特許第6617712号(P6617712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6617712受信装置、受信方法、送信装置、及び、送信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6617712
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】受信装置、受信方法、送信装置、及び、送信方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/438 20110101AFI20191202BHJP
   H04N 21/434 20110101ALI20191202BHJP
   H04H 60/82 20080101ALI20191202BHJP
   H04H 60/13 20080101ALI20191202BHJP
   H04H 20/59 20080101ALI20191202BHJP
【FI】
   H04N21/438
   H04N21/434
   H04H60/82
   H04H60/13
   H04H20/59
【請求項の数】14
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2016-555168(P2016-555168)
(86)(22)【出願日】2015年10月7日
(86)【国際出願番号】JP2015078499
(87)【国際公開番号】WO2016063731
(87)【国際公開日】20160428
【審査請求日】2018年9月19日
(31)【優先権主張番号】特願2014-214924(P2014-214924)
(32)【優先日】2014年10月21日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(72)【発明者】
【氏名】高橋 和幸
(72)【発明者】
【氏名】北里 直久
(72)【発明者】
【氏名】北原 淳
(72)【発明者】
【氏名】山岸 靖明
【審査官】 川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0120861(US,A1)
【文献】 特表2014−508439(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/133770(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/119961(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0242847(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 − 21/858
H04H 20/00 − 20/95
H04H 40/00 − 40/90
H04H 60/00 − 60/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
IP(Internet Protocol)伝送方式を用いたデジタル放送において、前記IP伝送方式のプロトコルの階層におけるIP層よりも下位の階層で伝送される、IPアドレスで識別されるサービスに依存しない制御情報を含むテキスト形式の第2のシグナリングデータに先行して、前記第2のシグナリングデータの存在の有無を示すフラグを含むバイナリ形式の第1のシグナリングデータを取得する第1の取得部と、
前記第1のシグナリングデータに基づいて、前記第2のシグナリングデータを取得する第2の取得部と、
前記第2のシグナリングデータに基づいて、各種の処理を行う各部の動作を制御する制御部と
を備え
前記第1のシグナリングデータは、前記IP伝送方式のプロトコルの階層におけるIP層よりも上位の階層で伝送される、前記IPアドレスで識別されるサービスごとの制御情報を含む第3のシグナリングデータの配信経路を示す情報を含む
受信装置。
【請求項2】
前記第2の取得部は、
前記第1のシグナリングデータに含まれる前記フラグが、前記第2のシグナリングデータが存在することを示している場合に、前記第1のシグナリングデータに含まれる、前記第2のシグナリングデータが伝送されているストリームの識別情報を参照し、
参照した前記識別情報に基づいて、当該ストリームから前記第2のシグナリングデータを取得する
請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記第1のシグナリングデータは、前記IP伝送方式のプロトコルの階層における、前記第2のシグナリングデータが伝送される階層よりもさらに下位の階層で伝送される、FIC(Fast Information Channel)であり、
前記第2のシグナリングデータは、前記デジタル放送の放送波における物理チャンネルごとの前記ストリームの構成と前記サービスの構成を示しているSCD(Service Configuration Description)又はレーティング情報を含むRRD(Region Rating Description)である
請求項2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記第1のシグナリングデータは、前記物理チャンネルを識別するための識別情報、前記ストリームを識別するための識別情報、及び、前記サービスを識別するための識別情報を含む
請求項3に記載の受信装置。
【請求項5】
前記第1のシグナリングデータは、前記サービスの供給元を特定するための識別情報を含む
請求項3に記載の受信装置。
【請求項6】
前記第1のシグナリングデータは、緊急警報に関する情報を含むEAS(Emergency Alert System)であり、
前記第2のシグナリングデータは、緊急警報に関する情報を含むEAD(Emergency Alerting Description)である
請求項2に記載の受信装置。
【請求項7】
受信装置の受信方法において、
前記受信装置が、
IP伝送方式を用いたデジタル放送において、前記IP伝送方式のプロトコルの階層におけるIP層よりも下位の階層で伝送される、IPアドレスで識別されるサービスに依存しない制御情報を含むテキスト形式の第2のシグナリングデータに先行して、前記第2のシグナリングデータの存在の有無を示すフラグを含むバイナリ形式の第1のシグナリングデータを取得し、
前記第1のシグナリングデータに基づいて、前記第2のシグナリングデータを取得し、
前記第2のシグナリングデータに基づいて、各種の処理を行う各部の動作を制御する
ステップを含み、
前記第1のシグナリングデータは、前記IP伝送方式のプロトコルの階層におけるIP層よりも上位の階層で伝送される、前記IPアドレスで識別されるサービスごとの制御情報を含む第3のシグナリングデータの配信経路を示す情報を含む
受信方法。
【請求項8】
IP伝送方式を用いたデジタル放送において、前記IP伝送方式のプロトコルの階層におけるIP層よりも下位の階層で伝送される、IPアドレスで識別されるサービスに依存しない制御情報を含むテキスト形式の第2のシグナリングデータと、前記第2のシグナリングデータの存在の有無を示すフラグを含むバイナリ形式の第1のシグナリングデータを生成する生成部と、
受信装置において、前記第2のシグナリングデータに先行して、前記第1のシグナリングデータが取得されるように、前記第1のシグナリングデータと前記第2のシグナリングデータを、前記IP伝送方式を用いたデジタル放送で送信する送信部と
を備え
前記第1のシグナリングデータは、前記IP伝送方式のプロトコルの階層におけるIP層よりも上位の階層で伝送される、前記IPアドレスで識別されるサービスごとの制御情報を含む第3のシグナリングデータの配信経路を示す情報を含む
送信装置。
【請求項9】
前記第1のシグナリングデータは、前記フラグが、前記第2のシグナリングデータが存在することを示している場合に、前記第2のシグナリングデータが伝送されているストリームの識別情報を含む
請求項に記載の送信装置。
【請求項10】
前記第1のシグナリングデータは、前記IP伝送方式のプロトコルの階層における、前記第2のシグナリングデータが伝送される階層よりもさらに下位の階層で伝送される、FIC(Fast Information Channel)であり、
前記第2のシグナリングデータは、前記デジタル放送の放送波における物理チャンネルごとの前記ストリームの構成と前記サービスの構成を示しているSCD(Service Configuration Description)又はレーティング情報を含むRRD(Region Rating Description)である
請求項に記載の送信装置。
【請求項11】
前記第1のシグナリングデータは、前記物理チャンネルを識別するための識別情報、前記ストリームを識別するための識別情報、及び、前記サービスを識別するための識別情報を含む
請求項10に記載の送信装置。
【請求項12】
前記第1のシグナリングデータは、前記サービスの供給元を特定するための識別情報を含む
請求項10に記載の送信装置。
【請求項13】
前記第1のシグナリングデータは、緊急警報に関する情報を含むEAS(Emergency Alert System)であり、
前記第2のシグナリングデータは、緊急警報に関する情報を含むEAD(Emergency Alerting Description)である
請求項に記載の送信装置。
【請求項14】
送信装置の送信方法において、
前記送信装置が、
IP伝送方式を用いたデジタル放送において、前記IP伝送方式のプロトコルの階層におけるIP層よりも下位の階層で伝送される、IPアドレスで識別されるサービスに依存しない制御情報を含むテキスト形式の第2のシグナリングデータと、前記第2のシグナリングデータの存在の有無を示すフラグを含むバイナリ形式の第1のシグナリングデータを生成し、
受信装置において、前記第2のシグナリングデータに先行して、前記第1のシグナリングデータが取得されるように、前記第1のシグナリングデータと前記第2のシグナリングデータを、前記IP伝送方式を用いたデジタル放送で送信する
ステップを含み、
前記第1のシグナリングデータは、前記IP伝送方式のプロトコルの階層におけるIP層よりも上位の階層で伝送される、前記IPアドレスで識別されるサービスごとの制御情報を含む第3のシグナリングデータの配信経路を示す情報を含む
