特許第6618251号(P6618251)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6618251放射線撮像装置および放射線撮像システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6618251
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】放射線撮像装置および放射線撮像システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/341 20110101AFI20191202BHJP
   H04N 5/32 20060101ALI20191202BHJP
   H04N 5/374 20110101ALI20191202BHJP
   H01L 27/144 20060101ALI20191202BHJP
   G01T 7/00 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   H04N5/341
   H04N5/32
   H04N5/374
   H01L27/144 K
   G01T7/00 A
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-249428(P2014-249428)
(22)【出願日】2014年12月9日
(65)【公開番号】特開2016-111631(P2016-111631A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】川鍋 潤
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 実
(72)【発明者】
【氏名】横山 啓吾
(72)【発明者】
【氏名】大藤 将人
(72)【発明者】
【氏名】藤吉 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】和山 弘
(72)【発明者】
【氏名】古本 和哉
【審査官】 松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−021410(JP,A)
【文献】 特開2011−185622(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/050531(WO,A1)
【文献】 特開2010−268171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/225−5/378
H04N 9/00−9/11
G01T 7/00
H01L 27/144
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線画像の取得のための複数の撮像画素と、放射線の入射を検知する検知用変換素子と前記検知用変換素子に接続される検知用スイッチ素子とを夫々が有する複数の検知画素と、を含む放射線撮像装置であって、
前記複数の検知画素のうち2以上の検知用スイッチ素子に共通に接続された信号線と、
前記信号線に共通に接続された検知用スイッチ素子を駆動する駆動部と、
前記信号線に共通に接続された2以上の検知用スイッチ素子のうち少なくとも1つの検知用スイッチ素子に印加する電圧に対してオフ電圧からオン電圧への第1変化を行わせた際に、前記少なくとも1つの検知用スイッチ素子とは異なる検知用スイッチ素子に印加する電圧に対し前記第1変化とは逆極性の変化となるように前記オン電圧とは異なる第1電圧から前記オン電圧及び前記第1電圧とは異なる第2電圧への変化を行わせ、前記少なくとも1つの検知用スイッチ素子に前記オン電圧が印加されている間は、前記異なる検知用スイッチ素子に前記第2電圧が印加されており、前記少なくとも1つの検知用スイッチ素子に印加する電圧に対して前記オン電圧から前記オフ電圧への第2変化を行わせた際に、前記異なる検知用スイッチ素子に印加する電圧に対し前記第2変化とは逆極性の変化となる前記第2電圧から前記第1電圧への変化を行わせるように、前記駆動部を制御する制御部と、
を有することを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1変化を行わせるタイミングと前記第1電圧から前記第2電圧への変化を行わせるタイミングが重複し、前記第2変化を行わせるタイミングと前記第2電圧から前記第1電圧への変化を行わせるタイミングが重複するように前記駆動部を制御することを特徴とする請求項1に記載の放射線撮像装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1変化を行わせるタイミングと前記第1電圧から前記第2電圧への変化を行わせるタイミングが同時になるように、且つ、前記第2変化を行わせるタイミングと前記第2電圧から前記第1電圧への変化を行わせるタイミングが同時になるように、前記駆動部を制御することを特徴とする請求項1叉は2に記載の放射線撮像装置。
【請求項4】
