特許第6618077号(P6618077)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 協同油脂株式会社の特許一覧 ▶ 三和テッキ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6618077-磁気粘性流体ダンパ 図000002
  • 特許6618077-磁気粘性流体ダンパ 図000003
  • 特許6618077-磁気粘性流体ダンパ 図000004
  • 特許6618077-磁気粘性流体ダンパ 図000005
  • 特許6618077-磁気粘性流体ダンパ 図000006
  • 特許6618077-磁気粘性流体ダンパ 図000007
  • 特許6618077-磁気粘性流体ダンパ 図000008
  • 特許6618077-磁気粘性流体ダンパ 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6618077
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】磁気粘性流体ダンパ
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/53 20060101AFI20191202BHJP
   F16F 9/32 20060101ALI20191202BHJP
   F16F 9/44 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   F16F9/53
   F16F9/32 H
   F16F9/44
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-246957(P2015-246957)
(22)【出願日】2015年12月18日
(65)【公開番号】特開2017-110770(P2017-110770A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2018年11月27日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトの掲載日 2015年 7月19日 ウェブサイトのアドレス http://asme.pinetec.com/pvp2015/data/pdfs/trk−8/PVP2015−45463.pdf 公開者 アメリカ機械学会
(73)【特許権者】
【識別番号】000162423
【氏名又は名称】協同油脂株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001890
【氏名又は名称】三和テッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078950
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 忠
(72)【発明者】
【氏名】羽山 誠
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 友祐
【審査官】 竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−074432(JP,A)
【文献】 特開平06−272732(JP,A)
【文献】 特開2011−158015(JP,A)
【文献】 特開2012−193764(JP,A)
【文献】 特開昭63−009741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F9/00−9/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気粘性流体が封入され、軸線方向の両端部に磁気粘性流体が流通する第1および第2の流路口を有するシリンダと、
前記シリンダ内に摺動可能に挿入され、シリンダ内を前記第1の流路口に通じる第1室と前記第2の流路口に通じる第2室の2室に区画するピストンと、
前記ピストンに連結され前記シリンダの軸線方向に当該シリンダから延出するピストンロッドと、
前記シリンダの外側に固着され、前記第1の流路口と前記第2の流路口の相互間を連通するバイパス流路と、このバイパス流路内を流通する磁気粘性流体に磁場を印加する磁石とを有する減衰力発生機構と、を具備し、
前記シリンダ又は前記ピストンロッドの一方が支持部材に、他方が被支持部材に連結される磁気粘性流体ダンパであって、
前記バイパス流路は、少なくともその一部が、前記シリンダの外側に固着される非磁性の複数のオリフィスユニットの連通する流路により形成され、
