特許第6618054号(P6618054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6618054内部に含有する材料を加熱または冷却する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6618054
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】内部に含有する材料を加熱または冷却する装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 47/00 20060101AFI20191202BHJP
   A61M 15/06 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   A24F47/00
   A61M15/06 A
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-575543(P2016-575543)
(86)(22)【出願日】2015年6月26日
(65)【公表番号】特表2017-522017(P2017-522017A)
(43)【公表日】2017年8月10日
(86)【国際出願番号】EP2015064595
(87)【国際公開番号】WO2015197852
(87)【国際公開日】20151230
【審査請求日】2017年2月20日
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2014/063785
(32)【優先日】2014年6月27日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】1500582.0
(32)【優先日】2015年1月14日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500252844
【氏名又は名称】ブリティッシュ アメリカン タバコ (インヴェストメンツ) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BRITISH AMERICAN TOBACCO (INVESTMENTS) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ブレレトン、サイモン
(72)【発明者】
【氏名】プルーズ、グラハム
(72)【発明者】
【氏名】フォスター、マーク
(72)【発明者】
【氏名】パイク、リチャード
【審査官】 岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−063776(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102013002555(DE,A1)
【文献】 特開昭61−202088(JP,A)
【文献】 特表2011−525366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置のユーザによる吸引のためにエアロゾル発生材の少なくとも1つの成分を揮発させるようにエアロゾル発生材を加熱するための装置であって、この装置は、
加熱される材料を収容する第1コンパートメントと、
相変化物質を含み、この相変化物質は相変化する際に第1コンパートメントを加熱するための熱を発生させるためのものである第2コンパートメントと、
相変化活性化媒介とこの相変化活性化媒介を相変化物質から隔てるバリアとを含む活性化装置とを含み、作動させた際に活性化装置がバリアを破裂させ、これにより相変化物質の相変化を行うために相変化活性化媒介が相変化物質と接触することができるようにし、バリアは破裂した後再度封止するように構成されている装置。
【請求項2】
前記バリアは破裂した後、弾性的に再封止可能であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記活性化装置はこれを作動させた際にバリアを挿通するための1つ以上の尖った突起を含むことを特徴とする請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記活性化装置は第2コンパートメントに取り付けられた可撓性の中空の胴体と、前記1つ以上の鋭い突起と活性化媒介とを含み、活性化装置は1つ以上の尖った突起がバリアを破裂させるように可撓性の中空の胴体を押すことによって操作されるように構成されていることを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記1つ以上の尖った突起が活性化媒介である、および/または活性化媒介を支持することを特徴とする請求項3または4記載の装置。
【請求項6】
