(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6617900
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】乗客コンベア
(51)【国際特許分類】
B66B 23/14 20060101AFI20191202BHJP
B66B 31/00 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
B66B23/14 Z
B66B31/00 F
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-234535(P2018-234535)
(22)【出願日】2018年12月14日
【審査請求日】2018年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【弁理士】
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(72)【発明者】
【氏名】山本 晃裕
【審査官】
羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−061966(JP,A)
【文献】
特開2003−341968(JP,A)
【文献】
特開2001−139272(JP,A)
【文献】
特開2005−225600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00−31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に走行する複数の踏段のそれぞれに回動自在に設けられた左右一対の前輪と、
前記各踏段に回動自在に設けられた左右一対の後輪と、
左右一対の前記前輪をそれぞれ連結する左右一対の無端の踏段チェーンと、
前記前輪が係合しつつ回転して、前記踏段の上下を反転させる駆動スプロケットと、
前記前輪が走行するための往路側の上前レールと、
前記後輪が走行するための往路側の上後レールと、
前記前輪が走行するための復路側の下前レールと、
前記後輪が走行するための復路側の下後レールと、
前記上後レールの上方に平行に設けられ、前記後輪の上部を押さえる押さえレールと、
前記上後レールと前記下後レールを接続する半円弧型の反転レールと、
を有し、
押さえレールの上面には、前記上前レールを支持する第1接続部材が立設され、
前記第1接続部材は、前記押さえレールに取り付けられる台座と、
前記台座から立設された支持板と、
前記支持板の上端部であって、前記台座と前後方向にずれた位置に設けられ、かつ、前記上前レールを載置するための載置板と、
を有し、
前記支持板の下面は前記載置板側から前記台座側に向かって下方に傾斜する第1傾斜面で構成されている、
乗客コンベア。
【請求項2】
前後方向に走行する複数の踏段のそれぞれに回動自在に設けられた左右一対の前輪と、
前記各踏段に回動自在に設けられた左右一対の後輪と、
左右一対の前記前輪をそれぞれ連結する左右一対の無端の踏段チェーンと、
前記前輪が係合しつつ回転して、前記踏段の上下を反転させる駆動スプロケットと、
前記前輪が走行するための往路側の上前レールと、
前記後輪が走行するための往路側の上後レールと、
前記前輪が走行するための復路側の下前レールと、
前記後輪が走行するための復路側の下後レールと、
前記上後レールの上方に沿って設けられ、前記後輪の上部を押さえる押さえレールと、
前記上後レールと前記下後レールを接続する半円弧型の反転レールと、
を有し、
前記押さえレールと前記反転レールを接続する第2接続部材と、前記反転レールと前記上後レールを接続する第4接続部材が設けられ、
前記第2接続部材は、前記押さえレールと前記反転レールを接続する接続板を含み、
前記接続板の後方側は前記押さえレールの縦板の先端部を、残りの前方側は、前記第2接続部材と前記第4接続部材を覆いつつ固定され、当該接続板の前方側の下面を下方に傾斜する第2傾斜面で構成されている、
乗客コンベア。
【請求項3】
前記上後レールと前記押さえレールとを接続する第3接続部材が設けられている、
請求項1又は2に記載の乗客コンベア。
【請求項4】
前記上後レールの先端と前記反転レールとを接続する第4接続部材が設けられている、
請求項1又は2に記載の乗客コンベア。
【請求項5】
前記上前レールの先端の上面は、先にいくほど下方に傾斜している、
請求項1又は2に記載の乗客コンベア。
【請求項6】
前記上前レールの先端は、左右方向の幅が細くなっている、
請求項1又は2に記載の乗客コンベア。
【請求項7】
