特許第6618104号(P6618104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6618104特許文章生成装置、特許文章生成方法、および特許文章生成プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6618104
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】特許文章生成装置、特許文章生成方法、および特許文章生成プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/24 20060101AFI20191202BHJP
   G06Q 50/18 20120101ALI20191202BHJP
【FI】
   G06F17/24
   G06Q50/18 310
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-547532(P2019-547532)
(86)(22)【出願日】2019年5月31日
(86)【国際出願番号】JP2019021887
【審査請求日】2019年8月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515277757
【氏名又は名称】株式会社AI Samurai
(72)【発明者】
【氏名】三上 崇志
【審査官】 萩島 豪
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2018/0232361(US,A1)
【文献】 特開2013−80278(JP,A)
【文献】 特開2007−48273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/20 − 17/28
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特許文献の請求項、当該文献の請求項以外の記載、および当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載の対応関係を複数学習する学習部と、
新規請求項を受け付ける受付部と、
前記学習部による学習結果および前記受付部が受け付けた前記新規請求項に基づいて前記新規請求項に対応する前記新規請求項以外の文章を生成する生成部と、
前記特許文献の請求項および当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載の第1概念距離を算出する算出部と、
を含み、
前記学習部は、前記算出された前記第1概念距離を前記特許文献の請求項または当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載内容に対応付けて学習し、
前記生成部は、前記学習部による学習結果に基づいて前記新規請求項から前記新規請求項に対応する前記新規請求項以外の文章を生成する
特許文章生成装置。
【請求項2】
前記受付部は、前記新規請求項に対応する従来技術文献の記載を更に受け付け、
前記算出部は、前記新規請求項および前記新規請求項に対応する従来技術文献の記載の第2概念距離を算出し、
前記生成部は、前記学習部による学習結果および前記第2概念距離に基づいて前記新規請求項から前記新規請求項に対応する前記新規請求項以外の文章を生成する
ことを特徴とする請求項に記載の特許文章生成装置。
【請求項3】
前記学習部は、前記特許文献の請求項および当該文献の請求項以外の記載を所定の項目ごとに分割した複数の小文章の対応関係を学習し、
前記生成部は、前記学習部による学習結果に基づいて前記新規請求項に対応する前記新規請求項以外の文章を前記複数の小文章に対応する項目ごとに生成する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の特許文章生成装置。
【請求項4】
前記学習部は、技術分野ごとに前記特許文献の請求項、当該文献の請求項以外の記載、および当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載の対応関係を複数学習する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の特許文章生成装置。
【請求項5】
前記生成部は、前記特許文献の請求項以外の記載に基づいて前記新規請求項に対応する前記新規請求項以外の文章を生成する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の特許文章生成装置。
【請求項6】
前記生成部は、前記特許文献の請求項以外の記載および当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載に基づいて前記新規請求項に対応する前記新規請求項以外の文章を生成する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の特許文章生成装置。
【請求項7】
前記受付部が受け付けた前記新規請求項の特許性を判定する判定部を更に含み、
前記生成部は、前記判定部が判定した特許性が所定レベル以上の場合に前記新規請求項に対応する前記新規請求項以外の文章を生成する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の特許文章生成装置。
【請求項8】
コンピュータが、
特許文献の請求項、当該文献の請求項以外の記載、および当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載の対応関係を複数学習する学習ステップと、
新規請求項を受け付ける受付ステップと、
前記学習ステップによる学習結果および前記受付ステップで受け付けた前記新規請求項に基づいて前記新規請求項に対応する前記新規請求項以外の文章を生成する生成ステップと、