送信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、受信装置、受信方法、送信装置、及び、送信方法に関し、特に、バイナリ形式とテキスト形式のシグナリングデータを併用することができるようにした受信装置、受信方法、送信装置、及び、送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各国では、デジタル放送のサービスが開始されている(例えば、特許文献1参照)。デジタル放送において、テレビ受像機による選局処理等で用いられる各種のパラメータを規定したシグナリングデータは、バイナリ形式で記述されるほか、XML(Extensible Markup Language)文書等のテキスト形式で記述される場合が想定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−263616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、バイナリ形式のシグナリングデータは、テキスト形式のシグナリングデータと比べて、データサイズが小さいことから、必要な伝送帯域が少ないため、迅速に取得できるなどのメリットがある。一方、テキスト形式のシグナリングデータは、バイナリ形式のシグナリングデータと比べて、拡張性や可読性が高いなどのメリットがある。
【0005】
このように、バイナリ形式とテキスト形式のシグナリングデータでは、その特徴として、一長一短があるため、バイナリ形式とテキスト形式のシグナリングデータを併用して、様々な運用形態に対応できるようにしたいという要請があった。
【0006】
本技術はこのような状況に鑑みてなされたものであり、バイナリ形式とテキスト形式のシグナリングデータを併用することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の第1の側面の受信装置は、IP(Internet Protocol)伝送方式を用いたデジタル放送において、前記IP伝送方式のプロトコルの階層におけるIP層よりも下位の階層で伝送される、IPアドレスで識別されるサービスに依存しない制御情報を含むテキスト形式の第2のシグナリングデータに先行して、前記第2のシグナリングデータの存在の有無を示すフラグを含むバイナリ形式の第1のシグナリングデータを取得する第1の取得部と、前記第1のシグナリングデータに基づいて、前記第2のシグナリングデータを取得する第2の取得部と、前記第2のシグナリングデータに基づいて、各種の処理を行う各部の動作を制御する制御部とを備え、前記第1のシグナリングデータは、前記IP伝送方式のプロトコルの階層におけるIP層よりも上位の階層で伝送される、前記IPアドレスで識別されるサービスごとの制御情報を含む第3のシグナリングデータの配信経路を示す情報を含む受信装置である。
【0008】
本技術の第1の側面の受信装置は、独立した装置であってもよいし、1つの装置を構成している内部ブロックであってもよい。また、本技術の第1の側面の受信方法は、上述した本技術の第1の側面の受信装置に対応する受信方法である。
【0009】
本技術の第1の側面の受信装置、及び、受信方法においては、IP伝送方式を用いたデジタル放送において、前記IP伝送方式のプロトコルの階層におけるIP層よりも下位の階層で伝送される、IPアドレスで識別されるサービスに依存しない制御情報を含むテキスト形式の第2のシグナリングデータに先行して、前記第2のシグナリングデータの存在の有無を示すフラグを含むバイナリ形式の第1のシグナリングデータが取得され、前記第1のシグナリングデータに基づいて、前記第2のシグナリングデータが取得され、前記第2のシグナリングデータに基づいて、各種の処理を行う各部の動作が制御される。また、前記第1のシグナリングデータには、前記IP伝送方式のプロトコルの階層におけるIP層よりも上位の階層で伝送される、前記IPアドレスで識別されるサービスごとの制御情報を含む第3のシグナリングデータの配信経路を示す情報が含まれる。
【0010】
本技術の第2の側面の送信装置は、IP伝送方式を用いたデジタル放送において、前記IP伝送方式のプロトコルの階層におけるIP層よりも下位の階層で伝送される、IPアドレスで識別されるサービスに依存しない制御情報を含むテキスト形式の第2のシグナリングデータと、前記第2のシグナリングデータの存在の有無を示すフラグを含むバイナリ形式の第1のシグナリングデータを生成する生成部と、受信装置において、前記第2のシグナリングデータに先行して、前記第1のシグナリングデータが取得されるように、前記第1のシグナリングデータと前記第2のシグナリングデータを、前記IP伝送方式を用いたデジタル放送で送信する送信部とを備え、前記第1のシグナリングデータは、前記IP伝送方式のプロトコルの階層におけるIP層よりも上位の階層で伝送される、前記IPアドレスで識別されるサービスごとの制御情報を含む第3のシグナリングデータの配信経路を示す情報を含む送信装置である。
【0011】
本技術の第2の側面の送信装置は、独立した装置であってもよいし、1つの装置を構成している内部ブロックであってもよい。本技術の第2の側面の送信方法は、上述した本技術の第2の側面の送信装置に対応する送信方法である。
【0012】
本技術の第2の側面の送信装置、及び、送信方法においては、IP伝送方式を用いたデジタル放送において、前記IP伝送方式のプロトコルの階層におけるIP層よりも下位の階層で伝送される、IPアドレスで識別されるサービスに依存しない制御情報を含むテキスト形式の第2のシグナリングデータと、前記第2のシグナリングデータの存在の有無を示すフラグを含むバイナリ形式の第1のシグナリングデータが生成され、受信装置において、前記第2のシグナリングデータに先行して、前記第1のシグナリングデータが取得されるように、前記第1のシグナリングデータと前記第2のシグナリングデータが、前記IP伝送方式を用いたデジタル放送で送信される。また、前記第1のシグナリングデータには、前記IP伝送方式のプロトコルの階層におけるIP層よりも上位の階層で伝送される、前記IPアドレスで識別されるサービスごとの制御情報を含む第3のシグナリングデータの配信経路を示す情報が含まれる。
【発明の効果】
【0013】
本技術の第1の側面、及び、第2の側面によれば、バイナリ形式とテキスト形式のシグナリングデータを併用することができる。
【0014】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】放送通信システムの構成例を示す図である。
図2】IP伝送方式のデジタル放送のシステムパイプモデルを示す図である。
図3】FICとLLSの特徴の比較を表した図である。
図4】FICとEASの構成を示す図である。
図5】バイナリ形式のFICのシンタックスを示す図である。
図6】バイナリ形式のEASのシンタックスを示す図である。
図7】XML形式のSCDのシンタックスを示す図である。
図8】XML形式のEADのシンタックスを示す図である。
図9】XML形式のRRDのシンタックスを示す図である。
図10】本技術を適用した送信装置の一実施の形態の構成を示す図である。
図11】本技術を適用した受信装置の一実施の形態の構成を示す図である。
図12図11の制御部の機能的な構成例を示す図である。
図13】送信処理の流れを説明するフローチャートである。
図14】初期スキャン処理の流れを説明するフローチャートである。
図15】緊急警報処理の流れを説明するフローチャートである。
図16】コンピュータの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本技術の実施の形態について説明する。なお、説明は以下の順序で行うものとする。
【0017】
1.システムの構成
2.IP伝送方式によるデジタル放送の概要
3.シンタックスの例
4.各装置の構成
5.各装置で実行される処理の流れ
6.変形例
7.コンピュータの構成
【0018】
<1.システムの構成>
【0019】
(放送通信システムの構成例)
図1において、放送通信システム1は、番組等のサービスを提供するためのシステムである。放送通信システム1は、送信装置10、受信装置20、及び、通信サーバ30から構成される。また、図1において、受信装置20は、インターネット90を介して、通信サーバ30と相互に接続されている。
【0020】
送信装置10は、例えば地上デジタルテレビ放送の所定の規格に対応した送信機であって、放送事業者により提供されて放送局内に設置される。なお、本技術の実施の形態において、地上デジタルテレビ放送の規格としては、例えば、ATSC(Advanced Television Systems Committee standards)等の規格を採用することができる。
【0021】
送信装置10は、サービス(例えば番組)を構成するビデオやオーディオ、字幕等のコンポーネントのストリームを、シグナリングデータとともに、デジタル放送の放送波によって送信する。
【0022】
なお、シグナリングデータには、サービスに依存しないLLS(Low Layer Signaling)シグナリングデータと、サービス単位のSSC(Service Signaling Channel)シグナリングデータのほか、FIC(Fast Information Channel)とEAS(Emergency Alert System)が存在するが、その詳細な内容については後述する。
【0023】
受信装置20は、例えば地上デジタルテレビ放送の所定の規格に対応したテレビ受像機やセットトップボックスなどの固定受信機であって、例えば各ユーザの家庭に設置される。また、受信装置20は、通信機能を有しており、インターネット90を介して、通信サーバ30にアクセスすることができる。
【0024】
受信装置20は、送信装置10から送信されるデジタル放送の放送波を受信して、当該デジタル放送の放送波で伝送されるシグナリングデータを取得する。受信装置20は、取得されたシグナリングデータに基づいて、送信装置10から送信されるデジタル放送の放送波で伝送されるサービス(を構成するコンポーネント)のストリームに接続して、そのストリームから得られる映像と音声を再生(出力)する。
【0025】
通信サーバ30は、受信装置20からの要求に応じて、サービス(例えば番組)を構成するビデオやオーディオ、字幕等のコンポーネントのストリームを、インターネット90を介してストリーミング配信する。また、通信サーバ30は、受信装置20からの要求に応じて、シグナリングデータを、インターネット90を介して配信する。
【0026】
受信装置20は、送信装置10又は通信サーバ30からのシグナリングデータに基づいて、通信サーバ30からインターネット90を介してストリーミング配信されるサービス(を構成するコンポーネント)のストリームに接続して、そのストリームから得られる映像と音声を再生(出力)する。
