(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の乳化保湿化粧料は、ポリエーテル変性シリコーンと、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーと、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、イソステアリン酸水添ヒマシ油、トリイソステアリン酸水添ヒマシ油、ヒドロキシステアリン酸水添ヒマシ油、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、及びリンゴ酸ジイソステアリルからなる群より選ばれた油分と、パントテニルアルコールと、水とを、必須の成分として含有する。本発明の乳化保湿化粧料は、数平均分子量が1000〜30000であるポリエチレングリコールを含有することが好ましい。本発明の乳化保湿化粧料は、グリセリン、ジグリセリン、及びポリグリセリンからなる群より選ばれた保湿成分を含有することが好ましい。本発明の乳化保湿化粧料は、環状シリコーン及び/又はメチルポリシロキサンを含有することが好ましい。さらに、本発明の乳化保湿化粧料は、その他の成分を含有していてもよい。
【0015】
なお、本明細書においては、上記ポリエーテル変性シリコーンを「成分A」;上記(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーを「成分B」;上記トリイソステアリン酸ポリグリセリル、イソステアリン酸水添ヒマシ油、トリイソステアリン酸水添ヒマシ油、ヒドロキシステアリン酸水添ヒマシ油、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、及びリンゴ酸ジイソステアリルからなる群より選ばれた油分を「成分C」;上記パントテニルアルコールを「成分D」;上記水を「成分E」;上記数平均分子量が1000〜30000であるポリエチレングリコールを「成分F」;上記グリセリン、ジグリセリン、及びポリグリセリンからなる群より選ばれた保湿成分を「成分G」;上記環状シリコーン及び/又はメチルポリシロキサンを「成分H」と称する場合がある。
【0016】
本発明の乳化保湿化粧料に含まれる各成分、即ち、成分A〜成分Hやその他の成分は、それぞれ、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0017】
[成分A:ポリエーテル変性シリコーン]
上記成分Aは、シロキサン骨格(シリコーン鎖)とポリエーテル基(ポリエーテル鎖)を含むシリコーン化合物である。成分Aは、主鎖内にポリエーテル鎖とシリコーン鎖を含むブロック共重合体タイプや末端変性タイプのシリコーン化合物であってもよいし、シロキサン骨格の側鎖としてポリエーテル基が結合した側鎖変性タイプのシリコーン化合物であってもよい。中でも、乳化安定性を向上する観点から、シロキサン骨格の側鎖および/又は末端にポリエーテル基を有するシリコーン化合物が好ましく、より好ましくは、側鎖にポリエーテル基を有するシリコーン化合物である。成分Aは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0018】
上記シロキサン骨格(シリコーン鎖)としては、特に限定されないが、例えば、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどが挙げられる。中でも、ジメチルポリシロキサンが好ましい。
【0019】
上記ポリエーテル基(ポリエーテル鎖)としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基などが挙げられる。中でもポリオキシエチレン基が好ましい。成分Aにおけるオキシアルキレン(例えば、オキシエチレン)の平均付加モル数は、特に限定されないが、5〜30が好ましく、より好ましくは8〜20である。
【0020】
中でも、成分Aは、乳化安定性を向上する観点から、分岐シリコーン鎖を有するポリエーテル変性シリコーンであることが好ましく、より好ましくは、分岐シリコーン鎖の側鎖にポリエーテル鎖を有するポリエーテル変性シリコーンである。上記分岐シリコーン鎖の側鎖にポリエーテル鎖を有するポリエーテル変性シリコーンとしては、例えば、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンが挙げられる。上記PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンは、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第15版,第2巻,Personal Care Products Council,2014年,p.2473):PEG−9 POLYDIMETHYLSILOXYETHYL DIMETHICONEで表記される化合物である。
【0021】
