特許第6618270号(P6618270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6618270
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】太陽光発電装置
(51)【国際特許分類】
   H02S 20/32 20140101AFI20191202BHJP
   H02S 20/10 20140101ALI20191202BHJP
【FI】
   H02S20/32
   H02S20/10 C
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-91199(P2015-91199)
(22)【出願日】2015年4月28日
(65)【公開番号】特開2016-208779(P2016-208779A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2018年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】597095120
【氏名又は名称】株式会社岡常歯車製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】野田 一行
(72)【発明者】
【氏名】高部 義幸
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 義規
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0308091(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0073161(US,A1)
【文献】 特開2001−291890(JP,A)
【文献】 特開2011−243934(JP,A)
【文献】 特開昭50−149359(JP,A)
【文献】 特開2013−021287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 20/32
H02S 20/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の帯板片状太陽電池パネル(4)を備え、上記太陽電池パネル(4)の受光面(4a)に太陽光が略垂直状に射し込むように上記太陽電池パネル(4)を太陽の日周運動に追従させる太陽光発電装置であって、
複数の上記太陽電池パネル(4)が取着されるパネル取付用揺動フレーム(5)を複数個並列状に配設し、
季節による太陽の軌道変動に対応して上記太陽電池パネル(4)の受光面(4a)の向きを調整するための角度調整機構(3)と、太陽の日周運動に合わせて上記揺動フレーム(5)を揺動させ複数の上記太陽電池パネル(4)を回転させる回転駆動機構(6)とを、備え、
該回転駆動機構(6)は、モーター(11)によって回転駆動される駆動軸(12)と、該駆動軸(12)に取付けた複数のウォームギア部(13)と、上記ウォームギア部(13)に噛合して、上記揺動フレーム(5)を揺動させる複数のウォームホイール部(14)とによって、複数の太陽電池パネル(4)を機械的に連動連結し、
上記パネル取付用揺動フレーム(5)は、複数本の支持棒(21)(22)(23)によって架台(8)に揺動自在に取着され、
上記揺動フレーム(5)に第1支持棒(21)、第2支持棒(22)、第3支持棒(23)が順次連結され、
上記第1支持棒(21)、上記第2支持棒(22)、上記第3支持棒(23)は、夫々に長さ寸法(L)が異なり、上記第1支持棒(21)が最も短く、上記第2支持棒(22)が上記第1支持棒(21)より長く、かつ、上記第3支持棒(23)より短く設定され、
上記第2支持棒(22)は、下端部(22a)に上記ウォームホイール部(14)が固着され、揺動軸芯(Lo)廻りに揺動自在とし、上端部(22b)が上記揺動フレーム(5)に枢着され、
上記第1支持棒(21)の下端部(21a)及び上記第3支持棒(23)の下端部(23a)と上記架台(8)との連結点は、ボールジョイントを用いて左右前後方向に自由に揺動可能とし、上記第1支持棒(21)の上端部及び上記第3支持棒(23)の上端部と上記揺動フレーム(5)の第2枠材(2)との連結点も、左右前後方向に自由に揺動可能として形成し、