【0027】
なお、通信サーバ30は、コンポーネントやシグナリングデータのほかに、例えば、緊急警報に関する緊急警報情報等の各種の情報を配信することができる。例えば、受信装置20は、インターネット90を介して通信サーバ30にアクセスすることで、緊急警報情報を取得して表示することができる。
【0028】
<2.IP伝送方式によるデジタル放送の概要>
【0029】
各国のデジタル放送の規格では、伝送方式としてMPEG2-TS(Moving Picture Experts Group phase 2-Transport Stream)方式が採用されているが、今後は、通信の分野で用いられているIP(Internet Protocol)パケットをデジタル放送に用いたIP伝送方式を導入することで、より高度なサービスを提供することが想定されている。特に、現在策定が進められている米国の次世代放送規格であるATSC3.0では、IP伝送方式を用いたデジタル放送の採用が見込まれている。
【0030】
(システムパイプモデル)
図2は、IP伝送方式のデジタル放送のシステムパイプモデルを示す図である。
【0031】
図2においては、所定の周波数帯域からなる放送波に対応した物理チャンネル(RF Channel)において、1つのBBP(Base Band Packet)ストリームと、FIC(Fast Information Channel)と、EAS(Emergency Alert System)が伝送されている。また、BBPストリームでは、LLS(Low Layer Signaling)と、2つのサービスチャンネル(Service Channel)が伝送されている。
【0032】
FICは、BBPストリームの構成とサービスの構成を示している。EASは、緊急警報に関する情報である。なお、FICとEASは、バイナリ形式のシグナリングデータとされる。
【0033】
LLSは、サービスに依存しない低レイヤのシグナリングデータである。例えば、LLSとしては、SCD(Service Configuration Description),EAD(Emergency Alerting Description),RRD(Region Rating Description)等のLLSメタデータが伝送される。なお、これらのLLSメタデータは、例えば、XML等のマークアップ言語により記述される、テキスト形式(XML形式)のシグナリングデータとされる。
【0034】
SCDは、BBPストリームの構成とサービスの構成を示している。また、SCDには、サービス単位の属性・設定情報や、ESGサービスやSSCに接続するためのブートストラップ情報などが含まれる。EADは、緊急警報に関する情報を含んでいる。RRDは、レーティング情報を含んでいる。
【0035】
ここで、バイナリ形式のFIC,EASと、XML形式のLLSメタデータ(SCD,EAD,RRD)を比較すれば、図3に示すようになる。すなわち、図3に示すように、バイナリ形式のFICやEASは、XML形式のLLSメタデータ(SCD,EAD,RRD)と比べて、データサイズが小さいことから、必要な伝送帯域が少ないため、迅速に取得できるなどのメリットがある。一方、XML形式のLLSメタデータ(SCD,EAD,RRD)は、バイナリ形式のFICやEASと比べて、拡張性や可読性が高いなどのメリットがある。
【0036】
図2の説明に戻り、サービスチャンネル(以下、「サービス」ともいう)は、SSC(Service Signaling Channel)と、ビデオやオーディオ、字幕等の番組を構成するコンポーネント(Component)から構成される。なお、各サービスを構成する要素には、共通のIPアドレスが付与されており、このIPアドレスを用いて、サービスごとに、コンポーネントやSSCなどをパッケージ化することができる。
【0037】
SSCは、サービス単位のシグナリングデータである。例えば、SSCとしては、USBD(User Service Bundle Description),SDP(Session Description Protocol),MPD(Media Presentation Description),IS(Initialization Segment),SPD(Service Parameter Description),LSID(LCT Session Instance Description)等のSSCメタデータが伝送される。
【0038】
USBDは、MPD,SDP等のSSCメタデータを参照するための参照情報を含んでいる。なお、USBDは、USD(User Service Description)と称される場合がある。SDPは、サービス単位のサービス属性、ストリームの構成情報や属性、フィルタ情報、ロケーション情報などを含んでいる。
【0039】
MPDは、サービス単位で伝送されるコンポーネントのストリームの再生を管理するための情報であって、セグメントURL(Uniform Resource Locator)などの情報を含んでいる。ISは、ROUTE(Real-time Object Delivery over Unidirectional Transport)セッションにおけるメディアセグメント(MS:Media Segment)に対するイニシャライゼーションセグメントである。
【0040】
なお、USBD,USD,MPD,SPD,ISは、3GPP(Third Generation Partnership Project),MPEG(Moving Picture Expert Group),又はIETF(Internet Engineering Task Force)のいずれかによって規格化されたものを参照するものとする。
【0041】
SPDは、サービスレベルのパラメータが定義される。LSIDは、FLUTE(File Delivery over Unidirectional Transport)のFDT(File Delivery Table)をリアルタイムサービス向けに拡張したものであって、ROUTEセッションごとに伝送されるコンポーネントのストリームの管理情報とされる。なお、LSIDは、他のSSCメタデータと異なるROUTEセッションで伝送するようにしてもよい。
【0042】
ここで、ビデオやオーディオ等のコンポーネントと、SSCシグナリングデータは、ROUTEセッションにより伝送される。ROUTEは、放送のライブサービス向けに、FLUTE(RFC6276,5775,5651)を拡張したものである。なお、ROUTEは、FLUTE +(FLUTE plus)やFLUTE enhancementなどと称される場合がある。
【0043】
ROUTEセッションでは、送信するファイルなどを1つのオブジェクトとして、TOI(Transport Object Identifier)により管理する。また、複数のオブジェクトの集合を1つのセッションとして、TSI(Transport Session Identifier)により管理する。すなわち、ROUTEセッションにおいては、TSIとTOIの2つの識別情報によって特定のファイルを指定することが可能となる。
【0044】
なお、これらのSSCメタデータは、例えばXML等のマークアップ言語により記述される、テキスト形式(XML形式)のシグナリングデータとされる。
【0045】
また、所定の周波数帯域を有する放送波(RF Channel)には、例えば放送事業者ごとに、RFアロケーションID(RF Allocation ID)が割り当てられている。また、各放送波で伝送される1又は複数のBBPストリームには、BBPストリームID(BBP Stream ID)が割り当てられる。さらに、各BBPストリームで伝送される1又は複数のサービスには、サービスID(Service ID)が割り当てられる。
【0046】
このように、IP伝送方式のID体系としては、MPEG2-TS方式で用いられているネットワークID(Network ID)と、トランスポートストリームID(Transport Stream ID)と、サービスID(Service ID)の組み合わせ(以下、「トリプレット(Triplet)」という)に対応する構成が採用され、このトリプレットによって、ネットワーク内のBBPストリーム構成とサービス構成が示される。
【0047】
このようなID体系を用いることで、現在広く普及しているMPEG2-TS方式との整合をとることができる。なお、IP伝送方式のID体系では、RFアロケーションIDとBBPストリームIDが、MPEG2-TS方式におけるネットワークIDとトランスポートストリームIDに対応している。
【0048】
なお、図2には示していないが、BBPストリームにおいては、LLSとサービスチャンネルのほかに、NTP(Network Time Protocol)やESG(Electronic Service Guide)サービスが伝送されるようにしてもよい。NTPは、時刻情報である。ESGサービスは、OMA(Open Mobile Alliance)によって規定されている電子サービスガイドである。
【0049】
(FICとEASの構成)
図4は、FICとEASの構成を示す図である。
【0050】
図4において、ATSC規格で規定されている物理フレーム(PHY Frame)には、FICが伝送されている場合、プリアンブル信号として、FICが存在することを示すフラグ(以下、「FICフラグ」という)が含まれている。受信装置20は、プリアンブル信号からFICフラグが検出された場合、FICを検出して取得することができる。
【0051】
FICは、FICレベル要素F1、BBPストリームレベル要素F2、及び、サービスレベル要素F3から構成される。なお、FICにおいて、新規に規定された要素は、太字で記述されている。
【0052】
FICレベル要素F1には、FIC単位の情報が配置される。図4において、FICレベル要素F1は、FIC_protocol_version,RF_Allocation_ID,SCDRRD_EXISTS,FIC_level_descriptor(),num_bbpstreams,BBPSTREAM ELEMENT LOOPから構成される。
【0053】
SCDRRD_EXISTSは、SCD又はRRDが、LLSに存在することを示すフラグ(以下、「SCD/RRDフラグ」という)である。SCD/RRDフラグが、LLSに、SCD又はRRDが存在することを示している場合、FICレベル要素F1には、bbpstream_idが配置される。受信装置20では、このBBPストリームIDにより識別されるBBPストリームで伝送されるLLSから、SCD又はRRDが取得されることになる。
