特許第6618265号(P6618265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6618265
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】シート給送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/04 20060101AFI20191202BHJP
   B65H 3/68 20060101ALI20191202BHJP
   B65H 1/26 20060101ALI20191202BHJP
   G03G 15/00 20060101ALN20191202BHJP
【FI】
   B65H1/04 326Z
   B65H3/68
   B65H1/26 310Z
   !G03G15/00 400
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-62574(P2015-62574)
(22)【出願日】2015年3月25日
(65)【公開番号】特開2016-179900(P2016-179900A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2018年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】板橋 俊文
(72)【発明者】
【氏名】高橋 翔
【審査官】 大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−008144(JP,A)
【文献】 特開平10−329961(JP,A)
【文献】 特開昭57−156929(JP,A)
【文献】 特開平08−290846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00−3/68
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に装着可能に設けられ、シートを収納するシート収納部と、
前記シート収納部が装着される第1の方向と直交する第2の方向に前記シート収納部からシートを給送する給送ローラと、
前記給送ローラによって給送されたシートを搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラに圧接して前記搬送ローラとの間でシートを1枚ずつ分離するニップ部を形成する分離部材と、
前記装置本体に設けられた第1ガイド部と、前記シート収納部に設けられた第2ガイド部であって、前記シート収納部が前記装置本体に装着されている状態において前記第1の方向に前記第1ガイド部に並んで配置される第2ガイド部とを備え、前記第2の方向における前記給送ローラと前記ニップ部との間で前記給送ローラにより給送されるシートをガイドする搬送ガイドと、
前記第1ガイド部の前記第1の方向の上流側の端部に設けられる端部ガイド部であって、前記シート収納部を前記装置本体に装着する途中で、前記シート収納部から一部が部分的に突出したシートが当接した際に前記シートに反力を与えるように形成されたガイド面を有する端部ガイド部と、を有し、
前記反力は、上方へ向かう方向成分の分力と、前記第2の方向と反対方向の方向成分の分力を有することを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記ガイド面は、円錐面の一部で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記円錐面の基となる仮想円錐は、頂点が前記搬送ローラの最下点の近傍で、かつ、前記第2の方向に対して前記最下点よりも上流に位置し、前記仮想円錐の円錐面が、前記第1ガイド部及び第2ガイド部のシートを案内するガイド面の延長面よりも上方に突出しないよう配置されていることを特徴とする請求項2に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記ガイド面は、前記シートが当接したときの反力が上方へ向かう方向成分の分力を与えるように形成された平坦な第一の面と、前記第2の方向と反対方向へ向かう方向成分の分力を与えるように形成された平坦な第二の面と、前記第一の面と前記第二の面とに接続され、前記シートが当接したときの反力が上方へ向かう方向成分の分力と前記第2の方向と反対方向に向かう方向成分の分力とを与えるように形成された平坦な第三の面と、を有する複数の面で構成されていることを特徴とする請求項1のシート給送装置。
【請求項5】