前記磁石は、前記オリフィスユニットの外周に着脱自在に装着される永久磁石からなり、
前記永久磁石の装着個数変更、装着位置変更、特性変更により、前記バイパス流路の磁場を調節することで、減衰力の調整が可能であることを特徴とする磁気粘性流体ダンパ。
【請求項2】
磁気粘性流体が封入され、軸線方向の両端部に磁気粘性流体が流通する第1および第2の流路口を有するシリンダと、
前記シリンダ内に摺動可能に挿入され、シリンダ内を前記第1の流路口に通じる第1室と前記第2の流路口に通じる第2室の2室に区画するピストンと、
前記ピストンに連結され前記シリンダの軸線方向に当該シリンダから延出するピストンロッドと、
前記シリンダの外側に固着され、前記第1の流路口と前記第2の流路口の相互間を連通するバイパス流路と、このバイパス流路内を流通する磁気粘性流体に磁場を印加する磁石と、を有する減衰力発生機構と、を具備し、
前記シリンダ又は前記ピストンロッドの一方が支持部材に、他方が被支持部材に連結される磁気粘性流体ダンパであって、
前記バイパス流路は、少なくともその一部が、前記シリンダの外側に着脱自在に固着される非磁性の複数のオリフィスユニットの連通する流路により形成され、
前記オリフィスユニットは、流路の寸法の異なるものが複数種類用意され、当該オリフィスユニットの選択、交換により、減衰力の調整が可能であることを特徴とする磁気粘性流体ダンパ。
【請求項3】
磁気粘性流体が封入され、軸線方向の両端部に磁気粘性流体が流通する第1および第2の流路口を有するシリンダと、
前記シリンダ内に摺動可能に挿入され、シリンダ内を前記第1の流路口に通じる第1室と前記第2の流路口に通じる第2室の2室に区画するピストンと、
前記ピストンに連結され前記シリンダの軸線方向に当該シリンダから延出するピストンロッドと、
前記シリンダの外側に固着され、前記第1の流路口と前記第2の流路口の相互間を連通するバイパス流路と、このバイパス流路内を流通する磁気粘性流体に磁場を印加する磁石とを有する減衰力発生機構と、を具備し、
前記シリンダ又は前記ピストンロッドの一方が支持部材に、他方が被支持部材に連結される磁気粘性流体ダンパであって、
前記減衰力発生機構は、前記第1の流路口に連通する流路を有し前記シリンダの外側に固着される第1のバイパスホルダと、前記第2の流路口に連通する流路を有し前記シリンダの外側に前記第1のバイパスホルダと対向するように固着される第2のバイパスホルダと、前記第1のバイパスホルダの流路に連通する流路を有し当該第1のバイパスホルダに着脱自在に取り付けられる第1の締め付け部材と、前記第2のバイパスホルダの流路に連通する流路を有し当該第2のバイパスホルダに着脱自在に取り付けられる第2の締め付け部材と、前記第1の締め付け部材と前記第2の締め付け部材との間にバイパス流路を形成するように互いの流路を連通させて連結される非磁性の複数のオリフィスユニットと、このオリフィスユニットの流路に磁場を印加するように少なくとも1つの前記オリフィスユニットに選択的に取り付けられる永久磁石と、隣接する前記各オリフィスユニットの間に流路を連通させて介設される非磁性の複数の接続部材と、前記第1の締め付け部材と前記第2の締め付け部材との間に架設され両締め付け部材間のオリフィスユニットと接続部材とを解放可能に締め付ける締め付け手段とを具備することを特徴とする磁気粘性流体ダンパ。
【請求項4】
前記オリフィスユニットは、概略円柱形状で、中心に貫通する前記流路と、両端の円柱状の嵌合部と、両嵌合部間に位置し前記流路を挟んで相対向する一対の磁石保持溝とを具備し、
前記接続部材は、隣接する前記オリフィスユニットの嵌合部を気密に嵌合させる2つの筒部と、両筒部間から内側へ延出し中心に前記オリフィスユニットの流路に連通する流路開口を有る内側フランジ部とを具備し、
前記オリフィスユニットの嵌合部は、その端面を前記接続部材の内側フランジ部に当接させて前記筒部内に気密に嵌合され、
前記磁石保持溝は、両嵌合部との間を画して前記オリフィスユニットの軸線方向に対向する平行一対の側面と、前記流路と平行に両側面の底辺間を接続する底面とを具備し、
前記永久磁石は、同性能で同形直方体状の一対が、前記オリフィスユニットの磁石保持溝に相対向して保持されることを特徴とする請求項3に記載の磁気粘性流体ダンパ。
【請求項5】
前記第1および第2の締め付け部材は、それぞれ前記第1又は第2のバイパスホルダの前記流路および隣接する前記オリフィスユニットの流路に接続される前記流路が中心に貫通し、第1又は第2のバイパスホルダに気密に嵌合する円柱形嵌合突部と、前記オリフィスユニットの嵌合部を気密に嵌合させる円形嵌合凹部を有するフランジ部とを具備し、
前記第1および第2のバイパスホルダは、前記第1又は第2の締め付け部材の嵌合突部を気密に嵌合させるように互いに対向し中心に前記流路が開口する円形嵌合凹部を具備することを特徴とする請求項3又は4に記載の磁気粘性流体ダンパ。
