(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記流量調節弁の積算動作量が予め定められた設定値に到達したときに、当該流量調節弁の寿命を報知するバルブ寿命報知機能を有することを特徴とする請求項1に記載の流量制御装置。
前記流量調節弁を全閉したにも関わらず流量が予め定められた設定値以上のときに、当該流量調節弁の内部における液体の漏れを報知する内部リーク報知機能を有することを特徴とする請求項1または2に記載の流量制御装置。
前記流量測定部における羽根車の積算回転数が予め定められた設定値に到達したときに、当該流量測定部の寿命を報知する流量計寿命報知機能を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の流量制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態を添付した図を参照して説明する。なお、便宜的に、
図1における左右(方向)を流量制御ユニット1の前後、
図2における左右(方向)を流量制御ユニット1の左右、並びに
図1乃至
図3における上下(方向)を流量制御ユニット1又は流量制御装置11の上下と定める。
図1、
図2に示されるように、流量制御ユニット1は、略直方体に形成されて前後方向へ延びるマニホールド2と、当該マニホールド2に連装される複数個の流量制御装置11と、マニホールド2と各流量制御装置11とを接続するジョイント91(接続手段)と、を備える。
【0014】
(マニホールド)
マニホールド2は、当該マニホールド2の内部を前後方向へ延びるキャビティ3と、当該マニホールド2の下部に設けられてストレーナ(図示省略)を経由した流体(本実施形態では「水」)をキャビティ3へ導入する導入口(図示省略)と、を有する。また、マニホールド2は、当該マニホールド2の上面2Aに開口してキャビティ3と連通する複数個のポート4を有する。
【0015】
図2に示されるように、ポート4は、左右方向に一定間隔をあけて2列に配列される。また、
図1に示されるように、各列のポート4は、前後方向に一定間隔をあけて配列される。換言すると、ポート4は、前後方向へ長いグリッド状に配列される。なお、各ポート4の開口部には、当該ポート4の内径よりも大きい内径の接続口5が形成される。また、マニホールド2の材料には、プラスチック又は非磁性金属が適用される。
【0016】
(流量制御装置)
図3に示されるように、流量制御装置11は、プラスチック又は非磁性金属からなるボディ12と、当該ボディ12の内部を上下方向へ延びて流体が下から上へ向かって流れる流路13と、を有する。ボディ12は、当該ボディ12の下端に開口して後述のジョイント91(接続手段)が接続される流入口14と、当該ボディ12の上端に開口してアダプタ17が接続(嵌合)される流出口15と、を有する。ここでは、便宜的に、ボディ12の流入口14から流出口15までの流路を総称して流路13という。なお、アダプタ17には、管継手を接続するための管用テーパねじが形成される。
【0017】
(流量調節弁)
流量制御装置11は、ボールバルブ機構により構成される流量調節弁21を備える。流量調節弁21は、軸部25と、当該軸部25の先端(
図3における右端)に設けられて流路13を遮断可能なボール部23と、を備えた弁体22を有する。軸部25の基端(
図1における左端)は、モータアクチュエータ24の回転軸24Aに接続される。ボディ12には、当該ボディ12を水平方向(
図3における左右方向)へ貫通して流路13に連通する軸孔26が形成される。軸孔26には、弁体22の軸部25が摺動可能に嵌合される。なお、弁体22の軸部25とボディ12の軸孔26との間は、Oリング27によりシールされる。また、モータアクチュエータ24は、ステッピングモータ、減速機構、及び位置検出センサを含む。
【0018】
流量調節弁21は、弁体22のボール部23を挟んで流路13の上流側及び下流側に配置される一対のボールパッキン28及び29を有する。上流側のボールパッキン28は、固定ナット30にて下流側(
図3における上側)へ押し付けられることにより、弁座部28Aがボール部23に対して摺動可能に密着する。また、下流側のボールパッキン29は、固定ナット31にて上流側(
図3における下側)へ押し付けられることにより、弁座部29Aがボール部23に対して摺動可能に密着する。ここで、