前記駆動部は、検知用スイッチ素子を導通状態にするオン電圧と、検知用スイッチ素子を非導通状態にする前記第1電圧である第一のオフ電圧と、前記第一のオフ電圧よりも前記オン電圧との差が大きい前記第2電圧である第二のオフ電圧を印加することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の放射線撮像装置。
【請求項5】
前記駆動部と前記検知用スイッチ素子とを接続する制御線を更に有し、
前記制御線と前記信号線との間の容量に基づいて前記オフ電圧の大きさが規定されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の放射線撮像装置。
【請求項6】
前記異なる検知用スイッチ素子が複数であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の放射線撮像装置。
【請求項7】
前記検知画素に接続された信号線に現れる信号を読み出す読出部を更に有し、
前記制御部は、前記オン電圧の印加中に、前記オン電圧が印加される検知画素に接続された信号線に現れる信号を読み出させるように読出部を制御することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の放射線撮像装置。
【請求項8】
前記読出部はサンプルホールド回路を有し、前記制御部からの制御に基づいてサンプルホールドを行うことを特徴とする請求項7に記載の放射線撮像装置。
【請求項9】
前記検知用変換素子によって検知された放射線の量に基づいて、放射線の入射量を測定することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の放射線撮像装置。
【請求項10】
前記検知画素は、撮像用変換素子と前記撮像用変換素子に接続される撮像用スイッチ素子とを更に有することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の放射線撮像装置。
【請求項11】
放射線画像の取得のための複数の撮像画素と、放射線の入射を検知する検知用変換素子と前記検知用変換素子に接続される検知用スイッチ素子とを有する複数の検知画素と、前記複数の検知画素のうち2以上の検知用スイッチ素子に共通に接続された信号線と、前記信号線に共通に接続された検知用スイッチ素子を制御する電圧を印加する駆動部と、を含む放射線撮像装置の制御方法であって、
前記信号線に共通に接続された2以上の検知用スイッチ素子のうち少なくとも1つの検知用スイッチ素子に印加する電圧に対してオフ電圧からオン電圧への第1変化を行わせた際に、前記少なくとも1つの検知用スイッチ素子とは異なる検知用スイッチ素子に印加する電圧に対し前記第1変化とは逆極性の変化となるように前記オン電圧とは異なる第1電圧から前記オン電圧及び前記第1電圧とは異なる第2電圧への変化を行わせ、前記少なくとも1つの検知用スイッチ素子に前記オン電圧が印加されている間は、前記異なる検知用スイッチ素子に前記第2電圧が印加されており、前記少なくとも1つの検知用スイッチ素子に印加する電圧に対して前記オン電圧から前記オフ電圧への第2変化を行わせた際に、前記異なる検知用スイッチ素子に印加する電圧に対し前記第2変化とは逆極性の変化となる前記第2電圧から前記第1電圧への変化を行わせるように、前記駆動部を制御する工程を有する放射線撮像装置の制御方法。
【請求項12】
放射線を発生する放射線源と、
請求項1から10のいずれか1項に記載の放射線撮像装置と、
を有する放射線撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮像装置および放射線撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
X線等の放射線による医療画像診断や非破壊検査に用いる放射撮像装置として、TFT(薄膜トランジスタ)等のスイッチと光電変換素子等の変換素子とを組み合わせた画素アレイを有するマトリクス基板を有する放射線撮像装置が実用化されている。
【0003】
近年、放射線撮像装置の多機能化が検討されている。その一つとして、放射線の照射をモニタする機能を内蔵することが検討されている。この機能によって、例えば、放射線源からの放射線の照射が開始されたタイミングの検知、放射線の照射を停止されるべきタイミングの検知、放射線の照射量または積算照射量の検知が可能になる。
【0004】
特許文献1には、放射線画像を取得するための撮像画素と、放射線を検知するための検知画素とを備えた放射線撮像装置が開示されている。そして、当該検知画素と接続されたスイッチ素子を介して放射線を検知するための信号を読み出す構成が開示されている。そして、検知用画素の信号を読み出す際にスイッチ素子の導通状態を切り替えるために駆動電圧を導通電圧及び非導通電圧に適宜切り替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−15913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の放射線撮像装置では、当該駆動電圧切り替えの際に、制御線の電圧の変化に伴いスイッチ素子へ接続される制御線と信号線の間の寄生素子(寄生容量)に起因して信号線の電位変動が生じるおそれがある。そのため、当該信号線の電位変動により放射線の照射の検知精度が不十分な場合があった。