【0054】
num_bbpstreamsには、BBPストリームの個数が指定され、その個数に応じて、BBPストリームループ(BBPSTREAM ELEMENT LOOP)が繰り返される。このBBPストリームループには、ループ数に応じたBBPストリームレベル要素F2が配置される。
【0055】
BBPストリームレベル要素F2には、BBPストリーム単位の情報が配置される。図4において、BBPストリームレベル要素F2は、bbpstream_id,provider_id,provider_name,provider_descriptor(),num_services,SERVICE ELEMENT LOOPから構成される。
【0056】
num_servicesには、サービスの個数が指定され、その個数に応じて、サービスループ(SERVICE ELEMENT LOOP)が繰り返される。このサービスループには、ループ数に応じたサービスレベル要素F3が配置される。
【0057】
サービスレベル要素F3には、サービス単位の情報が配置される。図4において、サービスレベル要素F3は、service_id,gusi_length,global_unique_service_id,service_data_version,service_channel_number,service_category,short_service_name_length,short_service_name,service_status,service_distribution,sp_indicator,IP_version_flag,SSC_src_IP_addr_flag,SSC_src_IP_addr,SSC_dst_IP_addr,SSC_dst_port,SSC_TSI,SSC_baseservice,SSC_scopeから構成される。
【0058】
受信装置20は、サービスレベル要素F3で指定される、SSCのIPアドレス、ポート番号、及び、TSIに基づいて、ROUTEセッションで伝送されているSSCシグナリングデータを取得する。ここで、SSCシグナリングデータとして取得されるLSIDには、MIMEタイプに対応したビデオとオーディオのTSIとTOIが記述されているので、受信装置20は、LSIDを参照することで、ビデオとオーディオのIPアドレス、ポート番号、TSI、及び、TOIを特定することができる。
【0059】
受信装置20は、それらのIPアドレス、ポート番号、TSI、及び、TOIに基づいて、ROUTEセッションで伝送されているビデオデータとオーディオデータを取得する。そして、受信装置20では、放送経由で取得されたビデオデータとオーディオデータをバッファに一時的に記憶させることで、バッファリング処理を行い、さらに、レンダリング処理を行うことで、選局されたサービスに応じた番組の映像と音声が再生される。
【0060】
なお、FICの詳細な構成は、図5を参照して後述する。また、FICにおいて、上述の要素のうち、provider_name,gusi_length,global_unique_service_id,service_distribution,SSC_scopeは必ずしも配置する必要はない。
【0061】
EASは、EASレベル要素E1から構成される。図4において、EASレベル要素E1は、Emergency_alart_flag,EAD_EXISTSから構成される。なお、EASにおいて、新規に規定された要素は、太字で記述されている。
【0062】
EAD_EXISTSは、EADが、LLSに存在することを示すフラグ(以下、「EADフラグ」という)である。EADフラグが、LLSに、EADが存在することを示している場合、EASレベル要素E1には、bbpstream_idが配置される。受信装置20では、このBBPストリームIDにより識別されるBBPストリームで伝送されるLLSから、EADが取得されることになる。
【0063】
受信装置20は、EADに基づいて、緊急警報情報を表示することができる。
【0064】
なお、EASの詳細な構成は、図6を参照して後述する。
【0065】
<3.シンタックスの例>
【0066】
(FICのシンタックス)
図5は、バイナリ形式のFICのシンタックスを示す図である。なお、図5において、新規に規定された要素は、太字で表されている。
【0067】
8ビットのFIC_protocol_versionには、FICプロトコルのバージョン情報が指定される。16ビットのRF_Allocation_IDには、RFアロケーションIDが指定される。
【0068】
1ビットのSCDRRD_EXISTSは、SCD又はRRDが、LLSに存在することを示すSCD/RRDフラグである。7ビットのリザーブド領域の次には、SCD/RRDフラグが、LLSに、SCD又はRRDが存在することを示している場合、8ビットのbbpstream_idとして、LLSが存在するBBPストリームのBBPストリームIDが指定される。
【0069】
FIC_level_descriptor()は、FICレベルの記述子である。
【0070】
8ビットのnum_bbpstreamsには、BBPストリームの個数が指定される。このBBPストリームの個数に応じて、BBPストリームループ(BBPSTREAM ELEMENT LOOP)が繰り返される。このBBPストリームループには、以下の内容が指定される。
【0071】
8ビットのbbpstream_idには、BBPストリームIDが指定される。16ビットのprovider_idには、プロバイダIDが指定される。
【0072】
provider_descriptor()は、プロバイダ記述子である。
【0073】
8ビットのnum_servicesには、サービスの個数が指定される。このサービスの個数に応じて、サービスループ(SERVICE ELEMENT LOOP)が繰り返される。このサービスループには、以下の内容が指定される。
【0074】
16ビットのservice_idには、サービスIDが指定される。
【0075】
8ビットのservice_data_versionには、サービスのデータのバージョン情報が指定される。16ビットのservice_channel_numberには、サービスのチャンネル番号が指定される。5ビットのservice_categoryには、サービスのカテゴリが指定される。例えば、カテゴリとしては、ビデオやオーディオ、ESG等が指定される。
【0076】
3ビットのshort_service_name_lengthには、ショートサービス名の長さが指定される。16*mビットのshort_service_nameには、ショートサービス名が指定される。1ビットのservice_statusには、サービスの状態が指定される。1ビットのsp_indicatorには、サービス保護を示すフラグが指定される。
【0077】
1ビットのIP_version_flagには、IPパケットのバージョンを示すフラグが指定される。1ビットのSSC_src_IP_addr_flagには、IPパケットの送信元(source)のIPアドレスを示すフラグが指定される。4ビットのリザーブド領域の次には、SSC_src_IP_addr_flagが、IPアドレスが存在していることを示している場合、32ビット又は128ビットのSSC_src_IP_addrとして、送信元(source)のIPアドレスが指定される。
【0078】
32ビット又は128ビットのSSC_dst_IP_addrには、宛先(destination)のIPアドレスが指定される。16ビットのSSC_dst_portには、ポート番号が指定される。16ビットのSSC_TSIには、TSIが指定される。
【0079】
1ビットのSSC_baseserviceには、放送サービスが基本サービスか、あるいはその他のサービスであるかを示すフラグが指定される。なお、SSC_baseserviceの次には7ビットのリザーブド領域が設けられている。
【0080】
(EASのシンタックス)
図6は、バイナリ形式のEASのシンタックスを示す図である。なお、図6において、新規に規定された要素は、太字で表されている。
【0081】
8ビットのEmergency_alart_flagには、緊急警報信号フラグが指定される。
【0082】
1ビットのEAD_EXISTSは、EADが、LLSに存在することを示すEADフラグである。7ビットのリザーブド領域の次には、EADフラグが、LLSに、EADが存在することを示している場合、8ビットのBbpstream_idとして、LLSが存在するBBPストリームのBBPストリームIDが指定される。
【0083】
なお、図5と、図6を参照して説明したFICと、EASのシンタックスは一例であって、他のシンタックスを採用してもよい。
【0084】
(SCDのシンタックス)
図7は、XML形式のSCDのシンタックスを示す図である。なお、図7において、要素と属性のうち、属性には「@」が付されている。また、インデントされた要素と属性は、その上位の要素に対して指定されたものとなる。これらの関係は、後述する他のシンタックスでも同様とされる。
【0085】
図7に示すように、ルート要素としてのSCD要素は、majorProtocolversion属性、minorProtocolversion属性、RFAllocationId属性、name属性、Tuning_RF要素、及び、BBPStream要素の上位要素となる。
【0086】
majorProtocolversion属性と、minorProtocolversion属性には、プロトコルのバージョン情報が指定される。RFAllocationId属性には、物理チャンネル単位の放送局のRFアロケーションIDが指定される。name属性には、物理チャンネル単位の放送局の名称が指定される。
【0087】
Tuning_RF要素は、選局に関する情報が指定される。Tuning_RF要素は、frequency属性、及び、Preamble属性の上位要素となる。frequency属性には、所定の帯域を選局するときの周波数が指定される。Preamble属性には、物理層の制御情報が指定される。
【0088】
BBPStream要素には、1又は複数のBBPストリームに関する情報が指定される。BBPStream要素は、bbpStreamId属性、payloadType属性、name属性、ESGBootstrap要素、ClockReferenceInformation要素、及び、Service要素の上位要素となる。
【0089】
