特許第6618389号(P6618389)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6618389
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20191202BHJP
   H01M 8/0612 20160101ALI20191202BHJP
   H01M 8/04228 20160101ALI20191202BHJP
   H01M 8/04303 20160101ALI20191202BHJP
   C01B 3/38 20060101ALI20191202BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20191202BHJP
【FI】
   H01M8/04 Z
   H01M8/0612
   H01M8/04228
   H01M8/04303
   C01B3/38
   !H01M8/10
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-39046(P2016-39046)
(22)【出願日】2016年3月1日
(65)【公開番号】特開2017-157379(P2017-157379A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2018年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】稲家 章雄
(72)【発明者】
【氏名】松本 明
(72)【発明者】
【氏名】高見 晋
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 真吾
【審査官】 清水 康
(56)【参考文献】
【文献】 再公表特許第2007/091632(JP,A1)
【文献】 特開2007−015897(JP,A)
【文献】 特開2004−338981(JP,A)
【文献】 特開2002−003205(JP,A)
【文献】 特開2003−236393(JP,A)
【文献】 特開2002−124286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00 − 8/2495
C01B 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原燃料を水蒸気改質して水素を主成分とするガスを生成する燃料改質装置と、前記燃料改質装置で生成された水素を主成分とするガスを用いて発電を行うセルスタックを有する燃料電池装置と、運転を制御する制御装置とを備え、
前記燃料改質装置は、原燃料を改質して水素を主成分とし一酸化炭素を含む改質ガスを生成する改質器と、前記改質ガスに含まれる一酸化炭素を変成触媒を用いて二酸化炭素に変成する変成器とを有する燃料電池システムであって、
前記制御装置は、前記燃料改質装置で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間が第1設定時間未満であった第1累積回数が第1所定回数に達すると、その後に前記燃料改質装置で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間を、前記第1設定時間よりも長い第2設定時間以上にさせる燃料電池システム。
【請求項2】
運転停止時に前記燃料改質装置の内部に充填される原燃料の組成に関する情報を受け付ける組成情報受付手段を備え、
前記制御装置は、前記組成情報受付手段が受け付けた原燃料の組成に応じて前記第1所定回数を決定する請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記変成触媒は銅―亜鉛系の触媒であり、
前記組成情報受付手段は、原燃料に含まれる不飽和炭化水素の量に関する情報を受け付け、
前記制御装置は、前記組成情報受付手段が受け付けた原燃料に含まれる不飽和炭化水素の量が多いほど、前記第1所定回数が少なくなるように決定する請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記不飽和炭化水素はプロピレンである請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記燃料改質装置で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間が前記第2設定時間以上になると、前記第1累積回数を減少させる請求項1〜4の何れか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記燃料改質装置で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間が前記第2設定時間以上になった第2累積回数が第2所定回数に達すると、前記第1累積回数をゼロにする請求項1〜5の何れか一項に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原燃料を水蒸気改質して水素を主成分とするガスを生成する燃料改質装置と、その燃料改質装置で生成された水素を主成分とするガスを用いて発電を行うセルスタックを有する燃料電池装置とを備える燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、燃料電池システムの運転方法が記載されている。この運転方法では、起動時には、改質バーナの燃焼を開始して、改質器の温度が原燃料の熱分解を防止でき且つ水蒸気の凝縮を防止できる温度に昇温すると、蒸発部による水蒸気の供給を開始して、燃料改質装置及び燃料電池装置に充填されている原燃料を水蒸気にて置換し、改質器の温度が改質処理可能な温度に昇温すると、原燃料供給手段による原燃料の供給を開始する起動時処理が行われる。また、停止時には、改質バーナの燃焼を停止し、改質器の温度が原燃料の熱分解を防止でき且つ水蒸気の凝縮を防止できる温度に下がるまでは、原燃料供給手段による原燃料の供給及び蒸発部による水蒸気の供給のうち少なくとも蒸発部による水蒸気の供給を継続し、改質器の温度が原燃料の熱分解を防止でき且つ水蒸気の凝縮を防止できる温度に下がると、蒸発部による水蒸気の供給を停止し且つ原燃料供給手段により原燃料を供給して、燃料改質装置及び燃料電池装置に原燃料を充填する停止時処理が行われる。