【請求項6】
前記第1および第2のバイパスホルダは、前記シリンダの外側にボルトにて着脱自在に取り付けられ、
前記第1および第2の締め付け部材は、前記フランジ部においてそれぞれ前記第1又は第2のバイパスホルダにボルトにて着脱自在に取り付けられ、
前記締め付け手段は、一端側においてそれぞれ前記第1又は第2の締め付け部材に螺合され他端側にねじ部を具えて相対向する一対のねじ棒と、これら一対のねじ棒のねじ部に螺合する胴ナットとを具備するタ−ンバックルからなることを特徴とする請求項5に記載の磁気粘性流体ダンパ。
【請求項7】
前記オリフィスユニットの磁石保持溝は、オリフィスユニットの軸線直交方向の一端側が前記側面と底面に直交する端面により閉じ、他端側が開放する形状で、一対がオリフィスユニットの軸線を中心に180°回転対称に配置され、
前記永久磁石は、前記磁石保持溝の端面、両側面および底面に密着するように磁石保持溝に着脱自在に嵌合されることを特徴とする請求項4に記載の磁気粘性流体ダンパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部から磁場を印加することによってその粘弾性が変化する磁気粘性流体を用いたダンパであって、減衰機構がバイパス流路上に設けられるバイパス流路型磁気粘性流体ダンパに関する。
【背景技術】
【0002】
バイパス流路型磁気粘性流体ダンパは、磁気粘性流体が封入され軸線方向の両端部に磁気粘性流体の流路口を有するシリンダと、このシリンダ内に摺動可能に挿入されシリンダ内を軸線方向に第1室と第2室に区画するピストンと、このピストンに連結されシリンダから延出するピストンロッドと、磁気粘性流体の流路口の相互間を連通するようにシリンダの外側に設けられる減衰力発生機構とを具備する(例えば特許文献1)。減衰力発生機構は、オリフィス内を流通する磁気粘性流体に磁場を印加して減衰力を発生する。オリフィスは管内に挿入される磁性体シャフトの外周側に形成される。減衰力の調整や保守点検のために、この磁性体シャフトの取り出しを必要とする場合に、減衰力発生機構をシリンダから取り外すことなく、磁性体シャフトを容易に取り出し、また装着することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−74432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来の磁気粘性流体ダンパの減衰力発生機構と異なる機構を採用し、減衰力特性の調整を容易に行える構造簡易な減衰力発生機構を具えた磁気粘性流体ダンパを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、添付図面の符号を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、本発明の磁気粘性流体ダンパ1は、磁気粘性流体が封入され、軸線方向の両端部に磁気粘性流体が流通する第1および第2の流路口2a,2bを有するシリンダ2と、シリンダ2内に挿入され、シリンダ2内を第1の流路口2aに通じる第1室3と第2の流路口2bに通じる第2室4の2室に区画するピストン5と、ピストン5に連結されシリンダ2の軸線方向に当該シリンダから延出するピストンロッド6と、シリンダ2の外側に固着される減衰力発生機構7とを具備する。減衰力発生機構7は、第1の流路口2aと第2の流路口2bの相互間を連通するバイパス流路8と、このバイパス流路8内を流通する磁気粘性流体に磁場を印加する磁石9とを具備する。シリンダ2又はピストンロッド5の一方が支持部材に、他方が被支持部材に連結される。バイパス流路8は、少なくともその一部が、シリンダ2の外側に固着される非磁性の複数のオリフィスユニット14の連通する流路14aにより形成される。磁石9は、オリフィスユニット14の外周に着脱自在に装着される永久磁石からなり、永久磁石9の装着個数変更、装着位置変更、特性変更により、前記バイパス流路14aの磁場を調節することで、減衰力の調整が可能である。
本発明の他の磁気粘性流体ダンパ1におけるオリフィスユニット14は、流路の寸法の異なるものが複数種類用意され、当該オリフィスユニット14の選択、交換により、減衰力の調整が可能である。
