(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
軸方向に伸縮可能に構成され、上部構造を下部構造の上に支承を介して載置した構造物に対して、前記軸方向の一端が前記構造物の前記上部構造側に取り付けられ、且つ前記軸方向の他端が前記構造物の前記下部構造側に取り付けられたダンパと、
前記ダンパにおける前記軸方向の伸縮量が予め定めた一定量を超えているかどうかを検知する検知部と、
前記ダンパにおける前記軸方向の伸縮量が予め定めた一定量を超えていることが前記検知部によって検知された場合、その旨を出力する出力部と、を備え、
前記ダンパは、内筒を外筒に対して前記軸方向にスライド可能に挿入した構成であり、
前記検知部は、センサを有し、前記ダンパにおける前記軸方向の伸縮量が予め定めた一定量を超えていないとき、前記センサが前記ダンパの一部を検知し、且つ前記ダンパにおける前記軸方向の伸縮量が予め定めた一定量を超えているとき、前記センサが前記ダンパの一部を検知しないように、前記センサを前記内筒、または前記外筒の一方に取り付けている、異常検知装置。
前記出力部は、前記検知部が前記ダンパにおける前記軸方向の伸縮量が予め定めた一定量を超えていることを検知した後に、前記ダンパにおける前記軸方向の伸縮量が予め定めた一定量を超えていないことを検知したときも、前記ダンパにおける前記軸方向の伸縮量が予め定めた一定量を超えていることが前記検知部によって検知されたことを出力する、請求項1、または2に記載の異常検知装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0018】
図1は、この発明の実施形態であるモニタリングシステムの構成を示す図である。この例にかかるモニタリングシステムは、自動車が走行する高架道路橋(橋梁)の上部構造と、下部構造との間に位置する支承や支承周辺の部材が損傷した可能性が高い場合に、その旨を出力する。高架道路橋が、この発明でいう構造物に相当する。この例にかかるモニタリングシステムは、複数のセンサノード1と、複数の報知装置2と、上位装置3と、を備える。
【0019】
複数のセンサノード1は、グループP1〜Pnに分けている。各グループP1〜Pnに属するセンサノード1は、1つであってもよいし、複数であってもよい。また、各グループP1〜Pnに属するセンサノード1の数は、均一である必要はない。この例では、センサノード1とダンパ5とを、1対1で対応付けている。センサノード1は、後述するダンパ5の軸方向における伸縮量が、予め定めた一定量を超えたかどうかを検知する。センサノード1のグループ分けの詳細については、後述する。
【0020】
報知装置2は、センサノード1のグループP1〜Pn毎に設けている。報知装置2は、対応するグループP1〜Pnに属するセンサノード1との間で入出力にかかる通信を行う。
【0021】
上位装置3は、高架道路橋を含む交通網を管理する道路管制センタに設置している。上位装置3は、各報知装置2との間で入出力にかかる通信を行う。
【0022】
構造物である高架道路橋について説明する。
図2は、高架道路橋の橋軸方向(この例では、車両の走行方向)の概略断面図である。
図3は、高架道路橋の橋軸直角方向(この例では、車両の幅方向)の概略断面図である。
図4は、
図3において破線で囲んだ領域の拡大図である。高架道路橋の橋脚は、橋軸方向に適当な間隔で並んでいる。高架道路橋は、下部構造である橋脚と、上部構造である主桁との間に、支承が位置する。支承は、主桁を含む上部構造と、橋脚を含む下部構造との間に作用する荷重(振動)を伝達する部材である。自動車が走行する路面は、主桁の上面(橋脚側の反対面)側に設けた床版の上に形成されている。
【0023】
この例では、高架道路橋の下部構造である橋脚と、報知装置2とを1対1で対応付けている。報知装置2は、
図2に示すように、上部構造の側壁に取り付けている。報知装置2は、橋軸方向において、対応する橋脚と略同じ位置に取り付けている。
【0024】
支承は、公知のように、下部構造である橋脚側に位置する下沓と、上部構造である主桁側に位置する上沓とを備え、下沓と上沓とが相対的に変位する部材である。支承は、下沓を橋脚の上面(上部構造に対向する面)に取り付け、上沓を橋桁の底面(下部構造に対向する面)に取り付けている。すなわち、支承は、
図2、および
図3に示すように、上部構造と、下部構造との間に位置する。言い換えれば、上部構造は、支承を介して下部構造の上に載置されている。
図3は、支承が橋軸直角方向に3つ並んでいる場合を例示している。
【0025】
なお、橋軸直角方向に並んでいる支承の数は、3つでなくてもよい。