【0003】
従来の燃料電池システムでは、原燃料として、LNG又は天然ガスをLPG等にて熱量調整して生成される都市ガスや、LNG、天然ガス、LPG等が用いられる。そして、上述したように、従来の燃料電池システムでは、停止途中の蒸気充填終了後に燃料改質装置の改質器及び一酸化炭素を二酸化炭素に変成する変成器等の内部の蒸気を原燃料にて排出すると共に、その内部に原燃料を充填している。従来システムにおいて、原燃料により蒸気の排出を開始する時、燃料改質装置の変成器の変成触媒温度は通常およそ150℃〜200℃前後である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5090769号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
変成器の変成触媒としては銅―亜鉛系の触媒などが用いられるが、燃料改質装置の内部に原燃料を充填する停止時処理を行い及びその停止状態を維持した後に再び改質運転を行ったとき、停止時処理で充填される原燃料によっては停止前と比較して停止後の変成器出口のCO濃度が大きく上昇するという現象、即ち、変成器の性能が低下するという現象を確認できた。
以下に、運転停止中の燃料改質装置の内部への原燃料のパージ(即ち、原燃料を連続して吹き流す)を行う前後での変成器の性能の変化を、原燃料としてLPG及び都市ガス(13A)及び高純度プロパンを用いて測定した結果を用いて説明する。
【0006】
図4図7は、運転停止中の燃料改質装置の内部への原燃料のパージを行う前後での変成器の性能の変化を説明するグラフである。変成器の性能は、変成器出口でのCO濃度で示している。つまり、変成器出口でのCO濃度が低ければ変成器の性能は高いと見なすことができ、変成器出口でのCO濃度が高ければ変成器の性能は低いと見なすことができる。尚、ここで用いた変成触媒は銅―亜鉛系の触媒である。
【0007】
図4は、原燃料としてLPGを用いた場合の、運転停止中の燃料改質装置の内部への原燃料のパージを行う前後での変成器の性能の変化を示すグラフである。図5は、原燃料として都市ガス(13A)を用いた場合の、運転停止中の燃料改質装置の内部への原燃料のパージを行う前後での変成器の性能の変化を示すグラフである。図6は、原燃料として高純度プロパンを用いた場合の、運転停止中の燃料改質装置の内部への原燃料のパージを行う前後での変成器の性能の変化を示すグラフである。図7は、運転停止中の燃料改質装置の内部への原燃料のパージを行う前後での変成器の性能の変化に与える温度の影響を示すグラフである。
【0008】
図4に示すように、LPGパージ後での変成器出口のCO濃度は、LPGパージ前での変成器出口のCO濃度よりも高くなっており、運転停止中の燃料改質装置の内部へのLPGパージにより変成器の性能が低下したことが分かる。特に、LPGを200℃で210時間パージした場合には、変成器の性能低下は非常に大きい。
図5に示すように、都市ガス(13A)パージ後での変成器出口のCO濃度も、都市ガスパージ前での変成器出口のCO濃度よりも高くなっており、運転停止中の燃料改質装置の内部への都市ガスパージにより変成器の性能が低下したことが分かる。
図6に示すように、高純度プロパンパージ後での変成器出口のCO濃度は、高純度プロパンパージ前での変成器出口のCO濃度とほぼ同じであり、運転停止中の燃料改質装置の内部への高純度プロパンパージにより変成器の性能はほとんど低下していないことが分かる。
図7に示すように、LPGパージ中の変成触媒温度が室温であった場合、変成器出口のCO濃度の上昇はほとんど見られず、150℃および200℃の場合においては明確なCO濃度上昇が見られた。このことより、変成触媒温度が150℃〜200℃付近にてLPG成分を含有する原燃料にて充填を行うと、変成器出口のCO濃度は上昇するものと考えられる。
【0009】
図8は、LPGに含まれる飽和炭化水素であるプロパン以外の成分としての不飽和炭化水素であるプロピレンに着目して、プロピレンを都市ガス(13A)に0.5%添加したガスのパージを行った後で、変成触媒単体でその性能試験(CO変成率の試験)を行った結果を示す。同様に、変成触媒として銅―亜鉛系の触媒を用いた。また、比較例として、新品の変成触媒のCO変成率、窒素を200℃で100時間パージした後のCO変成率、都市ガスを200℃で100時間パージした後のCO変成率の試験結果も示す。
【0010】
図8から分かるように、比較例として示した、新品及び窒素パージ及び都市ガスのみパージの場合の変成触媒は、相対的に高いCO変成率を達成している。また、室温でプロピレンを含む都市ガスのパージを行った後の変成触媒も、相対的に高いCO変成率を達成している。
これに対して、実際の停止処理時の温度(例えば、150℃〜200℃)付近でプロピレンを含む都市ガスのパージを行った後の変成触媒は、相対的に低いCO変成率しか達成していない。具体的には、触媒温度が100℃以上になるとCO変成率低下への影響が大きくなり、200℃まで温度が上昇するにしたがってCO変成率の低下が大きく現れた。
