(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、ユーザによって入力された発明内容に特許性があるか否かを判断することはできるものの、特許性が低いと判断された場合に、何らその特許性が低かったことに対して特許性を向上させる処理が存在するわけではない。同様に、上記特許文献2に記載の技術では、特許性に関わらずに受信した技術情報を基に完成してしまう。
【0006】
すなわち、いずれの技術も、ユーザによって入力された発明内容に特許性が乏しい場合に何らサポートをすることはない。
【0007】
そこで、本発明は上記課題を考慮し、特許性が乏しい内容がユーザから入力された場合であっても、自動的に特許性の高い構成を提案可能な文章生成装置、文章生成方法、および文章生成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の第1態様は、発明文章を端末装置から受信する受信部と、上記発明文章の第1特許分類を決定する決定部と、決定された上記第1特許分類に対応する第2特許分類を選択する選択部と、上記第2特許分類を用いて上記発明文章に類似する第2特許分類特許文献を特許文献データベースより抽出する抽出部と、上記抽出された第2特許分類特許文献を基に上記発明文章に関する追加発明文章を生成する生成部と、上記生成された上記追加発明文章を上記端末装置に送信する送信部と、を含む文章生成装置に関する。
【0009】
(2)上記(1)において、上記第1特許分類および上記第2特許分類の対応関係を対応付けて記憶する特許分類データベースを更に含んでもよく、上記選択部は、上記特許分類データベースから上記第1特許分類に対応する上記第2特許分類を選択してもよい。
【0010】
(3)上記(1)において、上記抽出部は、上記第1特許分類を用いて上記発明文章に類似する第1特許分類特許文章を特許文献データベースより抽出してもよく、上記選択部は、上記第1特許分類特許文章に付与されている特許分類または上記第1特許分類特許文章に対応付けられた従来技術文献に付与されている特許分類を上記第2特許分類として選択してもよい。
【0011】
(4)上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、上記選択部は、複数の第2特許分類を選択してもよく、上記送信部は、上記複数の第2特許分類を上記端末装置に送信してもよく、上記受信部は、上記端末装置から上記複数の第2特許分類の中から少なくとも1つの上記第2特許分類の選択入力を受け付けてもよく、上記抽出部は、上記少なくとも1つの上記第2特許分類を用いて上記発明文章に類似する第2特許分類特許文献を特許文献データベースより抽出してもよい。
【0012】
(5)上記(1)〜(4)のいずれかにおいて、上記抽出部は、複数の上記第2特許分類特許文献を特許文献データベースより抽出してもよく、上記生成部は、上記複数の上記第2特許分類特許文献の中から上記発明文章に最も類似する第2特許分類特許文献を基に上記発明文章に関する上記追加発明文章を生成してもよい。
【0013】
(6)上記(1)〜(4)のいずれかにおいて、上記抽出部は、複数の上記第2特許分類特許文献を特許文献データベースより抽出してもよく、上記生成部は、上記複数の上記第2特許分類特許文献において、上記発明文章に類似しない部分の共通部分を上記追加発明文章として生成してもよい。
【0014】
(7)上記(1)〜(6)のいずれかにおいて、上記生成部は、上記第2特許分類特許文献に存在し、上記発明文章に存在しない文章を上記追加発明文章として生成してもよい。
【0015】
(8)本発明の第2態様は、発明文章を端末装置から受信する受信ステップと、上記発明文章の第1特許分類を決定する決定ステップと、決定された上記第1特許分類に対応する第2特許分類を選択する選択ステップと、上記第2特許分類を用いて上記発明文章に類似する第2特許分類特許文献を特許文献データベースより抽出する抽出ステップと、上記抽出された第2特許分類特許文献を基に上記発明文章に関する追加発明文章を生成する生成ステップと、上記生成された上記追加発明文章を上記端末装置に送信する送信ステップと、を含む文章生成方法に関する。
【0016】