bbpStreamId属性には、BBPストリームIDが指定される。BBPストリームを複数配置する場合には、このBBPストリームIDにより識別する。payloadType属性には、BBPストリームのペイロードタイプが指定される。このペイロードタイプとしては、例えば、"ipv4","ipv6"などが指定される。"ipv4"は、IPv4(Internet Protocol version 4)であることを示す。"ipv6"は、IPv6(Internet Protocol Version 6)であることを示す。name属性には、BBPストリームの名称が指定される。
【0090】
ESGBootstrap要素には、ESGブートストラップ情報が指定される。このESGブートストラップ情報によってESGへアクセスすることが可能となる。ESGBootstrap要素は、ESGProvider要素の上位要素となる。ESGProvider要素には、ESGのプロバイダごとに、ESGに関する情報が指定される。ESGProvider要素は、providerName属性、ESGBroadcastLocation要素、及び、ESGBroadbandLocation要素の上位要素となる。
【0091】
providerName属性には、ESGのプロバイダの名称が指定される。ESGBroadcastLocation要素は、ESGが放送により伝送される場合に、RFAllocationId属性、BBPStreamId属性、及び、ESGServiceId属性により指定されるRFアロケーションID、BBPストリームID、及び、サービスID(トリプレット)によって、ESGサービスを指定する。ESGBroadbandLocation要素は、ESGが通信経由で伝送される場合に、ESGUri属性により、そのESGのファイルにアクセスするためのURIを指定する。
【0092】
ClockReferenceInformation要素には、時刻情報(例えばNTP)に関する情報が指定される。ClockReferenceInformation要素は、sourceIPAddress属性、destinationIPAddress属性、及び、portNum属性の上位要素となる。sourceIPAddress属性とdestinationIPAddress属性には、時刻情報を伝送する送信元(source)と宛先(destination)のIPアドレスが指定される。portNum属性には、時刻情報を伝送するポート番号が指定される。
【0093】
Service要素には、1又は複数のサービスに関する情報が指定される。Service要素は、serviceId属性、globalUniqueServiceId属性、serviceType属性、hidden属性、hiddenGuide属性、shortName属性、longName属性、accesControl属性、SourceOrigin要素、SCBootstrap要素、SignalingOverInternet要素、及び、AssociationService要素の上位要素となる。
【0094】
serviceId属性には、サービスIDが指定される。サービスを複数配置する場合には、このサービスIDにより識別する。globalUniqueServiceId属性には、グローバルユニークサービスIDが指定される。例えば、グローバルユニークサービスIDによって、ESG選局されたサービスと、USBDとを紐付けることができる。
【0095】
serviceType属性には、サービスのタイプ情報が指定される。このタイプ情報としては、例えば、"continued","scripted"が指定される。"continued"は、ビデオやオーディオのサービス、"scripted"は、NRTサービスをそれぞれ示している。
【0096】
hidden属性とhiddenGuide属性には、サービスIDにより識別されるサービスが、隠されたサービスであるかどうかが指定される。例えば、これらの属性値として"on"が指定された場合、当該サービスは非表示とされる。また、これらの属性値として"off"が指定された場合、当該サービスは表示される。例えば、hidden属性として"on"が指定された場合、当該サービスは、リモートコントローラの操作により選局できないようになる。また、例えば、hiddenGuide属性として"on"が指定された場合、当該サービスは、ESGには表示されないことになる。
【0097】
shortName属性とlongName属性には、サービスIDにより識別されるサービスの名称が指定される。ただし、shortName属性では、例えば7文字以内でサービスの名称の名称を指定しなければならない。accesControl属性には、サービスIDにより識別されるサービスが暗号化されているかどうかが指定される。例えば、accesControl属性として"on"が指定された場合には、当該サービスが暗号化されていることを示し、"off"が指定された場合には、当該サービスが暗号化されていないことを示している。
【0098】
SourceOrigin要素には、サービスを識別するための情報が指定される。SourceOrigin要素は、country属性、originalRFAllocationId属性、bbpStreamId属性、及び、serviceId属性の上位要素となる。country属性には、国コードが指定される。originalRFAllocationId属性には、オリジナルRFアロケーションIDが指定される。オリジナルRFアロケーションIDは、放送ネットワークを識別するためのIDであって、当該サービスの再送信を行う場合でも、同一の値が用いられる。bbpStreamId属性には、BBPストリームIDが指定される。serviceId属性には、サービスIDが指定される。すなわち、国コード、オリジナルRFアロケーションID、BBPストリームID、及び、サービスIDによって、各サービスに対して、固有のIDを割り当てることができる。
【0099】
SCBootstrap要素には、SCブートストラップ情報が指定される。このSCブートストラップ情報によって、サービスチャンネルへアクセスすることが可能となって、SSCシグナリングデータを取得することができる。SCBootstrap要素は、sourceIPAddress属性、destinationIPAddress属性、portNum属性、及び、tsi属性の上位要素となる。
【0100】
sourceIPAddress属性とdestinationIPAddress属性には、サービスを伝送する送信元(source)と宛先(destination)のIPアドレスが指定される。portNum属性には、SSCを伝送するポート番号が指定される。tsi属性には、SSCを伝送するROUTEセッションにおけるTSIが指定される。
【0101】
SignalingOverInternet要素には、SSCブロードバンドロケーション情報が指定される。このSSCブロードバンドロケーション情報によって、通信経由で伝送されるSSCシグナリングデータに関する情報が指定される。SignalingOverInternet要素は、uri属性の上位要素となる。uri属性には、SSCシグナリングデータの取得先を示すURIが指定される。
【0102】
AssociationService要素には、関連従属サービスに関する情報が指定される。AssociationService要素は、RFAllocationId属性、bbpStreamId属性、及び、serviceId属性の上位要素となる。RFAllocationId属性、bbpStreamId属性、及び、serviceId属性により指定されるRFアロケーションID、BBPストリームID、及び、サービスID(トリプレット)によって、関連従属サービスを指定する。
【0103】
なお、出現数(Cardinality)であるが、"1"が指定された場合にはその要素又は属性は必ず1つだけ指定され、"0..1"が指定された場合には、その要素又は属性を指定するかどうかは任意である。また、"1..n"が指定された場合には、その要素又は属性は1以上指定され、"0..n"が指定された場合には、その要素又は属性を1以上指定するかどうかは任意である。これらの出現数の意味は、後述する他のシンタックスでも同様とされる。
【0104】
(EADのシンタックス)
図8は、XML形式のEADのシンタックスを示す図である。
【0105】
図8に示すように、ルート要素としてのEAD要素は、AutomaticTuningService要素、及び、EAMessage要素の上位要素となる。AutomaticTuningService要素は、Wake-up時の自動選局サービスを指定するためのものである。AutomaticTuningService要素は、RFAllocationId属性、bbpStreamId属性、及び、serviceId属性の上位要素となる。
【0106】
RFAllocationId属性は、自動選局サービスのネットワークIDが指定される。BBPStreamId属性は、自動選局サービスのBBPストリームIDが指定される。serviceId属性は、自動選局サービスのサービスIDが指定される。すなわち、AutomaticTuningService要素が出現した場合、それらの属性が示すトリプレットにより指定されるサービスが選局される。ただし、このトリプレットのうち、RFAllocationId属性とBBPStreamId属性は必須ではなく、例えば、EADと同一のBBPストリームを指定するのであれば、serviceId属性のみを指定すればよいことになる。
【0107】
EAMessage要素は、緊急警報情報(緊急情報)のメッセージが指定される。EAMessage要素は、eaMessageId属性、eaPriority属性、EAMessageData要素、EAApplication要素、EAService要素、及び、EAWww要素の上位要素となる。
【0108】
eaMessageId属性は、緊急警報情報(緊急情報)のIDが指定される。eaPriority属性は、緊急警報情報(緊急情報)の優先度が指定される。EAMessageData要素は、緊急警報情報(緊急情報)の字幕情報が指定される。
【0109】
EAApplication要素は、緊急警報用のアプリケーションに関する情報が指定される。EAApplication要素は、applicationId属性の上位要素となる。applicationId属性は、アプリケーションIDが指定される。
【0110】
EAService要素は、緊急警報用のNRTサービスに関する情報が指定される。EAService要素は、serviceId属性、及び、serviceType属性の上位要素となる。serviceId属性は、サービスIDが指定される。serviceType属性は、サービスタイプ情報が指定される。このサービスタイプ情報としては、例えば"nrt"が指定される。"nrt"は、NRTサービスであることを示す。
