(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の前記回路基板が厚さ方向に積み重ねられており、複数の前記回路基板を積み重ね方向に挟むように、複数の前記支持壁が配置されており、一方の前記支持壁の外側の表面から前記回路基板を貫通して、対向する前記支持壁の外側の表面まで達する支持具が複数の前記回路基板を前記ケースに固定している請求項1の蓄電装置。
さらに、前記均等化基板と前記制御基板とを接続する第2のケーブルを有し、前記第2のケーブルは、前記制御基板及び前記均等化基板から上方に向かって引き出され、前記支持壁の上方を通過している請求項3に記載の蓄電装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1A及び
図1Bに、それぞれ実施例よる蓄電装置の蓋及び下部筐体の斜視図を示す。
図1Bに示すように、下部筐体50が、底面51及び側面52を含み、下部筐体50の上方が開放されている。側面52は、底面51の外周線の全域に亘って配置されている。
図1Aに示した蓋60が、下部筐体50の上方の開放部を塞ぐ。下部筐体50及び蓋60により、底面、側面、及び上面を有する筐体が構成される。
【0012】
底面51の上に、2つの蓄電モジュール53が搭載されている。底面51に平行な面をxy面とし、底面51の法線方向をz方向とするxyz直交座標系を定義する。2つの蓄電モジュール53が隔てられた方向をx方向と定義する。蓄電モジュール53の各々は、y方向に積み重ねられた複数の蓄電セルを含み、電気エネルギの充放電を行う。蓄電モジュール53の詳細な構成については、後に、
図2を参照して説明する。
【0013】
y方向に垂直な1つの側面52にコネクタボックス59が設けられている。コネクタボックス59内の空間と、下部筐体50内の空間とは、開口58を介して相互につながっている。コネクタボックス59の上方の開口部は、コネクタ端子が配置されるコネクタ板で塞がれる。
【0014】
底面51に、剛性を増すための第1のリブ55、第2のリブ56、及び第3のリブ57が形成されている。第1のリブ55は、2つの蓄電モジュール53の間に配置され、x方向と交差する方向(y方向)に伸びる。第1のリブ55の一方の端部は、コネクタボックス59に対向する側面52に連続している。
【0015】
第2のリブ56は、第1のリブ55の端部において第1のリブ55に連続し、x方向に
伸びる。第1のリブ55は、第2のリブ56の中央に接続されている。第3のリブ57は、第2のリブ56の両端からy方向に伸び、コネクタボックス59が設けられている側面52まで達する。開口58は、2本の第3のリブ57が側面52に接続されている箇所の間に配置されている。
【0016】
底面51を基準として、第1のリブ55、第2のリブ56、及び第3のリブ57は、側面52よりも低い。下部筐体50の開放部を蓋60で塞いだ状態で、第1のリブ55と蓋60との間、第2のリブ56と蓋60との間、及び第3のリブ57と蓋60との間に隙間が形成される。第3のリブ57と、y方向に平行な側面52との間に、それぞれ電圧均等化アセンブリ70が配置される。
【0017】
底面51、側面52、第1のリブ55、第2のリブ56、第3のリブ57、及びコネクタボックス59は、鋳造法により一体成型される。材料として、例えばアルミニウムが用いられる。
【0018】
図2に、下部筐体50、及び下部筐体50に搭載されている部品の平面図を示す。2つの蓄電モジュール53が、x方向に離れて搭載されている。第1のリブ55が、2つの蓄電モジュール53の間をy方向に通過する。第1のリブ55の一方の端部は、側面52に連続する。第1のリブ55の他方の端部は、y方向に関して蓄電モジュール53の端部よりも外側に位置する。この端部から、第2のリブ56がx方向に平行に、かつ両方向に伸びる。第2のリブ56は、x方向に関して、蓄電モジュール53の各々と部分的に重なる。第2のリブ56の両端から、第3のリブ57がy方向に伸び、コネクタボックス59が設けられた側面52に達する。
