(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記単電池セル連続体の前記シール部の長さは、単電池セルのN個ごとにΔL/N(ただしΔLは、前記回転体に巻回される前記単電池セル連続体の一つ前の周と現在の周との長さの差)だけ長くなるよう形成されている請求項1に記載の積層型電池の製造装置。
前記回転体の少なくとも一つのステージに対応して設けられ、当該ステージの周方向と直交する辺のそれぞれにおいて、当該ステージの法線方向に、前記単電池セル連続体をシール部で切断する一対の切断刃を有する、請求項1または2記載の積層電池の製造装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施の形態に係る積層電池の製造装置は、
図1に模式的に示すように、単電池セル10がシール部を介して一列に連続形成されてなる帯状の単電池セル連続体20を供給する供給部1と、当該供給された単電池セル連続体20を巻き付ける回転体21を備えた積層部2とを含んで構成されている。なお、以下の説明及び図において、各部の大きさや大きさの比率等は、例示のものであり、現実のものはこれと異なっていてよい。
【0014】
ここで供給部1においては、帯状(長尺のシート状)の第1の集電体シート11がロール100に巻回されて提供され、また、第2の集電体12は、所定形状に切断されて提供される。この第2の集電体12の形状については後に述べる。なお、
図1では、製造の工程を見やすくするため、第1の集電体シート11の幅方向中央で破断した断面を模式的に表す断面図としている。
【0015】
第1の集電体シート11及び第2の集電体12は、金属集電体及び樹脂集電体のいずれを用いても良く、それぞれ公知の金属集電体並びに特開2012−150905号公報及び国際公開番号WO2015/005116号等に記載の公知の樹脂集電体等を用いることができる。
【0016】
金属集電体としては、リチウムイオン電池に一般に使用する金属集電体を用いることができ、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、タンタル、ニオブ、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモン及びこれらの一種以上を含む合金並びにステンレス合金からなる群から選択される一種以上の金属からなる集電体等が挙げられる。
【0017】
金属集電体の基材の形態は、薄板状、金属箔状及びメッシュ状のいずれであってもよく、金属集電体の基材の表面にスパッタリング、電着及び塗布等の手法により金属層を形成してもよい。
【0018】
樹脂集電体とは、導電性高分子材料又は導電性を付与した非導電性高分子材料から形成された集電体であり、導電性高分子材料としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアクリロニトリル、及びポリオキサジアゾール等が挙げられる。非導電性高分子材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリシクロオレフィン(PCO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂又はこれらの混合物等が挙げられる。
【0019】
非導電性高分子材料としては、電気的安定性の観点から、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)及びポリシクロオレフィン(PCO)が好ましく、さらに好ましくはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリメチルペンテン(PMP)である。
【0020】
また、樹脂集電体は、導電性高分子材料を含む樹脂集電体の導電性を向上させる目的、あるいは、非導電性高分子材料を含む樹脂集電体に導電性を付与する目的から、導電性フィラーを含んでいることが好ましい。導電性フィラーは、導電性を有する材料から選択され、好ましくは、集電体内のイオン透過を抑制する観点から、電荷移動媒体として用いられるイオンに関して伝導性を有さない材料を用いる。このような材料として具体的には、カーボン材料、アルミニウム、金、銀、銅、鉄、白金、クロム、スズ、インジウム、アンチモン、チタン、ニッケル及びステンレス(SUS)等の合金材などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの導電性フィラーは一種類の素材を単独で用いてもよいし、二種以上の素材を併用してもよい。導電性フィラーは、耐食性の観点からは、アルミニウム、ステンレス、カーボン材料、またはニッケルであることが好ましく、より好ましくはカーボン材料である。また、これらの導電性フィラーは、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに、上記で示される金属をメッキ等でコーティングしたものであってもよい。
