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特許6618205テクスタイルツールの情報を伝達するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6618205
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】テクスタイルツールの情報を伝達するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20120101AFI20191202BHJP
   G06Q 10/08 20120101ALI20191202BHJP
【FI】
   G06Q30/06 300
   G06Q10/08 300
【請求項の数】17
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-534699(P2017-534699)
(86)(22)【出願日】2016年4月15日
(65)【公表番号】特表2018-513432(P2018-513432A)
(43)【公表日】2018年5月24日
(86)【国際出願番号】EP2016058386
(87)【国際公開番号】WO2016169851
(87)【国際公開日】20161027
【審査請求日】2019年2月28日
(31)【優先権主張番号】15164302.0
(32)【優先日】2015年4月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500131561
【氏名又は名称】グロッツ−ベッケルト・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュベイダ,ミロスラフ
(72)【発明者】
【氏名】シェラー,エリック
【審査官】 田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/115890(WO,A1)
【文献】 特開2012−056089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クスタイルツールに関する情報(9、12)を、ツール販売組織(1)からツールユーザ(2)へ伝達する方法であって、
前記ツール販売組織内の材料フローを記録するソフトウェアシステムと、該ソフトウェアシステムにより作動可能な識別装置と、発送システムと、前記ツールユーザがアクセス可能な情報媒体と、を含むシステムを利用し、
前記ソフトウェアシステムにより、少なくとも1つのテクスタイルツールの種類に、夫々、少なくとも1つの名称(5)を付与し、
ツールユーザ(2)により開始された注文プロセス(4)の結果として、前記識別装置により、当該種類のある数量のテクスタイルツールに、少なくとも1つのラベル(8)を提供し、該ラベル(8)は、前記名称(5)と異なっている及び/又は前記名称(5)を含まず、
前記ラベル(8)は、当の取引先、当の注文、当の工場、及び/又は、当の一群に特化しており、
前記発送システムにより、前記注文プロセス(4)で注文された前記ある数量のテクスタイルツール、前記ツールユーザ(2)へ発送この際、前記少なくとも1つのラベル(8)、前記ある数量のテクスタイルツールと共に、それらの識別のために発送し
前記ある数量のテクスタイルツールは、前記名称(5)を有さず、
前記ラベル(8)は、識別コード(15)を特徴としており
前記情報媒体により、前記ある数量のテクスタイルツールに関する情報(9、12)を、前記識別コード(15)に割り当てることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記システムにより、任意の1つの種類のある数量のテクスタイルツールが供給される少なくとも2つのツールユーザ(2、3)に対して、異なるラベル(8)が貼られた、当該種類のある数量のテクスタイルツール供給ることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ある数量のテクスタイルツールは、1つのテクスタイルツール、複数のテクスタイルツールの小包(6)、或いは、ある数量のテクスタイルツールを含むパッケージ(6)であり、当該ある数量のテクスタイルツールに、前記ラベル(8)が取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記情報媒体(10)により、異なる種類の針に関する情報(9、12)を、異なるラベル(8)に割り当てることを特徴とする請求項1からのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記情報媒体(10)として、情報電子的に読み出し可能な情報媒体を利用することを特徴とする請求項記載の方法。
