特許第6618263号(P6618263)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6618263自転車用のセンサアセンブリ、ドライブユニットおよび自転車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6618263
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】自転車用のセンサアセンブリ、ドライブユニットおよび自転車
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/50 20100101AFI20191202BHJP
【FI】
   B62M6/50
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-57997(P2015-57997)
(22)【出願日】2015年3月20日
(65)【公開番号】特開2016-175562(P2016-175562A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2017年12月12日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 雅一
【審査官】 今村 亘
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−077768(JP,U)
【文献】 特開2014−012525(JP,A)
【文献】 特開2000−283989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/50
B62J 99/00
G01P 3/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームに回転可能に支持される車輪を備えた自転車に取り付けられるセンサアセンブリであって、
前記車輪とともに回転する被検出部と、
前記被検出部の回転を検出する検出部と、
前記車体フレームおよび前記車輪のいずれか一方に回転不可能に固定されるホルダと、を有し、
前記ホルダは、前記検出部および前記被検出部を互いに相対回転可能に支持しており、
前記被検出部は、前記車輪の車軸線の方向について、隙間を介して前記検出部に向かい合っており、
前記被検出部および前記検出部のいずれか一方に、前記隙間を形成するように、前記被検出部および前記検出部のいずれか他方に向かって前記車軸線の方向に突き出す周状突起が設けられている、センサアセンブリ。
【請求項2】
前記ホルダは、前記車体フレームに回転不可能に固定され、
前記ホルダは、前記検出部を回転不可能に支持し、前記被検出部を回転可能に支持している、請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項3】
前記被検出部は、前記車輪のハブに取り付けられる回転伝達部により前記車輪の回転力が伝達される、請求項1または2に記載のセンサアセンブリ。
【請求項4】
前記回転伝達部に設けられた係合部の周方向端面と前記被検出部に設けられた被係合部の周方向端面とが当接して前記車輪の回転力を伝達する、請求項3に記載のセンサアセンブリ。
【請求項5】
前記車輪の車軸線に直交する径方向において、前記検出部の外縁部および前記被検出部の外縁部が前記ハブの外縁部よりも車軸線寄りに位置している、請求項3に記載のセンサアセンブリ。
【請求項6】
前記被検出部は、前記車輪の車軸線の方向について、隙間を介して前記検出部に向かい合っており、
前記車体フレームに取り付けられるカバーによって、前記隙間の外周縁の少なくとも一部が覆われている、請求項1から5のいずれか一項に記載のセンサアセンブリ。
【請求項7】
前記周状突起は、前記車輪の車軸線に直交する周方向について、前記被検出部および前記検出部のいずれか一方の内周部に設けられている、請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項8】
電動モータと、
前記電動モータへ電力を供給可能なバッテリと、
前記車輪へ前記電動モータのモータトルクを伝達する動力伝達機構と
前記検出部を備えた、請求項1から7のいずれか一項に記載のセンサアセンブリと、
前記検出部の出力に基づいて、前記電動モータへ供給する電力量を制御する制御部と、を備えたドライブユニット。