【0019】
第2のリブ56、第3のリブ57、及びコネクタボックス59で囲まれた領域に、一対の中継部材62が配置されている。コネクタボックス59内にリレー回路63が配置されている。リレー回路63はコネクタ64を介して、外部の電気回路に接続される。
【0020】
蓄電モジュール53の各々は、板状の複数の蓄電セル10を含む。複数の蓄電セル10は、その厚さ方向(y方向)に積み重ねられている。蓄電セル10の各々は、x方向に、かつ相互に反対方向に導出された一対の端子11を有する。複数の蓄電セル10は、直列接続されている。コネクタボックス59から遠い方の両端の端子11同士が相互に電気的に接続されている。この一対の端子11を、ヒューズを介して接続してもよい。複数の蓄電セル10の直列回路の両端の端子11を通して、蓄電モジュール53の充放電が行われる。
【0021】
コネクタボックス59に近い方の両端の端子11は、それぞれバスバー65により、中継部材62に電気的に接続される。バスバー65は、第2のリブ56と交差する。中継部材62は、バスバー66によりリレー回路63に接続される。バスバー66は、開口58(
図1B)を通過する。
【0022】
第3のリブ57と、それに平行な側面52との間に、電圧均等化アセンブリ70が搭載されている。蓄電セル10の各々の端子11が、ケーブル33を介して電圧均等化アセンブリ70に接続されている。一方の電圧均等化アセンブリ70がケーブル34を介して他方の電圧均等化アセンブリ70に接続される。さらに、一方の電圧均等化アセンブリ70は、ケーブル35及びコネクタ64を介して、外部の制御装置に接続される。
【0023】
図3Aに、ケーブル35(
図2)が接続されている方の電圧均等化アセンブリ70の斜視図を示す。電圧均等化アセンブリ70は、複数の回路基板15、回路基板15を支持するケース20、及び保護プレート23を含む。複数の回路基板15は、複数の均等化基板
13及び1枚の制御基板14で構成される。
【0024】
複数の均等化基板13が厚さ方向に積み重ねられている。均等化基板13の各々に、複数の測定用コネクタ16及び制御用コネクタ17が実装されている。ケース20は、正四角柱の側面に沿う4枚の支持壁21で構成され、上下に四角形の開口部を有する。4枚の支持壁21は、積み重ね方向と直交する2枚の支持壁21Aと、積み重ね方向と平行な2枚の支持壁21Bとで構成される。上下の2つの開口部は、均等化基板13の積み重ね方向に対して直交する方向を向く。以下、均等化基板13の積み重ね方向を、単に「積み重ね方向」という場合がある。
【0025】
測定用コネクタ16及び制御用コネクタ17は、1つの開口部を通してアクセス可能な位置に取り付けられている。具体的には、均等化基板13のうち、1つの開口部が向く方向と同一の方向(
図3Aにおいて上方)を向く縁の近傍に、測定用コネクタ16及び制御用コネクタ17が取り付けられている。測定用コネクタ16の挿入口が上方を向いており、ケーブル33(
図2)のコネクタが、測定用コネクタ16に上方から挿入される。制御用コネクタ17の挿入口も上方を向いており、ケーブル34(
図2)のコネクタが、制御用コネクタ17に上方から挿入される。
【0026】
支持壁21Bの上端から外側に向かって、取付け部21Cが突き出ている。具体的には、取付け部21Cは、支持壁21Bの上端を外側に90°折り曲げることにより形成される。
【0027】
保護プレート23の側方の両端から、それぞれケース20に向かって腕部24が延びる。腕部24の先端がケース20の支持壁21Bに固定される。これにより、保護プレート23がケース20に支持される。制御基板14が保護プレート23に支持されている。支持壁21A、21B、及び保護プレート23が、回路基板15を支持する支持部材としての役割を担う。
【0028】
図3Bに、ケース20及び保護プレート23の分解斜視図を示す。ケース20は、第1の側面部材20Aと第2の側面部材20Bとを含む。第1の側面部材20Aは、積み重ね方向に直交する1つの支持壁21A、及び積み重ね方向に平行な一対の支持壁21Bで構成される。第2の側面部材20Bは、積み重ね方向に直交するもう1つの支持壁21Aで構成される。
