(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記セレクタ回路は、前記ベース基準電圧が前記上限基準電圧よりも高いときに前記上限基準電圧を選択出力し、前記ベース基準電圧が前記下限基準電圧よりも低いときに前記下限基準電圧を選択出力し、それ以外のときに前記ベース基準電圧を選択出力することを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
前記制御部は、前記温度検出電圧が上限閾値電圧となったときに前記ベース基準電圧が前記上限基準電圧となり、かつ、前記温度検出電圧が下限閾値電圧となったときに前記ベース基準電圧が前記下限基準電圧となるように、前記可変利得増幅回路の利得と前記オフセット電圧を決定することを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
確かに、上記従来例の可変利得増幅器100であれば、デジタルデータTHIDのデータ値を適宜調整することにより、その利得Gを可変制御することが可能である。
【0007】
しかしながら、上記従来例の可変利得増幅器100では、その利得Gを1よりも小さい値に設定することができないので、その用途によっては利用することができなかった。
【0008】
本発明は、本願の発明者らにより見出された上記の問題点に鑑み、その利得を広範囲かつ高精度に可変制御することのできる可変利得増幅回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書中に開示されている可変利得増幅回路は、制御部からの第1デジタル信号に応じて1以上の範囲で可変制御される第1利得で入力電圧を増幅することにより中間電圧を生成する第1可変利得増幅器と、前記制御部からの第2デジタル信号に応じて1以下の範囲で可変制御される第2利得で前記中間電圧を増幅することにより出力電圧を生成する第2可変利得増幅器と、を有する構成(第1の構成)とされている。
【0010】
なお、上記第1の構成から成る可変利得増幅回路は、前記可変利得増幅回路の利得を1以上に設定するときには、前記第2利得を1に固定した上で前記第1利得が所望値に設定され、前記可変利得増幅回路の利得を1以下に設定するときには、前記第1利得を1に固定した上で前記第2利得が所望値に設定される構成(第2の構成)にするとよい。
【0011】
また、上記第1または第2の構成から成る可変利得増幅回路において、前記第1可変利得増幅器は、前記中間電圧を電源として前記第1デジタル信号を第1アナログ電圧に変換する第1DACと、前記入力電圧と前記第1アナログ電圧とが一致するように前記中間電圧を生成する第1バッファアンプと、を含む構成(第3の構成)にするとよい。
【0012】
また、上記第1〜第3いずれかの構成から成る可変利得増幅回路において、前記第2可変利得増幅器は、前記中間電圧を電源として前記第2デジタル信号を第2アナログ電圧に変換する第2DACと、前記第2アナログ電圧を前記出力電圧として出力する第2バッファアンプと、を含む構成(第4の構成)にするとよい。
【0013】
また、本明細書に開示されている電源装置は、基準電圧を生成する基準電圧生成部と、前記基準電圧に応じた電源電圧を生成して負荷に供給する電源部と、装置全体の動作を統括的に制御する制御部と、を有し、前記基準電圧生成部は、温度に応じた温度検出電圧を生成する温度検出回路と、その入力電圧として前記温度検出電圧の入力を受け付ける上記第1〜第4いずれかの構成から成る可変利得増幅回路と、前記制御部からの第3デジタル信号に応じたオフセット電圧を前記可変利得増幅回路の出力電圧に与えてベース基準電圧を生成するオフセット調整回路と、前記制御部からの第4デジタル信号に応じた上限基準電圧を生成する上限設定回路と、前記制御部からの第5デジタル信号に応じた下限基準電圧を生成する下限設定回路と、前記ベース基準電圧、前記上限基準電圧、及び、前記下限基準電圧のいずれか一つを前記基準電圧として選択出力するセレクタ回路と、を含む構成(第5の構成)とされている。
【0014】