(9)本発明の第3態様は、コンピュータに、発明文章を端末装置から受信する受信機能と、上記発明文章の第1特許分類を決定する決定機能と、決定された上記第1特許分類に対応する第2特許分類を選択する選択機能と、上記第2特許分類を用いて上記発明文章に類似する第2特許分類特許文献を特許文献データベースより抽出する抽出機能と、上記抽出された第2特許分類特許文献を基に上記発明文章に関する追加発明文章を生成する生成機能と、上記生成された上記追加発明文章を上記端末装置に送信する送信機能と、を実施させる文章生成プログラムに関する。
【発明の効果】
【0017】
上記第1態様〜第3態様によると、特許性が乏しい内容がユーザから入力された場合であっても、自動的に特許性の高い構成を提案可能な文章生成装置、文章生成方法、および文章生成プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の一側面に係る文章生成装置、文章生成方法、および文章生成プログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本開示の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0020】
(文章生成システム1による処理の概要)
図1は、文章生成システム1による処理の一例を説明するための模式図である。
【0021】
文章生成システム1は、複数のユーザの端末装置2、2、2・・・および特許文献データベース3、これらの複数のユーザの端末装置2および特許文献データベース3と相互に通信されるサーバ4を有する。サーバ4のサーバ通信部417は、複数のユーザの端末装置2、2、2・・・からユーザが追加発明文章を自動生成する基となる発明の内容である発明文章を受信して、サーバ処理部416が受信した発明文章および特許文献データベース3に蓄積された特許文献を基に追加発明文章を生成する。より具体的にサーバ処理部416は、発明文章の第1特許分類を決定して、決定された第1特許分類に対応する第2特許分類を選択し、第2特許分類を用いて発明文章に類似する第2特許分類特許文献を特許文献データベースより抽出し、抽出された第2特許分類特許文献を基に発明文章に関する追加発明文章を生成する。そして、サーバ通信部417は、生成された追加発明文章をユーザの端末装置2、2、2・・・に送信する。なお、ユーザが入力する発明文章は、独立項に相当する1つであってもよく、従属項に相当する発明文章を含む複数の発明文章を含んでいてもよい。本実施形態では、独立項に相当する発明文章を1つ受信する構成を想定するが、本発明はこの構成に限定されることはない。
【0022】
なお、本実施形態では、特許文献データベース3に記憶されている特許文献を発明文章に類似する類似特許検索対象として記載しているが、サーバ4は、特許文献データベース3から特許文献をダウンロードしてサーバ4内で類似特許文献を抽出する構成としてもよい。この構成によると、処理をローカルで完結できるため、処理速度を早めることができる。
【0023】
特許文献データベース3は、例えば特許庁のデータベースである。特許庁のデータベースは、1庁でも複数庁を含んでいてもよい。なお、米国、欧州、日本、中国、および韓国の5庁のデータベースを含むことで世界の特許の約90%を網羅することができるため、特許性の判定の精度を上げるためには、これらの5庁のデータベースを含んでいるとよい。
【0024】
(文章生成システム1の概略構成)
図2は、文章生成システム1の概略構成の一例を示す図である。
【0025】
文章生成システム1は、複数のユーザの端末装置2、2、2・・・と、特許文献データベース3と、サーバ4とを有する。以下では、複数のユーザの端末装置を単にユーザの端末装置2と称する場合がある。ユーザの端末装置2、2、2・・・およびサーバ4は、例えば、インターネット5などの通信ネットワークを介してそれぞれ相互に接続される。更に、特許文献データベース3およびサーバ4は、例えば、インターネット5などの通信ネットワークを介してそれぞれ相互に接続される。また、ここではインターネット5が1つ例示されているが、インターネット5が複数のネットワークからなる場合は、それぞれのネットワーク間にゲートウェイ(図示しない)を適宜設けてもよい。ユーザの端末装置2で実行されるプログラム(例えば、閲覧プログラム)と、サーバ4で実行されるプログラム(例えば、管理プログラム)とは、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)などの通信プロトコルを用いて通信を行う。
【0026】