【請求項9】
前記検出部を備えた、請求項1から7のいずれか一項に記載のセンサアセンブリと、
前記検出部の出力結果を表示する表示部と、を備えた自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車用のセンサアセンブリ、ドライブユニットおよび自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1などにより、車輪の車輪速を検出可能なセンサアセンブリが知られている。このセンサアセンブリは、車輪に取り付けられて車輪とともに回転するマグネットと、車体フレームに固定されたセンサを備え、センサはマグネットの回転を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭56−130163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなセンサアセンブリは、センサとマグネットが車軸線の方向に離間されて配置されている。フロントフォークなどの車体フレームによって車輪を円滑に回転可能に支持する場合には、車輪の車軸線の方向について、車体フレームと車輪との間にある程度の隙間が設けられる。この隙間により、車輪を車体フレームに対して円滑に回転させることができる。車輪を車体フレームに取り付ける際の組み立て精度を考慮すると、この軸方向の隙間はいたずらに小さくできない。このため、車体フレームに固定されたセンサと、車輪に取り付けられるマグネットは、軸方向に離間していた。また、このように、マグネットとセンサとの距離が大きくなるとセンサに到達する磁力の大きさが減衰するので、大きなマグネットが用いられている。
【0005】
そこで本発明は、コンパクトなセンサアセンブリ、該センサアセンブリを備えたドライブユニットおよび自転車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明によれば、
車体フレームに回転可能に支持される車輪を備えた自転車に取り付けられるセンサアセンブリであって、
前記車輪とともに回転する被検出部と、
前記被検出部の回転を検出する検出部と、
前記車体フレームおよび前記車輪のいずれか一方に回転不可能に固定されるホルダと、を有し、
前記ホルダは、前記検出部および前記被検出部を互いに相対回転可能に支持している、センサアセンブリが提供される。
【0007】
本発明に係る自転車によれば、被検出部と検出部がともにホルダに支持されているため、被検出部と検出部の間の隙間の大きさを管理しやすい。このため、被検出部を検出部に対して円滑に回転できるようにしつつ、被検出部と検出部の間の隙間を小さく設定できる。この結果、センサアセンブリ全体をコンパクトに構成できる。
【0008】
(2)上記本発明に係るセンサアセンブリにおいて
前記ホルダは、前記車体フレームに回転不可能に固定され、
前記ホルダは、前記検出部を回転不可能に支持し、前記被検出部を回転可能に支持していてもよい。
【0009】
(3)上記本発明に係るセンサアセンブリにおいて
前記被検出部は、前記車輪のハブに取り付けられる回転伝達部により前記車輪の回転力が伝達されてもよい。
【0010】
(4)上記本発明に係るセンサアセンブリにおいて
前記回転伝達部に設けられた係合部の周方向端面と前記被検出部に設けられた被係合部の周方向端面とが当接して前記車輪の回転力を伝達してもよい。
【0011】
(5)上記本発明に係るセンサアセンブリにおいて
前記車輪の車軸線に直交する径方向において、前記検出部の外縁部および前記被検出部の外縁部が前記ハブの外縁部よりも車軸線寄りに位置していてもよい。
【0012】
(6)上記本発明に係るセンサアセンブリにおいて
前記被検出部は、前記車輪の車軸線の方向について、隙間を介して前記検出部に向かい合っており、
前記車体フレームに取り付けられるカバーによって、前記隙間の外周縁の少なくとも一部が覆われていてもよい。
【0013】
(7)上記本発明に係るセンサアセンブリにおいて
前記被検出部は、前記車輪の車軸線の方向について、隙間を介して前記検出部に向かい合っており、
前記被検出部および前記検出部のいずれか一方に、前記隙間を形成するように、前記被検出部および前記検出部のいずれか他方に向かって突き出す周状突起が設けられていてもよい。
【0014】