成分Aの市販品としては、例えば、商品名「KF−6028」、商品名「KF−6028P」(HLB=4.0,PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン;信越化学工業社製)、商品名「SH3773M」(HLB=8,PEG−12ジメチコン;東レ・ダウコーニング社製)、商品名「SH3775M」(HLB=5,PEG−12ジメチコン;東レ・ダウコーニング社製)、商品名「SH3749」(HLB=8,PEG/PPG−20/20ジメチコン;東レ・ダウコーニング社製)、商品名「SS2910」(HLB=4,PEG−10ジメチコン;東レ・ダウコーニング社製)、商品名「BY25−339」(HLB=8.5,PEG/PPG−30/10ジメチコン;東レ・ダウコーニング社製)、商品名「KF−6011」(HLB=14.5,PEG−11メチルエーテルジメチコン;信越化学工業社製)、商品名「KF−6012」(HLB=7,PEG/PPG−20/22ブチルエーテルジメチコン;信越化学工業社製)、商品名「KF−6013」(HLB=10.0,PEG−9ジメチコン;信越化学工業社製)、商品名「KF−6015」(HLB=4.5,PEG−3ジメチコン;信越化学工業社製)、商品名「KF−6016」(HLB=4.5,PEG−9メチルエーテルジメチコン;信越化学工業社製)、商品名「KF−6017」(HLB=4.5,PEG−10ジメチコン;信越化学工業社製)、商品名「SILSOFT305」(HLB=5〜8、PEG/PPG−5/3ジメチコン;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)、商品名「SILSOFT805」(HLB=5〜8、PEG−8ジメチコン;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)、商品名「SILSOFT810」(HLB=5〜8、PEG−8ジメチコン;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)などが挙げられる。
【0022】
本発明の乳化保湿化粧料中の成分Aの含有量は、特に限定されないが、本発明の乳化保湿化粧料100質量%に対して、1.0〜15.0質量%が好ましく、より好ましくは2.0〜10.0質量%であり、さらに好ましくは2.5〜5.0質量%である。上記含有量が1.0質量%以上であることにより、乳化安定性がより一層向上する。一方、上記含有量が15.0質量%以下であることにより、使用感がより一層向上する。上記成分Aの含有量は、本発明の乳化保湿化粧料中の全ての成分Aの含有量の合計量である。
【0023】
[成分B:(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー]
上記成分Bは、ビニルジメチルポリシロキサンで架橋されたジメチルポリシロキサンである共重合体である。成分Bとしては、例えば、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第15版,第1巻,Personal Care Products Council,2014年,p.1074−1075):DIMETHICONE/VINYL DIMETHICONE CROSSPOLYMERで表記される、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーと称される化合物が挙げられる。成分Bは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0024】
成分Bの市販品としては、例えば、信越化学工業社製、商品名「KSG−15」;信越化学工業社製、商品名「KSG−16」;信越化学工業社製、商品名「KSG−1510」;信越化学工業社製、商品名「KSG−1610」などが挙げられる。
【0025】
本発明の乳化保湿化粧料中の成分Bの含有量は、特に限定されないが、本発明の乳化保湿化粧料100質量%に対して、0.3〜3.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜2.5質量%である。上記含有量が0.3質量%以上であることにより、離漿が抑制され製剤安定性がより一層向上する。一方、上記含有量が3.0質量%を超えると、のび、なじみが悪くなる場合がある。上記成分Bの含有量は、本発明の乳化保湿化粧料中の全ての成分Bの含有量の合計量である。
【0026】
[成分C:トリイソステアリン酸ポリグリセリル、イソステアリン酸水添ヒマシ油、トリイソステアリン酸水添ヒマシ油、ヒドロキシステアリン酸水添ヒマシ油、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、及びリンゴ酸ジイソステアリルからなる群より選ばれた油分]
上記成分Cは、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、イソステアリン酸水添ヒマシ油、トリイソステアリン酸水添ヒマシ油、ヒドロキシステアリン酸水添ヒマシ油、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、及びリンゴ酸ジイソステアリルからなる群より選ばれた油分(少なくとも1種の油分)である。本発明においては成分Cを選択的に用いることにより、本発明の乳化保湿化粧料を、メイクアップ化粧料が塗布された肌の上に重ね塗りして用いる場合であっても、メイク崩れを起こしにくくなる。成分Cは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0027】
