(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したように上シートと下シートとが接着され、上シートの一部が配達票のような剥離領域となって下シートから剥離されるシート体においては、複数の剥離領域が一方向に並んで区画形成されるものがあり、その場合、複数の剥離領域の並び方向に搬送されながら印字等の加工が行われることがある。
【0007】
例えば、上シートと下シートとが接着され、上シートに、配達票と貼付票とがそれぞれ剥離領域となって一方向に並んで区画形成されており、下シートの上シートとの接着面とは反対側の面に剥離紙が剥離可能に接着された状態で、配達票と貼付票の並び方向に搬送されながら、配送情報が配達票と貼付票に印字される場合がある。
【0008】
その場合、搬送方向先端側の端辺に沿って、上述したように接着力が弱い接着部が設けられていると、上シートと下シートとがその端辺から不用意に剥離してしまう虞がある。特に、上シート及び下シートの配達票及び貼付票の周囲の領域が、いわゆるカス上げされることで、剥離紙が上シート及び下シートよりも一回り大きな形状である場合、その大きさの違いによって上シート及び下シートと剥離紙との端辺にて生じた段差がプリンタ内にてひっかかり、上シートと下シートとがその端辺から不用意に剥離してしまう可能性が高くなる。
【0009】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、上シートと下シートとが重ね合わされて互いに接着され、上シートに、下シートから剥離可能となる剥離領域が一方向に複数並んで区画形成されてなるシート体において、剥離領域を下シートから容易に剥離できながらも、複数の剥離領域の並び方向に搬送されながら印字等の加工が行われる場合に、剥離領域が下シートから不用意に剥離してしまうことを回避できるシート体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、
下シートと上シートとが重ね合わされて互いに接着され、前記上シートに、前記下シートから剥離可能となる
矩形状の剥離領域が一方向に複数並んで区画形成され、該複数の剥離領域のそれぞれが1つの角部を剥離開始端として前記下シートから剥離されるシート体であって、
前記複数の剥離領域のそれぞれは、少なくとも、
前記下シートとの間にて当該剥離領域の外周
の4辺に沿って設けられた第1の接着部と、
前記下シートとの間にて前記第1の接着部の内側に該第1の接着部に沿って設けられ、前記第1の接着部よりも接着力が強い第2の接着部と、
によって前記下シートに接着され、
前記複数の剥離領域のうち、当該剥離領域の一端辺が前記上シートの前記複数の剥離領域の並び方向における外周辺に重なる端部剥離領域
のみは、当該一端辺に沿う領域
が、前記第1の接着部が設けられずに前記第2の接着部が当該端辺に対向する領域まで達している。
【0011】
上記のように構成された本発明においては、上シートに区画形成された複数の剥離領域がそれぞれ、下シートとの間にて当該剥離領域の外周に沿って設けられた第1の接着部と、下シートとの間にて第1の接着部の内側に第1の接着部に沿って設けられ、第1の接着部よりも接着力が強い第2の接着部とによって下シートに接着されていることで、その外周部分の下シートとの接着力が第1の接着部によって弱くなっているため、剥離領域を下シートから容易に剥離でき、一方、複数の剥離領域のうち、一端辺が上シートの複数の剥離領域の並び方向における外周辺に重なる端部剥離領域においては、その一端辺に沿う領域が、第1の接着部が設けられずに第2の接着部が当該端辺に対向する領域まで達しているので、端部剥離領域の端辺が先端となって搬送されながら印字等の加工が行われれば、上シートの先端側の端辺に対向する領域は接着力が弱い第1の接着部が存在せず、それにより、剥離領域が下シートから不用意に剥離してしまうことが回避される。
【0012】