上記第1支持棒(21)の下端部(21a)及び上記第3支持棒(23)の下端部(23a)と上記架台(8)との連結点は、上記ウォームホイール部(14)の揺動軸芯(Lo)の延長線上には配設されず、
上記第1支持棒(21)の下端部(21a)が、上記第2支持棒(22)の揺動軸心(Lo)よりも上記太陽電池パネル(4)寄り内側の位置に配設され、上記第3支持棒(23)の下端部(23a)が、上記第2支持棒(22)の揺動軸心(Lo)よりも上記太陽電池パネル(4)から遠い外側の位置に配設されていることを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項2】
上記太陽電池パネル(4)は、上記角度調整機構(3)によって、夏季の太陽軌道上の日出位置(E)・日没位置(W)に対応して、上記受光面(4a)の向きが、平面的に見て東方向と西方向を超えて180度より大きい角度範囲にわたって変位するよう構成されている請求項1記載の太陽光発電装置。
【請求項3】
複数個の上記揺動フレーム(5)を架台(8)に並設して太陽光発電ユニット(10)を形成し、
複数個の上記太陽光発電ユニット(10)(10)を並べて配設し、一の駆動軸(12)の長手方向端部(12a)に、他の駆動軸(12)の長手方向端部(12a)を自在継手(24)を介して連結して、上記モーター(11)によって連結一体状の上記駆動軸(12)(12)を回転駆動して複数個の上記揺動フレーム(5)を揺動させるよう構成されている請求項1又は2記載の太陽光発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光発電装置の発電効率を向上させる為に、軌道上の太陽の日周運動に太陽電池パネルを追従させて、太陽電池パネルの受光面が略垂直状に太陽光を受けるようにした追従式の太陽光発電装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−91073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の太陽光発電装置は、太陽の位置を検知するセンサーを備え、センサーにより検知した軌道上の太陽の位置に合わせて太陽電池パネルの稼働を制御するものであって、構造が複雑となり、それに伴ってコストも高くなるという欠点があった。
【0005】
そこで、本発明は、簡単な構造で太陽電池パネルを太陽に追従させて太陽光発電効率を向上する太陽光発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る太陽光発電装置は、複数の帯板片状太陽電池パネルを備え、上記太陽電池パネルの受光面に太陽光が略垂直状に射し込むように上記太陽電池パネルを太陽の日周運動に追従させる太陽光発電装置であって、複数の上記太陽電池パネルが取着されるパネル取付用揺動フレームを複数個並列状に配設し、季節による太陽の軌道変動に対応して上記太陽電池パネルの受光面の向きを調整するための角度調整機構と、太陽の日周運動に合わせて上記揺動フレームを揺動させ複数の上記太陽電池パネルを回転させる回転駆動機構とを、備え、該回転駆動機構は、モーターによって回転駆動される駆動軸と、該駆動軸に取付けた複数のウォームギア部と、上記ウォームギア部に噛合して、上記揺動フレームを揺動させる複数のウォームホイール部とによって、複数の太陽電池パネルを機械的に連動連結し、上記パネル取付用揺動フレームは、複数本の支持棒によって架台に揺動自在に取着され、上記揺動フレームに第1支持棒、第2支持棒、第3支持棒が順次連結され、上記第1支持棒、上記第2支持棒、上記第3支持棒は、夫々に長さ寸法が異なり、上記第1支持棒が最も短く、上記第2支持棒が上記第1支持棒より長く、かつ、上記第3支持棒より短く設定され、上記第2支持棒は、下端部に上記ウォームホイール部が固着され、揺動軸芯廻りに揺動自在とし、上端部が上記揺動フレームに枢着され、上記第1支持棒の下端部及び上記第3支持棒の下端部と上記架台との連結点は、ボールジョイントを用いて左右前後方向に自由に揺動可能とし、上記第1支持棒の上端部及び上記第3支持棒の上端部と上記揺動フレームの第2枠材との連結点も、左右前後方向に自由に揺動可能として形成し、上記第1支持棒の下端部及び上記第3支持棒の下端部と上記架台との連結点は、上記ウォームホイール部の揺動軸芯の延長線上には配設されず、上記第1支持棒の下端部が、上記第2支持棒の揺動軸心よりも上記太陽電池パネル寄り内側の位置に配設され、上記第3支持棒の下端部が、上記第2支持棒の揺動軸心よりも上記太陽電池パネルから遠い外側の位置に配設されるよう構成されているものである。