【0111】
EAWww要素は、緊急情報サイトに関する情報が指定される。EAWww要素は、uri属性の上位要素となる。uri属性には、緊急情報サイトのURIが指定される。
【0112】
(RRDのシンタックス)
図9は、XML形式のRRDのシンタックスを示す図である。
【0113】
図9に示すように、ルート要素としてのRRD要素は、RatingRegionName要素、RatingRegion要素、TableVersion要素、及び、Dimension要素の上位要素となる。RatingRegionName要素には、レーティングリージョンの名称が指定される。RatingRegion要素は、レーティングリージョンのコードが指定される。このコードとしては、例えば、"us","canada","mexico"などが指定される。TableVersion要素には、RRDのバージョン情報が指定される。
【0114】
Dimension要素は、RatingDimensionName要素、RatingDimension要素、GraduatedScale要素、及び、DimensionValue要素の上位要素となる。RatingDimensionName要素は、レーティングディメンションの名称が指定される。RatingDimension要素は、レーティングディメンションのコードが指定される。GraduatedScale要素は、スケールが指定される。
【0115】
DimensionValue要素には、ディメンションの値が指定される。DimensionValue要素は、RatingValueText要素、AbbrevValueText要素、RatingValue要素、及び、RatingTag要素の上位要素となる。これらの属性により、例えば、年齢制限の区分けの仕方などのレーティング情報が指定される。
【0116】
なお、図7乃至図9を参照して説明したSCD,EAD,RRDの各シンタックスは一例であって、他のシンタックスを採用してもよい。
【0117】
<4.各装置の構成>
【0118】
次に、図10乃至図12を参照して、図1の放送通信システム1を構成する各装置の詳細な構成として、送信装置10、及び、受信装置20の構成について説明する。
【0119】
(送信装置の構成例)
図10は、本技術を適用した送信装置の一実施の形態の構成を示す図である。
【0120】
図10に示すように、送信装置10は、シグナリング生成部111、シグナリング処理部112、ビデオデータ取得部113、ビデオエンコーダ114、オーディオデータ取得部115、オーディオエンコーダ116、Mux117、及び、送信部118から構成される。
【0121】
シグナリング生成部111は、外部のサーバや内蔵するストレージ等から、シグナリングデータを生成するための素データを取得する。シグナリング生成部111は、シグナリングデータの素データを用いて、シグナリングデータを生成し、シグナリング処理部112に供給する。
【0122】
シグナリング処理部112は、シグナリング生成部111から供給されるシグナリングデータを処理して、Mux117に供給する。ここでは、シグナリングデータとして、SCD等のLLSメタデータからなるLLSシグナリングデータと、USBDやLSID等のSSCメタデータからなるSSCシグナリングデータのほか、FICとEASが生成される。
【0123】
ビデオデータ取得部113は、外部のサーバや内蔵するストレージ、ビデオカメラ等から提供されるビデオデータを取得し、ビデオエンコーダ114に供給する。ビデオエンコーダ114は、ビデオデータ取得部113から供給されるビデオデータを、MPEG(Moving Picture Experts Group)等の符号化方式に準拠して符号化し、Mux117に供給する。
【0124】
オーディオデータ取得部115は、外部のサーバや内蔵するストレージ、マイクロフォン等から提供されるオーディオデータを取得し、オーディオエンコーダ116に供給する。オーディオエンコーダ116は、オーディオデータ取得部115から供給されるオーディオデータを、MPEG等の符号化方式に準拠して符号化し、Mux117に供給する。
【0125】
Mux117は、シグナリング処理部112からのシグナリングデータのストリームと、ビデオエンコーダ114からのビデオのストリームと、オーディオエンコーダ116からのオーディオのストリームを多重化してBBPストリームを生成し、送信部118に供給する。送信部118は、Mux117から供給されるBBPストリームを、IP伝送方式を用いたデジタル放送の放送波(デジタル放送信号)として、アンテナ119を介して送信する。
【0126】
(受信装置の構成例)
図11は、本技術を適用した受信装置の一実施の形態の構成を示す図である。
【0127】
図11に示すように、受信装置20は、チューナ212、Demux213、制御部214、NVRAM215、入力部216、通信部217、Demux218、ビデオデコーダ219、ビデオ出力部220、ディスプレイ221、オーディオデコーダ222、オーディオ出力部223、及び、スピーカ224から構成される。
【0128】
チューナ212は、制御部214からの制御に従い、アンテナ211を介して受信したIP伝送方式を用いたデジタル放送の放送波(デジタル放送信号)から、ユーザの選局操作に応じたデジタル放送信号を抽出して復調し、その結果得られるBBPストリームを、Demux213に供給する。
【0129】
Demux213は、制御部214からの制御に従い、チューナ212から供給されるBBPストリームを、ビデオやオーディオ、シグナリングデータに分離する。Demux213は、ビデオデータをビデオデコーダ219に、オーディオデータをオーディオデコーダ222に、シグナリングデータを制御部214にそれぞれ供給する。
【0130】
制御部214は、受信装置20の各部の動作を制御する。また、制御部214は、Demux213又は通信部217から供給されるシグナリングデータに基づいて、放送経由又は通信経由で伝送されるコンポーネントのストリームに接続して、当該コンポーネントの再生を制御するために、各部の動作を制御する。なお、制御部214の詳細な構成については、図12を参照して後述する。
【0131】
NVRAM215は、不揮発性メモリであって、制御部214からの制御に従い、各種のデータを記憶する。入力部216は、ユーザの操作に応じて、操作信号を制御部214に供給する。
【0132】
通信部217は、制御部214からの制御に従い、インターネット90を介して通信サーバ30に接続し、コンポーネントのストリームの配信を要求する。通信部217は、インターネット90を介して通信サーバ30からストリーミング配信されるコンポーネントのストリームを受信して、Demux218に供給する。また、通信部217は、制御部214からの制御に従い、インターネット90を介して通信サーバ30から、SSCシグナリングデータ等のデータを受信し、制御部214に供給する。
【0133】
Demux218は、制御部214からの制御に従い、通信部217から供給されるコンポーネントのストリームを、ビデオデータと、オーディオデータに分離し、ビデオデータをビデオデコーダ219に、オーディオデータをオーディオデコーダ222に供給する。
【0134】
ビデオデコーダ219には、Demux213又はDemux218からビデオデータが供給される。ビデオデコーダ219は、制御部214からの制御に従い、ビデオデータを、MPEG等の復号方式に準拠して復号し、ビデオ出力部220に供給する。ビデオ出力部220は、ビデオデコーダ219から供給されるビデオデータを、ディスプレイ221に出力する。これにより、ディスプレイ221には、例えば番組の映像が表示される。
【0135】
オーディオデコーダ222には、Demux213又はDemux218からオーディオデータが供給される。オーディオデコーダ222は、制御部214からの制御に従い、オーディオデータを、MPEG等の復号方式に準拠して復号し、オーディオ出力部223に供給する。オーディオ出力部223は、オーディオデコーダ222から供給されるオーディオデータを、スピーカ224に出力する。これにより、スピーカ224からは、例えば番組の映像に対応する音声が出力される。
【0136】
なお、図11においては、受信装置20がセットトップボックス等である場合には、ディスプレイ221やスピーカ224を有しない構成とすることができる。また、受信装置20は、通信部217等の通信機能を有しない構成とすることもできる。
【0137】
(制御部の機能的構成例)
図12は、図11の制御部214の機能的な構成例を示す図である。
【0138】
図12において、制御部214は、第1シグナリング取得部251、第2シグナリング取得部252、シグナリング解析部253、放送制御部254、及び、通信制御部255から構成される。
【0139】
第1シグナリング取得部251は、FIC又はEASを取得し、シグナリング解析部253に供給する。シグナリング解析部253は、第1シグナリング取得部251から供給されるFIC又はEASを解析し、その解析結果を、第2シグナリング取得部252に供給する。
【0140】
第2シグナリング取得部252は、シグナリング解析部253から供給される解析結果に基づいて、LLSで伝送されているSCD,RRD,又はEAD等のLLSメタデータを取得し、シグナリング解析部253に供給する。シグナリング解析部253は、第2シグナリング取得部252から供給されるLLSメタデータを解析し、その解析結果を、第2シグナリング取得部252、放送制御部254、又は、通信制御部255に供給する。
【0141】
第2シグナリング取得部252は、シグナリング解析部253から供給される解析結果に基づいて、SSCで伝送されているUSBDやLSID等のSSCメタデータを取得し、シグナリング解析部253に供給する。シグナリング解析部253は、第2シグナリング取得部252から供給されるSSCメタデータを解析し、その解析結果を、放送制御部254、又は、通信制御部255に供給する。
【0142】
放送制御部254は、シグナリング解析部253から供給される解析結果に基づいて、放送経由で取得されるデータに関する各種の処理を行う各部の動作を制御する。通信制御部255は、シグナリング解析部253から供給される解析結果に基づいて、通信経由で取得されるデータに関する各種の処理を行う各部の動作を制御する。
【0143】
<5.各装置で実行される処理の流れ>
【0144】