前記バリアは活性化装置を第2コンパートメントに接着するための接着剤層を含むことを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記活性化装置は、第2コンパートメントの開口部に位置合わせされた開口部を含み、バリアはこれら開口部の両方を封止することを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の装置。
【請求項8】
第1管と第2管とをさらに含み、第2の管は第1の管内に同軸に配され、第1の管は第1コンパートメントを画定し、第1および第2の管は、それらの間で第2コンパートメントを画定していることを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項記載の装置。
【請求項9】
相変化物質が第1コンパートメントを加熱するための熱を発生させるためのものであり、第1コンパートメントは加熱された際にエアロゾルを発生さするための材料を含み、前記はさらに第1コンパートメントと流体連通するマウスピースを含み、これを介してユーザーは材料が加熱された際に材料によって発せられるエアロゾルを吸引できることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
加熱された際にエアロゾルを発生させるための前記材料はタバコまたはタバコベースの製品を含むことを特徴とする請求項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は材料を加熱または冷却するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内部に含まれる材料を加熱するために活性化することができる内部加熱面を含む、または内部に含まれる材料を冷却するために活性化することができる内部ヒートシンクを含む種々の容器またはパッケージが知られている。
【0003】
例えば、食料または飲料用容器またはパッケージユーザーが屋外にいて家庭電化製品、例えば調理器具、冷蔵庫など家で通常食べ物または飲み物を加熱したり冷却したりするものを利用できない場合に容器内の食べ物または飲み物を加熱または冷却する熱源またはヒートシンクを含んでもよい。
【0004】
紙巻きタバコ、シガーなどの喫煙品は使用時にタバコを燃やし、煙を発生させる。実際に燃焼させず、従って煙を出さずに化合物を放出する製品がこれら喫煙品に代わるものとして提供されている。そのような製品としては、所謂「タバコ加熱装置」、「タバコ加熱製品」または「加熱するが燃焼させない」製品などがあり、これはらエアロゾル発生材を燃焼させずに加熱して化合物を放出するものである。エアロゾル発生材は、例えばタバコまたはニコチンを含むまたは含まない他の非タバコ製品であってもよい。このような装置では信頼できかつ安定して要求に応じてエアロゾル発生材を加熱するように始動させることができる熱源が必要とされる。
【発明の概要】
【0005】
本明細書中で説明する一部の実施態様では、加熱されるまたは冷却される材料を加熱または冷却するための装置が提供され、この装置は加熱されるまたは冷却される材料を収容する第1コンパートメントと、相変化物質を含み、この相変化物質は相変化する際に第1コンパートメントを加熱するための熱を発生させるためまたは第1コンパートメントを冷却するために熱を吸収するためのものである第2コンパートメントと、相変化活性化媒介とこの相変化活性化媒介を相変化物質から隔てるバリアとを含む活性化装置とを含み、活性化装置を作動させることでバリアを破裂させ、これにより相変化物質の相変化を行うために相変化活性化媒介が相変化物質と接触することができるようにし、バリアは破裂した後再度封止するように構成されている。
【0006】
本明細書中で説明する一部の実施態様では、加熱されるまたは冷却される材料を加熱または冷却するための装置が提供され、この装置は加熱されるまたは冷却される材料を収容する第1コンパートメントと、相変化物質を含み、この相変化物質は相変化する際に第1コンパートメントを加熱するための熱を発生させるためまたは第1コンパートメントを冷却するために熱を吸収するためのものである第2コンパートメントと、相変化物質に含まれる1つ以上のカプセルを含み、これら1つ以上のカプセルがそれぞれ相変化活性化媒介をカプセル化している活性化装置とを含み、1つ以上のカプセルの内の少なくとも一部は、相変化活性化媒介を相変化物質に晒して相変化物質の相変化を活性化するためにカプセルに力が加えられた場合に破裂可能である。
【0007】