【0007】
本発明は、放射線検知用画素のスイッチ素子への制御信号の切り替えに起因して信号線に発生する電位変動を抑制し、放射線の照射を精度よく読み出すために有利な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの側面は、放射線画像の取得のための複数の撮像画素と、放射線の入射を検知する検知用変換素子と前記検知用変換素子に接続される検知用スイッチ素子とを夫々が有する複数の検知画素と、を含む放射線撮像装置であって、前記複数の検知画素のうち2以上の検知用スイッチ素子に共通に接続された信号線と、前記信号線に共通に接続された検知用スイッチ素子を駆動する駆動部と、前記信号線に共通に接続された2以上の検知用スイッチ素子のうち少なくとも1つの検知用スイッチ素子に印加する電圧に対してオフ電圧からオン電圧への第1変化を行わせた際に、前記少なくとも1つの検知用スイッチ素子とは異なる検知用スイッチ素子に印加する電圧に対し前記第1変化とは逆極性の変化となるように前記オン電圧とは異なる第1電圧から前記オン電圧及び前記第1電圧とは異なる第2電圧への変化を行わせ、前記少なくとも1つの検知用スイッチ素子に前記オン電圧が印加されている間は、前記異なる検知用スイッチ素子に前記第2電圧が印加されており、前記少なくとも1つの検知用スイッチ素子に印加する電圧に対して前記オン電圧から前記オフ電圧への第2変化を行わせた際に、前記異なる検知用スイッチ素子に印加する電圧に対し前記第2変化とは逆極性の変化となる前記第2電圧から前記第1電圧への変化を行わせるように、前記駆動部を制御する制御部と、を有することを特徴とする放射線撮像装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、放射線検知用画素のスイッチ素子への制御信号の切り替えに起因して信号線に発生する電位変動を抑制し、放射線の照射を精度よく読み出すために有利な技術を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第一の実施形態における放射線撮像装置の構成を示す図である。
図2】放射線撮像装置を含む放射線撮像システムの構成例を示す図である。
図3】第一の実施形態における放射線撮像装置の撮像画素を示す図である。
図4】第一の実施形態における放射線撮像装置の検知画素を示す図である。
図5】第一の実施形態における放射線撮像装置の動作を示す図である。
図6】第二の実施形態における放射線撮像装置の動作を示す図である。
図7】第三の実施形態における放射線撮像装置の構成を示す図である。
図8】第三の実施形態における放射線撮像装置の検知画素を示す図である。
図9】第四の実施形態における放射線撮像装置の動作を示す図である。
図10】放射線撮像装置の応用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら例示的な実施形態を通して説明する。なお、各実施形態において、放射線とは、放射線崩壊によって放出される粒子(光子を含む)の作るビームであるα線、β線、γ線などの他に、同程度以上のエネルギーを有するビーム、例えばX線や粒子線、宇宙線なども、含まれるものとする。
【0012】
(第一の実施形態)
図1を用いて第一の実施形態について説明する。図1は第一の実施形態における放射線撮像装置の構成を示す図である。ここで、図1には9行9列の画素が設けられている例を示すが、1000×1000画素が設けられていても良いし、5000×5000画素が設けられてもよい。
【0013】
図1の放射線撮像装置200は、放射線画像の取得のための複数の撮像画素1と、放射線の入射を検知する検知用変換素子6と変換素子に接続されるスイッチ素子7とを夫々が有する複数の検知画素2を有する。更に、放射線撮像装置200は、検知信号線12と、駆動部52と、制御部55を少なくとも有している。
【0014】
なお、以下の説明では、複数の撮像画素1および複数の検知画素2において、信号線10が延びる方向に並ぶ画素の配列を列方向とし、列方向と直行する方向に並ぶ画素の配列を行方向とする。
【0015】
撮像画素1は、放射線画像の取得のための画素であり、撮像用変換素子4と第一のスイッチ素子5を含んで構成される。検知画素2は、放射線の入射を検知するための機能を有する画素であり、撮像用変換素子4と第一のスイッチ素子5、検知用変換素子6と第二のスイッチ素子7を含んで構成される。このため、本実施形態では検知画素2は、放射線の入射を検知するための機能と、放射線画像の取得のための機能を有している。検知画素2を、撮像用変換素子4と第一のスイッチ素子5、検知用変換素子6と第二のスイッチ素子7を含む構成で記載したが、この限りではない。例えば、検知画素2を、検知用変換素子6と第二のスイッチ素子7のみの構成にしても良い。この場合の検知画素2の検知用変換素子6は、撮像画素1の撮像用変換素子4と同等の大きさで配置しても良く、詳細については第三の実施形態で説明する。なお、本発明における撮像用スイッチ素子は、本実施形態における第一のスイッチ素子5に相当する。また、本発明における検知用スイッチ素子は、本実施形態における第二のスイッチ素子7に相当する。
【0016】