【請求項6】
情報(9、12)、電気的又は電子的な通信手段(14)を介して、前記情報媒体(10)から読み出、及び/又は、前記情報媒体(10)へ書き込ことを特徴とする請求項記載の方法。
【請求項7】
前記情報媒体(10)により、前記ツールユーザ(2、3)及び/又は前記ツール販売組織(1)から書き込まれる情報(9、12、19)を格納することを特徴とする請求項記載の方法。
【請求項8】
前記情報媒体(10)により、前記ツールユーザ(2、3)の織物製品についての製造プロセスに関する情報(19)格納ることを特徴とする請求項からのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記システムが少なくとも1つの読み出し装置を含み、該少なくとも1つの読み出し装置により、前記少なくとも1つの識別コード(15)電子的に読み取ることを特徴とする請求項1からのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記識別コード(15)は、バーコードを含む、RFIDタグを含む、及び/又は、データマトリックスコードを含むことを特徴とする請求項記載の方法。
【請求項11】
前記テクスタイルツールとして、編み機の針、ミシンの針、フェルト用の針、縦編み機の針、シンカー、綜絖、綜絖枠、筬、及び、カードワイヤのうち、少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
クスタイルツールに関する情報を、ツール販売組織(1)からツールユーザ(2)へ伝達するシステムであって、
前記ツール販売組織(1)内の材料フローを記録し、少なくとも1つの名称(5)をツールの種類に割り当てるソフトウェアシステムを含み、
該ソフトウェアシステムは、前記ツールユーザ(2)からの注文(4)を記録し、
少なくとも1つの識別装置(27)を備え、これにより、ある数量のテクスタイルツールに、電子読み取り可能な識別コード(15)を含むラベル(8)が付与され、
前記識別装置(27)は、前記名称(5)を含まないラベル(8)を、前記識別装置(27)が前記ある数量のテクスタイルツールに付与するように設定する、前記ソフトウェアシステムによって作動可能であり、
前記ある数量のテクスタイルツールを前記ツールユーザ(2)へ輸送可能な発送システム(7)を備え、前記ラベル(8)は、前記ある数量のテクスタイルツールと共に発送され、
前記ツールユーザ(2)がアクセス可能な情報媒体(10)を備え、該情報媒体(10)において、前記ある数量のテクスタイルツールに関する情報(9、12、19)が、前記識別コード(15)に割り当てられることを特徴とするシステム。
【請求項13】
前記情報媒体(10)は、前記ツールユーザ(2)の前記コンピュータシステムの一部、前記ツールユーザ(2)の或いは前記ツール販売組織(1)のウェブサイト、及び/又は、前記ツールユーザ(2)の或いは前記ツール販売組織(1)のポータルサイトであることを特徴とする請求項12記載のシステム。
【請求項14】
前記情報媒体(10)は、少なくとも1つの付加的なパスワードで、前記ツールユーザ(2)及び/又は前記ツール販売組織(1)によってのみ読み取りできるように、設定可能であることを特徴とする請求項13記載のシステム。
【請求項15】
前記情報媒体(10)は、前記ツールユーザ(2)及び/又は前記ツール販売組織(1)により責務を果たすように雇われた人物(16、17、18)、及び/又は、前記ツールユーザ(2)及び/又は前記ツール販売組織(1)の代理人(16、17、18)に対して、前記ある数量のテクスタイルツールに関する情報(9、12、19)への、種々の度合いのアクセスを認可するように設定され、前記アクセスの度合いは、権限のレベルに依存していることを特徴とする請求項12から14のいずれか1項記載のシステム。
【請求項16】
前記識別コード(15)を読み取り可能な、前記ツールユーザ(2)のための少なくとも1つの読み出し装置(13)を備えることを特徴とする請求項12から15のいずれか1項記載のシステム。
【請求項17】