上記トリイソステアリン酸ポリグリセリルにおけるグリセリンの平均付加モル数は、特に限定されないが、2〜3が好ましく、より好ましくは2である。上記トリイソステアリン酸ポリグリセリルとしては、例えば、トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2が挙げられる。上記トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2は、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第15版,第2巻,Personal Care Products Council,2014年,p.2739):Polyglyceryl−2 Triisostearateで表記される化合物である。
【0028】
上記イソステアリン酸水添ヒマシ油は、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第15版,第1巻,Personal Care Products Council,2014年,p.1528−1529):Hydrogenated Caster Oil Isostearateで表記される化合物である。また、上記トリイソステアリン酸水添ヒマシ油は、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第15版,第1巻,Personal Care Products Council,2014年,p.1529):Hydrogenated Caster Oil Triisostearateで表記される化合物である。上記ヒドロキシステアリン酸水添ヒマシ油は、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第15版,第1巻,Personal Care Products Council,2014年,p.1528):Hydrogenated Caster Oil Hydroxystearateで表記される化合物である。上記ダイマージリノール酸水添ヒマシ油は、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第15版,第1巻,Personal Care Products Council,2014年,p.1528):Hydrogenated Caster Oil Dimer Dilinoleateで表記される化合物である。上記リンゴ酸ジイソステアリルは、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第15版,第1巻,Personal Care Products Council,2014年,p.1056):Diisostearyl Malateで表記される化合物である。
【0029】
成分Cとしては、中でも、トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2、イソステアリン酸水添ヒマシ油、トリイソステアリン酸水添ヒマシ油、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油が好ましく、イソステアリン酸水添ヒマシ油がより好ましい。即ち、成分Cはイソステアリン酸水添ヒマシ油を含むことが好ましく、イソステアリン酸水添ヒマシ油のみからなることが好ましい。
【0030】
本発明の乳化保湿化粧料中の成分Cの含有量は、特に限定されないが、本発明の乳化保湿化粧料100質量%に対して、0.5〜20.0質量%が好ましく、より好ましくは1.0〜10.0質量%、さらに好ましくは3.0〜8.0質量%である。上記含有量が0.5質量%以上であることにより、のび、なじみが向上する。一方、上記含有量が20.0質量%以下であることにより、べたつきのなさが向上する。上記成分Cの含有量は、本発明の乳化保湿化粧料中の全ての成分Cの含有量の合計量である。特に、イソステアリン酸水添ヒマシ油の含有量が上記範囲を満たすことが好ましい。
【0031】
[成分D:パントテニルアルコール]
上記成分Dは、パントテニルアルコール(パンテノール)である。成分Dは、W/Si型の乳化系の独特のべたつきを抑え、さらに乳化保湿化粧料の塗布時の馴染みを向上させる役割を有する。これにより、本発明の乳化保湿化粧料の使用感が向上する。また、本発明の乳化保湿化粧料を塗布した痕が残りにくくなるため、メイクアップ化粧料を塗布した肌上に重ね塗りして用いる用途として特に適したものとなる。上記パントテニルアルコールは、D体、L体、ラセミ体のいずれであってもよい。中でも、入手の容易性からD体(即ち、D−パントテニルアルコール)が好ましい。成分Dは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0032】
上記成分Dの市販品としては、例えば、BASFジャパン社製、商品名「D−Panthenol USP」;アルプス薬品工業社製、商品名「D−パントテニルアルコール」;DSNニュートリションジャパン社製、商品名「D−パントテニルアルコール」等が挙げられる。
【0033】