更に、ユーザの端末装置2とサーバ4との間の接続、および特許文献データベース3とサーバ4との間の接続は、扱う情報が機密情報となるため、インターネット5の通信環境がセキュリティーの面で優れている必要がある。また、ユーザの端末装置2とサーバ4との間の接続、および特許文献データベース3とサーバ4との間の接続は、専用の回線を用意することでセキュリティーを強化することができる。
【0027】
(ユーザの端末装置2の概略構成)
図3は、ユーザの端末装置2の概略構成の一例を示す図である。
【0028】
ユーザの端末装置2は、無線通信ネットワークへの接続、Webアクセスなどを実行する。そのために、ユーザの端末装置2は、端末通信部211と、端末記憶部212と、端末操作部213と、端末表示部214と、端末処理部215とを備える。
【0029】
なお、ユーザの端末装置2としては、タブレットPCやノートPCを想定するが、本発明はこれに限定されない。ユーザの端末装置2は、本発明が適用可能であればよく、例えば、多機能携帯電話(所謂「スマートフォン」)、携帯電話(所謂「フィーチャーフォン」)、携帯情報端末(PDA)、携帯ゲーム機、携帯音楽プレイヤ、タブレット端末、などでもよい。
【0030】
端末通信部211は、通信インターフェース回路を備え、ユーザの端末装置2をインターネット5に接続する。端末通信部211は、ネットワークを介して端末処理部215から供給されたデータをサーバ4などに送信する。また、端末通信部211は、ネットワークを介してサーバ4などから受信したデータを端末処理部215に供給する。
【0031】
端末記憶部212は、例えば、半導体メモリ装置を備える。端末記憶部212は、端末処理部215での処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データなどを記憶する。例えば、端末記憶部212は、ドライバプログラムとして、端末操作部213を制御する入力デバイスドライバプログラム、端末表示部214を制御する出力デバイスドライバプログラムなどを記憶する。各種プログラムは、例えばCD−ROM、DVD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラムなどを用いて端末記憶部212にインストールされてもよい。また、端末記憶部212は、所定の処理に係る一時的なデータを一時的に記憶してもよい。
【0032】
端末操作部213は、ユーザの端末装置2の操作が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、マウス、タッチパネル、キーボード、またはキーボタンなどである。ユーザは、端末操作部213を用いて、情報の選択や解除、文字や数字などを入力することができる。端末操作部213は、ユーザにより操作されると、その操作に対応する信号を発生する。そして、発生した信号は、端末処理部215に送信される。
【0033】
端末表示部214も、映像や画像などの表示が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイなどである。端末表示部214は、端末処理部215から供給された映像データに応じた映像や、画像データに応じた画像などを表示する。
【0034】
端末処理部215は、一または複数個のプロセッサおよびその周辺回路を備える。端末処理部215は、ユーザの端末装置2の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、CPUである。端末処理部215は、ユーザの端末装置2の各種処理が端末記憶部212に記憶されているプログラムや端末操作部213の操作などに基づいて適切な手順で実行されるように、端末通信部211や端末表示部214などの動作を制御する。端末処理部215は、端末記憶部212に記憶されているプログラム(オペレーティングシステムプログラムやドライバプログラム、アプリケーションプログラムなど)に基づいて処理を実行する。また、端末処理部215は、複数のプログラム(アプリケーションプログラムなど)を並列に実行することができる。
【0035】
端末処理部215は、ユーザの端末装置2の外部から受信した画面表示情報をユーザに閲覧可能な画面表示として処理をする機能や、ユーザからの端末操作部213の操作内容に基づく処理をユーザの端末装置2の外部に送信可能な信号に変換して端末送信部211に送る機能を備える。これらの機能は、端末処理部215が備えるプロセッサで実行されるプログラムにより実現される機能モジュールである。あるいは、これらの各部は、独立した集積回路、マイクロプロセッサ、またはファームウェアとしてユーザの端末装置2に実装されてもよい。
