(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両(1)に搭載され、装置中央において前記車両の乗員に向けて情報を表示する中央表示部(10)と、前記中央表示部に対して側方に位置する一対の側方部(11)と、を備える車両用表示装置(100)に設けられた撮像装置であって、
前記側方部に配置され、前記乗員を撮影するカメラ(71)を備え、
前記車両用表示装置よりも視認側に前記車両のステアリング操作部(4)が配置されており、前記ステアリング操作部の正位置において、前記中央表示部が前記ステアリング操作部に設けられた開口部(4e)を通じて前記情報を表示し、
前記ステアリング操作部は、円環状のリム部(4a)及び前記リム部をステアリングシャフトに接続する接続部(4b)を有し、
前記開口部は、前記リム部と前記接続部の間において半円状に開口し、
前記正位置における前記開口部の内部にて、前記リム部と前記接続部とに対して等距離となる位置を結ぶ仮想の開口分割線(ODL)を定義すると、
前記カメラは、前記側方部のうち、前記車両に設定された基準アイポイント中心(CSE)と前記開口分割線上の点を結ぶ仮想直線(ISL)が交差する位置に配置されている撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、複数の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
【0014】
(第1実施形態)
本開示の第1実施形態による撮像装置70は、
図1に示すように、車両1に搭載され、車両1の乗員を撮影する。本実施形態の撮像装置70は、車両1の乗員、特に運転者の顔を撮影対象として撮影し、その画像を処理することで、当該運転者の居眠りやわき見等の状態を監視するドライバステータスモニタ(Driver Status Monitor、DSM)に利用されている。
【0015】
本実施形態の撮像装置70は、車両用表示装置100に設けられている。撮像装置70は、車両用表示装置100と共に、乗員が着座する座席3とは前後に対向するインストルメントパネルに設置されている。より詳細に、撮像装置70は、車両用表示装置100と共にインストルメントパネル2のうち、運転者が着座する運転席3aと前後に対向する運転席対向部2aに設置されている。
【0016】
ここで、本実施形態において、前後、上下、左右等の方向に関する表現は、水平面上の車両1を基準として定義される。右及び左は、前方を向く座席3に着座した乗員を基準に定義される。
【0017】
車両1において運転席対向部2aと運転席3aのヘッドレストとの間には、当該車両1のステアリング操作部4が配置されている。ステアリング操作部4は、車両1を操舵するステアリングシステムにおいて、運転者に回転操作される操作部を構成している。ステアリング操作部4は、円環状のリム部4a、及び当該リム部4aをステアリングシャフトに接続する接続部4bを有している。接続部4bは、ステアリングシャフトの軸上に配置されたセンターパット部4c、及びセンターパット部4cとリム部4aを接続するためにリム部4aの径方向に伸びるスポーク部4d等を有している。
【0018】
そして、ステアリング操作部4には、リム部4a及び接続部4bに囲まれて開口する開口部4eが形成されている。開口部4eは、ステアリング操作部4の正位置(すなわち、車両1が直進する操舵角となる位置)において、当該ステアリング操作部4の上方に位置し、円弧部を上方に配した半円状(ないしは扇形状)に形成されている。
【0019】
本実施形態の運転席3aは、車両1の縦中心面LMP(直進姿勢にある自動車の左右車輪間の中点を通る鉛直面)に対して、右に偏心した位置に、より厳密には縦中心面LMPより右に、配置されている。したがって、本実施形態の車両1は、いわゆる右ハンドル車であり、車両用表示装置100も縦中心面LMPに対して右に偏心した位置に、より厳密には縦中心面LMPより右に、配置されている。
【0020】
車両1の右方及び左方には、それぞれサイドウインドウ5a,5bが設けられている。車両用表示装置100が右に偏心しているので、車両用表示装置100に対して右のサイドウインドウ5aから太陽光等の外光が車両用表示装置100側に入射し易い。例えば、朝日や夕方の西日等、低い角度(0〜30度)からの光は、車両用表示装置100に入射し易い傾向がある。一方で、インストルメントパネル2の上面部が車両用表示装置100を上方から囲むように、車両用表示装置100よりもステアリング操作部4側に突出したフード2bを形成している。したがって、車両用表示装置100の一部(後述する側方部11)は、右のサイドウインドウ5aから入射した外光に対するフード2bの影となり易い。