前記特許文献の請求項および当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載の第1概念距離を算出する算出ステップと、
を含み、
前記学習ステップは、前記算出された前記第1概念距離を前記特許文献の請求項または当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載内容に対応付けて学習し、
前記生成ステップは、前記学習ステップによる学習結果に基づいて前記新規請求項から前記新規請求項に対応する前記新規請求項以外の文章を生成する
特許文章生成方法。
【請求項9】
コンピュータに、
特許文献の請求項、当該文献の請求項以外の記載、および当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載の対応関係を複数学習する学習機能と、
新規請求項を受け付ける受付機能と、
前記学習機能による学習結果および前記受付機能によって受け付けた前記新規請求項に基づいて前記新規請求項に対応する前記新規請求項以外の文章を生成する生成機能と、
前記特許文献の請求項および当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載の第1概念距離を算出する算出機能と、
を実施させ
前記学習機能は、前記算出された前記第1概念距離を前記特許文献の請求項または当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載内容に対応付けて学習し、
前記生成機能は、前記学習機能による学習結果に基づいて前記新規請求項から前記新規請求項に対応する前記新規請求項以外の文章を生成する
特許文章生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許文章生成装置、特許文章生成方法、および特許文章生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許出願を行う際に、出願用の明細書が必須となる。特許出願用の明細書は、背景技術における課題、発明の詳細説明である実施形態の説明、特許の権利範囲である特許請求の範囲、などが必須となる。
【0003】
特許の特許性は、大きく新規性および進歩性が影響する。新規性は、同一の発明が特許の出願時に公知であったか否かを基準に判断し、進歩性は、出願時点で公知となっている技術を元に当業者が容易に発明をすることができるか否かを基準に判断する。
【0004】
この進歩性の判断は、容易ではないため、判断が著しく困難な場合は、裁判にまで持ち込まれることもある。進歩性の判断が困難なのは、進歩性の判断が特許請求の範囲のみではなく、技術分野や背景技術との関連性を考慮して判断されるためである。そのため、特許出願用の明細書の生成は、特許性を主張できるよう人手によって念入りに生成されるのが通常である。
【0005】
一方、特許文献を自動的に生成するシステムが提案されている。特許文献1に記載のシステムでは、特許文献の生成に必要な事項を受け付け、システムが抽出した先行技術文献との比較を行い、差異について特許出願の明細書として生成する。具体的には、このシステムは、当該差異について抽出された先行技術文献を置換して特許出願明細書とする構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−257668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載のシステムでは、ユーザによって入力された特許請求の範囲に類似する先行技術文献をシステムが自動的に1件または数件抽出し、この1件または数件の先行技術文献を基に特許出願明細書を生成するため、参考にする先行技術文献が少ないため、生成された特許出願明細書の品質にばらつきが生じる可能性がある。すなわち、特許出願明細書の内容も抽出された先行技術文献の記載に大きく左右される。
【0008】
そこで、本発明は上記課題を考慮し、生成される特許出願明細書の品質を一定に保つことが可能な特許文章生成装置、特許文章生成方法、および特許文章生成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の第1態様は、特許文献の請求項、当該文献の請求項以外の記載、および当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載の対応関係を複数学習する学習部と、新規請求項を受け付ける受付部と、前記学習部による学習結果および前記受付部が受け付けた前記新規請求項に基づいて前記新規請求項に対応する前記新規請求項以外の文章を生成する生成部と、を含むことを特徴とする特許文章生成装置に関する。
【0010】
(2)上記(1)において、前記特許文献の請求項および当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載の第1概念距離を算出する算出部を更に含んでもよく、前記学習部は、前記算出された前記第1概念距離を前記特許文献の請求項または当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載内容に対応付けて学習してもよく、前記生成部は、前記学習部による学習結果に基づいて前記新規請求項から前記新規請求項に対応する前記新規請求項以外の文章を生成してもよい。
【0011】
(3)上記(2)において、前記受付部は、前記新規請求項に対応する従来技術文献の記載を更に受け付けてもよく、前記算出部は、前記新規請求項および前記新規請求項に対応する従来技術文献の記載の第2概念距離を算出してもよく、前記生成部は、前記学習部による学習結果および前記第2概念距離に基づいて前記新規請求項から前記新規請求項に対応する前記新規請求項以外の文章を生成してもよい。
【0012】
(4)上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記学習部は、前記特許文献の請求項および当該文献の請求項以外の記載を所定の項目ごとに分割した複数の小文章の対応関係を学習してもよく、前記生成部は、前記学習部による学習結果に基づいて前記新規請求項に対応する前記新規請求項以外の文章を前記複数の小文章に対応する項目ごとに生成してもよい。