【0011】
このように、プロピレンを含まない高純度プロパンによるパージ試験では他のLPG成分含有の原燃料よりもパージ後の変成器の性能低下が小さかったこと、及び、室温では変成器の性能低下がほとんど現れなかったことを考え合わせると、原燃料充填による変成器の性能低下は、原燃料成分の内、プロピレン等の不飽和炭化水素成分による影響及び原燃料充填時の温度の影響が大きいと考えられる。尚、改質運転中は原燃料中の不飽和炭化水素成分は改質触媒にて改質されることから変成触媒性能には影響しないと考えられる。
【0012】
更に、図3は、燃料改質装置で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間を異ならせて起動停止を繰り返したときの変成器の性能の推移を示す実験結果である。同様に、変成触媒として銅―亜鉛系の触媒を用いた。具体的には、水蒸気改質を期間:Tだけ連続して行った後で上記停止時処理を行い、原燃料を充填したままでその停止状態を2時間だけ維持した後で上記起動時処理を行って再び燃料改質装置で水蒸気改質処理を実施した。図示するように、連続運転の期間Tを1時間に設定して起動停止を繰り返すと、その起動停止回数の増加に伴って変成器の出口のCO濃度が上昇しており、変成器の性能が低下していることが分かる。また、起動停止回数が400回を超えた辺りで連続運転の期間Tが100時間になる水蒸気改質処理を行うと、変成器の出口のCO濃度が低下した(即ち、変成器の性能が回復した)ことが分かるが、その後に連続運転の期間Tを1時間に設定して起動停止を繰り返すと、再び変成器の出口のCO濃度が上昇している。
【0013】
以上のように、原燃料を充填した状態で燃料改質装置を停止させている間に変成器の性能が低下し得ること、及び、燃料改質装置で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間が短いと変成器の性能が十分に回復されないこと、燃料改質装置で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間が長いと変成器の性能が回復することが分かった。
【0014】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、変成器の性能低下を抑制できる燃料電池システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するための本発明に係る燃料電池システムの特徴構成は、原燃料を水蒸気改質して水素を主成分とするガスを生成する燃料改質装置と、前記燃料改質装置で生成された水素を主成分とするガスを用いて発電を行うセルスタックを有する燃料電池装置と、運転を制御する制御装置とを備え、
前記燃料改質装置は、原燃料を改質して水素を主成分とし一酸化炭素を含む改質ガスを生成する改質器と、前記改質ガスに含まれる一酸化炭素を変成触媒を用いて二酸化炭素に変成する変成器とを有する燃料電池システムであって、
前記制御装置は、前記燃料改質装置で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間が第1設定時間未満であった第1累積回数が第1所定回数に達すると、その後に前記燃料改質装置で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間を、前記第1設定時間よりも長い第2設定時間以上にさせる点にある。
【0016】
燃料改質装置で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間が短い場合、改質処理中に変成器の性能が十分に回復しない。そのため、改質処理の開始から終了までの連続時間が短い運転が繰り返されると、変成器の性能低下が積み重なるという問題がある。
ところが本特徴構成では、制御装置は、燃料改質装置で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間が第1設定時間未満であった第1累積回数が第1所定回数に達すると、その後に燃料改質装置で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間を第2設定時間以上にさせる。つまり、燃料改質装置の起動停止が繰り返されることで変成器の性能低下が積み重なったとしても、改質処理の開始から終了までの連続時間が第2設定時間以上である運転が行われることで、変成器の性能を回復させることができる。
従って、変成器の性能低下を抑制できる燃料電池システムを提供できる。
【0017】
本発明に係る燃料電池システムの別の特徴構成は、運転停止時に前記燃料改質装置の内部に充填される原燃料の組成に関する情報を受け付ける組成情報受付手段を備え、
前記制御装置は、前記組成情報受付手段が受け付けた原燃料の組成に応じて前記第1所定回数を決定する点にある。
【0018】
運転停止時に燃料改質装置の内部に充填される原燃料の組成に応じて、その原燃料を充填した状態で燃料改質装置を停止させている間での変成器の性能低下の程度が変わる。つまり、原燃料を充填した状態で燃料改質装置を停止させている間での変成器の性能低下の程度が小さいような原燃料を用いていれば、停止回数が多くなっても変成器の性能低下はそれほど大きくはないと考えてもよい。これに対して、原燃料を充填した状態で燃料改質装置を停止させている間での変成器の性能低下の程度が大きいような原燃料を用いていれば、停止回数が多くなると変成器の性能は大きく低下していると考えてもよい。