前記第1ガイド部と第2ガイド部とは、シートを案内するガイド面が略同じ形状で形成されており、前記シート収納部が前記装置本体に装着されている状態において、第1ガイド部と第2ガイド部とにより略同一のガイド面を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記装置本体に設けられた第1ガイド部は、前記シート収納部の前記第1の方向の奥側からシートの搬送領域の略中央まで延設されており、前記第1ガイド部の中央側端部に前記端部ガイド部が設けられていることを特徴とする請求項5に記載のシート給送装置。
【請求項7】
前記シート収納部には、前記シート収納部が前記装置本体に装着されている状態で、前記第1ガイド部に対向する部分に切欠き部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項8】
装置本体に装着可能に設けられ、シートを収納するシート収納部と、
前記シート収納部が装着される第1の方向と直交する第2の方向に前記シート収納部からシートを給送する給送ローラと、
前記給送ローラによって搬送されたシートを搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラに圧接して前記搬送ローラとの間でシートを1枚ずつ分離するニップ部を形成する分離部材と、
前記装置本体に設けられた第1ガイド部と、前記シート収納部に設けられた第2ガイド部であって、前記シート収納部が前記装置本体に装着されている状態において前記第1の方向に前記第1ガイド部に並んで配置される第2ガイド部とを備え、前記第2の方向において、前記給送ローラと前記ニップ部との間で前記給送ローラにより給送されるシートをガイドする搬送ガイドと、
前記第1ガイド部の前記第1の方向の上流側の端部に設けられる端部ガイド部であって、前記シート収納部からシートの一部が部分的に突出した状態で、前記シート収納部を前記装置本体に装着する途中で、シートの突出した部分が当接可能な端部ガイド部と、
前記端部ガイド部に設けられ、シートの突出した部分の上方への移動と前記第2の方向と反対方向の移動を同時期若しくは連続的に行わせるガイド面と
を有することを特徴とするシート給送装置。
【請求項9】
前記ガイド面は、円錐面の一部で形成されていることを特徴とする請求項8に記載のシート給送装置。
【請求項10】
前記ガイド面は、異なる傾斜角度及び異なる傾斜方向の複数の平面を組み合わせて構成されていることを特徴とする請求項8のシート給送装置。
【請求項11】
前記シート収納部には、前記シート収納部が前記装置本体に装着されている状態で、前記第1ガイド部に対向する部分に切欠き部が形成されていることを特徴とする請求項8乃至請求項10のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項12】
装置本体に装着可能に設けられ、シートを収納するシート収納部と、
前記シート収納部が装着される第1の方向と直交する第2の方向に前記シート収納部からシートを給送する給送ローラと、
前記給送ローラによって搬送されたシートを搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラに圧接して前記搬送ローラとの間でシートを1枚ずつ分離するニップ部を形成する分離部材と、
前記装置本体に設けられた第1ガイド部と、前記シート収納部に設けられた第2ガイド部であって、前記シート収納部が前記装置本体に装着されている状態において前記第1の方向に前記第1ガイド部に並んで配置される第2ガイド部とを備え、前記第2の方向において、前記給送ローラと前記ニップ部との間で前記給送ローラにより給送されるシートをガイドする搬送ガイドと、
前記第1ガイド部の前記第1の方向の上流側の端部に設けられ、前記装置本体に装着する途中でシートが当接可能なガイド面を有する端部ガイド部と、を有し、
前記ガイド面は、前記第1の方向の上流から下流に向かうにつれて上方に向かって延び、かつ、前記第1の方向の上流から下流に向かうにつれて第2の方向の上流部に向かって延びる傾斜面を有することを特徴とするシート給送装置。
【請求項13】
前記ガイド面は、円錐面の一部で形成されていることを特徴とする請求項12に記載のシート給送装置。
【請求項14】
前記シート収納部には、前記シート収納部が前記装置本体に装着されている状態で、前記第1ガイド部に対向する部分に切欠き部が形成されていることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載のシート給送装置。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14に記載のシート給送装置と、
前記シート給送装置から給送されたシートに画像を形成する画像形成部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
