(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
圃場に対して第1作業を実行しながら走行する第1走行作業車両と、圃場に対して前記第1作業とは異なる第2作業を実行しながら前記第1走行作業車両の後方を走行する第2走行作業車両とを備えた作業システムにおいて、
前記第1走行作業車両は、圃場に対して第1作業を実行する耕耘装置を備え、前記第1走行作業車両の動作制御を実行する第1制御装置と、前記第1制御装置と外部との通信を実現する第1通信装置とを有し、
前記第2走行作業車両は、圃場に対して第2作業を実行する播種機を備え、前記第2走行作業車両の動作制御を実行する第2制御装置と、前記第2制御装置と外部との通信を実現する第2通信装置とを有し、
前記第1走行作業車両の第1制御装置は、前記第1作業を実行中の圃場の状態に関する情報を圃場情報として取得し、
前記第2走行作業車両の第2制御装置は、前記第1走行作業車両の第1制御装置が取得した圃場情報に応じて、前記第2走行作業車両の第2作業を制御する
ことを特徴とする作業システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記技術において、本機側と作業機側のコントローラを通信ラインで接続するのは1台のトラクタであり、複数台のトラクタで作業する場合には、個々のトラクタで制御されることとなるため、各トラクタで設定値が異なると、均一な仕上がりとはならず、複数台同時に作業をする場合、互いに連携できていないために、設定を変更するには全てのトラクタを停止させて、同一の設定値となるように相互に確かめなければならなかった。
【0005】
本発明は、以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、第1走行作業車両と第2走行作業車両とがそれぞれに行う異なる
圃場に対しての作業を、圃場情報に応じて、連携させることができる作業システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、圃場に対して第1作業を実行しながら走行する第1走行作業車両と、圃場に対して前記第1作業とは異なる第2作業を実行しながら前記第1走行作業車両の後方を走行する第2走行作業車両とを備えた作業システムにおいて、前記第1走行作業車両は、
圃場に対して第1作業を実行する耕耘装置を備え、前記第1走行作業車両の動作制御を実行する第1制御装置と、前記第1制御装置と外部との通信を実現する第1通信装置とを有し、前記第2走行作業車両は、
圃場に対して第2作業を実行する播種機を備え、前記第2走行作業車両の動作制御を実行する第2制御装置と、前記第2制御装置と外部との通信を実現する第2通信装置とを有し、前記第1走行作業車両の第1制御装置は、前記第1作業を実行中の圃場の状態に関する情報を圃場情報として取得し、前記第2走行作業車両の第2制御装置は、前記第1走行作業車両の第1制御装置が取得した圃場情報に応じて、前記第2走行作業車両の
第2作業を制御するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1走行作業車両の後方を第2走行作業車両が走行し、
第1走行作業車両が第1作業である耕耘作業、第2走行作業車両が第2作業である播種作業のように、第1走行作業車両と第2走行作業車両とがそれぞれに行う異なる
圃場に対しての作業を、第1制御装置が取得した圃場情報に応じて、連携させることができる。例えば、
第1走行作業車両による耕耘作業時に深耕センサで検出値が浅いと判断されると、耕耘作業後に
第2走行作業車両による播種作業時には播種深さを浅くすることが可能となり、耕耘と播種という異なる種類の作業を連携させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
無人で自動走行可能な自律走行作業車両1、及び、この自律走行作業車両1に随伴してオペレータが搭乗して操向操作する随伴走行作業車両100をトラクタとし、自律走行作業車両1の作業機として施肥播種機250が装着され、随伴走行作業車両100にも作業機として施肥播種機300が装着されている実施例について説明する。つまり、同じ作業機を装着して併走作業を行う。但し、作業車両はトラクタに限定するものではなく、コンバイン等でもよく、また、作業機は施肥播種機に限定するものではなく、草刈機や薬剤散布機や消毒機や収穫機等であってもよい。