【0007】
また、上記太陽電池パネルは、上記角度調整機構によって、夏季の太陽軌道上の日出位置・日没位置に対応して、上記受光面の向きが、平面的に見て東方向と西方向を超えて180度より大きい角度範囲にわたって変位するよう構成されているものである。
また、複数個の上記揺動フレームを架台に並設して太陽光発電ユニットを形成し、複数個の上記太陽光発電ユニットを並べて配設し、一の駆動軸の長手方向端部に、他の駆動軸の長手方向端部を自在継手を介して連結して、上記モーターによって連結一体状の上記駆動軸を回転駆動して複数個の上記揺動フレームを揺動させるよう構成されているものである。

【発明の効果】
【0008】
本発明の太陽光発電装置によれば、構造が簡素で、安価に製造でき、かつ、複数の太陽電池パネルをウォームギア部とウォームホイール部により機械的に連動連結して太陽に追従させて、太陽光発電効率を向上できる。太陽電池パネルを取着した複数の揺動フレームを共用のモーターによって駆動できる。ウォームギア部とウォームホイール部の噛合に遊びが生じることなく、モーターにより非常に細かく太陽電池パネルを制御できる。ウォームギア部とウォームホイール部により高いギア比を小さなスペースで実現でき、太陽電池パネルに高いトルクを伝達できる。季節による太陽の軌道変動に対応して、太陽電池パネルの受光面の向きの調整を、角度調整機構によって、容易に行うことができる。角度調整機構によって、日本だけでなく、地球上のどの緯度でも、太陽の軌道変動に容易に対応でき、海外での使用に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の一形態を示した側面図である。
図2】一部断面で示す要部拡大側面図である。
図3】本発明の太陽光発電装置を示した平面図である。
図4】一部断面で示す要部拡大正面図である。
図5】春分の日及び秋分の日の太陽軌道を示す簡略斜視図である。
図6】本発明の太陽光発電装置を示した正面図である。
図7】冬季の太陽軌道を示す簡略斜視図である。
図8】本発明の太陽光発電装置の冬季の使用状態を示した側面図である。
図9】夏季の太陽軌道を示す簡略斜視図である。
図10】本発明の太陽光発電装置の夏季の使用状態を示した側面図である。
図11】夏季の太陽電池パネルの変位を説明する簡略平面図である。
図12】太陽電池パネルの回転の様子を説明する斜視図である。
図13】太陽電池パネルの回転の様子を説明する斜視図である。
図14】複数個の太陽光発電ユニットを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態を示す図面に基づき本発明を詳説する。
本発明は、太陽電池パネルの受光面に太陽光が略垂直状に射し込むように、太陽電池パネルを太陽の日周運動に追従させる太陽追従(追尾)式の太陽光発電装置に関する。
図1図3に示すように、本発明の太陽光発電装置は、複数の帯板片状太陽電池パネル4を備え、季節による太陽の軌道変動に対応して太陽電池パネル4の受光面4aの向きを調整するための角度調整機構3と、太陽の日周運動に合わせて複数の太陽電池パネル4を回転させる回転駆動機構6とを、備えている。
【0011】
太陽電池パネル4は、揺動自在のパネル取付用揺動フレーム5の上面5aに取り付けられている。揺動フレーム5は、複数個が架台8に並列状に配設され、架台8と複数個の揺動フレーム5によって連結一体状の太陽光発電ユニット10が形成されている。
