【実施例】
【0018】
本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施例の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかし、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲によってのみ定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
【0019】
以下、本発明の実施例1にかかる着用物品1の構造が図面にしたがって説明される。
図1A〜
図1Bは実施例1を示す。
【0020】
図1Bに示すように、本実施例1の着用物品1は、左右対称の形状および構造を有し、吸収性本体2、および一対の胴回り部材3を備えている。前記吸収性本体2は、着用者の前胴を覆い胴回り方向Xに延びる胴部、着用者の後胴を覆い胴回り方向Xに延びる胴部、ならびに、前記両胴部の間の股間を覆う股部22を有している。
【0021】
前記股部22は前記胴回り方向Xに直交する縦方向Yに延びる。前記吸収性本体2は股部22の一部又は全部を構成する。
【0022】
着用時、前記股部22は前記胴回り方向Xに平行なラインにおいて2つに折られる。これにより、前記一対の胴回り部材3の胴回り方向Xの端部同士が互いに重なる。
【0023】
前記吸収性本体2には図示しない吸収コアが設けられており、この吸収コアは体液を吸収する。前記吸収コアは、トップシートとバックシートとの間で挟まれていると共に、各シートおよび吸収コアは互いに積層されている。
【0024】
前記トップシートは透液性の薄い不織布からなり、吸収コアの肌面を覆う。このトップシートの上には、カフ25が設けられていてもよい。
【0025】
前記バックシートは吸収コアの非肌面を覆い、液不透過性の樹脂シートからなる。前記吸収性本体2の前記縦方向Yの各端部には、前記各胴回り部材3が貼り付けられている。
【0026】
前記各胴回り部材3は、前記吸収性本体2から胴回り方向Xに突出していると共に、前後の胴回り部の一部を構成する。つまり、前記胴回り部材3は、股部22よりも胴回り方向Xに突出し吸収性本体2の両縁部(胴回り方向の端部)E1から胴回り方向Xに延び出している。
【0027】
各胴回り部材3には、着用物品1を着用者にフィットさせるための弾性部材32が設けられている。この弾性部材32としては、たとえば、複数本の糸ゴムや平ゴム、少なくとも1枚のフィルムまたは熱可塑性樹脂を含む材料などを採用することができる。
また、弾性部材32は胴部の中央において無効化され(収縮力がない状態とされ)ていてもよい。例えば、前記吸収性本体2の前記縦方向Yの各端部と各胴回り部材3とが重なって配置されている領域において前記弾性部材32は無効化されていてもよい。
【0028】
前記吸収性本体2には、着用者の脚部に沿って括れた脚回り部を形成してもよい。前記脚回り部や、前記胴回り部材3の脚回り部に連なる部位には、着用者の脚回りに沿うように、たとえば、糸ゴムなどからなる別の弾性部材が設けられていてもよい。
【0029】
着用物品がオムツである場合、一方の胴回り部材3の各フラップ31の肌面には、図示しない雄面ファスナが固着され、他方の胴回り部材3の非肌面には雌面ファスナが固着されていてもよい。
【0030】
なお、雄面ファスナに代えて止着剤が塗布されたテープ剤を用いてもよく、この場合、前記止着剤が粘着し易い表面を前胴回り部材3等に形成する必要がある。
また、着用物品がパンツ型である場合、前胴回り部材3と後胴回り部材3の胴回り方向Xの端部同士が互いに溶着されていてもよい。
【0031】
前記吸収性本体2は前記胴回り部材3の肌面に付着されている。
本明細書において、「肌面」とは着用物品1の着用時において直接的または間接的に着用者の肌に対面する面をいい、「非肌面」とは前記肌面とは反対の面をいう。
【0032】
つぎに、本着用物品1の製造方法の実施例1が
図1A〜
図1Bにしたがって説明される。
【0033】
図1Aに示すように、搬送方向Lに延びる複数本の連続弾性部材Fが搬送方向Lに伸張された状態で搬送方向Lに搬送される。前記連続弾性部材Fには接着剤が搬送方向Lに連続的に塗布される。
【0034】
前記塗布後、前記搬送方向Lに延びる一対の側縁部4Eを有する2枚の連続不織布W4の間に前記連続弾性部材Fを挟むと共に、前記連続弾性部材Fに塗布された接着剤を介して前記2枚の連続不織布W4が互いに重なるように接着されて連続体W40が生成される。
前記連続弾性部材Fは連続不織布W4の前記一対の側縁部4E及び概ね中央の中央領域4C以外の中間部4Mに連続的に配置される。前記中央領域4Cとは、前記搬送方向Lに延び、かつ、前記中間部4Mを前記搬送方向Lに直交する幅方向Wに二分する帯状の領域を意味する。具体的には、前記二分された中間部のうちの1つの中間部4Mは前記中央領域4Cと一方の側縁部4Eとの間に位置し、かつ、別の中間部4Mは前記中央領域4Cと他方の側縁部4Eとの間に位置する。換言すると、前記幅方向Wにおいて前記中央領域4Cは2つの中間部4Mに挟まれている。
【0035】
すなわち、2枚の連続不織布W4が前記一対の側縁部4Eにおいて前記接着剤により互いに接着されることなく、かつ、中央領域4Cにおいて前記接着剤により互いに接着されることなく、前記連続体W40が生成される。
【0036】
前記接着後、前記連続体W40における前記接着剤で接着された前記中間部4Mよりも縁寄りの前記一対の側縁部4Eにおいて、前記2枚の連続不織布W4が互いに連続的に熱溶着される。同時に、本実施例の場合、前記一対の側縁部4Eに加え、前記中央領域4Cにおいて前記2枚の連続不織布W4が互いに連続的に熱溶着される。