前記テクスタイルツールが、編み機の針、ミシンの針、フェルト用の針、縦編み機の針、シンカー、綜絖、綜絖枠、筬、及び、カードワイヤのうち、少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項12から16のいずれか1項記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テクスタイルツールの情報を伝達するシステム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テクスタイルツール(textile tools)は既知のものである。この用語は、本書で用いられる際、織物製品を製造するために好適で、製造中に通常は織物材料と直接的に接触するツールを示している。織物の針は、そのような種類のテクスタイルツールの一例である。この種の針は、編み機の針、ミシンの針、フェルト用の針及び縦編み機の針を含んでいる。しかしながら、「テクスタイルツール」という用語は、システムの構成要素、中でもシンカー(sinkers)を示すこともある。製織分野において、この用語は、特に綜絖、綜絖枠及び筬を示している。織り糸やフェルトの基本材料といった基礎製品の製造では、これに関連してカードワイヤ等のテクスタイルツールについて言及する必要がある。
【0003】
様々な製品(その中でも工業用品)に識別手段の付与を実行することは、製品についての幅広い情報を含むことを意味し、その品質、開発、生産、及び、意図された更なる処理は、馴染みのものである。製品にRFIDタグを取り付けることは、この関係の多くの例のうちの1つである。独国特許発明第60214991号明細書は、諸々の中で、この種のタグを開示しており、それは、製品に取り付けるように意図され、上述したタイプの情報の範囲を含んでいる。
【0004】
これまで、この種の識別方法は、テクスタイルツールの分野において、通常は目にすることがなかった。ここで、対照的に、説明的な名称(descriptive names)を備えたある数量のテクスタイルツールを提供することが概ね慣習になっており、例えば、フェルト用の針及び編み機の針の分野は、名称の成り立ち(development of names)を証明してきており(has witnessed)、そのうちの幾つかは、テクスタイルツールのユーザによって世界的に理解され、そこからテクスタイルツールの性能の大部分が明らかになる。この種の名称は、多くの場合、例として針の種類(例えばVosa Spec)を示す連続した文字で始まる。この連続した文字には、多くの場合、連続した数字及び更なる文字が続き、それらは、針の太い方の端(needle butt)の高さ等の明確な寸法や、針のフック(needle hook)の形状を示している。情報を伝えるため、或いは、テクスタイルツールと共に情報を輸送するための、上述した方法は、高レベルの透明性に適しているため、従来から価値が明らかであった。付加価値連鎖(value-added chain)の多くのメンバーは、ツールの名称から、ツールに関する貴重な情報を見る又は収集することができた。これは、特に産業用ツールのユーザ分野において有利であり、理由としては、第1に、テクスタイルツールが多くの場合に工場に長期間保管されているため、第2に、テクスタイルツールが多くの場合に高水準の変動性の影響下にある(subject to a high level of volatility)ためである。
【0005】
特に近年では、織物の付加価値連鎖の主な役割(share)は、折よく大抵は経済成長の高いポテンシャルを示している、新興工業国にシフトしてきている。しかしながら、この高い経済成長のポテンシャルが、産業用ツールのユーザ(すなわち織物を製造する国)及びその取引先に引き起こす損失の中には、ツールユーザの人材(personnel)の高水準の変動(fluctuation)がある。それらは、ツールユーザに対して製造の専門知識を伝えることが多々ある、織物製品のチェーン店であることが多い。そのスタッフの変動は、特定の製造職のためのテクスタイルツールの選択を含む、秘密の製造専門知識が漏洩する要因となる。更に、それに関連する重要な情報は、当然に、テクスタイルツールの動作パラメータに関する情報を含んでいる。更に、後者の2つのタイプの情報は、テクスタイルツールの販売組織によって提供されることも多い。それらの販売組織の幾つかは、テクスタイルツールの製造業者が加入していることもあり、同時に、1つ以上のテクスタイルツールの製造業者のために、販売の代理人や仲介人として働く他の業者が加入していることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許発明第60214991号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した理由のために、本発明の目的は、織物の付加価値連鎖の(必要ならば選択された)特定のメンバーに、必要なテクスタイルツールの情報を入手し易くさせることが可能な、方法及びシステムを提案することにある。ここで意図することは、製造の専門知識の損失を可能な限り回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、請求項1に係る方法と、請求項12に係るシステムとによって達成される。
