【実施例】
【0027】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
(調製例1)
0.1gのイソブチルアンゲレートを、プロピレングリコールで希釈して、総量を100gとした。得られた溶液に含まれるイソブチルアンゲレートの濃度は1000質量ppmである。
【0029】
(調製例2)
0.35gのローマンカミツレ精油を、プロピレングリコールで希釈して、総量を100gとした。使用したローマンカミツレ精油に含まれるアンゲリカ酸エステルは下記のとおりであり、ローマンカミツレ精油中に28.5質量%のイソブチルアンゲレートが含まれていた。得られた溶液に含まれるイソブチルアンゲレートの濃度は約997質量ppmである。
プロピルアンゲレート:2.9質量%
イソブチルアンゲレート:28.5質量%
2−メチル−2−ブチルアンゲレート:1.5質量%
ブチルアンゲレート:微量
tert−ブチルアンゲレート:微量
【0030】
(実施例1:無調整豆乳)
市販の無調整豆乳(タンパク質を約9.1質量%、脂質を約7.3質量%、および炭水化物を約3.2質量%の割合で含む)に、調製例1で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した。無調整豆乳に添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は1質量ppmであった。イソブチルアンゲレートが添加された無調整豆乳の風味について、下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0031】
7名のパネラーに(20代、30代、40代、50代および60代の男性各1名、ならびに20代および30代の女性各1名)、無調整豆乳(無添加品)を試飲してもらった。次いで、7名のパネラーに口内を十分に洗浄してもらい、イソブチルアンゲレートが添加された無調整豆乳(添加品)を試飲してもらった。無添加品と添加品とを比較して、無調整豆乳のオフフレーバー(大豆由来の青臭みおよびグリーン臭)が改善されているか否かを、下記の基準で評価してもらった。「青臭み」とは、例えば若い雑草などをすり潰した際に感じる強い草の臭気であり、「グリーン臭」とは、緑色野菜を食した際に感じる青臭みほど強くない(青臭みよりは爽やかな)臭気である。7名のパネラーの合計点が10点以上の場合、オフフレーバーが改善されていると評価した。
2点:オフフレーバーを感じない、あるいは明らかにオフフレーバーが改善されている場合。
1点:若干オフフレーバーを感じるものの、無添加品よりは改善されている場合。
0点:オフフレーバーが改善されておらず、無添加品と差がない場合。
【0032】
(実施例2:無調整豆乳)
実施例1で用いた無調整豆乳に、調製例2で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した。無調整豆乳に添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は約0.997質量ppmであった。無調整豆乳(無添加品)とイソブチルアンゲレートが添加された無調整豆乳(添加品)とを比較して、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0033】
(実施例3:調整豆乳)
市販の調整豆乳に、調製例1で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した。調整豆乳には、原料として無調整豆乳、砂糖、米油、食塩、乳酸カルシウム、乳化剤、糊料および香料が含まれていた。調整豆乳に添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は1質量ppmであった。イソブチルアンゲレートが添加された調整豆乳の風味について、下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0034】
上記7名のパネラーに、調整豆乳(無添加品)を試飲してもらった。次いで、7名のパネラーに口内を十分に洗浄してもらい、イソブチルアンゲレートが添加された調整豆乳(添加品)を試飲してもらった。無添加品と添加品とを比較して、調整豆乳のオフフレーバー(香料で若干マスキングされているものの、後味として残る大豆由来のグリーン臭および豆臭)が改善されているか否かを、上述の実施例1と同様の基準で評価してもらった。7名のパネラーの合計点が10点以上の場合、オフフレーバーが改善されていると評価した。
【0035】
(実施例4:調整豆乳)
実施例2で用いた調整豆乳に、調製例2で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した。調整豆乳に添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は約0.997質量ppmであった。調整豆乳(無添加品)とイソブチルアンゲレートが添加された調整豆乳(添加品)とを比較して、実施例3と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0036】
(実施例5:大豆油)