シートに画像を形成する画像形成部にシートを給送するシート給送装置及びこのシート給送装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、複写機、プリンタなどの画像形成装置には、普通紙、コート紙、フィルム紙などのシートに画像を形成する画像形成部と、この画像形成部にシートを供給するためのシート給送装置が設けられている。このシート給送装置では、シートを収納するシート収納庫(例えば、給紙カセット)を備えており、ユーザーが画像形成するためのシートをシート収納庫に収納して、画像形成装置本体(以下、装置本体という)に装着する。そして、シート収納庫が装置本体に装着された状態で、給紙ローラや分離ローラ等から構成されるシート給送部により、シート収納部に収納されているシートが一枚ずつ分離されて画像形成部に向けて送り出される。
【0003】
また、画像形成装置では、シート収納庫を装置本体から引き出す方向と装置本体に装着されたシート収納庫からシートを給送するシート給送方向とが直交する構成のものがある。所謂フロントローディング方式で、シート収納庫を画像形成装置の正面から装着し、装着されたシート収納庫から、シート収納庫の装着方向と直交する方向にシート給送部がシートを給送する。
【0004】
この構成では、ユーザーがシート収納庫にシートを収納して装置本体に挿入する途中で、シート収納部に収納されているシート束の上側のシートが装置本体のシート給送部などの部品に突き当たってしまうことがある。特に、シート収納部に最大積載量のシートが収納されている場合や、シートに撓み(カール)が生じている場合にこの現象が生じやすい。
【0005】
装置本体内への挿入途中において、シート収納部に収納されているシートが装置本体の内部の部品に突き当たってシートの引っ掛かりが発生すると、シートが破損等のダメージを受けたり、シートの姿勢(向き)が大きく変わったりする。シートの姿勢が変わった場合には、シート収納部が装置本体に収納されて、シート給送部により給送される際に、シートの給送不良(例えば、シート詰まり(ジャム)やシートの斜め送り(斜行))が発生する。
【0006】
このシート収納部の装置本体への挿入途中でのシートの引っ掛かりを防止するために、例えば、給紙ローラの端部にシートの案内面を設けた構成が提案されている(特許文献1参照)。この構成では、シート収納庫に収納されているシートの端部が撓んでいても、シート収納庫を装置本体に挿入する途中で給紙ローラの端部に設けられている案内面に案内される。このため、収納されているシートにダメージを与えることなく円滑にシート収納庫を装置本体に装着することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平08−290846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
シート収納庫が装置本体に装着される際に、シートの規制が不十分となり、シート収納庫から収納されているシートの端部が部分的にシート給送方向に飛び出てしまうことがある。この状態でシート収納部を装置本体に装着する途中で、シートの飛び出ている部分が、装置本体の給紙ローラ以外の部位に当接してしまうことがある。例えば、シート給送部の近傍に設けられ、シート給送部から給送されたシートを案内するための搬送ガイドなどに、シート収納庫から飛び出たシートの端部が突き当たってしまうことがある。これにより、シートにダメージを生じさせたり、大きくシートの姿勢を変化させたりして、シート詰まり(ジャム)やシートの斜め送り(斜行)などのシートの給送不良を発生させるおそれがある。
【0009】
しかしながら、この課題に関しては、特許文献1で示したように従来の給送ローラの端部にシートの案内面を設ける構成では解決することができない。
【0010】
本発明の目的は、シートを収納するシート収納部からシート給送方向にシートの一部が飛び出た状態でも、円滑にシート収納部を装置本体に装着することができるシート給送装置及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためのシート給送装置は、装置本体に装着可能に設けられ、シートを収納するシート収納部と、前記シート収納部が装着される第1の方向と直交する第2の方向に前記シート収納部からシートを給送する給送ローラと、前記給送ローラによって給送されたシートを搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラに圧接して前記搬送ローラとの間でシートを1枚ずつ分離するニップ部を形成する分離部材と、前記装置本体に設けられた第1ガイド部と、前記シート収納部に設けられた第2ガイド部であって、前記シート収納部が前記装置本体に装着されている状態において前記第1の方向に前記第1ガイド部に並んで配置される第2ガイド部とを備え、前記第2の方向における前記給送ローラと前記ニップ部との間で前記給送ローラにより給送されるシートをガイドする搬送ガイドと、前記第1ガイド部の前記第1の方向の上流側の端部に設けられる端部ガイド部であって、前記シート収納部を前記装置本体に装着する途中で、前記シート収納部から一部が部分的に突出したシートが当接した際に前記シートに反力を与えるように形成されたガイド面を有する端部ガイド部と、を有し、前記反力は、上方へ向かう方向成分の分力と、前記第2の方向と反対方向の方向成分の分力を有することを特徴とする。