【0009】
本方法に従うと、販売組織によりテクツタイルツールの種類に名称が付与され、これは説明的な名称であることが多い。この名称は、販売組織での材料フロー(material flow)を反映したソフトウェアシステム内に保持されることが多々ある。
【0010】
取引先により開始された注文プロセスの結果として、ある数量のテクスタイルツール(a quantity of textile tools)にラベルが付与されるが、それは名称とは異なるものである。更に、名称は、好都合なことにこのラベルから認識できず、ラベルが電子的に読まれても初めは明らかにならない。それよりも、このラベルは、当の取引先、当の注文、当の工場、及び/又は、当のテクスタイルツールの一群(batch)に特化している。このラベルは、ツールユーザ及び販売組織によって、より一層受け入れられることが多い。
【0011】
言及したある数量のテクスタイルツールはツールユーザへ発送され、このことは、通常、販売組織により責務を果たすように雇われた人物によって請け負われる。上述したソフトウェアシステムは、ここで大抵は役割を実行する:取引先の住所、注文番号、及び大抵は発送の詳細の、提供が自動で行われる。
【0012】
配達を目的として、販売組織の特別な配達サービスや商業用の郵便制度、或いは、このサービスを実行するためにビジネスパートナーにより採用された別の出荷サービスを利用できる。輸送及び/又は配達の間、少なくとも1つのラベルが、ある数量のテクスタイルツールに伴われ、又はそこへ付着される。販売組織は、ツールユーザが情報媒体にアクセスすることを承認する。この情報媒体上では、ある数量のテクスタイルツールに関する情報が、ラベル、すなわち、ラベル上の識別コードへ割り当てられている。上記で既に説明したように、この情報は、ツールの仕様(寸法、ツールの性質、ツールの材料、先端やフックの形状、又は、ツールの要求された使用についての情報であってもよい)で構成されている。
【0013】
ツールユーザ及び販売組織は、通常、責務を果たすように雇われた複数の従業員及び/又は人物を有する企業である。従って、原則として、ツールユーザは、販売組織により彼に与えられた情報キャリアへのアクセスを、責務を果たすように雇われた彼の従業員及び/又は人物のうちの何人かに付与するだけである。アクセスは、コードやパスワードの伝達によって承諾されるが、チップ、DVD、又はスティック(すなわち、電子データの格納手段)の形態や、ハードコピーの形態で有り得る情報媒体が、ツールユーザへ引き渡されるケースもある。これについての更なる詳細は、後に掲載している。限られたカテゴリの人物のみに、情報媒体へアクセスするための異なるレベルの権限を認めることは、ツールユーザにとって、更には販売組織にとっても頻繁に、適切であることが多い。
【0014】
業務の期間及び状況、価格、及び、ある数量のテクスタイルツールに関する類似の情報が、情報媒体に格納されていてもよい。一般的に言えば、販売組織によって初めに付与される名称は、組織内での名称であってもよく、必ずしもある数量のテクスタイルツールに取り付けられる(attached to)必要はない。原則として、ラベルが名称を含んでいない場合、及び、ラベルが名称をイメージさせるものではない場合は、好都合である。ある数量のテクスタイルツールにラベルを付着する場合は、得策であり好都合である。原則として、「ある数量のテクスタイルツール」という用語は、あらゆるタイプの多くのツールを示している。
【0015】
異なるあらゆるタイプのある数量のツールが、販売組織によって異なるツールユーザへ有利に供給される。更に、ここでは、少なくとも、様々なある数量のこのツールタイプが、販売組織で同じ名称で通っている場合も好都合である。しかしながら、代わりに又は加えて、材料フローを監視するためのソフトウェアを備えた販売組織が、ソフトウェアシステム内で、名称としてサブディレクトリへの参照を利用してもよい。この場合、様々なツールユーザ向けのラベルが、このサブディレクトリ内に記録されていなければならない。
【0016】
しかしながら、1つのタイプの全てのツールが、同じ名称で通っている場合も好都合である。これに関連して、異なるラベルを備えて異なる取引先へ供給されるある数量のツールを提供することは、更に有益である。ここで、それは意図された国固有の種々の製品名称(種々の言語)ではないが、それらのラベルが取引先によって異なるかもしれず、異なるべきであることは、強調しなければならない。
【0017】