市販の大豆油に、調製例1で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した。大豆油に添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は1質量ppmであった。イソブチルアンゲレートが添加された大豆油の風味について、下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0037】
上記7名のパネラーに、大豆油(無添加品)を試飲してもらった。次いで、7名のパネラーに口内を十分に洗浄してもらい、イソブチルアンゲレートが添加された大豆油(添加品)を試飲してもらった。無添加品と添加品とを比較して、大豆油のオフフレーバー(植物油特有の青臭みおよびグリーン臭)が改善されているか否かを、上述の実施例1と同様の基準で評価してもらった。7名のパネラーの合計点が10点以上の場合、オフフレーバーが改善されていると評価した。
【0038】
(実施例6:大豆油)
実施例5で用いた大豆油に、調製例2で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した。大豆油に添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は約0.997質量ppmであった。大豆油(無添加品)とイソブチルアンゲレートが添加された大豆油(添加品)とを比較して、実施例5と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0039】
(実施例7:綿実油)
実施例5で用いた大豆油の代わりに市販の綿実油を用いた以外は、実施例5と同様の手順で綿実油のオフフレーバーが改善されているか否かを、上記7名のパネラーに評価してもらった。結果を表1に示す。
【0040】
(実施例8:綿実油)
実施例6で用いた大豆油の代わりに市販の綿実油を用いた以外は、実施例6と同様の手順で綿実油のオフフレーバーが改善されているか否かを、上記7名のパネラーに評価してもらった。結果を表1に示す。
【0041】
(実施例9:菜種油)
実施例5で用いた大豆油の代わりに市販の菜種油を用いた以外は、実施例5と同様の手順で菜種油のオフフレーバーが改善されているか否かを、上記7名のパネラーに評価してもらった。結果を表1に示す。
【0042】
(実施例10:菜種油)
実施例6で用いた大豆油の代わりに市販の菜種油を用いた以外は、実施例6と同様の手順で菜種油のオフフレーバーが改善されているか否かを、上記7名のパネラーに評価してもらった。結果を表1に示す。
【0043】
(実施例11:ヒマワリ油)
実施例5で用いた大豆油の代わりに市販のヒマワリ油を用いた以外は、実施例5と同様の手順でヒマワリ油のオフフレーバーが改善されているか否かを、上記7名のパネラーに評価してもらった。結果を表1に示す。
【0044】
(実施例12:ヒマワリ油)
実施例6で用いた大豆油の代わりに市販のヒマワリ油を用いた以外は、実施例6と同様の手順でヒマワリ油のオフフレーバーが改善されているか否かを、上記7名のパネラーに評価してもらった。結果を表1に示す。
【0045】
(実施例13:菜種白絞油)
実施例5で用いた大豆油の代わりに市販の菜種白絞油を用いた以外は、実施例5と同様の手順で菜種白絞油のオフフレーバーが改善されているか否かを、上記7名のパネラーに評価してもらった。結果を表1に示す。
【0046】
(実施例14:菜種白絞油)
実施例6で用いた大豆油の代わりに市販の菜種白絞油を用いた以外は、実施例6と同様の手順で菜種白絞油のオフフレーバーが改善されているか否かを、上記7名のパネラーに評価してもらった。結果を表1に示す。
【0047】
(実施例15:マーガリン)
市販のマーガリン(コーン油を70質量%含み、油脂を合計で80質量%以上含む)に、調製例1で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した。マーガリンには、原料としてコーン油、食用精製加工油脂、ホエーパウダー、食塩、乳化剤、香料および着色料が含まれていた。マーガリンに添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は1質量ppmであった。イソブチルアンゲレートが添加されたマーガリンの風味について、下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0048】
上記7名のパネラーに、マーガリン(無添加品)を試食してもらった。次いで、7名のパネラーに口内を十分に洗浄してもらい、イソブチルアンゲレートが添加されたマーガリン(添加品)を試食してもらった。無添加品と添加品とを比較して、マーガリンのオフフレーバー(植物油特有の青臭み、グリーン臭、ならびに植物油および香料の金属的酸化臭)が改善されているか否かを、上述の実施例1と同様の基準で評価してもらった。7名のパネラーの合計点が10点以上の場合、オフフレーバーが改善されていると評価した。
【0049】
(実施例16:マーガリン)
実施例15で用いたマーガリンに、調製例2で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した。マーガリンに添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は約0.997質量ppmであった。マーガリン(無添加品)とイソブチルアンゲレートが添加されたマーガリン(添加品)とを比較して、実施例15と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0050】