【0026】
また、下部構造である橋脚の上面には、定着台が形成されている。この定着台は、橋脚に載置されている上部構造の橋桁のいずれかの側面に対向する面を有するブロックである。
【0027】
ダンパ5は、上部構造の橋桁と、下部構造の定着台との間に取り付けている。
図4に示すよう
に、ダンパ5は、伸縮する軸方向の一方の端部を橋桁に取り付け、軸方向の他方の端部を定着台に取り付けている。すなわち、ダンパ5は、軸方向の一方の端部が上部構造側に取り付けられ、軸方向の他方の端部が下部構造側に取り付けられている。ダンパ5の軸方向は、この例では橋軸直角方向に合わせている。
図3は、1つの橋脚に対して、2つのダンパ5を取り付けた場合を例示している。
【0028】
なお、1つの橋脚に取り付けるダンパ5の数は、2つでなくてもよい。また、定着台は、橋脚に取り付けるダンパ5の個数に応じて形成すればよい。
【0029】
この例では、ダンパ5は摩擦ダンパである。摩擦ダンパについて簡単に説明しておく。摩擦ダンパは、公知のように、内筒を外筒に挿入した構成であり、内筒が外筒に対して挿入方向にスライドすることで伸縮する(例えば、http://www.aaconst.co.jp/sb/point/01.html#01参照)。摩擦ダンパの軸方向は、外筒に対する内筒の挿入方向である。外筒の内部には、軸方向に延びるロッドが取り付けられている。また、内筒の内部には、軸方向に貫通させた穴を有するダイスが取り付けられている。ダイスの穴の内径は、ロッドの外形よりも少し小さい。摩擦ダンパは、内筒を外筒に挿入したとき、ロッドがダイスの穴に嵌挿される構成である。すなわち、摩擦ダンパは、ダイスと、ロッドとの接触面において生じている摩擦力(静摩擦、または動摩擦)を超える応力が軸方向に作用しているときに伸縮する。また、摩擦ダンパは、軸方向に作用している応力がダイスと、ロッドとの接触面において生じている摩擦力未満になると、そのときの状態を保持する。
【0030】
ダンパ5には、上部構造と下部構造との間で伝達される振動の大きさに応じた応力が軸方向に作用する。ダンパ5の軸方向に作用する応力は、上部構造と下部構造との間で伝達された振動が大きくなるにつれて大きくなる。
【0031】
報知装置2は、センサノード1のグループP1〜Pn毎に設けている。また、報知装置2と、橋脚とは1対1で対応付けている。そして、センサノード1のグループP1〜Pnと、橋脚とは1対1で対応付けている。すなわち、各報知装置2に対応するグループに属するセンサノード1は、その報知装置2が対応する橋脚に取り付けられているダンパ5の軸方向における伸縮量を検知する。
【0032】
図5は、センサノードの主要部の構成を示すブロック図である。センサノード1は、制御部11と、電源部12と、センサ部13と、近距離無線通信部14とを備えている。
【0033】
制御部11は、センサノード1本体の動作を制御する。また、センサノード1は、自機を識別するノードコードを制御部11に設けたメモリ(不図示)に記憶している。このノードコードは、例えばn桁のコードであり、先頭のm桁(n>m)が対応する橋脚を示すコードである。
【0034】
電源部12は、センサノード1本体各部に動作電源を供給する。電源部12は、センサノード1本体に内蔵している電池、外部接続しているバッテリを電力源とし、センサノード1本体各部に動作電源を供給する構成であってもよいし、内蔵、または外部接続している発電ユニットを電力源とし、センサノード1本体各部に動作電源を供給する構成であってもよい。さらには、電源部12は、商用電源を電力源とし、センサノード1本体各部に動作電源を供給する構成であってもよい。
【0035】
センサ部13は、誘導型の近接センサ13aを有し、この近接センサ13aでダンパ5の軸方向における伸縮量が予め定めた一定量を超えたかどうかを検知する。
【0036】
近接センサ13aは、検知対象物6aが検知面に対向しているか、いないかを検知する。
図6は、ダンパにおける近接センサの取り付け例を示す平面図である。
図6(A)、(B)において、ダンパ5の軸方向は、左右方向である。
図6(A)は、ダンパの軸方向に対して垂直な方向からみた平面図であり、
図6(B)は、
図6(A)に示すA方向からみた平面図である。検知対象物取付部材6が、ダンパ5の内筒に取り付けられている。また、近接センサ13aを取り付けるセンサ取付部材7が、ダンパ5の外筒に取り付けられている。
【0037】
図7は、検知対象物取付部材を示す平面図である。
図7(A)は、
図6(A)と同じ方向からみた平面図であり、
図7(B)は、
図6(B)と同じ方向からみた平面図である。検知対象物取付部材6は、