そこで本特徴構成では、制御装置は、組成情報受付手段が受け付けた原燃料の組成に応じて上記第1所定回数を決定する。つまり、変成器の性能を回復させるための、燃料改質装置で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間を第2設定時間以上にさせて変成器の性能を回復させる運転を行うタイミングを、原燃料の組成に応じて、即ち、変成器の性能低下の程度に応じて適切に設定できる。
【0019】
本発明に係る燃料電池システムの更に別の特徴構成は、前記変成触媒は銅―亜鉛系の触媒であり、前記組成情報受付手段は、原燃料に含まれる不飽和炭化水素の量に関する情報を受け付け、前記制御装置は、前記組成情報受付手段が受け付けた原燃料に含まれる不飽和炭化水素の量が多いほど、前記第1所定回数が少なくなるように決定する点にある。
ここで、前記不飽和炭化水素はプロピレンであってもよい。
【0020】
原燃料にプロピレン等の不飽和炭化水素が含まれていれば、その原燃料を充填した状態で燃料改質装置を停止させている間での変成器の性能低下の程度が大きくなる。
そこで本特徴構成では、制御装置は、組成情報受付手段が受け付けた原燃料に含まれるプロピレン等の不飽和炭化水素の量が多いほど上記第1所定回数が少なくなるように決定する。つまり、変成器の性能を回復させるための、燃料改質装置で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間を第2設定時間以上にさせる運転を行うタイミングを、原燃料に含まれるプロピレン等の不飽和炭化水素の量に応じて、即ち、変成器の性能低下の程度に応じて適切に設定できる。
【0021】
本発明に係る燃料電池システムの更に別の特徴構成は、前記制御装置は、前記燃料改質装置で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間が前記第2設定時間以上になると、前記第1累積回数を減少させる点にある。
【0022】
燃料改質装置で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間が長くなる程、変成器の性能は回復する。この場合、燃料改質装置で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間が第1設定時間未満であった第1累積回数がより少ない状態に戻ったと見なすこともできる。
そこで本特徴構成では、制御装置は、燃料改質装置で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間が第2設定時間以上になると、変成器の性能低下の度合いを反映している上記第1累積回数を減少させる。
【0023】
本発明に係る燃料電池システムの更に別の特徴構成は、前記制御装置は、前記燃料改質装置で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間が前記第2設定時間以上になった第2累積回数が第2所定回数に達すると、前記第1累積回数をゼロにする点にある。
【0024】
燃料改質装置で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間が長くなる程、変成器の性能は回復する。つまり、その連続時間が長い水蒸気改質処理が行われた累積回数が増加すると、その累積回数の分だけ変成器の性能回復が行われたと見なせる。
そこで本特徴構成では、制御装置は、燃料改質装置で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間が上記第2設定時間以上になった第2累積回数が第2所定回数に達すると、変成器の性能が十分に回復したと見なして、変成器の性能低下の度合いを反映している上記第1累積回数をゼロにする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】燃料電池システムの構成を示す図である。
図2】燃料電池装置からの電気及び熱の供給先を説明する図である。
図3】起動停止を繰り返したときの変成器の性能の推移を示す実験結果である。
図4】運転停止中の燃料改質装置の内部への原燃料のパージを行う前後での変成器の性能の変化を説明するグラフである。
図5】運転停止中の燃料改質装置の内部への原燃料のパージを行う前後での変成器の性能の変化を説明するグラフである。
図6】運転停止中の燃料改質装置の内部への原燃料のパージを行う前後での変成器の性能の変化を説明するグラフである。
図7】運転停止中の燃料改質装置の内部への原燃料のパージを行う前後での変成器の性能の変化を説明するグラフである。
図8】変成触媒の性能試験(CO変成率の試験)を行った結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に図面を参照して本発明の実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。
図1は、燃料電池システムの構成を示す図である。図示するように、燃料電池システムは、原燃料を水蒸気改質して水素を主成分とするガスを生成する燃料改質装置10と、燃料改質装置10で生成された水素を主成分とするガスを用いて発電を行うセルスタック21を有する燃料電池装置20と、運転を制御する制御装置30とを備える。
【0027】
図2は、燃料電池装置20からの電気及び熱の供給先を説明する図である。図示するように、燃料電池装置20で発電された電気及び燃料電池装置20から排出される排熱は、電力消費装置22及び熱消費装置23に供給される。具体的には、電力消費装置22は、燃料電池装置20及び商用の電力系統26の少なくとも何れか一方から電力の供給を受けることができる。図2に示す例では、燃料電池装置20から排出される排熱は、蓄熱装置24に蓄えられる。蓄熱装置24は、例えば湯を貯める貯湯タンクである。そして、蓄熱装置24から熱消費装置23に対して熱が供給される。また、蓄熱装置24に十分な熱が蓄えられていないときには、例えばガス燃焼式等の熱源機25から熱消費装置23に熱を供給できる。
