特許第6618061号(P6618061)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6618061
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】オフフレーバー抑制剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/10 20160101AFI20191202BHJP
   A23L 5/20 20160101ALI20191202BHJP
   A23L 11/00 20160101ALI20191202BHJP
   A23D 9/04 20060101ALI20191202BHJP
   A23D 7/00 20060101ALI20191202BHJP
   A23C 9/156 20060101ALI20191202BHJP
   A23F 5/24 20060101ALI20191202BHJP
   A23L 2/02 20060101ALI20191202BHJP
   A23L 2/38 20060101ALI20191202BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20191202BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   A23L27/10 C
   A23L5/20
   A23L11/00 Z
   A23D9/04
   A23D7/00 500
   A23C9/156
   A23F5/24
   A23L2/02 E
   A23L2/02 A
   A23L2/38 P
   A23L2/52 101
   A23L2/00 B
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-937(P2019-937)
(22)【出願日】2019年1月8日
【審査請求日】2019年2月26日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591016839
【氏名又は名称】長岡香料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104318
【弁理士】
【氏名又は名称】深井 敏和
(72)【発明者】
【氏名】橋本 清二
(72)【発明者】
【氏名】東 主拓
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 龍昇
(72)【発明者】
【氏名】戸張 純司
(72)【発明者】
【氏名】平田 望
【審査官】 福澤 洋光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−191581(JP,A)
【文献】 特開2018−191582(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/141030(WO,A1)
【文献】 特開平09−103473(JP,A)
【文献】 Flavour and Fragrance Journal,2004年,Vol.19,p.196-198
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 27/00−27/60
A23L 29/00−29/30
FSTA(STN)
CA/MEDLINE/BIOSIS/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソブチルアンゲレートを有効成分として含有し、大豆、牛乳、果実類、野菜類および植物油からなる群より選択される少なくとも1種の食材を含む飲食品が有するオフフレーバーのうち、レトロネザール香に関するオフフレーバーを抑制するためのオフフレーバー抑制剤。
【請求項2】
前記イソブチルアンゲレートが、ローマンカミツレ由来である請求項1に記載のオフフレーバー抑制剤。
【請求項3】
大豆、牛乳、果実類、野菜類および植物油からなる群より選択される少なくとも1種の食材を含む飲食品と請求項1または2に記載のオフフレーバー抑制剤とを含有し、オフフレーバー抑制剤が、イソブチルアンゲレートに換算して0.1〜2質量ppmの割合で含まれるオフフレーバー低減飲食品。
【請求項4】
大豆、牛乳、果実類、野菜類および植物油からなる群より選択される少なくとも1種の食材を含む飲食品に、イソブチルアンゲレートを0.1〜2質量ppmの割合で添加する飲食品のオフフレーバー抑制方法であって、
オフフレーバーがレトロネザール香に関するオフフレーバーである、オフフレーバー抑制方法。
【請求項5】
前記イソブチルアンゲレートが、ローマンカミツレ由来である請求項4に記載のオフフレーバー抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフフレーバー抑制剤、オフフレーバー低減飲食品、および飲食品のオフフレーバー抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲食品の中には、原材料に由来する独特の風味を有するもの、あるいは酸素、光、紫外線、温度などの影響により含まれる成分が経時的に変化して特異な風味を放つものがある。この飲食品の独特な風味および特異な風味とは、飲食品を口の中に入れて?み込むときに喉から鼻へ抜ける匂いを意味し、レトロネザール香と称される。オフフレーバーが発生した飲食品は、通常、健康面にはほとんど影響を及ぼさないものの、飲食品の品質やイメージに影響を及ぼす。