【0013】
(5)上記(1)〜(4)のいずれかにおいて、前記学習部は、技術分野ごとに前記特許文献の請求項、当該文献の請求項以外の記載、および当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載の対応関係を複数学習してもよい。
【0014】
(6)上記(1)〜(5)のいずれかにおいて、前記生成部は、前記特許文献の請求項以外の記載に基づいて前記新規請求項に対応する前記新規請求項以外の文章を生成してもよい。
【0015】
(7)上記(1)〜(5)のいずれかにおいて、前記生成部は、前記特許文献の請求項以外の記載および当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載に基づいて前記新規請求項に対応する前記新規請求項以外の文章を生成してもよい。
【0016】
(8)上記(1)〜(7)のいずれかにおいて、前記受付部が受け付けた前記新規請求項の特許性を判定する判定部を更に含んでもよく、前記生成部は、前記判定部が判定した特許性が所定レベル以上の場合に前記新規請求項に対応する前記新規請求項以外の文章を生成してもよい。
【0017】
(9)本発明の第2態様は、特許文献の請求項、当該文献の請求項以外の記載、および当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載の対応関係を複数学習する学習ステップと、新規請求項を受け付ける受付ステップと、前記学習ステップによる学習結果および前記受付ステップで受け付けた前記新規請求項に基づいて前記新規請求項に対応する前記新規請求項以外の文章を生成する生成ステップと、を含むことを特徴とする特許文章生成方法に関する。
【0018】
(9)本発明の第3態様は、コンピュータに、特許文献の請求項、当該文献の請求項以外の記載、および当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載の対応関係を複数学習する学習機能と、新規請求項を受け付ける受付機能と、前記学習機能による学習結果および前記受付機能によって受け付けた前記新規請求項に基づいて前記新規請求項に対応する前記新規請求項以外の文章を生成する生成機能と、を実施させることを特徴とする特許文章生成プログラムに関する。
【発明の効果】
【0019】
上記第1態様〜第3態様によると、生成される特許出願明細書の品質を一定に保つことが可能な特許文章生成装置、特許文章生成方法、および特許文章生成プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態にかかる特許用文章生成システム1による処理の一例を説明するための模式図である。
図2】本発明の実施形態にかかる特許用文章生成システム1の概略構成の一例を示す図である。
図3】本発明の実施形態にかかるユーザの端末装置2の概略構成の一例を示す図である。
図4】本発明の実施形態にかかるサーバ4の概略構成の一例を示す図である。
図5】本発明の実施形態にかかる特許用文章生成システム1による特許文献の学習における制御の一連の流れの動作シーケンスの一例を示す図である。
図6】本発明の実施形態にかかる特許用文章生成システム1による特許出願明細書の生成の一連の流れの動作シーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示の一側面に係る特許文章生成装置、特許文章生成方法、および特許文章生成プログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本開示の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物におよぶ点に留意されたい。
【0022】
(特許用文章生成システム1による処理の概要)
図1は、本発明の実施形態にかかる特許用文章生成システム1による処理の一例を説明するための模式図である。
【0023】
特許用文章生成システム1は、複数のユーザの端末装置2、2、2・・・および特許文献データベース3、これらの複数のユーザの端末装置2、2、2・・・および特許文献データベース3と相互に通信されるサーバ4を有する。サーバ4のサーバ通信部417は、複数のユーザの端末装置2、2、2・・・からユーザが特許出願明細書を自動生成したい発明の内容である新規請求項を受信して、サーバ処理部416が受信した新規請求項および特許文献データベース3に蓄積された特許文献の学習情報を基に生成された特許出願明細書をユーザの端末装置2、2、2・・・に提示する。更に、サーバ4のサーバ処理部416は、ユーザから受信した新規請求項の内容に特許性があるか否かを判定し、特許性の判定結果が所定値以上である場合に、ユーザから受信した新規請求項および特許文献データベース3に蓄積された特許文献の学習情報に基づいて特許出願明細書を自動生成することにしてもよい。
【0024】
ここで、特許用文章生成システム1は、特許出願明細書以外に社内の特許発明の届出帳票などの特許用文章全般の生成に使用されてもよい。すなわち、従来技術である先行技術との差異をまとめるための書類であれば使用用途は本実施形態の記載に限定されることはない。なお、本実施形態においては、特許用文章生成システム1が、特許文章としての特許出願明細書を生成することを一例として記載する。
【0025】
更に、特許文献データベース3に関しても、特許文献だけが学習対象の先行文献となっているが、このデータベースも特許文献以外に学術論文などの特許文献以外を記憶したデータベースであってもよい。すなわち、任意の発明内容、当該発明内容以外の記載、および当該発明内容に対応付けられた従来技術文献の記載の対応関係が記憶されていれば、特許文献データベース3の記憶している文献の種類は本実施形態の記載に限定されることはない。なお、本実施形態においては、特許文献データベース3が特許文献を記憶している構成を一例として記載する。
【0026】