図3に示されるのは、流量調節弁21が全開の状態であり、この状態では、弁体22のボール部23の流路23Aの軸線は、ボールパッキン28及び固定ナット30を貫通して延びる流路32の軸線と、ボールパッキン29及び固定ナット31を貫通して延びる流路33の軸線とに一致し、延いては流路13の軸線Lに一致する。
【0019】
なお、流路32は、ボール部23側(弁座部28A側)とは反対側(
図3における左側)の端部に、流路面積が漸次縮径される縮径部32Aを有する。また、流路33は、ボール部23側(弁座部29A側)とは反対側(
図3における右側)の端部に、流路面積が漸次拡径される拡径部33Aを有する。また、固定ナット30と流路13との間は、Oリング34によりシールされる。また、固定ナット31と流路13との間は、Oリング35によりシールされる。さらに、
図3における符号36は、軸孔26に対する弁体22の軸線方向(
図3における左右方向)への移動を阻止する抜け止めプレートである。
【0020】
(流量測定部)
流量制御装置11は、流量調節弁21の上流(
図3における下側)を流れる流体の流量を、後述する羽根車42の回転数に基づき間接的に測定する流量測定部41を備える。流量測定部41は、所謂、羽根車(タービン)式流量計であり、羽根車42と、当該羽根車42を回転可能に支持する支持枠45と、を有する。羽根車42は、流路13の軸線L(
図3参照)上に配置される回転軸43と、当該回転軸43の周囲に等間隔で設けられる複数個(本実施形態では「4個」)の翼部44(タービン翼)と、を有する。そして、本実施形態における羽根車42の製造は、磁化していない磁性体の金属粉を材料とするメタルインジェクションモールディング(MIM:Metal Injection Molding)が適用され、回転軸43と複数個の翼部44とが一体(同時)に成形される。なお、メタルインジェクションモールディングの材料(磁性体)として、例えば、磁性ステンレス鋼(例えば、SUS630)が適用される。
【0021】
図3に示されるように、支持枠45は、通過する流体に旋回流を生じさせる旋回流プレート46と、羽根車42の翼部44を囲うスリーブ47と、に分割して構成される。旋回流プレート46は、プラスチック又は非磁性金属により構成され、中央には、羽根車42の回転軸43の下端を支持する軸受部48が設けられる。スリーブ47は、プラスチック又は非磁性金属により構成され、中央には、羽根車42の回転軸43の上端を支持する軸受部49が設けられる。なお、支持枠45(スリーブ47)は、上端が、流路13に形成された段部50に突き当てられることにより、上下方向、すなわち、流路13の軸線Lに沿う方向へ位置決めされる。また、支持枠45(旋回流プレート46)は、流路13の内周に装着されたC形止め輪56により、下方向(上流側)への移動が阻止される。
【0022】
一方、流量測定部41は、羽根車42の回転数を測定するセンサユニット51を備える。センサユニット51は、センサ基板52と、当該センサ基板52に実装されるGMR(Giant Magnetoresistance)センサ53と、当該GMRセンサ53にバイアス磁界を印加するバイアスマグネット57(例えば、フェライト系バルク磁石)と、を含む。センサ基板52は、ボディ12の凹部16から流路13内に配置された羽根車42に向かって延びるセンサユニット収容部54に収容される。そして、センサユニット51は、GMRセンサ53により検知した羽根車42の回転に伴う磁界強度の変化に基づき当該羽根車42の回転数を測定し、測定結果に応じたパルス信号(便宜的に「回転数信号」と称する)を後述する制御部61へ出力する。
【0023】
なお、本実施形態において、GMRセンサ53は、センサ基板52上に、羽根車42の回転方向(前後方向)に間隔をあけて2個のGMR素子が配置されてホイートストンブリッジが構成されており、当該2個のGMR素子の抵抗値の変化に基づき、磁界強度の変化を検出するように構成されている。また、
図3における符号55は、センサ基板52と制御部61の制御基板62とを接続する信号ケーブルである。さらに、
図3における符号59は、旋回流プレート46とスリーブ47との間をシールするOリングである。
【0024】
(制御部)
流量制御装置11は、前述の流量測定部41の測定結果(羽根車42の回転数)に基づき流量調節弁21の開度をフィードバック制御する制御部61を備える。制御部61は、演算部、記憶部等を備える、所謂、マイクロコンピュータであり、流量測定部41から出力された回転数信号(流量測定部41により測定された流量)に基づき、流量調節弁21の開度をフィードバック制御(PID制御)する。すなわち、制御部61は、回転数信号を流量の測定値に変換、換言すると、データテーブルに基づき回転数を流量に換算し、当該測定値(流量測定値)と設定値(流量目標値)とを演算処理する。そして、演算処理結果に基づきモータアクチュエータ24を制御することにより、弁体22、延いてはボール部23を回転させ、流路13を流れる流体の流量を調節するように構成される。