【0010】
図1、
図2において、自律走行作業車両1となるトラクタの全体構成について説明する。ボンネット2内にエンジン3が内設され、該ボンネット2の後部のキャビン11内にダッシュボード14が設けられ、ダッシュボード14上に操向操作手段となるステアリングハンドル4が設けられている。該ステアリングハンドル4の回動により操舵装置を介して前輪9・9の向きが回動される。自律走行作業車両1の操舵方向は操向センサ20により検知される。操向センサ20はロータリエンコーダ等の角度センサからなり、前輪9の回動基部に配置される。但し、操向センサ20の検知構成は限定するものではなく操舵方向が認識されるものであればよく、ステアリングハンドル4の回動を検知したり、パワーステアリングの作動量を検知してもよい。操向センサ20により得られた検出値は制御装置30に入力される。制御装置30はCPU(中央演算処理装置)やRAMやROM等の記憶装置30mやインターフェース等を備え、記憶装置30mには自律走行作業車両1を動作させるためのプログラムやデータ等が記憶される。
【0011】
前記ステアリングハンドル4の後方に運転席5が配設され、運転席5下方にミッションケース6が配置される。ミッションケース6の左右両側にリアアクスルケース8・8が連設され、該リアアクスルケース8・8には車軸を介して後輪10・10が支承される。エンジン3からの動力はミッションケース6内の変速装置(主変速装置や副変速装置)により変速されて、後輪10・10を駆動可能としている。変速装置は例えば油圧式無段変速装置で構成して、可変容量型の油圧ポンプの可動斜板をモータ等の変速手段44により作動させて変速可能としている。変速手段44は制御装置30と接続されている。後輪10の回転数は車速センサ27により検知され、走行速度として制御装置30に入力される。但し、車速の検知方法や車速センサ27の配置位置は限定するものではない。
【0012】
ミッションケース6内にはPTOクラッチやPTO変速装置が収納され、PTOクラッチはPTO入切手段45により入り切りされ、PTO入切手段45は制御装置30と接続され、PTO軸への動力の断接を制御可能としている。
【0013】
前記エンジン3を支持するフロントフレーム13にはフロントアクスルケース7が支持され、該フロントアクスルケース7の両側に前輪9・9が支承され、前記ミッションケース6からの動力が前輪9・9に伝達可能に構成している。前記前輪9・9は操舵輪となっており、ステアリングハンドル4の回動操作により回動可能とするとともに、操舵装置の駆動手段となるパワステシリンダからなる操舵アクチュエータ40により前輪9・9が左右操舵回動可能となっている。操舵アクチュエータ40は制御装置30と接続され、自動走行手段により制御されて駆動される。
【0014】
制御装置30にはエンジン回転制御手段となるエンジンコントローラ60が接続され、エンジンコントローラ60にはエンジン回転数センサ61や水温センサや油圧センサ等が接続され、エンジンの状態を検知できるようにしている。エンジンコントローラ60では設定回転数と実回転数から負荷を検出し、過負荷とならないように制御するとともに、後述する遠隔操作装置112にエンジン3の状態を送信してディスプレイ113で表示できるようにしている。
【0015】
また、ステップ下方に配置した燃料タンク15には燃料の液面を検知するレベルセンサ29が配置されて制御装置30と接続され、自律走行作業車両1のダッシュボードに設ける表示手段49には燃料の残量を表示する燃料計が設けられ制御装置30と接続されている。そして、制御装置30から遠隔操作装置112に燃料残量に関する情報が送信されて、遠隔操作装置112のディスプレイ113に燃料残量と作業可能時間が表示される。
【0016】
前記ダッシュボード14上にはエンジンの回転計や燃料計や油圧等や異常を示すモニタや設定値等を表示する表示手段49が配置されている。
【0017】