また、上記課題を解決するためのシート給送装置は、装置本体に装着可能に設けられ、シートを収納するシート収納部と、前記シート収納部が装着される第1の方向と直交する第2の方向に前記シート収納部からシートを給送する給送ローラと、前記給送ローラによって搬送されたシートを搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラに圧接して前記搬送ローラとの間でシートを1枚ずつ分離するニップ部を形成する分離部材と、前記装置本体に設けられた第1ガイド部と、前記シート収納部に設けられた第2ガイド部であって、前記シート収納部が前記装置本体に装着されている状態において前記第1の方向に前記第1ガイド部に並んで配置される第2ガイド部とを備え、前記第2の方向において、前記給送ローラと前記ニップ部との間で前記給送ローラにより給送されるシートをガイドする搬送ガイドと、前記第1ガイド部の前記第1の方向の上流側の端部に設けられる端部ガイド部であって、前記シート収納部からシートの一部が部分的に突出した状態で、前記シート収納部を前記装置本体に装着する途中で、シートの突出した部分が当接可能な端部ガイド部と、前記端部ガイド部に設けられ、シートの突出した部分の上方への移動と前記第2の方向と反対方向の移動を同時期若しくは連続的に行わせるガイド面とを有することを特徴とする。
また、上記課題を解決するためのシート給送装置は、装置本体に装着可能に設けられ、シートを収納するシート収納部と、前記シート収納部が装着される第1の方向と直交する第2の方向に前記シート収納部からシートを給送する給送ローラと、前記給送ローラによって搬送されたシートを搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラに圧接して前記搬送ローラとの間でシートを1枚ずつ分離するニップ部を形成する分離部材と、前記装置本体に設けられた第1ガイド部と、前記シート収納部に設けられた第2ガイド部であって、前記シート収納部が前記装置本体に装着されている状態において前記第1の方向に前記第1ガイド部に並んで配置される第2ガイド部とを備え、前記第2の方向において、前記給送ローラと前記ニップ部との間で前記給送ローラにより給送されるシートをガイドする搬送ガイドと、前記第1ガイド部の前記第1の方向の上流側の端部に設けられ、前記装置本体に装着する途中でシートが当接可能なガイド面を有する端部ガイド部と、を有し、前記ガイド面は、前記第1の方向の上流から下流に向かうにつれて上方に向かって延び、かつ、前記第1の方向の上流から下流に向かうにつれて第2の方向の上流部に向かって延びる傾斜面を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記解決手段では、搬送ガイドの端部に設けたガイド面によって、シート収納部から突出しているシートの一部の上方への移動と、シート給送方向と反対方向への移動とを同時期若しくは連続的に行うことができる。これにより、シート収納部を装置本体に装着させる際に、シート収納部から突出してしまったシートの先端部が搬送ガイドに引っかかることがなくなり、シートへのダメージや姿勢変化によるシート給送不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(a)本発明の実施形態1にかかるシート給送装置のシート給送部の斜視図、(b)図1(a)のガイド面の三面図
図2】(a)図1のシート給送装置の断面図、(b)図1のシート給送装置の斜視図
図3図1のシート給送装置の下流側から視た斜視図
図4】(a)図1のシート給送装置の斜視図、(b)図1のシート給送装置の平面図
図5】実施形態1のガイド面の弧状斜面の模式図
図6図1のシート給送装置においてシートを給送する状態の断面図
図7】本発明の実施形態2におけるシート給送装置のシート給送部の斜視図
図8】本発明が適用される画像形成装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について説明する。まず、本実施形態のシート給送装置が設けられているカラー画像形成装置(複写機)の構成について図8を用いて説明する。
【0015】
図8に示すように、画像形成装置100は、用紙、コート紙、フィルム紙などのシートにカラーの画像を形成する画像形成部105を有する画像形成装置本体(以下、装置本体という)102を備えている。また、装置本体102の上部にはシートの画像を読み取るための画像読取装置104が配置されている。画像読取装置104は、原稿の画像を読み取って画像データに変換し、その画像データを装置本体102に設けられている制御部に伝達する。