【0025】
制御部61は、ボディ12の一側面(
図3における左側面)に形成された凹部16に収容される制御基板62を有する。ボディ12の一側面には、モータアクチュエータ24を収容するアルミ合金製のハウジング63が設けられ、当該ハウジング63と凹部16との間の空間は、パッキン64により密閉される。なお、パッキン64は、ボディ12の凹部16の周縁に形成されたパッキン溝65に嵌め込まれる。また、ハウジング63の下部には、外部との通信(本実施形態では「RS485」)に使用される防水コネクタ66が取り付けられる。また、防水コネクタ66と制御基板62とは、信号ケーブル67(本実施形態では「5芯」)により接続される。また、
図3における符号68は、制御基板62に実装されたLED(フルカラー)である。さらに、
図3における符号69は、LED68を外部から視認するための透明樹脂からなる光伝送窓である。
【0026】
(接続手段)
図2に示されるように、ジョイント91(接続手段)は、直線状の管体により形成され、軸線方向(上下方向)に分割可能なジョイントアダプタ71(第1管部材)とジョイントアダプタ81(第2管部材)とを有する。ジョイントアダプタ71の基端には、マニホールド2の各ポート4の接続口5及び流量制御装置11の流入口14に接続可能な第1端部72が形成される。そして、ジョイントアダプタ71は、第1端部72(軸)をポート4の接続口5(孔)に差し込むことによりマニホールド2に接続され、他方で、第1端部72(軸)を流量制御装置11の流入口14(孔)に差し込むことにより当該流量制御装置11に接続される。換言すると、マニホールド2の各ポート4の接続口5と流量制御装置11の流入口14とは、同一形状に形成される(内径が同じ)。
【0027】
なお、ジョイントアダプタ71の第1端部72の先端には、Oリング73を装着するための小径部74が形成され、当該Oリング73により、ジョイントアダプタ71の第1端部72とマニホールド2の各ポート4の接続口5又は流量制御装置11の流入口14との間がシールされる。また、ジョイントアダプタ71の内部には、当該ジョイントアダプタ71を通過する流体に含まれる異物を捕捉するためのフィルタ7が設けられる。さらに、
図3における符号8は、フィルタ7のジョイントアダプタ71に対する軸線方向(上下方向)への移動を阻止するC形止め輪である。
【0028】
一方、ジョイントアダプタ81の基端には、前述のジョイントアダプタ71の第1端部72と同一形状の第1端部82が形成される。すなわち、ジョイントアダプタ81は、第1端部82(軸)をポート4の接続口5(孔)に差し込むことによりマニホールド2に接続され、他方で、第1端部82(軸)を流量制御装置11の流入口14(孔)に差し込むことにより当該流量制御装置11に接続される。なお、ジョイントアダプタ81の第1端部82の先端には、Oリング83を装着するための小径部84が形成され、当該Oリング83により、ジョイントアダプタ81の第1端部82とマニホールド2の各ポート4の接続口5又は流量制御装置11の流入口14との間がシールされる。
【0029】
そして、ジョイントアダプタ71(81)は、第1端部72(82)の外周に形成された第1フランジ75(85)が流量制御装置11のボディ12の下端面に当接されることにより、当該流量制御装置11に対して軸線方向(上下方向)に位置決めされる。また、ジョイントアダプタ71(81)は、ねじ58(
図1参照)にて第1フランジ75(85)をボディ12に固定することにより流量制御装置11に装着される。他方で、ジョイントアダプタ71(81)は、第1端部72(82)の外周に形成された第1フランジ75(85)がマニホールド2の上端面に当接されることにより、当該マニホールド2に対して軸線方向(上下方向)に位置決めされる。また、ジョイントアダプタ71(81)は、ねじ58にて第1フランジ75(85)をマニホールド2に固定することにより当該マニホールド2に装着される。
【0030】