本明細書中で説明する一部の実施態様では、加熱されるまたは冷却される材料を加熱または冷却するための装置が提供され、この装置は、加熱されるまたは冷却される材料を収容する第1コンパートメントと、相変化物質を含み、この相変化物質は相変化する際に第1コンパートメントを加熱するための熱を発生させるためまたは第1コンパートメントを冷却するために熱を吸収するためのものである第2コンパートメントと、相変化物質の相変化を活性化するために電荷および/または電流を発生させ相変化物質に晒すための電荷および/または電流発生器を含む活性化装置とを含む。
【0008】
本明細書中で説明する一部の実施態様では、加熱されるまたは冷却される材料を加熱または冷却するための装置が提供され、この装置は、加熱されるまたは冷却される材料を収容する第1コンパートメントと、液体相変化物質を含み、その相変化物質は液相から固相へと相変化する際に第1コンパートメントを加熱するために熱を発生させるためまたは第1コンパートメントを冷却するために熱を吸収するためのものである第2コンパートメントと、液体相変化物質の相変化を誘発するために相変化物質にせん断を生じさせる手段を含む活性化装置とを含む。
【0009】
本明細書中で説明する一部の実施態様では、加熱されるまたは冷却される材料を加熱または冷却するための装置が提供され、この装置は、加熱されるまたは冷却される材料を収容する第1コンパートメントと、相変化物質を含み、その相変化物質は液相から固相へと相変化する際に第1コンパートメントを加熱するために熱を発生させるためまたは第1コンパートメントを冷却するために熱を吸収するためのものである第2コンパートメントと、相変化物質の相変化を誘発するための活性化媒介を含むハウジングを含む活性化装置とを含み、ハウジングは閉じた構成および開いた構成に構成可能であり、ハウジングが閉じた構成にあるとき、活性化媒介は相変化物質と接触できず、ハウジングが開いた構成にあるとき、活性化媒介は相変化物質と接触することができ、活性化装置の少なくとも1つの部材がハウジングを第1および第2の構成に構成するために第1および第2の位置で可動である。
【0010】
本明細書中で説明する一部の実施態様では、加熱されるまたは冷却される材料を加熱または冷却するための装置が提供され、この装置は、加熱されるまたは冷却される材料を収容する第1コンパートメントと、相変化物質を含み、この相変化物質は相変化する際に第1コンパートメントを加熱するための熱を発生させるためまたは第1コンパートメントを冷却するために熱を吸収するためのものである第2コンパートメントと、相変化物質の相変化を活性化するために相変化物質の1つ以上の領域に局所的な冷却を生じさせるための手段を含む活性化装置とを含む。
【0011】
本明細書中で説明する一部の実施態様では、加熱されるまたは冷却される材料を加熱または冷却するための装置が提供され、この装置は、加熱されるまたは冷却される材料を収容する第1コンパートメントと、相変化物質を含み、この相変化物質は相変化する際に第1コンパートメントを加熱するための熱を発生させるためまたは第1コンパートメントを冷却するために熱を吸収するためのものである第2コンパートメントと、相変化物質の相変化を起こすために相変化物質の1つ以上の領域に局所的な冷却を生じさせるための手段を含む活性化装置とを含む。
【0012】
本明細書中で説明する一部の実施態様では、加熱されるまたは冷却される材料を加熱または冷却するための装置が提供され、この装置は、加熱されるまたは冷却される材料を収容する第1コンパートメントと、相変化物質を含み、この相変化物質は相変化する際に第1コンパートメントを加熱するための熱を発生させるためまたは第1コンパートメントを冷却するために熱を吸収するためのものである第2コンパートメントと、相変化物質の相変化を活性化するために相変化物質に振動を発生させる手段を含む活性化装置とを含む。
【0013】
本明細書中で説明する一部の実施態様では、加熱されるまたは冷却される材料を加熱または冷却するための装置が提供され、この装置は、加熱されるまたは冷却される材料を収容する第1コンパートメントと、液体相変化物質を含み、その相変化物質は液相から固相へと相変化する際に第1コンパートメントを加熱するために熱を発生させるためまたは第1コンパートメントを冷却するために熱を吸収するためのものである第2コンパートメントと、第2コンパートメント内の液体相変化物質内に延び、相変化物質の相変化を開始するために振動することができる部材を含む活性化装置とを含む。
【0014】
添付図面を参照して本発明の実施態様をあくまで例示を目的として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】エアロゾル発生材を加熱するための装置の例の横断面図である。
図2図1の装置の斜視図である。
図3図1の装置の部品の一部の斜視図である。
図4図1の装置の部品の一部の切り欠き斜視図である。
図5】活性化装置の分解図である。
図6】別の活性化装置の分解図である。
図7】別の例のエアロゾル発生材を加熱するための装置の側部断面図である。