【0016】
装置本体内には、上述したシートに画像を形成する画像形成部105が設けられており、画像形成部105は、本実施形態では電子写真方式によりシートに画像を形成する。この画像形成部105には、感光ドラムを備えた各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の画像形成ユニット106が配置されている。各画像形成ユニット106の感光ドラムには、が画像読取装置104や外部からの入力手段により入力された画像データに基づいてトナー像が形成される。形成されたトナー像は、順次中間転写体(中間転写ベルト)108に一次転写され、中間転写体108に転写されたトナー像は、転写ローラ110によりシートに二次転写される。トナー像が二次転写されたシートは、定着部112に送られてトナー像が定着される。
【0017】
装置本体102の下側には、収納したシートを画像形成部に向けて1枚ずつ送り出すためのシート給送装置50が複数段配置されている。シート給送装置50は、シートが収納され、装置本体102に装着可能及び引出し可能なシート収納部であるシート収納庫5と、シート収納庫5からシートを一枚ずつ分離して送り出すためのシート給送部4が設けられている。
【0018】
(実施形態1)
実施形態1のシート給送装置50の全体構成を、図2図3及び図6を用いて説明する。
【0019】
図2に示すように、シート給送部4は、シート収納部であるシート収納庫5に積載されたシートSを給送するピックアップローラ1と、ピックアップローラ1により送り出されたシートを一枚ずつに分離する分離部57とを備えている。分離部57は、ピックアップローラ1により給送されたシートSを搬送するフィードローラ2と、このフィードローラ2と圧接可能に設けられ、ピックアップローラ1により給送されたシートを一枚ずつ分離する分離ローラ3とを備えている。各ローラ1、2、3はそれぞれ、奥側で装置本体102に保持されている片持ち軸の端部に取り付けられている。
【0020】
シート収納庫5は、収納されたシート束の側端(シート給送方向と直交する方向の端部)の位置を規制するサイド規制板(図示せず)と、シート束の後端を規制する後端規制板(図示せず)とを備えている。これら各規制板により、シート束は、シート収納庫5のシート収納位置に位置決めされて収納される。また、シート収納庫5は、収納したシート束を支持し、シート束の最上位のシートSをシート給送部4により給送可能な位置へ上昇させるシート支持部(中板)59を備えている。なお、シート支持部59は、シート収納庫5が装置本体102に装着されるときには下に位置し、シート収納庫5が装置本体に102装着された後に図示しないリフター機構により上方に移動させられる。
【0021】
シート収納庫5は、シートSを送り出す方向であるシート給送方向X(第2の方向)と直交する幅方向Yに、装置本体102に対して装着可能及び引出し可能となっている。シート収納庫5が装置本体102に装着される方向を第1の方向とする。また、シート収納庫5におけるシート給送方向Xの下流側端部に、積載されているシート束の先端の位置を規制するための前壁面部6が設けられている。また、シート収納庫5のシート給送方向Xの下流には、シート給送部4により送り出されたシートを案内する搬送ガイド7が設けられる。
【0022】
搬送ガイド7は、シート収納庫5の幅方向Yの全域に設けられている。この搬送ガイド7は、シート収納庫5の装着方向において、シート収納庫5の手前側に一体に設けられた第2ガイド部71と、装置本体102の奥側に設けられた第1ガイド部72とを有している。すなわち、搬送ガイド7は、シート収納庫5に設けられた第2ガイド部71と、装置本体102に設けられた第1ガイド部72との二つのガイド部により構成されている。第2ガイド部71は、シート収納庫5が装置本体102に装着されている状態において、幅方向Yに第1ガイド部72と並んで配置される。第1ガイド部72は、シート収納庫5の装着方向の奥側から、ピックアップローラ1及び分離部57の各ローラ2、3の手前側端部の近傍まで延設されており、第2ガイド部71は、第1ガイド部72よりも手前側に設けられている。
【0023】
シート給送部4は、幅方向Yにおけるシートの搬送領域の略中央(シート収納庫5の幅方向における中央に対応する位置)に配置されている。したがって、第1ガイド部72と第2ガイド部71とは幅方向Yにおけるシートの搬送領域の略中央で分割されていることになる。なお、第2ガイド部71と第1ガイド部72は、シートを案内する傾斜したガイド面が略同じ形状で形成されている。そして、シート収納庫5が装置本体102に装着されている状態では、第2ガイド部71と第1ガイド部72は直線状に位置する。
【0024】