前記乗客コンベアは、エスカレータ、又は、動く歩道である、
請求項1又は2に記載の乗客コンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗客コンベアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エスカレータや動く歩道などの乗客コンベアに用いられている踏段は、左右一対の踏段チェーンによって連結され、踏段が往路から復路へ反転する場合には、踏段チェーンによって連結された踏段の前輪が、回転する駆動スプロケットの係合凹部に係合して反転する。
【0003】
また、前輪が駆動スプロケットによって反転しているときは、後輪は半円弧型の反転レールに沿って反転している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−93782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように前輪と後輪の反転部分においては、前レール、後レール、反転レールを支持するための部材が多数使用されており、これら部材に踏段チェーンから垂れた潤滑油が付着する。この付着した潤滑油がさらに復路側の踏段に一度にたくさん垂れると、その垂れた油が付着した踏段が移動するときに乗客コンベア全体に油を飛散させるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は上記問題点に鑑み、前レール、後レール、反転レールなどを支える部材から復路側の踏段へ垂れる油を少なくする乗客コンベアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の実施形態は、前後方向に走行する
複数の踏段
のそれぞれに回動自在に設けられた左右一対の前輪と、前記各踏段に回動自在に設けられた左右一対の後輪と、左右一対の前記前輪をそれぞれ連結する左右一対の無端の踏段チェーンと、前記前輪が係合しつつ回転して、前記踏段の上下を反転させる駆動スプロケットと、前記前輪が走行するための往路側の上前レールと、前記後輪が走行するための往路側の上後レールと、前記前輪が走行するための復路側の下前レールと、前記後輪が走行するための復路側の下後レールと、前記上後レールの上方に平行に設けられ、前記後輪の上部を押さえる押さえレールと、前記上後レールと前記下後レールを接続する半円弧型の反転レールと、を有し、前記押さえレールの上面には、前記上前レールを支持する第1接続部材が立設され、
前記第1接続部材は、前記押さえレールに取り付けられる台座と、前記台座から立設された支持板と、前記支持板の上端部であって、前記台座と前後方向にずれた位置に設けられ、かつ、前記上前レールを載置するための載置板と、を有し、前記支持板の下面は前記載置板側から前記台座側に向かって下方に傾斜する第1傾斜面で構成されている、乗客コンベアである。
【0008】
本発明の第2の実施形態は、
前後方向に走行する複数の踏段
のそれぞれに回動自在に設けられた左右一対の前輪と、前記各踏段に回動自在に設けられた左右一対の後輪と、左右一対の前記前輪をそれぞれ連結する左右一対の無端の踏段チェーンと、前記前輪が係合しつつ回転して、前記踏段の上下を反転させる駆動スプロケットと、前記前輪が走行するための往路側の上前レールと、前記後輪が走行するための往路側の上後レールと、前記前輪が走行するための復路側の下前レールと、前記後輪が走行するための復路側の下後レールと、前記上後レールの上方に沿って設けられ、前記後輪の上部を押さえる押さえレールと、前記上後レールと前記下後レールを接続する半円弧型の反転レールと、を有し、前記押さえレールと前記反転レールを接続する第2接続部材
と、前記反転レールと前記上後レールを接続する第4接続部材が設けられ、前記第2接続部材は、前記押さえレールと前記反転レールを接続する接続板を含み、前記接続板の後方側は前記押さえレールの縦板の先端部を、残りの前方側は、前記第2接続部材と前記第4接続部材を覆いつつ固定され、当該接続板の前方側の下面を下方に傾斜する第2傾斜面で構成されている、乗客コンベアである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態を示すエスカレータの側面説明図。
【
図2】駆動スプロケットにおける踏段が反転する状態を示す側面図。
【
図3】上前レール、上後レール、押さえレール、反転レールを接続する構造の左側面図。
【
図4】上前レール、上後レール、押さえレール、反転レールを接続する構造を右側から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態のエスカレータ10に関して