図7に示すように、検知対象物6aが取り付けられている。検知対象物取付部材6の材質は、近接センサ13aが検出できない材質(例えば、樹脂)である。検知対象物6aの材質は、近接センサ13aが検出できる材質(例えば、金属)である。
【0038】
ダンパ5を、構造物である橋桁と定着台との間に取り付けるとき、センサ取付部材7に取り付けた近接センサ13aの検知面の中心と、検知対象物取付部材6に取り付けた検知対象物6aの中心とを対向させている。ダンパ5の軸方向の伸縮に応じて、近接センサ13aの検知面と、検知対象物6aとの相対的な位置がダンパ5の軸方向に変化する。センサ部13は、近接センサ13aが検知面と検知対象物6aとが対向していない状態を検知することにより、ダンパ5の軸方向における伸縮量が予め定めた一定量を超えたことを検知する。この一定量は、ダンパ5の軸方向における検知対象物6aの長さLを変えることにより調整できる。具体的には、一定量は、ダンパ5の軸方向における検知対象物6aの長さLを長くするにつれて長くなる。また、ダンパ5の軸方向における検知対象物6aの長さLは、上部構造と下部構造との間で、支承や支承周辺の部材が損傷する可能性が高い振動が伝達されたときにおける、ダンパ5の軸方向の伸縮量に応じて定める。
【0039】
なお、ここでは、誘導型の近接センサ13aを用いるとしたが、静電容量型や磁気式の近接センサを用いてもよい。
【0040】
近距離無線通信部14は、報知装置2との間における近距離無線通信を制御する。
【0041】
図8は、報知装置の主要部の構成を示すブロック図である。報知装置2は、制御部21と、電源部22と、操作部23と、表示部24と、近距離無線通信部25と、無線通信部26とを備えている。
【0042】
制御部21は、報知装置2本体の動作を制御する。また、報知装置2は、自機を識別する装置コードを制御部21に設けた不揮発性のメモリ(不図示)に記憶している。この装置コードは、例えばm桁のコードであり、対応する橋脚を示すコードである。
【0043】
電源部22は、報知装置2本体各部に動作電源を供給する。電源部22は、商用電源が接続される商用電源接続端子22a、およびバッテリが接続されるバッテリ接続端子22bを備えている。電源部22は、商用電源接続端子22aに商用電源が接続されている場合、商用電源接続端子22aに接続されている商用電源を電力源とし、報知装置2本体各部に動作電源を供給する。また、電源部22は、商用電源接続端子22aに商用電源が接続されておらず(商用電源の停電時を含む)、バッテリ接続端子22bにバッテリが接続されている場合、バッテリ接続端子22bに接続されているバッテリを電力源とし、報知装置2本体各部に動作電源を供給する。
【0044】
なお、電源部22は、上述の商用電源に換えて、内蔵、または外部接続している発電ユニット等を電力源とし、報知装置2本体各部に動作電源を供給する構成としてもよい。
【0045】
操作部23は、報知装置2本体に対応する橋脚に取り付けたいずれかのダンパ5における軸方向の伸縮量が予め定めた一定量を超えたかどうかを出力させるときに操作する確認ボタン23aを有している。この確認ボタン23aは、報知装置2本体の表面に露出しており、簡単に操作できる。
【0046】
表示部24は、報知装置2本体に対応する橋脚に設けられているいずれかのダンパ5において、軸方向の伸縮量が予め定めた一定量を超えたことが検知された場合に点灯させる異常通知ランプ24a、および報知装置2本体に対応する橋脚に設けられている全てのダンパ5において、軸方向の伸縮量が予め定めた一定量を超えたことが検知されていない場合に点灯させる適正通知ランプ24bを有している。異常通知ランプ24aと、適正通知ランプ24bとは、発光色が異なる。例えば、異常通知ランプ24aの発光色は赤であり、適正通知ランプ24bの発光色は青である。
【0047】
近距離無線通信部25は、対応するグループP1〜Pnに属するセンサノード1との間における近距離無線通信を制御する。
【0048】
なお、ここでは、センサノード1と報知装置2とは、入出力にかかる通信を近距離無線通信で行う構成にしているが、センサノード1と報知装置2とが有線で接続された構成であってもよい。
【0049】
無線通信部26は、上位装置3との間における入出力にかかる無線通信を制御する。
【0050】
図9は、上位装置の主要部の構成を示すブロック図である。上位装置3は、制御部31と、操作部32と、表示部33と、記憶部34と、無線通信部35と、交通網データベース36(以下、交通網DB36と言う。)と、を備えている。
【0051】
制御部31は、上位装置3本体の動作を制御する。
