特許第6618248号(P6618248)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6618248
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】抵抗器およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01C 7/00 20060101AFI20191202BHJP
   H01C 17/242 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   H01C7/00 110
   H01C17/242
   H01C7/00 324
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-217820(P2014-217820)
(22)【出願日】2014年10月24日
(65)【公開番号】特開2016-86074(P2016-86074A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2017年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000105350
【氏名又は名称】KOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101306
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】深尾 博之
【審査官】 右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−217903(JP,A)
【文献】 特開2000−216013(JP,A)
【文献】 特開2005−072086(JP,A)
【文献】 特開2001−338801(JP,A)
【文献】 特開昭56−029304(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0077888(US,A1)
【文献】 特表2003−535466(JP,A)
【文献】 特開2001−035702(JP,A)
【文献】 特開平09−306703(JP,A)
【文献】 特開平06−318502(JP,A)
【文献】 特開2002−367818(JP,A)
【文献】 特開平03−173101(JP,A)
【文献】 特公昭48−011388(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 7/00
H01C 17/242
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板に形成された一対の電極間に少なくとも一つの中間電極と、電気的に導通させる抵抗体を備えた抵抗器であって、
前記抵抗体は、
蛇行パターンと、該蛇行パターンに接続され、その一部が前記蛇行パターンの線幅から膨出した形状を有する膨出パターンとを有する第1の抵抗部と、
前記第1の抵抗部の全長よりも短く、かつ前記蛇行パターンの線幅よりも太い幅を有し、該第1の抵抗部と電気的に直列に接続された第2の抵抗部と
前記第1の抵抗部と、前記第2の抵抗部と、前記中間電極と、を覆う外装膜とからなり、
前記膨出パターンと前記第2の抵抗部の間に前記中間電極と、前記膨出パターンと前記第2の抵抗部の少なくとも一方にトリミング溝を形成したことを特徴とする抵抗器。
【請求項2】
前記第2の抵抗部は直線状の形状を有することを特徴とする請求項1に記載の抵抗器。
【請求項3】
前記第2の抵抗部の前記トリミング溝を形成した部位における該第2の抵抗部の残部の幅が前記蛇行パターンの幅以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の抵抗器。
【請求項4】
前記中間電極は、前記一対の電極よりも基板の内側に位置していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の抵抗器。
【請求項5】
前記第1の抵抗部と前記第2の抵抗部は同一の抵抗体材料で構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の抵抗器。
【請求項6】
絶縁基板に形成された一対の電極間を、電気的に導通させる抵抗体を備える抵抗器の製造方法であって、
前記抵抗体として、蛇行パターンと、該蛇行パターンに接続され、その一部が前記蛇行パターンの線幅から膨出した形状を有する膨出パターンとを有する第1の抵抗部と、前記第1の抵抗部の全長よりも短く、かつ前記蛇行パターンの線幅よりも太い幅を有する第2の抵抗部と、前記第1の抵抗部と前記第2の抵抗部を電気的に直列に接続するための中間電極を形成する工程と、
前記中間電極を用いて抵抗値を測定し前記膨出パターンの一部を除去することで前記第1の抵抗部の電流路を延長するように抵抗値調整を行う第1のトリミング工程と、
前記中間電極を用いて抵抗値を測定し前記第2の抵抗部の所定部位の幅を狭めることで抵抗値調整を行う第2のトリミング工程と、
前記第1の抵抗部と前記第2の抵抗部と前記中間電極を覆う外装膜を形成する工程と、を備え、