本発明の乳化保湿化粧料中の成分Dの含有量は、特に限定されないが、本発明の乳化保湿化粧料100質量%に対して、0.5〜10.0質量%が好ましく、より好ましくは1.0〜5.0質量%である。上記含有量が上記範囲であることにより、乳化保湿化粧料の塗布時の馴染みが向上し、さらに塗布後のべたつきが低減するため、使用感が向上する。上記成分Dの含有量は、本発明の乳化保湿化粧料中の全ての成分Dの含有量の合計量である。特に、D−パントテニルアルコールの含有量が上記範囲を満たすことが好ましい。
【0034】
[成分E:水]
上記成分Eは、特に限定されないが、精製水が好ましい。本発明の乳化保湿化粧料中の、成分Eの含有量は、特に限定されないが、本発明の乳化保湿化粧料100質量%に対して、30.0〜90.0質量%が好ましく、より好ましくは40.0〜80.0質量%である。
【0035】
[成分F:数平均分子量が1000〜30000であるポリエチレングリコール]
上記成分Fは、数平均分子量が1000〜30000であるポリエチレングリコールである。成分Fは、べたつきを抑え、馴染みを向上させる効果をより一層向上させ、使用感をより一層向上させる役割を有する。成分Fの数平均分子量は、使用感向上の観点から、1000〜20000が好ましい。成分Fは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0036】
本発明の乳化保湿化粧料中の成分Fの含有量は、特に限定されないが、本発明の乳化保湿化粧料100質量%に対して、0.5〜3.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜2.0質量%が好ましい。上記含有量が0.5質量%以上であることにより、乳化保湿化粧料の使用感がより一層向上する。一方、上記含有量が3.0質量%以下であることにより馴染みがより一層向上する。上記成分Fの含有量は、本発明の乳化保湿化粧料中の全ての成分Fの含有量の合計量である。
【0037】
[成分G:グリセリン、ジグリセリン、及びポリグリセリンからなる群より選ばれた保湿成分]
上記成分Gは、グリセリン、ジグリセリン、及びポリグリセリンからなる群より選ばれた保湿成分(少なくとも1種の保湿成分)である。中でも、成分Gは、グリセリン及び/又はジグリセリンであることが好ましい。上記ポリグリセリンの平均重合度は、3〜12が好ましく、より好ましくは5〜10である。成分Gは、本発明の乳化保湿化粧料中に配合した場合に、メイク崩れを生じることなく、保湿感を向上させる効果を発揮し得るため好ましい。成分Gは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0038】
本発明の乳化保湿化粧料中の成分Gの含有量は、特に限定されないが、本発明の乳化保湿化粧料100質量%に対して、3.0〜15.0質量%が好ましく、5.0〜10.0質量%が好ましい。上記含有量が3.0質量%以上であることにより、乳化保湿化粧料の保湿感がより一層向上する。一方、上記含有量が15.0質量%以下であることにより馴染みが向上しべたつきが低減し使用感がより一層向上する。上記成分Gの含有量は、本発明の乳化保湿化粧料中の全ての成分Gの含有量の合計量である。
【0039】
[成分H:環状シリコーン及び/又はメチルポリシロキサン]
上記成分Hは、環状シリコーン及び/又はメチルポリシロキサンである。即ち、環状シリコーン及びメチルポリシロキサンのうちのいずれか一方又は両方を表す。成分Hは、W/Si乳化系の乳化安定性を向上する役割を有する。上記環状シリコーンとしては、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルシクロポリシロキサンなどが挙げられる。成分Hは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0040】
本発明の乳化保湿化粧料中の成分Hの含有量は、特に限定されないが、本発明の乳化保湿化粧料100質量%に対して、5.0〜25.0質量%が好ましい。上記含有量が5.0質量%以上であることにより、乳化安定性が向上する。一方、上記含有量が25.0質量%以下であることによりメイク崩れをより一層生じにくくする。上記成分Hの含有量は、本発明の乳化保湿化粧料中の全ての成分Hの含有量の合計量である。
【0041】
本発明の乳化保湿化粧料は、メイク崩れを生じにくくする観点から、成分A〜Hに含まれるもの以外の油分を含まない、又は、含んでも少量であることが好ましい。上記油分としては、例えば、イソステアリン酸イソブチル、2−エチルヘキサン酸セチル等のエステル油;油脂;流動パラフィン等の炭化水素油;ロウ;ラウリン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸;オクチルドデカノール等の高級アルコールなどが挙げられる。本発明の乳化保湿化粧料中の、上記油分の含有量は、特に限定されないが、本発明の乳化保湿化粧料100質量%に対して、1.0質量%以下が好ましい。より具体的には、本発明の乳化保湿化粧料中の、エステル油、油脂、炭化水素油、ロウ、高級脂肪酸、及び高級アルコールからなる群より選ばれ、成分C以外の油分の含有量の合計量が、本発明の乳化保湿化粧料100質量%に対して、1.0質量%以下であることが好ましい。
