【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両で高速走行しつつ道路や線路或いはその近辺の構造物を撮影しておき、後日、所望の位置や構造物を指定して、その状態や、その状態の経時変化を、複数の異なる方向から見た静止画像で確認できるようにしたいという要望がある。
また、高速走行中に各々異なる方向から撮影した複数の映像中から、所望の位置や所望の構造物が写り込んでいる静止画像であって、所望の方向から見た静止画像を、ピンポイントで指定して確認できるようにしたいという要望がある。
また、高速走行中に撮影した映像(動画)を再生する際に、当該の映像に関連する各種の情報(撮影日時刻,位置(緯度・経度,地図上の位置,ユーザに分かり易い位置表現),車両速度,等)を併せて表示できるようにしたいという要望がある。
【0005】
また、高速走行中に撮影した映像中から、所望の構造物が写り込んでいる静止画像を指定して、当該の構造物(橋梁,トンネルの壁や天井,路面状態,標識,等)を、その状況に応じて確認できるようにしたいという要望がある。
例えば、静止画像内の当該構造物までの距離を確認できるようにすることで、当該構造物の状況についてより詳細な知見を得たいという要望がある。
また、例えば、路面の静止画像のみからでは、路面状況(細かなひび割れ等)の詳細を十分に知り得ないような場合には、路面上の走行によって車両に生ずる各種の状態変化を補助の情報として、より詳細な知見を得たいという要望もある。
本発明は、上述の要望に応え得るようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明を、下記の[1]〜[11]に記す。なお、この項([課題を解決するための手段])と次項([発明の効果])に於いて、符号は理解を容易にするために付したものであり、本発明は、符号の構成に限定されない。
【0007】
[1]発明1
GPS信号を受信する受信手段10を有し、移動車両に搭載される2以上のビデオカメラ21,22,,,26を用いて撮影される各映像を同期再生可能とするための撮像システムであって、
前記受信手段10により受信されるGPS信号に基づく時刻データ及び位置データを生成するとともに、前記時刻データに基づく各1PPS信号の間を等間隔に細分して成る各細分時刻の時刻データを生成するデータ生成手段41と、
前記データ生成手段41により生成される時刻データ及び位置データを所定の記憶手段51のレコードに格納するデータ制御手段42と、
前記データ生成手段41により生成される時刻データに対応する時刻順の番号データを生成するとともに、該番号データを、前記各ビデオカメラ21,22,,,26へ出力して各ビデオカメラの音声トラックに記録させ、及び、前記データ制御手段42に渡して当該番号データに対応する時刻データのレコードに格納させる番号制御手段43と、
を有することを特徴とする撮像システム。
【0008】
データ生成手段41の機能の一部、即ち、「GPS信号に基づく時刻データ及び位置データを生成する」機能や「時刻データに基づく1PPS信号」を取り出す機能は、市販のGPS受信機10aが標準に具備している機能を用いて構成することもできる。
1PPS信号とは、GPS衛星からの信号に基づいてGPS受信機が生成する、1パルス/秒の信号である。
位置データとは、緯度・経度データである。
時刻データとは、年・月・日・時・分・秒のデータである。この時刻データは協定世界時で与えられるため、適宜、9時間をプラスして日本標準時に補正してもよい。
番号データは、D/A変換して、音声トラックに記録される。
各1PPS信号の間を等間隔に細分する場合、例えば、10等分する場合、映像のフレームレートが30fpsであれば、3フレーム毎に一つの番号データが割り当てられることになる。複数台のビデオカメラの録画スタート時刻が少しずれた場合でも、共通の番号データを持つフレームを同一時刻として再生することで、同期再生が可能となる。
移動車両としては、道路上を走行する自動車を例示できるが、これに限定されず、線路上を走行する列車であってもよい。
【0009】
[2]発明2
GPS信号を受信する受信手段10を有し、移動車両に搭載される2以上のビデオカメラ21,22,,,26を用いて撮影される各映像を同期再生可能とするための撮像システムであって、