【0036】
(ユーザの端末装置2の処理)
ユーザの端末装置2は、ユーザによって操作される。ユーザは、端末操作部213を操作して追加発明文章の生成を行いたい基となる発明文章をユーザの端末装置2に入力する。必要に応じて端末処理部215が発明文章の誤記修正を行なったり、文法の修正を行なったりしてもよい。
【0037】
また、ユーザの端末装置2は、ユーザの個人用の端末装置であってもよく、企業用の端末装置や企業全体のネットワークであってもよい。
【0038】
(特許文献データベース3の構成)
特許文献データベース3は、サーバ4の要求に応じて所望の特許文献のデータをサーバ4に提供する。すなわち、特許文献データベース3は、サーバ4から受信した検索条件に基づいて当該検索条件に該当する検索結果を抽出して、抽出された検索結果である特許文献のデータをサーバ4に送信する。特許文献データベース3は、サーバ4からの要求がある度に特許文献を検索してサーバ4に送信してもよく、定期的に代表的な検索結果について特許文献データベース3が特許文献をサーバ4に送信してもよい。特に図示しないが、特許文献データベース3は、処理部、通信部、および記憶部などのサーバとしての構成要素を備えているとよい。
【0039】
更に、サーバ4が特許文献データベース3を兼ねている場合、特許文献データベース3は、特許文献のデータをサーバ4に送信する。そして、サーバ4の記憶部411などが、特許文献のデータを記憶する。特許文献データベース3は、サーバ4からの要求に応じて特許文献のデータをサーバ4に送信してもよく、特許文献データベース3の主動によって特許文献のデータをサーバ4に送信してもよい。この場合、サーバ4は、サーバ4内で検索および判定を完結できるため、処理速度を自由に調整することができる。
【0040】
特許文献データベース3は、新しく公開された公開特許公報や登録特許公報を蓄積して記憶している。特許文献データベース3は、過去の特許文献全てにおいて、項目分けされているとよい。例えば、要約、特許請求の範囲(請求項)、全文などに分かれているとよい。本実施形態で文章生成システム1は、後術する通り全文検索および請求項に含まれる検索キーワードのフリーワード検索を行なう。
【0041】
(サーバ4の概略構成)
図4は、サーバ4の概略構成の一例を示す図である。
【0042】
サーバ4は、サーバ4の記憶領域であるサーバ記憶部411を含む。また、決定部412、選択部413、抽出部414、および生成部415を含むサーバ処理部416を更に備える。更に、サーバ4は、ユーザの端末装置2および特許文献データベース3と通信するためにサーバ通信部417を備える。
【0043】
サーバ記憶部411は、例えば、半導体メモリ、磁気ディスク装置および光ディスク装置の内の少なくとも一つを有し、バスを介してサーバ4と接続される。サーバ記憶部411は、サーバ処理部416による処理に用いられるドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム、データなどを記憶する。例えば、サーバ記憶部411は、ドライバプログラムとして、サーバ通信部417を制御する通信デバイスドライバプログラムなどを記憶する。コンピュータプログラムは、例えばCD−ROM、DVD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラムなどを用いてサーバ記憶部411にインストールされてもよい。また、サーバ記憶部411は、後述する特許分類データベースなどを記憶する。
【0044】
サーバ処理部416は、決定部412、選択部413、抽出部414、および生成部415を含む。サーバ処理部416による機能は、サーバ処理部416が備えるプロセッサで実行されるプログラムにより実現される機能モジュールである。あるいは、これらの各部は、独立した集積回路、マイクロプロセッサ、またはファームウェアとしてサーバ4に実装されてもよい。なお、サーバ処理部416の処理内容は後述する。また、サーバ処理部416の構成要素の切り分けは、一例であって、どの構成要素がどの処理を行うかは、本実施形態の記載に限定されない。
【0045】