【0042】
本発明の乳化保湿化粧料は、メイク崩れを生じにくくする観点から、成分A〜Hに含まれるもの以外の多価アルコールを含まない、又は、含んでも少量であることが好ましい。上記多価アルコールとしては、例えば、グリコール類、糖アルコールなどが挙げられる。上記グリコール類としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。上記糖アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、ソルビトール、マルチトール、トレハロースなどが挙げられる。本発明の乳化保湿化粧料中の、上記多価アルコールの含有量は、特に限定されないが、本発明の乳化保湿化粧料100質量%に対して、5.0質量%以下(0〜5.0質量%)が好ましい。
【0043】
本発明の乳化保湿化粧料は、上記成分A〜H以外の成分(その他の成分)を含有していてもよい。上記その他の成分としては、特に限定されないが、例えば、成分A以外の界面活性剤(カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤等)、低級アルコール、紫外線吸収剤、粉体、酸化防止剤、防腐剤、香料、着色剤、キレート剤、清涼剤、増粘剤、ビタミン類、中和剤、アミノ酸、pH調整剤、美白剤、抗炎症剤、消臭剤、制汗剤、殺菌剤、動植物抽出物、金属イオン封鎖剤、精油などの添加剤などが挙げられる。その他の成分は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0044】
本発明の乳化保湿化粧料は、優れた保湿感を得る観点などから、乳化組成物であり、特に、油中水型(W/Si型)の乳化組成物であることが好ましい。
【0045】
本発明の乳化保湿化粧料の剤型としては、特に限定されないが、例えば、ジェル、クリーム、乳液などが挙げられる。中でも、クリームが好ましい。即ち、本発明の乳化保湿化粧料は、好ましくは、クリーム状の乳化保湿化粧料である。
【0046】
本発明の乳化保湿化粧料は、常法により製造することができる。例えば、上記した各構成成分を混合し、公知の方法、具体的には、ホモミキサー等で撹拌する方法等が挙げられる。
【0047】
本発明の乳化保湿化粧料は、特に限定されないが、肌に潤いを与える、冬場の乾燥を防ぐ等を目的とする保湿化粧料である。なお、本発明の乳化保湿化粧料は、例えば、化粧品、医薬部外品、医薬品、雑貨のいずれであってもよい。
【0048】
本発明の乳化保湿化粧料は、皮膚に塗布して用いられることが好ましい。適用部位としては、特に限定されず、例えば、顔、腕、肘、手の甲、指先、足、膝、かかと、首、脇、背中などが挙げられる。中でも、メイクアップ化粧料を塗布した肌上に用いた場合であってもメイク崩れを抑制できる効果を有する観点から、顔が好ましく、例えば、頬、額、鼻、唇、目元、目じり、口元等が挙げられる。即ち、本発明の乳化保湿化粧料は、皮膚用の保湿化粧料であることが好ましく、顔用の保湿化粧料であることが特に好ましい。また、本発明の乳化保湿化粧料は、メイクアップ化粧料が塗布された肌の上に用いた場合であってもメイク崩れを抑制できる効果を有する観点から、メイクアップ化粧料が塗布された肌の上に重ね塗りして用いられる用途の保湿化粧料であることが好ましい。なお、上記メイクアップ化粧料としては、例えば、ファンデーション、化粧下地、チーク、コンシーラー、アイシャドウ、アイライナー、口紅、リップグロスなどが挙げられる。中でも、本発明の乳化保湿化粧料は、ファンデーションが塗布された肌の上に重ね塗りして用いる用途の保湿化粧料であることが特に好ましい。
【0049】
本発明の乳化保湿化粧料は、メイクアップ化粧料を塗布した肌上に重ね塗りして用いる場合であっても、メイク崩れを生じにくい。このため、本発明の乳化保湿化粧料の好ましい使用方法としては、メイクアップ化粧料が塗布された肌の上に、本発明の乳化保湿化粧料を重ね塗りする方法が挙げられる。より具体的には、例えば、ファンデーションが塗布された肌の上に、本発明の乳化保湿化粧料を重ね塗りする方法が挙げられる。上記の本発明の乳化保湿化粧料の使用方法は、所謂スキンケア方法であり、肌の保湿方法である。即ち、本発明は、メイクアップ化粧料(例えば、ファンデーション)が塗布された肌の上に、本発明の乳化保湿化粧料を重ね塗りするスキンケア方法(特に肌の保湿方法)をも提供する。
【0050】
上記重ね塗りの方法としては、特に限定されないが、本発明の乳化保湿化粧料を手で肌に塗る方法が挙げられ、より具体的には、本発明の乳化保湿化粧料を手に取り、薄く延ばしてから、保湿したい箇所に塗布する方法が挙げられる。
【0051】
本発明の乳化保湿化粧料とその使用方法によれば、メイクアップ化粧料が塗布された肌の上から保湿ができる。また、透明の乳化保湿化粧料とすることができ、メイクアップ化粧料が塗布された肌上に重ね塗りしても下のメイクの色に影響しないようにすることができる。このため、メイク直しをせずに、簡便に保湿することができ、例えば、外出先などでも保湿を行いやすい。さらに、顔のみならず、腕をはじめ全身に使えるため、1種類の保湿化粧料だけで全身の保湿が行える点でも簡便性に優れる。
【0052】