撮像用変換素子4および検知用変換素子6は、放射線を光に変換するシンチレータ(不図示)および光を電気信号に変換する光電変換素子とで構成されうる。シンチレータは、一例として、撮像領域を覆うようにシート状に形成され、複数の撮像画素1および複数の検知画素2によって共有されうる。あるいは、撮像用変換素子4および検知用変換素子6は、放射線を直接に電気信号に変換する変換素子で構成されうる。
【0017】
第一のスイッチ素子5および第二のスイッチ素子7は、例えば、非晶質シリコンまたは多結晶シリコンなどの半導体で活性領域が構成された薄膜トランジスタ(TFT)を含みうる。
【0018】
撮像用変換素子4は、第一のスイッチ素子5及び信号線10(S1〜S9)を介して、読出部51へ接続されている。検知用変換素子6は、第二のスイッチ素子7及び検知信号線12を介して、読出部51へ接続されている。検知信号線12は、複数の検知画素2のうち少なくとも2以上の第二のスイッチ素子7に共通に接続されている。
【0019】
全ての画素は共通のバイアス配線11に接続されており、バイアス電源53から所定のバイアス電圧が印加されている。所定の行に配置された第一のスイッチ素子5は、第一の制御線8(Vg1〜Vg9)に接続されている。第二のスイッチ素子7は第二の制御線9(Vd1〜Vd3)と接続されている。
【0020】
また、図1には、放射線を検知する際の放射線検知領域(ROI)が9か所設けられている(図1中のR1〜R9)。この放射線検知領域(ROI)の中には検知画素2が配置されておいる。また、R1、R2、R3の検知画素2は、共通の検知信号線12(図1中D1)に接続されている。同様に、R4、R5、R6の検知画素2は共通の検知信号線12(図1中D2)に接続され、R7、R8、R9の検知画素2は共通の検知信号線12(図1中D3)に接続されている。
【0021】
図1には放射線検知領域(ROI)が3×3の9領域配置されているが、この限りではない。例えば、放射線検知領域(ROI)を5×5の25領域設けてもよいし、10×10の100領域設けてもよい。放射線検知領域(ROI)については、基板上に均等になるように配置してもよいし、特定の範囲に偏るように放射線検知領域(ROI)を配置してもよい。また、本実施形態では各放射線検知領域(ROI)の中に検知画素2が1画素ずつ配置されている例を示したが、1つの放射線検知領域(ROI)の中に検知画素2を複数配置しても良い。この場合、検知画素2は、行又は列方向に複数接続しても配置してもよい。なお、撮像画素1及び検知画素2の配置は、一例であり、当該配置に限定されるものではない。
【0022】
読出部51は、複数の検知部132と、マルチプレクサ144と、アナログデジタル変換器146(以下、ADC)とを含みうる。複数の信号線10および複数の検知信号線12のそれぞれは、読出部51の複数の検知部132のうち対応する検知部132に接続される。ここで、1つの信号線10または検知信号線12は、1つの検知部132に対応する。検知部132は、例えば、差動増幅器、サンプルホールド回路を含む。マルチプレクサ144は、複数の検知部132を所定の順番で選択し、選択した検知部132からの信号をADC146に供給する。ADC146は、供給された信号をデジタル信号に変換して出力する。ADC146の出力は、信号処理部224に供給され、信号処理部224によって処理される。信号処理部224は、ADC146の出力に基づいて、放射線撮像装置200に対する放射線の照射を示す情報を出力する。具体的には、信号処理部224は、例えば、放射線撮像装置200に対する放射線の照射を検知したり、放射線の照射量または積算照射量を演算したりする。
【0023】
駆動部52は、第一の制御線8を介して複数の撮像画素1を駆動する。更に駆動部52は、第二の制御線9を介して複数の検知画素2を駆動する。駆動部52と第一の制御線8及び第二の制御線9は、電気的に接続されている。本実施形態において、Von電圧は第一のスイッチ素子5及び第二のスイッチ素子7を導通状態にする電圧を示す。また、Voff1電圧は第一のスイッチ素子5及び第二のスイッチ素子7が非導通状態にする電圧を示す。また、Voff2は、Voff1に対して、Vonとは逆極性の電圧である。つまり、Voff2はVoff1よりもVonを基準とした電位差が大きい非導通時の電圧である。
【0024】
制御部55は、駆動部52および読出部51を制御する。制御部55は、信号処理部224からの情報に基づいて、例えば、露出(撮像画素1による照射された放射線に対応する電荷の蓄積)の開始および終了を制御する。つまり、制御部55は、検知用変換素子6で検知された放射線の量に基づいて放射線の入射量を測定し得る。
【0025】
図2には、放射線撮像装置200を含む放射線撮像システムの構成が例示されている。放射線撮像システムは、放射線撮像装置200の他、コントローラ1002、インターフェース1003、放射線源インターフェース1004、放射線源1005を備えている。
【0026】