【0028】
燃料改質装置10は、改質器12と変成器13とを有する。加えて、本実施形態の燃料改質装置10は、脱硫器11と除去器14と燃焼器16と加熱部17と蒸発部18と電気ヒーター15とを備える。燃料改質装置10では、原燃料流路L1を通って改質器12へ原燃料が供給され、改質器12で生成された改質ガスが改質ガス流路L2を通って燃料電池装置20に供給される。脱硫器11は、改質器12よりも上流側の原燃料流路L1の途中に設けられる。変成器13及び除去器14は、改質器12と燃料電池装置20との間の改質ガス流路L2の途中に設けられる。
【0029】
脱硫器11は、供給される原燃料に含まれる硫黄化合物を脱硫処理する脱硫触媒11aを有する。原燃料は、例えばLNG又は天然ガスをLPG等にて熱量調整して生成される都市ガスである。都市ガスには上記硫黄化合物が付臭剤として添加されている。脱硫器11へ供給する原燃料の流量は、制御装置30が、脱硫器11よりも上流側の原燃料流路L1の途中に設けられるバルブV1の開度を調節して制御する。脱硫器11で脱硫処理された脱硫処理済ガスは、その後、改質器12へ供給される。従って、制御装置30が、脱硫器11へ供給する原燃料の流量を調節することで、その後に改質器12で生成される改質ガスの量が調節され、最終的には、燃料電池装置20のセルスタック21のアノード(図示せず)に供給される水素量が調節される。つまり、制御装置30は、セルスタック21の発電出力を上昇させるのであれば、バルブV1の開度を大きくして脱硫器11へ供給する原燃料の流量を増加させる制御を行えばよい。
【0030】
蒸発部18は、水流路L5を介して供給される水を加熱部17による加熱にて蒸発させる。加熱部17には、燃焼排ガス流路L4を介して燃焼器16から排出された燃焼排ガスが供給されて、その燃焼排ガスが保有する熱が水の蒸発のために利用される。蒸発部18で生成された水蒸気は、水流路L5を通って脱硫器11と改質器12との間の原燃料流路L1に供給される。そして、蒸発部18で生成された水蒸気が、脱硫処理後の原燃料と共に改質器12へ供給される。蒸発部18に供給する水の流量は、制御装置30が、蒸発部18よりも上流側の水流路L5の途中に設けられるバルブV4の開度を調節して制御する。例えば、制御装置30は、セルスタック21の発電出力を上昇させる際、脱硫器11への原燃料の供給量の増加と合わせて、蒸発部18に供給する水の流量を増加させる制御を行えばよい。蒸発部18に供給される水の流量は、改質器12に供給される水蒸気の量と比例する。
【0031】
燃焼器16は、可燃性のガスを燃焼して燃焼熱を発生させる。可燃性ガスとしては、セルスタック21から排出されたアノード排ガス(発電反応に用いられなかった水素を含むガス)又は上述した都市ガス等の原燃料、或いは、その両方を用いることができる。燃焼器16には、セルスタック21から排出されたアノード排ガスが流れるアノード排ガス流路L3が接続されている。また、アノード排ガス流路L3の途中には、原燃料が供給される補助燃料流路L6が接続されている。制御装置30は、アノード排ガス流路L3の途中に設けられたバルブV2の開度を調節して、セルスタック21から燃焼器16へアノード排ガス流路L3を介して供給するアノード排ガスの流量を制御でき、並びに、補助燃料流路L6の途中に設けられたバルブV3の開度を調節して、燃焼器16に供給する原燃料の流量を制御できる。つまり、制御装置30は、バルブV2、V3の開度を調節することで、燃焼器16での発熱量を制御できる。
【0032】
改質器12は、燃焼器16で発生された燃焼熱を利用して原燃料を水蒸気改質して改質ガスを生成する。原燃料が、メタンを主成分とするガスである場合、改質器12では、改質触媒12aの触媒作用によって、燃焼器16による例えば650℃〜750℃程度の加熱下でメタンと水蒸気とが下記の反応式にて改質反応して、水素と一酸化炭素と二酸化炭素を含むガスに改質処理される。加えて、改質器12は、改質触媒12aの温度を検出する温度センサT1を有する。
【0033】
CH+HO→CO+3H
CH+2HO→CO+4H
【0034】
変成器13は、改質器12にて生成された改質ガスに含まれる一酸化炭素を低減するように処理する。具体的には、変成器13では、例えば銅−亜鉛系などの変成触媒13aの触媒作用によって、改質ガス中の一酸化炭素と水蒸気とが、例えば150℃〜300℃程度の反応温度で下記の反応式にて変成反応して、一酸化炭素が二酸化炭素に変成処理される。加えて、変成器13は、変成触媒13aの温度を検出する温度センサT2を有する。また、変成器13には、変成触媒13aを加熱可能な加熱手段としての電気ヒーター15が設けられている。そして、制御装置30が、温度センサT2によって測定される変成触媒13aの温度が上述した150℃〜300℃程度になるように電気ヒーター15の動作を制御する。
【0035】
CO+HO→CO+H
【0036】
除去器14は、変成器13から排出される変成処理済ガス中に残留している一酸化炭素を除去する。具体的には、除去器14においては、ルテニウムや白金、パラジウム、ロジウム等の除去触媒14aの触媒作用によって、変成処理済ガス中に残っている一酸化炭素が、添加された空気中の酸素によって酸化されて除去される。その結果、一酸化炭素濃度の低い(例えば10ppm以下)、水素リッチな改質ガスが生成される。
【0037】