(8)上記本発明に係るセンサアセンブリにおいて
前記周状突起は、前記車輪の車軸線に直交する周方向について、前記被検出部および前記検出部のいずれか一方の内周部に設けられていてもよい。
【0015】
(9)本発明によれば、
電動モータと、
前記電動モータへ電力を供給可能なバッテリと、
前記車輪へ前記電動モータのモータトルクを伝達する動力伝達機構と
前記検出部を備えた、(1)から(7)のいずれかのセンサアセンブリと、
前記検出部の出力に基づいて、前記電動モータへ供給する電力量を制御する制御部と、を備えたドライブユニットが提供される。
【0016】
(10)本発明によれば、 前記検出部を備えた、(1)から(7)のいずれかのセンサアセンブリと、
前記検出部の出力結果を表示する表示部と、を備えた自転車が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態である電動自転車の右側面図である。
図2図1のII−II線断面図である。
図3図2に示したセンサアセンブリの分解斜視図である。
図4】被検出部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものとは限らない。
【0019】
以下の説明において、前方、後方、左方及び右方は、ハンドル23を握りつつ電動自転車1のシート24に着座した運転者から見た前方、後方、左方及び右方を意味する。
【0020】
(電動自転車1の全体構成)
図1に、本発明の実施形態に係る電動自転車1の概略構成を示す。
この電動自転車1は、運転者がペダル33,34を踏み込むことにより得られるペダル踏力を、電動モータ60から出力される補助力によってアシストする。
【0021】
図1に示すように、電動自転車1は、前後方向に延びる車体フレーム11を有する。また、電動自転車1は、前輪21、後輪22、ハンドル23、シート24及びドライブユニット40を有する。
【0022】
車体フレーム11は、ヘッドパイプ12、ダウンフレーム13、シートフレーム14、一対のチェーンステイ16及び一対のシートステイ17を有する。ヘッドパイプ12は、電動自転車1の前部に配置されている。ヘッドパイプ12には、後方に延びるダウンフレーム13の前部が接続されている。シートフレーム14は、ダウンフレーム13の後部に接続されている。シートフレーム14は、該ダウンフレーム13の後端部から上方且つ斜め後方に向かって延びている。
【0023】
ヘッドパイプ12には、ハンドルステム25が回転自在に挿入されている。ハンドルステム25の上端部には、ハンドル23が固定されている。ハンドルステム25の下端部には、フロントフォーク26が固定されている。フロントフォーク26の下端部に、前輪21が車軸27によって回転可能に支持されている。
【0024】
円筒状のシートフレーム14の内方には、シートパイプ28が挿入されている。シートパイプ28の上端部に、シート24が設けられている。
【0025】
一対のチェーンステイ16は、後輪22を左右から挟むように設けられている。一対のチェーンステイ16は、ダウンフレーム13の後部から後輪22の回転中心に向かって延びている。一対のシートステイ17は、シートフレーム14の上部から後輪22の回転中心に向かって延びている。チェーンステイ16およびシートステイ17の後端部には、後輪22が車軸29によって回転可能に支持されている。
【0026】
シートフレーム14の後方には、後述するドライブユニット40の電動モータ60に電力を供給するためのバッテリ35が配置されている。バッテリ35は、図示しない充放電可能な充電池および電池制御部を有する。電池制御部は、充電池の充放電を制御するとともに、その出力電流及び残容量等を監視する。
【0027】
クランク軸41、駆動スプロケット42、従動スプロケット45、チェーン46などにより、電動モータのモータトルクおよびペダル33,34に入力されたペダル踏力を後輪22に伝達する動力伝達機構20が構成されている。ドライブユニット40は、この動力伝達機構20、電動モータ60、バッテリ35、後述する検出部を備えたセンサアセンブリ80、および、検出部の出力に基づいて電動モータへ供給する電力量を制御する制御部とを備えている。
【0028】
クランク軸41は、シートフレーム14の下部に回転可能に設けられている。クランク軸41は左右方向に延びるように設けられている。クランク軸41の両端部にはクランクアーム31,32が取り付けられている。クランクアーム31,32の先端には、ペダル33,34が回転可能に取り付けられている。