なお、上記第5の構成から成る電源装置において、前記セレクタ回路は、前記ベース基準電圧が前記上限基準電圧よりも高いときに前記上限基準電圧を選択出力し、前記ベース基準電圧が前記下限基準電圧よりも低いときに前記下限基準電圧を選択出力し、それ以外のときに前記ベース基準電圧を選択出力する構成(第6の構成)にするとよい。
【0015】
また、上記第6の構成から成る電源装置において、前記制御部は、前記温度検出電圧が上限閾値電圧となったときに前記ベース基準電圧が前記上限基準電圧となり、かつ、前記温度検出電圧が下限閾値電圧となったときに前記ベース基準電圧が前記下限基準電圧となるように、前記可変利得増幅回路の利得と前記オフセット電圧を決定する構成(第7の構成)にするとよい。
【0016】
また、上記第7の構成から成る電源装置は、前記上限基準電圧、前記下限基準電圧、前記上限閾値電圧、及び、前記下限閾値電圧の各設定値を格納する記憶部をさらに有し、前記制御部は、前記記憶部に格納された各設定値を参照して前記第1〜第5デジタル信号を生成する構成(第8の構成)にするとよい。
【0017】
また、本明細書中に開示されている電子機器は、上記第5〜第8いずれかの構成から成る電源装置と、前記電源装置から電源電圧の供給を受けて動作する負荷と、を有する構成(第9の構成)とされている。
【0018】
なお、上記第9の構成から成る電子機器において、前記負荷は、液晶表示パネルである構成(第10の構成)にするとよい。
【発明の効果】
【0019】
本明細書中に開示されている可変利得増幅回路であれば、その利得を広範囲かつ高精度に可変制御することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<可変利得増幅回路>
図1は、可変利得増幅回路の一構成例を示す回路図である。本構成例の可変利得増幅回路10は、第1可変利得増幅器11と、第2可変利得増幅器12と、を有する。
【0022】
第1可変利得増幅器11は、第1DAC111と第1バッファアンプ112を含み、第1利得G1で入力電圧Vinを増幅することにより中間電圧Vmを生成する。
【0023】
第1DAC111は、中間電圧Vmを電源としてバッファアンプ112の負帰還ループ内に挿入されており、制御部(図示せず)から入力されるnビットの第1デジタル信号D1(=1〜2
n)を第1アナログ電圧A1(=Vm×D1/2
n)に変換する。なお、第1DAC111のデジタル/アナログ変換方式としては、実績のある従来方式(R/2R方式やストリング方式など)を採用すればよい。
【0024】
第1バッファアンプ112は、非反転入力端(+)に入力される入力電圧Vinと、反転入力端(−)に入力される第1アナログ電圧A1とが一致(イマジナリショート)するように、中間電圧Vm(=Vin×2
n/D1)を生成する。
【0025】
すなわち、第1利得G1(=2
n/D1)は、第1デジタル信号D1のデータ値に応じて1以上の範囲で可変制御される。より具体的に述べると、第1利得G1は、第1デジタルデータD1のデータ値が小さいほど高くなり、逆に、第1デジタルデータD1のデータ値が大きいほど低くなる。
【0026】
第2可変利得増幅器12は、第2DAC121と第2バッファアンプ122を含み、第2利得G2で中間電圧Vmを増幅することにより出力電圧Voutを生成する。
【0027】
第2DAC121は、中間電圧Vmを電源として制御部(図示せず)から入力されるmビットの第2デジタル信号D2(=1〜2
m)を第2アナログ電圧A2(=Vm×D2/2
m)に変換する。なお、第2DAC121のデジタル/アナログ変換方式としては、実績のある従来方式(R/2R方式やストリング方式など)を採用すればよい。
【0028】
第2バッファアンプ122は、非反転入力端(+)に入力される第2アナログ電圧A2と、反転入力端(−)に入力される出力電圧Voutとが一致(イマジナリショート)するように、出力電圧Vout(=A2=Vm×D2/2
m)を生成する。
【0029】
すなわち、第2利得G2(=D2/2
m)は、第2デジタル信号D2のデータ値に応じて1以下の範囲で可変制御される。より具体的に述べると、第2利得G2は、第2デジタルデータD2のデータ値が小さいほど低くなり、逆に、第2デジタルデータD2のデータ値が大きいほど高くなる。
【0030】