前記受信手段10により受信されるGPS信号に基づく時刻データ及び位置データを生成するとともに、前記時刻データに基づく各1PPS信号の間を等間隔に細分して成る各細分時刻の時刻データを生成するデータ生成手段41と、
前記データ生成手段41により生成される時刻データ及び位置データを所定の記憶手段51のレコードに格納するデータ制御手段42と、
前記データ生成手段41により生成される時刻データに対応する時刻順の番号データを生成するとともに、該番号データを、前記各ビデオカメラ21,22,,,26へ出力して各ビデオカメラの第1の音声トラックに記録させ、及び、前記データ制御手段42に渡して当該番号データに対応する時刻データのレコードに格納させる番号制御手段43と、
前記ビデオカメラ21,22,,,26の何れか1以上により撮影される映像に関連する物理量を検出する1又は2以上のセンサ装置30と、
前記センサ装置30の検出信号を当該検出信号に関連する映像を撮影するビデオカメラへ出力して第2の音声トラックに記録させるセンサ制御手段44と、
を有することを特徴とする撮像システム。
例えば、第1の音声トラックをL/Rチャンネル、第2の音声トラックをR/Lチャンネルとして構成してもよい。
センサの検出信号は、A/D変換され、データ制御手段42に渡されて、記憶手段51のレコード(番号データにより紐付けされるレコード)に格納される。このセンサデータは、また、D/A変換されてビデオカメラの第2の音声トラックに記録され、第1の音声トラックにD/A変換されて記録される番号データに紐付けされる。
[3]発明3
GPS信号を受信する受信手段10を有し、移動車両に搭載されて前方を撮影する前方ビデオカメラ21及び非前方を撮影する1又は2以上の非前方ビデオカメラ22,,,26の各映像を同期再生可能とするための撮像システムであって、
前記受信手段10により受信されるGPS信号に基づく時刻データ及び位置データを生成するとともに、前記時刻データに基づく各1PPS信号の間を等間隔に細分して成る各細分時刻の時刻データを生成するデータ生成手段41と、
前記データ生成手段41により生成される時刻データ及び位置データを所定の記憶手段51のレコードに格納するデータ制御手段42と、
前記データ生成手段41により生成される時刻データに対応する時刻順の番号データを生成するとともに、該番号データを、前記各ビデオカメラ21,22,,,26へ出力して各ビデオカメラの第1の音声トラックに記録させ、及び、前記データ制御手段42に渡して当該番号データに対応する時刻データのレコードに格納させる番号制御手段43と、
前記前方及び非前方のビデオカメラ21,22,,,26の何れか1以上により撮影される映像に関連する物理量を検出する1又は2以上のセンサ装置30と、
前記センサ装置30の検出信号を当該検出信号に関連する映像を撮影する前記非前方ビデオカメラ22,,,26へ出力して第2の音声トラックに記録させるセンサ制御手段44と、
を有することを特徴とする撮像システム。
[4]発明4
前記発明3に於いて、
前記データ制御手段42は、前記データ生成手段41により生成される位置データを前記前方ビデオカメラ21へ出力して第2の音声トラックに記録させる、
ことを特徴とする撮像システム。
【0010】
[5]発明5
前記発明2〜4の何れかに於いて、
前記物理量の一つは、ビデオカメラから被写体までの距離である、
ことを特徴とする撮像システム。
[6]発明6
前記発明2〜4の何れかに於いて、
前記物理量の一つは、路面の状態に応じて生ずるロードノイズである、
ことを特徴とする撮像システム。
[7]発明7
前記発明2〜4の何れかに於いて、
前記物理量の一つは、当該車両の傾斜角である、
ことを特徴とする撮像システム。
[8]発明8
前記発明2〜4の何れかに於いて、
前記物理量の一つは、当該車両の走行速度である、
ことを特徴とする撮像システム。
【0011】
[9]発明9
前記発明1〜8の何れかに於いて、
前記データ生成手段41は、前記各細分時刻の時刻データとともに各時刻データに対応する位置データを生成する、
ことを特徴とする撮像システム。
[10]発明10
前記発明9に於いて、
前記データ生成手段41は、各細分時刻の時刻データに対応する位置データを生成する処理を、各細分時刻の時刻データを生成する処理とは別途の後のタイミングで実行し、