また、端部剥離領域においては、上シートの複数の剥離領域の並び方向における外周辺に重なる一端辺に沿う領域が、第1の接着部が設けられずに第2の接着部が当該端辺まで達していることで、他の剥離領域と比べて下シートから剥離しにくくなっているが、シート体が、領収証と、配達票と、貼付票とを有するものであれば、配達票は、配送業者がその作業中に配達票を配送物から迅速に剥離する必要があるものの、領収証は、配送物の配送先にて配送物から迅速に剥離する必要がないため、端部剥離領域としても運用上差し支えない。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、剥離領域の外周部分の下シートとの接着力が第1の接着部によって弱くなっていることにより、剥離領域を下シートから容易に剥離でき、一方、上シートに一方向に並んで区画形成された複数の剥離領域のうち、一端辺が上シートの複数の剥離領域の並び方向における外周辺に重なる端部剥離領域においては、その一端辺に沿う領域が、第1の接着部が設けられずに第2の接着部が当該端辺に対向する領域まで達しているため、複数の剥離領域の並び方向に搬送されながら印字等の加工が行われる場合に、端部剥離領域の端辺が先端となって搬送されながら印字等の加工が行われれば、剥離領域が下シートから不用意に剥離してしまうことを回避できる。
【0014】
また、シート体が、領収証と、配達票と、貼付票とを有するものにおいては、端部剥離領域が領収証であり、端部剥離領域に隣接する剥離領域が配達票であれば、迅速に剥離する必要がある配達票を剥離しやすくしながらも上記効果を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明のシート体の実施の一形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示した矢印A方向から見た図、(c)は(a)に示した矢印B方向から見た図、(d)は(a)に示したC−C’断面図である。
図2は、
図1に示した上シート10の下シート20との接着面の構成を示す図である。
図3は、
図1に示した下シート20の上シート10との接着面の構成を示す図であり、(a)はメジウム層50の積層領域を示す図、(b)は接着部の構成を示す図である。
図4は、
図3に示した接着部27の構成を示す図である。
図5は、
図3に示した接着部21〜29の詳細な形状を示す図であり、上シート10及び下シート20の外形並びにスリット13a,13b及びジッパー部13cの位置を破線で示す。
【0018】
本形態は
図1に示すように、角部に丸みを帯びた略長方形の上シート10と下シート20とが重ね合わされて接着され、下シート20の上シート10との接着面とは反対側の面に、上シート10及び下シート20よりも一回り大きな剥離紙30が剥離可能に接着された配送伝票1である。なお、
図1(d)においては、配送伝票1の積層構造をわかりやすくするために便宜上厚みを帯びて図示しているが、配送伝票1は実際には、
図1(b),(c)に示すように、横方向から見た場合に積層構造がわからないほどのものである。
【0019】
上シート10は、領収証10aと配達票10bと貼付票10cとが上シート10の長手方向に並んで配置されて構成されている。このうち、領収証10a及び配達票10bが本発明における剥離領域となり、そのうち領収証10aが、配達票10bとは反対側の一端辺が上シート10の領収証10a及び配達票10bの並び方向における外周辺に重なることで、本発明における端部剥離領域となる。領収証10aと配達票10bとは、上シート10に形成されたスリット13aによって分離可能となっており、配達票10bと貼付票10cとは、上シート10に形成されたスリット13b及びジッパー部13cによって分離可能となっている。スリット13a,13bは、上シート10の短手方向に延びている。ジッパー部13cは、上シート10の短手方向の一端辺の近傍に形成されており、上シート10の短手方向に延びた辺部とその辺部の端部から配達票10b側に斜めに向かった辺部とからなる「へ」の字状のカット部と、タイ部とから構成されている。
【0020】
領収証10a、配達票10b及び貼付票10cのそれぞれには、この配送伝票1が貼付される配送物の配送元や配送先の住所、氏名等からなる配送情報が印字される配送情報表示領域11a〜11cが設けられている。また、領収証10aには、配達票10b側の1つの角部に、領収証10aを下シート20から剥離する際の剥離開始推奨端を示す剥離指示情報14aが表示されており、配達票10bには、貼付票10c側であってジッパー部13cが設けられた側の角部に、配達票10bを下シート20から剥離する際の剥離開始推奨端を示す剥離指示情報14bが表示されている。また、配達票10bには、受領印を押下するための押印領域12bが設けられている。
【0021】
上シート10の下シート20との接着面には、