【0003】
摂取する際にオフフレーバーが気になる飲食品としては、例えば豆乳が挙げられる。大豆を原料とする豆乳は、良質の植物性タンパク質を含んでおり、健康的な飲料である。しかし、豆乳は原料である大豆に由来する独特の青臭み(大豆臭)を有しており、摂取しにくいと感じる人も多い。
【0004】
そこで、豆乳が有する独特の青臭みを除去する方法として、特許文献1には、イオン交換樹脂または逆浸透膜を用いて、豆乳の青臭みを除去する方法が記載されている。しかし、このように物理的に成分を除去する方法では、豆乳に含まれる青臭み成分だけでなく、有用な成分など他の成分も除去される可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭57−177648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、飲食物が本来有する成分に影響を及ぼさずに、飲食物のオフフレーバーを抑制することができるオフフレーバー抑制剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)イソブチルアンゲレートを有効成分として含有し、大豆、牛乳、果実類、野菜類および植物油からなる群より選択される少なくとも1種の食材を含む飲食品が有するオフフレーバーを抑制するためのオフフレーバー抑制剤。
(2)イソブチルアンゲレートが、ローマンカミツレ由来である上記(1)に記載のオフフレーバー抑制剤。
(3)大豆、牛乳、果実類、野菜類および植物油からなる群より選択される少なくとも1種の食材を含む飲食品と上記(1)または(2)に記載のオフフレーバー抑制剤とを含有し、オフフレーバー抑制剤が、イソブチルアンゲレートに換算して0.1〜2質量ppmの割合で含まれるオフフレーバー低減飲食品。
(4)大豆、牛乳、果実類、野菜類および植物油からなる群より選択される少なくとも1種の食材を含む飲食品に、イソブチルアンゲレートを0.1〜2質量ppmの割合で添加する飲食品のオフフレーバー抑制方法。
(5)イソブチルアンゲレートが、ローマンカミツレ由来である上記(4)に記載のオフフレーバー抑制方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、飲食物が本来有する成分に影響を及ぼさずに、飲食物のオフフレーバーを抑制することができるオフフレーバー抑制剤を提供することができる。さらに、本発明によれば、飲食物が本来有する成分に影響を及ぼさずにオフフレーバーが抑制されたオフフレーバー低減飲食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の一実施形態に係るオフフレーバー抑制剤は、イソブチルアンゲレートを有効成分として含有する。イソブチルアンゲレートはアンゲリカ酸エステルの1種であり、下記式(I)で示される構造を有する。
【0010】
【化1】
【0011】
イソブチルアンゲレートは、化学合成によって得られたものであってもよく、天然物由来のものであってもよい。天然物由来の場合、ローマンカミツレ由来であることが好ましい。ローマンカミツレ(Anthemis nobilis)はキク科の多年生植物である。ローマンカミツレの精油および抽出物には、イソブチルアンゲレート、ブチルアンゲレート、イソプロピルアンゲレートなどが主成分として含まれる。
【0012】
ローマンカミツレの精油は、ローマンカミツレを水蒸気蒸留、圧搾などに供することにより得られる。ローマンカミツレの部位は限定されず、花弁、葉、茎など全草を使用することができ、好ましくは花弁が使用される。
【0013】
ローマンカミツレの抽出物は、ローマンカミツレを水蒸気蒸留、還流抽出、常温ホモジナイズ抽出、超臨界流体抽出などに供することにより得られる。ローマンカミツレの部位は限定されず、精油と同様、全草を使用することができ、好ましくは花弁が使用される。還流抽出法のように溶媒を用いて抽出する場合、溶媒としては、例えば、アルコール類(メタノール、エタノールなどの低級アルコール、またはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール)、グリセリン脂肪酸エステル、アセトンなど比較的極性が高いケトン類、酢酸エチルなどのエステル類などの有機溶媒や、水などが挙げられる。
【0014】
ローマンカミツレの精油および抽出物は、イソブチルアンゲレートを含有しているため、イソブチルアンゲレートとしてそのまま使用してもよい。あるいは、ローマンカミツレの精油および抽出物を精製して不純物を除去して使用してもよく、ローマンカミツレの精油および抽出物からイソブチルアンゲレートを単離して使用してもよい。
【0015】
一実施形態に係るオフフレーバー抑制剤には、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の成分が含まれていてもよい。さらに、本開示の一実施形態に係るオフフレーバー抑制剤の形態は特に限定されず、例えば、液剤形態あるいは粉体形態にすることが可能である。