また、トラクタ機体後方に作業機装着装置23を介して作業機として施肥播種機250が昇降自在に装設させて、施肥作業と播種作業が同時にできるように構成している。施肥播種機250は下部に作溝器251や鎮圧ローラ252等を配置し、前上部に肥料ホッパー253とその下部に肥料繰出装置254を設け、その後部に種子ホッパー255と種子繰出装置256を配置している。前記肥料繰出装置254の繰出軸にはアクチュエータとして繰出モータ257が連結され、種子繰出装置256の繰出軸にはアクチュエータとして繰出モータ258が連結される。また、肥料ホッパー253には残量センサ259が配置され、種子ホッパー255には残量センサ260が配置され、それぞれ残量を検知している。前記繰出モータ257・258及び残量センサ259・260は作業機コントローラ270とバス接続され作業機ネットワークを構築し、さらに、この作業機ネットワークは通信ライン261(例えば、ISO−BUS)を介して制御装置30のインターフェースとバス接続される。通信ライン261はコネクタ262により容易に着脱できるようにしている。なお、作業機コントローラ270は図示しないコントロールボックス内に収納されている。
【0018】
このように構成することにより、自律走行作業車両1の制御装置30と施肥播種機250の制御装置となる作業機コントローラ270との間でデータ通信が可能となる。さらに、後述する遠隔操作装置112ともデータ通信ができるように構成している。
【0019】
前記ミッションケース6上に昇降シリンダ26が設けられ、該昇降シリンダ26を伸縮させることにより、作業機装着装置23を構成する昇降アームを回動させて施肥播種機250を昇降できるようにしている。昇降シリンダ26は昇降アクチュエータ25の作動により伸縮され、昇降アクチュエータ25は制御装置30と接続されている。
【0020】
制御装置30には衛星測位システムを構成する移動通信機33が接続されている。移動通信機33には移動GPSアンテナ34とデータ受信アンテナ38が接続され、移動GPSアンテナ34とデータ受信アンテナ38は前記キャビン11上に設けられる。該移動通信機33には、位置算出手段を備えて緯度と経度を制御装置30に送信し、現在位置を把握できるようにしている。なお、GPS(米国)に加えて準天頂衛星(日本) やグロナス衛星(ロシア)等の衛星測位システム(GNSS)を利用することで精度の高い測位ができるが、本実施形態ではGPSを用いて説明する。
【0021】
自律走行作業車両1は、機体の姿勢変化情報を得るためにジャイロセンサ31、及び進行方向を検知するために方位センサ32を具備し制御装置30と接続されている。但し、GPSの位置計測から進行方向を算出できるので、方位センサ32を省くことができる。ジャイロセンサ31は自律走行作業車両1の機体前後方向の傾斜(ピッチ)の角速度、機体左右方向の傾斜(ロール)の角速度、及び旋回(ヨー)の角速度、を検出するものである。該三つの角速度を積分計算することにより、自律走行作業車両1の機体の前後方向及び左右方向への傾斜角度、及び旋回角度を求めることが可能である。ジャイロセンサ31の具体例としては、機械式ジャイロセンサ、光学式ジャイロセンサ、流体式ジャイロセンサ、振動式ジャイロセンサ等が挙げられる。ジャイロセンサ31は制御装置30に接続され、当該三つの角速度に係る情報を制御装置30に入力する。
【0022】
方位センサ32は自律走行作業車両1の向き(進行方向)を検出するものである。方位センサ32の具体例としては磁気方位センサ等が挙げられる。方位センサ32は制御装置30に接続され、機体の向きに係る情報を制御装置30に入力する。
【0023】
こうして制御装置30は、上記ジャイロセンサ31、方位センサ32から取得した信号を姿勢・方位演算手段により演算し、自律走行作業車両1の姿勢(向き、機体前後方向及び機体左右方向の傾斜、旋回方向)を求める。
【0024】
次に、自律走行作業車両1の位置情報をGPS(グローバル・ポジショニング・システム)を用いて取得する方法について説明する。GPSは、元来航空機・船舶等の航法支援用として開発されたシステムであって、上空約二万キロメートルを周回する二十四個のGPS衛星(六軌道面に四個ずつ配置)、GPS衛星の追跡と管制を行う管制局、測位を行うための利用者の通信機で構成される。GPSを用いた測位方法としては、単独測位、相対測位、DGPS(ディファレンシャルGPS)測位、RTK−GPS(リアルタイムキネマティック−GPS)測位など種々の方法が挙げられ、これらいずれの方法を用いることも可能であるが、本実施形態では測定精度の高いRTK−GPS測位方式を採用し、この方法について
図1、
図2より説明する。
【0025】
RTK−GPS(リアルタイムキネマティック−GPS)測位は、位置が判っている基準局と、位置を求めようとする移動局とで同時にGPS観測を行い、基準局で観測したデータを無線等の方法で移動局にリアルタイムで送信し、基準局の位置成果に基づいて移動局の位置をリアルタイムに求める方法である。