【0037】
各図において、前記熱溶着された部位には、網点が付されている。なお、前記溶着はいわゆる超音波エネルギーによる溶着でもよいし、あるいは、熱シールなどによる溶着であってもよい。
【0038】
図1Bに示すように、前記一対の側縁部4Eを有する連続体W40が搬送方向Lに搬送されながら直線状の切断線CLに沿って当該連続体W40がスリットされる。
前記連続体W40は前記中央領域4Cにおいてスリットされる。当該スリットにより前記中央領域4Cは前記幅方向Wに二分される。なお、前記連続体W40が前記幅方向Wにおいて二等分されるように前記連続体W40をスリットしてもよい。
これにより、前記連続体W40は第1分割不織布W41と、第2分割不織布W42とに分割される。各分割不織布W41,42は各々、一方または他方の胴回り部材3を形成する。
前記第1分割不織布W41において、スリットされた一方の前記中央領域4Cと一方の側縁部4Eとの間に前記連続弾性部材Fが配置されている。また、前記第2分割不織布W42において、スリットされた他方の前記中央領域4Cと他方の側縁部4Eとの間に前記連続弾性部材Fが配置されている。
【0039】
ついで、
図1Bの前記第1分割不織布W41と第2分割不織布W42とが前記搬送方向Lに直交する幅方向Wに互いに離間するように、前記2つの分割不織布W41,W42が前記幅方向Wに相対移動される。
【0040】
本実施例においては、前記第1分割不織布W41における前記切断線CLに沿った第1切断縁C1と、前記第2分割不織布W42における前記切断線CLに沿った第2切断縁C2との間に前記一対の側縁部4Eが配置されて、前記一対の側縁4Eが互いに対向するように、前記第1分割不織布W41と第2分割不織布W42との前記幅方向Wの配置関係が変更される。
すなわち、前記第1切断縁C1と前記第2切断縁C2とが前記幅方向Wにおいて互いに離間し、かつ、当該離間した前記第1および第2切断縁C1,C2の間に前記一対の側縁部4Eが配置されるように前記第1および第2分割不織布W41,W42の配置関係が変更される。前記一対の側縁部4Eは前記幅方向Wにおいて互いに離間して対向している。
【0041】
その後、前記第1および第2分割不職布W41,W42が互いに概ね平行に前記搬送方向Lに搬送されながら、前記吸収性本体2が前記第1分割不織布W41と前記第2分割不織布W42とに跨り、かつ、前記各分割不織布とW41,W42に一部において重なるように前記吸収性本体2が配置(架設)されて、連続積層体W1が生成される。
【0042】
その後、前記連続積層体W1は二点鎖線で示す仮想の切断線CL2に沿って個々の着用物品1ごとの大きさ(単位)に切り取られる。すなわち、前記架設後、前記胴回り部材3が個々の着用物品1に応じた長さとなるように、吸収性本体2同士の間において幅方向Wに切断される。これにより、
図1Bに示す個々の着用物品1が得られる。
なお、個々の着用物品1に切り取る前の連続した状態で連続積層体W1が2つ折りにされてもよい。すなわち、前記第1および第2分割不織布W1,W2が互いに重なるように連続積層体W1が2つ折りにされてもよい。
【0043】
つぎに、他の実施例について説明する。
以下の実施例においては、前記実施例1と同様な構造および工程については説明を省略し、主として実施例1と異なる構造および工程について説明する。
【0044】
図2A−
図2Bは実施例2を示す。
本例の場合、
図2Aの一対の連続不織布W4同士を互いに溶着する工程は、前記一対の側縁部4Eおよび中央領域4Cにおいて、前記2枚の連続不織布W4が連続的ではなく断続的に互いに溶着されることにより実行される。
【0045】
本製造方法において、中央領域4Cにも連続弾性部材Fを配置し、前記中央領域4Cにおいても一対の連続不織布W4の間に連続弾性部材Fを挟んで、連続不織布W4同士が接着剤で互いに接着されてもよい。
【0046】
また、第1および第2分割不織布W41,W42は、一対の側縁部が互いに対向するように配置関係を変える必要はなく、幅方向Wにおいて第1切断縁C1と第2切断縁C2との間の距離を拡げた後に、吸収性本体2が配置されてもよい。すなわち、第1切断縁C1と第2切断縁C2とが互いに幅方向Wに離間し、かつ、当該離間した第1および第2切断縁C1,C2の間に一対の側縁部が配置されることなく吸収性本体2が配置されてもよい。
【0047】
連続体W40は直線状の切断線CLで切断される必要はなく、波形の切断線に沿って切断されてもよい。また、切断線CLは連続体W40を2等分する必要はなく、連続体W40を2つの分割不織布W41,W42に分割すればよい。
【0048】
また、着用物品はH型ではなく、いわゆるT型のオムツなどであってもよい。この場合にも2枚の連続不織布W4から一対の胴回り部材を生成してもよいが、前記分割する工程を行う必要はない。
【0049】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、本製造方法によって製造される着用物品は、カフなどを有していなくてもよい。また、胴回り部材における吸収性本体とラップする部位の一部について、弾性部材の張力が無効化されてもよい。
また、第1および第2分割不織布の幅方向の配置関係の変更は第1および第2分割不織布をそれぞれ反転させて行ってもよい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。