前記第2のトリミング工程でトリミング溝を形成した前記第2の抵抗部の前記所定部位の幅を前記蛇行パターンの幅以上とすることを特徴とする抵抗器の製造方法。
【請求項7】
前記第1のトリミング工程でサンドブラストによるトリミングを行い、前記第2のトリミング工程でレーザによるトリミングを行うことを特徴とする請求項6に記載の抵抗器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電源回路等に使用する高圧用の抵抗器およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、家電機器等の電源周辺において高圧用抵抗器が用いられており、その抵抗値は例えば1MΩ以上で、1kV以上の電圧にも耐え得るように設計されている。このような高圧用抵抗器では、抵抗値精度の向上と耐圧特性の向上とを両立させる必要があるが、抵抗値が大きいことから抵抗値精度を効率よく上げることが難しい。
【0003】
抵抗器の抵抗値精度を高精度にするための技術として、例えば、特許文献1は、チップ抵抗器における抵抗値精度を高くする技術を開示している。具体的には、一対の電極間にシート抵抗値の異なる複数の厚膜抵抗体を形成し、それぞれの厚膜抵抗体にレーザトリミングを施して所望の抵抗値に調整している。
【0004】
【特許文献1】特開2004−200424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載の抵抗値の調整方法は、抵抗値が異なる複数の抵抗体を直列に接続し、抵抗値の大きい抵抗体(シート抵抗値の大きい方の厚膜抵抗体)から順にトリミングを施して抵抗値を調整している。その結果、特許文献1のチップ抵抗器では、シート抵抗値の異なる複数の厚膜抵抗体を形成しているため製造工程が複雑化するだけでなく、抵抗値の調整工程も煩雑となり、抵抗器そのもののコストアップの要因になるという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、抵抗値精度を向上させ、かつ、高圧特性も維持できる高圧用の抵抗器およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成し、上述した課題を解決する一手段として、例えば、以下の構成を備える。すなわち、本発明は、絶縁基板に形成された一対の電極間を電気的に導通させる抵抗体を備えた抵抗器であって、前記抵抗体は、蛇行パターンと、該蛇行パターンに接続され、その一部が前記蛇行パターンの線幅から膨出した形状を有する膨出パターンとを有する第1の抵抗部と、前記第1の抵抗部の全長よりも短く、かつ前記蛇行パターンの線幅よりも太い幅を有し、該第1の抵抗部と電気的に直列に接続された第2の抵抗部とからなり、前記膨出パターンと前記第2の抵抗部の少なくとも一方にトリミング溝を形成したことを特徴とする。
例えば、前記第2の抵抗部は直線状の形状を有することを特徴とする。例えば、前記第2の抵抗部の前記トリミング溝を形成した部位における該第2の抵抗部の残部の幅が前記蛇行パターンの幅以上であることを特徴とする。
また、例えば、さらに、前記第1の抵抗部と前記第2の抵抗部とを接続する中間電極を備えることを特徴とする。さらには、例えば、前記第1の抵抗部と前記第2の抵抗部は同一の抵抗体材料で構成されることを特徴とする。
【0008】
上述した課題を解決する他の手段として、例えば、以下の構成を備える。すなわち、本発明は、絶縁基板に形成された一対の電極間を電気的に導通させる抵抗体を備える抵抗器の製造方法であって、前記抵抗体として、蛇行パターンと、該蛇行パターンに接続され、その一部が前記蛇行パターンの線幅から膨出した形状を有する膨出パターンとを有する第1の抵抗部と、前記第1の抵抗部の全長よりも短く、かつ前記蛇行パターンの線幅よりも太い幅を有し、該第1の抵抗部と電気的に直列に接続された第2の抵抗部を形成する工程と、前記膨出パターンの一部を除去することで前記第1の抵抗部の電流路を延長するように抵抗値調整を行う第1のトリミング工程と、前記第2の抵抗部の所定部位の幅を狭めることで抵抗値調整を行う第2のトリミング工程と、を備え、前記第2のトリミング工程でトリミング溝を形成した前記第2の抵抗部の前記所定部位の残部の幅を前記蛇行パターンの幅以上とすることを特徴とする。
例えば、前記第1のトリミング工程でサンドブラストによるトリミングを行い、前記第2のトリミング工程でレーザによるトリミングを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高圧用の抵抗器の抵抗値精度を向上させるとともに、その高圧特性をも維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態例に係る高圧用抵抗器の製造工程を時系列で示すフローチャートである。
図2】本実施の形態例に係る抵抗器の絶縁基板上に形成された電極を示す図である。
図3】本実施の形態例に係る抵抗器の電極間に形成された抵抗体を示す図である。
図4】本実施の形態例に係る抵抗器の抵抗体を覆うガラス膜を示す図である。
図5】本実施の形態例に係る抵抗器において第1のトリミングによりトリミング溝を形成した様子を示す図である。
図6】本実施の形態例に係る抵抗器において第2のトリミングによりトリミング溝を形成した様子を示す図である。