【0029】
第2の側面部材20Bの両端を第1の側面部材20Aの方向に折り曲げることにより、重ね合わせ部20Cが形成されている。重ね合わせ部20Cは、第1の側面部材20Aの支持壁21Bの一部と重なる。支持壁21Bに形成された貫通孔25と、重ね合わせ部20Cに形成された貫通孔26とを重ねて、締結具で締め付けることにより、第2の側面部材20Bが第1の側面部材20Aに固定される。
【0030】
貫通孔25及び貫通孔26の一方は、積み重ね方向に長い長穴とされている。これにより、積み重ね方向に対して垂直な一対の支持壁21Aの間隔を微調整することができる。
【0031】
一対の支持壁21Aの、相互に対応する位置に複数の貫通孔27が形成されている。貫通孔27は、均等化基板13を支持するための支持具を取り付けるためのものである。取付け部21Cに貫通孔28が形成されている。貫通孔28は、ケース20を下部筐体50(
図1)に取り付けるためのものである。
【0032】
保護プレート23の両端から延びる腕部24の先端に、それぞれ貫通孔28が形成されている。支持壁21Bに形成された貫通孔29と、腕部24に形成された貫通孔28とを
重ねて、締結具で締め付けることにより、保護プレート23がケース20に固定される。
【0033】
一方の腕部24(
図3Bにおいて右側の腕部)の高さ方向の寸法が、他方の腕部24(
図3Bにおいて左側の腕部)の高さ方向の寸法より小さい。一対の腕部24の高さ方向の寸法を異ならせている理由については、後に
図8を参照して説明する。
【0034】
図4Aに、均等化基板13の平面図を示す。均等化基板13の上方の縁の近傍に、複数の測定用コネクタ16、及び1つの制御用コネクタ17が実装されている。測定用コネクタ16は、ケーブル33のコネクタ36に嵌合する。制御用コネクタ17は、ケーブル34(
図2)のコネクタ40に嵌合する。均等化基板13に、複数の電圧均等化回路19が実装されている。電圧均等化回路19は、均等化基板13に形成された配線パターン37を介して、測定用コネクタ16及び制御用コネクタ17の各端子に接続されている。
【0035】
均等化基板13に、複数の貫通孔18が形成されている。貫通孔18は、
図3Bに示した支持壁21Aの貫通孔27に対応する位置に配置されている。
【0036】
図4Bに、制御基板14の平面図を示す。制御基板14の上方の縁の近傍に、内部接続コネクタ38が実装されており、側方の縁の近傍に、外部接続コネクタ39が実装されている。内部接続コネクタ38は、ケーブル34(
図2)のコネクタ40に嵌合する。外部接続コネクタ39は、ケーブル35(
図2)のコネクタ41に嵌合する。制御基板14に制御回路42が実装されている。
【0037】
図5に、直列接続された複数の蓄電セル10、均等化基板13、制御基板14、及び制御装置135の接続構成を示す。複数の蓄電セル10が直列に接続されている。蓄電セル10の各々の一対の端子が、ケーブル33により、均等化基板13に接続されている。一例として、1枚の均等化基板13に4個の電圧均等化回路19が実装される。蓄電セル10の端子間の電圧が、対応する電圧均等化回路19によって測定される。
【0038】
制御基板14が、ケーブル34を介して、均等化基板13の各々に接続されている。さらに、制御基板14は、ケーブル35、コネクタ64(
図2)を介して、作業機械、例えばショベルの制御装置135に接続されている。
【0039】
電圧均等化回路19は、蓄電セル10の端子間電圧を測定する。端子間電圧の測定結果が、制御基板14に実装された制御回路42に入力される。制御回路42は、蓄電セル10の端子間電圧の測定値の最大値、最小値、平均値等の統計値を算出する。算出された統計値が制御装置135に入力される。制御回路42は、制御装置135から均等化開始指令を受けると、相対的に電圧の高い蓄電セル10に対応する電圧均等化回路19に、均等化開始信号を送出する。電圧均等化回路19は、制御回路42から均等化開始信号を受信すると、蓄電セル10を、放電抵抗を介して放電させる。これにより、蓄電セル10の端子間電圧の均等化が行われる。