図8図7に示した装置の活性化装置に使用するカプセルの略式断面図である。
図9】別の例のエアロゾル発生材を加熱するための装置の側部断面図である。
図10】別の例のエアロゾル発生材を加熱するための装置の側部断面図である。
図11a】第1の配置にある活性化装置を有するエアロゾル発生材を加熱するための装置の別の例の側部断面図である。
図11b】第2の配置にある活性化装置を有する図11bに示した装置の側部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書中で使用する「エアロゾル発生材」なる用語は加熱すると揮発成分を供する材料を含む。「エアロゾル発生材」はあらゆるタバコ含有材を含み、例えばタバコ、タバコ抽出物含むタバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品の内の1つ以上を含んでもよい。また「エアロゾル発生材」は、製品によってはニコチンを含んでもよい、また含まない例えば風味剤を含む他の非タバコ製品を含んでもよい。
【0017】
図1〜5を参照するとエアロゾル発生材の少なくとも1つの成分を揮発させるためにエアロゾル発生材を加熱するように構成された装置1の例が示されている。装置1は所謂「タバコ加熱製品(”Tobacco Heating Product”)」(THP)と言われる装置1である。
【0018】
この例の装置1はほぼ長尺形状であり、外方ハウジング3と内方管5とを含む。外方ハウジング3は外方管7とマウスピース9と端部キャップ11とを含む。図3に最も分かりやすく示すように外方管7は、長尺の中央部7aとその両端部に配置された前部7bと後部7cとを含む。前部7bと後部7cは、両方とも中央部7aより僅かに細く、そしてマウスピース9は前部7aに嵌められ、端部キャップ11が後部7cに嵌められ、外方ハウジング3を完成させるように構成されている。前部7bと後部7cは1つ以上のノッチ302を含み、このノッチはこれらの部品を所定の位置に保持するのを補助するためにマウスピース9と端部キャップ11の内側に好適に位置する相補的な形状の構造物(図示せず)に係合する。
【0019】
内方管5は外方管7の内側にほぼ同心で同軸に配置されている。図3に最も分かりやすく示すように内方管5は外方管7の前部7bおよび後部7cそれぞれから僅かな距離だけ延びた前方端部5aと後方端部5bとを含む。外方管7の前部7bと後部7cは、なんらかの好適な方法で、例えば、ヒートシールによって内方管5の前方端部5aと後方端部5bの領域で内方管5の外面に対して封止されている。このようにして外方管7は両端が閉じられ、これに対し内方管5は両端が開いている。
【0020】
装置1はあらゆる好適な1つ以上の材料を含んでもよく、例えば、内方管5、外方管7、マウスピース9 および 端部キャップ11は、それぞれなんらかの好適なプラスチックまたは金属材料を含んでもよい。マウスピース9(またはマウスピース9の少なくとも先端)は、例えばシリコンラバーのような唇に心地よく感じられる材料を含んでもよい。
【0021】
特に図1の断面図を参照すると、内方管5の内部は加熱して揮発させるエアロゾル発生材15(破線で示す)を収容するための加熱チェンバー13として作用する。加熱チェンバー13はマウスピース9と端部キャップ11と流体連通する。
【0022】
外方管7と内方管5によって画定される略円形の領域は、加熱チェンバー13を加熱し、その結果加熱チェンバーに含まれるエアロゾル発生材15を加熱するために熱を発生させるように活性化される熱源材料19を含む熱源チェンバーとして機能する。
【0023】
熱源材料19は相変化物質(PCM)であり、これは活性化されるまたは誘発されて相変化する際に熱を発する。
【0024】
一部の例では熱源材料は固相(例えば結晶)相へと相変化する際に熱を発生させる液体材料である。
【0025】
一部の例では熱源材料19は水和塩PCMである。好適な水和塩は酢酸ナトリウム三水和物、水酸化ナトリウム一水和物、水酸化バリウム八水和物、硝酸マグネシウム六水和物および塩化マグネシウム六水和物などである。酢酸ナトリウム三水和物は、例えば、室温で安定しており、無害である。酢酸ナトリウム三水和物の液体から固体への相変化は、安定しており、種々の方法で素早く開始させることができる。
【0026】
図1〜5の例では装置1は外方管7の外側に位置し、相変化物質19の相変化を誘発または始動させるために装置1のユーザーによって手動で操作可能な活性化装置21(図3では分かりやすくするために示していない)を含む。従って使用の際、ユーザーが活性化装置21を操作して相変化物質19の相変化を誘発すると、相変化物質19が相変化する際に相変化物質19によって放出される熱が加熱チェンバー13に含まれるエアロゾル発生材15を加熱する。この熱はエアロゾル発生材15を揮発させ、エアロゾル発生材を燃焼または熱分解させずにエアロゾルおよび/または気体または蒸気を発生させる。