コントローラ1002には、線量A、照射時間B(ms)、管電流C(mA)、管電圧D(kV)、放射線をモニタすべき領域である放射線検知領域(ROI)などが入力されうる。放射線源1005に付属された爆射スイッチが操作されると、放射線源1005から放射線が放射される。放射線撮像装置200の制御部55は、例えば、放射線検知領域(ROI)に配置された検知画素2から読み出された信号の積分値が線量A’に到達したら、インターフェース1003を介して放射線源インターフェース1004に曝射停止信号を送る。これに応答して、放射線源インターフェース1004は、放射線源1005に放射線の放射を停止させる。ここで、線量A’は、線量A、放射線照射強度、各ユニット間の通信ディレイ、処理ディレイ等に基づいて、制御部55によって決定されうる。放射線の照射時間が照射時間Bに達した場合は、放射線源1005は、爆射停止信号の有無にかかわらず、放射線の照射を停止する。
【0027】
次に、図3を用いて撮像画素の構成について説明する。図3(a)は撮像画素1の平面図、図3(b)は撮像画素1のA−A’の断面図である。
【0028】
本実施形態における撮像画素1は、撮像用変換素子4と、撮像用変換素子4の電荷に応じた電気信号を出力する第一のスイッチ素子5とを含む。撮像用変換素子4は、ガラス基板等の絶縁性の基板100の上に設けられた第一のスイッチ素子5の上に第一の層間絶縁層110を挟んで積層されて配置されている。第一のスイッチ素子5は、基板100の上に、基板100側から順に、制御電極101と、第一の絶縁層102と、第一の半導体層103と、第一の半導体層103よりも不純物濃度の高い第一の不純物半導体層104と、第一主電極105と、第二主電極106と、を含む。第一の不純物半導体層104はその一部領域で第一主電極105及び第二主電極106と接しており、その一部領域と接する第一の半導体層103の領域の間の領域が、第一のスイッチ素子5のチャネル領域となる。制御電極101は制御線と電気的に接合されており、第一主電極105は信号線10と電気的に接合されており、第二主電極106は変換素子の個別電極111と電気的に接合されている。なお、本実施形態では第一主電極105と第二主電極106と信号線10と同じ導電層で一体的に構成されており、第一主電極105が信号線10の一部をなしている。第一主電極105、第二主電極106、及び信号線10上には、信号線10側から順に、第二の絶縁層107、第一の層間絶縁層110が配置されている。本実施形態では、スイッチ素子として非晶質シリコンを主材料とした半導体層及び不純物半導体層を用いた逆スタガ型のスイッチ素子を用いたが、本発明はそれに限定されるものではない。例えば、多結晶シリコンを主材料としたスタガ型のスイッチ素子を用いたり、有機TFT、酸化物TFT等をスイッチ素子として用いたりすることができる。第一の層間絶縁層110は、第一のスイッチ素子5を覆うように、基板100と複数の個別電極111との間に配置されており、コンタクトホールを有している。撮像用変換素子4の個別電極111と第二主電極106とが、第一の層間絶縁層110に設けられたコンタクトホールにおいて、電気的に接合される。撮像用変換素子4は、第一の層間絶縁層110の上に、第一の層間絶縁層側から順に、個別電極111と、第二の不純物半導体層112と、第二の半導体層113と、第三の不純物半導体層114と、共通電極115と、を含む。撮像用変換素子4の共通電極115上には、第三の絶縁層116が配置されている。また、撮像用変換素子4の共通電極115は、第二の層間絶縁層120上に配置されたバイアス配線11が電気的に接合される。そして、バイアス配線11の上には保護膜としての第四の絶縁層121が配置されている。
【0029】
次に、図4を用いて検知画素の構成について説明する。図4(a)は検知画素2の平面図、図4(b)はB−B’の断面図である。
【0030】
本実施形態における検知画素2は、撮像用変換素子4と第一のスイッチ素子5、検知用変換素子6と第二のスイッチ素子7を含む。検知用変換素子6は、第一の層間絶縁層110の上層に、撮像画素1の撮像用変換素子4と同様の構造で積層されている。撮像用変換素子4及び検知用変換素子6の共通電極115には第二の層間絶縁層120上に配置されたバイアス配線11が電気的に接合される。また、検知用変換素子6の個別電極111は、第一の層間絶縁層110に設けられたコンタクトホール介して、検知信号線12に接続されている。又、検知信号線12上には検知信号線12側から順に、第二の絶縁層107、第一の層間絶縁層110が配置されている。
【0031】
尚、本実施形態における撮像画素1に対して、検知画素2は撮像用変換素子4の開口面積が小さくなっている為、検知画素2からの信号量が減少してしまう。これによる影響は、検知部132のゲインを調整すること、あるいは、撮像される画像を補正することによって、低減することができる。当該補正は、検知画素2の周囲の撮像画素1の値を用いて補間する処理等により実現可能である。尚、本実施形態では、撮像用変換素子4及び検知用変換素子6はPIN型のセンサとしているが、これに限られるものではなく、MIS型、TFT型のセンサを使用してもよい。
【0032】