【0021】
樹脂集電体は、特開2012−150905号公報及び国際公開番号WO2015/005116号等に記載の公知の方法で得ることができ、具体例としては、ポリプロピレンに導電性フィラーとしてアセチレンブラックを5〜20部分散させた後、熱プレス機で圧延したものが挙げられる。また、その厚みも特に制限されず、公知のものと同様、あるいは適宜変更して適用することができる。
【0022】
また、本発明の実施の形態に係る電池の製造方法では正極活物質13及び負極活物質14を予め用意しておく。このうち正極活物質13は、粉体状の正極活物質粒子、または当該正極活物質粒子を電解液に分散させて得られるスラリー状ないしゲル状の物質である。
【0023】
ここで正極活物質粒子としては、リチウムと遷移金属との複合酸化物(例えばLiCoO
2、LiNiO
2、LiMnO
2及びLiMn
2O
4)、遷移金属酸化物(例えばMnO
2及びV
2O
5)、遷移金属硫化物(例えばMoS
2及びTiS
2)及び導電性高分子(例えばポリアニリン、ポリフッ化ビニリデン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン及びポリカルバゾール)等がある。
【0024】
また、負極活物質14は、粉体状の負極活物質粒子、または当該負極活物質粒子を電解液に分散させて得られるスラリー状ないしゲル状の物質である。ここで負極活物質粒子としては、黒鉛、難黒鉛化性炭素、アモルファス炭素、高分子化合物焼成体(例えばフェノール樹脂及びフラン樹脂等を焼成し炭素化したもの等)、コークス類(例えばピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークス等)、炭素繊維、導電性高分子(例えばポリアセチレン及びポリピロール等)、スズ、シリコーン、及び金属合金(例えばリチウム−スズ合金、リチウム−シリコーン合金、リチウム−アルミニウム合金及びリチウム−アルミニウム−マンガン合金等)、リチウムと遷移金属との複合酸化物(例えばLi
4Ti
5O
12等)等がある。
【0025】
本実施の形態においては、正極活物質粒子または負極活物質粒子は、その表面の少なくとも一部が被覆用樹脂及び導電助剤を含む被覆剤で被覆されてなる被覆活物質粒子であることが好ましい。
【0026】
この例では、被覆剤は被覆用樹脂を含んでおり、正極活物質粒子の周囲が被覆剤で被覆されていると、電極の体積変化が緩和され、電極の膨脹を抑制することができる。被覆用樹脂の例としては、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート等が挙げられる。これらの中ではビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂又はポリアミド樹脂が好ましい。
【0027】
また導電助剤としては、導電性を有する材料から選択される。具体的には、アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、金、銅及びチタン等の金属材料、グラファイト、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)などのカーボン材料、及びこれらの混合物等があるが、これらに限定されない。
【0028】
また、導電助剤として金属材料を用いる場合、その合金又は酸化物(金属酸化物)が用いられてもよい。電気的安定性の観点から導電助剤として用いる材料は、好ましくはアルミニウム、ステンレス、銀、金、銅、チタン等の金属や、カーボン、銀、金、銅、チタン、グラファイト、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)、カーボンナノチューブ(単層カーボンナノチューブ及び多層カーボンナノチューブ等)及びこれらの混合物であり、より好ましくは銀、金、アルミニウム、ステンレス及びカーボンであり、さらに好ましくはカーボンである。またこれらの導電助剤とは、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料(上記した導電助剤の材料のうち金属のもの)をメッキ等でコーティングしたものでもよい。またここでは一種類の導電助剤を単独で用いてもよいし、二種以上の導電助剤を併用してもよい。
【0029】