【0021】
また車両1において、車両用表示装置100よりも左のセンタ部には、当該車両用表示装置100とは別の情報表示装置、オーディオ機器、空調操作パネル等のセンタ配置機器6が配置されている。
【0022】
図2〜3に示すように、車両用表示装置100は、指針50が指標31を指示することによるアナログ表示と、画像表示器20が表示する画像によるデジタル表示とを組み合わせたコンビネーションメータとなっている。これらアナログ表示及びデジタル表示は、装置中央において視認側に位置する乗員へ向けて情報を表示する中央表示部10にて実施される。
【0023】
表示される情報としては、例えば車両1の速度、エンジン回転数、燃料残量、エンジン冷却水の水温、電動モータの電流値、その他車両1の異常等の車両1の状態が挙げられる。その他表示される情報としては、例えば警報、道路情報、視界補助情報、電子メール等の各種情報が挙げられる。こうして表示される情報は、車両用表示装置100がステアリング操作部4に対して視認側とは反対側(以下、反視認側という)に配置されていることにより、中央表示部10は、基準アイポイント中心CSEから、主にステアリング操作部4の開口部4eを通じて表示する情報を視認され得る。
【0024】
ここで基準アイポイント中心CSEとは、各車両毎に設定された仮想の点であり、通常の運転状態における運転者の左目及び右眼の位置を代表する点である。基準アイポイント中心CSEは、一般的に、シーティングリファレンスポイントの直上635mmの高さに設定される。シーティングリファレンスポイントとは、人体模型をISO6549−1980に規定する着座方法により運転席等の座席に着座させた場合における人体模型H点(当該模型の股関節点)の位置又はこれに相当する座席上に設定した設計標準位置をいう。
【0025】
このような車両用表示装置100は、画像表示器20、表示板30、表示用光源部40、指針50、ウインドプレート60及び撮像装置70等により構成されている。
【0026】
本実施形態において、基準アイポイント中心CSEは、左眼アイレンジLERの中心と右眼アイレンジRERの中心との中点におよそ一致している。
【0027】
本実施形態において画像表示器20は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、TFT)を用いた透過型の液晶パネルであって、2次元方向に配列された複数の液晶画素から形成されたアクティブマトリクス型の液晶パネルが採用された液晶表示器となっている。なお、画像表示器20としては、液晶表示器以外の有機ELディスプレイ等が採用されてもよい。
【0028】
表示板30は、一般的に文字板とも呼ばれており、車両用表示装置100において、ウインドプレート60及びウインドプレート60の視認側開口部を塞ぐ透明板13に囲まれた空間に露出する露出部品である。表示板30は、例えばポリカーボネイト樹脂ないしはアクリル樹脂等の合成樹脂からなる透光性の基材の表面に、半透光性又は遮光性の印刷が部分的又は全体的に施されて、平板状に形成されている。なお、印刷に代えて、塗装が施されていてもよく、近赤外光を透過する光学樹脂又は光学フィルタ材が貼付等により表示板に保持されていてもよい。
【0029】
表示板30は、画像表示器20よりも視認側に配置されている。表示板30において画像表示器20と重なる箇所には、印刷等が施されないことにより、画像が表示板30と干渉せずに視認側に表示される。表示板30において、画像表示器20を挟んだ左右の領域には、指針50に指示される指標31がそれぞれ形成されている。表示板30の指標31は、表示用光源部40により、反視認側から照明される。
【0030】
表示用光源部40は、表示板30よりも反視認側に配置されており、可視表示光を発光する複数の表示用発光素子41を有している。各表示用発光素子41には、例えば発光ダイオード素子が採用されており、各表示用発光素子41は、平板状の基板15上の導通パターンを通じて電源と接続されることで、表示板30に向けて可視表示光を発光する。具体的に、表示用発光素子41は、例えば、可視表示光として、400〜800nm程度の波長の範囲に広く分布した光からなる白色光を発光する。
【0031】
表示板30には、上述の印刷等により、遮光領域及び表示領域が形成されている。遮光領域は、表示板30の多くの面積を占めており、遮光性の印刷等により暗色(例えば黒色)をなすことで、反視認側からの可視表示光を遮光している。表示領域は、半透光性の印刷が施されることないしは印刷が施されないことにより、反視認側からの可視表示光を透過するようになっており、指標31が表示領域に設定されていることにより、当該指標31が発光して表示されている。