【0016】
液剤形態として使用する場合、例えばイソブチルアンゲレートを、溶剤で希釈すればよい。希釈に使用される溶剤としては、例えば、水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、食用油脂、動植物油脂などが挙げられる。さらに、付加的成分または他の有効成分と組み合わせて合剤にすることができる。例えば、公知の各種天然香料、合成香料などと組み合わせて使用することもできる。
【0017】
さらに、一実施形態に係るオフフレーバー抑制剤は、賦形剤(デキストリン、アラビアガム、乳糖など)や上記の溶剤を添加し、噴霧乾燥により粉末状あるいは顆粒状に、凍結乾燥または加熱乾燥により固形剤として使用することが可能であり、用途に応じて種々の剤形を採用することができる。
【0018】
一実施形態に係るオフフレーバー抑制剤が対象とする飲食品は、大豆、牛乳、果実類、野菜類および植物油からなる群より選択される少なくとも1種の食材(以下、「特定の食材」と記載する場合がある)を含む飲食品である。特定の食材のうち、大豆は青臭い大豆臭を有し、牛乳は独特の牛乳臭を有している。そのため、大豆または牛乳を含む飲食品は、これらの食材に由来する独特の風味を有することがある。
【0019】
一方、果実類、野菜類および植物油は、酸素、光、紫外線、温度などの影響によって、例えば、含まれる成分が酸化されたり分解されたりして変質することがある。そのため、これらの食材を含む飲食品は、変質により生じる特異な風味を有することがある。
【0020】
果実類としては、例えば下記に示す果実が挙げられる。
柑橘類果実:レモン、オレンジ、グレープフルーツ、ライム、柚子、ミカン、カボス、すだち、シークワシャー、キンカンなど。
仁果類果実:リンゴ、梨、カリン、マルメロなど。
核果類果実:桃、梅、サクランボ、杏など。
ブドウ類:巨峰、マスカットなど。
熱帯果実:パイナップル、バナナ、マンゴー、パパイヤ、パッションフルーツなど。
ベリー類:苺、ブルーベリー、クランベリー、ラズベリーなど。
種実類:アーモンド、落花生、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、ピスタチオ、マカダミアナッツなど。
その他:メロン、スイカなど。
【0021】
野菜類としては、例えば下記に示す野菜が挙げられる。
果菜類:ナス、トマト、ピーマン、かぼちゃ、きゅうり、唐辛子、トウモロコシ、グリーンピースなど。
葉菜類:キャベツ、メキャベツ、紫キャベツ、ケール、セロリ、ニラ、白菜、パセリ、ほうれん草、レタス、赤ジソ、ビート、アシタバ、チンゲンサイ、クレソン、小松菜など。
茎菜類:アスパラガス、たけのこ、ニンニク、ネギ、タマネギなど。
根菜類:大根、カブ、わさび、ゴボウ、生姜、ニンジン、レンコン、イモ類など。
花菜類:ブロッコリー、カリフラワーなど。
豆類:小豆、えんどう、そらまめ、大豆、緑豆など。
【0022】
植物油としては、例えば、大豆油、サフラワー油、コーン油、菜種油、ヒマワリ油、落花生油、綿実油、オリーブ油、米油、パーム油などが挙げられる。
【0023】
特定の食材を含む飲食品としては、具体的には、豆乳、調製豆乳、大豆タンパク加工品、乳飲料、乳酸菌飲料、乳製品(例えば、ヨーグルト、チーズなど)、加工油脂(例えば、バター、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングなど)、果実ジュース、果実ミックスジュース、野菜ジュース、果実・野菜ミックスジュース、果汁入り飲料、菓子類(例えば、ソフトキャンディー、グミなど)大豆油など上記の植物油やこれらの植物油を含む飲食品(例えば、揚げ物など)などが挙げられる。
【0024】
本開示の一実施形態に係るオフフレーバー抑制剤は、上述の特定の食材を含む飲食品に添加して使用される。オフフレーバー抑制剤の添加量は、飲食品中に含まれる特定の食材の種類や量に応じて適宜設定される。オフフレーバー抑制剤はイソブチルアンゲレートに換算して、飲食品中に通常0.1〜2質量ppm程度、好ましくは0.5〜1質量ppm程度の濃度となるように添加される。
【0025】
オフフレーバー抑制剤を添加するタイミングは特に限定されない。例えば、特定の食材を含む飲食品の製造工程中に添加してもよく、製造後に添加してもよく、オフフレーバーを感じるようになった後に添加してもよい。
【0026】
本開示の一実施形態に係るオフフレーバー抑制剤を、独特な風味や特異な風味であるオフフレーバーを有する飲食品に添加することによって、飲食物が本来有する成分に影響を及ぼさずにオフフレーバーが抑制されたオフフレーバー低減飲食品が得られる。本開示の一実施形態に係るオフフレーバー抑制剤は、例えば、食品産業分野などにおいて好適に使用される。
【実施例】
【0027】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
(調製例1)
0.1gのイソブチルアンゲレートを、プロピレングリコールで希釈して、総量を100gとした。得られた溶液に含まれるイソブチルアンゲレートの濃度は1000質量ppmである。
【0029】
(調製例2)