さらに導電助剤として導電性繊維を用いることも可能である。導電性繊維としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維、合成繊維の中に導電性のよい金属や黒鉛を均一に分散させてなる導電性繊維、ステンレス鋼等の金属を繊維化した金属繊維、有機物繊維の表面を金属で被覆した導電性繊維、有機物繊維の表面を導電性物質を含む樹脂で被覆した導電性繊維等がある。これらの導電性繊維の中では炭素繊維が好ましい。
【0030】
被覆活物質粒子は、例えば、活物質粒子を万能混合機に入れて30〜500rpmで撹拌した状態で、被覆用樹脂を含む樹脂溶液を1〜90分かけて滴下混合し、さらに導電助剤を混合し、撹拌したまま50〜200℃に昇温し、0.007〜0.04MPaまで減圧した後に10〜150分保持することにより得ることができる。
【0031】
また、正極活物質粒子または負極活物質粒子を、電解液に分散させてスラリー状またはゲル状の正極活物質13または負極活物質14とする場合、電解液としては、リチウムイオン電池の製造に用いられる、電解質及び非水溶媒を含有する電解液を使用することができる。
【0032】
具体的に電解質としては、LiPF
6、LiBF
4、LiSbF
6、LiAsF
6及びLiClO
4等の無機酸のリチウム塩、LiN(CF
3SO
2)
2、LiN(C
2F
5SO
2)
2及びLiC(CF
3SO
2)
3等の有機酸のリチウム塩等がある。これらのうち、電池出力及び充放電サイクル特性の観点からはLiPF
6が好ましい。
【0033】
また非水溶媒としては、通常の電解液に用いられているもの等が使用でき、例えば、ラクトン化合物、環状又は鎖状炭酸エステル、鎖状カルボン酸エステル、環状又は鎖状エーテル、リン酸エステル、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホン、スルホラン等及びこれらの混合物を用いることができる。この非水溶媒は一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上の非水溶媒を併用してもよい。
【0034】
上記の非水溶媒の例のうち、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から好ましいのは、ラクトン化合物、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル及びリン酸エステルであり、より好ましいのはラクトン化合物、環状炭酸エステル及び鎖状炭酸エステルであり、さらに好ましいのは環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルの混合液である。特に好ましいのはプロピレンカーボネート(PC)、またはエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合液である。
【0035】
またスラリー状とする場合、活物質粒子並びに導電助剤を電解液の重量に基づいて10〜60重量%の濃度で分散してスラリー化することにより調製することが好ましい。
【0036】
さらに本実施の形態では、所定形状に切断されたセパレータ15が用意される。このセパレータ15は、ポリエチレン、ポリプロピレン等、ポリオレフィン製の微多孔膜フィルム、多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンとの多層フィルム、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等からなる不織布、及びそれらの表面にシリカ、アルミナ、チタニア等のセラミック微粒子を付着させたもの等で構成される。このセパレータ15の形状については後に述べる。
【0037】
また互いに隣接する、第1の集電体110(第1の集電体シート11が切断されたもの)、正極活物質13、セパレータ15、負極活物質14、及び第2の集電体12を有する単電池セル10間を仕切る堤状の枠体16を形成するシール材料を用意しておく。このシール材料としては、第1、第2の集電体11、12に対する接着性を有し、正極活物質13または負極活物質14に含まれ得る電解液に対して耐久性があって、かつ、伸縮性のある材料であれば特に限定されないが、高分子材料、特に熱硬化性樹脂が好ましい。具体的には、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリフッ化ビニデン樹脂等でよい。耐久性が高く取り扱いが容易であることを考慮すると、これらのうちエポキシ系樹脂が好ましい。
【0038】
以上の用意の下、供給部1により供給される単電池セル連続体20は、次の工程により製造される。
【0039】