そして、ジョイント91は、ジョイントアダプタ71(第1管部材)の先端に形成された第2端部76(軸)を、ジョイントアダプタ81(第2管部材)の先端に形成された第2端部86(孔)に差し込むことにより、当該ジョイントアダプタ71とジョイントアダプタ81とが連結され、その結果、流量制御装置11がマニホールド2に接続される。なお、ジョイントアダプタ71の第2端部76の先端には、Oリング79を装着するための小径部78が形成され、当該Oリング79により、ジョイントアダプタ71の第2端部76とジョイントアダプタ81の第2端部86との間がシールされる。
【0031】
図1、
図2に示されるように、ジョイント91は、ジョイントアダプタ71の外周に形成された第2フランジ77と、ジョイントアダプタ81の外周に形成された第2フランジ87とが当接される。これにより、ジョイントアダプタ71とジョイントアダプタ81とが軸線方向(上下方向)へ相対位置決めされる。また、ジョイント91は、相互に重ねられた第2フランジ77と第2フランジ87との連結部92に金属製のクリップ93を装着することにより、ジョイントアダプタ71とジョイントアダプタ81との軸線方向(上下方向)への相対移動が阻止される。なお、クリップ93は、市販の金属製留め具を使用することができる。また、ジョイントアダプタ71及びジョイントアダプタ81の材料には、プラスチック又は金属が適用される。
【0032】
図1、
図2に示されるように、ジョイント91は、ジョイントアダプタ71とジョイントアダプタ81との軸線方向長さが相違する。ここで、ジョイントアダプタ71の軸線方向長さは、第1フランジ75の取付面から第2フランジ77の連結面までの距離(
図1におけるH1)である。一方、ジョイントアダプタ81の軸線方向長さは、第1フランジ85の取付面から第2フランジ87の連結面までの距離(
図1におけるH2)である。なお、ジョイントアダプタ81の軸線方向長さ(H2)は、ジョイントアダプタ71の軸線方向長さ(H1)にクリップ93の厚さ(
図1におけるH3)を加えた値以上に定められる(H2≧H1+H3)。
【0033】
そして、
図1に示されるように、流量制御ユニット1は、前後方向(
図1における左右方向)に隣接する流量制御装置11間のジョイント91の向きが互い違い(上下が逆さま)になるように、マニホールド2にジョイント91が配列される。換言すると、前後方向に隣接するジョイント91間でジョイントアダプタ71(第1管部材)とジョイントアダプタ81(第2管部材)とが互い違いになるように、マニホールド2にジョイント91が配列される。同様に、
図2に示されるように、流量制御装置1は、左右方向(
図2における左右方向)に隣接する流量制御装置11間のジョイント91の向きが互い違いになるように、マニホールド2にジョイント91が配列される。換言すると、左右方向に隣接するジョイント91間でジョイントアダプタ71とジョイントアダプタ81とが互い違いになるように、マニホールド2にジョイント91が配列される。
【0034】
よって、
図1、
図2に示されるように、流量制御ユニット1は、前後方向及び左右方向に隣接する流量制御装置11のジョイント91間で、ジョイントアダプタ71とジョイントアダプタ81との連結部92の位置(マニホールド2上面からの高さ)、すなわち、クリップ93の位置が相違する。なお、
図2における符号18は、各流量制御装置11の上部に設けられ、マニホールド2上で左右方向(背中合わせ)に隣接する流量制御装置11間を連結するための連結具である。ここで、
図2は、連結具18を架け渡す前の状態、すなわち、背中合わせに隣接する流量制御装置11間の非連結状態を示す。
【0035】
(作用)
前述の流量制御ユニット1の作用を説明する。
まず、マニホールド2に流量制御装置11を連装する場合、予め、マニホールド2の各ポート4の接続口5に、ジョイントアダプタ71(第1管部材)の第1端部72又はジョイントアダプタ81(第2管部材)の第1端部82を接続しておく。このとき、前後方向(
図1における左右方向)及び左右方向(
図2における左右方向)の隣接するジョイントアダプタ71(81)が互い違いとなるように、ジョイントアダプタ71とジョイントアダプタ81とを配列、すなわち、同種のジョイントアダプタ71(81)が隣接しないように配列する。
【0036】
一方、流量制御装置11においては、流入口14にジョイントアダプタ71(第1管部材)の第1端部72を接続した流量制御装置11と、流入口14にジョイントアダプタ81(第2管部材)の第1端部82を接続した流量制御装置11と、を用意しておく。そして、ジョイントアダプタ71とジョイントアダプタ81とを連結させるようにして、各流量制御装置11をマニホールド2に装着する。これにより、マニホールド2上の前後方向及び左右方向に隣接するジョイント91は、上下が互い違い、換言すると、連結部92の位置(高さ)が互い違いとなる。