【0026】
本実施形態においては、自律走行作業車両1に移動局となる移動通信機33と移動GPSアンテナ34とデータ受信アンテナ38が配置され、基準局となる固定通信機35と固定GPSアンテナ36とデータ送信アンテナ39が圃場の作業の邪魔にならない所定位置に配設される。本実施形態のRTK−GPS(リアルタイムキネマティック−GPS)測位は、基準局及び移動局の両方で位相の測定(相対測位)を行い、基準局の固定通信機35で測位したデータをデータ送信アンテナ39からデータ受信アンテナ38に送信する。
【0027】
自律走行作業車両1に配置された移動GPSアンテナ34はGPS衛星37・37・・・からの信号を受信する。この信号は移動通信機33に送信され測位される。そして、同時に基準局となる固定GPSアンテナ36でGPS衛星37・37・・・からの信号を受信し、固定通信機35で測位し移動通信機33に送信し、観測されたデータを解析して移動局の位置を決定する。こうして得られた位置情報は制御装置30に送信される。
【0028】
こうして、この自律走行作業車両1における制御装置30は自動走行させる自動走行手段を備えて、自動走行手段はGPS衛星37・37・・・から送信される電波を受信して移動通信機33において設定時間間隔で機体の位置情報を求め、ジャイロセンサ31及び方位センサ32から機体の変位情報及び方位情報を求め、これら位置情報と変位情報と方位情報に基づいて機体が予め設定した設定経路Rに沿って走行するように、操舵アクチュエータ40、変速手段44、昇降アクチュエータ25、PTO入切手段45、エンジンコントローラ60等を制御して自動走行し自動で作業できるようにしている。なお、作業範囲となる圃場Hの外周の位置情報も周知の方法によって予め設定され、記憶装置30mに記憶されている。
【0029】
また、自律走行作業車両1には障害物センサ41が配置されて制御装置30と接続され、障害物に当接しないようにしている。例えば、障害物センサ41はレーザセンサや超音波センサで構成して機体の前部や側部や後部に配置して制御装置30と接続し、機体の前方や側方や後方に障害物があるかどうかを検出し、障害物が設定距離以内に近づくと走行を停止させるように制御する。
【0030】
また、自律走行作業車両1には前方や後方や作業機を撮影するカメラ42が搭載され制御装置30と接続されている。カメラ42で撮影された映像は随伴走行作業車両100に備えられた遠隔操作装置112のディスプレイ113に表示されるようにしている。ただし、ディスプレイ113の表示画面が小さい場合は大きい別のディスプレイで表示したり、カメラ映像は別の専用のディスプレイで常時または選択的に表示したり、自律走行作業車両1に設けた表示手段49で表示したりすることも可能である。また、前記カメラ42は一つのカメラ42を機体中心に配置して鉛直軸を中心に回転させて周囲を撮影しても、複数のカメラ42を機体の前部や後部または四隅に配置して機体周囲を撮影する構成であってもよく限定するものではない。
【0031】
遠隔操作装置112は前記自律走行作業車両1の走行経路Rを設定したり、自律走行作業車両1を遠隔操作したり、自律走行作業車両1の走行状態や作業機の作動状態を監視したり、作業データを記憶したりするものであり、CPUやメモリ等を備える。
【0032】
有人走行車両となる随伴走行作業車両100はオペレータが乗車して運転操作するとともに、随伴走行作業車両100に遠隔操作装置112を搭載して自律走行作業車両1を操作可能としている。随伴走行作業車両100の基本構成は自律走行作業車両1と略同じ構成であるので詳細な説明は省略する。なお、随伴走行作業車両100にはGPS用の移動通信機33や移動GPSアンテナ34を備える構成とすることも可能である。
【0033】
遠隔操作装置112は、随伴走行作業車両100及び自律走行作業車両1のダッシュボード等の操作部に着脱可能としている。遠隔操作装置112は随伴走行作業車両100のダッシュボードに取り付けたまま操作することも、随伴走行作業車両100の外に持ち出して携帯して操作することも、自律走行作業車両1のダッシュボードに取り付けて操作可能としている。遠隔操作装置112は例えばノート型やタブレット型のパーソナルコンピュータで構成することができる。本実施形態ではタブレット型のコンピュータで構成している。
【0034】