図2に示すように、上シート10の長手方向両端の幅狭の部分を除いた領域に、紫外線硬化型等の一般的な剥離ニスが塗布されることによってニス層20a,20bが積層されている。ニス層20aは、領収証10aのうち上シート10の長手方向の一端の幅狭の部分を除いた全面と、配達票10bの全面と、貼付票10cの配達票10bに沿う幅狭の領域とに、剥離ニスがベタ印刷されることによって積層されている。ニス層20bは、貼付票10cのうち上シート10の長手方向両端の幅狭の部分を除いた領域に、剥離ニスが50%の濃度の網点スクリーン印刷が施されることによって積層されている。
【0022】
下シート20の上シート10との接着面には、まず、
図3(a)に示すように、貼付票10cのニス層20bが積層されていない領域に対向する領域を除いた全面と、領収証10a及び配達票10bに対向する領域の全面に、酸化チタン等を含有する一般的なメジウムによって構成されるメジウム層50が積層されている。
【0023】
そして、メジウム層50が積層された下シート20上に、
図3(b)に示すように接着部21〜28が設けられている。
【0024】
接着部21は、本発明における第1の接着部となるものであって、
図3(b)及び
図5に示すように、上シート10と下シート20との間において、配達票10bの外周に沿う領域と、領収証10aの外周のうち上シート10の長手方向の一端に沿う領域を除く領域と、貼付票10cの配達票10bに沿う領域とに幅W
1を有して設けられており、メジウム層50が積層された下シート20上に、擬似接着エマルジョン糊を用いた65dpiの15%の網点スクリーン印刷が施されることによって設けられている。幅W
1としては、例えば、1.5mmが考えられる。
【0025】
接着部22は、接着部23〜26とともに本発明における第2の接着部となるものであって、
図3(b)及び
図5に示すように、上シート10と下シート20との間において、領収証10a及び配達票10bのそれぞれに対向する領域にて、剥離指示情報14a,14bによって示される剥離開始端の両側端辺に並行して接着部21の内側に接着部21に沿って幅W
2を有して設けられており、メジウム層50が積層された下シート20上に、擬似接着エマルジョン糊を用いた65dpiの50%の網点スクリーン印刷が施されることによって設けられている。幅W
2としては、例えば、5mmが考えられる。
【0026】
接着部23は、
図3(b)及び
図5に示すように、上シート10と下シート20との間において、配達票10bに対向する領域にて、配達票10bの剥離指示情報14bによって示される剥離開始端の両側端辺に対向する端辺にそれぞれ並行して接着部21の内側に接着部21に沿って、接着部22と繋がる部分から配達票10bの剥離終了端となる角部までの途中まで幅W
3を有して設けられており、メジウム層50が積層された下シート20上に、擬似接着エマルジョン糊を用いた65dpiの50%の網点スクリーン印刷が施されることによって設けられている。幅W
3としては、例えば、3mmが考えられる。また、接着部23は、上シート10と下シート20との間において、領収証10aに対向する領域にも設けられている。領収証10aに対向する領域においては、接着部23は、領収証10aの剥離指示情報14aによって示される剥離開始端の両側端辺に対向する端辺のうち、上シート10及び下シート20の短手方向の端辺に並行して接着部21の内側に接着部21に沿って、接着部22と繋がる部分から領収証10aの剥離終了端となる角部までの途中まで幅W
3を有して設けられている。
【0027】
接着部24は、
図3(b)及び
図5に示すように、上シート10と下シート20との間において、配達票10bに対向する領域にて、配達票10bの剥離指示情報14bによって示される剥離開始端の両側端辺に対向する端辺にそれぞれ並行して接着部21の内側に接着部21に沿って、接着部23と繋がる部分から配達票10の剥離終了端となる角部まで幅W
4を有して設けられており、メジウム層50が積層された下シート20上に、擬似接着エマルジョン糊を用いた65dpiの50%の網点スクリーン印刷が施されることによって設けられている。幅W
4としては、例えば、1mmが考えられる。また、接着部24は、上シート10と下シート20との間において、領収証10aに対向する領域にも設けられている。領収証10aに対向する領域においては、接着部24は、領収証10aの剥離指示情報14aによって示される剥離開始端の両側端辺に対向する端辺のうち、上シート10及び下シート20の短手方向の端辺に並行して接着部21の内側に接着部21に沿って、接着部23と繋がる部分から配達票10bの剥離終了端となる角部まで幅W
4を有して設けられている。
【0028】
接着部25は、
図3(b)及び