本発明の他の磁気粘性流体ダンパ1における減衰力発生機構7は、さらに、第1、第2のバイパスホルダ10,11と、第1、第2の締め付け部材12,13と、非磁性の複数のオリフィスユニット14と、永久磁石9と、非磁性の複数の接続部材15と、締め付け手段16とを具備するものとすることができる。第1のバイパスホルダ10は、第1の流路口2aに連通する流路10aを有する。第2のバイパスホルダ11は、第1のバイパスホルダ10と対向し、第2の流路口2bに連通する流路11aを有する。第1の締め付け部材12は、第1のバイパスホルダ10の流路10aに連通する流路12aを有し、第1のバイパスホルダ10に着脱自在に取り付けられる。第2の締め付け部材13は、第2のバイパスホルダ11の流路11aに連通する流路13aを有し、第2のバイパスホルダ11に着脱自在に取り付けられる。複数のオリフィスユニット14は、第1の締め付け部材12と第2の締め付け部材13との間にバイパス流路8を形成するように、互いの流路14aを連通させて連結される。永久磁石9は、オリフィスユニット14上に、選択的に取り付けられる。接続部材15は、隣接する各オリフィスユニット14の間に、流路15aを連通させて介設される。締め付け手段16は、第1の締め付け部材12と第2の締め付け部材13との間に架設され、両締め付け部材間12,13のオリフィスユニット14と接続部材15とを解放可能に締め付ける。
【発明の効果】
【0006】
本発明の磁気粘性流体ダンパ1は、断面積の異なる流路14aを有するオリフィスユニット14を複数用意して、これを適宜交換することにより、あるいはオリフィスユニット14に選択的に永久磁石を取り付けたり、その数を変更したりすることにより、容易に減衰力特性を変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る磁気粘性流体ダンパの断面図である。
図2図1の磁気粘性流体ダンパにおける減衰力発生機構の断面図である。
図3図1の磁気粘性流体ダンパにおける減衰力発生機構部分の底面図である。
図4図1の磁気粘性流体ダンパにおけるオリフィスユニットの側面図である。 。
図5図4におけるV−V断面図である。
図6図5におけるVI−VI断面図である。
図7図1の磁気粘性流体ダンパにおける接続部材の側面図である。
図8図7におけるVIII−VIII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1において、バイパス流路型磁気粘性流体ダンパ1は、磁気粘性流体が封入されるシリンダ2と、このシリンダ2内に摺動可能に挿入されるピストン5と、このピストン5に連結されるピストンロッド6と、シリンダ2の外側に設けられる減衰力発生機構7とを具備し、シリンダ2又はピストンロッド6の一方が図示しない支持部材へ、他方が図示しない被支持部材へそれぞれ連結される。
【0009】
シリンダ2は、軸線方向の両端部に磁気粘性流体の流路口2a,2bを有する。ピストン5は、シリンダ2内を軸線方向に第1室3と、第2室4の2室に区画する。
【0010】
減衰力発生機構7は、シリンダ2の流体流路口2a,2bの相互間をバイパス流路8で連通し、そこを通過する磁気粘性流体の粘性流通抵抗により減衰力を発生するもので、第1、第2のバイパスホルダ10,11、第1、第2の締め付け部材12,13、複数の非磁性体からなるオリフィスユニット14、永久磁石9、複数の非磁性体からなる接続部材15、締め付け手段16を具備する。さらに、オリフィスユニット14に装着される永久磁石9により、バイパス流路8を流通する磁気粘性流体に磁場を印加し、磁気粘性流体の粘性を増大させることで、発生する減衰力をさらに増加させる。
【0011】
図2ないし図8を参照して減衰力発生機構7について説明する。
第1のバイパスホルダ10は、第1の流路口2aに連通する流路10aを有する。第2のバイパスホルダ11は、第1のバイパスホルダ10と対向し、第2の流路口2bに連通する流路11aを有する。バイパスホルダ10,11は、シリンダ2の外側にボルト10c,11cにて着脱自在に取り付けられる。流路10a,11aは、シリンダ2の軸線に直交する方向に延びた後、互いに向き合うように軸線方向に屈折している。バイパスホルダ10,11は、第1又は第2の締め付け部材12,13の嵌合突部12a,13aを気密に嵌合させる円形嵌合凹部10a,11bを具備する。円形嵌合凹部10a,11bは、互いに対向し、中心に流路10a,11aが開口する。
【0012】
第1の締め付け部材12は、第1のバイパスホルダ10の流路10aおよび隣接するオリフィスユニット14の流路14aに連通する流路12aを中心に有し、第1のバイパスホルダ10に、ボルト12e(図3)で着脱自在に取り付けられる。第2の締め付け部材13は、第2のバイパスホルダ11の流路11aおよび隣接するオリフィスユニット14の流路14aに連通する流路13aを中心に有し、第2のバイパスホルダ11に、ボルト13e(図3)で着脱自在に取り付けられる。第1および第2の締め付け部材12,13は、それぞれ第1又は第2のバイパスホルダ10,11の嵌合凹部10b,11bに気密に嵌合する円柱形嵌合突部12b,13bと、これより大径のフランジ部12c,13cと、を具備する。フランジ部12c,13cは、それぞれ隣接するオリフィスユニット14の嵌合部14bを気密に嵌合させる円形嵌合凹部12d,13dを有する。