次に、図13乃至図15のフローチャートを参照して、図1の放送通信システム1を構成する各装置で実行される具体的な処理の流れについて説明する。
【0145】
(送信処理)
まず、図13のフローチャートを参照して、送信装置10により実行される送信処理の流れについて説明する。
【0146】
ステップS101において、シグナリング生成部111は、シグナリングデータの素データを用いて、シグナリングデータを生成し、シグナリング処理部112に供給する。ステップS102において、シグナリング処理部112は、シグナリング生成部111から供給されるシグナリングデータを処理し、Mux117に供給する。
【0147】
ここでは、シグナリングデータとして、SCD等のLLSメタデータと、USBDやLSID等のSSCメタデータのほか、FICとEASが生成される。ただし、シグナリングデータは、外部のサーバが生成するようにしてもよい。その場合には、シグナリング生成部111は、外部のサーバから供給されるシグナリングデータをそのまま、シグナリング処理部112に供給する。
【0148】
ステップS103において、ビデオデータ取得部113は、外部のサーバ等から、コンポーネントとしてのビデオデータを取得し、ビデオエンコーダ114に供給する。また、ステップS103において、オーディオデータ取得部115は、外部のサーバ等から、コンポーネントとしてのオーディオデータを取得し、オーディオエンコーダ116に供給する。
【0149】
ステップS104において、ビデオエンコーダ114は、コンポーネントとしてのビデオデータを、MPEG等の符号化方式に準拠して符号化し、Mux117に供給する。また、ステップS104において、オーディオエンコーダ116は、コンポーネントとしてのオーディオデータを、MPEG等の符号化方式に準拠して符号化し、Mux117に供給する。
【0150】
ステップS105において、Mux117は、シグナリング処理部112からのシグナリングデータと、ビデオエンコーダ114からのビデオのストリームと、オーディオエンコーダ116からのオーディオのストリームを多重化してBBPストリームを生成し、送信部118に供給する。
【0151】
ステップS106において、送信部118は、Mux117から供給されるBBPストリームをデジタル放送信号として、アンテナ119を介して送信する。ステップS116の処理が終了すると、図13の送信処理は終了する。
【0152】
以上、送信処理の流れについて説明した。
【0153】
(初期スキャン処理)
次に、図14のフローチャートを参照して、受信装置20により実行される初期スキャン処理の流れについて説明する。なお、この初期スキャン処理は、例えば初回の電源投入時などの初期スキャンイベントが発生したときに実行される。
【0154】
ステップS201において、放送制御部254は、チューナ212を制御して、放送波の所定の周波数の選局を行う。ステップS202において、放送制御部254は、チューナ212を制御して、放送波の物理層のプリアンブル信号から、FICが存在することを示すFICフラグを検出する。
【0155】
ステップS203において、放送制御部254は、チューナ212を制御して、放送波からFICを検出する。これにより、第1シグナリング取得部251は、FICを取得して、NVRAM215に記憶させる。
【0156】
ステップS204において、シグナリング解析部253は、ステップS203の処理でNVRAM215に記憶されたFICを読み出して解析し、FIC内のSCD/RRDフラグ(SCDRRD_EXISTS)を検出する。そして、シグナリング解析部253は、ステップS204の処理の解析結果に基づいて、SCD/RRDフラグ(SCDRRD_EXISTS)に、"1"が指定されているかどうかを判定する(S205)。
【0157】
ステップS205において、SCD/RRDフラグ(SCDRRD_EXISTS)に、"1"が指定されていると判定された場合、処理は、ステップS206に進められる。ステップS206において、第2シグナリング取得部252は、Demux213を制御して、LLSで伝送されているSCDとRRDを取得し、NVRAM215に記憶させる。ステップS206の処理が終了すると、処理は、ステップS207に進められる。
【0158】
一方、ステップS205において、SCD/RRDフラグ(SCDRRD_EXISTS)に、"0"が指定されていると判定された場合、ステップS206の処理はスキップされ、処理は、ステップS207に進められる。
【0159】
ステップS207において、放送制御部254は、すべての周波数を選局したかどうかを判定する。ステップS207において、すべての周波数を選局していないと判定された場合、処理は、ステップS201に戻り、それ以降の処理が繰り返される。そして、ステップS201乃至S207の処理が繰り返されることで、すべての周波数が選局され、選局情報としてのSCD等がNVRAM215に記憶されると(S207の「Yes」)、図14の初期スキャン処理は終了される。
【0160】
以上、初期スキャン処理の流れについて説明した。
【0161】
(緊急警報処理)
次に、図15のフローチャートを参照して、受信装置20により実行される緊急警報処理の流れについて説明する。なお、この緊急警報処理は、例えばユーザにより選局された番組が再生されているときなどに実行される。
【0162】
ステップS241において、放送制御部254は、チューナ212を制御して、放送波の物理層のプリアンブル信号から、EASが存在することを示すフラグを検出する。
【0163】
ステップS242において、放送制御部254は、チューナ212を制御して、放送波からEASを検出する。これにより、第1シグナリング取得部251は、EASを取得して、シグナリング解析部253に供給する。
【0164】
ステップS243において、シグナリング解析部253は、ステップS242の処理で検出されたEASを解析し、EAS内のEADフラグ(EAD_EXISTS)を検出する。そして、シグナリング解析部253は、ステップS243の処理の解析結果に基づいて、EADフラグ(EAD_EXISTS)に、"1"が指定されているかどうかを判定する(S244)。
【0165】
ステップS244において、EADフラグ(EAD_EXISTS)に、"1"が指定されていると判定された場合、処理は、ステップS245に進められる。ステップS245において、第2シグナリング取得部252は、Demux213を制御して、LLSで伝送されているEADを取得し、シグナリング解析部253に供給する。シグナリング解析部253は、第2シグナリング取得部252からのEADを解析し、その解析結果を、放送制御部254に供給する。
【0166】
そして、放送制御部254は、シグナリング解析部253からの解析結果に基づいて、各部の動作を制御することで、リッチメディアを実行する。例えば、放送制御部254は、再生中の番組の映像に、EAD(のEAMessage要素のEAMessageData要素)に対応した緊急警報情報(の字幕情報)を重畳表示させる。
【0167】
なお、受信装置20において、ユーザによって、緊急警報詳細情報(緊急警報情報のさらに詳細な情報)の表示が指示された場合、通信制御部255は、通信部217を制御して、EAD(のEAMessage要素のEAWww要素のuri属性)に指定された緊急情報サイトのURIに従い、インターネット90を介して通信サーバ30にアクセスする。これにより、緊急情報サイトから取得された緊急警報詳細情報が表示されることになる。
【0168】
一方、ステップS244において、EADフラグ(EAD_EXISTS)に、"0"が指定されていると判定された場合、処理は、ステップS246に進められる。ステップS246において、放送制御部254は、ステップS243の解析結果に基づいて、各部の動作を制御することで、EASの緊急警報信号フラグに従った緊急警報の動作を行う。
【0169】
以上、緊急警報処理の流れについて説明した。
【0170】
<6.変形例>
【0171】
なお、上述した説明としては、地上デジタルテレビ放送の規格として、米国等で採用されている方式であるATSCを説明したが、日本等が採用する方式であるISDB(Integrated Services Digital Broadcasting)や、欧州の各国等が採用する方式であるDVB(Digital Video Broadcasting)などに適用するようにしてもよい。また、地上デジタルテレビ放送に限らず、衛星デジタルテレビ放送やデジタル有線テレビ放送などで採用するようにしてもよい。
【0172】
また、上述した説明では、シグナリング情報の名称として、Descriptionの略である「D」を用いたが、Tableの略である「T」が用いられる場合がある。例えば、SCD(Service Configuration Description)は、SCT(Service Configuration Table)と記述される場合がある。また、例えば、SPD(Service Parameter Description)は、SPT(Service Parameter Table)と記述される場合がある。ただし、これらの名称の違いは、「Description」と「Table」との形式的な違いであって、各シグナリング情報の実質的な内容が異なるものではない。
【0173】
さらに、上述した説明では、シグナリング情報がXML等のマークアップ言語により記述される場合における、その要素や属性について説明したが、それらの要素や属性の名称は一例であって、他の名称が採用されるようにしてもよい。例えば、SCD等に規定されるRFチャンネルID(RF Channel ID)は、ネットワークID(Network ID)やRFアロケーションID(RF Alloc ID)などと称するようにしてもよい。ただし、これらの名称の違いは、形式的な違いであって、それらの要素や属性の実質的な内容が異なるものではない。
【0174】
また、上述したBBPストリームは、データパイプ(Data Pipe)やPLP(Physical Layer Pipe)等のほかの名称で呼ばれる場合がある。SSCは、SCS(Service Channel Signaling)と称される場合がある。ただし、これらの名称の違いは、形式的な違いであって、それらの実質的な内容が異なるものではない。
【0175】
<7.コンピュータの構成>
【0176】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。図16は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示す図である。
【0177】