【0027】
ユーザーがマウスピース9で吸引すると、空気が端部キャップ11に形成された1つ以上の空気入り口23を介して加熱チェンバー13内に引き込まれ、引き込まれた空気とエアロゾルおよび/または気体または蒸気の混合物が加熱チェンバー13を通過し、ユーザーの吸引のためのマウスピース9に入る。
【0028】
ここで特に図4および5を参照すると、一例において活性化装置21は、例えばドーム型であり、閉端27と、これに対向する開口端29と閉端27から開口端29へと延び、周縁リップ部31aで終結している側壁31とを含む可撓性の中空キャップ25を含む。活性化装置21は中空キャップ25の内部に配置された挿通手段33をさらに含む。この例では挿通手段33は、閉端27の下側に例えば糊付けして固定される略閉端な基部35とこの基部35から下方に延びた1つ以上の鋭い構造物37(この例では3つ示されている)を含む。この例では活性化装置21は、キャップ25の開放端29を閉じる破壊可能なバリア38をさらに含む。図5に例示するように破壊可能なバリア38は、少なくとも第1の層39とこの第1の層39の上に位置する第2の層41とを含む。第1の層39は接着剤層であり、これは活性化装置が中央部7aの壁を貫通して延びて、熱源チェンバー17に開口した開口部を覆う位置で外方管7の中央部7aの外側に活性化装置21を貼り付けるために使用される接着剤層である。第2の層41は、以下に詳しく説明するように挿通手段33によって破壊された後に再封止することができる可撓性層である。
【0029】
活性化装置21を操作するためにユーザーはキャップ25の閉端27を押して、キャップ25をバリア38の方に撓ませ、よって挿通手段33が第1の層39と第2の層41を破壊し、これにより構造物37の少なくとも先端が熱源チェンバー17に入り、熱源材料19と接触する。このようにして熱源材料19と接触する挿通手段33の部分は、熱源材料19の相変化を開始する不均一核形成領域として機能する。既知の通り、核生成は相変化物質の液体から固体への相変化を開始させるプロセスであり、不均一核形成において、不溶性の異物、この場合には挿通手段33が液体相変化物質の第1イオンまたは分子が急速にさらなるイオンまたは分子を引き寄せて固体結晶を形成しつつ付着し、配向される際の中心として機能する。
【0030】
キャップ25をゆるめて撓んでいない状態に戻すと、挿通手段33が熱源チェンバー17からそして第1の層39および第2の層41を通って戻り、引き抜かれる。上述の通り、第2の層は破かれた後、挿通手段33がそれを介して戻るとそれ自体を再度封止することができる。例えば、第2の層41は、破かれた後第2の層41を再封止させる弾力性を有する弾性材を含んでもよい。第2の層41は、例えばゴム隔膜の形体であってもよい。
【0031】
従って、第2の層41は自己封止するので、装置1を複数回使用することができる。各使用後にユーザーは、例えば相変化物質の相を固体から液体に戻るように変化させるために装置1をぬるい湯または熱い湯に浸すことによって相変化物質の相変化を元に戻すことができ、そして必要であれば加熱チェンバー13に含まれているエアロゾル発生材15を再充填することができる。その後、装置1を再使用する準備が整う。
【0032】
一部の例ではユーザーが活性化装置21を操作している際にユーザーがキャップ26を押している親指または他の指を離すと、キャップ25の弾力性によって挿通手段33を熱源チェンバー17から後退させ、相変化物質19によって邪魔されずにバリア38から自由になることが想定される。
【0033】
キャップ25はなんらかの好適な材料、例えば、熱可塑性物質、例えば、形成されたナイロンで作製してもよい。
【0034】
挿通手段33は、金属、合金およびプラスチックなどの好適な材料またはこれら材料を組み合わせたものから形成することができる。1つの例では挿通手段33は高炭素鋼を含む。2つ以上の鋭い構造物37があるのが好ましく、これによりキャップ25に挿通手段33を正確に配向する必要がなくなり、バリア38が活性化装置21を操作した際に上手く破けやすくなる。
【0035】
自己封止層41はあらゆる好適な弾性材を含んでもよい。自己封止層41は2つ以上の副層を含んでもよく、その内の少なくとも1つは好適な弾性材である。1つの例では弾性材は熱可塑性物質、例えばシリコーンおよび/またはラバー系コポリマーを含む。
【0036】
一部の例では図6に例示するように バリア38は再封止層41ではなく接着剤層39を含む。これらの例では装置1は1回限りの使用の装置である。
【0037】