第1ガイド部72には、ピックアップローラ1により送り出されたシートSをフィードローラ2と分離ローラ3とのニップ部に案内するためのニップガイド部材74が取り付けられている。このニップガイド部材74は、金属やプラスチックなどで薄板状に形成されており、弾性変形が可能である。なお、第1ガイド部72及び第2ガイド部71のシートをガイドするガイド面と、ニップガイド部材74がシートをガイドする面とは略同じ平面となっている。
【0025】
図6に示すように、ピックアップローラ1は、シート支持部59に積載されているシート束の最上位のシートSの上面に加圧され、駆動伝達されて回転とすることによって、シートSを分離部57に向けて送り出す。分離部57により分離されて送り出されたシートは搬送ガイド7によりガイドされて下流に送られて、画像形成部105の上流に配置されているレジストレーション部60に送られる。レジストレーション部60では、送られてきたシートSの斜行を補正し、画像形成部105の画像の位置に合わせるように所定のタイミングで、斜行が補正されたシートSを送り出す。
【0026】
さらに、本実施形態のシート給送装置50について図2及び図3に基づいて説明する。
【0027】
上述した通り、シート収納庫5に設けられた第2ガイド部71はシート収納庫5の前端部の幅全域に設けられてはいない。搬送ガイド7の奥側の第1ガイド部72は、シート給送部4を支持している給紙フレームに設けられており、給紙フレームは装置本体102に取り付けられている。また、図3に示すように、シート収納庫5に設けられている前壁面部6は、第1ガイド部72と対向する部分に、第1ガイド部72の上流側端部と当接しないように切欠かれた切欠き部5aが形成されている。この切欠き部5aに第1ガイド部72が入り込んで、第1ガイド部72の上流側の垂直面により、積載されているシート束の先端部が規制される。すなわち、シート収納庫5が装置本体102内に装着された状態では、切欠き部5aに第1ガイド部72が位置し、第1ガイド部72の上流側の垂直面とシート収納庫5の前壁面部6とが略同一の面を構成する。
【0028】
このように、搬送ガイド7がシート収納庫5と装置本体102に分割して設けられ、また、前壁面部6も、シート収納庫5と装置本体102に分割して設けられている。ここで、搬送ガイド7及び前壁面部6を、シート収納庫5と装置本体102とに分割して設けられている理由を説明する。
【0029】
例えば、シートSが搬送される搬送領域の幅方向Yの全域に、搬送ガイド7をシート収納庫5に一体に設けた場合には、シート収納庫5を幅方向Yに装着する際に、搬送ガイド7とシート給送部4とが干渉するおそれがある。すなわち、シート収納庫5を装置本体102内での移動を案内するレール等の取り付け位置や部品寸法のばらつきや、シート給送部4の取り付け位置のばらつきにより、シート収納庫5の装着時に搬送ガイド7がシート給送部4と衝突するおそれがある。そこで、シート収納庫5と搬送ガイド7との干渉を避けるために、シート給送方向Xに隙間を設ける必要があるため、シート収納庫5とシート給送部4とを十分に離さなければならず、装置の大型化を招く。
【0030】
そこで、本実施形態では、シート収納庫5の装着方向の手前側のシート給送部4の各ローラ1、2、3が配置されていない箇所では、シート収納庫5から第2ガイド部71を一体に形成している。また、シート収納庫5の装着方向の奥側は、装置本体102に第1ガイド部72を設けている。さらに、第1ガイド部72とシート収納庫5とが干渉しないように、シート収納庫5の奥側に、第1ガイド部72を逃げるように切欠き部5aを形成している。このように、搬送ガイド7及び前壁面部6を、シート収納庫5と装置本体102とに分割することにより、シート収納庫5を装置本体102に装着する際にシート給送部4に突き当たることがなくなる。そのため、シート収納庫5とシート給送部4との隙間を狭く設定することが可能となって装置の小型化を図ることができる。
【0031】
この構成により、シート給送装置50の大型化を抑制することができる。さらに、搬送ガイド7の下流側を、フィードローラ2とリタードローラ3とのニップ部よりも下流側に位置させることもできるため、安定したシートSの案内が可能となる。
【0032】
しかしながら、シート収納庫5を引き出した状態では、切欠き部5aの個所では、収納されたシートSの先端が十分に規制できない。そのため、図4(b)に示すように、収納されたシートSが斜めになってシートSの奥側の先端角部S1がシート収納庫5からシート給送方向Xに突出してしまうことがある。シートSの奥側の先端角部S1が突出した収納状態でシート収納庫5が装置本体102に挿入されると、装置本体102に固定して設けられている第1ガイド部72の端部に、シートSの突出した箇所が引っ掛かってしまうおそれがある。そして、シートSに折れ曲がり等のダメージを与えたり、姿勢が大きく変化してシート給送不良を発生させたりする。
【0033】
そこで、第1ガイド部72の中央側端部にシートSの引っ掛かりを防止する手段が必要となる。