ここで、可変利得増幅回路10の利得Gは、第1利得G1と第2利得G2とを掛け合わせた積算値(=G1×G2)として表すことができる。従って、可変利得増幅回路10の利得Gを1以上に設定するときには、第2利得G2を1に固定した上で第1利得G1が所望値に設定すればよく、可変利得増幅回路10の利得Gを1以下に設定するときには、第1利得G1を1に固定した上で第2利得G2が所望値に設定すればよい。
【0031】
このような構成とすることにより、可変利得増幅回路10の利得G(=G1×G2)を広範囲かつ高精度に可変制御することが可能となる。
【0032】
<電源装置>
図2は、可変利得増幅回路10が適用される電源装置の一構成例を示すブロック図である。本構成例の電源装置Xは、液晶表示パネルYへの電力供給手段であり、基準電圧生成部X10と、電源部X20と、制御部X30と、記憶部X40と、インタフェイス部X50と、を有する。
【0033】
基準電圧生成部X10は、温度Tに応じた基準電圧Vrefを生成して電源部X20に出力する。特に、基準電圧生成部X10は、制御部X30からの第1デジタル信号D1〜第5デジタル信号D5に応じて基準電圧Vrefの入出力特性(温度特性)を任意に調整する機能を備えている。この機能については後ほど詳述する。
【0034】
電源部X20は、電源電圧Vpow(またはその分圧電圧)と基準電圧Vrefとが一致するように出力帰還制御を行うことにより、基準電圧Vrefに応じた電源電圧Vpowを生成して液晶表示パネルYに供給する。電源部X20としては、スイッチングレギュレータ、シリーズレギュレータ(LDO[low drop-out]レギュレータなど)、または、チャージポンプなどを用いることが可能である。なお、電源部X20の出力形式は、降圧型、昇圧型、及び、昇降圧型のいずれであっても構わない。また、電源部X20の出力極性(正出力及び負出力)についても不問である。
【0035】
制御部X30は、電源装置X全体の動作を統括的に制御する主体であり、マイコンなどのロジック回路を好適に用いることができる。特に、制御部X30は、基準電圧Vrefの入出力特性(温度特性)を任意に調整すべく、記憶部X40に格納された種々の設定値(Vref_LT、Vref_HT、Va_LT、Va_HT)を参照して第1デジタル信号D1〜第5デジタル信号D5を生成する機能を備えている。この機能については後ほど詳述する。
【0036】
記憶部X40は、制御部X30によって参照される種々の設定値(Vref_LT、Vref_HT、Va_LT、Va_HT)を不揮発的に格納する。なお、記憶部X40としては、EEPROM[electrically erasable programmable read-only memory]、OTPROM[one time programmable ROM]、或いは、フラッシュメモリなどを好適に用いることができる。
【0037】
インタフェイス部X50は、制御部X30や記憶部X40と外部機器との間でデータ通信を行うためのフロントエンドである。例えば、記憶部X40の格納される種々の設定値(Vref_LT、Vref_HT、Va_LT、Va_HT)は、インタフェイス部X50を介して電源装置Xの外部から任意に書き込むことが可能である。
【0038】
<基準電圧生成部>
図3は、基準電圧生成部X1の一構成例を示す回路図である。本構成例の基準電圧生成部X1は、可変利得増幅回路10と、オフセット調整回路20と、温度検出回路30と、上限設定回路40と、下限設定回路50と、セレクタ回路60と、を含む。
【0039】
可変利得増幅回路10は、先出の
図1で示した回路構成であり、ゲインG(=G1×G2)で温度検出電圧Vaを増幅することにより出力電圧Vb(=Va×G)を生成する。なお、第1可変利得増幅器11の第1ゲインG1は、制御部X30からの第1デジタル信号D1によって1以上の範囲で可変制御される。また、第2可変利得増幅器12の第2ゲインG2は、制御部X30からの第2デジタル信号D2によって1以下の範囲で可変制御される。この点については先と同様であるので、重複した説明を割愛する。
【0040】