0.35gのローマンカミツレ精油を、プロピレングリコールで希釈して、総量を100gとした。使用したローマンカミツレ精油に含まれるアンゲリカ酸エステルは下記のとおりであり、ローマンカミツレ精油中に28.5質量%のイソブチルアンゲレートが含まれていた。得られた溶液に含まれるイソブチルアンゲレートの濃度は約997質量ppmである。
プロピルアンゲレート:2.9質量%
イソブチルアンゲレート:28.5質量%
2−メチル−2−ブチルアンゲレート:1.5質量%
ブチルアンゲレート:微量
tert−ブチルアンゲレート:微量
【0030】
(実施例1:無調整豆乳)
市販の無調整豆乳(タンパク質を約9.1質量%、脂質を約7.3質量%、および炭水化物を約3.2質量%の割合で含む)に、調製例1で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した。無調整豆乳に添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は1質量ppmであった。イソブチルアンゲレートが添加された無調整豆乳の風味について、下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0031】
7名のパネラーに(20代、30代、40代、50代および60代の男性各1名、ならびに20代および30代の女性各1名)、無調整豆乳(無添加品)を試飲してもらった。次いで、7名のパネラーに口内を十分に洗浄してもらい、イソブチルアンゲレートが添加された無調整豆乳(添加品)を試飲してもらった。無添加品と添加品とを比較して、無調整豆乳のオフフレーバー(大豆由来の青臭みおよびグリーン臭)が改善されているか否かを、下記の基準で評価してもらった。「青臭み」とは、例えば若い雑草などをすり潰した際に感じる強い草の臭気であり、「グリーン臭」とは、緑色野菜を食した際に感じる青臭みほど強くない(青臭みよりは爽やかな)臭気である。7名のパネラーの合計点が10点以上の場合、オフフレーバーが改善されていると評価した。
2点:オフフレーバーを感じない、あるいは明らかにオフフレーバーが改善されている場合。
1点:若干オフフレーバーを感じるものの、無添加品よりは改善されている場合。
0点:オフフレーバーが改善されておらず、無添加品と差がない場合。
【0032】
(実施例2:無調整豆乳)
実施例1で用いた無調整豆乳に、調製例2で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した。無調整豆乳に添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は約0.997質量ppmであった。無調整豆乳(無添加品)とイソブチルアンゲレートが添加された無調整豆乳(添加品)とを比較して、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0033】
(実施例3:調整豆乳)
市販の調整豆乳に、調製例1で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した。調整豆乳には、原料として無調整豆乳、砂糖、米油、食塩、乳酸カルシウム、乳化剤、糊料および香料が含まれていた。調整豆乳に添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は1質量ppmであった。イソブチルアンゲレートが添加された調整豆乳の風味について、下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0034】
上記7名のパネラーに、調整豆乳(無添加品)を試飲してもらった。次いで、7名のパネラーに口内を十分に洗浄してもらい、イソブチルアンゲレートが添加された調整豆乳(添加品)を試飲してもらった。無添加品と添加品とを比較して、調整豆乳のオフフレーバー(香料で若干マスキングされているものの、後味として残る大豆由来のグリーン臭および豆臭)が改善されているか否かを、上述の実施例1と同様の基準で評価してもらった。7名のパネラーの合計点が10点以上の場合、オフフレーバーが改善されていると評価した。
【0035】
(実施例4:調整豆乳)
実施例2で用いた調整豆乳に、調製例2で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した。調整豆乳に添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は約0.997質量ppmであった。調整豆乳(無添加品)とイソブチルアンゲレートが添加された調整豆乳(添加品)とを比較して、実施例3と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0036】
(実施例5:大豆油)
市販の大豆油に、調製例1で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した。大豆油に添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は1質量ppmであった。イソブチルアンゲレートが添加された大豆油の風味について、下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0037】