なお、本実施形態では、特許文献データベース3に記憶されている特許文献を検索対象として記載しているが、サーバ4は、特許文献データベース3から特許文献をダウンロードしてサーバ4内で複数の類似する特許文献を抽出する構成としてもよい。この構成によると、処理をローカルで完結できるため、処理速度を早めることができる。
【0027】
特許文献データベース3は、たとえば特許庁のデータベースである。特許庁のデータベースは、1庁でも複数庁を含んでいてもよい。なお、米国、欧州、日本、中国、および韓国の5庁のデータベースを含むことで世界の特許の約90%を網羅することができるため、特許性の判定の精度を上げるためには、これらの5庁のデータベースを含んでいるとよい。
【0028】
(特許用文章生成システム1の概略構成)
図2は、本発明の実施形態にかかる特許用文章生成システム1の概略構成の一例を示す図である。
【0029】
本発明の実施形態にかかる特許用文章生成システム1は、複数のユーザの端末装置2、2、2・・・と、特許文献データベース3と、サーバ4とを有する。以下では、複数のユーザの端末装置を単にユーザの端末装置2と称する場合がある。ユーザの端末装置2、2、2・・・およびサーバ4は、たとえば、インターネット5などの通信ネットワークを介してそれぞれ相互に接続される。更に、特許文献データベース3およびサーバ4は、たとえば、インターネット5などの通信ネットワークを介してそれぞれ相互に接続される。また、ここではインターネット5が1つ例示されているが、インターネット5が複数のネットワークからなる場合は、それぞれのネットワーク間にゲートウェイ(図示しない)を適宜設けてもよい。ユーザの端末装置2で実行されるプログラム(たとえば、閲覧プログラム)と、サーバ4で実行されるプログラム(たとえば、管理プログラム)とは、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)などの通信プロトコルを用いて通信を行う。
【0030】
更に、ユーザの端末装置2とサーバ4との間の接続、および特許文献データベース3とサーバ4との間の接続は、扱う情報が機密情報となるため、インターネット5の通信環境がセキュリティーの面で優れている必要がある。また、ユーザの端末装置2とサーバ4との間の接続、および特許文献データベース3とサーバ4との間の接続は、専用の回線を用意することでセキュリティーを強化することができる。
【0031】
(ユーザの端末装置2の概略構成)
図3は、本発明の実施形態にかかるユーザの端末装置2の概略構成の一例を示す図である。
【0032】
ユーザの端末装置2は、無線通信ネットワークへの接続、Webアクセスなどを実行する。そのために、ユーザの端末装置2は、端末通信部211と、端末記憶部212と、端末操作部213と、端末表示部214と、端末処理部215とを備える。
【0033】
なお、ユーザの端末装置2としては、タブレットPCやノートPCを想定するが、本発明はこれに限定されない。ユーザの端末装置2は、本発明が適用可能であればよく、たとえば、多機能携帯電話(所謂「スマートフォン」)、携帯電話(所謂「フィーチャーフォン」)、携帯情報端末(PDA)、携帯ゲーム機、携帯音楽プレイヤ、タブレット端末、などでもよい。
【0034】
端末通信部211は、通信インターフェース回路を備え、ユーザの端末装置2をインターネット5に接続する。端末通信部211は、ネットワークを介して端末処理部215から供給されたデータをサーバ4などに送信する。また、端末通信部211は、ネットワークを介してサーバ4などから受信したデータを端末処理部215に供給する。
【0035】
端末記憶部212は、たとえば、半導体メモリ装置を備える。端末記憶部212は、端末処理部215での処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データなどを記憶する。たとえば、端末記憶部212は、ドライバプログラムとして、端末操作部213を制御する入力デバイスドライバプログラム、端末表示部214を制御する出力デバイスドライバプログラムなどを記憶する。各種プログラムは、たとえばCD−ROM、DVD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラムなどを用いて端末記憶部212にインストールされてもよい。また、端末記憶部212は、所定の処理に係る一時的なデータを一時的に記憶してもよい。
【0036】
端末操作部213は、ユーザの端末装置2の操作が可能であればどのようなデバイスでもよく、たとえば、マウス、タッチパネル、またはキーボタンなどである。ユーザは、端末操作部213を用いて、情報の選択や解除、文字や数字などを入力することができる。端末操作部213は、ユーザにより操作されると、その操作に対応する信号を発生する。そして、発生した信号は、端末処理部215に送信される。
【0037】
端末表示部214も、映像や画像などの表示が可能であればどのようなデバイスでもよく、たとえば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイなどである。端末表示部214は、端末処理部215から供給された映像データに応じた映像や、画像データに応じた画像などを表示する。
【0038】
端末処理部215は、一または複数個のプロセッサおよびその周辺回路を備える。端末処理部215は、ユーザの端末装置2の全体的な動作を統括的に制御するものであり、たとえば、CPUである。端末処理部215は、ユーザの端末装置2の各種処理が端末記憶部212に記憶されているプログラムや端末操作部213の操作などに基づいて適切な手順で実行されるように、端末通信部211や端末表示部214などの動作を制御する。端末処理部215は、端末記憶部212に記憶されているプログラム(オペレーティングシステムプログラムやドライバプログラム、アプリケーションプログラムなど)に基づいて処理を実行する。また、端末処理部215は、複数のプログラム(アプリケーションプログラムなど)を並列に実行することができる。
【0039】