本発明の目的について、ある数量のテクスタイルツールは、ラベルが取り付けられた1つのテクスタイルツールであってもよい。しかしながら、ある数量のテクスタイルツールは、ラベルが取り付けられた一群のテクスタイルツールであってもよい。幾つかのテクスタイルツールをパッケージで輸送することも、頻繁に行われる。この場合、パッケージにラベルを取り付けると好都合である。
【0018】
テクスタイルツールは、大抵、取引先の特有の要求を満たすように製造される。この場合、技術試験や協議の後に、販売組織は、テクスタイルツールをツールユーザへ提案するか、或いは、新しいツールの開発又は既存のツールの改造を引き受けさえする。続いて、2つのパートナーの一方が、このツールタイプのラベルを提案することが多い。
【0019】
情報媒体は、種々のラベルが付与された様々な種類の針の情報を、好適に含んでいる。様々な種類の針に関する情報が、ラベルへ割り当てられるため、ラベルにより針の情報が確認可能(locatable)になる。
【0020】
情報媒体は、ハードコピーであってもよい。それは表を含むか、又は表が添付されている。しかしながら、原則として、情報媒体は、電気的又は電子的に読み取り可能なものである。これに関して、ラベルが電子読み取り可能な識別コードを含んでいると好都合であり、情報媒体上の情報は、この識別コードを経て検出できる。特に、情報媒体が一般的に利用可能な情報手段(電子及び電気の通信手段)を経て接触可能なケースでは、情報媒体を暗号化するか、或いは、コードやパスワードの所有者のみに利用可能に構成すると、好都合である。
【0021】
情報媒体が、ツールユーザ及び販売組織の双方によって情報が提供され得る、バーチャルデータルームの一種であっても好適である。そのような情報は、ツールユーザの織物製品についての製造プロセスに関係するものであってもよい。ツールユーザと販売組織との間の、商取引の合意に関するデータであっても好適である。それらの中には、取引の価格及び条件がある。識別コードとして、可能な限り(all possible)自動で読み取り可能な情報媒体を考慮してもよい。
【0022】
例えば、本発明の方法は、以下の通り要約できる。
【0023】
第1項:テクスタイルツールに関する情報(9、12)を、ツール販売組織(1)からツールユーザ(2)へ伝達する方法であって、該方法は、
ツール販売組織のコンピュータ装置により、注文プロセス(4)を受けること、
該注文プロセス(4)を受けたことに応じて、パッケージ(6)の中身に特化した情報を含む注文の特定情報(9、12)へのアクセスを許容するように構成された識別コード(15)を、テクスタイルツールのパッケージ(6)に対して識別装置(27)によりマークすること、
前記パッケージ(6)についての前記注文の特定情報(9、12)の、少なくとも一部への要求を、情報媒体装置(10)によりツールユーザのコンピュータ装置から受信し、前記要求には、電子読み取り装置(13)による前記識別コードの電子読み取りから得られる情報が含まれていること、
前記要求と、前記ツールユーザのコンピュータ装置のユーザが、前記パッケージ(6)についての前記注文の特定情報(9、12)の、少なくとも一部へのアクセスを許容されていることを示す認可情報とを、受信したことに応じて、前記注文の特定情報(9、12)の少なくとも一部を、前記ツールユーザのコンピュータ装置を介して、前記ツールユーザに対して提供すること、を含んでいる。
【0024】
第2項:上記第1項の方法において、
更に、注文プロセス(4)を受けたことに応じて、前記ツール販売組織のコンピュータ装置により、前記注文の特定情報(9、12)を生成することを含んでいる。
第3項:上記第2項の方法において、
前記注文の特定情報(9、12)の生成は、種々の注文プロセス(4)に固有の注文の特定情報(9、12)を生成することを含んでいる。
第4項:上記第1項から第3項の何れか1項の方法において、
前記パッケージ(6)へマークすることは、種々の注文プロセス(4)に応じて準備したパッケージ(6)に対して、異なる識別コード(15)をマークすることを含んでいる。
第5項:上記第1項から第4項の何れか1項の方法において、
更に、前記認可情報が有効であるか否かを、前記情報媒体装置(10)により判定すること、及び、前記認可情報が有効であることの判定に対する応答において、前記認可情報に応じて、前記注文の特定情報(9、12)の少なくとも一部へのアクセスを、前記情報媒体装置(10)によりもたらすこと、を含み、アクセスは、種々の認可情報の受け取りに応じて、前記注文の特定情報(9、12)の種々の特徴(aspects)に提供される。
【0025】
販売組織がテクスタイルツールの情報をツールユーザに伝達できるようにする有利なシステムは、以下の特徴を含んでいる。