【0052】
操作部32には、キーボードやマウス等の入力デバイスが接続されている。操作部32は、オペレータによる入力デバイスの操作に応じて、上位装置3本体に対する入力を受け付ける。
【0053】
表示部33には、液晶ディスプレイ等の表示デバイスが接続されている。表示部33は、接続されている表示デバイスにおける画面表示を制御する。
【0054】
記憶部34は、動作時に発生したデータ等を一時的に記憶するワーキングエリアとして使用するメモリを有する。
【0055】
無線通信部35は、報知装置2との間における入出力にかかる無線通信を制御する。この例では、上位装置3と、報知装置2との間における通信を無線通信にしているが、有線による通信であってもよい。また、上位装置3と、報知装置2との間における通信は、公衆回線を利用してもよいし、インタネット等のネットワークを利用してもよい。
【0056】
交通網DB36は、この例にかかるモニタリングシステムにおいて、状態をモニタリングする高架道路橋を含む交通網の地図データを記憶している。また、この例にかかるモニタリングシステムにおいて、状態をモニタリングする高架道路橋にかかる橋脚毎に、その橋脚の地図上の位置を示すデータを記憶している。具体的には、橋脚の識別コード(この例では、報知装置2の装置コードでもある。)と、橋脚の位置を示す緯度データ、および経度データと、を対応付けて記憶している。交通網DB36が記憶しているデータを総称して交通網データと言う。
【0057】
以下、この例にかかるモニタリングシステムの動作について説明する。
【0058】
図10は、センサノードの動作を示すフローチャートである。センサノード1は、検知タイミングになると(s1)、センサ部13で検知対象のダンパ5(対応付られているダンパ5)に軸方向の伸縮量が予め定めた一定量を超えているかどうかを検知する(s2)。
【0059】
センサノード1には、検知タイミングになったと判定する条件が予め設定されている。例えば、センサノード1は、
(1)前回の検知タイミングから予め定めている一定時間(数分、数秒等)経過したときや、
(2)追加的に設けた地震動による揺れを検知するセンサ(不図示)が地震動による揺れを検知したときや、
(3)近距離無線通信部14において、対応する報知装置2側から送信されてきた検知要求を受信したとき、
に検知タイミングになったと判定する。センサノード1が検知タイミングになったと判定する条件は、上記(1)〜(3)以外の条件であってもよい。また、センサノード1が検知タイミングになったと判定する条件は、複数であってもよい。さらに、センサノード1は、s2にかかる処理を常時行う構成であってもよい(この場合、s1にかかる処理は不要である。)。
【0060】
s2では、予め定めた検知時間(例えば、数秒)にわたって、近接センサ13aが連続して検知対象物6aを検知しつづけた場合、検知対象のダンパ5の軸方向の伸縮量が予め定めた一定量の範囲内であったとする検知結果を得る。また、予め定めた検知時間(例えば、数秒)において、近接センサ13aが連続して検知対象物6aを検知しつづけていない場合、検知対象のダンパ5の軸方向の伸縮量が予め定めた一定量を超えたとする検知結果を得る。
【0061】
上述したように、上部構造と下部構造との間で伝達された振動が大きくなるにつれて、ダンパ5の軸方向に作用する応力が大きくなる。したがって、ダンパ5の軸方向の伸縮量が予め定めた一定量を超えた場合、上部構造と下部構造との間で伝達された振動によって支承や支承周辺の部材が損傷した可能性が高い。すなわち、s2では、支承や支承周辺の部材が損傷した可能性が高いかどうかにかかる検知結果を得ることができる。
【0062】
なお、(3)の場合、報知装置2は、対応するグループに属する全てのセンサノード1に対して検知要求を一斉に送信してもよいし、特定のセンサノード1に対して検知要求を送信してもよい。
【0063】
センサノード1は、近距離無線通信部14における近距離無線通信で、センサ部13で取得した今回の検知結果(検知対象のダンパ5における軸方向の伸縮量が予め定めた一定量を超えたかどうか)を報知装置2に送信し(s3)、s1に戻る。センサノード1は、s3で今回の検知結果を送信するとき、この検知結果に自機のノードコードを対応付けている。
【0064】
図11は、報知装置の動作を示すフローチャートである。報知装置2は、近距離無線通信部25において、対応するグループに属するいずれかのセンサノード1から送信されてきた検知結果を受信すると(s11)、受信した検知結果を制御部21に設けている不揮発性のメモリ(不図示)に記憶し(s12)、s11に戻る。報知装置2は、近距離無線通信部25で受信した検知結果に対応づけられているノードコードによって、受信した検知結果が対応するグループに属するいずれかのセンサノード1から送信されてきたものであるかどうかを判定することができる。