さらに、遠隔操作装置112と自律走行作業車両1は無線で相互に通信可能に構成しており、自律走行作業車両1と遠隔操作装置112には通信するための送受信機110・111がそれぞれ設けられている。送受信機111は遠隔操作装置112に一体的に構成されている。通信手段は例えばWiFi等の無線LANで相互に通信可能に構成されている。遠隔操作装置112は画面に触れることで操作可能なタッチパネル式の操作画面としたディスプレイ113を筐体表面に設け、筐体内に送受信機111やCPUや記憶装置やバッテリ等を収納している。該ディスプレイ113には、前記カメラ42で撮影した周囲の画像や自律走行作業車両1の状態や作業の状態やGPSに関する情報や操作画面等を表示できるようにし、オペレータが監視できるようにしている。
【0035】
また、前記自律走行作業車両1及び作業機となる施肥播種機250は遠隔操作装置112により遠隔操作可能としている。例えば、遠隔操作装置112の操作により自律走行作業車両1の緊急停止や一時停止や再発進や車速の変更やエンジン回転数の変更や作業機の昇降やPTOクラッチの入り切り等を操作できる。更に、施肥播種機250の繰出量の設定値を変更可能として播種量や施肥量を調節できるようにしている。つまり、遠隔操作装置112から送受信機111、送受信機110、制御装置30を介してアクセルアクチュエータや変速手段44やPTO入切手段45等を制御し作業者が容易に自律走行作業車両1を遠隔操作でき、施肥播種機250の施肥量及び播種量を遠隔操作できるのである。また、残量センサ259・260により肥料ホッパー253の肥料や種子ホッパー255内の種子の量を検知し、その検出値が設定値以上少なくなると、ディスプレイ113に表示したり、警報を発したりできるようにしている。
【0036】
また、自律走行作業車両1が圃場端に近づき、走行速度を減速すると、その速度に応じて施肥量及び播種量を減少するように作業機コントローラ270で演算し、繰出モータ257・258を制御する。そして、地図情報及び設定経路Rから圃場端に至ると、繰出モータ257・258を停止させ、回行した後に作業再開位置から走行を開始すると、繰出モータ257・258を駆動し、走行速度に合わせた繰出量に制御する。
【0037】
また、随伴走行作業車両100には、制御装置130が備えられ、該制御装置130は遠隔操作装置112と通信可能としている。制御装置130にはエンジンコントローラ160や昇降アクチュエータ164と接続され、さらに、自律走行作業車両1と同様に、随伴走行作業車両100に装着された施肥播種機300の作業機コントローラ310や繰出モータ301・302や残量センサ303・304と通信ライン305を介して接続され、データ通信可能としている。なお、自律走行作業車両1に装着される施肥播種機250と随伴走行作業車両100に装着される施肥播種機300も略同じ構成・制御であるため説明は省略する。
【0038】
上記のように、有人の随伴走行作業車両100の本機の制御装置130と作業機となる施肥播種機300の制御装置となる作業機コントローラ310、及び、無人の自律走行作業車両1の本機の制御装置30と作業機となる施肥播種機250の作業機コントローラ270と、をそれぞれ通信ライン305・261を介して接続するとともに、自律走行作業車両1の制御装置30と随伴走行作業車両100の制御装置130及び随伴走行作業車両100に搭載する遠隔操作装置112とを通信装置110・111・133により通信可能とし、随伴走行作業車両100の作業機のアクチュエータとなる繰出モータ301・302の制御に伴い自律走行作業車両1の作業機のアクチュエータとなる繰出モータ257・258を制御するので、操作性を向上することができる。
【0039】
また、前記自律走行作業車両1の施肥播種機250に設けられるアクチュエータとなる繰出モータ257・258の制御に伴い、随伴走行作業車両100の施肥播種機300に設けられるアクチュエータとなる繰出モータ301・302を制御するので、各々操作する場合よりも操作性を向上することができる。
【0040】
また、前記自律走行作業車両1の施肥播種機250に設けられるアクチュエータとなる繰出モータ257・258、及び、随伴走行作業車両100の作業機のアクチュエータとなる繰出モータ301・302の設定値は、遠隔操作装置112により変更可能とされるので、作業開始後であっても、走行を停止することなく容易に設定変更が可能となる。
【0041】
具体的に説明する。