端末処理部215は、ユーザの端末装置2の外部から受信した画面表示情報をユーザに閲覧可能な画面表示として処理をする機能や、ユーザからの端末操作部213の操作内容に基づく処理をユーザの端末装置2の外部に送信可能な信号に変換して端末送信部211に送る機能を備える。これらの機能は、端末処理部215が備えるプロセッサで実行されるプログラムにより実現される機能モジュールである。あるいは、これらの各部は、独立した集積回路、マイクロプロセッサ、またはファームウェアとしてユーザの端末装置2に実装されてもよい。
【0040】
(ユーザの端末装置2の処理)
ユーザの端末装置2は、ユーザに操作される。ユーザは、端末操作部213を操作して特許出願明細書を自動生成したい新規請求項をユーザの端末装置2に入力する。必要に応じて端末処理部215が新規請求項の誤記修正を行なったり、文法の修正を行なったりしてもよい。
【0041】
また、ユーザの端末装置2は、ユーザの個人用の端末装置であってもよく、企業用の端末装置や企業全体のネットワークであってもよい。
【0042】
そして、ユーザの端末装置2の端末通信部211は、ユーザによって入力された新規請求項をサーバ4に送信する。
【0043】
(特許文献データベース3の概略構成)
本発明の実施形態にかかる特許文献データベース3は、サーバ4の要求に応じて所望の複数の特許文献をサーバ4に提供する。すなわち、特許文献データベース3は、サーバ4から受信した要求に基づいて当該要求に該当する特許文献を抽出して、サーバ4に送信する。特許文献データベース3は、サーバ4からの要求がある度に特許文献を検索してサーバ4に送信してもよく、定期的に代表的な検索結果について特許文献データベース3が特許文献をサーバ4に送信してもよい。特に図示しないが、特許文献データベース3は、処理部、通信部、および記憶部などのサーバとしての構成要素を備えているとよい。
【0044】
更に、サーバ4が特許文献データベース3を兼ねている場合、特許文献データベース3は、特許文献をサーバ4に送信してサーバ4の記憶部411などが特許文献を記憶する。特許文献データベース3は、サーバ4からの要求に応じて特許文献をサーバ4に送信してもよく、特許文献データベース3の主動によって特許文献をサーバ4に送信してもよい。この場合、サーバ4は、サーバ4内で検索および判定を完結できるため、処理速度を自由に調整することができる。
【0045】
特許文献データベース3は、新しく公開された公開特許公報や登録特許公報を蓄積して記憶している。特許文献データベース3は、過去の特許文献全てにおいて、項目分けされているとよい。特許文献データベース3は、特許文献を所定の項目ごとに分割した複数の小文章に分割して記憶していてもよい。この場合、サーバ4は、所定の項目ごとに学習結果に基づいて新規請求項に対応する新規請求項以外の特許出願明細書を複数の小文章に対応する項目ごとに生成することができる。たとえば、要約、特許請求の範囲(請求項)、全文などに分かれているとよい。
【0046】
また、上述の通り、特許文献データベース3は、特許文献の替わりに技術論文などを記憶するデータベースであってもよい。この場合も、特許文献データベース3の動作については、特許文献を記憶する場合と同様である。
【0047】
(サーバ4の概略構成)
図4は、本発明の実施形態にかかるサーバ4の概略構成の一例を示す図である。
【0048】
図4に示されるように、サーバ4は、サーバ4の記憶領域であるサーバ記憶部411を含む。また、サーバ4は、学習部412、生成部413、算出部414、および判定部415などを含むサーバ処理部416を含む。更に、サーバ4は、ユーザの端末装置2および特許文献データベース3と通信するためにサーバ通信部417を備える。
【0049】
サーバ4は、特許文献データベース3から受信した複数の特許文献を学習する学習部412、学習結果および新規請求項に基づいて新規請求項に対応する特許出願明細書を生成する生成部413、特許文献の請求項および当該特許文献に対応付けられた従来技術文献に記載の第1概念距離を算出し、新規請求項および新規請求項に対応する従来技術文献の記載の第2概念距離を算出する算出部414、および入力された新規請求項の特許性が所定値以上か否かを判定する判定部415を含むサーバ処理部416を備えている。サーバ処理部416による機能は、サーバ処理部416が備えるプロセッサで実行されるプログラムにより実現される機能モジュールである。あるいは、これらの各部は、独立した集積回路、マイクロプロセッサ、またはファームウェアとしてサーバ4に実装されてもよい。なお、サーバ処理部416の処理内容は後述する。また、サーバ処理部416の構成要素の切り分けは、一例であって、どの構成要素がどの処理を行うかは、特に本実施形態の記載に限定されない。
【0050】
サーバ記憶部411は、たとえば、半導体メモリ、磁気ディスク装置および光ディスク装置の内の少なくとも一つを有し、バスを介してサーバ4と接続される。サーバ記憶部411は、サーバ処理部416による処理に用いられるドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム、データなどを記憶する。たとえば、サーバ記憶部411は、ドライバプログラムとして、サーバ通信部417を制御する通信デバイスドライバプログラムなどを記憶する。コンピュータプログラムは、たとえばCD−ROM、DVD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラムなどを用いてサーバ記憶部411にインストールされてもよい。また、サーバ記憶部411は、学習部412による学習結果を記憶してもよい。
【0051】
学習部412は、任意の特許文献の請求項、当該文献の請求項以外の記載、および当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載の対応関係を複数学習する。具体的に、学習部412は、特許文献データベース3から受信した複数の特許文献を形態素解析した結果および同様に形態素解析をした当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載を対応付けて学習する。学習部412は、更に当該文献の請求項以外の記載を形態素解析した結果を任意の特許文献の請求項に対応付けて学習してもよい。