すなわち、ロール100に巻回された帯状(長尺のシート状)の第1の集電体シート11(その幅をWとする)を、図示しない支持部材上で所定の搬送方向(例えば長手方向)に搬送して連続供給する。そしてこの連続供給される第1の集電体シート11上に所定の間隔Lの間隙をおいて、第1の集電体シート11の長手方向に長さd/2、高さhを有し、所定形状の空間を画定する枠体下層部16aを、繰り返し形成する(枠体下層部配置工程:S11)。また、第1の集電体シート11の幅方向両端からそれぞれ幅w(w<W/2)の範囲に連続して枠体下層部16aを形成する。従って互いに隣接する枠体下層部16aの、第1の集電体シート11の幅方向に延びる辺(以下、第1の集電体シート11の長手方向に沿って形成される辺と区別する必要がある場合は、仕切り辺と呼ぶ)は、第1の集電体シート11の長手方向にd/2+d/2=dだけの幅で形成される。ここではシール材料を加熱してゲル状に溶融して、
図1の第1の位置P1にて第1の集電体シート11上に滴下することで枠体下層部16aを形成するものとする。つまりこの例では、枠体16の形状は、矩形状をなすようになる。この枠体下層部16aの内周側(活物質が充填される側)には、セパレータ15を受け入れるためのキャッチ16cが形成されてもよい。
【0040】
次に第2の位置P2にて、長さ方向にある一対の枠体下層部16aと、幅方向に配した一対の枠体下層部16aによって形成された幅W−2w×長さL×高さhの矩形状の(枠体内部の)空間に、正極活物質13または負極活物質14の一方を滴下して少なくとも枠体下層部16aの高さhまで充填する(第1の充填工程:S12)。なお、図面においては、ここで正極活物質13を充填するものとして図示している。さらにこの充填後、第1の集電体シート11に振動、衝撃を与えることで、正極活物質13または負極活物質14を上記一対の枠体下層部16a間の間隔Lの範囲に均一に分散させてもよい。これにより正極室または負極室の一方が形成される。
【0041】
また本実施の形態では、シート状のセパレータ15を予め、幅sw×長さsdの矩形に切断しておく。ここで、swはW−2w<sw≦W(Wは第1の集電体シート11の幅)であり、L<sd<L+d/2とする。本実施の形態では、枠体下層部16a間に正極活物質13または負極活物質14の一方を充填した後、この充填された活物質をカバーするよう、このセパレータ15を配して、上部から押圧する(セパレータ配置工程:S13)。このとき、セパレータ15の幅方向(幅swを有する方向)を第1の集電体シート11の幅方向にあわせ、セパレータ15の長さ方向を第1の集電体シート11の長手方向にあわせる。また、セパレータ15の、第1の集電体シート11の長手方向の両端部がいずれも各枠体下層部16aの外周に重ならないように(枠体16とセパレータ15との重なり部分の幅が枠体16の辺の幅d/2未満となるよう)セパレータ15を位置決めする。ここで枠体下層部16aの外周は、第1の集電体シート11の幅方向においては第1の集電体シート11の外周に一致し、第1の集電体シート11の長手方向においては、
図2に例示するd/2幅の仕切り辺の外周(仕切り辺は隣接する枠体下層部16aの仕切り辺に連続しているので、この外周は隣接する枠体下層部16aの外周に一致している)となる。セパレータ15は、少なくとも仕切り辺の外周には重なり合わないよう配置され、従って、互いに隣接する枠体下層部16aに配される一対のセパレータ15も重なり合わないよう配されることとなる。これにより、第1の集電体シート11の長手方向にセパレータ15の存在しない部分(間隙)が形成される。
【0042】
次いで、この枠体下層部16aが形成された部分に、さらに高さh′の枠体上層部16bを配し、枠体16を形成する(枠体形成工程:S14)。この枠体上層部16bもまた、シール材料を加熱してゲル状に溶融して、
図1の第3の位置P3にて枠体下層部16a上に実質的に同一形状で滴下することで形成できる。このとき、セパレータ15の第1の集電体シート11の長手方向の両端部は、枠体下層部16aと枠体上層部16bとの間に挟持された状態となり、枠体16によって封止される。またこの枠体上層部16bの内周側(活物質が充填される側)には、第2の集電体12を受け入れるためのキャッチ16cが形成されてもよい。
【0043】
この枠体形成工程の後、一対の枠体上層部16bと、セパレータ15とによって区画された空間(第1の集電体シート11の長手方向に長さLを有する空間)に、正極活物質13または負極活物質14の他方を充填する(第2の充填工程:S15)。つまり、工程S12において、正極活物質13を充填したならば、ここでは負極活物質14を充填する。また、工程S12において負極活物質14を充填したならば、ここでは正極活物質13を充填する。図面においては、ここで負極活物質14を充填するものとして図示している。
【0044】
ここでの活物質の充填においても、