【0032】
指針50は、画像表示器20を左右に挟むように、複数設けられている。特に本実施形態では、指針50が左右の領域に1つずつ設けられている。各指針50は、連結部51及び指示部52を一体的に有している。連結部51は、表示板30よりも反視認側に配置されており、基板15に保持されたステッピングモータ53の回転軸と連結されている。指示部52は、表示板30よりも視認側に配置されており、針状を呈していることで、指標31を指示可能となっている。
【0033】
各指針50は、ステッピングモータ53の出力に応じて回転軸まわりに回動するようになっており、それぞれ対応する指標31を指示することにより、指示位置に応じた情報を表示するようになっている。特に本実施形態では、左側の指針50及び指標31により、車両1の速度が表示され、右側の指針50及び指標31により、車両1のエンジン回転数が表示されるようになっている。
【0034】
本実施形態では、画像表示器20に加えて、指針50及び当該指針50に指示される指標31が、中央表示部10を構成している。表示板30の視認側表面が実質的に中央表示部10の表示面10aを構成している。
【0035】
ウインドプレート60は、見返し板とも呼ばれており、表示板30を囲むと共に、表示板30よりも視認側に突出するように、車両用表示装置100の外周に沿った筒状に形成されている。ウインドプレート60は、表面を暗色(例えば黒色)に形成されることで、車両用表示装置100の奥行感を演出し、入射してくる外光の反射を抑制して中央表示部10の視認性を高めつつも、それ自身は目立ち難くなっている。
【0036】
ウインドプレート60は、表示板30に対して略垂直に延伸して外周側を向く外周壁部61、及び視認側に向かう程、外周側の外周壁部61に近づくように傾斜して内周側を向く内周壁部62を有している。
【0037】
撮像装置70は、
図4にも示すように、カメラ71、画像処理部74、照明部80等により構成されている。
【0038】
カメラ71は、
図5に詳細を示すように、車両用表示装置100の側方部11に配置されている。ここで側方部11とは、車両用表示装置100のうち、中央表示部10に対して側方に位置する部分であり、中央表示部に対して右に位置する側方部11aと、左に位置する側方部11bとが一対設けられている。
【0039】
図1に示すように、車両用表示装置100が縦中心面LMPに対して右に偏心して設けられているので、一対の側方部11のうち側方部11aは、サイドウインドウ5aに対して、より近距離となっている。こうした側方部11aに、本実施形態のカメラ71は配置されている。
【0040】
図5に示すように、カメラ71は、基板15とは別のカメラ保持部材17により保持されている。カメラ71は、撮像素子72、及び撮像素子72上に撮影対象を結像するためのレンズ部73を有している。
【0041】
撮像素子72は、フォトダイオード等の検出素子による画素を2次元に配列して形成された矩形状の撮像面72aに入射する光を検出する。撮像素子としては、例えばCMOSセンサ等、可視光から近赤外光にかけて良好な感度を持ち、検出する像の解像度が高い素子が採用されている。
【0042】
レンズ部73は、1つないしは複数のレンズ73aにより構成されている。本実施形態において、レンズ73aにおいて光を屈折する各屈折面73bの曲率中心を結ぶ仮想軸が、光軸OAとして定義される。レンズ部73に非球面レンズが含まれる場合にも、各屈折面73bの回転対称軸により光軸OAが定義される。本実施形態では、光軸OAが撮像面72aに対して垂直に、撮像面72aの中心点を通過するように設定されている。
【0043】
特に本実施形態のカメラ71は、
図2に示すように、側方部11のうち、ウインドプレート60において外周壁部61と内周壁部62との間に形成され、外周壁部61及び内周壁部62により視認側から覆われている配置空間63に配置されている。そして、ウインドプレート60においてカメラ71のレンズ部73と対向する内周壁部62の対向領域には、プレート開口穴62aが開けられている。こうして、デッドスペースになりがちな配置空間63にカメラ71が配置されることにより、当該配置空間63が有効活用されている。
【0044】