【0052】
ここで学習とは、任意の特許文献の請求項や当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載を形態素解析して、特許文献を単語ごとに区切り、単語ごとにベクトル(好ましくは分散ベクトル)を付与し、複数の特許文献同士の比較をし易くし、多次元マップにそれぞれの文献をマッピングする。多次元マップの軸は、任意に設定することができ、技術分野や課題、技術的特徴の種類、構成要素の数、文字数、など特に限定されるものではない。特に、任意の特許文献および当該特許文献に対応付けられた従来技術文献のマッピング位置同士の距離(方向を含むベクトル)を第1概念距離として学習するとよい。そして、学習部412は、このマッピング位置を学習結果として学習してもよいが、後述する算出部414による算出結果である、特許文献同士の距離である第1概念距離を更に学習結果として学習してもよい。なお、本発明の学習方法は、上記記載に限定されることなく、さまざまな学習方法を採用することが可能である。
【0053】
また、学習部412は、特許文献の請求項および当該文献の請求項以外の記載を所定の項目ごとに分割した複数の小文章の対応関係を学習することにしてもよい。この学習方法は、上述の方法が応用できる。そして、後述する生成部413は、所定の項目ごとに学習結果に基づいて新規請求項に対応する新規請求項以外の特許出願明細書を複数の小文章に対応する項目ごとに生成することができる。ここで特許文献の項目とは、要約、特許請求の範囲(請求項)、全文などを示す。
【0054】
生成部413は、学習部412による学習結果およびサーバ通信部417が受け付けた新規請求項に基づいて新規請求項に対応する新規請求項以外の文章を生成する。生成部413は、第1概念距離を含む学習結果および後述する第2概念距離を基に特許出願明細書を生成する。ここで、第1概念距離および第2概念距離は、同一の方法で算出されることが特許出願明細書を生成する上で好ましい。
【0055】
なお、生成部413は、第2概念距離が算出されていない場合に、第1概念距離および新規請求項を上述の方法でマッピングしたマッピング位置を基に特許出願明細書を生成することができる。この場合に生成部413は、新規請求項を形態素解析した結果を、第1概念距離を含む学習結果に代入することで、新規請求項のマッピング位置から当該新規請求項の所属する技術分野の平均的な第1概念距離離れたマッピング位置の情報を基に特許出願明細書を生成する。
【0056】
本発明においてサーバ4は、学習部412が特許文献の請求項、当該文献の請求項以外の記載、および当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載の対応関係を複数学習し、サーバ通信部417が新規請求項を受け付け、生成部413が学習部による学習結果およびサーバ通信部417がけ付けた新規請求項に基づいて新規請求項に対応する新規請求項以外の文章を生成する機能を少なくとも備えているとよい。すなわち、生成部413は、特許文献の請求項以外の記載に基づいて新規請求項に対応する新規請求項以外の文章を生成するとよい。一方、生成部413は、特許文献の請求項以外の記載および当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載に基づいて新規請求項に対応する新規請求項以外の文章を生成してもよい。使用する学習データの量に応じて、生成部413の処理速度は変化するが、使用する学習データの量に応じて生成される特許文章の品質も左右されるため、ユーザまたはサーバ4の提供者は、適宜使用する学習データの量を設定することが好ましい。生成部413は、学習部412に学習されている特許文献の記載を適宜引用して新規請求項に対応する新規請求項以外の文章を生成する。
【0057】
算出部414は、特許文献の請求項および当該特許文献に対応付けられた従来技術文献に記載の距離および方向である第1概念距離(ベクトル)を算出する。そして、学習部412は、算出された第1概念距離を特許文献の請求項または当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載内容に対応付けて学習する。生成部413は、学習部412による学習結果に基づいて新規請求項から新規請求項に対応する新規請求項以外の文章を生成する。概念距離とは、形態素解析を行った特許文献や従来技術文献の位置情報の関係を示す情報である。この位置情報の関係は、多次元空間における位置情報である。
【0058】
また、算出部414は、新規請求項および新規請求項に対応する従来技術文献の記載の第2概念距離を算出する。このためにサーバ通信部417は、新規請求項に対応する従来技術文献の記載を更に受け付ける必要がある。この第2概念距離の算出方法については、第1概念距離の算出方法の少なくとも一部を応用することができる。そして、生成部413は、学習部412による学習結果および第2概念距離に基づいて新規請求項から新規請求項に対応する新規請求項以外の文章を生成する。概念距離とは、形態素解析を行った特許文献や従来技術文献の位置情報の関係を示す情報である。なお、算出部414は、第1概念距離および第2概念距離を同一の方法で算出することで、生成部413が第2概念距離を、第1概念距離を含む学習結果に代入して特許出願明細書を生成することができる。すなわち、新規請求項の多次元マップのマッピング位置から第2概念距離離れたマッピング位置に存在する特許文献の情報を基に新規請求項に対応する新規請求項以外の文章を生成することができる。
【0059】