上記7名のパネラーに、大豆油(無添加品)を試飲してもらった。次いで、7名のパネラーに口内を十分に洗浄してもらい、イソブチルアンゲレートが添加された大豆油(添加品)を試飲してもらった。無添加品と添加品とを比較して、大豆油のオフフレーバー(植物油特有の青臭みおよびグリーン臭)が改善されているか否かを、上述の実施例1と同様の基準で評価してもらった。7名のパネラーの合計点が10点以上の場合、オフフレーバーが改善されていると評価した。
【0038】
(実施例6:大豆油)
実施例5で用いた大豆油に、調製例2で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した。大豆油に添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は約0.997質量ppmであった。大豆油(無添加品)とイソブチルアンゲレートが添加された大豆油(添加品)とを比較して、実施例5と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0039】
(実施例7:綿実油)
実施例5で用いた大豆油の代わりに市販の綿実油を用いた以外は、実施例5と同様の手順で綿実油のオフフレーバーが改善されているか否かを、上記7名のパネラーに評価してもらった。結果を表1に示す。
【0040】
(実施例8:綿実油)
実施例6で用いた大豆油の代わりに市販の綿実油を用いた以外は、実施例6と同様の手順で綿実油のオフフレーバーが改善されているか否かを、上記7名のパネラーに評価してもらった。結果を表1に示す。
【0041】
(実施例9:菜種油)
実施例5で用いた大豆油の代わりに市販の菜種油を用いた以外は、実施例5と同様の手順で菜種油のオフフレーバーが改善されているか否かを、上記7名のパネラーに評価してもらった。結果を表1に示す。
【0042】
(実施例10:菜種油)
実施例6で用いた大豆油の代わりに市販の菜種油を用いた以外は、実施例6と同様の手順で菜種油のオフフレーバーが改善されているか否かを、上記7名のパネラーに評価してもらった。結果を表1に示す。
【0043】
(実施例11:ヒマワリ油)
実施例5で用いた大豆油の代わりに市販のヒマワリ油を用いた以外は、実施例5と同様の手順でヒマワリ油のオフフレーバーが改善されているか否かを、上記7名のパネラーに評価してもらった。結果を表1に示す。
【0044】
(実施例12:ヒマワリ油)
実施例6で用いた大豆油の代わりに市販のヒマワリ油を用いた以外は、実施例6と同様の手順でヒマワリ油のオフフレーバーが改善されているか否かを、上記7名のパネラーに評価してもらった。結果を表1に示す。
【0045】
(実施例13:菜種白絞油)
実施例5で用いた大豆油の代わりに市販の菜種白絞油を用いた以外は、実施例5と同様の手順で菜種白絞油のオフフレーバーが改善されているか否かを、上記7名のパネラーに評価してもらった。結果を表1に示す。
【0046】
(実施例14:菜種白絞油)
実施例6で用いた大豆油の代わりに市販の菜種白絞油を用いた以外は、実施例6と同様の手順で菜種白絞油のオフフレーバーが改善されているか否かを、上記7名のパネラーに評価してもらった。結果を表1に示す。
【0047】
(実施例15:マーガリン)
市販のマーガリン(コーン油を70質量%含み、油脂を合計で80質量%以上含む)に、調製例1で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した。マーガリンには、原料としてコーン油、食用精製加工油脂、ホエーパウダー、食塩、乳化剤、香料および着色料が含まれていた。マーガリンに添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は1質量ppmであった。イソブチルアンゲレートが添加されたマーガリンの風味について、下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0048】
上記7名のパネラーに、マーガリン(無添加品)を試食してもらった。次いで、7名のパネラーに口内を十分に洗浄してもらい、イソブチルアンゲレートが添加されたマーガリン(添加品)を試食してもらった。無添加品と添加品とを比較して、マーガリンのオフフレーバー(植物油特有の青臭み、グリーン臭、ならびに植物油および香料の金属的酸化臭)が改善されているか否かを、上述の実施例1と同様の基準で評価してもらった。7名のパネラーの合計点が10点以上の場合、オフフレーバーが改善されていると評価した。
【0049】
(実施例16:マーガリン)
実施例15で用いたマーガリンに、調製例2で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した。マーガリンに添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は約0.997質量ppmであった。マーガリン(無添加品)とイソブチルアンゲレートが添加されたマーガリン(添加品)とを比較して、実施例15と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0050】
(実施例17:マーガリン)