【0034】
図1乃至図6を用いて、実施形態1のシート給送装置の特徴部分を説明する。
【0035】
シート給送部4の搬送ガイド7の端部に設けられている端部ガイド部10には、シートSの奥側の先端角部の引っ掛かりを防止するためのガイド面としての弧状斜面10Aが形成されている。端部ガイド部10は、シート収納庫5の装着方向において第1ガイド部72の上流側に設けられている。端部ガイド部10に形成されている弧状斜面10Aはシート収納庫5の装着方向およびシート給送方向Xに対して弧状に傾斜した構成である。なお、端部ガイド部10は、第1ガイド部72に一体に形成されていてもよいし、ガイド面を有する別の部品を第1ガイド部72に結合するようにして取り付けてもよい。
【0036】
ガイド面である弧状斜面10Aは、シートSの奥側の先端角部S1が当接可能な位置に設けられており、先端角部S1が当接したときに、当接位置PでシートSは弧状斜面10Aから反力を受ける。そして、図1に示すように、弧状斜面10Aは、当接位置Pにおける法線方向の反力の上方(鉛直方向の上方向)に向かう方向成分11の分力とシート給送方向Xと反対方向の方向成分12の分力を生じさせる面で構成されている。すなわち、弧状斜面10Aでは、どの位置でも、シートの先端が当接したときの反力の分力が上方とシート給送方向と反対方向の両方に生じるように形成されている。
【0037】
これにより、シートの先端角部S1が弧状斜面10Aに当接したときに、シートの先端角部S1に弧状斜面10Aから上方に向かう力とシート給送方向Xと反対方向に向かう力とが生じる。そのため、シートSの先端角部S1が弧状斜面10Aに突き当たったときに、シートSの先端角部S1が上方にすくい上げられながらシート給送方向Xと反対方向(シート収納庫5に戻す方向)に移動させられる。
【0038】
図5に示すように、本実施形態1では、ガイド面としての弧状斜面10Aが形成されている。具体的には、弧状斜面10Aは円錐面を基本として形成されている。言い換えれば、この弧状斜面10Aは円錐面の元となる仮想円錐101の側面の一部を用いている。仮想円錐101は、頂点がフィードローラ2の最下点13の近傍で、かつ、シート給送方向Xに対して最下点13よりも上流に位置している。また、仮想円錐101の円錐面がニップガイド部材74のシートを案内する面と滑らかに連結されている。さらに、仮想円錐101は、弧状斜面10Aを構成する円錐面が、第1ガイド部72及び第2ガイド部71のシートを案内するガイド面の延長面よりも上方に突出しないよう配置されている。頂点及び側面がこのような位置関係となるように仮想円錐101が配置されている。
【0039】
このように、第1ガイド部72の中央側端部の端部ガイド部に弧状斜面10Aを設け、シートSの先端角部S1がシート収納庫5から突出した状態でシート収納庫5が装置本体102に挿入されても、シートSにダメージを与えることがない。これは、シート収納庫5が装置本体102に装着される途中で、弧状斜面10Aの円錐面で、突き当たったときにシートSの先端角部S1が上方にすくい上げられながらシート給送方向Xと反対方向に移動させられるためである。さらに、すくい上げられたシートSの先端角部S1が、ニップガイド部材74の案内面に乗り上げると、シートSの突出している奥側の先端角部S1が、シートSの自重によりニップガイド部材74の斜面に沿って下側に移動する。これにより、先端角部S1がシート給送方向Xに突出していたシートSがシート収納庫5に戻る方向にさらに移動させられる。
【0040】
また、上述したように、弧状斜面10Aの仮想円錐101の頂点が、シート給送方向Xにおいてフィードローラ2の最下点13の近傍でシート給送方向Xの上流に位置している。これにより、弧状斜面10AによるシートSの先端角部S1のすくい上げの際にシートSが大きく跳ね上がられても、フィードローラ2に当接することが低減できる。
【0041】
このように、シート収納庫5が装置本体102に装着される際に、シート収納庫5から一部が突出しているシートSが弧状斜面10Aに当接することにより、すくい上げられる力とシート収納庫5に戻す方向の力を受ける。これにより、シートSが旋回してシート収納位置に向けて移動させられる。また、シートSがすくい上げられて移動させられる際に、シートSの先端角部S1が滑らかな弧状斜面10Aに当接するため、シートの先端角部S1にダメージを受けることがない。
【0042】
これにより、搬送ガイドとの引っかかりによるシートへのダメージや、姿勢変化によるシートの給送不良を防止できる。
【0043】
(実施形態2)