以上のようにして燃料改質装置10で生成された水素を主成分とする改質ガスは、燃料電池装置20が有するセルスタック21のアノード(図示せず)に供給される。セルスタック21のカソード(図示せず)には酸素(空気)が供給される。また、上述したように、セルスタック21から排出されるアノード排ガス(発電反応に用いられなかった水素を含むガス)は、アノード排ガス流路L3を通じて燃焼器16に可燃性ガスとして供給される。尚、本実施形態で想定する燃料電池装置20は、セルスタック21の電極触媒の一酸化炭素による被毒が問題となるような固体高分子形燃料電池やリン酸形燃料電池である。
【0038】
次に、燃料電池システムの起動及び停止について説明する。
制御装置30は、この燃料電池システムを停止させるとき、燃焼器16の燃焼を停止し、改質器12の温度が原燃料の熱分解を防止でき且つ水蒸気の凝縮を防止できる温度(例えば、150℃以上300℃以下の範囲内の所定温度など)に下がるまでは、改質器12への原燃料ガスの供給及び水蒸気の供給のうち少なくとも水蒸気の供給を継続し、改質器12の温度が原燃料ガスの熱分解を防止でき且つ水蒸気の凝縮を防止できる温度に下がると、改質器12への水蒸気の供給を停止し且つ原燃料ガスを供給して、燃料改質装置10及び燃料電池装置20に原燃料ガスを充填する停止時処理を行う。例えば、制御装置30は、バルブV1〜V4を閉止した状態に維持することで、燃料改質装置10及び燃料電池装置20に原燃料ガスを充填した状態を維持できる。
【0039】
制御装置30は、この燃料電池システムを起動させるとき、燃焼器16の燃焼を開始して、改質器12の温度が原燃料ガスの熱分解を防止でき且つ水蒸気の凝縮を防止できる温度に昇温すると、改質器12への水蒸気の供給を開始して、燃料改質装置10及び燃料電池装置20に充填されている原燃料ガスを水蒸気にて置換し、改質器12の温度が改質処理可能な温度に昇温すると、改質器12への原燃料の供給を開始する起動時処理を行う。
【0040】
以上のように、燃料電池システムの停止時処理を行った後、次に起動時処理を行う迄の間は、燃料改質装置10及び燃料電池装置20の内部は、原燃料が充填された状態で封止されている。
尚、燃料電池システムの運転中、制御装置30は、温度センサT2によって測定される変成触媒13aの温度が例えば150℃〜300℃程度になるように電気ヒーター15の動作を制御している。
停止時処理を行って電気ヒーター15の動作を停止させるとしても、停止処理中に燃料改質装置10の内部での結露を防止するために、少なくとも改質触媒12a及び変成触媒13aが100℃を超える状態にて原燃料の充填を実施する必要がある。そのため、原燃料中に不飽和炭化水素成分をより多く含む場合は、停止処理時の原燃料充填工程が起動及び停止の度に繰り返されることにより、変成触媒13aの劣化が徐々に加速される可能性がある。そして、変成器13の出口でのCO濃度が上昇して、セルスタック21に到達するCO量が増加すると、セルスタック21の電圧が低下し、発電不能に至るなどの問題が生じ得る。
【0041】
図3は、燃料改質装置10で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間を異ならせて起動停止を繰り返したときの変成器13の性能の推移を示す実験結果である。具体的には、水蒸気改質を期間:Tだけ連続して行った後で上記停止時処理を行い、原燃料の充填を2時間だけ行った後で上記起動時処理を行って再び燃料改質装置10で水蒸気改質処理を実施した。図示するように、連続運転の期間Tを1時間に設定して起動停止を繰り返すと、変成器13の出口のCO濃度が上昇しており、変成器13の性能が低下したことが分かる。但し、起動停止回数が400回を超えた辺りで連続運転の期間Tが100時間になる水蒸気改質処理を行うと、変成器13の出口のCO濃度が低下しており、変成器13の性能が回復したことが分かる。尚、この実験で用いた変成触媒13aは、酸化銅及び酸化亜鉛を主成分として含む混合物を水素還元するなどして得られる銅―亜鉛系の触媒である。その混合物に主成分として含まれる酸化銅の含有割合は例えば20%〜80%の範囲であり、酸化亜鉛の含有割合は酸化銅の含有割合に応じて例えば5%〜50%の範囲である。
【0042】
連続運転の期間Tを4時間に設定して水蒸気改質処理を行っても、変成器13の性能回復は見られない。また、連続運転の期間Tを9時間に設定して水蒸気改質処理を行うと、変成器13の性能低下が抑制できている。更に、連続運転の期間Tを21時間に設定して水蒸気改質処理を行うと、変成器13の性能回復が明らかに現れる。以上のように、今回の実験では、連続運転の期間Tを9時間より長くに設定して水蒸気改質処理を行えば、変成器13の性能低下は現れず、一旦低下した性能の回復を期待できることが分った。
【0043】
従って、制御装置30は、燃料改質装置10で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間が第1設定時間未満であった回数(第1累積回数)を記憶しておき、その第1累積回数が第1所定回数に達すると、その後に燃料改質装置10で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間を第2設定時間以上にさせればよい。
【0044】
第1設定時間は、燃料改質装置10で水蒸気改質処理を行っている間に変成器13の性能が十分に回復されない長さに設定される。例えば、図3に示した例であれば、連続時間が1時間及び4時間の場合、燃料改質装置10で水蒸気改質処理を行っている間に変成器13の性能が十分に回復されないため、起動停止回数の増加に伴って変成器13の性能が徐々に低下している。また、連続時間が9時間の場合、起動停止回数が増加しても変成器13の性能は低下せずにほぼ一定であるが、燃料改質装置10で水蒸気改質処理を行っている間に変成器13の性能が十分に回復されているとは言い難い。従って、図3に示した例であれば、この第1設定時間は9時間未満の長さに設定できる。