判定部415は、サーバ通信部417が受け付けた新規請求項の特許性を判定する。具体的には、判定部415が新規請求項の特許性を数値として算出した結果を所定値と比較して、特許性を示す数値が所定値よりも高ければ特許性があると判定する。この所定値は、技術分野によって変動するよう設定していてもよく、学習部412が学習に使用した特許文献の数によって変動するように設定してもよい。学習部412が使用した特許文献が多ければ多いほど、特許性が低くなるため、所定値を変動させることで判定部415の判定精度を上げることができる。
【0060】
判定部415は、たとえば、新規請求項に対応する従来技術文献の請求項と新規請求項とを比較して新規請求項の特許性を示す数値を算出する。文章同士の比較は、既存の文章比較技術を用いることができる。一般的には、同一単語同士の出現回数の比較や同一単語の出現割合の比較などによって特許性を示す数値を算出することができる。具体的に判定部415は、新規請求項に含まれる単語の中から特定単語を抽出し、複数の特定単語について同義語、類義語または派生語(同義語等)を記憶した図示しないデータベースから特定単語に対する同義語などを検索した上で、同義語等によって構成される文章の意味内容が類似しているか否かで判断する。判定部415は、比較した結果、類似箇所または類似量が少ない場合には、特許性を示す数値が低くなるように数値を算出する。または、判定部415は、概念辞書を用いることで同一概念を持つ単語同士の出現回数の比較や同一概念を持つ単語の出現割合の比較などによって特許性を示す数値を算出することもできる。判定部415は、権利取得の可能性の高低に応じて、例えば、「Sランク(可能性が極めて高い)」、「Aランク(可能性が高い)」、「Bランク(可能性あり)」、および「Cランク(可能性が低い)」など、ランクによる判定をしてもよい。
【0061】
サーバ通信部417は、サーバ4をインターネット5に接続するための通信インターフェース回路を有する。サーバ通信部417は、ユーザの端末装置2から特許出願明細書の生成を求める新規請求項を受信し、生成部413による特許出願明細書の生成結果をユーザの端末装置2に送信する。また、サーバ通信部417は、特許文献データベース3から特許文献の提供を受ける際に、情報を受信する。サーバ通信部417は、必要に応じてユーザの端末装置2とさまざまな通信を行い、サーバ通信部417は、必要に応じて特許文献データベース3とさまざまな通信を行う。
【0062】
サーバ通信部417は、本実施形態において2つの機能を有する。1つ目は、ユーザからユーザの端末装置2を介して新規請求項を受信する。また、2つ目の機能として、新規請求項に対応する従来技術文献の記載をユーザの端末装置2を介して更に受け付ける。更に、サーバ通信部417は、各種情報をユーザの端末装置2に送信する機能も担っている。たとえば、各種情報をユーザ2が入力するための入力フォームをユーザの端末装置2に送信したり、生成部413が生成した特許出願明細書をユーザの端末装置2に送信したりする。なお、サーバ通信部417は、本発明の受付部に相当することができる。
【0063】
(特許用文章生成システム1による学習処理)
図5は、本発明の実施形態にかかる特許用文章生成システム1による特許文献の学習における制御の一連の流れの動作シーケンスの一例を示す図である。
【0064】
以下に説明する動作シーケンスは、予めサーバ記憶部411に記憶されているプログラムに基づいて、主にサーバ処理部416により、サーバ4の各要素と協働して実行される。また、以下に説明する動作シーケンスにおいて、サーバ4は、サーバ通信部417を介して特許文献データベース3と各種の情報を送受信する。
【0065】
最初にサーバ4のサーバ通信部417は、特許文献データベース3から特許文献を受信する(ステップS101)。特に図示はしないが、サーバ4は、このステップ101の前にサーバ4から特許文献の送信要求を特許文献データベース3に送信する構成としてもよい。
【0066】
続いて、サーバ処理部416は、特許文献の請求項および当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載の第1概念距離を算出する(ステップS102)。なお、このステップS102は、省略されて次のステップS103に処理が飛ばされてもよい。
【0067】
次に、サーバ処理部416は、ステップS102にて算出された第1概念距離を特許文献の請求項または当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載内容に対応付けて学習する(ステップS103)。なお、ステップS102が飛ばされた場合は、特許文献の請求項または当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載内容を対応付けて学習してもよい。サーバ処理部416は、特許文献データベース3から受信した特許文献を学習した後に処理を終了させる。
【0068】
(特許用文章生成システム1による特許出願明細書の生成処理)
図6は、本発明の実施形態にかかる特許用文章生成システム1による特許出願明細書の生成の一連の流れの動作シーケンスの一例を示す図である。
【0069】
以下に説明する動作シーケンスは、予めサーバ記憶部411に記憶されているプログラムに基づいて、主にサーバ処理部416により、サーバ4の各要素と協働して実行される。また、以下に説明する動作シーケンスにおいて、サーバ4は、サーバ通信部417を介してユーザの端末装置2と各種の情報を送受信する。
【0070】
まず、サーバ処理部416は、ユーザの端末装置2から新規請求項を受信する(ステップS201)。請求項は、特許出願明細書に記載される形式でもよく、発明内容を簡易にまとめたメモ書きのような形式でもよい。また、サーバ処理部416は、ユーザの端末装置2から新規請求項だけでなく、新規請求項に至る根拠となる従来技術文献を併せて受信する。なお、ステップS201において、新規請求項に至る根拠となる従来技術文献を受信せずに新規請求項のみを受信することにしても本発明は成り立つ。
【0071】
サーバ処理部416は、ステップS201で受信した新規請求項に特許性があるか否かを判定する(ステップS202)。サーバ処理部416は、新規請求項の特許性の度合いを示す値を算出して、算出された特許性の度合いが所定値以上であるか否かを判定する。なお、新規請求項の特許性の判定は、さまざまな既存の技術を用いてもよい。