【0065】
制御部21は、センサノード1毎に、そのセンサノード1から送信されてきた検知結果を2ビットで記憶する。上位ビットは、ダンパ5における軸方向の伸縮量が予め定めた一定量を超えたことがあるかどうかを示すビットであり、下位ビットは、今回の検知結果を記憶するビットである。制御部21は、今回受信した検知結果がダンパ5における軸方向の伸縮量が予め定めた一定量を超えていない場合、下位ビットを0にし(この時点において下位ビットが0である場合は、0で保持する。)、上位ビットを現在の値で保持する。一方、制御部21は、今回受信した検知結果がダンパ5における軸方向の伸縮量が予め定めた一定量を超えていた場合、下位ビットを1にするとともに(この時点において下位ビットが1である場合は、1で保持する。)、上位ビットを1にする(この時点において上位ビットが1である場合は、1で保持する。)。
【0066】
なお、センサノード1が、検知結果を上述した2ビットで記憶し、この2ビットの検知結果を報知装置2に送信する構成であってもよい。
【0067】
また、報知装置2は、第1の判定タイミングになると(s13)、対応する橋脚の状態を判定する判定処理を行う(s14)。具体的には、対応する橋脚に取り付けられているいずれかのダンパ5において、軸方向の伸縮量が予め定めた一定量を超えたことがあるかどうかを判定することにより、対応する橋脚の状態を判定する。
【0068】
報知装置2には、第1の判定タイミングになったと判定する条件が予め設定されている。例えば、報知装置2は、
(1)前回の判定処理から予め定めている一定時間(1時間、数十分、数分等)経過したときや、
(2)前回の判定処理以降に、対応するグループに属する全てのセンサノード1から検知結果の受信を完了したときや、
(3)無線通信部26において、上位装置3側から送信されてきた判定要求を受信したとき、
に判定タイミングになったと判定する。報知装置2が第1の判定タイミングになったと判定する条件は、上記(1)〜(3)以外の条件であってもよい。また、報知装置2が第1の判定タイミングになったと判定する条件は、複数であってもよい。
【0069】
なお、(3)の場合、上位装置3は、全ての報知装置2に対して判定要求を一斉に送信してもよいし、特定の報知装置2に対して判定要求を送信してもよい。
【0070】
s14にかかる判定処理は、制御部21において行われる。s14では、各センサノード1について2ビットで記憶している検知結果を用い、橋脚の状態を判定する。具体的には、制御部21は、
(1)橋脚に取り付けられている全てのダンパにおいて、これまで一度も、軸方向の伸縮量が予め定めた一定量を超えたことがない場合、対応する橋脚の状態を適性状態と判定し、
(2)橋脚に取り付けられているいずれかのダンパ5において、軸方向の伸縮量が予め定めた一定量を超えたことがあり、最新の検知結果では軸方向の伸縮量が予め定めた一定量を超えていない場合、対応する橋脚の状態を第1の不適正状態と判定し、
(3)橋脚に取り付けられているいずれかのダンパ5において、軸方向の伸縮量が予め定めた一定量を超えたことがあり、最新の検知結果でも軸方向の伸縮量が予め定めた一定量を超えている場合、対応する橋脚の状態を第2の不適正状態と判定する。
【0071】
なお、s14では、橋脚に取り付けられている1つのダンパ5が、軸方向の伸縮量が予め定めた一定量を超えたことがあり、最新の検知結果では軸方向の伸縮量が予め定めた一定量を超えていない状態であり、且つ他の1つのダンパ5が、軸方向の伸縮量が予め定めた一定量を超えたことがあり、最新の検知結果では軸方向の伸縮量が予め定めた一定量を超えていない状態である場合には、第2の不適正状態であると判定する。
【0072】
報知装置2は、無線通信部26における無線通信で、s14にかかる判定処理の判定結果を上位装置3に送信し(s15)、s11に戻る。適正状態は、支承が損傷している可能性が低いと推定される状態であり、第1の不適正状態、および第2の不適正状態は、支承や支承周辺の部材が損傷している可能性が高いと推定される状態である。報知装置2は、s15で判定結果を送信するとき、この判定結果に自機の装置コード(すなわち、橋脚を示すコード)を対応付けている。
【0073】