【0037】
この状態で、各ジョイント91の連結部92にクリップ93を装着することにより、ジョイントアダプタ71とジョイントアダプタ81との連結が保持され、延いては各流量制御装置11のマニホールド2に対する接続が保持される。また、左右方向に隣接する流量制御装置11間を、一方の流量制御装置11の連結具18を他方の流量制御装置11の連結具18に架け渡して連結させる。なお、クリップ93を装着するタイミング、及び連結具18を架け渡すタイミングは、任意である。また、流量制御装置11をマニホールド2から取り外す場合、クリップ93を取り外すと共に連結具18による連結を解除することにより、任意の流量制御装置11を、マニホールド2から簡単に取り外す(引き抜く)ことができる。
【0038】
(流量制御)
まず、流体供給手段(例えば「ポンプ」等)により、流体(本実施形態では「水」)がマニホールド2へ導入されると、当該流体は、当該マニホールド2の各ポート4、及び各ジョイント91を経由して各流量制御装置11へ供給される。各流量制御装置11へ導入された流体、すなわち、各流量制御装置11の流路13を流れる流体は、旋回流となり流量測定部41の羽根車42を回転させる。
【0039】
すると、各流量制御装置11では、流量測定部41において、羽根車42の回転に伴う磁界強度の変化がGMRセンサ53により検知され、当該磁界強度の変化に基づき羽根車42の回転数が測定される。当該流量測定部41の流量測定結果しての回転数信号(パルス信号)は、制御部61へ出力される。制御部61は、受信した回転数信号を、流路13を流れる流体の流量(流量測定値)へ変換する。
【0040】
さらに、制御部61は、当該流量測定値と、外部の制御装置(図示省略)から防水コネクタ66の信号ケーブル67を介して受信した流量制御信号(流量目標値)とを演算処理(PID処理)し、演算処理結果としての制御信号(モータ制御信号)をモータアクチュエータ24へ出力する。これにより、モータアクチュエータ24は、当該モータ制御信号に基づき作動する。これにより、流量調節弁21(ボールバルブ)の開度、すなわち、流路13の流路面積が調節され、延いては流路13を流れる流体の流量が調節される。
【0041】
(圧力不足検知機能)
そして、流量制御装置11は、流路13内の圧力不足を検知する圧力不足検知機能を有する。当該圧力不足検知機能は、モータアクチュエータ24に設けられた流量調節弁21(ボールバルブ)の開度検知センサ(例えば、リミットセンサ、ポテンションメータ等)が開度100%(全開)を検知した時点で圧力不足を検知するものである。当該圧力不足は、ハウジング63の光伝送窓69、すなわち、LED68の発光パターンにより視認することができる。
【0042】
ここで、圧力不足検知機能について更に詳しく説明する。
図4に示すように、モータアクチュエータ24は複数段のギア241,242,243を有しており、このうち最終段のギア243にマグネット244が挿入されている。また、本実施形態では基板245に実装されたリミットセンサ246が内部に設けられており、最終段のギア243が全閉から全開(0〜315°)の範囲で回転するのに対応して、全閉側のリミットセンサ246Aと全開側のリミットセンサ246Bがマグネット244を検知し、閉じ過ぎや開き過ぎを防ぐため、制御部61を通じてモータ247の運転を停止させるように構成されている。
すなわち、制御中にバルブ開度が全開に達した場合(全開側のリミットセンサ246Bが検知)、それ以上多くの流量を流す方へ流量調節弁21の開度を調節することができず、調節代が限界に達したことになる。これにより、予め設定された流量値を流すには圧力が足りず、早い段階で圧力不足であると判断することができる。
【0043】
また、配管の圧力損失は、流路にスケールなどが溜まると上昇するため、長期間運転すると圧力が足らなくなり、予めマージンを持って供給圧を高くして運用したとしても、あとどの位で限界に達するのかを判断することができない。このため、一般的には流量センサを設置して流量が一定以下になると圧力異常とみなす方式を採用しているが、この方式の場合、流量異常(流量計異常、瞬間的な圧力低下など)なのか、それとも圧力不足なのかが解らない。