オフセット調整回路20は、Nチャネル型MOS[metal oxide semiconductor]電界効果トランジスタ21と、オペアンプ22と、DAC23と、抵抗24及び25(抵抗値R24及びR25)と、電流源26を含む。トランジスタ21のドレインは、抵抗25を介して可変利得増幅回路10の出力端(出力電圧Vbの印加端)に接続される一方、ベース基準電圧Vcの出力端として後段のセレクタ回路60にも接続されている。トランジスタ21のソースは、抵抗24を介して接地端に接続されている。トランジスタ21のゲートは、オペアンプ22の出力端に接続されている。オペアンプ22の非反転入力端(+)は、DAC23の出力端(第3アナログ電圧A3の印加端)に接続されている。オペアンプ22の反転入力端(−)は、トランジスタ21のソース(ソース電圧Vsの印加端)に接続されている。DAC23の入力端は、第3デジタル信号D3の印加端に接続されている。電流源26は、電源電圧AVDDの印加端とトランジスタ21のドレイン(ベース基準電圧Vcの印加端)との間に接続されており、一定の上側電流IHを生成する。
【0041】
DAC23は、第3デジタル信号D3を第3アナログ電圧A3に変換する。オペアンプ22は、非反転入力端(+)に入力される第3アナログ電圧A3と、反転入力端(−)に入力されるソース電圧Vsとが一致(イマジナリショート)するようにトランジスタ21のゲート電圧を生成する。従って、抵抗24の両端間には第3アナログ電圧A3が印加されるので、抵抗24には第3アナログ電圧A3に応じた下側電流IL(=A3/R24)が流れる。ここで、抵抗25には、上側電流IHと下側電流ILの差分に応じたオフセット電流Iofs(=IH−IL)が流れる。従って、抵抗25の両端間には、オフセット電流Iofsに応じたオフセット電圧Vofs(=Iofs×R25)が発生する。その結果、ベース基準電圧Vcは、出力電圧Vbに対してオフセット電圧Vofsを加減算した電圧値(Vc=Vb±Vofs)となる。
【0042】
なお、抵抗24の抵抗値R24は、第3デジタル信号D3がその中間値であるときにIH=ILとなるように設計しておくとよい。このような設計により、第3デジタル信号D3が中間値であるときには、オフセット電流Iofsがゼロとなるので、オフセット電圧Vofsもゼロとなり、オフセットなしのベース基準電圧Vc(=出力電圧Vb)が得られる。以下、オフセットなしのベース基準電圧VcをVc0として規定する。
【0043】
第3デジタル信号D3を中間値よりも大きくすれば、IH<ILとなる。従って、オフセット電流Iofsは、可変利得増幅回路10の出力端から、抵抗25、トランジスタ21、及び、抵抗24を介して接地端に至る経路で流れる。その結果、オフセット調整回路20では、出力電圧Vbからオフセット電圧Vofsを差し引いたベース基準電圧Vcが生成されるので、Vc<Vc0となる。
【0044】
逆に、第3デジタル信号D3を中間値よりも小さくすればIH>ILとなる。従って、オフセット電流Iofsは、電源電圧AVDDの印加端から、電流源26、抵抗25、及び、第2バッファアンプ122を介して接地端に至る経路で流れる。その結果、オフセット調整回路20では、出力電圧Vbにオフセット電圧Vofsを足し合わせたベース基準電圧Vcが生成されるので、Vc>Vc0となる。
【0045】
すなわち、ベース基準電圧Vcを負方向にオフセットしたいときには第3デジタル信号D3を中間値よりも大きく設定すればよく、逆に、ベース基準電圧Vcを正方向にオフセットしたいときには第3デジタル信号D3を中間値よりも小さく設定すればよい。また、ベース基準電圧Vcにオフセットを与えたくないときには第3デジタル信号D3を中間値に設定すればよい。
【0046】
このように、オフセット調整回路20は、制御部X30からの第3デジタル信号D3に応じたオフセット電圧Vofsを可変利得増幅回路10の出力電圧Vbに加減算することにより、任意のオフセットが与えられたベース基準電圧Vcを生成する。
【0047】
温度検出回路30は、負特性サーミスタ31と、抵抗32〜34と、電流源35と、外部端子36を含む。負特性サーミスタ31と抵抗32は、いずれもディスクリート部品として外部端子36に外付けされており、その他の回路要素33〜35は、いずれも半導体装置に集積化されている。
【0048】