【0026】
販売組織内の材料フローを反映しているソフトウェアシステムは、しばしば現場にあり(in place)、それは種々のツールタイプに名称を割り当てる。それらの名称は、販売組織の外部にも知られた説明的な名称であることが多い。
【0027】
この或いは別のソフトウェアシステムが、ツールユーザからの注文を記録するものであると有利である。原則として、それらの注文は、SAPやOracleといった業務用システムで管理される。
【0028】
販売組織は、ある数量のテクスタイルツールにラベルを付与することができる識別装置を、効果的に有している。
【0029】
識別装置がソフトウェアシステムによって作動可能であり、ある数量のテクスタイルツールに、電子読み取り可能な識別コードを含むが前記の名称は含まないラベルを提供するように、ソフトウェアシステムが識別装置を促すならば、追加の利点が得られる。この目的のため、ソフトウェアシステムは、通常、販売組織及び/又はツールユーザにより選択されたラベルを付与するようにプログラムされる。
【0030】
原則として、テクスタイルツールの販売組織は、発送部門や自動化された発送設備を備えている。それらは、大抵、材料フローを反映したソフトウェアシステムから発送されることとなる、ある数量のテクスタイルツールに関する情報を受信する。
【0031】
この種の販売組織は、テクスタイルツールの配達に、内部又は外部の郵送及び/又は配達サービスを利用し、その選択は、本発明の目的の課題ではない。発送の間、ある数量の織物用品と共にラベルが運ばれる。更に、システムは、ツールユーザに利用可能に作られた情報媒体も含んでいる。ある数量のテクスタイルツールについての情報は、この情報媒体に置かれ、上述のある数量のテクスタイルツール用の識別コードに割り当てられるため、識別コードによって情報の読み取りが可能になる。
【0032】
情報媒体は、ツールユーザのコンピュータシステムの一部であってもよい。しかしながら、原則として、情報媒体がツールユーザ及び販売組織にとってアクセス可能であれば有利である。この目的のため、情報媒体は、ツールユーザ又は販売組織のウェブサイトであってもよい。代替的に又は付加的に、情報媒体への情報の提供や情報媒体からの情報の読み出しを許容する、ポータルソリューション(portal solution)として知られるものを使用すると好都合である。
【0033】
第三者が特に情報媒体へアクセスすることを防止するように、パスワード、コード、或いは、ツールユーザと販売組織との間の専用回線によっても、情報媒体を保護すると有利である。ツールユーザ及び/又は販売組織の企業の内部に、多様な度合いの権限を設置するか、或いは、権限を設置しないことによって、追加の利点が得られる。それらの方法は、(必要ならば種々の)コードの付与や、種々の企業のITシステム内の、階層や権限のレベルの付与によって試みられてもよい。それらの方法は、恐らくツールユーザの合意のもとで、販売組織によりもたらされてもよい。しかしながら、ツールユーザがアクセス権限(及び、場合によっては書き込み権限)を自律的に付与することができるように、情報媒体へのアクセスを設定することもはっきりと考えられる。
【0034】
ツールユーザが、識別コードについての少なくとも1つの読み出し装置を有していると、更に好都合である。この読み出し装置は、完全に自動的に機能してもよい。有利には、それは、情報媒体との接点、及び、場合によっては件の情報との直接的な接点を、自動的に確立してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】一例として編み機の針に用いられる種類のテクスタイルツールのパッケージを示している。
図2】権限の階層を図示した図表である。
図3】テクスタイルツールの情報を伝達する第1のシステムを示す図解である。
図4】テクスタイルツールの情報を伝達する第2のシステムを示す図解である。
図5】テクスタイルツールの情報を伝達する第3のシステムを示す図解である。
図6】テクスタイルツールのパッケージの更なる形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、ラベル8を備えた長方形のパッケージ6を示している。ラベル8には、電子読み取り可能な識別コード15と、ラベルの文字列21とが視認できる。この文字列21は、これによってツールユーザのスタッフが、特にパッケージ6内に含まれるある数量のツールを示すことができるので、有用である。
【0037】