【0072】
サーバ処理部416は、ステップS201において従来技術文献を併せて受信している場合は、当該従来技術文献と新規請求項とを比較して、特許性の度合いを示す値を算出してもよい。
【0073】
そして、サーバ処理部416は、ステップS202で判定された特許性の度合いを示す値が所定値以上であると判定した場合(ステップS202がYES)、サーバ処理部416は、新規請求項に至る根拠となる従来技術文献および新規請求項から第2概念距離を算出する(ステップS203)。なお、ステップS201にて、新規請求項に至る根拠となる従来技術文献を受信していない場合には、本ステップS203は、省略される。
【0074】
一方、サーバ処理部416は、ステップS202で判定された特許性の度合いを示す値が所定値未満であると判定した場合(ステップS202がNO)、サーバ処理部416は、処理を終了させる。
【0075】
サーバ処理部416は、ステップS203にて第2概念距離を算出した後に、図5で説明した学習結果および第2概念距離を基に特許出願明細書を生成する(ステップS204)。なお、サーバ処理部416は、第1概念距離および第2概念距離は、同一の方法で算出されることで、正確に特許出願明細書を生成することができる。
【0076】
サーバ処理部416は、ステップS203が省略されており、第1概念距離および新規請求項から特許出願明細書を生成する場合には、新規請求項を形態素解析した結果を、第1概念距離を含む学習結果に代入することで、特許出願明細書を生成する。
【0077】
そして、サーバ処理部416は、ステップS204で自動生成された特許出願明細書をユーザの端末装置2に送信する(ステップS205)。そして、処理は、このステップS205が完了したことによって終了される。
【0078】
以上説明したように、実施形態にかかる特許用文章生成システム1は、特許文献を学習した学習結果を基にユーザの端末装置2に入力した少なくとも新規請求項に対応する特許出願明細書を自動的に生成することができる。また、機械学習によって、無数に存在する特許文献を学習データとして学習しているため、特許出願明細書の品質を高く維持することができる。
【0079】
実施形態にかかる特許用文章生成システム1は、新規請求項以外に新規請求項に至る根拠となる従来技術文献を受信することで、第2概念距離を算出して学習結果に含まれる第1概念距離との関係から更に精度の高い特許出願明細書を生成することができる。
【0080】
また、実施形態にかかる特許用文章生成システム1は、新規請求項の特許性を判定した上で特許性が高い場合のみ特許出願明細書を自動生成するため、特許性が低い新規請求項を基に特許出願明細書を自動生成することを回避できる。また、特許性は、課題や従来技術との対比によっても判断されるため、ユーザが新規請求項以外に新規請求項に至る根拠となる従来技術文献を新規請求項以外に送信している場合には、従来技術文献を基に特許性が判断されるため、更に精度の高い特許性の判定を実施した上で特許出願明細書を生成することができる。
【0081】
本発明は、特許文献の請求項、当該文献の請求項以外の記載、および当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載の対応関係を複数学習する学習ステップと、新規請求項を受け付ける受付ステップと、前記学習ステップによる学習結果および前記受付ステップで受け付けた前記新規請求項に基づいて前記新規請求項に対応する前記新規請求項以外の文章を生成する生成ステップと、を含むことを特徴とする特許文章生成方法としても成り立つ。
【0082】
本発明は、コンピュータに、特許文献の請求項、当該文献の請求項以外の記載、および当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載の対応関係を複数学習する学習機能と、新規請求項を受け付ける受付機能と、前記学習機能による学習結果および前記受付機能によって受け付けた前記新規請求項に基づいて前記新規請求項に対応する前記新規請求項以外の文章を生成する生成機能と、を実施させることを特徴とする特許文章生成プログラムとしても成り立つ。
【0083】
当業者は、本発明の精神および範囲から外れることなく、さまざまな変更、置換および修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。
【0084】
(変形例)
学習部412は、任意の特許文献の請求項、当該文献の請求項以外の記載、および当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載の対応関係を複数学習したが、本学習は、技術分野ごとに行うことで精度の高い学習結果を蓄積することができる。たとえば、IPCやFIターム(日本国特許庁の特許分類)などごとに学習部412が特許文献から学習結果を蓄積するとよい。
【符号の説明】
【0085】
1 特許用文章生成システム
2 ユーザの端末装置
211 端末通信部
212 端末記憶部
213 端末操作部
214 端末表示部
215 端末処理部
3 特許文献データベース
4 サーバ
411 サーバ記憶部
412 学習部
413 生成部
414 算出部
415 判定部
416 サーバ処理部
417 サーバ通信部
5 インターネット
【要約】
生成される特許出願明細書の品質を一定に保つことが可能な特許文章生成装置、特許文章生成方法、および特許文章生成プログラムを提供する。
特許文章生成装置は、特許文献の請求項、当該文献の請求項以外の記載、および当該特許文献に対応付けられた従来技術文献の記載の対応関係を学習する学習部と、新規請求項を受け付ける受付部と、上記学習部による学習結果および上記受付部が受け付けた上記新規請求項に基づいて上記新規請求項に対応する上記新規請求項以外の文章を生成する生成部と、を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6