負特性サーミスタ31と抵抗32は、外部端子36と接地端との間に並列接続されている。抵抗33及び34は、外部端子36と接地端との間に直列接続されており、相互間の接続ノードから温度検出電圧Vaが引き出されている。電流源35は、定電圧VLの印加端と外部端子36との間に接続されている。
【0049】
負特性サーミスタ31の抵抗値は、温度Tの上昇に応じて減少する。従って、温度Tが高いほど温度検出電圧Vaは低くなり、逆に、温度Tが低いほど温度検出電圧Vaは高くなる。このように、温度検出回路30は、負特性サーミスタ31の温度特性を利用して、温度Tに応じた温度検出電圧Vaを生成する。なお、負特性サーミスタ31に代えて正特性サーミスタを用いることも可能である。
【0050】
上限設定回路40は、オペアンプ41と、DAC42と、抵抗43〜46(抵抗値R43〜R46)と、を含む。オペアンプ41の非反転入力端(+)は、DAC42の出力端(第4アナログ電圧A4の印加端)に接続されている。DAC42の入力端は、第4デジタル信号D4の印加端に接続されている。オペアンプ41の反転入力端(−)は、抵抗43と抵抗44との接続ノード(第1帰還電圧Vfb1に印加端)に接続されている。オペアンプ41の出力端は、抵抗43の第1端と抵抗45の第1端に接続されている。抵抗43の第2端は、抵抗44の第1端に接続されている。抵抗44の第2端は、接地端に接続されている。抵抗45の第2端は、抵抗46の第1端に接続される一方、上限基準電圧Vref_LTの出力端として後段のセレクタ回路60にも接続されている。抵抗46の第2端は、接地端に接続されている。
【0051】
DAC42は、第4デジタル信号D4を第4アナログ電圧A4に変換する。オペアンプ41は、非反転入力端(+)に入力される第4アナログ電圧A4と、反転入力端(−)に入力される第1帰還電圧Vfb1とが一致(イマジナリショート)するように、第1出力電圧Vo1を生成する。抵抗45及び46は、第1出力電圧Vo1を分圧して上限基準電圧Vref_LT(=A4×{(R43+R44)/R44}×{R46/(R45+R46)})を生成する。このように、上限設定回路40は、制御部X30からの第4デジタル信号D4に応じた上限基準電圧Vref_LTを生成する。
【0052】
下限設定回路50は、オペアンプ51と、DAC52と、抵抗53〜56(抵抗値R53〜R56)と、を含む。オペアンプ51の非反転入力端(+)は、DAC52の出力端(第5アナログ電圧A5の印加端)に接続されている。DAC52の入力端は、第5デジタル信号D5の印加端に接続されている。オペアンプ51の反転入力端(−)は、抵抗53と抵抗54との接続ノード(第2帰還電圧Vfb2に印加端)に接続されている。オペアンプ51の出力端は、抵抗53の第1端と抵抗55の第1端に接続されている。抵抗53の第2端は、抵抗54の第1端に接続されている。抵抗54の第2端は、接地端に接続されている。抵抗55の第2端は、抵抗56の第1端に接続される一方、下限基準電圧Vref_HTの出力端として後段のセレクタ回路60にも接続されている。抵抗56の第2端は、接地端に接続されている。
【0053】
DAC52は、第5デジタル信号D5を第5アナログ電圧A5に変換する。オペアンプ51は、非反転入力端(+)に入力される第5アナログ電圧A5と、反転入力端(−)に入力される第2帰還電圧Vfb2とが一致(イマジナリショート)するように、第2出力電圧Vo2を生成する。抵抗55及び56は、第2出力電圧Vo2を分圧して下限基準電圧Vref_HT(=A5×{(R53+R54)/R54}×{R56/(R55+R56)})を生成する。このように、下限設定回路50は、制御部X30からの第5デジタル信号D5に応じた下限基準電圧Vref_HTを生成する。
【0054】
セレクタ回路60は、コンパレータ61及び62と、NORゲート63と、アナログスイッチ64〜66と、抵抗67a〜67dと、を含む。
【0055】
コンパレータ61は、反転入力端(−)に入力される上限基準電圧Vref_LTと、非反転入力端(+)に入力されるベース基準電圧Vcとを比較することにより、第1比較信号S1を生成する。第1比較信号S1は、ベース基準電圧Vcが上限基準電圧Vref_LTよりも高いときにハイレベルとなり、ベース基準電圧Vcが上限基準電圧Vref_LTよりも低いときにローレベルとなる。
【0056】