【0040】
図6に、実施例による電圧均等化アセンブリ70の平断面図を示す。ケース20内に、厚さ方向に積み重ねられた複数の均等化基板13が収容されている。均等化基板13に電圧均等化回路19が実装されている。支持具43が、複数の均等化基板13をケース20内に固定している。支持具43は、一方の支持壁21Aの外側の表面から、支持壁21Aの貫通孔27、均等化基板13の貫通孔18、及び対向する支持壁21Aの貫通孔27を通過して、支持壁21Aの外側の表面まで達する。
【0041】
支持具43は、支持壁21Aと均等化基板13との間、及び相互に隣り合う2枚の均等化基板13の間にそれぞれ配置されたオスメス型スペーサ44を含む。均等化基板13は
、オスメス型スペーサ44、及び両端に取り付けられたボルト45及びナット46により、ケース20に固定される。
【0042】
積み重ね方向に対して平行な支持壁21Bの貫通孔25及び、重ね合わせ部20Cの貫通孔26を締結具48が貫通して、第1の側面部材20Aと第2の側面部材20Bとを相互に固定する。
【0043】
保護プレート23が、一方の支持壁21Aから間隔を隔てて配置されている。保護プレート23の両端からケース20に向かって延びる腕部24が、締結具49により、支持壁21Bに固定されている。保護プレート23と支持壁21Aとの間に、制御基板14が配置されている。制御基板14は、支持具72により、保護プレート23に固定されている。支持具72は、オスメス型スペーサ、ボルト、及びナットで構成される。
【0044】
制御基板14は、保護プレート23を介してケース20に支持される。保護プレート23は、制御基板14を支持する機能と、制御基板14を保護する機能を併せ持つ。制御基板14を、ケース20の支持壁21Aに固定してもよい。この場合には、保護プレート23は、制御基板14を支持する機能を持たず、制御基板14を保護する機能のみを持つ。
【0045】
図7に、
図2の一点鎖線7−7における断面図を示す。下部筐体50の底面51から上方に第3のリブ57が立ち上がっている。側面52の内側の表面に、段差83が形成されている。段差83は、第3のリブ57の上端の高さと同一の高さに配置されている。第3のリブ57と側面52との間に電圧均等化アセンブリ70が配置されている。
【0046】
電圧均等化アセンブリ70の2枚の支持壁21Bの間に均等化基板13が支持されている。電圧均等化アセンブリ70は、測定用コネクタ16及び制御用コネクタ17の挿入口が上方を向く姿勢で下部筐体50内に配置される。電圧均等化アセンブリ70の2つの取付け部21Cが、それぞれ段差83及び第3のリブ57の上面に支持される。取付け部21Cに形成された貫通孔28(
図3A、
図3B)を貫通する締結具85(例えばボルト)により、ケース20(
図3A、
図3B)が下部筐体50に固定される。均等化基板13は、蓄電セル10の積み重ね方向(y方向)に対して垂直である。支持壁21Bを含むケース20と、下部筐体50の底面51との間に隙間が確保されている。
【0047】
すべての均等化基板13の測定用コネクタ16及び制御用コネクタ17の挿入口が上方を向いているため、電圧均等化アセンブリ70を下部筐体50に固定した状態で、ケーブル33のコネクタ36及びケーブル34のコネクタ40を、それぞれ測定用コネクタ16及び制御用コネクタ17に容易に挿入することができる。これにより、メンテナンス性の向上が図られる。
【0048】
さらに、取付け部21Cは、
図3Aに示したように、ケース20の上方の開口部の縁に設けられている。下側の開口部の縁に取り付け部を設け、下部筐体50の底面51にケース20をねじ止めする場合には、下部筐体50に収納されている部品を避けてドライバを挿入し、ねじ止めしなければならない。このため、作業性が悪い。これに対し、実施例においては、取付け部21Cが支持壁21Bの上端に設けられているため、ケース20(