決定部412は、ユーザの端末装置2からサーバ通信部417が受信した発明文章の第1特許分類を決定する。具体的に決定部412は、発明文章に含まれる複数の単語の中から出現頻度の高い単語を用いて第1特許分類を決定してもよく、発明文章に含まれる複数の単語が多く含まれる特許文献を特許文献データベース3から検索して、抽出された特許文献に対応付けられている特許分類を発明文章の第1特許分類としてもよく、単語の係り受け関係から重要な用語を用いて第1特許分類を決定してもよい。すなわち、第1特許分類は、ユーザが入力した発明文章が属する特許分類を特定するために決定される。なお、第1特許分類は、通常1つに決定されるが、第1特許分類を1つに絞込み辛い場合などは、複数の第1特許分類を発明文章に対して決定してもよい。入力された発明文章から第1特許分類を決定する技術は、一般的な技術を用いればよく、上記手法には限定されない。
【0046】
第1特許分類は、特許庁によって特許文献に付与される技術分類であり、FIやIPCを想定する。しかしながら、ここではUPCやFタームなどの特許分類を用いることもできる。更に、特許文献が異なる技術分野に分類されるための分類分けであれば、特許庁が用意するもの以外でもよく、例えば、図書館の書籍分類などであってもよい。
【0047】
本発明において、第1特許分類を決定するのは、後述する選択部413が第2特許分類を選択するためであり、選択部413が第1特許分類なしに第2特許分類を選択できるのであれば、決定部412の構成は不要となる。
【0048】
選択部413は、決定部412が決定した第1特許分類に対応する第2特許分類を選択する。選択部413は、サーバ記憶部411に記憶された第1特許分類および前記第2特許分類の対応関係を対応付けて記憶する特許分類データベース(図示しない)から第1特許分類に対応する第2特許分類を選択することにするとよい。詳細を後述する抽出部414は、第1特許分類特許文章に付与されている特許分類または第1特許分類特許文章に対応付けられた従来技術文献に付与されている特許分類を第2特許分類として選択してもよい。この場合、第2特許分類は、第1特許分類と重複しないように決められる。更に、第2特許分類は、第1特許分類に類似しない特許分類が選択されるとよい。例えば、特許分類の先頭から所定桁数一致しているものを除外することで、類似しない特許分類を選択できるようになる。すなわち、選択部413は、第2特許分類を特許分類上で第1特許分類から所定距離離れたところで指定することができれば、選択方法は上記に限定されることはない。更に、所定距離は、技術分類によって異なる値が定められるとよい。例えば、ITソフトウェアの技術分野は、技術分類をまたいでも基本的に組み合わせが容易であると判断されることが多いため、所定距離を大きく設定することが必要である。すなわち、特許分類データベースは、特許分類の先頭からの第1所定桁数(例えば4桁)、および先頭からの第2所定桁数(例えば3桁)を特許分類ごとに記憶しているとよい。ここで、第2所定桁数は、第1所定桁数よりも少ない必要がある。この構成によって、第1特許分類に限りなく近い特許分類を除外し、適度に近い第2特許分類に含まれる第2特許分類特許文章を抽出することができる。例えば、特許分類の先頭からの第1所定桁数(例えば4桁)一致しておらず、先頭からの第2所定桁数(例えば3桁)一致している特許分類を第2特許分類として選択することができる。
【0049】
第2特許分類は、特許庁によって特許文献に付与される技術分類であり、FIやIPCを想定する。しかしながら、ここではUPCやFタームなどの特許分類を用いることもできる。更に、特許文献が異なる技術分野に分類されるための分類分けであれば、特許庁が用意するもの以外でもよく、例えば、図書館の書籍分類などであってもよい。ただし、第2特許分類は、第1特許分類と同種類の特許分類を用いることが好ましい。
【0050】