また、報知装置2は、第2の判定タイミングになったと判定すると、対応するグループに属する全てのセンサノード1に対して検知要求の一斉送信を行う(s16、s17)。報知装置2は、確認ボタン23aが操作されたときに、s16で第2の判定タイミングになったと判定する。例えば、地震の発生後に、路面の段差や陥没等の状況を確認に来た保守員が確認ボタン23aを操作したときに、報知装置2は第2の判定タイミングになったと判定する。
【0074】
報知装置2は、s17で検知要求の一斉送信を行うと、予め定めた一定時間経過するのを待つ(s18)。この一定時間は、センサノード1が上述したs2、s3にかかる処理を行うのに必要な時間よりも、少し長い。すなわち、報知装置2は、s18において、対応するグループに属する各センサノード1から検知結果が送信されてくるのを待っている。
【0075】
報知装置2は、s18で予め定めた一定時間経過したと判定すると、対応する橋脚に取り付けられているいずれかのダンパ5において、軸方向の伸縮量が予め定めた一定量を超えたことがあるかどうかを判定する判定処理を行う(s19)。s19にかかる判定処理は、上述したs14にかかる判定処理とほぼ同じであるが、s18で一定時間経過するのを待っている間に、対応するグループに属する全てのセンサノード1から検知結果が送信されてこなかった場合、上述した第2の不適正状態と判定する。すなわち、s19では、いずれかのセンサノード1(検知結果が送信されてこなかったセンサノード1)が損傷している可能性が高いことから、支承が損傷している可能性が高いと判断するようにしている。
【0076】
報知装置2は、s19にかかる判定処理が完了すると、今回の判定結果を表示部24において表示する(s20)。具体的には、判定結果が適正状態である場合、表示部24は、異常通知ランプ24aを消灯し、適正通知ランプ24bを点灯する。反対に、判定結果が第1の不適正状態、または第2の不適正状態である場合、表示部24は、異常通知ランプ24aを点灯し、適正通知ランプ24bを消灯する。したがって、保守員は、確認ボタン23aを操作した報知装置2に対応する橋脚に取り付けられている支承が損傷している可能性が高く、支承を目視確認する必要があるかどうかの確認が簡単に行える。
【0077】
なお、表示部24は、第1の不適正状態と、第2の不適正状態とを区別して表示できるように、異常通知ランプ24aを2つ設けた構成にしてもよい。
【0078】
また、報知装置2は、s19にかかる判定処理の判定結果を上位装置3に送信し(s21)、s11に戻る。s21は、s15と同じ処理である。
【0079】
このように、ダンパ5の軸方向の伸縮量が予め定めた一定量を超えたかどうかを検知するという簡単な構成で、構造物における上部構造と下部構造との間で伝達された振動がある程度の大きさを超えた箇所(すなわち、上部構造と下部構造との間に位置する支承や支承周辺の部材が損傷した可能性が高い箇所)を適正に検知することができる。
【0080】
また、保守員は、地震によって停電が発生していた地域の報知装置2であっても、バッテリ接続端子22bに携帯しているバッテリを接続し、確認ボタン23aを操作することにより、この報知装置2に上述したs16〜s21の処理を行わせ、対応する橋脚に取り付けられている支承や支承周辺の部材が損傷しているかどうかを確認することができる。
【0081】
また、報知装置2は、バッテリ接続端子22bにバッテリが接続されたときに、s16で第2の判定タイミングになったと判定する構成にしてもよい。このようにすれば、保守員は、確認ボタン23aを操作しなくても、対応する橋脚に取り付けられている支承や支承周辺の部材が損傷しているかどうかを確認することができる。
【0082】
また、上記の例では、報知装置2は、s19にかかる判定処理の判定結果を視覚により確認できる形態(異常通知ランプ24a、および適正通知ランプ24bの点灯状態)で出力する構成であるとしたが、判定結果を音声メッセージ(聴覚により確認できる形態)で出力する構成にしてもよいし、判定結果をメッセージで表示する構成にしてもよい。判定結果を出力する形態は、保守員が視覚、または聴覚で確認できる形態であれば、どのような形態であってもよい。
【0083】
なお、報知装置2は、上述したs17、s18にかかる処理をなくし、s19にかかる処理を、s14と同じ処理にしてもよい。
【0084】
図12は、上位装置の動作を示すフローチャートである。上位装置3は、無線通信部35において、いずれかの報知装置2から送信されてきた判定結果を受信すると(s31)、受信した判定結果を記憶部34に記憶し(s32)、s31に戻る。s32では、受信した判定結果を、この判定結果を送信してきた報知装置2の装置コードに対応づけて記憶する。
【0085】