図3A、
図3B)を下部筐体50に取り付ける際の作業性を高めることができる。
【0049】
図8に、電圧均等化アセンブリ70の側面図を示す。ケース20に複数の均等化基板13が収容されている。ケース20の一方の支持壁21Aから間隔を隔てて保護プレート23が配置されている。保護プレート23と支持壁21Aとの間に、制御基板14が収容されている。制御基板14は、均等化基板13より大きいため、ケース20内に収容することが困難である。このため、制御基板14は、ケース20の外に配置される。
【0050】
均等化基板13の上端の近傍に、測定用コネクタ16(
図4A)、及び制御用コネクタ17が実装されている。
図8では、測定用コネクタ16の記載を省略し、制御用コネクタ17のみを表している。制御基板14の上端の近傍に、内部接続コネクタ38が実装されている。ケーブル34が、複数の制御用コネクタ17と内部接続コネクタ38とを順番に接続する。物理的には、複数の均等化基板13と、1枚の制御基板14とがケーブル34によってバス状に接続されているが、電気的には、
図5に示したように、制御回路42と、複数の電圧均等化回路19とが、スター接続される。
【0051】
制御基板14の側方の縁(
図8において手前の縁)に、外部接続コネクタ39が実装されている。外部接続コネクタ39に、ケーブル35(
図2)が接続される。ケーブル35は、制御基板14の手前の縁から横方向(
図8において紙面に垂直な方向)に延びる。外部接続コネクタ39が実装されている縁に対応する腕部24(
図8において、手前の腕部24)の高さ方向の寸法が、反対側(
図8においての奥側)の腕部24の高さ方向の寸法より小さい。ケーブル35が手前の腕部24と空間的に干渉しないように、高さ方向に関して、外部接続コネクタ39は、手前の腕部24と異なる位置に配置されている。これにより、ケーブル35が腕部24を回避して、外部接続コネクタ39に接続される。
【0052】
図8において手前の腕部24の高さ方向の寸法を相対的に小さくしているため、ケーブル35と腕部24との空間的な干渉を容易に回避することができる。また、他方の腕部24の高さ方向の寸法を相対的に大きくしているため、保護プレート23の支持強度を高めることができる。
【0053】
腕部24は、保護プレート23との接続部の近傍において、接続部に近づくに従って高さ方向の寸法が増大する拡幅部24Aを含む。拡幅部24Aの上下の縁は、例えば円弧状の形状を有する。拡幅部24Aを設けることにより、応力の集中を緩和することができる。
【0054】
均等化基板13及び制御基板14を、下部筐体50(
図1B)の底面51に対して平行に配置して、一定の間隔で積み重ねる構造を採用すると、積み重ね構造が下端のみで下部筐体50に固定される。積み重ね構造の上端が自由端となるため、均等化基板13及び制御基板14が、筐体の振動の影響を受けやすい。実施例においては、
図6に示したように、均等化基板13の積み重ね構造の両端が、それぞれ支持壁21Aに固定される。これにより、積み重ね構造の剛性が高まるため、耐振動性を高めることができる。
【0055】
蓄電セル10(
図2)の個数が増減すると、電圧均等化アセンブリ70に含まれる均等化基板13の枚数を調整すればよい。このため、蓄電セル10の個数の増減に柔軟に対応することが可能である。
【0056】
図9Aに示すように、保護プレート23及び腕部24に補強ビード90を設けてもよい。
図9Bに、保護プレート23の縦方向の断面図を示す。補強ビード90は、例えば一方の腕部24から、保護プレート23を横方向に通過し、他方の腕部24まで達する。補強ビード90を設けることにより、保護プレート23の剛性を高めることができる。
【0057】
図9Cに示すように、保護プレート23及び腕部24の外周をほぼ直角に折り曲げて折り部91を設けてもよい。
図9Dに、保護プレート23の縦方向の断面図を示す。保護プレート23の上端及び下端に折り部91が形成されている。さらに、