【0045】
第2設定時間は、燃料改質装置10で水蒸気改質処理を行っている間に変成器13の性能が十分に回復される長さに設定される。例えば、図3に示した例であれば、連続時間が21時間及び100時間の場合、燃料改質装置10で水蒸気改質処理を行っている間に変成器13の性能回復が進み、起動停止回数の増加に伴って変成器13の性能が十分に回復する。また、連続時間が9時間の場合、起動停止回数が増加しても変成器13の性能は低下せずにほぼ一定であるが、燃料改質装置10で水蒸気改質処理を行っている間に変成器13の性能が十分に回復されているとは言い難い。従って、図3に示した例であれば、この第2設定時間は9時間より長い時間に設定できる。
【0046】
尚、変成器13の性能低下は、停止時処理によって原燃料の充填を行った後、次に起動時処理を行って再び燃料改質装置10で水蒸気改質処理を開始する迄の間の停止期間中に起こるため、その停止期間の長さに応じて上述の第1設定時間及び第2設定時間の長さを適宜決定する必要がある。また、上述の第1累積回数についても適宜決定する必要がある。例えば、制御装置30は、連続時間が4時間未満であった第1累積回数が100回に達する、連続時間が5時間未満であった第1累積回数が150回に達すると、連続時間を9時間よりも長い期間にさせる等、上述した連続時間と第1累積回数との組み合わせは適宜変更可能である。
【0047】
他にも、図4図8に示したように、運転停止時に燃料改質装置10の内部に充填される原燃料の組成に応じて、その原燃料を充填した状態で燃料改質装置10を停止させている間での変成器13の性能低下の程度が変わる。つまり、原燃料を充填した状態で燃料改質装置10を停止させている間での変成器13の性能低下の程度が小さいような原燃料を用いていれば、停止回数が多くなっても変成器13の性能低下はそれほど大きくはないと考えてもよい。これに対して、原燃料を充填した状態で燃料改質装置10を停止させている間での変成器13の性能低下の程度が大きいような原燃料を用いていれば、停止回数が多くなると変成器13の性能は大きく低下していると考えてもよい。
【0048】
そこで、燃料電池システムは、運転停止時に燃料改質装置10の内部に充填される原燃料の組成に関する情報を受け付ける組成情報受付手段31を備える。そして、制御装置30は、組成情報受付手段31が受け付けた原燃料の組成に応じて上記第1所定回数(第1累積回数)を決定する。つまり、変成器13の性能を回復させるための、燃料改質装置10で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間を第2設定時間以上にさせて変成器13の性能を回復させる運転を行うタイミングを、原燃料の組成に応じて、即ち、変成器13の性能低下の程度に応じて適切に設定できる。例えば、図4図8に示したように、原燃料に不飽和炭化水素が含まれていれば、その原燃料を充填した状態で燃料改質装置10を停止させている間での変成器13の性能低下の程度が大きくなる。よって、制御装置30は、組成情報受付手段31が受け付けた原燃料に含まれる不飽和炭化水素の量が多いほど上記第1所定回数が少なくなるように決定する。つまり、変成器13の性能を回復させるための、燃料改質装置で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間を第2設定時間以上にさせる運転を行うタイミングを、原燃料に含まれる不飽和炭化水素の量に応じて、即ち、変成器13の性能低下の程度に応じて適切に設定できる。例えば、不飽和炭化水素としてはプロピレンなどであるが、他の不飽和炭化水素化合物であってもよい。
【0049】
組成情報受付手段31は、例えば、ガス供給を行う事業者との間でインターネット等を介して通信可能な機能を有する機器を用いて実現できる。この場合、組成情報受付手段31は、ガス供給を行う事業者が送信した、供給するガスの組成に関する情報(例えば、プロピレン等の不飽和炭化水素の含有量に関する情報等)を受け付けると、予め記憶していた計算式等を用いてそのプロピレン等の不飽和炭化水素の含有量に応じた上記第1所定回数を決定する。
或いは、組成情報受付手段31は、使用者による操作入力を受け付ける機器(例えば、燃料電池システムの設定入力などを行うリモコン装置など)を用いて実現できる。この場合、燃料電池システムの使用者は、事業者から供給されるガスの組成に関する情報を予め入手した上で、燃料電池システムの設定入力などを行うリモコン装置(組成情報受付手段31)でガスの組成に関する情報を入力すればよい。
【0050】
また、燃料改質装置10で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間が長くなる程、変成器13の性能は回復する。つまり、変成器13の性能が回復したということは、燃料改質装置10で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間が第1設定時間未満であった第1累積回数がより少ない状態に戻ったと見なすこともできる。よって、制御装置30は、燃料改質装置10で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間が第2設定時間以上になると、変成器13の性能低下の度合いを反映している上記第1累積回数を減少させてもよい。