抽出部414は、選択部413が選択した第2特許分類を用いて発明文章に類似する第2特許分類特許文献を特許文献データベース3より抽出する。類似する特許文献の抽出は、一般的な手法を用いることができる。例えば、決定部412が用いた重要な用語を検索キーワードとして、当該検索キーワードが含まれる特許文献を特許文献データベース3から抽出するようにしてもよい。より詳細には、抽出部414は、受信した発明文章を要素毎に分割する。具体的には、小用語解析を用いるとよい。すなわち、発明文章を複数の単語単位に分割して、どの単語がどの単語を修飾しているかの係り受け関係を抽出する。発明文章が英文などの場合には、ピリオド、コロン、セミコロン、カンマ、や関係代名詞の優先順位で分割をするデリミタ処理を行うとよい。そして、発明文書中に含まれる複数の単語の中から検索キーワードを抽出する。例えば、出現頻度の高い単語を検索キーワードとして抽出してもよく、単語の係り受け関係から重要な用語を検索キーワードとして抽出してもよい。すなわち、検索キーワードは、ユーザが入力した発明文章が属する技術分野を1単語で表すための用語である。なお、検索キーワードは、通常1つの単語であるが、検索キーワードを1つに絞込み辛い場合などは、複数の単語としてもよい。
【0051】
なお、抽出部414による第2特許分類特許文献の抽出は、特許文献データベース3に含まれる特許文献を単にキーワード検索によって検索してもよい。例えば、検索キーワードが請求項に記載されている特許文献を検索結果として抽出してもよく、請求項1に検索キーワードが記載されている特許文献を検索結果として抽出してもよい。
【0052】
抽出部414は、抽出される文献の精度を高めるために、検索キーワードが含まれる特許文献の中から当該検索キーワードの重要度を考慮して特許文献の精度を上げてもよい。例えば、抽出部414は、TF−IDF法などを用いて、検索キーワードが特許文献に含まれる文章においてどの程度の重要度があるかを評価する。ここでは、検索キーワードが1つの特許文献全体において出現する特許文献は、重要度が低いと仮定し、1つの特許文献において特定の文章にしか出現しない場合は、重要度が高いと仮定する。なお、TF−IDF法などを用いて、検索キーワードに対する特許文献の抽出は、ユーザがユーザの端末装置2に発明文章を入力し、検索キーワードが得られた際に行なわれてもよく、代表的な検索キーワードに対する特許文献を予めサーバ記憶部411内に記憶しておいてもよい。
【0053】
また、選択部413は、複数の第2特許分類を選択してもよい。サーバ通信部417は、それらの複数の第2特許分類をユーザの端末装置2に送信し、ユーザがユーザの端末装置2に複数の第2特許分類の中から選択入力した少なくとも1つの第2特許分類を受け付ける。抽出部414は、選択された少なくとも1つの第2特許分類を用いて発明文章に類似する第2特許分類特許文章を特許文献データベース3より抽出してもよい。
【0054】
生成部415は、抽出された第2特許分類特許文章を基に発明文章に関する追加発明文章を生成する。生成部415は、第2特許分類特許文章の請求項に記載の情報を用いて追加発明文章を生成してもよく、第2特許分類特許文章全体を分析した結果を用いて追加発明文章を生成してもよい。本実施形態では、第2特許分類特許文章の従属項を追加発明文章としてユーザに提供するとよい。なお、第2特許分類特許文章の従属項の一部が発明文章に類似していると抽出部414が判断した場合には、類似していないと判断された従属項を追加発明文章としてユーザに提供するとよい。
【0055】
抽出部414は、複数の第2特許分類特許文章を特許文献データベース3より抽出してもよい。生成部415は、複数の第2特許分類特許文章の中から発明文章に最も類似する第2特許分類特許文章を基に発明文章に関する追加発明文章を生成してもよい。最も類似する第2特許分類特許文章は、抽出部414が類似する検索キーワードの一致率によって決定してもよく、ユーザの端末装置2からユーザによる選択を待ち受けてもよい。
【0056】
また、生成部415は、抽出部414が複数の前記第2特許分類特許文章を特許文献データベース3より抽出する場合には、複数の第2特許分類特許文章において、発明文章に類似しない部分の共通部分を追加発明文章として生成してもよい。すなわち、抽出部414によって抽出された複数の第2特許分類特許文章において頻繁に用いられる構成を追加発明文章として生成する。複数の第2特許分類特許文章同士の類似部分の検索は、抽出部414または生成部415によって実施されるとよい。抽出部414または生成部415は、構文解析された複数の第2特許分類特許文章のテキスト同士の比較によって類似部分を検索してもよく、構文解析された単語の意味概念同士を比較することで類似部分を検索してもよい。生成部415は、発明文章に関する追加発明文章の特許性を第1特許分類において判定した結果を追加発明文章として生成してもよい。
【0057】