図7】本実施の形態例に係る抵抗器において保護膜が形成された様子を示す図である。
図8】本実施の形態例に係る抵抗器において第1電極と第2電極それぞれに固定されたリード端子を示す図である。
図9】本実施の形態例に係る抵抗器において外装膜が形成された様子を示す図である。
図10】本実施の形態例に係る抵抗器の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る一実施の形態例を詳細に説明する。図1は、本実施の形態例に係る高圧用抵抗器の製造工程を時系列で示すフローチャートである。図1のステップS1において、絶縁基板上に電極を形成する。具体的には、図2に示すように、例えばアルミナセラミック基板からなる絶縁基板10の異なる3つの位置に、所定の形状を有する第1電極11、中間電極13、および第2電極15を形成する。また、電極材料として、例えば、銀(Ag)系、銀−パラジウム(Ag−Pd)系ペーストを基板上にスクリーン印刷し、焼成することで、これらの電極を形成する。
【0012】
ここでは、第1電極11を絶縁基板10の左下隅に配置し、第2電極15を絶縁基板10の右下隅に配置し、中間電極13を絶縁基板10の中央より右寄りの下部に配置する。その際、中間電極13の下端部の位置を、第1電極11と第2電極15の下端部の位置よりもわずかに後退した位置、すなわち、基板10の内部側に位置させる。こうすることで、後述する中間電極13を覆う保護膜の形成が容易になり、その保護膜から中間電極13が露出することを防止できる。
【0013】
続くステップS3は、上記の電極間に抵抗体を形成する工程である。ここでは、図3に示すように第1電極11と中間電極13との間に第1抵抗部21を形成し、中間電極13と第2電極15との間に第2抵抗部29を形成する。第1抵抗部21は、蛇行パターン23,26、膨出パターン24、粗調整パターン25からなる抵抗体を直列に接続した構成を有する。また、第2抵抗部29は直線状(長方形状)の抵抗体からなる。
【0014】
蛇行パターン23は、基板上を蛇行する形状の抵抗体からなり、その一方端部が第1電極11に接続され、他方端部が膨出パターン24の一端に接続される。この蛇行パターン23のターン数は、適宜設定してよい。膨出パターン24は、蛇行パターンの線幅から膨出した形状の抵抗体からなる。粗調整パターン25は、膨出パターン24と同様に蛇行パターンの線幅から膨出した形状を有するとともに、その中央部分の抵抗体をほぼ矩形状に除去することで、パターンが周回する形状となっている。膨出パターン24と粗調整パターン25は、それぞれの基部側において相互に接続されている。また、基板上を蛇行する形状の抵抗体からなる蛇行パターン26は、その一方端部が粗調整パターン25の一端に接続され、他方端部が中間電極13に接続されている。
【0015】
本実施の形態例に係る高圧用抵抗器では、抵抗体の材料として、例えば、酸化ルテニウム(RuO2)ペーストを基板上にスクリーン印刷し、焼成することで第1抵抗部21と第2抵抗部29を形成する。すなわち、第1抵抗部21と第2抵抗部29とに、同一の抵抗体材料を使用する。なお、第1抵抗部21と第2抵抗部29とは同一材料ではなく、異なる抵抗材料にしてもよい。例えば、第2抵抗部29の抵抗体材料として、第1抵抗部21に用いる材料よりも抵抗値の低いものを用いる、等である。
【0016】
また、上記の抵抗体は、第1抵抗部21の第1電極11と中間電極13との間における直線距離をL1とし、第2抵抗部29の長手方向の直線距離をL2とした場合、L1>L2の関係を有する。ここで、L1を第1抵抗部21の長さ、L2を抵抗部29の長さと、それぞれ定義してもよく、この場合においても、L1>L2の関係を有する。さらに、第1抵抗部21のパターン幅をW1、第2抵抗部29の短手方向の幅をW2とした場合、W1<W2の関係(例えば、W2がW1の2倍となる関係)を有するように抵抗体を形成する。
【0017】
次に、図1のステップS5において、ガラス膜を形成する。ここでは、図4において実線で示すように、例えば、ガラスペーストが第1抵抗部21と第2抵抗部29とを覆うとともに、第1電極11、中間電極13、および第2電極15が露出されるようにスクリーン印刷し、焼成することで、ガラス膜31を形成する。このガラス膜31は、抵抗体の保護膜として機能するとともに、後述するレーザトリミング工程におけるレーザによるマイクロクラックの発生を抑制する効果を有する。
【0018】
続くステップS7において、抵抗値の検測を行う。具体的には、抵抗値測定器(テスター)のプローブを第1電極11と中間電極13とに当てて第1抵抗部21の抵抗値を測定し、次に、そのプローブを中間電極13と第2電極15とに当てて第2抵抗部29の抵抗値を測定し、それぞれの抵抗値が許容範囲にあるかどうか検測する。
【0019】
本実施の形態例に係る高圧用抵抗器では、図3等に示すように、第1抵抗部21(抵抗値をR1とする)と、第2抵抗部29(抵抗値をR2とする)とを直列接続した状態で配置しており、R1とR2の比(導電率の比)を、例えば1:20とする。
【0020】