図2は、本発明に従って利用可能な種類の表を示しており、パッケージ6内に含まれるある数量のテクスタイルツールに係る表22の情報は、ラベル8に付与される。表22内の縦列23は、ツールユーザ2の従業員(employees)16、17、18が、情報の様々な部分への異なるアクセス度を付与する、異なるレベルの権限を有していることを示している。しかしながら、表22は、電子読み取り可能な情報媒体10用のアクセス階層についてのシンボルとして見られてもよい。
【0038】
図3は、本発明に係るシステム25の図解である。図3は、線24によって、ツール販売組織1の範囲と、ツールユーザ2の範囲とへ分けられている。ツール販売組織1及びツールユーザ2は企業であり、責務を果たすように雇われたその企業の従業員16、17、18は、異なるレベルの権限と企業のインベントリ(inventory)26の異なる品目とを有している。この実施形態では、ツールユーザ2及びツール販売組織1の活動が、注文プロセス4で始まる。この注文プロセス4の間、ツールユーザ2は、注文プロセス4に関連する特定の情報9を、ツール販売組織1へ伝達する。この場合、ツール販売組織1は、特定の注文プロセス情報を、様々なコンピュータ装置によりアクセス可能に接続された、データベースやそれに類似の記憶装置であってもよい情報媒体10へ送信し、このステップは符号11により視覚化されている。又、情報媒体10には、取引先及びバッチ用のデータ12が格納されている。これは、注文プロセス9の特定データと調和され、読み出しを介して利用可能になる。
【0039】
ツール販売組織1について、ここから業務上の仕事が始まる。ある数量のテクスタイルツールをパッケージ6に梱包し、発送プロセス7のために準備をする。多くのツール販売組織1は、在庫にあるものに頼ることができる。当然のことながら、特定の種類のテクスタイルツールが入手できない場合も同じくらいあるため、ツールの製造業者に製造の注文を送らなくてはならない。多くの場合、ツールの製造業者とツール販売組織1とは、同じグループに属している。名称5の存在(the entity with the name)は、ツール販売組織1により使用される名称5が、ある数量のテクスタイルツールへ付着できることを明らかにする。しかしながら、業務用のソフトウェアシステム内である数量のテクスタイルツールを管理するには事足りることが多いため、それは決して必要ではない。図3図4及び図5では、ソフトウェアシステムと、ソフトウェアシステムがシステム25の他の要素を作動させる或いは読む際に用いる、接続可能なラインとを除外している。それがツールユーザ2へ配達される前に、ある数量のテクスタイルツールは、識別装置27へ送られ、そこでラベル8が付与される。識別装置27は、代替的なものとして、ラベリング装置であってもよいが、それは、既存のパッケージ、既存のラベル等に、付加的なマークを提供可能なものである。当然に、テクスタイルツールは、彫刻システムやレーザによってマークされてもよい。識別装置27は、注文プロセス4を取り扱うように構成されたコンピュータ装置等の、他のコンピュータ装置と通信するように構成され、そのようなコンピュータ装置から特定の注文プロセス情報を受けて、その特定の注文プロセス情報に基づいて、電子読み取り可能な識別コード15とラベルの文字列21とを、ラベル8上にマークする。そのように構成されているため、パッケージ6は今や、その情報へのアクセスに必要なコードや他のアクセス情報といった認可情報を有する、ツールユーザ2によるアクセスのみが可能な、注文に特化した情報を保持している。
【0040】
矢印7は、ツール販売組織1によるツールユーザ2への、ある数量のテクスタイルツールの発送を表している。本明細書の導入部分で既に説明したように、この発送プロセス7は、発送作業(宛先はある数量のテクスタイルツールの送り先)と輸送プロセスとを伴っており、そこである数量の織物用品がツールユーザ2の工場へもたらされる。識別装置27により付与された識別情報を帯びたパッケージ6は、図の右側、すなわち、ツールユーザ2の範囲に再度図示されている。パッケージ6上のラベル8は、ツールユーザ2のスタッフに対してテクスタイルツールの数量及び又は種類を言葉で示すことが可能な、文字列21を含んでいる。この実施形態において、ラベル8は、更に、例えば電子読み取り機13で電子的に読み取ることができる識別コード15を有している。識別コード15は情報媒体10へのリンクを含み、それによって、例えば、様々な既知のネットワーク構造(一例として、インターネットや、コンピュータ装置間での通信を可能にする類似のもの)の任意の1つといった通信手段14を介して、情報媒体10の情報12を読み出すことができる。この情報12は、再び通信手段14を介して、ツールユーザ2の範囲へ送信することができる。まだ言及していないことは、販売組織1及びツールユーザ2により責務を果たすように雇われた人物16、17、18であり、彼らは、情報にアクセスするための異なるレベルの権限を有している。原則として、リンク及び識別コード15を介して(上述したような)情報を読み出すためには、追加のコードやパスワードが必要となる。更に、異なる権限のレベルは、他の方法のうち、異なるコードを経て実現される(realised)ことがある。