実施例15で用いたマーガリンの代わりに別の市販のマーガリン(油脂を合計で80質量%含む)を用いた以外は、実施例15と同様の手順でマーガリンのオフフレーバーが改善されているか否かを、上記7名のパネラーに評価してもらった。このマーガリンには、原料として食用精製加工油脂、大豆油、パーム油、脱脂粉乳、乳化剤および香料が含まれていた。結果を表1に示す。
【0051】
(実施例18:マーガリン)
実施例16で用いたマーガリンの代わりに実施例17で用いたマーガリンを用いた以外は、実施例16と同様の手順でマーガリンのオフフレーバーが改善されているか否かを、上記7名のパネラーに評価してもらった。結果を表1に示す。
【0052】
(実施例19:ファットスプレッド)
実施例15で用いたマーガリンの代わりに市販のファットスプレッド(油脂を合計で65質量%含む)を用いた以外は、実施例15と同様の手順でファットスプレッドのオフフレーバーが改善されているか否かを、上記7名のパネラーに評価してもらった。このファットスプレッドには、原料として菜種油、コーン油、食用精製加工油脂、食塩、ホエーパウダー、乳化剤、香料および着色料が含まれていた。マーガリンとファットスプレッドとの違いは油脂の含有量であり、マーガリンの油脂含有量は80質量%以上であり、ファットスプレッドの油脂含有量は80質量%未満である。結果を表1に示す。
【0053】
(実施例20:ファットスプレッド)
実施例16で用いたマーガリンの代わりに実施例19で用いたファットスプレッドを用いた以外は、実施例16と同様の手順でファットスプレッドのオフフレーバーが改善されているか否かを、上記7名のパネラーに評価してもらった。結果を表1に示す。
【0054】
(実施例21:牛乳を含むコーヒー飲料(乳飲料))
牛乳を含むコーヒー飲料(乳飲料)について、オフフレーバーが改善されているか否かを検証するために、試験用の乳飲料を次のように調製した。661.6gのコーヒー抽出物(固形分濃度17.2質量%)、450gの牛乳、103gのグラニュー糖、3gの重曹、2gのカゼインナトリウム、および2gの乳化剤を混合して、十分に撹拌した。次いで、得られた混合物にイオン交換水を加えて、全量を2000mLにした。次いで、調製例1で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加して缶容器に200mLずつ詰め、123℃で20分間殺菌処理を行って試験用の乳飲料を得た。
【0055】
試験用の乳飲料に添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は1質量ppmであった。イソブチルアンゲレートが添加された試験用の乳飲料の風味について、下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0056】
上記7名のパネラーに、イソブチルアンゲレート添加しなかった以外は同様の手順で調製した乳飲料(無添加品)を試飲してもらった。次いで、7名のパネラーに口内を十分に洗浄してもらい、イソブチルアンゲレートが添加された試験用の乳飲料(添加品)を試飲してもらった。無添加品と添加品とを比較して、試験用の乳飲料のオフフレーバー(乳由来の生臭みおよびケモノ臭)が改善されているか否かを、上述の実施例1と同様の基準で評価してもらった。7名のパネラーの合計点が10点以上の場合、オフフレーバーが改善されていると評価した。
【0057】
(実施例22:牛乳を含むコーヒー飲料(乳飲料))
調製例1で得られた溶液の代わりに、調製例2で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した以外は、実施例21と同様の手順で試験用の乳飲料を得た。得られた試験用の乳飲料に添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は約0.997質量ppmであった。イソブチルアンゲレートを含まない乳飲料(無添加品)とイソブチルアンゲレートが添加された試験用の乳飲料(添加品)とを比較して、実施例21と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0058】
(実施例23:野菜ジュース)
市販の野菜ミックスジュースに、調製例1で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した。野菜ミックスジュースには、原料としてトマト、ニンジン、メキャベツ、ケール、ピーマン、ビート、ホウレン草、ブロッコリー、アシタバ、チンゲンサイ、小松菜、カボチャ、パセリ、クレソン、アスパラガス、セロリ、ショウガ、トウモロコシ、ゴボウ、グリーンピース、紫イモ、キャベツ、レタス、タマネギ、ダイコン、紫キャベツ、赤シソ、カリフラワー、ナス、白菜、およびレモンが含まれていた。野菜ミックスジュースに添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は1質量ppmであった。イソブチルアンゲレートが添加された野菜ミックスジュースの風味について、下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0059】