カメラ71は、その光軸OA及び撮像面72aを、表示板30の視認側表面に対して傾斜して配置されている。具体的にカメラ71は、そのレンズ部73が車両用表示装置100の内周側(換言すると左側)を向くように傾斜している。なお、表示板30に対する撮像面72aの傾斜角は、表示板30に対する内周壁部62の傾斜角より小さく設定されている。
【0045】
そして、光軸OAを視認側に延長した仮想の延長線ELは、ステアリング操作部4の正位置における開口部4eを通過するように、設定されている。特に本実施形態では、延長線ELが基準アイポイント中心CSEを通るように、設定されている。
【0046】
この結果、カメラ71は、基準アイポイント中心CSE付近から開口部4eを通過した後、プレート開口穴62aを通過した光を撮像素子により検出可能となっている。換言すると、カメラ71は、開口部4eを通じて乗員を撮影可能となっている。
【0047】
さらに、
図6,7に示すように、正位置におけるステアリング操作部4の開口部4eの内部において、リム部4aと接続部4bとに対して等距離となる位置を結ぶ仮想の開口分割線ODLを定義する。すると、本実施形態のカメラ71は、基準アイポイント中心CSEと開口分割線ODL上の所定の点を結ぶ仮想直線ISLが側方部11と交差する位置に配置されている。
【0048】
図4に示す画像処理部74は、少なくとも1つのプロセッサ、メモリ、入出力インターフェース等を基板15上に実装した電子回路を主体として構築されている機能ブロックとして、実現されている。プロセッサは、入出力インターフェースを通じて入力された撮像素子72からの入力信号に基づいて、メモリに記憶されているコンピュータプログラムを実行することで、画像処理を実施可能となっている。この電子回路は、画像処理部74のために個別に設けられていてもよく、画像表示器20、指針50等を制御するための制御回路と共通化されていてもよい。
【0049】
具体的に画像処理部74は、撮像素子72から入力された信号により、画像データを生成する。生成された画像データは、そのまま車両1のECU(Electric Control Unit)等の車両用表示装置100の外部に出力され、当該ECUで解析されるようにしてもよいし、画像処理部74が画像データを解析し、運転者の居眠りやわき見の有無を判定するようにしてもよい。
【0050】
図4,6に示す照明部80は、カメラ71に撮影される乗員を照明光により照明する。照明部80は、車両用表示装置100のうち、カメラ71が配置された側方部11a以外に配置されている。具体的に本実施形態の照明部80は、中央表示部10において画像表示器20の近傍に配置されている。
【0051】
照明部80は、近赤外発光素子81及び照明制御部82を有している。近赤外発光素子81には、例えば発光ダイオードが採用されている。近赤外発光素子81は、表示板30よりも反視認側に配置されている。より詳細に近赤外発光素子81は、基板15の視認側表面に保持され、基板15上の導通パターンを通じて電源と接続されることで、照明光としての近赤外光を発光する。特に本実施形態では、例えば850nmにピーク波長を有し、半値幅が30〜40nm程度の波長特性を有する近赤外発光素子81が採用されている。
【0052】
照明制御部82は、少なくとも1つのプロセッサ、メモリ、入出力インターフェース等を基板15上に実装した電子回路を主体として構築されている機能ブロックとして、実現されている。この電子回路は、照明部80のために個別に設けられてもよく、画像処理部74を実現する電子回路と共有されてもよく、さらには、画像表示器20、指針50等を制御するための制御回路と共通化されていてもよい。
【0053】
照明制御部82は、車両1のイグニッションスイッチのオン及びオフ等に応じて、近赤外発光素子81の点灯及び消灯を制御し、近赤外発光素子81が点灯されている場合には、画像処理部74が生成した画像データの明度、コントラスト等に応じてその発光量を制御する。
【0054】
(作用効果)
以上説明した第1実施形態の作用効果を以下に改めて説明する。
【0055】
第1実施形態によると、カメラ71は、中央表示部10に対して側方に位置する側方部11に配置されている。このようなカメラ71の配置では、中央表示部10の表示に用いる各部品の配置に対して及ぼす影響が少ないので、中央表示部10の表示に制約が生じることを抑制できる。また、側方部11は、中央表示部10よりも乗員に視認される頻度が低く、また乗員が中央表示部10に誘目されるので、カメラ71の配置箇所が目立ち難くなる。以上により、乗員を撮影するカメラ71の配置による表示制約又は外観影響が少ない撮像装置70を提供することができる。
【0056】