生成部415は、第2特許分類特許文章に存在し、発明文章に存在しない文章を追加発明文章として生成してもよい。すなわち、発明文章が複数の発明を含む場合などは、発明文章および第2特許分類特許文章の差分を追加発明文章として生成してもよい。
【0058】
サーバ通信部417は、サーバ4をインターネット5に接続するための通信インターフェース回路を有する。サーバ通信部417は、ユーザの端末装置2から追加発明文章の生成を求める基となる発明文章を受信し、生成部415による生成された追加発明文章をユーザの端末装置2に送信する。また、サーバ通信部417は、必要に応じて特許文献データベース3から特許文献の情報を受信する。サーバ通信部417は、必要に応じてユーザの端末装置2とさまざまな通信を行い、サーバ通信部417は、必要に応じて特許文献データベース3とさまざまな通信を行う。なお、サーバ通信部417は、本発明における受信部および送信部に相当することができる。
【0059】
(文章生成システム1による処理)
図5は、本実施形態にかかる文章生成システム1によるユーザの端末装置2から発明文章を受信して、追加発明文章を生成して、生成された追加発明文章をユーザの端末装置2に送信するまでの一連の流れの動作シーケンスの一例を示す図である。
【0060】
以下に説明する動作シーケンスは、予めサーバ記憶部411に記憶されているプログラムに基づいて、主にサーバ処理部416により、サーバ4の各要素と協働して実行される。また、以下に説明する動作シーケンスにおいて、サーバ4は、サーバ通信部417を介してユーザの端末装置2と各種の情報を送受信する。
【0061】
最初にサーバ4のサーバ通信部417は、ユーザの端末装置2から追加発明文章を自動生成した基となる発明文章を受信する(ステップS101)。なお、本処理は、発明文章をサーバ通信部417がユーザの端末装置2から受信した際に開始される。
【0062】
続いて、サーバ処理部416は、発明文章が特許性の判定を行なうためにふさわしい形式で記述されているかをサーバ処理部416は判定する(ステップS102)。例えば、本実施形態では、発明文章が1つの発明からなっている必要があるため、読点が複数存在する文章であれば、サーバ処理部416は、エラー情報を、サーバ通信部417を介してユーザの端末装置2に送信する。発明文章が誤った形式で記述されている場合(ステップS102がNO)には、サーバ処理部416は、エラー情報をユーザの端末装置2に送信して(ステップS103)処理が終了する。そして、サーバ処理部416は、形式が修正された発明文章、または次の発明文章の受信を待つ。なお、このステップS102は、省略されてもよい。
【0063】
発明文章が正しい形式で記述されている場合(ステップS102がYES)、サーバ処理416は、ユーザの端末装置2から受信した発明文章の第1特許分類を決定する(ステップS104)。サーバ記憶部411は、この決定された第1特許分類を一時的に記憶していてもよい。
【0064】
続いて、サーバ処理部416は、決定された第1特許分類に対応する第2特許分類を選択する(ステップS105)。サーバ4の負荷を考慮すると、サーバ処理部416は、第1特許分類に対応する第2特許分類を記憶した特許分類データベースを参照して選択するとよい。なお、この特許分類データベースの第1特許分類に対応する第2特許分類は、特許文献データベース3に記憶される文献に付与されている特許分類に応じて自動的に更新されるように構成されてもよい。すなわち、特許分類同士の距離が適切な距離を有していればよい。距離が近すぎる場合は、特許性が否定される原因となり、距離が遠すぎると追加発明としては、異分野過ぎて無意味となってしまう。第1特許分類に対応する第2特許分類を選択する手法は、上述の通り、さまざまな手法が採用できる。例えば、サーバ処理部416は、決定された特許分類の先頭からの第1所定桁数(例えば4桁)一致しておらず、先頭からの第2所定桁数(例えば3桁)一致している特許分類を第2特許分類として特許分類データベースから抽出する。
【0065】
そして、サーバ処理部416は、第2特許分類を用いて発明文章に類似する第2特許分類特許文献を特許文献データベース3より抽出する(ステップS106)。特許文献がサーバ記憶部411に記憶されている場合、サーバ処理部416は、サーバ記憶部411から発明文章に類似する第2特許分類特許文献を抽出する。
【0066】