図1〜
図4に基づいて説明する。
【0011】
(1)エスカレータ10
エスカレータ10の構造について、
図1に基づいて説明する。
図1はエスカレータ10を側面から見た説明図である。
【0012】
エスカレータ10のトラス12が、建屋1の上階と下階に跨がって支持アングル2,3を用いて支持されている。
【0013】
トラス12の上端部にある上階側の機械室14内部には、駆動装置18が設けられている。この駆動装置18は、誘導電動機(インダクションモータ)よりなるモータ20と、減速機、駆動スプロケット24を有する。駆動スプロケット24には、連結スプロケット80が同軸に固定され、駆動装置18にある減速機の出力軸と連結した連結チェーン22が架け渡されている。これによりモータ20が回転すると、減速機の出力軸が回転し、連結チェーン22によって連結スプロケット80と駆動スプロケット24が同時に回転する。上階側の機械室14内部の端部には、制御装置50が設けられている。
【0014】
トラス12の下端部にある下階側の機械室16内部には、従動スプロケット26が設けられ、駆動スプロケット24と従動スプロケット26との間に左右一対の無端の踏段チェーン28,28が架け渡され、左右一対の踏段チェーン28,28には複数の踏段30が等間隔で取り付けられ、踏段30の前輪301が前レール60(
図2参照)を走行し、後輪302が後レール62を走行する。
【0015】
トラス12の左右両側には、左右一対の欄干36,36が立設されている。この欄干36の上部を手摺りベルト38が踏段30と同期して移動する。欄干36の上階側の正面下部には上階側の正面スカートガード40が設けられ、下階側の正面下部には下階側の正面スカートガード42が設けられ、正面スカートガード40,42から、手摺りベルト38の出入口であるインレット部46,48が突出している。
【0016】
上階側の機械室14の天井面の乗降口には上階側の乗降板32が設けられ、乗降板32の先端には櫛歯上のコム33が設けられ、下階側の機械室16の天井面の乗降口には下階側の乗降板34が設けられ、乗降板34の先端には櫛歯上のコム35が設けられている。
【0017】
欄干36の側面下部には、スカートガード44が設けられている。スカートガード44の内側面には、操作盤52,56、スピーカ54,58が上下階にそれぞれ設けられている。
【0018】
トラス12の底面には、踏段チェーン28などから垂れた潤滑油を受ける油受け板78が設けられている。
【0019】
(2)駆動スプロケット24
次に、駆動スプロケット24について
図2を参照して説明する。機械室14の内部には、左右一対の駆動スプロケット24の駆動軸241が不図示のトラス12に回転自在に水平に取り付けられている。駆動スプロケット24の外周部には、歯部242が一定の間隔毎に突出し、隣接する歯部242,242の間には係合凹部243が形成されている。
【0020】
(3)踏段30
踏段30について
図2を参照して説明する。踏段30は、
図2に示すように、両側部が三角形状のフレーム303の上面にクリート面304が設けられ、後面にはライザ面305が設けられ、フレーム303とクリート面304とライザ面305とは、例えばアルミダイキャストにより一体に形成されている。踏段30の前端部には、前輪301,301が設けられている。踏段30のフレーム303の後端部の下部には、左右一対の後輪302,302が回転自在に取り付けられている。踏段チェーン28は、複数の一対のプレート281、プレート281の両端部に設けられた前輪301と補助輪282を有している。
【0021】
(4)前レール60、後レール62
前レール60、後レール62について
図1〜
図4を参照して説明する。
【0022】
左右一対の後輪302,302が走行する後レール62は、
図2に示すように、トラス12の長手方向に沿って設けられ、往路用の上後レール621と復路側の下後レール622とを有し、駆動スプロケット24と従動スプロケット26の位置には、
図1に示すように、踏段30を上下反転させるための半円弧型の反転レール64と反転レール66が配置されている。反転レール64,66は、駆動軸241、従動軸261をそれぞれ囲むように形成されている。
【0023】
前輪301が走行する前レール60は、
図2に示すように、トラス12の前後方向に沿って設けられ、往路用の上前レール601と復路用の下前レール602とを有する。
【0024】
上前レール601は、
図4に示すように、前輪301が走行する断面四角筒の前レール本体603と、この前レール本体603の上面端部から上方に立設され、前輪301の脱輪を防止するための防護壁604とを有している。前レール本体603と防護壁604とは、金属板を折曲して形成されている。下前レール602も同様の構造を有している。