図1に示すように、パネル取付用揺動フレーム5は、側面視三角形状に形成され、3枚の太陽電池パネル4が縦方向(長手方向)に並べて固着される第1枠材1と、第1枠材1にヒンジ部7で枢着されると共に複数本の支持棒21,22,23によって架台8に支持される第2枠材2と、第1枠材1と第2枠材2にヒンジ部7の反対側端部で連結される長さ調節自在の調整用枠材9とを、有し、第1枠材1と第2枠材2がヒンジ部7で成す角度αが、調整用枠材9の長さ調節によって自由に変更できるように構成されている。即ち、太陽電池パネル4の受光面4aの向きが、揺動フレーム5の調整用枠材9を長さ調節することによって変更される。図1に示す傾斜角度θは、揺動フレーム5を鉛直起立状態とした際に、水平面に対し受光面4aの成す角度を図示している。なお、揺動フレーム5の調整用枠材9の長さ調節は、手動にて操作可能である。
【0012】
図2図4に示すように、回転駆動機構6は、架台8に取付けられるモーター11と、モーター11に連結されて回転駆動される駆動軸12と、駆動軸12に所定のピッチで取付けられる複数のウォームギア部13と、ウォームギア部13に噛合する複数のウォームホイール部14とを、備えている。
モーター11は、パルス電流により一定の小角度ずつ回転するステッピングモーターが用いられ、モーター11を太陽の日周運動に合わせて駆動するパルス電流が入力されるよう制御部25によって電気的に制御されている。なお、パルス電流とは、脈動するように継続時間の極めて短い電流のことをいう。ウォームホイール部14は、揺動フレーム5を支持する複数本の支持棒21,22,23の内の1本の支持棒22の下端に固着されている。ウォームギア部13とウォームホイール部14によって、駆動軸12の回転駆動力が、揺動フレーム5を揺動させる力に変換される。従って、駆動軸12と供回りする複数のウォームギア部13によって、複数のウォームホイール部14に回転駆動力が伝達され、複数個の揺動フレーム5が同時に揺動し、複数の太陽電池パネル4が機械的に連動(連結)して回転するよう構成されている。モーター11がステッピングモーターであり、かつ、ウォームギア部13とウォームホイール部14の噛合により確実に駆動軸12の回転駆動力が揺動フレーム5に伝達される為、受光面4aを常に太陽に向けるように太陽電池パネル4の回転を非常に細かく制御することが可能である。ウォームホイール部14は、架台8に固定されたギア支持部30に揺動軸心L廻りに回転自在に枢着され、かつ、ウォームギア部13は、ギア支持部30に枢支され、ウォームホイール部14とウォームギア部13の噛合状態が保持されている。なお、ウォームギア部13とウォームホイール部14の接合角度を変更することは可能であり、支持棒22の角度の変更を容易に行うことができる。
【0013】
図1に示すように、パネル取付用揺動フレーム5は、複数本の支持棒21,22,23によって架台8に揺動自在に取着されている。揺動フレーム5の第2枠材2に、北側から第1支持棒21と第2支持棒22と第3支持棒23の3本が順次連結されている。第1支持棒21・第2支持棒22・第3支持棒23は、夫々に長さ寸法Lが異なり、第1支持棒21が最も短く、第2支持棒22は、第1支持棒21より長く、かつ、第3支持棒23より短く設定されている。第2支持棒22は、下端部22aにウォームホイール部14が固着され、揺動軸心L廻りに揺動自在とし、上端部22bが第2枠材2の垂下突片2aに枢着されている。第1支持棒21の下端部・第3支持棒23の下端部と架台8との連結点は、ボールジョイントを用いて左右前後方向に自由にフリー揺動可能とし、第1支持棒21の上端部・第3支持棒23の上端部と揺動フレーム5の第2枠材2との連結点も、左右前後方向に自由にフリー揺動可能として形成されている。なお、第1支持棒21の下端部・第3支持棒23の下端部と架台8との連結点は、ウォームホイール部14の揺動軸心Lの延長線上には配設されていない。
【0014】
図5に示すように、春分の日、及び、秋分の日には、太陽は、真東(日出位置E)から上り、真西(日没位置W)に沈む。
図1では、太陽電池パネル4は、受光面4aの傾斜角度θを、角度調整機構3によって、春分の日又は秋分の日の太陽軌道上の南中高度Φに対応して、θ=90°−Φの関係式が成り立つように設定する。
図6に示すように、太陽電池パネル4は、回転駆動機構6によって、太陽の日周運動に合わせて図中矢印Mのように東西方向(左右方向)に回転する。太陽電池パネル4は、春分の日又は秋分の日の日出位置E・日没位置Wに対応して、受光面4aの向きが、平面的に見て真東から真西の約180度の角度範囲にわたって変位するよう構成されている。