また、上位装置3は、判定結果の集計開始要求があると(s33)、記憶部34に記憶している各報知装置2から通知された判定結果を集計する集計処理を行う(s34)。オペレータは、操作部32で所定の入力操作を行うことにより、上位装置3に対してs33にかかる集計開始要求の入力が行える。
【0086】
s34では、記憶部34に記憶している最新の判定結果に基づき、橋脚を上述した適正状態、第1の不適正状態、または第2の不適正状態の3つのグループに分類する。そして、交通網DB36に記憶している交通網データを用い、交通網において、自動車の走行を禁止する区間(通行止めにする区間)、および自動車の走行を禁止しない区間(通行止めにしない区間)を判断する。道路網は、道路網に設けられているインタチェンジや、ジャンクションによって、複数の区間に分割される。自動車の走行を禁止する区間は、その区間内に位置する橋脚の中に第1の不適正状態、または第2の不適正状態である橋脚が存在する区間である。自動車の走行を禁止しない区間は、その区間内に位置する全ての橋脚が適正状態である区間である。
【0087】
上位装置3は、s34にかかる集計処理の集計結果を出力し(s35)、s31に戻る。s35では、例えば、
図13に示すように、交通網において、通行止めにする区間と、通行止めにしない区間と、を区別したマップを表示部33に接続されている液晶ディスプレイ等の表示デバイスに表示する。
図13において、実線で示す区間が自動車の走行を禁止しない区間であり、破線で示す区間が自動車の走行を禁止する区間である。
【0088】
したがって、オペレータは、上位装置3がs35で表示部33に表示したマップによって、交通網において、自動車の走行を禁止する区間、および自動車の走行を禁止しない区間の確認が簡単に行える。
【0089】
なお、s35では、支承や支承周辺の部材が損傷している可能性が高い橋脚の一覧表を、表示部33に接続されている液晶ディスプレイ等の表示デバイスに表示してもよい。
【0090】
また、上記の例では、ダンパ5の軸方向における伸縮量が予め定めた一定量を超えたかどうかを誘導型の近接センサ13aで検知するとしたが、
図14〜
図17に示す構成で、ダンパ5の軸方向における伸縮量が予め定めた一定量を超えたかどうかを検知する構成にしてもよい。
図14〜
図17では、センサや検知対象物を取り付ける部材の図示を省略している。
【0091】
図14(A)は、ダンパの軸方向に対して垂直な方向からみた平面図であり、
図14(B)は、
図14(A)に示すA方向からみた平面図である。
図14に示す構成は、超音波式の限定反射形センサ50をダンパ5の内筒に取り付け、超音波式の限定反射形センサ50が検知する検知対象物51をダンパ5の外筒に取り付けた構成である。超音波式の限定反射形センサ50と、検知対象物51との距離は、ダンパ5における軸方向の伸縮量に応じて変化する。
【0092】
超音波式の限定反射形センサ50は、超音波を送出し、予め設定した検知範囲内に位置する検知対象物51からの反射波を検出するセンサである。超音波式の限定反射形センサ50は、検知対象物51を検知できる範囲(検知面から検知対象物51までの距離の範囲)を設定できる。すなわち、超音波式の限定反射形センサ50が、送出した超音波にかかる反射波を検出したときには、検知対象物51が予め設定した検知範囲内に位置し、送出した超音波にかかる反射波を検出しなかったときには、検知対象物51が予め設定した検知範囲内に位置しない。
【0093】
超音波式の限定反射形センサ50、および検知対象物51は、ダンパ5の軸方向における伸縮量が予め定めた一定量の範囲内であるとき、超音波式の限定反射形センサ50が検知対象物51を検知でき、ダンパ5の軸方向における伸縮量が予め定めた一定量の範囲内でないとき、超音波式の限定反射形センサ50が検知対象物51を検知できないようにダンパ5に取り付けている。したがって、センサ部13は、超音波式の限定反射形センサ50によって、ダンパ5の軸方向における伸縮量が予め定めた一定量を超えたかどうかを検知することができる。
【0094】
なお、超音波式の限定反射形センサ50をダンパ5の外筒に取り付け、検知対象物51をダンパ5の内筒に取り付けてもよい。
【0095】
また、
図15(A)は、ダンパの軸方向に対して垂直な方向からみた平面図であり、
図15(B)は、
図15(A)に示すA方向からみた平面図である。
図15に示す構成は、光電式の限定反射形センサ52をダンパ5の内筒に取り付け、光電式の限定反射形センサ52が検知する検知対象物53をダンパ5の外筒に取り付けた構成である。光電式の限定反射形センサ52と、検知対象物53との距離は、ダンパ5における軸方向の伸縮量に応じて変化する。