次に、本実施形態の放射線撮像装置の動作を、図5のタイミングチャートを用いて説明する。以下の説明において、撮像画素1を駆動する第一の制御線8に印加される電圧を信号Vg1〜Vgm(mは図1における9に相当する)とし、検知画素2を駆動する第二の制御線9に印加される電圧をVd1〜Vd3とする。第一スイッチ素子5、第二スイッチ素子7は、ゲートに供給される信号がハイレベルであるときに導通状態となり、ゲートに供給される信号がローレベルであるときに非導通状態となる。なお、当該信号レベルと導通状態の組み合わせは、回路構成及びスイッチ素子の導電型の組み合わせによって決定することもできる。また、図5中に示す読出部51、駆動部52の動作は上述したように制御部55の制御に基づいて動作する。図5中では、ハイレベルは「Von」と表記し、ローレベルは「Voff」で示す。なお、本発明における「オン電圧」は本実施形態における「Von」に相当する。また、本発明における「オフ電圧」は本実施形態における「Voff」に相当する。
【0033】
まず、図5中のT1の期間について説明する。期間T1は、放射線の照射の開始を待つ期間である。本実施形態では、放射線撮像装置200の電源が投入され、放射線画像の撮像が可能な状態となってから放射線源1005の曝射スイッチが操作され、放射線の照射が検知されるまでの期間が期間T1である。T1の期間は、第一のスイッチ素子5及び第二のスイッチ素子7に順次Vonの電圧を印加していき、撮像用変換素子4及び検知用変換素子6の個別電極111を信号線10及び検知信号線12の電位にリセットしておく。なお、第二のスイッチ素子7は常にVonを印加した状態であってもよい。これによって、ダーク電流による電荷が撮像素子1の変換素子に長時間にわたって蓄積されることが防止される。期間T1の長さは、撮像手法・条件等により大きく異なるが、例えば、数sec〜数minでありうる。
【0034】
次に、図5中のT2の期間について説明する。期間T2は、放射線が照射されている期間である。一例として、期間T2は、放射線の照射の開始が検知されてから放射線の曝射量が最適線量となるまでの期間である。期間T2は、放射線の照射量をモニタする期間であるとも言える。期間T2では、Vd1〜Vd3に断続的にVonが印加され、検知画素2の第二のスイッチ7が断続的に導通状態にされる。Vg1〜Vgmに常時Voff1が印加されているために、第一のスイッチ素子5が非導通状態となっている。ここで、第二のスイッチ素子7にVon又はVoffを印加する際に、第二の制御線9と検知信号線12の間の寄生容量を介して検知信号線12の電位を変動させる場合がある。例えば、Von又はVoffの印加に基づいて瞬間的に第二の制御線9から検知信号線12に寄生容量を介して電荷が注入され検知信号線12の電位が変動させられる。この場合に、検知信号線12に現れる寄生容量に基づく電荷が検知信号線12を介して読出部51へ転送されてしまう。ここで、寄生容量は、検知信号線12の材料、物理的な構造、他の配線等との距離、他の配線間の物質の誘電率等に起因する容量成分を示す。
【0035】
駆動部52は、検知信号線12に共通に接続された2以上の第二のスイッチ7のうち少なくとも1つの第二のスイッチ7に対してVon又はVoff(オン又はオフ電圧)を印加する場合に、当該電圧を印加される第二のスイッチとは異なる第二のスイッチ素子7に該電圧を受けるスイッチ素子と逆極性の電圧を印加する。図5の期間T2に示すように、駆動部52は、Vd1にVonが印加されたタイミングと重複するように、Vd2にVonと逆極性のVoff2を印加する。ここで、重複するタイミングとは、同時であることが好ましいが、これに限られるものではない。例えば、検知信号線12に共通に接続された2以上の第二のスイッチ7の一つにVon又はVoffが印加されることにより寄生容量に起因して注入される電荷を実質的に抑制できるようなタイミングであれば、完全に一致していなくてもよい。また、「実質的に抑制できる」とは、検知画素2からの信号を検知システムとして検知精度を充足する程度に寄生容量に起因する電荷の影響を抑制できる程度であればよい。
【0036】
また、Von、Voff1、Voff2の各電圧は、第二の制御線9と検知信号線12との間の容量に基づいて規定されている。ここで式を用いて、本実施形態における寄生容量の影響と各電圧について式を用いて説明する。例えば、Vd1にVon電圧を印加した時に寄生容量を介して検知信号線12に現れる電荷をQ、第二の制御線9と検知信号線12の間の寄生容量をCgs、同時にVonを印加する第二の制御線の本数をnとすると、電荷Qは式1のように表わされる。
Q=Cgs×(Von−Voff)×n 式1
電荷Qを打ち消すために、駆動部52は、Vd1にVon電圧が印加されるのと同時に、Vd2にVoff2電圧を印加する。そして、Vd2にVoff2電圧を印加した際に発生する電荷をQ’とし、同時にVon電圧を印加する第二の制御線の本数をmとすると、Q’は式2で表わされる。
Q’=Cgs×(Voff−Voff2)×m 式2
そして、本実施形態では、n=m=1のため、
(Von−Voff)=(Voff−Voff2) 式3
となるように、Von、Voff、Voff2の各電圧を規定すれば良い。
【0037】
そして、Vd1がVon電圧からVOFF電圧に戻るのと同時に、Vd2をVoff2電圧からVoff1電圧に戻す。これにより、Vd1のVon又はVoffの切り替えのタイミングで寄生容量に起因して発生する電荷を低減することができる。そして、D1のラインにおいて、第二のスイッチ素子7のオン期間が終了したタイミングで検知部132によりサンプルホールドを行い、検知信号線12の電荷をリセットする。当該制御により、読出部51は、検知用変換素子6の信号を寄生容量に起因して発生した電荷を抑制し、必要な検知信号を高い精度で読みだすことができる。そして、読出部51で読み出された放射線照射量が設定値に達した後、制御部55は外部に通信IF1003を介して信号を送り、放射線の照射の制御等を行うことができる。