【0025】
上前レール601の上階側の先端、すなわち駆動スプロケット24の上方に位置している部分には、直線状の上前先端レール(以下、単に「先端レール」という)605が延設されている。先端レール605は、前輪301を駆動スプロケット24の係合凹部243に嵌まるように案内するものであり、先端の上面が先に行くほど下方に傾斜している。また、この先端レール605の幅は、上前レール601の約半分と細くなっている。これは、駆動スプロケット24の歯部242と接触しないためである。先端レール605の四角筒であり、金属板を折曲して形成されている。先端レール605と前レール本体603とは、下面に設けられた板状の前レール接続板606によって接続されている。前レール接続板606は、上前レール601とボルト607によって固定され、先端レール605とは溶接で固定され、一体として上前レールを構成している。
【0026】
上後レール621は、四角筒の上後レール本体623と、上後レール本体623の上面端部から立設された防護壁624を有している。上後レール本体623と防護壁624とは、金属板を折曲して形成されている。下後レール622も同様の構成を有している。
【0027】
上後レール621の上方には、押さえレール68が設けられている。この押さえレール68は、断面L字型であり、金属板を折曲したものであり、横板681と、横板681から縦板682が下方に形成されている。後輪302は、上後レール621の上後レール本体623の上面を走行すると共に、後輪302の上部は押さえレール68の横板681によって上方への移動が規制されている。
【0028】
反転レール64は、半円板641の内周に内周板642が形成され、外周には外周板643が形成されている。内周板642は、上後レール本体623の上面から連続して形成されるものであり、外周板643は、押さえレール68の横板681と連続して形成されるものである。そして、後輪302は、内周板642と外周板643の間を走行する。
【0029】
(5)各レールの接続構造
次に、上前レール601、上後レール621、押さえレール68、反転レール64の接続構造について
図3と
図4を参照して説明する。なお、上前レール601、上後レール621、押さえレール68、反転レール64は、左右一対存在するが、右側の接続構造のみ説明する。左側は、右側の接続構造と左右対称である。また、
図4では、ボルトの記載は省略している。
【0030】
(5−1)第1接続部材72
次に、先端レール605と押さえレール68とを接続する第1接続部材72について
図3と
図4を参照して説明する。
【0031】
第1接続部材72は、
図3と
図4に示すように、金属板を折曲したものであり、台座721と、台座721の端部から上方に折曲された支持板722と、支持板722の上端部から折曲され、かつ、台座721と前後方向にずれた位置に設けられた載置板723とを有している。そして、台座721と載置板723とがずれた位置に設けられているため、支持板722は長方形に形成される。この長方形に形成されている支持板722の下面であって、台座721以外の部分は、傾斜面724が形成されている。この傾斜面724は、台座721から載置板723に向かうほど縦方向の寸法が小さくなっている。傾斜面724の傾斜角θ°は、3°〜8°である。
【0032】
台座721は、押さえレール68の横板681にボルト725で固定され、載置板723は、先端レール605の下面にボルト726で固定されている。第1接続部材72によって、押さえレール68と先端レール605及び上前レール601が固定される。そして、傾斜面724を有しているため、潤滑油が支持板722の下辺に溜まることがない。
【0033】
(5−2)第2接続部材76
次に、押さえレール68と反転レール64とを接続する第2接続部材76について
図3と
図4を参照して説明する。
【0034】
第2接続部材76は、
図3と
図4に示すように、金属板を断面L字型に折曲した当接部材761と、この当接部材761の外面に設けられた長方形の板よりなる接続板762とよりなる。
【0035】
断面L字型の当接部材761は、縦板761aと横板761bとを有し、縦板761aは半円板641にボルト763で固定され、横板761bは反転レール64の外周板643に固定されている。
【0036】
長方形の接続板762の半分は、押さえレール68の縦板682の先端部に固定され、残りの半分は当接部材761の縦板761aと後から説明する上分割板741の縦板741aを介してボルト763で固定されている。そして、接続板762の下辺は、傾斜面764が形成されている。この傾斜面764は、反転レール64から押さえレール68に行くほど、接続板762の縦方向の寸法が大きくなるように形成されている。傾斜面764の傾斜角は、3°〜8°である。