次のステップでは、抵抗値を調整するために抵抗体のトリミングを行う。すなわち、ステップS9において、第1のトリミングとして、図5に示すように第1抵抗部21を構成する膨出パターン24にトリミング溝(Vカットとも言う)35を形成する。ここでは、抵抗体の切り幅、すなわち、トリミング溝35の幅を広くするために、例えば、サンドブラストによるトリミングを行うが、レーザを使用してもよい。
【0021】
第1のトリミングでは、膨出パターン24の基部側から先端側に向けて抵抗体の一部を除去してトリミング溝35を形成することで、第1電極11と中間電極13間における電流流路を延長する。この場合、トリミング溝35の長さを長くする(膨出パターン24の長手方向に、より深くトリミングする)ことで、膨出パターン24を流れる電流の迂回経路が長くなり、第1抵抗部21の抵抗値を増加させるように調整できる。
【0022】
上記のトリミングに使用するトリミング機の確度を±1%とした場合、第1のトリミングにおいて、R1+R2を測定しながら、R1を公称抵抗値(R1+R2)×0.99±1%でトリミングを実施する。したがって、仕上がりは(R1+R2)×0.98〜1.00となる。なお、粗調整パターン25の一部(図5のA部)を切断することで、例えば、抵抗値の異なるシリーズ品の製造に対応することができる。
【0023】
続くステップS11では、第2のトリミングとして、上記第1のトリミングにおける調整残部を調整する。ここでは、図6に示すように、例えば、レーザにより第2抵抗部29の所定位置にトリミング溝(Lカットとも言う)37を形成して抵抗値を調整する。この場合において、R2の抵抗値切り上がりバラツキは±1%であるが、このバラツキは、R1+R2の抵抗値に対して±0.05%である。そのため、第2のトリミングでは、通常のバラツキ±1%に比べて高精度の調整が可能となる。なお、上記第1のトリミングによりR1+R2の抵抗値が公称抵抗値になっていれば、第2のトリミングは不要となる。
【0024】
上記第2のトリミングでL字状のトリミング溝37を形成した第2抵抗部29の部位の短手方向(図6の上下方向)の残部の幅、すなわち、トリミング溝37の水平下端部と、第2抵抗部29の下方端部との距離をW3とした場合、第1抵抗部21のパターン幅W1に対して、W3≡W1とする。W3<W1とした場合には、第2抵抗部29に高電圧が印加された時に抵抗体が溶断する可能性があるのに対して、W3≡W1とすることで、かかる溶断を防止できる。
【0025】
ステップS13では、図7に示すように第1抵抗部21と第2抵抗部29の一部を残して、中間電極13を含めて抵抗体(第1抵抗部21、第2抵抗部29)の全体を覆うように保護膜41を形成する。この保護膜41は、例えば、エポキシ樹脂等の絶縁体をスクリーン印刷して、加熱硬化させることで形成する。続くステップS15において、図8に示すように第1電極11と第2電極15それぞれにリード端子43,45をはんだ溶接等で固定する。そして、ステップS17において、リード端子43,45を除く本体部分を絶縁性の樹脂等に浸漬することで、図9に示すように外装膜49を形成し、加熱硬化させて、リード線型(リードフレーム自立形)の高圧用抵抗器50を製造する。
【0026】
なお、上述した実施の形態例に係る高圧用抵抗器では、絶縁基板10上に第1電極11、中間電極13、および第2電極15の3個の電極を形成したが、これに限定されない。上記実施の形態例の変形例として、例えば、絶縁基板10上に第1電極11と第2電極15の2個の電極を形成し、中間電極を設けない構成としてもよい。具体的には、図10に示すように、第1電極11と第2電極15間に、例えば、酸化ルテニウム(RuO2)ペーストをスクリーン印刷した抵抗体からなる抵抗部61を配置する。この抵抗部61は、上記実施の形態例に係る高圧用抵抗器の第1抵抗部21と第2抵抗部29とをそのまま直列に接続した形状を有する。
【0027】
図10に示す変形例に係る高圧用抵抗器の場合、抵抗値の検測として、第1電極11と第2電極15とにテスターのプローブを当てて、抵抗部61の抵抗値が許容範囲にあるかどうかの検測を行う。そして、検測結果をもとに、膨出パターン63と直線状抵抗部65のいずれか一方、あるいは双方にトリミング溝を形成することで抵抗値を調整する。
【0028】
以上説明したように本実施の形態例に係る抵抗器は、第1抵抗部と第2抵抗部からなる抵抗体を備え、その第1抵抗部が絶縁基板の表面を蛇行する蛇行パターンと、蛇行パターンの一部が線幅から膨出した形状の膨出パターンとを有し、第2抵抗部が第1抵抗部の全長よりも短く、かつ蛇行パターンの線幅よりも太い幅を有する。そして、膨出パターンと第2抵抗部の少なくとも一方にトリミング溝を形成して抵抗値を調整する構成としたことで、高圧用抵抗器としての耐圧特性を維持しつつ、抵抗値精度を向上できる。
【0029】
特に、第2抵抗部におけるL字状のトリミング溝の形成において、その部位の短手方向の残部の幅を第1抵抗部のパターン幅以上とすることで、第2抵抗部に高電圧が印加された場合でも抵抗体の溶断を確実に防止できる。
【符号の説明】
【0030】
10 絶縁基板
11 第1電極
13 中間電極
15 第2電極
21 第1抵抗部
23,26 蛇行パターン
24 膨出パターン
25 粗調整パターン
29 第2抵抗部
35,37 トリミング溝
41 保護膜
43,45 リード端子
49 外装膜
50 高圧用抵抗器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10