特に、上記連続時間が長い水蒸気改質処理が行われた累積回数が増加すると、その累積回数の分だけ変成器の性能回復が行われたと見なしてもよい。従って、制御装置30は、燃料改質装置10で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間が上記第2設定時間以上になった回数(第2累積回数)を記憶しておき、その第2累積回数が第2所定回数に達すると、変成器13の性能が十分に回復したと見なして、変成器13の性能低下の度合いを反映している上記第1累積回数をゼロにしてもよい。ここでの第2所定回数は適宜設定できる。
【0051】
次に、制御装置30が、燃料改質装置10で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間を変更するときの制御について説明する。
燃料電池システムを住宅や事業所などの施設に設置して運転させるとき、燃料電池システム(燃料改質装置10及び燃料電池装置20)の起動タイミング及び停止タイミングは、その施設での電力負荷及び熱負荷に応じて決定されることがある。例えば、制御装置30は、どのような出力でどの時間帯に燃料電池システムを連続運転させれば、熱消費装置23での将来(例えば当日中又は翌日迄など)の予測熱消費量を賄うために必要な熱量を蓄熱装置24に蓄熱完了でき、且つ、電力消費装置22での将来の予測電力消費量の少なくとも一部を少ないコストで賄えるのかを事前に決定する。そして、制御装置30は、決定した起動タイミング及び出力で燃料電池システムの運転を開始し、熱消費装置23での将来の予測熱消費量を賄うために必要な熱量が蓄熱装置24に蓄熱完了すると、燃料電池システムを停止させる。このような運用を行った場合、予測熱負荷量の少ない使用者の燃料電池システムでは、短い時間帯で必要な熱量が蓄熱装置24に蓄熱完了するため、燃料電池システムの連続運転時間が短くなる可能性が高くなる。そして、上述したように、燃料改質装置10で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間が第1設定時間未満であった第1累積回数が第1所定回数に達することで、変成器13の性能低下が大きくなることがある。
【0052】
そこで、制御装置30は、燃料改質装置10で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間が第1設定時間未満であった第1累積回数が第1所定回数に達すると、燃料電池システムの当初の停止タイミングになっても停止しないことで、燃料電池システムの連続運転時間の延長処理を実行する。例えば、制御装置30は、熱消費装置23での将来の予測熱消費量を賄うために必要な熱量が蓄熱装置24に蓄熱完了したとしても(当初の停止タイミングになっても)、蓄熱装置24の蓄熱量が上限値に達するまでは燃料電池システムの運転を継続するという延長処理を実行する。
更に、制御装置30は、蓄熱装置24の蓄熱量が上限値に達したとしても、蓄熱装置24に蓄えられている熱を強制的に放熱して、燃料電池システムの運転を継続するという延長処理を実行してもよい。例えば、蓄熱装置24が湯を貯める貯湯タンクである場合、強制的な放熱の手法として、ラジエータなどを動作させて貯湯タンクに貯えられている湯からの放熱を行う手法、湯を貯湯タンクから廃棄して低温の上水を新たに導入する手法、貯湯タンクに貯えられている湯を熱消費装置23(例えば、風呂、暖房など)で強制的に使用させる手法などがある。
【0053】
或いは、制御装置30は、燃料改質装置10で行われる水蒸気改質処理の開始から終了までの連続時間が第1設定時間未満であった第1累積回数が第1所定回数に達すると、燃料電池システムの出力を計画値よりも低下させてもよい。例えば、制御装置30は、燃料電池システムの出力を計画値の75%値や50%値などに変更して運転し続け、熱消費装置23での将来の予測熱消費量を賄うために必要な熱量が蓄熱装置24に蓄熱完了すると、燃料電池システムを停止させる。つまり、燃料電池システムの出力を計画値よりも低下させることで燃料電池システムから蓄熱装置24へと回収する単位時間当たりの熱量を低下させる。その結果、蓄熱装置24に予測熱消費量に相当する熱量が蓄熱完了するまでの所要時間は長くなり、燃料電池システムの連続運転時間が長くなる。
【0054】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、本発明の燃料電池システムの構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。例えば、図1には燃料改質装置10の構成を例示したが、ガスの流路やバルブの配置などは適宜変更可能である。
【0055】
<2>
上記実施形態では、具体的な数値を挙げて本発明の説明を行ったがそれらの数値は例示目的で記載したものであり、適宜変更可能である。例えば、改質器12及び変成器13の温度や、燃料改質装置10の運転時間などは、適宜変更可能である。
【0056】
<3>
上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用でき、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変できる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、変成器の性能低下を抑制できる燃料電池システムに利用できる。
【符号の説明】
【0058】
10 燃料改質装置
12 改質器
13 変成器
13a 変成触媒
20 燃料電池装置
21 セルスタック
30 制御装置
31 組成情報受付手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8