また、第1実施形態によると、カメラ71は、光軸OAの延長線ELが正位置における開口部4eを通過するように、中央表示部10の表示面10aに対して傾斜して配置されている。このようにすると、カメラ71が中央表示部10に対して側方に位置する側方部11に配置されていても、撮影範囲FCがステアリング操作部4に遮られることを回避して確実に乗員を撮影可能にしつつ、カメラ71の配置を目立ち難くすることができる。
【0057】
また、第1実施形態によると、光軸OAの延長線ELは、車両1に設定された基準アイポイント中心CSEを通るように、設定されている。このようにすると、撮影範囲FCの中心に乗員の顔を位置させて撮影できる蓋然性を高めることができる。したがって、乗員を容易に撮影可能にしつつ、カメラ71の配置を目立ち難くすることができる。
【0058】
また、第1実施形態によると、カメラ71は、側方部11のうち、基準アイポイント中心CSEと開口分割線ODL上の点を結ぶ仮想直線ISLが交差する位置に配置されている。このようにすると、カメラ71の撮影範囲FCに対して、ステアリング操作部4のリム部4aに遮られる部分と、ステアリング操作部4の接続部4bに遮られる部分とのバランスを取ること、すなわち隠れてしまう範囲の均等化が可能となる。このため、基準アイポイント中心CSEに対し乗員が開口部4eからリム部4aの方向に少しずれた場合にも、また開口部4eから接続部4bの方向に少しずれた場合にも、乗員がステアリング操作部4に遮られることを回避して乗員を容易に撮影可能にしつつ、カメラ71の配置を目立ち難くすることができる。
【0059】
ここで、比較例1,2を用いてより詳細に説明する。
図8,9に示す比較例1では、中央表示部10のうち、画像表示器20よりも上にカメラ871が配置されている。この場合では、カメラ871が目立ち易くなるだけでなく、撮影範囲FCの上側の大半がステアリング操作部4のリム部4aに遮られてしまう。この結果、基準アイポイント中心CSEに対し乗員が上側にずれると、乗員の顔がリム部4aに遮られて撮影できなくなってしまうため、乗員の状態を判別することも困難となる。
【0060】
図10,11に示す比較例2では、中央表示部10のうち、画像表示器20よりも下にカメラ971が配置されている。この場合では、カメラ971が目立ち易くなるだけでなく、撮影範囲FCの下側の大半がステアリング操作部4の接続部4bに遮られてしまう。この結果、基準アイポイント中心CSEに対し乗員が下側にずれると、乗員の顔が接続部4bに遮られて撮影できなくなってしまうため、乗員の状態を判別することも困難となる。
【0061】
一方で本実施形態では、
図7に示すように、撮影範囲FCにおいて、ステアリング操作部4のリム部4aに遮られる部分と、ステアリング操作部4の接続部4bに遮られる部分とのバランスを取っていることにより、基準アイポイント中心CSEに対する乗員の上下ずれに対しても、撮影への悪影響を低減することができるのである。
【0062】
また、第1実施形態によると、撮像装置70は、車両用表示装置100のうちカメラ71が配置された側方部11a以外に配置され、照明光の照明により乗員を照明する照明部80をさらに備える。このように、カメラ71の配置位置と照明部80の配置位置とを離すことにより、照明光が反射されてカメラ71側に戻ってきたとしても、その反射光とカメラ71の光軸OAとの間に角度の差が生じる。したがって、例えば乗員の瞳孔又は着用している眼鏡等により照明光が反射されても、その反射光がカメラ71で検出されることによる悪影響(例えば、赤目、玉見え等により反射光が他の対象であると誤検出されてしまうこと)を抑制することができる。したがって、乗員を容易に撮影可能にしつつ、カメラ71の配置を目立ち難くすることができる。
【0063】
また、第1実施形態によると、カメラ71は、一対の側方部11のうち、車両1のサイドウインドウ5aに対してより近距離となる側方部11aに、配置されている。このような配置によると、サイドウインドウ5aから車両用表示装置100側へ向かって入射する光に対して、カメラ71が配置された側方部11aがフード2bの影となり易いので、外光のカメラ71への影響を抑制して乗員を容易に撮影可能にしつつ、カメラ71の配置を目立ち難くすることができる。
【0064】
また、第1実施形態によると、カメラ71は、中央表示部10に対して側方に位置する側方部11に配置されている。このようなカメラ71の配置では、中央表示部10の表示に用いる各部品の配置に対して及ぼす影響が少ないので、中央表示部10の表示に制約が生じることを抑制できる。また、側方部11は、中央表示部10よりも乗員に視認される頻度が低く、また乗員が中央表示部10に誘目されるので、カメラ71の配置箇所が目立ち難くなる。以上により、乗員を撮影するカメラ71の配置による表示制約又は外観影響が少ない車両用表示装置100を提供することができる。