この例では挿通手段33自体が 相変化物質の相変化を活性化するまたは誘発するための活性化媒介として作用する。タバコの例では活性化媒介として作用する挿通手段に加えてまたは変えて、キャップ25はバリアが破けた後に相変化物質と接触できる別の活性化媒介を含んでもよい。一部の例ではこの活性化媒介は、塩、例えば、食塩NaCl、チョーク(炭酸カルシウム)などのイオン結晶およびセルロース誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)の1つ以上を含む固体であってもよい。この固体は、例えば相変化物質自体の結晶などの1つ以上の結晶、コーティングまたは層、粉、粒を含んでもよく、成型またはプレスされたタブレットまたはこれに似た形状のモノリシック状であってもよい。一部の例ではこの活性化媒介は、固形の非吸湿性材、例えば鉄、銅、アルミニウムまたはステンレススチール填材などの金属填材を含んでもよい。
【0038】
上記の例において挿通手段33は、装置1の一部である。別の例では装置1にはキャップ25も挿通手段33も設けられず、代わりに別の装置(図示せず)を設けてもよく、これは格納式挿通手段を含み、装置の挿通手段を使用して相変化物質19の相変化を開始するためにバリア38を挿通することができるようにその別の装置内または隣に例えばユーザー装置1を置くことができる。
【0039】
ここで図7を参照すると、エアロゾル発生材15を加熱するように構成された別の例の装置100が示されている。多くの点で装置100は上述の装置1と同じであり、同様の特徴には同じ参照番号を使用して特定しており、簡潔にするために再度詳しく説明しない。
【0040】
この例では装置100は、加熱チェンバー17に外付けされている(装置1の場合のように)活性化装置21を含まないが、代わりに活性化媒介121(図7において破線で表している)を含む活性化装置を含み、この活性化媒介は装置100を撹拌する、例えば揺する、軽く振る、軽くたたく、または押しつぶす際に相変化物質19の相変化を開始させる。
【0041】
図8に例示するように1つの例では活性化媒介121は、1つ以上のカプセル120を含み、各カプセルは保護膜123によって囲まれているコア121を含む。保護膜123はコア121を相変化物質19から離隔し、囲まれている相変化物質19の相変化を開始するための核生成領域としてカプセル120が作用しないようにする材料を含む。その材料は、例えば不活性プラスチックベースの膜を含んでもよい。それに対してコア121は、囲まれている相変化物質19の相変化を開始するための核生成領域として作用する材料を含む。保護膜123の材料は 装置100を撹拌する、例えば揺する、軽くたたく、または押しつぶす際に1つ以上のカプセル120の保護膜123が、例えばカプセル同士が接触するまたは装置1の壁にカプセルが接触した結果として破裂する。破裂することによってこれら1つ以上のカプセル120のコア121を相変化物質に晒し、これにより各晒されたコア121は相変化物質19の相変化を開始する核生成の場として作用する。
【0042】
1つの例では各カプセル120は、マイクロカプセル(即ち、数ミクロン程度の大きさの直径を有する)であり、活性化媒介121は、例えば相変化物質19に懸濁された数千程度の多くの数のこのようなマイクロカプセルを含む。装置100の製造中にマイクロカプセルは相変化物質の主溶液内に混合され、装置100内に熱充填してもよい。
【0043】
最初に使用する際、装置100を撹拌することによってマイクロカプセルの一部を破裂させ、これが相変化物質の相変化を開始するが、マイクロカプセルの多くは破裂していない状態のままである。その結果、相変化物質の相変化を逆転させると、装置100を再使用することができる。装置100はこのようにして繰り返し再使用することができ、再使用の正確な回数は相変化物質19に最初に含まれるマイクロカプセルの数によって決まる。
【0044】
カプセルのコア121はあらゆる好適な固形材料、例えば金属または塩を含んでもよい。1つの例ではコア121は、相変化物質の固体結晶、例えば上述したもののような水和塩の固体結晶を含む。
【0045】
カプセルはその破裂しやすさを向上させるような方法で成形してもよい。例えば、カプセルは大まかに楕円に形成されてもよく、膜123はカプセルの端部点に向かって薄くなってもよい。
【0046】
1つの例では別の電気的または機械的装置(図示せず)を設けて、その中にユーザーが装置100を入れて、それが装置100を振動させてカプセル120を破裂させ、相変化を開始させることができる。
【0047】
別な例では装置100は、カプセル120を全く含まず、別の電気または機械的装置によって引き起こされる振動で相変化物質19に相変化を誘発するのに充分である。
【0048】
ここで図9を参照すると、上述の装置にいくつかの点で類似するエアロゾル発生材の少なくとも1つの成分を揮発させるためにエアロゾル発生材を加熱するように構成された別の例の装置300を略式に示されている。
【0049】