【0029】
駆動スプロケット42は、クランク軸41の右部に取り付けられている。この駆動スプロケット42はクランク軸41とともに回転する。従動スプロケット45は、後輪22の車軸29と同軸に設けられている。従動スプロケット45は、図示せぬ一方向クラッチを介して後輪22に連結される。
【0030】
無端状のチェーン46は、駆動スプロケット42と従動スプロケット45とに掛け渡されている。これにより、運転者がペダル33,34を踏み込むと、駆動スプロケット42が回転する。さらに駆動スプロケット42の回転はチェーン46を介して従動スプロケット45に伝達され、後輪22が駆動される。
【0031】
電動モータ60はクランク軸41の近傍で車体フレーム11に固定されている。電動モータ60の出力軸に補助スプロケット44が設けられている。電動モータ60にはバッテリ35から電力が供給される。電動モータ60に電力を供給すると電動モータ60が回転する。電動モータ60の回転は、補助スプロケット44を介してチェーン46に伝達される。このように、電動モータ60に電力を供給すると、電動モータ60には補助力としての駆動力が生じる。この補助力はチェーン61を介して後輪22に伝達される。
【0032】
また、ハンドル23の上部には、表示器150が設けられている。表示器150は、センサアセンブリ80の検出部から送信された出力結果を表示する。
【0033】
<センサアセンブリ80>
図2は、図1のII−II線断面図である。図3は、図2に示したセンサアセンブリ80の分解斜視図である。図2および図3に示すように、前輪21は、ハブ47を備えている。ハブ47は、フロントフォーク26の下部に、車軸線Ax回りに回転可能に支持されている。車軸線Axは左右方向に延びている。ハブ47は、車軸線Axに対して直交する径方向に広がるハブフランジ47aを備えている。ハブフランジ47aには、図示せぬスポークが支持されている。
【0034】
ハブ47は、車軸線Ax方向に延びる軸部47bを備えている。軸部47bは、フロントフォーク26の下部に設けられた切り欠き26aを貫通している。軸部47bの外周面にはねじ溝が設けられている。切り欠き26aは、フロントフォーク26の下端が開放されている。
【0035】
軸部47bには、第一ナット48が螺合している。第一ナット48は、フロントフォーク26とハブフランジ47aの間に設けられている。フロントフォーク26より右方に突き出た軸部47bに、左方から右方に向かって、センサカバー50、ステー51、ワッシャ52がこの順に挿通されている。軸部47bの最も右方には第二ナット49が螺合している。第一ナット48および第二ナット49により、センサカバー50、ステー51、ワッシャ52がフロントフォーク26に向かって車軸線Ax方向に締めつけられている。
【0036】
電動自転車1は、センサアセンブリ80を備えている。センサアセンブリ80は、前輪21とともに回転する被検出部81と、被検出部81の回転を検出するセンサ(検出部の一例)82と、ホルダ83とを備えている。ホルダ83は、センサ82を収容するセンサケース85と、抜け止め部86とを備えている。ホルダ83は、センサ82を回転不可能に支持し、被検出部81を回転可能に支持している。
【0037】
図4は、被検出部81の斜視図である。図4に示すように、本実施形態において、被検出部81はマグネットであり、センサ82は磁気センサである。図4は、被検出部81の斜視図である。図4に示すように、被検出部81は、リング状のマグネットサポート81aと、周方向に離間してマグネットサポート81aに設けられた複数のマグネット81bを備えている。
【0038】
図2に示したように、センサ82は、支持基板84に搭載されている。センサ82は、車軸線Ax方向について、被検出部81と向かい合うように設けられている。支持基板84は、センサケース85に固定されている。
【0039】
センサケース85は、平たいリング状の部材である。センサケース85の内部に空洞が設けられている。空洞の内部にセンサ82および支持基板84が固定されている。信号線87が支持基板84からセンサケース85の外部に延びている。信号線87は、フロントフォーク26に沿って上方に延びて、表示器150やドライブユニットの制御部に接続される。
このようにして、センサ82は、ホルダ83に回転不可能に固定されている。