なお、メイクの上から保湿する方法としては、例えば、メイク上から化粧水をスプレーしてコットン等により抑える方法なども知られているが、このような方法では、水分により乾燥を抑えることはできるが、肌中の水分の蒸散を抑えることができず、水分が蒸散しやすく、再び乾燥しやすい点で十分ではない。また、保湿機能を有するファンデーションで化粧直しをする方法も知られているが、このような方法は、アイシャドウや口紅などのファンデーション以外の上には塗布できないという欠点がある。本発明の乳化保湿化粧料およびその使用方法は、従来の方法と比べて、簡便性などにおいて優れた保湿方法を提供し得るものである。
【0053】
本発明の乳化保湿化粧料においては、ポリエーテル変性シリコーン(成分A)と(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー(成分B)を用いた油中水型(所謂、W/Si型)の乳化系であり、なおかつ、必須の油分としてトリイソステアリン酸ポリグリセリル、イソステアリン酸水添ヒマシ油、トリイソステアリン酸水添ヒマシ油、ヒドロキシステアリン酸水添ヒマシ油、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、及びリンゴ酸ジイソステアリルからなる群より選ばれた油分(成分C)を配合することにより、メイクアップ化粧料を塗布した肌上に重ね塗りして用いる場合にメイク崩れを生じにくくすることができる。
【0054】
一方、上記成分Aと成分Bを用いた乳化系では、べたつき、特に乳化保湿化粧料の塗布後のべたつきが生じるという問題点があった。これに対して、本発明の乳化保湿化粧料においては、パントテニルアルコール(成分D)を配合することにより、上記べたつきを改善し、特にメイクアップ化粧料を塗布した肌上に重ね塗りして用いる用途などとして適した使用感を達成した。さらに、成分Dに加えて、特定分子量のポリエチレングリコール(成分F)を配合する場合には、べたつきがより一層改善され、使用感が向上するため好ましい。また、本発明の系においては、多価アルコールの保湿成分としては特定のグリセリン類(成分G)がメイク崩れを生じにくくするために特に適しており、これらを選択的に用いることによって、メイク崩れを抑制しながら、保湿感をさらに向上しうるため好ましい。
【0055】
本発明の乳化保湿化粧料は、上述の構成上の特徴により、メイクアップ化粧料を塗布した肌上に重ね塗りして用いた場合であっても、メイク崩れを起こしにくく、なおかつ、べたつきがなく使用感にも優れる。このため、メイクアップ化粧料を塗布した肌上に重ね塗りして用いる用途の保湿化粧料として特に優れた効果を発揮する。但し、本発明の乳化保湿化粧料はこれに限定されるわけではなく、肌上に直接用いた場合であっても、優れた保湿効果を発揮する。
【実施例】
【0056】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。尚、配合量は、各成分の配合量(即ち、各原料中の有効成分の配合量)であり、特記しない限り「質量%」で表す。
【0057】
実施例1〜10、比較例1〜4
表に記載の組成に従い、クリーム状のW/Si型乳化保湿化粧料を常法により調製した。
【0058】
なお、実施例および処方例に記載の各成分の詳細は、以下の通りである。
【0059】
PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン:商品名「KF−6028」、信越化学工業社製
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー
(*1):商品名「KSG−15」、信越化学工業社製
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー
(*2):商品名「KSG−16」、信越化学工業社製
イソステアリン酸水添ヒマシ油:商品名「リソカスタ MIS」、高級アルコール工業株式会社製
リンゴ酸ジイソステアリル:商品名「ハイマレート DIS」、高級アルコール工業株式会社製
トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2:商品名「リソレックス PGIS23」、高級アルコール工業株式会社製
トリイソステアリン酸水添ヒマシ油:商品名「キャストライドTIS−p」、ナショナル美松株式会社製
ヒドロキシステアリン酸水添ヒマシ油:商品名「キャストライドMH」、ナショナル美松株式会社製
ダイマージリノール酸水添ヒマシ油:商品名「リソカスタ DA−H」、高級アルコール工業株式会社製
PEG−1000:商品名「PEG#1000」、日油株式会社製
PEG−4000:商品名「PEG#4000」、日油株式会社製
PEG−20000:商品名「ブラウノン PEG−20000S」、青木油脂工業株式会社
ポリグリセリン:商品名「ポリグリセリン#750」、坂本薬品工業社製
【0060】
(評価)
実施例および比較例で得られた各乳化保湿化粧料について以下の通り評価した。評価結果は表に記載した。
【0061】
(1)メイク崩れのなさ