この例の装置300はほぼ長尺であり、内方管305と、外方管307と、マウスピース309と端部キャップ311を含む。内方管305は外方管307の内側にほぼ同心にかつ同軸に配置されている。外方管307はそれが閉鎖管となるように内方管305に対して、例えば熱封止によってその両端が封止されている。それに対して内方管305は両端が開口している。マウスピース309は装置300の前方で内方管305の端部に嵌り、端部キャップ311が装置300の後方の内方管305の端部に嵌る。
【0050】
装置300は装置1に関して既に説明したものと類似のあらゆる好適な1つ以上の材料を含んでもよい。
【0051】
内方管305の内部は加熱され、揮発させるエアロゾル発生材315を収容するための加熱チェンバー313として作用する。加熱チェンバー313は、マウスピース309と端部キャップ311と流体連通する。外方管307と内方管305によって画定されるほぼ環状の領域は加熱チェンバー313および結果として加熱チェンバー313に含まれるエアロゾル発生材315を加熱するために活性化させて熱を発生させる熱源材料319を含む熱源チェンバー317として作用する。
【0052】
エアロゾル発生材315と熱源材料319は装置1に関して既に上述した対応する材料のいずれを含んでもよい。端部キャップ311はそれに形成された1つ以上の空気入り口323を有し、ここでも使用時、ユーザーがマウスピース309で吸引すると、空気が端部キャップ311に形成されたこれら1つ以上の空気入り口323を介して加熱チェンバー313内に引き込まれ、引き込まれた空気とエアロゾルおよび/または気体または蒸気の混合物 加熱チェンバー313を通過し、ユーザーの吸引のためにマウスピース309に入るようになっている。
【0053】
この例では装置300は相変化物質319の相変化を活性化するために相変化物質319に晒される電荷および/または電流を発生させるための電荷発生器を含む活性化装置321を含む。
【0054】
図9に例示するように電荷発生器321は、相変化物質319と接触して加熱チェンバー317に配置され、例えば、外方管307の内壁に取り付けられた圧電性材料の1つ以上の部分、例えば圧電性結晶を含んでもよい。圧電性材料の1つ以上の部分321が、例えば圧電性材料のそれらの部分321の近傍の外方管307をユーザーが押しつぶすことによって変形させると、圧電性材料のその部分321が電圧を発生させ、よって相変化物質319の相変化を開始させる電化および/または電流を発生させる。例えば、圧電性材料の1つまたはそれ以上の部分321は相変化物質319を通って相変化を開始させる電気火花を発生させてもよい。
【0055】
別の例では電荷発生器321は熱源チェンバー317に配置され、例えば、相変化物質319と接触して外方管307の内壁に取り付けられた1つ以上のコンデンサおよびこれら1つ以上のコンデンサを充電するための電源(図示せず)を含んでもよい。ユーザーは、これら1つ以上のコンデンサを充電するために例えばボタン(図示せず)を押すことによって電源を始動し、これら1つ以上のコンデンサに形成される電荷または電流がこれら1つ以上のコンデンサから相変化物質319に移動し、相変化物質319の相変化を開始させるようしてもよい。
【0056】
別の例では活性化装置は、熱源チェンバーに配され、相変化を開始させるために相変化物質に振動を生じさせるために振動するように作動させることが可能な手段を含んでもよい。その手段は1つ以上の共振器を含んでもよく、これは相変化物質の共振器周波数でまたはその周囲の周波数で共振し、相変化物質に対応する振動を発生させるように構成されている。共振器を給電するために電力源を設けてもよい。
【0057】
ここで図10を参照すると、別の例の装置400が略式に示されており、これは装置300と多くの面で同じであるが、装置300とは異なる活性化装置421を有する。装置300の対応する特徴と同じ装置400の特徴は同じ参照番号を付して特定し、簡潔にするために再度詳しく説明しない。
【0058】
図10の例では活性化装置421は、相変化物質の液体から固相への相変化を誘発するために相変化物質319に液体せん断を発生させる1つ以上の装置を含む。この例では活性化装置421は、加熱チェンバー317内に装置400の後方に向けて位置する1つ以上の漏斗421を含む。各漏斗421は外方管307の内壁と内方管305の外壁の間に位置する。各漏斗421は広い開口部から狭い開口部へとテーパーした円錐状の頭部421aと狭い開口部から装置400の長手方向軸と平行に延びている環状部421bを含む。管状部421bの直径は外方管307と内方管305の間の垂直距離より実質的に小さい。使用の際、ユーザーは外方管307の大きい矢印で示す領域を圧縮し、相変化物質を小さい矢印で示すように各漏斗421を介してその広い開口部からその管状部421bを通って強制的に流れるようにする。比較的狭い管状部421を流れることによって相変化物質に液体せん断を生じさせ、この液体せん断が液体から固体状態への相変化物質の相変化を開始させる。