これに対し、本実施形態のようにリミットセンサ246で圧力不足を検知する方式によれば、流量低下による異常が発生する前に、圧力不足を早い段階で必要な時期に知らせることが可能になる。このため、異常が発生してもしばらくの間であれば、装置や設備を異常停止させずに、都合の良いタイミングで配管やフィルタの清掃を行うことができ、設定や管理の負担が大幅に軽減する。なお、本実施形態では、リミットセンサ246が一定時間連続して全開を検知した場合に圧力不足であると検知するため、瞬間的な圧力低下による流量異常の場合には圧力不足でないノイズとして除外されることになる。
【0044】
(バルブに関する報知機能)
また、流量制御装置11は、流量調節弁21に使用されるOリング27の寿命、延いては流量調節弁21(ボールバルブ)の寿命を報知するバルブ寿命報知機能を有する。流量制御装置11においては、流量調節弁21の積算動作量がカウントされて制御部61の不揮発性メモリに記憶されており、バルブ寿命報知機能は、当該流量調節弁21の積算動作量が予め定められた設定値に到達すると、Oリング27が寿命(交換時期)であると判断する。なお、Oリング27が寿命であることは、ハウジング63の光伝送窓69、すなわち、LED68の発光パターンにより視認することができる。また、外部端末との通信機能を利用することにより、現時点における流量調節弁21の積算動作量を知ることが可能である。
【0045】
(流量計に関する報知機能)
また、流量制御装置11は、流量測定部41に使用されている羽根車42の寿命、延いては流量測定部41(流量計)の寿命を報知する流量計寿命報知機能を有する。流量制御装置11では、羽根車42の回転数がカウントされて制御部61の不揮発性メモリに記憶されており、流量計寿命報知機能は、当該羽根車42の積算回転数が予め定められた設定値に到達することにより、流量計が寿命であると判断する。なお、流量計が寿命であることは、ハウジング63の光伝送窓69、すなわち、LED68の発光パターンにより視認することができる。
【0046】
(内部リーク報知機能)
また、流量制御装置11は、流量調節弁21の内部における流体の漏れ(水漏れ)を報知する内部リーク報知機能を有する。当該内部リーク報知機能は、流量調節弁21を全閉したにも関わらず、流体が一定時間の間に一定流量以上流れた場合、換言すると、一定時間における流量測定部41の羽根車42の回転数が一定以上であった場合、内部リークが発生したと判断する。なお、内部リークの発生は、ハウジング63の光伝送窓69、すなわち、LED68の発光パターンにより視認することができる。
【0047】
(効果)
本実施形態によれば、流量制御ユニット1は、各流量制御装置11とマニホールド2との間に介在させたジョイント91(接続手段)により、各流量制御装置11がマニホールド2に接続(連装)される。また、ジョイント91は、ジョイントアダプタ71(第1管部材)と、当該ジョイントアダプタ71に対して抜き差し可能に連結されるジョイントアダプタ81(第2管部材)と、ジョイントアダプタ71とジョイントアダプタ81との連結部92に装着されて当該連結部92を保持するクリップ93と、を有する。
【0048】
よって、クリップ93を手で操作(着脱)することにより、工具を使用することなく、各流量制御装置11のマニホールド2に対する取り付け及び取り外しができるので、製造工程における組み付け作業、及びメンテナンス時における流量制御装置11の交換作業等を合理化することができる。
また、隣接する流量制御装置11間に工具を差し込むスペースを確保する必要がないので、隣接する流量制御装置11(ジョイント91)間の取付ピッチを最小限に止めることが可能であり、流量制御ユニット1を小型化することができる。
さらに、左右に隣接する流量制御装置11間、すなわち、背中合わせで隣接する流量制御装置11間を、一方の流量制御装置11の連結具18を他方の流量制御装置11に架け渡すことにより連結したので、流量制御装置11の取付強度、延いては流量制御ユニット1の剛性を高めることができる。加えて、連結具18により連結された一対の流量制御装置11間の相対移動を阻止することが可能であり、連結具18を各流量制御装置11の回り止めとして機能させる、すなわち、マニホールド2に連装された各流量制御装置11における軸線L(
図3参照)を中心とする回転を阻止することができる。
【0049】