コンパレータ62は、非反転入力端(+)に入力される下限基準電圧Vref_HTと反転入力端(−)に入力されるベース基準電圧Vcとを比較することにより、第2比較信号S2を生成する。第2比較信号S2は、ベース基準電圧Vcが下限基準電圧Vref_HTよりも高いときにローレベルとなり、ベース基準電圧Vcが下限基準電圧Vref_HTよりも低いときにハイレベルとなる。
【0057】
NORゲート63は、第1比較信号S1と第2比較信号S2との否定論理和信号S3を生成する。否定論理和信号S3は、第1比較信号S1と第2比較信号S2の少なくとも一方がハイレベルであるときにローレベルとなり、第1比較信号S1と第2比較信号S2の両方がローレベルであるときにハイレベルとなる。
【0058】
アナログスイッチ64は、上限設定回路40の出力端(上限基準電圧Vref_LTの印加端)と抵抗67aの第1端との間に接続されており、第1比較信号S1に応じてオン/オフされる。具体的に述べると、アナログスイッチ64は、第1比較信号S1がハイレベルであるときにオンし、第1比較信号S1がローレベルであるときにオフする。
【0059】
アナログスイッチ65は、下限設定回路50の出力端(下限基準電圧Vref_HTの印加端)と抵抗67bの第1端との間に接続されており、第2比較信号S2に応じてオン/オフされる。具体的に述べると、アナログスイッチ65は、第2比較信号S2がハイレベルであるときにオンし、第2比較信号S2がローレベルであるときにオフする。
【0060】
アナログスイッチ66は、オフセット調整回路20の出力端(ベース基準電圧Vcの印加端)と抵抗67cの第1端との間に接続されており、否定論理和信号S3に応じてオン/オフされる。具体的に述べると、アナログスイッチ66は、否定論理和信号S3がハイレベルであるときにオンし、否定論理和信号S3がローレベルであるときにオフする。
【0061】
抵抗67aの第2端、抵抗67bの第2端、及び、抵抗67cの第2端は、いずれも、抵抗67dの第1端に共通接続されている。抵抗67dの第2端は、基準電圧Vrefの出力端として電源部X20(不図示)に接続されている。
【0062】
<セレクタ回路>
図4は、セレクタ回路60の動作を説明するための論理値表である。ベース基準電圧Vcが上限基準電圧Vref_LTよりも高いときには、第1比較信号S1がハイレベルとなり、第2比較信号S2と否定論理和信号S3がいずれもローレベルとなる。従って、アナログスイッチ64がオンとなり、アナログスイッチ65及び66がいずれもオフとなるので、基準電圧Vrefとして上限基準電圧Vref_LTが選択出力される。
【0063】
ベース基準電圧Vcが下限基準電圧Vref_HT以上であって、かつ、上限基準電圧Vref_LT以下であるときには、否定論理和信号S3がハイレベルとなり、第1比較信号S1と第2比較信号S2がいずれもローレベルとなる。従って、アナログスイッチ66がオンとなり、アナログスイッチ64及び65がいずれもオフとなるので、基準電圧Vrefとしてベース基準電圧Vcが選択出力される。
【0064】
ベース基準電圧Vcが下限基準電圧Vref_HTよりも低いときには、第2比較信号S2がハイレベルとなり、第1比較信号S1と否定論理和信号S3がいずれもローレベルとなる。従って、アナログスイッチ65がオンとなり、アナログスイッチ64及び66がいずれもオフとなるので、基準電圧Vrefとして下限基準電圧Vref_HTが選択出力される。
【0065】
<利得及びオフセットの連動調整>
図5及び
図6は、それぞれ、利得及びオフセットの第1調整例及び第2調整例を示すテーブルである。両図の(A)欄〜(C)欄で各々示されているように、基準電圧Vrefの入出力特性(温度特性)を調整するために電源装置Xの外部から設定することのできるパラメータとしては、上限基準電圧Vref_LT及び下限基準電圧Vref_HTと、上限閾値電圧Va_LT及び下限閾値電圧Va_HTの4つを挙げることができる。
【0066】
各図の太実線で示すように、温度検出電圧Vaが上限閾値電圧Va_LTよりも高いときには、基準電圧Vrefが上限限基準電圧Vref_LTにクランプされる。温度検出電圧Vaが下限閾値電圧Va_HT以上であって、かつ、上限閾値電圧Va_LT以下であるときには、基準電圧Vrefが温度Tに応じて変化する。温度検出電圧Vaが下限閾値電圧Va_HTよりも低いときには、基準電圧Vrefが下限基準電圧Vref_HTにクランプされる。