図1の第4の位置P4にて、活物質を滴下して少なくとも枠体上層部16bの高さh′まで充填する。またここでも充填後、第1の集電体シート11に振動、衝撃を与えることで、負極活物質14または正極活物質13を上記一対の枠体下層部16a間の間隔Lの範囲に均一に分散させてもよい。これにより負極室または正極室が形成される。
【0045】
またここでは、シート状の第2の集電体12を予め、幅tw×長さtdの矩形に切断しておく。ここで、twはW−2w<tw≦W(Wは第1の集電体シート11の幅、wは第1の集電体シート11の幅方向両端に配した枠体下層部16aの幅)、好ましくはtw=Wであり、L<td<L+d/2とする。
【0046】
本実施の形態では、枠体上層部16bとセパレータ15とにより形成された空間に正極活物質13または負極活物質14の他方を充填した後、この充填された活物質をカバーするよう、第2の集電体12を配する(集電体配置工程:S16)。このとき、第2集電体12の幅方向(幅twを有する方向)を第1の集電体シート11の幅方向にあわせ、第2集電体12の長さ方向を第1の集電体シート11の長手方向にあわせる。また第2集電体12の、第1の集電体シート11の長手方向の両端部がいずれも枠体16の長さ方向の外周に重ならないように第2集電体12を配する。つまり、枠体16の第1の集電体シート11の幅方向に形成された辺(仕切り辺)の外周には、第2集電体12が重なり合わないよう、第2集電体12と枠体16の仕切り辺との重なり部分の幅は、枠体16の仕切り辺の幅d/2未満とする。このように第2集電体12も、少なくとも枠体16の仕切り辺の外周には重なり合わないよう配置され、従って、互いに隣接する枠体16に配される一対の第2集電体12も互いに重なり合わないよう配されることとなる。これにより、第1の集電体シート11の長手方向に第2集電体12の存在しない部分(間隙)が形成される。
【0047】
またこの集電体配置工程では、第2集電体12を加熱しながら押圧することで、第2集電体12が枠体16に圧着されて枠体16に固定され、枠体16と第2集電体12との上面側が実質的に面一となるようにしてもよい。
【0048】
これにより、
図3に例示するように、連続的な第1の集電体シート11上に、少なくとも正極活物質13、セパレータ15、負極活物質14、及び第2の集電体12を有する単電池セル10が、所定の間隔で配されたシール部としての枠体16(より詳しくは枠体16の仕切り辺)によって仕切られ、単電池セル連続体20が形成される。
図3では、単電池セル10の内部を表すため、第2集電体12の一部を開き、単電池セル10を破断した状況を示している。
【0049】
なお、本実施の形態では、工程S14にて枠体16を形成した後、ここまでの間に、枠体16の上面側(後に切断が開始される側の面)であって、枠体16の仕切り辺の外周位置(互いに隣接する枠体16の仕切り辺は連続して形成されているため、長さ方向の両端部からそれぞれ距離d/2の位置となる)に、つまり、長手方向にL+dの距離ごとに、断面V字ないしU字等の所定形状を有する溝160を形成する。
図1では、工程S14の直後に、この溝160を形成する例を示している。この溝160は押圧ないし切削形成してもよいし、又は工程S14においてシール材料である枠体の材料を、このような形状になるように滴下することによって形成してもよい。
【0050】
供給部1は、こうして得られた単電池セル連続体20を、積層部2に対して供給する。
【0051】
積層部2は、回転体21を含んで構成されている。ここで回転体21の外周部は単電池セルをそれぞれ積層するN個(Nは3以上の整数)のステージ210a,210b,…210Nを連結した巻回部を有する。
【0052】
ここで、各ステージ210a,210b,…210Nの周方向長さは互いに同一(L+d)であり、N個のステージ210a,210b,…210Nのうちいずれか一つのステージ(以下では210Nとする)の、周方向と直交する一辺(210N-E)が、隣接するステージ210(N−1)の面よりも単電池セル連続体20の厚さに応じた量だけ径方向に突出してなるよう形成されている。
【0053】
ここで各ステージは、周方向にL+dの長さを有し、周方向に直交する幅方向には第1集電体シート11の幅Wまたはそれ以上の長さを有する。
【0054】
またこの回転体21では、これらステージ210のうちいずれか一つ(図ではステージ210N)については、その周方向の一方の端210N-Eが、隣接するステージ210(N−1)の面よりも、単電池セル連続体20の厚さHに応じた量だけ径方向に突出してなるよう形成されている。以下、このステージ210Nを、段差ステージと呼ぶ。
【0055】
積層部2は、回転体21を回転させつつ、供給部1から供給される単電池セル連続体20に含まれる単電池セル10を、段差ステージの次のステージ210a(回転体21が時計回りに回転しているときには段差ステージから反時計回りに次のステージ、回転体21が反時計回りに回転しているときには段差ステージから時計回りに次のステージ)から順に、順次ステージ210に巻き付けていく。