【0038】
次に、図5中のT3の期間について説明する。期間T3は、放射線の照射が終了した後に、放射線により撮像画素1に蓄積された信号を読み出す期間である。期間T3では、駆動部Vd1〜Vdnがローレベルにされる。期間T3では、検知信号線12がフローティングになることを防ぐために、検知信号線12を固定電位に接続することが好ましい。また、第一の制御線7を走査する為に、Vg1〜Vg9に順次Von電圧を印加し、信号線10を介して撮像用変換素子4に蓄積された信号を読出部51へ転送される。
【0039】
第一の実施形態では、上述したように、放射線検出用画素は、放射線照射中(期間T2に相当)に順次読み出しを行う。そのため、撮像画素の読み出しよりも高い頻度で、小さな信号を取得するため寄生容量の影響が検知信号に現れやすい。そのため、制御部55が、検知信号線12に共通に接続された2以上の検知用スイッチ7のうち少なくとも1つの検知用スイッチ7に対してオン電圧又はオフ電圧を駆動部52に印加させる。この場合に、駆動部52は、当該電圧を印加される検知用スイッチとは異なる検知用スイッチ7に該信号を受けるスイッチ素子と逆極性の信号を印加している。これにより、放射線検知用画素のスイッチ素子への制御信号の切り替えに起因して検知信号線に発生する電位変動を抑制し得る。そして、第一の実施形態の放射線撮像装置では、放射線の照射を高い精度で読み出すことができ、より適切な線量制御および露出制御の実現に寄与し得る。
【0040】
(第二の実施形態)
第二の実施形態について図6を用いて説明する。図6は第二の実施形態に係る放射線撮像装置の動作を示す図である。なお、本実施形態の放射線撮像装置の構成は、第一の実施形態と同様である。制御部55は、検知信号線12に共通に接続された2以上の検知用スイッチ7のうち少なくとも1つの検知用スイッチ7に対してオン電圧又はオフ電圧を駆動部52に印加させる。第一の実施形態と異なる点は、この場合に、当該電圧を印加される第二のスイッチとは異なる複数の第二のスイッチ7に対して該電圧を受けるスイッチと逆極性の電圧を印加している点である。具体的には、図6のT2の期間において、駆動部52は、Vd1にVon電圧が印加されたタイミングと重複するように、Vd2及びVd3にVon電圧と逆極性のVoff2電圧を供給する。この時に好適な電圧は、式1および式2を用いて算出することができる。第二の実施形態では、Vd2とVd3の電圧を重複するタイミングで変化させるため、n=1、m=2となる。この場合に、これらの電圧の関係は式4で表される。
(Von−Voff)=2×(Voff−Voff2) 式4
以上により、放射線検知用画素のスイッチ素子への制御信号の切り替えに起因して検知信号線に発生する電位変動を抑制し得る。そして、第一の実施形態の放射線撮像装置では、放射線の照射を高い精度で読み出すことができ、より適切な線量制御および露出制御の実現に寄与し得る。
【0041】
(第三の実施形態)
次に、第三の実施形態について図7図8を用いて説明する。図7は第三の実施形態に係る放射線撮像装置の構成を示す図である。図8は第三の実施形態に係る検知画素の構造を示す図である。ここで、図7には9行9列の画素が設けられている例を示すが、1000×1000画素が設けられていても良いし、5000×5000画素が設けられてもよい。本実施形態と第一の実施形態との構成上の差異は、図8に示すように、検知画素2が、検知用変換素子6と第二のスイッチ素子7の組み合わせから成り、撮像用変換素子4と第一のスイッチ素子5を含まない点である。また、検知画素2は撮像用画素と信号線が共通である。この構成によると、検知用変換素子6の面積を大きく配置できるため放射線の検知感度の向上を図ることができる。さらに、検知用変換素子6は第二のスイッチ素子7を介して信号線10に接続されている。この場合において、検知画素2には撮像用変換素子4が配置されていないため欠陥画素となってしまうが、隣接する撮像画素の出力や画像データからデータを補完することで補正可能である。また、本実施形態では、ひとつの検知領域(ROI)に検知画素が複数配置されている。この場合、検知画素2は、検知領域20の中で行方向又は列方向叉は斜め方向の少なくとも規則的な配置であることが望ましい。 ここで、規則的な配置とは、連続的に配置されている場合だけでなく、検知領域20内に所定の間隔で撮像画素1と検知画素2が配置されている場合も含み得る。このため、読出部51は、検知領域20に配置された複数の検知画素から取得される信号に応じた値を加算又は平均化した値に基づいて夫々の検知領域20の放射線の入射量を算出(取得)する。当該加算又は平均化処理は、信号処理部224がAD変換器146から取得したデジタル信号を処理することにより行われ得る。また、当該当該加算又は平均化処理は、これに限られるものではなく、検知部132が、差動増幅器に入力された複数の検知画素2から取得したアナログ信号を加算叉は平均した値をAD変換器146に供給することによっても放射線の入射量を算出(取得)し得る。そして、制御部55は、駆動部52を制御することにより検知領域内の検知画素2を同時に読み出すこともできる。この場合には、上述し電位変動の影響がより大きくなり得る。そのため、各実施形態で示す動作による効果がより大きくなり得る。