前記データ制御手段42は、各細分時刻の時刻データに対応する位置データを格納する処理を、前記別途の後のタイミングで実行する、
ことを特徴とする撮像システム。
別途のタイミングとしては、例えば、各ビデオカメラ21,,,26で撮影した映像を編集等するタイミングを挙げることができる。
編集には、例えば、映像から各種の物体、例えば、高速道路上又はその近辺の橋梁等の構造物を抽出し、当該の構造物を示すデータを、当該の構造物が映っているフレームに対応する番号データのレコードに格納して、後の検索に利用可能とするような処理を含めてもよい。
【0012】
[11]発明11
前記発明1〜10の何れかに於いて、さらに、
時刻データに対応付けて前記所定の記憶手段51に格納されている番号データと、映像フレームに対応付けて前記ビデオカメラ21,22,,,26に記録されている番号データとの照合に基づいて、当該ビデオカメラの各映像フレームに時刻データを対応付ける較正手段を有する、
ことを特徴とする撮像システム。
【発明の効果】
【0013】
発明1は、GPS信号を受信する受信手段10を有し、移動車両に搭載される2以上のビデオカメラ21,22,,,26を用いて撮影される各映像を同期再生可能とするための撮像システムであって、前記受信手段10により受信されるGPS信号に基づく時刻データ及び位置データを生成するとともに、前記時刻データに基づく各1PPS信号の間を等間隔に細分して成る各細分時刻の時刻データを生成するデータ生成手段41と、前記データ生成手段41により生成される時刻データ及び位置データを所定の記憶手段51のレコードに格納するデータ制御手段42と、前記データ生成手段41により生成される時刻データに対応する時刻順の番号データを生成するとともに、該番号データを、前記各ビデオカメラ21,22,,,26へ出力して各ビデオカメラの音声トラックに記録させ、及び、前記データ制御手段42に渡して当該番号データに対応する時刻データのレコードに格納させる番号制御手段43とを有することを特徴とする撮像システムであるため、1PPS信号の時間間隔(1秒)を更に細分した短い時間間隔で生成される番号データを介して、各ビデオカメラの同一時刻の映像のフレームを正確に対応付けることができる。このため、例えば、走行中の車両から複数の方向を撮影した各映像の同一時刻のフレームを同時に画面表示する等も可能となる。
発明2は、GPS信号を受信する受信手段10を有し、移動車両に搭載される2以上のビデオカメラ21,22,,,26を用いて撮影される各映像を同期再生可能とするための撮像システムであって、前記受信手段10により受信されるGPS信号に基づく時刻データ及び位置データを生成するとともに、前記時刻データに基づく各1PPS信号の間を等間隔に細分して成る各細分時刻の時刻データを生成するデータ生成手段41と、前記データ生成手段41により生成される時刻データ及び位置データを所定の記憶手段51のレコードに格納するデータ制御手段42と、前記データ生成手段41により生成される時刻データに対応する時刻順の番号データを生成するとともに、該番号データを、前記各ビデオカメラ21,22,,,26へ出力して各ビデオカメラの第1の音声トラックに記録させ、及び、前記データ制御手段42に渡して当該番号データに対応する時刻データのレコードに格納させる番号制御手段43と、前記ビデオカメラ21,22,,,26の何れか1以上により撮影される映像に関連する物理量を検出する1又は2以上のセンサ装置30と、前記センサ装置30の検出信号を当該検出信号に関連する映像を撮影するビデオカメラへ出力して第2の音声トラックに記録させるセンサ制御手段44とを有することを特徴とする撮像システムであるため、1PPS信号の時間間隔(1秒)を更に細分した短い時間間隔で生成される番号データを介して、各ビデオカメラの同一時刻の映像のフレームを正確に対応付けることができ、さらに、各映像に関連する物理量の検出値を正確に対応付けることができる。このため、例えば、走行中の車両から複数の方向を撮影した各映像の同一時刻のフレームを同時に画面表示するとともに、その画面に関連する物理量の検出値を併せて表示する等も可能となる。