【0096】
光電式の限定反射形センサ52は、光ビームを送出し、予め設定した検知範囲内に位置する検知対象物53からの反射光を検出するセンサである。光電式の限定反射形センサ52は、検知対象物53を検知できる範囲(検知面から検知対象物53までの距離の範囲)を設定できる。すなわち、光電式の限定反射形センサ52が、送出した光ビームにかかる反射光を検出したときには、検知対象物53が予め設定した検知範囲内に位置し、送出した光ビームにかかる反射光を検出しなかったときには、検知対象物53が予め設定した検知範囲内に位置しない。
【0097】
光電式の限定反射形センサ52、および検知対象物53は、ダンパ5の軸方向における伸縮量が予め定めた一定量の範囲内であるとき、光電式の限定反射形センサ52が検知対象物53を検知でき、ダンパ5の軸方向における伸縮量が予め定めた一定量の範囲内でないとき、光電式の限定反射形センサ52が検知対象物53を検知できないようにダンパ5に取り付けている。したがって、センサ部13は、光電式の限定反射形センサ52によって、ダンパ5の軸方向における伸縮量が予め定めた一定量を超えたかどうかを検知することができる。
【0098】
なお、光電式の限定反射形センサ52をダンパ5の外筒に取り付け、検知対象物53をダンパ5の内筒に取り付けてもよい。
【0099】
また、
図16(A)は、ダンパの軸方向に対して垂直な方向からみた平面図であり、
図16(B)は、
図16(A)に示すA方向からみた平面図である。
図16に示す構成は、光電式の限定反射形センサ54をダンパ5の外筒に取り付けた構成である。この例では、光電式の限定反射形センサ54は、ダンパ5の内筒の端部(ダンパ5の一部)を検知する。すなわち、光電式の限定反射形センサ54が検知するダンパ5の内筒の端部が、上述した検知対象物53に相当する。
【0100】
この例では、光電式の限定反射形センサ54は、ダンパ5の軸方向における伸縮量が予め定めた一定量の範囲内であるとき、ダンパ5の内筒の端部を検知でき、ダンパ5の軸方向における伸縮量が予め定めた一定量の範囲内でないとき、ダンパ5の内筒の端部を検知できないようにダンパ5の外筒に取り付けている。したがって、センサ部13は、光電式の限定反射形センサ54によって、ダンパ5の軸方向における伸縮量が予め定めた一定量を超えたかどうかを検知することができる。また、検知対象物を必要としないので、構成を簡単にできる。
【0101】
なお、光電式の限定反射形センサ54は、ダンパ5の内筒に取り付け、ダンパ5の外筒の端部(ダンパ5の一部)を検知するようにしてもよい。
【0102】
図17は、ダンパの軸方向に対して垂直な方向からみた平面図である。
図17に示す構成は、センサ部13において、ダンパ5の周辺に配置した画像センサ55により撮像したダンパ5の画像を処理し、このダンパ5の軸方向における伸縮量を検知する構成である。したがって、この構成でも、ダンパ5の軸方向における伸縮量が予め定めた一定量を超えたかどうかを検知することができる。
【0103】
また、この構成では、ダンパ5の軸方向における伸縮量を検知することができるので、伸縮量を予め定めた複数段階のレベルで区分しておき、ダンパ5の軸方向における伸縮量が予め定めた一定量を超えたときには、今回検知したダンパ5の軸方向における伸縮量が該当するレベルを判断し、このレベルも報知装置2に送信するようにしてもよい。
【0104】
また、センサ部13は、画像センサ55を用いないで、超音波式や光学式の測距センサを用いて、ダンパ5の軸方向における伸縮量(センサの検知面と、検知対象物との距離)を検知する構成としてもよい。
【0105】
また、上記の例では、報知装置2に対応付ける橋脚を1つとしたが、隣接する複数の橋脚を対応付けてもよい。このようにすれば、必要な報知装置2の台数が抑えられる。また、上記の例では、報知装置2は、側壁に取り付けるとしたが、対応する橋脚の周辺であれば、側壁に限らず、他の場所に取り付けてもよい。
【0106】
また、上記の例では、ダンパ5は、軸方向を橋軸直角方向に合わせているとしたが、軸方向を橋軸方向にしてもよいし、橋軸直角方向と平行の角度から橋軸方向の角度までの範囲に合わせてもよいし、構造物の鉛直方向に合わせてもよい。
【0107】
また、上記の例では、ダンパ5は、摩擦ダンパであるとしたが、粘性ダンパ、粘弾性ダンパを用いてもよい。
【0108】
また、上記の例におけるセンサノード1と報知装置2とを1つの筐体で構成してもよい。
【0109】
また、上記の例では、構造物として高架道路橋(橋梁)を例にして説明したが、ビル等の橋梁以外の構造物であっても、本願発明は適用できる。