図7を用いて、実施形態2を説明する。なお、ここでは実施形態1と異なる構成を詳細に説明し、その他の構成は実施形態1と同じであるため説明を省略する。また、実施形態2では、搬送ガイド7の第1ガイド部72の端部に設けられている端部ガイド部14に、ガイド面としての多面ガイド面14Aが設けられている。この多面ガイド面14Aは、シートSの先端角部S1が当接したときの反力から上方へ向かう方向成分の分力を生じさせる平坦な第一の面15と、シート給送方向Xと反対方向へ向かう方向成分の分力を生じさせる平坦な第二の面16を備えている。さらに、多面ガイド面14Aは、第一の面15と第二の面16とに接続され、シートSが当接したときの反力を上方へ向かう方向成分の分力とシート給送方向Xと反対方向に向かう方向成分の分力とを生じさせる平坦な第三の面17を備えている。これら第一から第三の面15、16、17は、それぞれシート収納庫5の装着方向及びシート給送方向Xに対して傾斜する斜面となるように配置されている。
【0044】
この構成により、シート収納庫5が装置本体102に装着される途中で、収納されているシートSの奥側の先端角部S1が、搬送ガイド7の第1ガイド部72の端部に設けられている多面ガイド面AAの第三の面17に突き当たる。第三の面17に突き当たったシートSの奥側の先端角部S1は、すくい上げられると共にシート給送方向Xと反対方向に移動させられる。そして、シートSの奥側の先端角部S1が、第一の面15によりすくい上げられ、さらに、第二の面16によりシート給送方向Xと反対方向に移動させられる。これにより、実施形態1で説明したように、シートSがシート収納庫5に戻るように移動させられて、シートSの搬送ガイド7との引っかかりによるシートSへのダメージや姿勢変化によりシートの給送不良を防止できる。
【0045】
ここで、上述した実施形態1及び実施形態2についてさらに説明する。
【0046】
搬送ガイド7の第1ガイド部72の端部の端部ガイド部(10、14)にガイド面(弧状斜面10A、多面ガイド面14A)を設けて、シート収納庫5が装置本体102に装着される途中で、突出しているシートSの先端角部S1の引っ掛かりを防止している。このガイド面を設ける場合には、次の点が重要である。
【0047】
まず、単にガイド面がシート収納庫5からシートSの突出した部分をすくい上げるだけの構成では、すくい上げられたシートの先端部が上方に配置されているシート給送部4に引っ掛かってしまうおそれがある。また、ガイド面がシート収納庫5からシートSの突出した部分をシート給送方向と反対方向に移動させるだけの構成では、シートSの端部が突き当たったときに大きな力が加わって、シートSにダメージを与えるおそれがある。
【0048】
そこで、第1ガイド部72の端部に設けられるガイド面は、シート収納庫5の装置本体102内への装着に伴って、突出しているシートSの奥側の先端角部S1に対してすくい上げとシート給送方向と反対方向の移動を同時期若しくは連続的に行う必要がある。すなわち、搬送ガイド7の第1ガイド部72に設けられるガイド面は、シートSの先端角部S1をすくい上げながら、シート収納庫5へ戻す方向に移動させることが求められる。
【0049】
そこで、実施形態1では、ガイド面に円錐面を用いている。この円錐面によって、シートSの先端角部S1のすくい上げとシート収納庫5への戻しを同時期若しくは連続的に行うことができる。同様に、実施形態2では、向きの異なる多数の平面により構成することにより、シートSの奥側の先端角部S1のすくい上げとシート収納庫5へ戻す方向の移動を同時期若しくは連続的に行うことができる。これにより、シートSの搬送ガイド7との引っかかりによるシートSのダメージや姿勢変化によるシート給送不良を防止することができる。
【0050】
なお、ガイド面としては、このような条件を満たせばよく、例えば、ニップガイド部材のシートを案内する面と滑らかに接続されるように配置された円柱の外周の一部を用いたガイド面であってもよい。また、実施形態2では、ガイド面を3面の平面で構成しているが、ガイド面を4面以上の平面で構成してもよい。すなわち、ガイド面を異なる傾斜角度及び傾斜方向の複数の平面を組み合わせ構成してもよい。
【0051】
以上説明したように、本実施形態では、搬送ガイド7をシート収納庫5の第2ガイド部71と装置本体102の第1ガイド部72に分割して配置させる構成において、シートSの先端角部S1の引っ掛かりを防止することができる。そのため、装置の小型化を図った装置に対してシート収納庫を装置本体に装着する際のシートの引っ掛かりを防止することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 ピックアップローラ
2 フィードローラ
3 リタードローラ
4 シート給送部
5 シート収納庫
6 前壁面部
7 搬送ガイド部
10 端部ガイド部
10A 弧状斜面
13 フィードローラの最下部
14 端部ガイド部
14A 多面ガイド面
15 第一の斜面
16 第二の斜面
17 第三の斜面
71 ガイド部(シート収納庫側)
72 ガイド部(装置本体側)
101 仮想円錐
S シート
X シート給送方向
Y 幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8