【0059】
当然のことながら上述の装置は、例示に過ぎず、相変化を開始させるために相変化物質319に液体せん断を起こすことができる多くの他の種類の活性化装置を使用してもよい。
【0060】
さらに別の例では活性化装置は、熱源チェンバーの相変化物質の1つ以上の領域に局所的な冷却を生じさせることによって相変化を開始するように操作してもよい。例えば、活性化装置は圧縮された気体をこれら1つ以上の領域内に膨張させることによってこれを実行してもよい。
【0061】
ここで図11aと11bを参照すると、別の装置500を略式に示しており、これは装置300と多くの点で同じであるが、装置300とは異なる活性化装置521を有する。装置300の対応する特徴と同じ装置500の特徴は同じ参照番号を付して特定し、簡潔にするために再度詳しく説明しない。
【0062】
図11aと11bの例では活性化装置521は、活性化媒介505を含むコンパートメント503を含む。活性化装置521図11aに例示するようにコンパートメントの開口部と熱源チェンバー317の開口部が位置合わせされていない閉じた構成と図11bに例示するようにコンパートメント503の開口部と熱源チェンバー317の開口部が位置合わせされている開いた構成に構成可能である。閉じた構成では相変化物質319は熱源チェンバー317内で封止され、活性化媒介505はコンパートメント503で封止されている。開いた構成では相変化物質319の相変化を開始させるために活性化媒介505が相変化物質319と接触することができるように熱源チェンバー317とコンパートメント503は互いに開口している。
【0063】
活性化装置521またはその1つ以上の部分は、例えば、回転させる、スライドさせるまたはそうでなければ1つの位置から別の位置へ移動するなどして移動して閉じた構成と開いた構成間で活性化装置521を構成してもよい。
【0064】
1つの例では活性化媒介505は、1つ以上の種粒子を含んでもよく、これは活性化装置521が開いた構成にあるとき、例えば装置500を軽くたたくまたは振ることによって加熱源チェンバー317内に放出される。種粒子は、例えば相変化物質319の固体結晶を含んでもよい。
【0065】
1つの例では上述の種類のいずれかの特定の活性化装置を含むのではなく、本明細書中で説明した装置と類似する装置を冷蔵庫または冷凍庫に入れて、相変化を開始させるために相変化物質の粘度を上昇させてもよい。
【0066】
上述の例では相変化物質は相変化する際に熱を発生して、加熱チェンバー内の材料を加熱するが、別の例では相変化物質は、それが相変化する際に熱を吸収して冷却チェンバー内の材料を冷却する。その材料は、例えば冷やして消費するのがよい飲料または食料であってもよい。
【0067】
別の例では活性化媒介505は、プランジャーまたはそれに類するものを含み、これはむ活性化装置521が閉じた構造にあるときの格納位置と活性化装置521が開いた構造にあるときの延伸位置との間で動くことができる。延伸位置にあるとき、プランジャーはコンパートメント503から加熱源チェンバー317内に延び、相変化物質と接触して相変化を開始させる。プランジャーを加熱源チェンバー317内で例えばユーザーが素早く動かすまたは前後に動かすことによって振動させて相変化を開始しやすくしてもよい。
【0068】
本発明の実施形態は、例えば非限定の実施例、風味剤、添加剤、排出、構成成分および/またはそのようなものに関する規制によって適用法および/または規制に適合するように構成されている。例えば、例えば、本発明は、本発明を実施する喫煙品が、使用者による調整の前後に、適用法に適合するように構成されていてもよい。そのような実施は、全ての使用者の選択可能位置で適用法に適合するように構成されていてもよい。一部の実施態様では、本発明は、本発明を実施する喫煙品が全ての使用者の選択可能位置で、必要な規制法試験に、例えば非限定の実施例、試験閾値/紙巻きタバコ排出および/または煙構成成分の上限によって、合格するまたはそれを上回るように構成されている。
【0069】
ここで説明した種々の実施態様は、特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助に提供されている。これらの実施態様は単なる代表的な具体例であり、包括的でも排他的でもない。当然だが、本開示の利点、実施形態、具体例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および/または思想から乖離することなく他の実施形態を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよい。また本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b