【0041】
ある1つの例では、ツールユーザ2用のコンピュータ装置へ情報12が送信される前に、コードやパスワードが情報媒体10へ送信され、正しいことが確認されなければならない。別の方法では、情報12が暗号化した形で、ツールユーザ2用のコンピュータ装置へ送信され、認可されたコードやパスワードが、ツールユーザ2のコンピュータ装置で受信されることに呼応して、コンピュータ装置により暗号解読される。そのように構成されているため、パッケージ6を入手した人物は、ユーザが情報にアクセス可能でありパッケージの中身を使用可能であることを示す、認可されたコードを持たずに、パッケージの中身の具体的な詳細を認識することができない。従って、この特化して設計されたコンピュータシステムは、そのような製品の薄闇市場での販売(grey market sales)を排除する技術的な解決を提供し、正しいツールの使用をコンピュータ装置に証明する。例えば、非認可の販売者からパッケージを購入したユーザは、多大な費用及び検査をなくしては、テクスタイルツールのパッケージに与えられたテクスタイルツールの種類が何であるのかを知ることはできず、換言すれば、ぞんざいな目視検査に基づいて正確なデザインや特徴を識別することは難しい。従って、説明した様々な装置でこの技術的な方法を実行することは、そのようなユーザを挫折させ、又、そのようなユーザに対して、説明したシステムの形態を利用しているツール販売組織1のみから、その道具を調達するように動機付けを行う。
【0042】
図4は、図3のシステム25と略同じシステム25を示している。しかしながら、図3に示されている物に加えて、図4は、情報媒体10のための書き込み権限が、ツールユーザ2に付与され得ることを図示化している。この状況は、生産プロセスのデータ19が、通信手段14を介して情報媒体10へ通信可能なことを以って、図示化されている。当然に、別の種類の情報を、説明した方法でツールユーザ2によって、情報媒体10へ格納してもよい。
【0043】
図5は、図4の実施形態に構築された、本発明の別の第3の実施形態を示している。しかしながら、図5では、1つのツールユーザ2に代えて、2つのツールユーザ2、3が示されている。2つのツールユーザ2、3の範囲は、またしても破線24によって互いに区切られている。ツールユーザ2、3の双方は、図4に示された方法と同じ方法で、情報媒体10への書き込み権限を有している。2つのツールユーザ2、3は、異なる文字列21と異なる識別コード15とが付与されたラベル8を有している。この方法もまた、本明細書の導入部分で説明したように有益である。更に、図5に示されている第3の実施形態の付加的な特徴は、クラウド20の使用にある。この実施形態では、ツールユーザ2、3とツール販売組織1とのデータが、クラウド20に格納され、アクセス権限を有するそれらの人物16、17、18により、アクセス階層を備えるラインにおいてアクセス可能に構成される。
【0044】
図6は、テクスタイルツールの別の小包6を示している。識別コード15及び文字列21に加えて、ラベル8は、バッチ番号28と、小包6内のテクスタイルツールの数29とを含んでいる。ラベル8でのこの情報28、29の存在は、本発明の全ての実施形態において有益である。
【符号の説明】
【0045】
1:ツール販売組織、2、3:ツールユーザ、4:注文プロセス、5:名称、6:テクスタイルツールの小包/パッケージ、7:発送プロセス、8:ラベル、9:特定の注文プロセス情報、10:情報媒体、11:注文プロセスに関する特定の情報・ラベル・名称(必要ならばツールの追加情報)を情報媒体へ送信する処理、12:取引先・業務・仕事・バッチの特定データプール、13:電子読み取り機、14:通信手段、15:識別コード、16:ツール販売組織又はツールユーザにより責務を果たすように雇われた権限レベル1の人物、17:ツール販売組織又はツールユーザにより責務を果たすように雇われた権限レベル2の人物、18:ツール販売組織又はツールユーザにより責務を果たすように雇われた権限レベル3の人物、19:生産プロセスのデータ、20:クラウド、21:ラベルの文字列、22:表、23:表の縦列、24:破線、25:システム、26:企業のインベントリの品目、27:識別装置、28:バッチ番号/ある数量のテクスタイルツールが属するバッチの数、29:パッケージ/小包内のテクスタイルツールの数
図1
図2
図3
図4
図5
図6