【0040】
図3に示したように、抜け止め部86は、センサケース85の径方向の中央に設けられた孔85aに挿通されている。抜け止め部86はセンサケース85に係合されて、被検出部81が抜け止め部86とセンサケース85との間で回転可能に支持される。
【0041】
抜け止め部86は、周方向に離間した4か所に凹部86aを備えている。この凹部86aが、センサケース85の径方向中心に向かって延びる突起85bを収容する。これにより、抜け止め部86はセンサケース85に対して周方向に移動不能に、抜け止め部86がセンサケース85に嵌め込まれる。
【0042】
抜け止め部86は、車軸線Ax方向に突き出した回止部86bを備えている。回止部86bはフロントフォーク26の切欠き26aと同等の大きさを有している。回止部86bが切欠き26aに進入した状態において、回止部86bがフロントフォーク26に当接し、回止部86bが車軸線Ax回りに回転することを阻止する。
【0043】
図2に示したように、抜け止め部86は、マグネットサポート81aの内径よりやや小さい外径を備えた本体部86cと、マグネットサポート81aの内径より大きい外径を備えたフランジ部86dを備えている。抜け止め部86とセンサケース85とを結合させた状態において、抜け止め部86のフランジ部86dとセンサケース85の左端面との間に、被検出部81が設けられている。被検出部81は、抜け止め部86の外周面に当接し、抜け止め部86回りに回転可能である。また、抜け止め部86のフランジ部86dは、マグネットサポート81aが車軸線Ax方向に抜け出すことを防止している。
このようにして、被検出部81は、ホルダ83に回転可能に支持されている。
【0044】
マグネットサポート81aには、車軸線Ax方向の左方に向かって突き出す被係合部81cが設けられている。センサアセンブリ80は、前輪21の回転力を被検出部81に伝達する回転伝達部90を備えている。回転伝達部90はハブ47に回転不可能に取り付けられている。回転伝達部90は、車軸線Ax方向の右方に開口する凹部(係合部の一例)91を備えている。凹部91は、被係合部81cを収容可能な大きさに形成されている。
回転伝達部90に設けられた凹部91の周方向端面と、被検出部81に設けられた被係合部81cの周方向端面とが当接して前輪21の回転力を被検出部81に伝達する。これにより、回転伝達部90は、車軸線Ax方向の力を伝達せずに、前輪21の回転力を被検出部81に伝達する。
【0045】
<動作>
ホルダ83の一部をなす抜け止め部86は、回止部86bを介して、フロントフォーク26の下部に回転不可能に固定されている。ホルダ83の別の一部をなすセンサケース85は、抜け止め部86の凹部86aとセンサケース85の突起85bとの嵌合により、抜け止め部86に回転不可能に固定されている。これにより、抜け止め部86およびセンサケース85からなるホルダは、フロントフォーク26の下部に回転不可能に固定されている。センサケース85に固定されたセンサ82も、フロントフォーク26に回転不可能に固定されている。
【0046】
前輪21が回転すると、前輪21に取り付けられた回転伝達部90が前輪21とともに回転する。回転伝達部90は、凹部91および被係合部81cを介して、マグネットサポート81aへ前輪21の回転を伝達する。これにより、被検出部81が、ホルダ83に支持されたまま、前輪21とともに回転する。このため、前輪21が回転すると、被検出部81はセンサ82に対して相対回転する。センサ82は、この被検出部81の回転を検出し、その信号を信号線87を介して表示器150やドライブユニットの制御部に送信する。
【0047】
このように、本実施形態に係るセンサアセンブリ80は、被検出部81とセンサ82を、互いの相対回転を可能に支持している。被検出部81とセンサ82がともにホルダ83に支持されているため、被検出部81とセンサ82の間の車軸線Ax方向の隙間の大きさを管理しやすい。このため、被検出部81をセンサ82に対して円滑に回転できるようにしつつ、被検出部81とセンサ82の間の隙間を小さく設定できる。この結果、センサアセンブリ80全体をコンパクトに構成できる。
【0048】
また、本実施形態において、ホルダ83は、フロントフォーク26に回転不可能に固定され、ホルダ83は、センサ82を回転不可能に支持し、被検出部81を回転可能に支持している。センサ82から延びる信号線を、センサ82に対して回転しないホルダ83およびフロントフォーク26を伝って配線することができるため、配線しやすい。