【0015】
図7に示すように、秋分の日より後、春分の日より前の期間(以下、冬季という)には、太陽軌道上の日出位置E・日没位置Wが、真東・真西より南に移動し、太陽の見かけの移動距離が短くなる。即ち、夜より昼が短くなる。なお、冬季の太陽軌道上の南中高度Φは、春分の日又は秋分の日の南中高度Φよりも小さくなる。
図8に示すように、太陽電池パネル4は、角度調整機構3によって、冬季の太陽軌道に対応して、受光面4aの傾斜角度θが、春分の日又は秋分の日より大きく設定されている。太陽電池パネル4は、冬季の日出位置E・日没位置Wに対応して、受光面4aの向きが、平面的に見て真東から真西の間の180度より小さい角度範囲にわたって変位するよう構成されている。
【0016】
図9に示すように、春分の日より後、秋分の日より前の期間(以下、夏季という)には、太陽軌道上の日出位置E・日没位置Wが、真東・真西より北に移動し、太陽の見かけの移動距離が長くなる。即ち、昼が長くなる。なお、夏季の太陽軌道上の南中高度Φは、春分の日又は秋分の日の南中高度Φよりも大きくなる。
図10に示すように、太陽電池パネル4は、角度調整機構3によって、夏季の太陽軌道に対応して、受光面4aの傾斜角度θが、春分の日又は秋分の日より小さく設定されている。
図11では、太陽電池パネル4は、夏季の日出位置E・日没位置Wに対応して、受光面4aの向きが、平面的に見て東方向と西方向を超えて180度より大きい角度範囲にわたって変位するよう構成されている。
【0017】
夏季に於ける太陽電池パネル4の回転の様子を説明すると、図12に示すように、揺動フレーム5を鉛直起立状態とすると、太陽電池パネル4の受光面4aは、南下がりに傾斜しつつほぼ上方に向いている。第1支持棒21の下端部21aと第3支持棒23の下端部23aは、第2支持棒22の揺動軸心Lの延長線上にはなく、第1支持棒21の下端部21aは、揺動軸心Lより太陽電池パネル4寄り(内側)の位置に配設され、第3支持棒23の下端部23aは、揺動軸心Lより太陽電池パネル4から遠い(外側)の位置に配設されている。
【0018】
図13に示すように、第2支持棒22を90°揺動させ太陽電池パネル4を上向きから横向きに回転させると、第3支持棒23は、太陽電池パネル4と共に揺動する。第3支持棒23は、揺動フレーム5に連結されて第2支持棒22と一定の距離を維持する為、第2支持棒22側(北側)に傾きつつ90°未満の角度で揺動する。また、第1支持棒21も、第2支持棒22を90°揺動させると、太陽電池パネル4と共に揺動する。第1支持棒21は、第2支持棒22と一定の距離を維持する為、第2支持棒22側(南側)に傾きつつ90°を超える角度で揺動する。即ち、太陽電池パネル4は、第1支持棒21・第2支持棒22・第3支持棒23の長さの違いによって回転半径に差が生じ、90°回転して横方向を向くと、受光面4aが北向きに傾斜する。なお、第1支持棒21・第2支持棒22・第3支持棒23の支点を同一直線上に配設しないことで、第1支持棒21と第3支持棒23が揺動に伴って第2支持棒22側に傾き、太陽電池パネル4の受光面4aを、所定角度だけ大きく北向きに傾けることができる。
【0019】
図14に示すように、架台8に揺動フレーム5を複数個並設した太陽光発電ユニット10,10を、複数個並べて配設し、一の駆動軸12の長手方向端部12aに、他の駆動軸12の長手方向端部12aを自在継手(ユニバーサルジョイント)24を介して連結して、モーター11によって連結一体状の駆動軸12,12を回転駆動して複数個の揺動フレーム5を揺動させるよう構成されている。
つまり、複数個の太陽光発電ユニット10,10を並べて使用する場合、モーター11を共用し、(1つの)モーター11の回転駆動力を自在継手(ユニバーサルジョイント)24を介して駆動軸12,12相互に伝達する。駆動軸12,12を自在継手24によって連結することにより、地面の起伏に対応して設置でき、かつ、太陽光発電ユニット10,10の並べ方の変更も自由である。また、太陽光発電ユニット10,10の数の増減を容易に行える。従って、本発明に係る太陽光発電装置は、遊休地に設置するのみでなく、農地や駐車場等の上部に設置することが可能であって、デッドスペースを有効に利用することができる。
【0020】