【0065】
(第2実施形態)
図12に示すように、第2実施形態は第1実施形態の変形例である。第2実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
【0066】
第2実施形態の運転席3aも、車両1の縦中心面LMPに対して、右に偏心した位置に配置されている。したがって、第2実施形態の車両1も、いわゆる右ハンドル車であり、車両用表示装置100も縦中心面LMPに対して右に偏心した位置に配置されている。
【0067】
第2実施形態の車両1において、車両用表示装置100よりも左に位置し、縦中心面LMP近傍に構成されたセンタ部には、第1実施形態と同様のセンタ配置機器6が配置されている。こうした機器6を確認するための動作が生じ得るため、乗員としての運転者は、車両用表示装置100から左側を向く頻度及び時間が車両用表示装置100から右側を向く頻度及び時間よりも多い傾向がある。また、運転者が左側を向く角度も、右側を向く角度よりも大きい傾向がある。
【0068】
こうした傾向に対応して、第2実施形態の撮像装置270におけるカメラ271は、一対の側方部11のうち、縦中心面LMPに対してより近距離となる側方部11bに、配置されている。カメラ271は、その光軸OA及び撮像面72aを、表示板30の視認側表面に対して傾斜して配置されている。具体的にカメラ271は、そのレンズ部73が車両用表示装置100の内周側(換言すると右側)を向くように傾斜している。
【0069】
以上説明した第2実施形態によると、カメラ271は、一対の側方部11のうち、縦中心面LMPに対してより近距離となる側方部11bに、配置されている。運転者等の乗員には、車両1の縦中心面LMP側を向き易い傾向があるため、この傾向を利用して、運転者等の乗員と正対する位置にカメラ271が配置されることにより、当該乗員を正面に近い角度から撮影する機会が増加する。したがって、乗員を容易に撮影可能にしつつ、カメラ271の配置を目立ち難くすることができる。
【0070】
乗員を正面から撮影すると、乗員の居眠りやわき見等の状態の判別精度をより高めることができる。
【0071】
(他の実施形態)
以上、複数の実施形態について説明したが、開示は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0072】
具体的に変形例1としては、ウインドプレート60においてカメラ71のレンズ部73と対向する内周壁部62の対向領域に、開口穴62aが開けられていなくてもよい。この例として、対向領域が近赤外光透過領域に設定されていてもよい。近赤外光透過領域では、近赤外光の透過率が高く設定されていると共に、近赤外光よりも短波長の可視光の透過率が低く設定されている。この近赤外光透過領域を透過した近赤外光を撮像素子72により検出可能としつつ、視認側の乗員からカメラが明確に視認されないようにすることができる。
【0073】
変形例2としては、カメラ71は、側方部11に配置されていれば、ウインドプレート60の配置空間63ではなく、表示板30よりも反視認側に配置されていてもよい。
【0074】
変形例3としては、照明部80は、一対の側方部11のうち、カメラ71が配置されていない側方部に配置されていてもよい。
【0075】
変形例4としては、照明部80は、撮像装置70の一部を構成するものでなくてもよく、車両用表示装置100の内部に設けられていなくてもよい。
【0076】
変形例5としては、カメラ71は、基準アイポイント中心CSEと開口分割線ODL上の点を結ぶ仮想直線ISLと交差する位置からずれて配置されていてもよい。
【0077】
変形例6としては、カメラ71の光軸OAの延長線ELは、基準アイポイント中心CSEを通るように設定されていなくてもよい。
【0078】
変形例7としては、中央表示部10の少なくとも一部分は、ステアリング操作部4よりも外側において情報を表示してもよい。
【0079】
変形例8としては、中央表示部10に画像表示器20が設けられていなくてもよい。また、中央表示部10に指針50及び指標31が設けられていなくてもよい。中央表示部10として、様々な構成を採用することができる。
【0080】
変形例9としては、本開示は、運転席3aが車両1の縦中心面LMPに対して左に偏心したいわゆる左ハンドル車において、当該縦中心面LMPに対して左に偏心した位置に配置されている車両用表示装置100に対しても、適用可能である。