図9Cに示したように、保護プレート23の側方の縁、及び腕部の縁にも、折り部91が設けられている。折り部91を設けることにより、保護プレート23の剛性を高めることができる。
【0058】
図10に示すように、保護プレート23に複数の開口部92を設けてもよい。開口部92を設けることにより、保護プレート23の軽量化を図ることができる。保護プレート23が軽量化されることにより、保護プレート23の共振周波数を高くすることができる。
【0059】
図11A及び
図11Bを参照して、他の実施例について説明する。以下、
図11A及び
図11Bに示した実施例では、電圧均等化アセンブリ70の構成が、
図1〜
図8に示した実施例と相違し、その他の構成は、
図1〜
図8に示した実施例と同一である。
【0060】
図11Aに、電圧均等化アセンブリ70のケース20の斜視図を示す。この実施例によるケース20は、
図3Bに示した第1の側面部材20Aとほぼ同一の構成を有する。すなわち、ケース20は、1つの支持壁21A、及びその両端にそれぞれ連続する2枚の支持壁21B、及び支持壁21Bの上端に設けられた取付け部21Cを含む。支持壁21Bに、
図3Bに示した貫通孔25、29は形成されていない。
【0061】
図11Bに、電圧均等化アセンブリ70の平断面図を示す。複数の均等化基板13及び制御基板14が、支持具43により支持壁21Aに固定されている。支持具43は、
図6に示した支持具43と同様に、オスメス型スペーサ44、ボルト45、及びナット46を含む。
図6に示した実施例では、制御基板14が保護プレート23に取り付けられていたが、
図11Bに示す実施例では、制御基板14も、支持具43により、支持壁21Aに固定されている。
【0062】
図11A及び
図11Bに示した実施例のように、支持壁21Aを1枚のみとしてもよい。この実施例においても、
図1〜
図8に示した実施例と同様に、ケース20を下部筐体50に取り付ける際の作業性を高めることができる。
【0063】
図12及び
図13を参照して、実施例による蓄電装置が搭載されるショベルについて説明する。
【0064】
図12に、実施例による蓄電装置が搭載されたショベルの側面図を示す。下部走行体100に、上部旋回体101が搭載されている。上部旋回体101にブーム103、アーム105、及びバケット107が連結されている。ブームシリンダ104の伸縮により、ブーム103の姿勢が変化する。アームシリンダ106の伸縮により、アーム105の姿勢が変化する。バケットシリンダ108の伸縮により、バケット107の姿勢が変化する。ブームシリンダ104、アームシリンダ106、及びバケットシリンダ108は、油圧駆動される。ショベルの機体、具体的には上部旋回体101に、旋回電動機102、エンジン110、電動発電機111、蓄電装置115が搭載されている。
【0065】
図13に、ショベルのブロック図を示す。
図13において、機械的動力系を二重線で表し、高圧油圧ラインを太い実線で表し、電気制御系を細い実線で表し、パイロットラインを破線で表す。
【0066】
エンジン110の駆動軸がトルク伝達機構121の入力軸に連結されている。エンジン110には、電気以外の燃料によって駆動力を発生するエンジン、例えばディーゼルエンジン等の内燃機関が用いられる。
【0067】
電動発電機111の駆動軸が、トルク伝達機構121の他の入力軸に連結されている。電動発電機111は、電動(アシスト)運転と、発電運転との双方の運転動作を行うことができる。トルク伝達機構121は、2つの入力軸と1つの出力軸とを有する。この出力軸に、メインポンプ122の駆動軸が連結されている。
【0068】
メインポンプ122に加わる負荷が大きい場合には、電動発電機111がアシスト運転を行い、電動発電機111の駆動力がトルク伝達機構121を介してメインポンプ122に伝達される。これにより、エンジン110に加わる負荷が軽減される。一方、メインポンプ122に加わる負荷が小さい場合には、エンジン110の駆動力がトルク伝達機構121を介して電動発電機111に伝達されることにより、電動発電機111が発電運転される。