【0056】
なお、このとき、ステージ210の表面と単電池セル10の裏面側との間の空気を追い出すよう、外部からローラ211等の押圧装置によって押圧してもよい。
図1の例の押圧装置はその詳細を
図5に例示するように、ローラ211が支点212を回転軸として回動可能に配された棒状の支持体213の一方端側に、回転可能に支持されており、支持体213のローラ211とは反対側の端部はバネ等の弾性体を介して壁面等に固定されている。これより、ローラ211を回転体21のステージ面方向に付勢する力が働き、単電池セル10がステージ210に密着するよう押圧される。
【0057】
回転体21のステージ210aから順に単電池セル10が巻き付けられ、段差ステージであるステージ210Nに単電池セル10が巻き付けられた状態となると(このとき、回転体21の角部には、単電池セル連続体20のシール部が位置し、V字溝が割り開かれた状態となる)、当該段差ステージ210Nの周方向の一方の端210N-E側の単電池セル10の底面の位置は、最初にステージ210aに巻き付けられた単電池セル10の高さに相当する(回転体21の回転中心からの長さが同じ)位置となっている。
【0058】
従って次に供給される単電池セル10は、無理なく前周のステージ210aに巻き付けられた単電池セル10上に積層されて巻き取られる。
【0059】
このように本実施の形態では、回転体21のステージ210のうちいずれか一つの周方向の一方の端(巻き取り方向Rとは逆側の端)が、隣接するステージの面よりも、単電池セル連続体20の高さに応じた量だけ径方向に突出してなるよう形成されているため、周ごとに、前周に巻かれた単電池セル連続体20の高さだけの段差を乗り越える必要がなくなり、スムーズに巻き取りが行われる。
【0060】
なお、積層回数(単電池セル連続体20が回転体21にm周分巻き取られたときの数m)が大きくなるほど、回転体21一周あたりの単電池セル連続体20の長さは大きくなるが、単電池セル連続体20の厚さHが、回転体21の径より十分大きい場合や、積層回数が小さい場合には、この長さは無視できる程度に小さい。
【0061】
もっとも、この長さが無視できない場合は、供給部1が単電池セル連続体20を形成する際に、一対の隣接する単電池セル10間のシール部の長さが、単電池セル10の数N個(ステージ210aからステージ210N上にそれぞれ配される単電池セル10の組)ごとにΔL/N(ただしΔLは、回転体21に巻回される単電池セル連続体20の一つ前の周と現在の周との長さの差)だけ長くなるよう形成すればよい。
【0062】
単電池セル連続体20が所望の巻き数だけ回転体21に巻き付けられて積層された状態となった後、単電池セル連続体20を回転体21から抜き取る。これより、単電池セル10が積層されてなる、筒状の電池が得られる。
【0063】
また本実施の形態では、回転体21の少なくとも一つのステージ210に対応して、当該ステージ210の周方向に直交する辺のそれぞれにおいて、当該ステージ210の法線方向に、単電池セル連続体20をシール部で切断する一対の切断刃を設けてもよい。
【0064】
単電池セル連続体20が所望の巻き数だけ回転体21に巻き付けられて積層された状態となった後、
図4(a)に例示する位置(単電池セル10の両端部E)でこの一対の切断刃を駆動すると、単電池セル連続体20がV字溝160の位置で切断された状態となり、上記巻き数に相当する積層回数だけ単電池セル10が積層された、
図6に例示するような積層型電池がN個得られる。
【0065】
またこの回転体21の各ステージ210は、
図5に例示したように、外周へ向けて凸となる曲面として形成されていてもよい。さらに、ステージ210は、
図7に示すように、積層電池の所望の形状に合わせた曲面状に形成されていてもよい。このように曲面に形成する場合には、曲面の形状にあわせて(例えば変曲点の数以上の)押圧装置を設け、単電池セル連続体20が、ステージ210の曲面に沿って密着するように押付けるようにしてもよい。この例によれば、
図8に例示するような、ステージ210の形状に曲げられた積層型電池がN個得られる。
【0066】
なお、本実施の形態では、切断位置であるシール部(枠体16の外周部分)に第2の集電体12やセパレータ15が存在しないので、切断時に第2の集電体12やセパレータ15が曲げ変形して第1の集電体11に短絡することはない。
【0067】
さらに、本実施の形態において、回転体21の各ステージ210は、
図4(b)に例示するように、積層した単電池セル10を破断した後、回転体21内部に設けたアクチュエータ機構により、外部から指示があったときに、回転体21の動径方向にせり上がるように構成されていてもよい。