また、ジョイントアダプタ71の軸線方向長さ(H1)とジョイントアダプタ81の軸線方向長さ(H2)とが相違する、特に、本実施形態では、ジョイントアダプタ81の軸線方向長さ(H2)を、ジョイントアダプタ71の軸線方向長さ(H1)にクリップ93の厚さ(H3)を加えた値以上に設定した(H2≧H1+H3)。そして、前後及び左右の隣接するジョイント91間でジョイントアダプタ71(第1管部材)とジョイントアダプタ81(第2管部材)とが互い違いとなるように、換言すると、隣接する流量制御装置11でジョイントアダプタ71とジョイントアダプタ81との連結部92の高さ、延いてはクリップ93の取付高さが互い違いとなるように、マニホールド2上にジョイント91を配列したので、クリップ93の操作性が向上し、延いては組付け性及びメンテナンス性を向上させることができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、流量測定部41の羽根車42を磁化していない磁性体を材料とするメタルインジェクションモールディングにより製造したので、複雑な形状の羽根車42を高い精度で成形することができる。また、切削加工された羽根車と比較して、製造コストを大幅に削減することができる。これにより、羽根車42の回転軸43と複数個の翼部44とを一体に成形することが可能であり、回転軸43と複数個の翼部44とを別個に製造した羽根車と比較して、部品点数を削減することができる。また、製造コスト削減の観点から、切削加工に代えて回転軸43と複数個の翼部44とを接合(圧入、接着等)して製造される羽根車では、接合部の信頼性低下に伴う品質管理の厳格化が問題になるが、本実施形態に係る羽根車42は、メタルインジェクションモールディングの適用により、これらの問題を解消することができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、流量調節弁21の開度検知センサが開度100%(全開)を検知した時点で圧力不足を検知する圧力不足検知機能を備えた流量制御装置11を適用したので、圧力センサを別途設置して、当該圧力センサにより測定された差圧に基づき圧力異常を検知する従来手法と比較した場合、製造コストを大幅に削減することができ、且つ設定(閾値)、管理等に手間と時間とを要することがない。
【0052】
また、本実施形態によれば、流量調節弁21の積算動作量が予め定められた設定値に到達することにより、Oリング27の寿命を報知するバルブ寿命報知機能を備えた流量制御装置11を適用したので、Oリング27の摩耗に起因する流量制御装置11の外部リークを未然に防ぐことが可能である。これにより、流量制御装置11を防水構造にすることが可能であり、当該流量制御装置11の適用の自由度を拡大することができる。さらに、流量調節弁21の積算動作量が制御部61の不揮発性メモリに記憶されるので、例えば、中古品であっても当該機能を確保することができる。
【0053】
また、本実施形態によれば、羽根車42の積算回転数が予め定められた設定値に到達することにより、流量計の寿命を報知する流量計寿命報知機能を備えた流量制御装置11を適用したので、回転軸43の摩耗に起因する羽根車42の動作不良を未然に防ぐことが可能であり、流量測定部41(流量計)の測定値の信頼性、延いては流量制御装置11の信頼性を向上させることができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、流量調節弁21を全閉したにも関わらず、流体が一定時間の間に一定流量以上流れたことを検知することにより、内部リークを報知する内部リーク報知機能を備えた流量制御装置11を適用したので、従来は自己判断が困難であった内部リークを検知することができる。
【0055】
また、本実施形態によれば、フルカラーのLED68の発光パターンをハウジング63の光伝送窓69から視認することができるようにした。したがって、LED68の発光色の違い、点灯や点滅などで区別して、圧力不足検知機能、バルブ寿命報知機能、流量計寿命報知機能、内部リーク報知機能の各機能に対応したパターンで発光させることにより、複数台の流量制御装置11が正常に動いているかどうかを瞬時に一つの光伝送窓69で状態把握することができる。
【0056】
なお、実施形態は前述したもの限定されるものではなく、例えば、次のように構成することができる。
前述の実施形態では、羽根車(タービン)式流量計を適用した流量制御装置11を説明したが、流量制御装置11は、例えば、カルマン渦式流量計、電磁式流量計、超音波式流量計、差圧式流量計、コリオリ式流量計、及び熱式流量計等を適用することができる。
また、前述の実施形態では、ボールバルブを適用した流量調節弁21を備える流量制御装置11を説明したが、流量調節弁21は、ニードルバルブ、グローバルバルブ、ゲートバルブ、及びバタフライバルブ等を適用することができる。