【0069】
メインポンプ122は、高圧油圧ライン123を介して、コントロールバルブ124に油圧を供給する。コントロールバルブ124は、運転者からの指令により、油圧モータ109A、109B、ブームシリンダ104、アームシリンダ106、及びバケットシリンダ108に油圧を分配する。油圧モータ109A及び109Bは、それぞれ下部走行体100(
図12)に備えられた左右の2本のクローラを駆動する。
【0070】
電動発電機111がインバータ113Aを介して蓄電回路112に接続されている。旋回電動機102がインバータ113Bを介して蓄電回路112に接続されている。インバータ113A、113B、及び蓄電回路112は、制御装置135により制御される。
【0071】
インバータ113Aは、制御装置135からの指令に基づき、電動発電機111の運転制御を行う。電動発電機111のアシスト運転と発電運転との切り替えが、インバータ113Aにより行われる。
【0072】
電動発電機111がアシスト運転されている期間は、必要な電力が、蓄電回路112からインバータ113Aを通して電動発電機111に供給される。電動発電機111が発電運転されている期間は、電動発電機111によって発電された電力が、インバータ113Aを通して蓄電回路112に供給される。これにより、蓄電回路112内の蓄電装置115が充電される。蓄電回路112内の蓄電装置115には、上記実施例による蓄電装置が用いられる。
【0073】
旋回電動機102は、インバータ113Bによって交流駆動され、力行動作及び回生動作の双方の運転を行うことができる。旋回電動機102の力行動作中は、蓄電回路112からインバータ113Bを介して旋回電動機102に電力が供給される。旋回電動機102が、減速機131を介して、上部旋回体101(
図12)を旋回させる。回生動作時には、上部旋回体101の回転運動が、減速機131を介して旋回電動機102に伝達されることにより、旋回電動機102が回生電力を発生する。発生した回生電力は、インバータ113Bを介して蓄電回路112に供給される。これにより、蓄電回路112内の蓄電装置115が充電される。
【0074】
レゾルバ132が、旋回電動機102の回転軸の回転方向の位置を検出する。レゾルバ132の検出結果が、制御装置135に入力される。旋回電動機102の運転前と運転後における回転軸の回転方向の位置を検出することにより、旋回角度及び旋回方向が導出される。
【0075】
メカニカルブレーキ133が、旋回電動機102の回転軸に連結されており、機械的な制動力を発生する。メカニカルブレーキ133の制動状態と解除状態とは、制御装置135からの制御を受け、電磁的スイッチにより切り替えられる。
【0076】
パイロットポンプ125が、油圧操作系に必要なパイロット圧を発生する。発生したパイロット圧は、パイロットライン126を介して操作装置128に供給される。操作装置128は、レバーやペダルを含み、運転者によって操作される。操作装置128は、パイロットライン126から供給される1次側の油圧を、運転者の操作に応じて、2次側の油
圧に変換する。2次側の油圧は、油圧ライン129を介してコントロールバルブ124に伝達されると共に、他の油圧ライン130を介して圧力センサ127に伝達される。
【0077】
圧力センサ127で検出された圧力の検出結果が、制御装置135に入力される。これにより、制御装置135は、下部走行体100、旋回電動機102、ブーム103、アーム105、及びバケット107(
図12)の操作の状況を検知することができる。
【0078】
作業機械の上部旋回体101は、一般的な運搬用車両に比べて、作業中及び走行中に振動し易い。このため、上部旋回体101に搭載された蓄電装置115も振動し、衝撃を受ける。実施例においては、電圧均等化アセンブリ70の耐振動性を高めることができるため、振動や衝撃に対して蓄電装置の高い信頼性を確保することができる。
【0079】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。