バイオスキン(商品名「バイオプレート#白(195×130×5T)」、ビューラックス社製)に市販のファンデーションを塗布し、25℃の条件下で8時間放置した。次いで、上記のファンデーションを塗布したバイオスキン上に、実施例および比較例で得られた各乳化保湿化粧料を約0.2g塗布し、指先で5回転円を描くようになぞり、乳化保湿化粧料を馴染ませた。その後、乳化保湿化粧料を塗布した表面をコットンで約2秒間おさえて、コットンへのファンデーションの移り(転写)及びバイオスキン表面の状態を観察し、メイク崩れのなさを下記の基準で評価した。
【0062】
<メイク崩れのなさの判定基準>
◎(優れる):ファンデーションがコットンに全く移らない。
○(良好):ファンデーションがコットンに僅かに移るが、バイオスキン表面は、メイク崩れとして認識されない。
△(不十分):ファンデーションがコットンに僅かに移り、バイオスキン表面は、僅かにメイク崩れとして認識される。
×(不良):ファンデーションがコットンに明らかに移り、バイオスキン表面は、明らかにメイク崩れとして認識される。
なお、評価は2名の専門評価員が、25℃の条件下で実施した。
【0063】
(2)塗布時の馴染み、べたつきのなさ、保湿感
実施例および比較例で得られた各乳化保湿化粧料約0.5gを手の甲に塗布し、塗布時の「馴染み」、並びに、塗布後1分後の塗布部分の「べたつきのなさ」及び「保湿感」について官能評価を行い、下記基準に従って判定した。なお、評価は、2名の専門評価員が、25℃の条件下で実施した。
【0064】
<馴染みの判定基準>
◎(優れる):馴染みが速い。
○(良好):十分に使用可能な馴染みの速さである。
△(不十分):馴染みが少し遅く、使用上不十分である。
×(不良):馴染みが明らかに遅く、使いづらい。
【0065】
<べたつきのなさの判定基準>
◎(優れる):べたつきを感じない。
○(良好):べたつきをやや感じが保湿化粧料として十分良好な使用感である。
×(不良):明らかにべたつきを感じ、使用感が悪い。
【0066】
<保湿感の判定基準>
◎(優れる):しっとりとした保湿感を十分に感じることができる。
○(良好):しっとりとした保湿感を感じることができる。
△(不十分):保湿感を僅かに感じるが、保湿化粧料としては不十分である。
×(不良):保湿感を全く感じない。
【0067】
【表1】
【0068】
さらに、以下に、本発明の乳化保湿化粧料の処方例を示す。
【0069】
処方例1:クリーム1
PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 2.0質量%
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー 1.5質量%
イソステアリン酸水添ヒマシ油 3.0質量%
デカメチルシクロペンタシロキサン 15.0質量%
メチルポリシロキサン 3.8質量%
濃グリセリン 5.0質量%
ポリエチレングリコール1000 2.0質量%
エタノール 1.0質量%
メチルパラベン 0.2質量%
香料 0.1質量%
精製水 残部
合計 100.0質量%
【0070】
処方例1:クリーム2
PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 3.0質量%
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー 2.0質量%
イソステアリン酸水添ヒマシ油 5.0質量%
デカメチルシクロペンタシロキサン 18.0質量%
メチルポリシロキサン 3.8質量%
濃グリセリン 5.0質量%
ジグリセリン 2.0質量%
ポリエチレングリコール1540 1.0質量%
エタノール 5.0質量%
メチルパラベン 0.2質量%
香料 0.1質量%
精製水 残部
合計 100.0質量%
【0071】
処方例3:ジェル(半透明クリーム)
PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 3.0質量%
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー 2.5質量%
リンゴ酸ジイソステアリル 5.0質量%
デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0質量%
濃グリセリン 7.0質量%
ポリグリセリン 3.0質量%
ポリエチレングリコール4000 1.0質量%
ポリエチレングリコール400 1.0質量%
エタノール 10.0質量%
メチルパラベン 0.2質量%
精製水 残部
合計 100.0質量%
【0072】
処方例4:乳液
PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 10.0質量%
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー 1.0質量%
トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2 5.0質量%
デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0質量%
濃グリセリン 5.0質量%
1,3−ブチレングリコール 1.0質量%
ポリエチレングリコール20000 1.0質量%
エタノール 5.0質量%
1,2−ペンタンジオール 0.1質量%
精製水 残部
合計 100.0質量%