上記7名のパネラーに、野菜ミックスジュース(無添加品)を試飲してもらった。次いで、7名のパネラーに口内を十分に洗浄してもらい、イソブチルアンゲレートが添加された野菜ミックスジュース(添加品)を試飲してもらった。無添加品と添加品とを比較して、野菜ミックスジュースのオフフレーバー(野菜独特のむれた風味、青臭みおよびグリーン臭)が改善されているか否かを、上述の実施例1と同様の基準で評価してもらった。7名のパネラーの合計点が10点以上の場合、オフフレーバーが改善されていると評価した。
【0060】
(実施例24:野菜ミックスジュース)
実施例23で用いた野菜ミックスジュースに、調製例2で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した。野菜ミックスジュースに添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は約0.997質量ppmであった。野菜ミックスジュース(無添加品)とイソブチルアンゲレートが添加された野菜ミックスジュース(添加品)とを比較して、実施例23と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0061】
(実施例25:オレンジジュース)
市販のオレンジジュース(濃縮還元)に、調製例1で得られた溶液を0.05質量%の割合で添加した。オレンジジュースには、原料として濃縮オレンジジュースおよび香料が使用されていた。
オレンジジュースに添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は0.5質量ppmであった。イソブチルアンゲレートが添加されたオレンジジュースの風味について、下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0062】
上記7名のパネラーに、オレンジジュース(無添加品)を試飲してもらった。次いで、7名のパネラーに口内を十分に洗浄してもらい、イソブチルアンゲレートが添加されたオレンジジュース(添加品)を試飲してもらった。無添加品と添加品とを比較して、オレンジジュースのオフフレーバー(加熱殺菌による独特のむれた風味、金属的な風味)が改善されているか否かを、上述の実施例1と同様の基準で評価してもらった。7名のパネラーの合計点が10点以上の場合、オフフレーバーが改善されていると評価した。
【0063】
(実施例26:オレンジジュース)
実施例25で用いたオレンジジュースに、調製例2で得られた溶液を0.05質量%の割合で添加した。オレンジジュースに添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は約0.4985質量ppmであった。オレンジジュース(無添加品)とイソブチルアンゲレートが添加されたオレンジジュース(添加品)とを比較して、実施例25と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0064】
(実施例27:レモンジュース)
市販のレモンジュースに、調製例1で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した。レモンジュースには、原料としてぶどう糖果糖液糖、砂糖、レモン果汁、酸味料、香料が使用されていた。
レモンジュースに添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は0.1質量ppmであった。イソブチルアンゲレートが添加されたレモンジュースの風味について、下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0065】
上記7名のパネラーに、レモンジュース(無添加品)を試飲してもらった。次いで、7名のパネラーに口内を十分に洗浄してもらい、イソブチルアンゲレートが添加されたレモンジュース(添加品)を試飲してもらった。無添加品と添加品とを比較して、レモンジュースのオフフレーバー(加熱殺菌による独特のむれた風味、カビ臭を想起させる風味、金属的な風味)が改善されているか否かを、上述の実施例1と同様の基準で評価してもらった。7名のパネラーの合計点が10点以上の場合、オフフレーバーが改善されていると評価した。
【0066】
(実施例28:レモンジュース)
実施例27で用いたレモンジュースに、調製例2で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した。レモンジュースに添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は約0.997質量ppmであった。レモンジュース(無添加品)とイソブチルアンゲレートが添加されたレモンジュース(添加品)とを比較して、実施例27と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
表1に示すように、実施例1〜28に示すいずれの飲食品も、イソブチルアンゲレートを添加すると、添加しない場合と比べてオフフレーバーが抑制されていることがわかる。
【要約】
【課題】飲食物が本来有する成分に影響を及ぼさずに、飲食物のオフフレーバーを抑制することができるオフフレーバー抑制剤を提供する。
【解決手段】本発明に係るオフフレーバー抑制剤は、イソブチルアンゲレートを有効成分として含有し、大豆、牛乳、果実類、野菜類および植物油からなる群より選択される少なくとも1種の食材を含む飲食品が有するオフフレーバーを抑制する。

【選択図】なし