図3に示すように、自律走行作業車両1と随伴走行作業車両100にそれぞれ同じ作業機(施肥播種機250・300)を装着し、自律走行作業車両1の斜め後方を随伴走行作業車両100が併走し(左右方向に並んで走行し)、同じ作業を左右並んで行うことで一度に二倍の幅を作業することができるようにしている。施肥播種作業時において、施肥播種機250・300の繰出モータ257・258・301・302は、それぞれ自律走行作業車両1及び随伴走行作業車両100の走行速度に合わせて繰出量が変更されるように制御される。
【0042】
この自律走行作業車両1と随伴走行作業車両100により作業を開始する前には、遠隔操作装置112により施肥播種機250・300の走行距離あたりの繰出量を設定する。例えば、自律走行作業車両1の施肥播種機250の肥料繰出量を設定すると、随伴走行作業車両100の施肥播種機300の肥料繰出量も設定同時に設定されるようにしている。同様に種子繰出量も設定することができる。こうして、同じ圃場で同じ作業を行うため、自律走行作業車両1と随伴走行作業車両100の施肥播種機250・300の繰出量は同じとしておきバラツキが生じないようにしている。上記構成により、遠隔操作装置112により両者を同じ繰出量に同時に設定でき、設定間違いも生じなくなるようにしている。また、作業中において、大きな圃場であると、土質が変わることがあるが、この場合でも、オペレータが所望の位置で遠隔操作装置112を用いて走行距離当たりの繰出量の設定変更を行うことで、自律走行作業車両1と随伴走行作業車両100の施肥播種機250・300の繰出量を同時に変更することも可能としている。
【0043】
なお、モード選択スイッチを設けて、自律走行作業車両1と随伴走行作業車両100の作業機の設定を別々に設定変更できるように構成することもできる。但し、自律走行作業車両1及び随伴走行作業車両100の本機(例えばダッシュボード上)には施肥播種機250・300の操作装置を設けておき、それぞれ手動で設定値を独立して変更できるようにしている。
【0044】
また、自律走行作業車両1と随伴走行作業車両100とによる併走作業は、別々の作業機を装着して別々の作業を行う構成とし、一方の作業機の制御に連動して他方の作業機を制御することも可能である。例えば、自律走行作業車両1にはロータリ耕耘装置を装着し、随伴走行作業車両100には播種機を装着し、該播種機には播種深さ調節アクチュエータを備える。このように取り付けて作業を行っているときに、土壌が硬く耕耘深さが浅くなると、播種機の播種深さも浅くする、という制御を予めプログラムしておくと、ロータリ耕耘装置の耕深センサによる検出値が浅いと検出すると、制御装置30から通信装置を介して随伴走行作業車両100の作業機に設けられている作業機コントローラ310に情報を伝達して、深さ調節アクチュエータを作動させて植付深さを浅くする、という制御を行わせることもできる。つまり、自律走行作業車両1の作業機に設けられるセンサの検出値またはコントローラ270の制御信号が、通信ラインや通信装置を介して随伴走行作業車両100の作業機に備える作業機コントローラ310に送信され、作業機に設けられるアクチュエータを作動するように制御することを可能としている。即ち、自律走行作業車両1に装着した作業機の検出手段やアクチュエータや作業コントローラは、随伴走行作業車両100に装着した作業機の検出手段やアクチュエータや作業コントローラと相互に通信可能とされ、自律走行作業車両1と随伴走行作業車両100の一方の作業機から得た検出値や命令に応じて、他方の作業機のアクチュエータが制御されるように構成することができるのである。
【0045】
また、自律走行作業車両1と随伴走行作業車両100とによる併走作業は、
図4に示すように、自律走行作業車両1と随伴走行作業車両100が前後に並んで別々の作業を行う場合でも可能である。この作業においても、自律走行作業車両1に装着した作業機の検出手段やアクチュエータや作業コントローラと、随伴走行作業車両100に装着した作業機の検出手段やアクチュエータや作業コントローラとは、相互に通信可能とされ、自律走行作業車両1と随伴走行作業車両100の一方の作業機から得た検出値や命令に応じて、他方の作業機のアクチュエータが制御されるように構成することができる。ただしこの場合、隣接条で旋回すると自律走行作業車両1と随伴走行作業車両100の一部がラップしてしまうので、枕地で旋回するときには1条飛ばして旋回する。