【0049】
また、図2に示したように、前輪21の車軸線Axに直交する径方向において、センサ82の外縁部および被検出部81の外縁部がハブ47の外縁部よりも車軸線寄りに位置している。このため、センサアセンブリ80全体を径方向にもコンパクトに構成できる。
【0050】
被検出部81は、前輪21の車軸線Axの方向について、隙間を介してセンサ82に向かい合っている。フロントフォーク26に取り付けられるセンサカバー50は、車軸線Axに対して直交する径方向に延びる部位53と、該部位53の下部に設けられた隙間覆い部54を備えている。隙間覆い部54は、部位53から左方かつ下方に向かって延びている。センサカバー50の隙間覆い部54は、被検出部81とセンサ82の間に設けられた隙間の外周縁の少なくとも一部を覆っている。このセンサカバー50により、砂利や石などが路面から跳ね上げられて被検出部81とセンサ82の間の隙間に進入することを阻止できる。
【0051】
被検出部81は、前輪21の車軸線Axの方向について、隙間を介してセンサ82に向かい合っている。マグネットサポート81aは、該隙間を形成するように、センサ82に向かって突き出す周状突起81eを備えている。これにより、マグネット81bが、センサ82から一定距離を隔てた状態で安定した姿勢で、ホルダ83の内部で回転する。
【0052】
なお、この周状突起81eは、図2に示したように、前輪21の車軸線Axに直交する周方向について、内周部に設けられていることが好ましい。被検出部81がセンサケース85に対して回転するとき、外周部よりも内周部に設けた方が、周状突起81eのセンサケース85に対する相対速度が小さくなる。このため、周状突起81eの摩耗を抑制することができる。ここで、内周部および外周部とは、センサケース85の径方向の中心位置より内方を内周部、該中心位置より外方を外周部という。
なお、この周状突起81eをマグネットサポート81aに設けた例を説明したが、センサケース85にマグネットサポート81aに向かって突き出す周状突起を設けてもよい。
【0053】
上述の実施形態においては、ホルダ83が車体フレームの一部であるフロントフォーク26に固定される例を説明したが、本発明はこれに限られない。ホルダは、車体フレームおよび車輪のいずれか一方に回転不可能に固定されていればよい。例えば、ホルダが前輪に回転不可能に固定され、被検出部がホルダに回転不可能に支持され、センサがホルダに回転可能に支持され、センサがフロントフォークに取り付けられた回転阻止部材によりフロントフォークに対して回転不可能に支持されていてもよい。この場合には、被検出部が前輪とともに回転し、被検出部は、フロントフォークに回転不可能に固定されたセンサに対して相対回転する。
【0054】
上述の実施形態においては、被検出部81が車軸線Ax方向にセンサ82に対向する例を挙げて説明したが、本発明はこの例に限られない。例えば、被検出部とセンサとが径方向に対向してもよい。この場合には、車軸線Ax方向において重なる位置に被検出部とセンサが配置され、被検出部がセンサよりも外周側(または内周側)に配置され、被検出部がセンサに径方向に対向して配置される。
【0055】
なお、上述の説明においては、本発明を電動自転車1に適用した例を説明したが、本発明は電動モータを持たない自転車に適用してもよい。
また、上述した実施形態においては、センサアセンブリ80が前輪21の回転を検出する構成を説明したが、センサアセンブリ80は後輪22の回転を検出してもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 電動自転車
11 車体フレーム
20 動力伝達機構
21 前輪
26 フロントフォーク
27 車軸
35 バッテリ
40 ドライブユニット
47 ハブ
47a ハブフランジ
47b 軸部
50 センサカバー
60 電動モータ
80 センサアセンブリ
81 被検出部
81a マグネットサポート
81b マグネット
81c 被係止部
81e 周状突起
82 センサ
83 ホルダ
84 支持基板
85 センサケース
85a 孔
85b 突起
86 抜け止め部
86a 凹部
86b 回止部
86c 本体部
86d フランジ部
87 信号線
90 回転伝達部
91 凹部(係合部)
150 表示器
Ax 車軸線
図1
図2
図3
図4