発明3は、GPS信号を受信する受信手段10を有し、移動車両に搭載されて前方を撮影する前方ビデオカメラ21及び非前方を撮影する1又は2以上の非前方ビデオカメラ22,,,26の各映像を同期再生可能とするための撮像システムであって、前記受信手段10により受信されるGPS信号に基づく時刻データ及び位置データを生成するとともに、前記時刻データに基づく各1PPS信号の間を等間隔に細分して成る各細分時刻の時刻データを生成するデータ生成手段41と、前記データ生成手段41により生成される時刻データ及び位置データを所定の記憶手段51のレコードに格納するデータ制御手段42と、前記データ生成手段41により生成される時刻データに対応する時刻順の番号データを生成するとともに、該番号データを、前記各ビデオカメラ21,22,,,26へ出力して各ビデオカメラの第1の音声トラックに記録させ、及び、前記データ制御手段42に渡して当該番号データに対応する時刻データのレコードに格納させる番号制御手段43と、前記前方及び非前方のビデオカメラ21,22,,,26の何れか1以上により撮影される映像に関連する物理量を検出する1又は2以上のセンサ装置30と、前記センサ装置30の検出信号を当該検出信号に関連する映像を撮影する前記非前方ビデオカメラ22,,,26へ出力して第2の音声トラックに記録させるセンサ制御手段44とを有することを特徴とする撮像システムであるため、1PPS信号の時間間隔(1秒)を更に細分した短い時間間隔で生成される番号データを介して、前方及び非前方(前方以外)のビデオカメラの同一時刻の映像のフレームを正確に対応付けることができ、さらに、非前方に関しては各映像に関連する物理量の検出値を正確に対応付けることができる。このため、例えば、走行中の車両から前方及び非前方の方向を撮影した各映像の同一時刻のフレームを同時に画面表示するとともに、非前方の画面に関しては、その画面に関連する物理量の検出値を併せて表示する等も可能となる。
発明4は、発明3に於いて、前記データ制御手段42は、前記データ生成手段41により生成される位置データを前記前方ビデオカメラ21へ出力して第2の音声トラックに記録させることを特徴とする撮像システムであるため、1PPS信号の時間間隔(1秒)を更に細分した短い時間間隔で生成される番号データを介して、前方及び非前方のビデオカメラの同一時刻の映像のフレームを正確に対応付けることができ、さらに、前方に関しては位置を正確に対応付けることができるとともに非前方に関しては映像に関連する物理量の検出値を正確に対応付けることができる。このため、例えば、走行中の車両から前方を含む各方向を撮影した映像の同一時刻のフレームを同時に画面表示しつつ、前方映像に位置(緯度・経度)を表示するとともに、非前方には、その画面に関連する物理量の検出値を併せて表示する等も可能となる。
【0014】
発明5〜8は、映像に関連する物理量を具体的に提示することかできる。
発明9は、発明1〜8の何れかに於いて、前記データ生成手段41は、前記各細分時刻の時刻データとともに各時刻データに対応する位置データを生成することを特徴とする撮像システムであるため、1PPS信号の時間間隔(1秒)を更に細分した短い時間間隔で生成される番号データを介して、各ビデオカメラの同一時刻の映像のフレームを正確に対応付けることができ、さらに、各映像に位置を正確に対応付けることができる。
発明10は、発明9に於いて、前記データ生成手段41は各細分時刻の時刻データに対応する位置データを生成する処理を各細分時刻の時刻データを生成する処理とは別途の後のタイミングで実行し、前記データ制御手段42は各細分時刻の時刻データに対応する位置データを格納する処理を前記別途の後のタイミングで実行することを特徴とする撮像システムであるため、発明9の効果を享受しつつ、撮像を行う際の装置の処理負荷を低減することができる。
【0015】
発明11は、発明1〜10の何れかに於いて、さらに、時刻データに対応付けて前記所定の記憶手段51に格納されている番号データと、映像フレームに対応付けて前記ビデオカメラ21,22,,,26に記録されている番号データとの照合に基づいて、当該ビデオカメラの各映像フレームに時刻データを対応付ける較正手段を有することを特徴とする撮像システムであるため、撮像時に於ける各ビデオカメラのスタート時刻のズレを吸収して、同期再生を確実に行わせることができる。