【0013】
複数のオリフィスユニット14は、第1、第2のバイパスホルダ10,11との間に、第1、第2の締め付け部材12,13と共に、バイパス流路8を形成するように、互いの流路14aを連通させ、接続部材15を介して連結される。
【0014】
オリフィスユニット14は、概略円柱形状で、中心に貫通する流路14aと、両端の円柱状の嵌合部14bと、両嵌合部14b間に位置し、流路14aを挟んで軸線直交方向に相対向する一対の磁石保持溝14cとを具備する。
【0015】
磁石保持溝14cは、4つの直交面14d,14e,14fを有し、両側の嵌合部14bとの間を切欠するように形成される。すなわち、磁石保持溝14cは、両側の嵌合部14bとの間を画してオリフィスユニット14の軸線方向に対向する平行一対の側面14dと、流路14aと平行に両側面14dの底辺間を接続する底面14eと、側面14dと底面14eに直交する端面14fを有し、他端側が開放する形状である。一対の磁石保持溝14cは、オリフィスユニット14の軸線を中心に180°回転対称に配置される。オリフィスユニット14の嵌合部14bは、締め付け部材12,13の嵌合凹部12d,13d又は接続部材15の筒部15aに気密に嵌合する。
【0016】
接続部材15は、隣接するオリフィスユニット14の嵌合部14bを気密に嵌合させる2つの筒部15bと、両筒部15b間から内側へ延出し、中心にフィスユニット14の流路14aに連通する流路開口15aを有する内側フランジ部15cと、を具備する。
【0017】
永久磁石9は、同性能で同形直方体状の一対が、オリフィスユニット14の磁石保持溝14cに相対向して保持される。永久磁石9は、磁石保持溝14cの端面14f、両側面14dおよび底面14eに密着するように、磁石保持溝14cに着脱自在に嵌合される。一対の永久磁石9は、4面を磁石保持溝14cの4つの直交面14d,14e,14fに密着させて、互いの磁気吸引力で、磁石保持溝14c内に保持される。これにより、各オリフィスユニット14上の一対の永久磁石9が、所定の位置に統一的に位置決めされるため、減衰力発生機構7としてのバイパス流路8に対する磁場の調整を容易に行うことができる。永久磁石9の着脱は、磁石保持溝14cの底面14e上を滑らせて移動させることにより行える。
【0018】
なお、永久磁石9は、オリフィスユニット14上に、選択的に取り付け、あるいは、その数を変更することができる。また、断面積の異なる流路14aを有するオリフィスユニット14を複数用意し、これを適宜交換することができる。このようにして、減衰力発生機構7の減衰力特性を容易に変更できる。
【0019】
締め付け手段16は、第1の締め付け部材12と第2の締め付け部材13との間に架設され、両締め付け部材12,13間のオリフィスユニット14と接続部材15と、を解放可能に締め付ける。図示に実施形態において、締め付け手段16は、タ−ンバックルから構成される。タ−ンバックル16は、一対のねじ棒17と胴ナット18とを具備する。ねじ棒17は、一端側においてそれぞれ第1又は第2の締め付け部材12,13に螺合され、他端側にねじ部17aを具えて相対向し、ねじ部17aにおいて胴ナット18に螺合する。胴ナット18の回転によって締め付け部材12,13間を締め付け、解放することができる。タ−ンバックル16を取り外してオリフィスユニット14、接続部材15の分解、交換等の作業を行う。
【符号の説明】
【0020】
1 磁気粘性流体ダンパ
2 シリンダ
2a 磁気粘性流体の流路口
2b 磁気粘性流体の流路口
3 第1室
4 第2室
5 ピストン
6 ピストンロッド
7 減衰力発生機構
8 バイパス流路
9 永久磁石
10 第1のバイパスホルダ
10a 流路
10b 円形嵌合凹部
10c ボルト
11 第2のバイパスホルダ
11a 流路
11b 円形嵌合凹部
11c ボルト
12 第1の締め付け部材
12a 流路
12b 円形嵌合突部
12c フランジ部
12d 嵌合凹部
12e ボルト
13 第2の締め付け部材
13a 流路
13b 円形嵌合突部
13c フランジ部
13d 嵌合凹部
13e ボルト
14 オリフィスユニット
14a 流路
14b 嵌合部
14c 磁石保持溝
14d 溝の側面
14e 溝の底面
14f 溝の端面
15 接続部材
15a 流路
15b 筒部
15c 内側フランジ部
16 締め付け手段(タ−ンバックル)
17 ねじ棒
17a ねじ部
18 胴ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8