【0067】
上記の入出力特性(温度特性)を実現するために、制御部X30は、温度検出電圧Vaが上限閾値電圧Va_LTとなったときにベース基準電圧Vcが上限基準電圧Vref_LTとなり、かつ、温度検出電圧Vaが下限閾値電圧Va_HTとなったときにベース基準電圧Vcが下限基準電圧Vref_HTとなるように、可変利得増幅回路10の利得Gとオフセット調整回路20のオフセット電圧Vofsを連動的に決定する(各図の交点P及びQを参照)。
【0068】
なお、
図5の(A)〜(C)欄では、横軸の上限閾値電圧Va_LT及び下限閾値電圧Va_HTを固定した上で、縦軸の上限基準電圧Vref_LT及び下限基準電圧Vref_HTを変化させた例が示されている。一方、
図6の(A)〜(C)欄では、縦軸の上限基準電圧Vref_LT及び下限基準電圧Vref_HTを固定した上で、横軸の上限閾値電圧Va_LT及び下限閾値電圧Va_HTを変化させた例が示されている。
【0069】
例えば、
図5の(A)欄と(B)欄とを比較すると、(B)欄の方が(A)欄よりも上限基準電圧Vref_LTと下限基準電圧Vref_HTとの差が大きいので、ベース基準電圧Vcの傾きが大きくなっている。これに対して、
図5の(A)欄と(C)欄とを比較すると、(C)欄の方が(A)欄よりも上限基準電圧Vref_LTと下限基準電圧Vref_HTとの差が小さいので、ベース基準電圧Vcの傾きが小さくなっている。従って、(A)欄がG=1ならば、(B)欄ではG>1となり、(C)欄ではG<1となる。
【0070】
また、
図6の(A)欄と(B)欄とを比較すると、(B)欄の方が(A)欄よりも上限閾値電圧Va_LTと下限閾値電圧Va_HTとの差が小さいので、ベース基準電圧Vcの傾きが大きくなっている。これに対して、
図6の(A)欄と(C)欄とを比較すると、(C)欄の方が(A)欄よりも上限閾値電圧Va_LTと下限閾値電圧Va_HTとの差が大きいいので、ベース基準電圧Vcの傾きが小さくなっている。従って、(A)欄がG=1ならば、(B)欄ではG>1となり、(C)欄ではG<1となる。
【0071】
ただし、可変利得増幅回路10の利得Gを可変制御するだけでは、温度検出電圧Vaに対するベース基準電圧Vcの傾きが変わるだけなので、ベース基準電圧Vcが必ずしも交点P及びQを通るとは限らない。そこで、制御部X30は、ベース基準電圧Vcが交点P及びQを通るように、オフセット調整回路20のオフセット電圧Vofsを調整する。
【0072】
例えば、
図5及び
図6の(B)欄では、ベース基準電圧Vcに対して負方向のオフセットが与えられており、Vc<Vc0となっている。また、
図5及び
図6の(C)欄では、ベース基準電圧Vcに対して正方向のオフセットが与えられており、Vc>Vc0となっている。一方、
図5及び
図6の(A)欄では、ベース基準電圧Vcに対して何らオフセットが与えられておらず、Vc=Vc0となっている。
【0073】
以上で説明したように、制御部X30は、電源装置Xの外部から各個独立に設定される上記の4パラメータ(Vref_LT、Vref_HT、Va_LT、Va_HT)に合わせて、可変利得増幅回路10の利得Gとオフセット調整回路20のオフセット電圧Vofsを自動的に連動調整する。従って、ユーザは、煩雑な調整作業を行うことなく、基準電圧Vrefの入出力特性(温度特性)を容易かつ高精度に調整することが可能となる。
【0074】
<電子機器への適用>
図7A〜
図7Dは、それぞれ、液晶表示パネルYを備えた電子機器A〜D(ここでは、液晶テレビ、スマートフォン、タブレットPC、ノートPCの4種)の外観図である。いずれの電子機器A〜Dについても、液晶表示パネルYへの電力供給手段として、先に説明した電源装置Xを搭載することにより、温度Tに応じて液晶表示パネルYの電源電圧Vpowを任意に調整することができるので、液晶表示パネルYの温度特性を適切にキャンセルして、その画質や視認性を高めることが可能となる。
【0075】
<その他の変形例>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。