(実施例17:マーガリン)
実施例15で用いたマーガリンの代わりに別の市販のマーガリン(油脂を合計で80質量%含む)を用いた以外は、実施例15と同様の手順でマーガリンのオフフレーバーが改善されているか否かを、上記7名のパネラーに評価してもらった。このマーガリンには、原料として食用精製加工油脂、大豆油、パーム油、脱脂粉乳、乳化剤および香料が含まれていた。結果を表1に示す。
【0051】
(実施例18:マーガリン)
実施例16で用いたマーガリンの代わりに実施例17で用いたマーガリンを用いた以外は、実施例16と同様の手順でマーガリンのオフフレーバーが改善されているか否かを、上記7名のパネラーに評価してもらった。結果を表1に示す。
【0052】
(実施例19:ファットスプレッド)
実施例15で用いたマーガリンの代わりに市販のファットスプレッド(油脂を合計で65質量%含む)を用いた以外は、実施例15と同様の手順でファットスプレッドのオフフレーバーが改善されているか否かを、上記7名のパネラーに評価してもらった。このファットスプレッドには、原料として菜種油、コーン油、食用精製加工油脂、食塩、ホエーパウダー、乳化剤、香料および着色料が含まれていた。マーガリンとファットスプレッドとの違いは油脂の含有量であり、マーガリンの油脂含有量は80質量%以上であり、ファットスプレッドの油脂含有量は80質量%未満である。結果を表1に示す。
【0053】
(実施例20:ファットスプレッド)
実施例16で用いたマーガリンの代わりに実施例19で用いたファットスプレッドを用いた以外は、実施例16と同様の手順でファットスプレッドのオフフレーバーが改善されているか否かを、上記7名のパネラーに評価してもらった。結果を表1に示す。
【0054】
(実施例21:牛乳を含むコーヒー飲料(乳飲料))
牛乳を含むコーヒー飲料(乳飲料)について、オフフレーバーが改善されているか否かを検証するために、試験用の乳飲料を次のように調製した。661.6gのコーヒー抽出物(固形分濃度17.2質量%)、450gの牛乳、103gのグラニュー糖、3gの重曹、2gのカゼインナトリウム、および2gの乳化剤を混合して、十分に撹拌した。次いで、得られた混合物にイオン交換水を加えて、全量を2000mLにした。次いで、調製例1で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加して缶容器に200mLずつ詰め、123℃で20分間殺菌処理を行って試験用の乳飲料を得た。
【0055】
試験用の乳飲料に添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は1質量ppmであった。イソブチルアンゲレートが添加された試験用の乳飲料の風味について、下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0056】
上記7名のパネラーに、イソブチルアンゲレート添加しなかった以外は同様の手順で調製した乳飲料(無添加品)を試飲してもらった。次いで、7名のパネラーに口内を十分に洗浄してもらい、イソブチルアンゲレートが添加された試験用の乳飲料(添加品)を試飲してもらった。無添加品と添加品とを比較して、試験用の乳飲料のオフフレーバー(乳由来の生臭みおよびケモノ臭)が改善されているか否かを、上述の実施例1と同様の基準で評価してもらった。7名のパネラーの合計点が10点以上の場合、オフフレーバーが改善されていると評価した。
【0057】
(実施例22:牛乳を含むコーヒー飲料(乳飲料))
調製例1で得られた溶液の代わりに、調製例2で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した以外は、実施例21と同様の手順で試験用の乳飲料を得た。得られた試験用の乳飲料に添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は約0.997質量ppmであった。イソブチルアンゲレートを含まない乳飲料(無添加品)とイソブチルアンゲレートが添加された試験用の乳飲料(添加品)とを比較して、実施例21と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0058】
(実施例23:野菜ジュース)
市販の野菜ミックスジュースに、調製例1で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した。野菜ミックスジュースには、原料としてトマト、ニンジン、メキャベツ、ケール、ピーマン、ビート、ホウレン草、ブロッコリー、アシタバ、チンゲンサイ、小松菜、カボチャ、パセリ、クレソン、アスパラガス、セロリ、ショウガ、トウモロコシ、ゴボウ、グリーンピース、紫イモ、キャベツ、レタス、タマネギ、ダイコン、紫キャベツ、赤シソ、カリフラワー、ナス、白菜、およびレモンが含まれていた。野菜ミックスジュースに添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は1質量ppmであった。イソブチルアンゲレートが添加された野菜ミックスジュースの風味について、下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0059】