なお、本発明は、設計変更可能であって、例えば、架台8に並設する揺動フレーム5の数、及び、揺動フレーム5の取着する太陽電池パネル4の数は自由に増減することができる。
また、複数の太陽電池パネル4が取着される揺動フレーム5を架台8に複数個並設して連結一体状の太陽光発電ユニット10とすることにより、複数の太陽電池パネルを大きなパネルに固定する従来の太陽光発電装置に比べ、風・雪の影響を受けにくい。
【0021】
以上のように、本発明に係る太陽光発電装置は、複数の帯板片状太陽電池パネル4を備え、太陽電池パネル4の受光面4aに太陽光が略垂直状に射し込むように太陽電池パネル4を太陽の日周運動に追従させる太陽光発電装置であって、複数の太陽電池パネル4が取着されるパネル取付用揺動フレーム5を複数個並列状に配設し、季節による太陽の軌道変動に対応して太陽電池パネル4の受光面4aの向きを調整するための角度調整機構3と、太陽の日周運動に合わせて揺動フレーム5を揺動させ複数の太陽電池パネル4を回転させる回転駆動機構6とを、備え、回転駆動機構6は、モーター11によって回転駆動される駆動軸12と、駆動軸12に取付けた複数のウォームギア部13と、ウォームギア部13に噛合して揺動フレーム5を揺動させる複数のウォームホイール部14とによって、複数の太陽電池パネル4を機械的に連動連結するよう構成されているので、構造が簡素で、安価に製造でき、かつ、複数の太陽電池パネル4をウォームギア部13とウォームホイール部14により機械的に連動連結して太陽に追従させて、太陽光発電効率を向上できる。太陽電池パネル4を取着した複数個の揺動フレーム5を共用のモーターによって駆動できる。ウォームギア部13とウォームホイール部14の噛合に遊びが生じることなく、モーター11(ステッピングモーター)により非常に細かい制御が可能となり、太陽電池パネル4が確実に太陽に追従できる。ウォームギア部13とウォームホイール部14により高いギア比を小さなスペースで実現でき、太陽電池パネル4に高いトルクを伝達できる。季節による太陽の軌道変動に対応して、太陽電池パネル4の受光面4aの向きの調整を、角度調整機構3によって、容易に行うことができる。角度調整機構3によって、日本だけでなく、地球上のどの緯度でも、太陽の軌道変動に容易に対応でき、海外での使用に対応できる。
【0022】
また、太陽電池パネル4は、角度調整機構3によって、夏季の太陽軌道上の日出位置E・日没位置Wに対応して、受光面4aの向きが、平面的に見て東方向と西方向を超えて180度以上の角度範囲にわたって変位するよう構成されているので、夏季の太陽軌道に合わせて受光面4aを太陽に向け、太陽電池パネル4を稼働することができる。
【0023】
また、複数個の揺動フレーム5を架台8に並設して太陽光発電ユニット10を形成し、複数個の太陽光発電ユニット10,10を並べて配設し、一の駆動軸12の長手方向端部12aに、他の駆動軸12の長手方向端部12aを自在継手24を介して連結して、モーター11によって連結一体状の駆動軸12,12を回転駆動して複数個の揺動フレーム5を揺動させるよう構成されているので、太陽光発電ユニット10の数を駆動軸12,12の連結により変更できる。地面の起伏に合わせて複数個の太陽光発電ユニット10,10を設置できる。遊休地に設置するのみでなく、農地や駐車場等の上部に設置することが可能であって、デッドスペースを有効に利用することができる。
【0024】
また、パネル取付用揺動フレーム5は、長さ寸法Lが異なる複数本の支持棒21,22,23によって揺動自在に取着されているので、太陽電池パネル4を180度以上の角度範囲にわたって変位させ、夏季の太陽軌道に合わせて受光面4aを太陽に向けるよう太陽電池パネル4を稼働することができる。
【符号の説明】
【0025】
3 角度調整機構
4 太陽電池パネル
4a 受光面
5 揺動フレーム
6 回転駆動機構
8 架台
10 太陽光発電ユニット
11 モーター
12 駆動軸
12a 長手方向端部
13 ウォームギア部
14 ウォームホイール部
21 支持棒
22 支持棒
23 支持棒
24 自在継手
L 長さ寸法
夏季の太陽軌道上の日出位置
夏季の太陽軌道上の日没位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14