【0037】
この第2接続部材76によって、押さえレール68と反転レール64が接続される。また、傾斜面764が傾斜しているため、この部分に沿って潤滑油が下方に流れ、接続板762の下辺に油が溜まることがない。
【0038】
(5−3)第3接続部材70
上後レール621の右側面と押さえレール68の縦板682とを接続する第3接続部材70について
図3と
図4を参照して説明する。
【0039】
第3接続部材70は、
図3と
図4に示すように、長方形の縦板701と、断面L字型の下保持部材702とより形成されている。縦板701は、上後レール621の上後レール本体623の右側面と押さえレール68の縦板682とを接続する。断面L字型の下保持部材702の縦部分702aが、縦板701にボルト703に固定され、横板分702bが上後レール本体623の下面にボルト704によって固定されている。この第3接続部材70によって、押さえレール68と上後レール621とは所定間隔を開けて平行に固定される。なお、第3接続部材70は、上後レール621の右側面と押さえレール68に一定間隔毎に複数個設けられている。
【0040】
(5−4)第4接続部材74
次に、反転レール64と上後レール621を接続する第4接続部材74について
図3と
図4を参照して説明する。
【0041】
第4接続部材74は、
図3と
図4に示すように、金属板を断面L字型に折曲した上分割板741と、金属板を断面L字型に折曲した下分割板742を有する。
【0042】
上分割板741は、縦板741aと横板741bを有している。縦板741aは半円板641の右側面に固定され、横板741bは、反転レール64の上端部にある内周板642に固定されている。また、縦板741aの上部分は、接続板762で覆われている。
【0043】
下分割板742は、縦板742aと、横板742bと、縦板742aから延設された延設部743を有している。横板742bは、上分割板741の下方にボルト744で内周板642に固定され、延設部743は、上後レール621の上後レール本体623の右側面に固定されている。
【0044】
(6)効果
本実施形態によれば、第1接続部材72の支持板722の下辺に傾斜面724が形成されているため、踏段30の踏段チェーン28から潤滑油が垂れても、傾斜しているこの部分に潤滑油が溜まることがなく、下方に順番に流れていき、復路の踏段30に大量の潤滑油が付着しない。
【0045】
また、押さえレール68と反転レール64を接続する第2接続部材76の接続板762の下辺に傾斜面764が形成されているため、踏段チェーン28から垂れた潤滑油が接続板762の下辺に溜まることがなく順番に流れていき、大量の潤滑油が復路の踏段30に大量に付着しない。
【0046】
また、第4接続部材74の上分割板741の縦板741aの上部分は、接続板762で覆われているので、縦板741aの上辺に油が付着しない。
【0047】
(7)変更例
上記実施形態では、上後レール621と押さえレール68は第3接続部材70によって接続したが、他の構造の接続構造であってもよい。
【0048】
また、上記実施形態では上後レール621と反転レール64とは第4接続部材74によって接続したが、これ以外の接続構造であってもよい。
【0049】
上記実施形態では、エスカレータ10の踏段30に適応して説明したが、これに代えて動く歩道の踏段(「ステップ」とも呼ぶ)に適応してもよい。
【0050】
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
10・・・エスカレータ、24・・・駆動スプロケット、28・・・踏段チェーン、30・・・踏段、60・・・前レール、62・・・後レール、64・・・反転レール、68・・・押さえレール、70・・・第3接続部材、72・・・第1接続部材、74・・・第4接続部材、76・・・第2接続部材、301・・・前輪、302・・・後輪、724・・・傾斜面、764・・・傾斜面
【要約】
【課題】前レール、後レール、反転レールなどを支える部材から復路側の踏段へ垂れる油を少なくする乗客コンベアを提供する。
【解決手段】前輪301が走行するための往路側の上前レール601と、後輪302が走行するための往路側の上後レール621とを有し、上後レール621の上方にある押さえレール68の上面には、上前レール601の先端部を支持する第1接続部材72が立設され、第1接続部材72の下部には、油が下方に流れるようにするための傾斜面724が形成されている。
【選択図】
図4