上記7名のパネラーに、野菜ミックスジュース(無添加品)を試飲してもらった。次いで、7名のパネラーに口内を十分に洗浄してもらい、イソブチルアンゲレートが添加された野菜ミックスジュース(添加品)を試飲してもらった。無添加品と添加品とを比較して、野菜ミックスジュースのオフフレーバー(野菜独特のむれた風味、青臭みおよびグリーン臭)が改善されているか否かを、上述の実施例1と同様の基準で評価してもらった。7名のパネラーの合計点が10点以上の場合、オフフレーバーが改善されていると評価した。
【0060】
(実施例24:野菜ミックスジュース)
実施例23で用いた野菜ミックスジュースに、調製例2で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した。野菜ミックスジュースに添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は約0.997質量ppmであった。野菜ミックスジュース(無添加品)とイソブチルアンゲレートが添加された野菜ミックスジュース(添加品)とを比較して、実施例23と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0061】
(実施例25:オレンジジュース)
市販のオレンジジュース(濃縮還元)に、調製例1で得られた溶液を0.05質量%の割合で添加した。オレンジジュースには、原料として濃縮オレンジジュースおよび香料が使用されていた。
オレンジジュースに添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は0.5質量ppmであった。イソブチルアンゲレートが添加されたオレンジジュースの風味について、下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0062】
上記7名のパネラーに、オレンジジュース(無添加品)を試飲してもらった。次いで、7名のパネラーに口内を十分に洗浄してもらい、イソブチルアンゲレートが添加されたオレンジジュース(添加品)を試飲してもらった。無添加品と添加品とを比較して、オレンジジュースのオフフレーバー(加熱殺菌による独特のむれた風味、金属的な風味)が改善されているか否かを、上述の実施例1と同様の基準で評価してもらった。7名のパネラーの合計点が10点以上の場合、オフフレーバーが改善されていると評価した。
【0063】
(実施例26:オレンジジュース)
実施例25で用いたオレンジジュースに、調製例2で得られた溶液を0.05質量%の割合で添加した。オレンジジュースに添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は約0.4985質量ppmであった。オレンジジュース(無添加品)とイソブチルアンゲレートが添加されたオレンジジュース(添加品)とを比較して、実施例25と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0064】
(実施例27:レモンジュース)
市販のレモンジュースに、調製例1で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した。レモンジュースには、原料としてぶどう糖果糖液糖、砂糖、レモン果汁、酸味料、香料が使用されていた。
レモンジュースに添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は0.1質量ppmであった。イソブチルアンゲレートが添加されたレモンジュースの風味について、下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0065】
上記7名のパネラーに、レモンジュース(無添加品)を試飲してもらった。次いで、7名のパネラーに口内を十分に洗浄してもらい、イソブチルアンゲレートが添加されたレモンジュース(添加品)を試飲してもらった。無添加品と添加品とを比較して、レモンジュースのオフフレーバー(加熱殺菌による独特のむれた風味、カビ臭を想起させる風味、金属的な風味)が改善されているか否かを、上述の実施例1と同様の基準で評価してもらった。7名のパネラーの合計点が10点以上の場合、オフフレーバーが改善されていると評価した。
【0066】
(実施例28:レモンジュース)
実施例27で用いたレモンジュースに、調製例2で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した。レモンジュースに添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は約0.997質量ppmであった。レモンジュース(無添加品)とイソブチルアンゲレートが添加されたレモンジュース(添加品)とを比較して、実施例27と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
表1に示すように、実施例1〜28に示すいずれの飲食品も、イソブチルアンゲレートを添加すると、添加しない場合と比べてオフフレーバーが抑制されていることがわかる。