コンピュータ900において、CPU(Central Processing Unit)901,ROM(Read Only Memory)902,RAM(Random Access Memory)903は、バス904により相互に接続されている。バス904には、さらに、入出力インターフェース905が接続されている。入出力インターフェース905には、入力部906、出力部907、記録部908、通信部909、及び、ドライブ910が接続されている。
【0178】
入力部906は、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる。出力部907は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記録部908は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部909は、ネットワークインターフェースなどよりなる。ドライブ910は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブルメディア911を駆動する。
【0179】
以上のように構成されるコンピュータ900では、CPU901が、ROM902や記録部908に記憶されているプログラムを、入出力インターフェース905及びバス904を介して、RAM903にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0180】
コンピュータ900(CPU901)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア911に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線又は無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0181】
コンピュータ900では、プログラムは、リムーバブルメディア911をドライブ910に装着することにより、入出力インターフェース905を介して、記録部908にインストールすることができる。また、プログラムは、有線又は無線の伝送媒体を介して、通信部909で受信し、記録部908にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM902や記録部908に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0182】
ここで、本明細書において、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に行われる必要はない。すなわち、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含む。また、プログラムは、1のコンピュータ(プロセッサ)により処理されるものであってもよいし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであってもよい。
【0183】
なお、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0184】
また、本技術は、以下のような構成をとることができる。
【0185】
(1)
IP(Internet Protocol)伝送方式を用いたデジタル放送において、前記IP伝送方式のプロトコルの階層におけるIP層よりも下位の階層で伝送される、IPアドレスで識別されるサービスに依存しない制御情報を含むテキスト形式の第2のシグナリングデータに先行して、前記第2のシグナリングデータの存在の有無を示すフラグを含むバイナリ形式の第1のシグナリングデータを取得する第1の取得部と、
前記第1のシグナリングデータに基づいて、前記第2のシグナリングデータを取得する第2の取得部と、
前記第2のシグナリングデータに基づいて、各種の処理を行う各部の動作を制御する制御部と
を備える受信装置。
(2)
前記第2の取得部は、前記第1のシグナリングデータに含まれる前記フラグが、前記第2のシグナリングデータが存在することを示している場合に、前記第1のシグナリングデータに含まれる、前記第2のシグナリングデータが伝送されているストリームの識別情報に基づいて、当該ストリームから前記第2のシグナリングデータを取得する
(1)に記載の受信装置。
(3)
前記第1のシグナリングデータは、前記IP伝送方式のプロトコルの階層における、前記第2のシグナリングデータが伝送される階層よりもさらに下位の階層で伝送される、FIC(Fast Information Channel)であり、
前記第2のシグナリングデータは、前記デジタル放送の放送波における物理チャンネルごとの前記ストリームの構成と前記サービスの構成を示しているSCD(Service Configuration Description)又はレーティング情報を含むRRD(Region Rating Description)である
(2)に記載の受信装置。
(4)
前記第1のシグナリングデータは、前記物理チャンネルを識別するための識別情報、前記ストリームを識別するための識別情報、及び、前記サービスを識別するための識別情報を含む
(3)に記載の受信装置。
(5)
前記第1のシグナリングデータは、前記サービスの供給元を特定するための識別情報を含む
(3)又は(4)に記載の受信装置。
(6)
前記第1のシグナリングデータは、前記IP伝送方式のプロトコルの階層におけるIP層よりも上位の階層で伝送される、前記IPアドレスで識別されるサービスごとの制御情報を含む第3のシグナリングデータの配信経路を示す情報を含む
(3)乃至(5)のいずれか一項に記載の受信装置。
(7)
前記第1のシグナリングデータは、緊急警報に関する情報を含むEAS(Emergency Alert System)であり、
前記第2のシグナリングデータは、緊急警報に関する情報を含むEAD(Emergency Alerting Description)である
(2)に記載の受信装置。
(8)
受信装置の受信方法において、
前記受信装置が、
IP伝送方式を用いたデジタル放送において、前記IP伝送方式のプロトコルの階層におけるIP層よりも下位の階層で伝送される、IPアドレスで識別されるサービスに依存しない制御情報を含むテキスト形式の第2のシグナリングデータに先行して、前記第2のシグナリングデータの存在の有無を示すフラグを含むバイナリ形式の第1のシグナリングデータを取得し、
前記第1のシグナリングデータに基づいて、前記第2のシグナリングデータを取得し、
前記第2のシグナリングデータに基づいて、各種の処理を行う各部の動作を制御する
ステップを含む受信方法。
(9)
IP伝送方式を用いたデジタル放送において、前記IP伝送方式のプロトコルの階層におけるIP層よりも下位の階層で伝送される、IPアドレスで識別されるサービスに依存しない制御情報を含むテキスト形式の第2のシグナリングデータと、前記第2のシグナリングデータの存在の有無を示すフラグを含むバイナリ形式の第1のシグナリングデータを生成する生成部と、
受信装置において、前記第2のシグナリングデータに先行して、前記第1のシグナリングデータが取得されるように、前記第1のシグナリングデータと前記第2のシグナリングデータを、前記IP伝送方式を用いたデジタル放送で送信する送信部と
を備える送信装置。
(10)
前記第1のシグナリングデータは、前記フラグが、前記第2のシグナリングデータが存在することを示している場合に、前記第2のシグナリングデータが伝送されているストリームの識別情報を含む
(9)に記載の送信装置。
(11)
前記第1のシグナリングデータは、前記IP伝送方式のプロトコルの階層における、前記第2のシグナリングデータが伝送される階層よりもさらに下位の階層で伝送される、FIC(Fast Information Channel)であり、
前記第2のシグナリングデータは、前記デジタル放送の放送波における物理チャンネルごとの前記ストリームの構成と前記サービスの構成を示しているSCD(Service Configuration Description)又はレーティング情報を含むRRD(Region Rating Description)である
(10)に記載の送信装置。
(12)
前記第1のシグナリングデータは、前記物理チャンネルを識別するための識別情報、前記ストリームを識別するための識別情報、及び、前記サービスを識別するための識別情報を含む
(11)に記載の送信装置。
(13)
前記第1のシグナリングデータは、前記サービスの供給元を特定するための識別情報を含む
(11)又は(12)に記載の送信装置。
(14)
前記第1のシグナリングデータは、前記IP伝送方式のプロトコルの階層におけるIP層よりも上位の階層で伝送される、前記IPアドレスで識別されるサービスごとの制御情報を含む第3のシグナリングデータの配信経路を示す情報を含む
(11)乃至(13)のいずれか一項に記載の送信装置。
(15)
前記第1のシグナリングデータは、緊急警報に関する情報を含むEAS(Emergency Alert System)であり、
前記第2のシグナリングデータは、緊急警報に関する情報を含むEAD(Emergency Alerting Description)である
(10)に記載の送信装置。
(16)
送信装置の送信方法において、
前記送信装置が、
IP伝送方式を用いたデジタル放送において、前記IP伝送方式のプロトコルの階層におけるIP層よりも下位の階層で伝送される、IPアドレスで識別されるサービスに依存しない制御情報を含むテキスト形式の第2のシグナリングデータと、前記第2のシグナリングデータの存在の有無を示すフラグを含むバイナリ形式の第1のシグナリングデータを生成し、
受信装置において、前記第2のシグナリングデータに先行して、前記第1のシグナリングデータが取得されるように、前記第1のシグナリングデータと前記第2のシグナリングデータを、前記IP伝送方式を用いたデジタル放送で送信する
ステップを含む送信方法。
【符号の説明】
【0186】
1 放送通信システム, 10 送信装置, 20 受信装置, 30 通信サーバ, 90 インターネット, 111 シグナリング取得部, 113 ビデオデータ取得部, 115 オーディオデータ取得部, 118 送信部, 212 チューナ, 214 制御部, 217 通信部, 251 第1シグナリング取得部, 252 第2シグナリング取得部, 253 シグナリング解析部, 254 放送制御部, 255 通信制御部, 900 コンピュータ, 901 CPU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16