更に、サーバ処理部416は、抽出された第2特許分類特許文献を基に発明文章に関する追加発明文章を生成する(ステップS107)。サーバ処理部416は、発明文章および追加発明文章を結合して、請求項群の形式として文章を加工してもよい。
【0067】
そして、サーバ送信部417は、生成された追加発明文章をユーザの端末装置2に送信する(ステップS108)。サーバ送信部417は、追加発明文章以外に、ステップS101で受け付けた発明文章を同時にユーザの端末装置2に送信するようにしてもよい。
【0068】
以上説明したように、本実施形態にかかる文章生成システム1は、複数のユーザの端末装置2から自動的に追加発明文章を生成した基となる発明文章から追加発明を自動的に生成することができる。本実施形態にかかる文章生成システム1は、発明文章が分類される第1特許分類からの距離が近すぎず遠すぎない第2特許分類が付与されている特許文献を基に追加発明文章を生成するため、特許性の判断の際に特許性を否定する特許文献となり難い特許文献から追加発明文章を生成することができる。また、文章生成システム1は、実際に特許文献データベース3に保存されている特許文献に付与されている特許分類を考慮し、随時情報が更新されるため、最新の特許文献へ付与されている特許分類を基に抽出された第2特許分類特許文献を基に追加発明文章を生成するため、特許庁などの審査に適した追加発明文章を生成することができる。
【0069】
なお、本発明は、文章生成システム1として、ユーザの端末装置2、特許文献データベース3、およびサーバ4がそれぞれ独立しているシステムとして記載しているが、これらの機能が全て一箇所に存在する判定装置としても同様の効果を発揮することができる。また、これらの機能をユーザの端末装置などにインストールさせるためのプログラムとして提供することも可能である。
【0070】
当業者は、本発明の精神および範囲から外れることなく、さまざまな変更、置換および修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。以下に説明する変形例においては、それぞれの変形例同士が組み合わされて本発明を実施可能であることも理解されたい。
【0071】
(変形例1)
サーバ通信部417は、ユーザの端末装置2から発明文章を受信するように構成されていたが、サーバ通信部417は、発明文章のみではなく、課題文章を併せて受信してもよい。課題文章を更に受信することによって、決定部412は、課題文章および発明文章のそれぞれに含まれる検索キーワードを基に特許分類を決定することができる。よって、決定部412は、決定される特許分類の精度を向上することができる。なお、本発明は、課題文章および課題文章以外の文章をユーザの端末装置2から受信することによって、決定部414の決定する特許分類の精度を向上してもよい。
【0072】
(変形例2)
抽出部414は、発明文章を用いて重要な用語を検索キーワードとして、当該検索キーワードが含まれる特許文献を特許文献データベース3から抽出するようにしたが、課題文章および発明文章を基に重要な用語を検索キーワードとして当該検索キーワードが含まれる特許文献を特許文献データベース3から抽出するようにしてもよい。
【0073】
この場合、抽出部414は、ユーザの端末装置2から受信した発明文章および特許文献データベース3に記憶される特許文献の請求項を比較して第2特許分類特許文献を抽出したが、発明文章および特許文献データベース3に記憶される特許文献の請求項以外に、ユーザの端末装置2から受信した課題文章および特許文献データベース3に記憶される特許文献の課題を更に比較してもよい。類似する文章の数量(文章の項目)が多ければ、文章全体同士の類似度が高いと判断できるため、抽出部414による、第2特許分類特許文献の抽出精度が向上する。
特許性が乏しい内容がユーザから入力された場合であっても、特許性の高い構成を自動的に提案可能な文章生成装置、文章生成方法、および文章生成プログラムを提供する。文章生成装置は、発明文章を端末装置から受信する受信部と、上記発明文章の第1特許分類を決定する決定部と、決定された上記第1特許分類に対応する第2特許分類を選択する選択部と、上記第2特許分類を用いて上記発明文章に類似する第2特許分類特許文献を特許文献データベースより抽出する抽出部と、上記抽出された第2特許分類特許文献を基に上記発明文章に関する追加発明文章を生成する生成部と、上記生成された上記追加発明文章を上記端末装置に送信する送信部と、を含む。