【0042】
(第四の実施形態)
次に、図9を用いて本実施形態における放射線撮像装置について説明する。本実施形態と第一の実施形態との動作上の差異は、信号線のサンプルホールド及び配線リセットを検知画素への駆動電圧がオン状態の際に行う点である。また、制御部は、検知画素へ順次Vonを印加するタイミングと、当該オンされる検知画素とは異なる検知画素がオフ電圧を印加されるタイミングが同時になるように駆動部を制御する。以下、図9を用いて詳細な動作について説明する。なお、放射線撮像装置の構成については、前述のいずれであっても適用可能である。
【0043】
図9中のT1およびT3の期間の動作については第一の実施形態と同様である。図9中のT2の期間は、放射線が曝射されている期間である。この期間中は、第一の実施形態と同様、Vg1〜Vg9にはVoffが印加され、第一のスイッチ素子5は非導通状態となっている。そして、制御部55は、Vd1〜Vd3に順次Vonを印加するように駆動部52を制御する。この場合に、寄生容量に起因した信号線10の電位変動を抑制するために、Vd1にVoff電圧を印加するタイミングと略同じタイミングでVd2にVon電圧を印加する。同様に、Vd2にVoffを印加するタイミングと略同じタイミングでVd3にVonを印加し、Vd3にVoffを印加するタイミングと略同じタイミングでVd1にVonを印加する。当該動作を夫々の制御線に繰り返すことにより、第二のスイッチ素子のVon及びVoff印加時に寄生容量に起因する信号線の電位変動を抑制できる。また、第一の実施形態と比較して、Voffの制御電圧を1種類で構成できるため駆動部52の構成および制御を簡易にすることができる。
【0044】
次に検知信号をサンプルホールドするタイミングについて説明する。制御部55は、駆動部52によりオン電圧の印加中に、オン電圧が印加される検知画素2に接続された信号線に現れる信号を読み出させるように読出51部を制御する。信号線10のうちS2(D1)に着目すると、図9に示すように、サンプルホールド(図9中のSH)及び配線リセットは、Vd1にVonが印加されている最中(印加中)に実施する。信号線10のうち他の信号線であるS5(D2)及びS8(D3)関しても同様である。当該制御により、信号線に現れる電位変動を抑制しつつ、放射線の検知速度を速くすることができる。
【0045】
以上の本実施形態の構成において、放射線の照射を高い精度で読み出すことができ、より適切な線量制御および露出制御の実現に寄与し得る。
【0046】
(応用実施形態)
次に、図10を参照しながら、放射線撮像装置200を放射線検知システムに応用した例を説明する。
【0047】
放射線源であるX線チューブ6050で発生したX線6060は、患者あるいは被験者6061の胸部6062を透過し、放射線撮像装置200に入射する。この入射したX線には患者6061の体内部の情報が含まれている。X線の入射に対応して変換部3で放射線を電荷に変換して、電気的情報を得る。この情報はデジタルデータに変換され信号処理手段となるイメージプロセッサ6070により画像処理され制御室の表示手段となるディスプレイ6080で観察できる。
【0048】
また、この情報は電話回線6090等の伝送処理手段により遠隔地へ転送でき、別の場所のドクタールームなど表示手段となるディスプレイ6081に表示もしくは光ディスク等の記録手段に保存することができ、遠隔地の医師が診断することも可能である。また記録手段となるフィルムプロセッサ6100により記録媒体となるフィルム6110に記録することもできる。
【0049】
なお、本発明の実施形態は、コンピュータや制御コンピュータがプログラム(コンピュータプログラム)を実行することによって実現することもできる。また、プログラムをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムを記録したCD−ROM等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体又はかかるプログラムを伝送するインターネット等の伝送媒体も本発明の実施形態として適用することができる。また、上記のプログラムも本発明の実施形態として適用することができる。上記のプログラム、記録媒体、伝送媒体およびプログラムプロダクトは、本発明の範疇に含まれる。
【0050】
以上、本発明を実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれらの特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明の範疇に含まれる。更に、上述した各実施形態は本発明の一実施の形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 撮像画素
2 検知画素
6 検知用変換素子
7 検知用スイッチ素子
12 検知信号線
52 駆動部
55 制御部
200 放射線撮像装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10