とを加硫接着してもよい。これにより、製造工数を低減することができる。
【0034】
(3)その後、成形品を金型から取り出し、必要により、締め付けバネ13を嵌合させ、オイルシールとする。
このような工程を経ることにより、シールリップ18の摺動面側に脱離性粉末30が偏在したオイルシール10を製造することができる。
また、本実施形態にかかる製造方法によれば、脱離性粉末の周囲が離型剤によって被覆された状態でシールリップに含有されることとなるため、上記脱離性粉末は、シールリップが相手部材と摺接した際の脱離性に優れることなる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の実施形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
ここでは、図1、2に示したようなシールリップの摺接面側に脱離性粉末が偏在したオイルシール(実施例1)と、シールリップが脱離性粉末を含有しないオイルシール(比較例1)とを作製し、低トルク効果を検証した。
【0036】
(実施例1)
金型の雌型の内面(図5中、51A)に、脱離性粉末を分散させた離型剤溶液を塗布した後、別途調製した、ゴム成分(NBR)及び加硫剤(硫黄)を含有する原料組成物を注型し、更に芯金部材を設置して加硫形成を行い、オイルシールを作製した。
ここで、離型剤溶液としては、シリコーン粉末(モーメンティブ社製、トスパール1100)がフッ素系離型剤に分散(濃度:30g/l)した溶液を使用した。
また、離型剤溶液の金型内面の単位面積あたりの塗布量は、2500g/mとした。
【0037】
(比較例1)
離型剤溶液として、脱離性粉末を含有しないフッ素系離型剤を使用した以外は、実施例1と同様にしてオイルシールを作製した。
【0038】
実施例及び比較例のそれぞれで作製したオイルシールについて、シールリップの摺接面(大気側傾斜面)をレーザー顕微鏡で観察した。
その結果、図6(a)に示したように、実施例1のオイルシールでは摺接面に脱離性粉末が充分に分布しているのに対し、図6(b)に示したように、比較例1のオイルシールでは、摺接面は平滑であった。
また、各摺接面の表面粗さRz(JIS B 0601:2001に準拠)は、実施例1が15μm、比較例1が3μmであった。
【0039】
次に、実施例1及び比較例1のオイルシールについて、接触反力(N/mm)とトルク(mN・m)との関係を、シールトルク試験機(自社製)により測定した。結果を図7に示した。
その結果、実施例1にオイルシールでは、比較例1のオイルシールに比べて約24%のトルク低減効果が得られることが明らかとなった。
【符号の説明】
【0040】
10:オイルシール、11:芯金部材、12:弾性部材、13:締め付けバネ、
18:シールリップ、19:ダストリップ、20:油側傾斜面、23:大気側傾斜面、
30:脱離性粉末、31:凹部、32:平滑面、35:ハウジング、36:回転軸、
50:金型、51:雌型、52:雄型、53:離型剤溶液
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7