図5に示すように、上シート10と下シート20との間において、領収証10aに対向する領域にて、領収証10aの剥離指示情報14aによって示される剥離開始端の両側端辺に対向する端辺のうち、上シート10及び下シート20の長手方向の端辺に沿って、接着部22と繋がる部分から領収証10aの剥離終了端となる角部までの途中まで幅W
5を有して設けられており、メジウム層50が積層された下シート20上に、擬似接着エマルジョン糊を用いた65dpiの50%の網点スクリーン印刷が施されることによって設けられている。幅W
5としては、例えば、5mmが考えられる。
【0029】
接着部26は、
図3(b)及び
図5に示すように、上シート10と下シート20との間において、領収証10aに対向する領域にて、領収証10aの剥離指示情報14aによって示される剥離開始端の両側端辺に対向する端辺のうち、上シート10及び下シート20の長手方向の端辺に沿って、接着部25と繋がる部分から領収証10aの剥離終了端となる角部まで幅W
6を有して設けられており、メジウム層50が積層された下シート20上に、擬似接着エマルジョン糊を用いた65dpiの50%の網点スクリーン印刷が施されることによって設けられている。幅W
6としては、例えば、3mmが考えられる。
【0030】
このように、接着部22,25の幅は互いに等しく、接着部23,26の幅は互いに等しく、接着部22,25の幅は接着部23,26の幅よりも広く、接着部23,26の幅は接着部24の幅よりも広くなっている。また、接着部22〜26における擬似接着エマルジョン糊の印刷濃度が互いに等しいことから、接着部22,25,26における上シート10と下シート20との接着力が、接着部23,24における上シート10と下シート20との接着力よりも強くなっている。
【0031】
また、配達票10bに対向する領域においては、領収証10a側の端辺に沿う領域に、接着部21が設けられているとともに、その内側に接着部23,24が設けられているが、これに対して、領収証10aに対向する領域においては、配達票10aとは反対側の端辺に沿う領域に、接着部21が設けられずに接着部25,26が配達票10aとは反対側の端辺に対向する領域まで達して設けられている。
【0032】
接着部27は、
図3(b)及び
図5に示すように、上シート10と下シート20との間において、領収証10a及び配達票10bに対向する領域のそれぞれにて、接着部22〜26に取り囲まれて設けられている。接着部27は、
図4に示すように、水性エマルジョン接着剤が塗布された接着部27aが、接着剤が塗布されていない非接着部27b内に島状に設けられて構成されている。接着部27aは、長方形の形状を具備しており、領収証10aと配達票10bとの並び方向に対して、長辺が第1の角度α
1を有する方向に延び、かつ、第2の角度α
2を有する方向に並んで構成されている。第1の角度α
1としては、例えば45度が考えられ、また、第2の角度α
2としては、例えば、30度が考えられる。なお、接着部27aの形状は長方形に限らず、三角形や楕円等であってもよく、さらにはストライプ状であってもよい。また、接着部27は、水性エマルジョン接着剤が塗布された接着部内に、接着剤が塗布されていない非接着部が島状に設けられている構成としてもよい。それにより、上シート10と下シート20とは、接着部27が設けられた領域においては、上シート10と下シート20とが接着された接着部と上シート10と下シート20とが接着されていない非接着部とがストライプ状または島状に混在していることとなる。接着部27はこのように構成されることにより、上シート10と下シート20との接着力が接着部22よりも弱いものとなっている。
【0033】
接着部28は、
図3(b)及び
図5に示すように、上シート10と下シート20との間において、貼付票10cに対向する領域のうち配達票10bに沿う領域を除いた部分に、擬似接着エマルジョン糊を用いた65dpiの50%の網点スクリーン印刷が施されることによって設けられている。
【0034】
なお、下シート20の領収証10a及び配達票10bに対向する領域のうち、剥離指示情報14a,14bによって剥離開始端が示された角部においては、接着部21〜28が設けられておらず、上シート10と下シート20とが接着されていない非接着領域29a,29bとなっている。接着部22は、非接着領域29bに沿う領域にも設けられている。また、ジッパー部13cは、非接着領域29bに含まれるように形成されている。
【0035】
上シート10と下シート20との互いの接着面が上記のように構成されていることで、上シート10と下シート20とは、上シート10のニス層20a,20bが積層されている領域においては、剥離可能に接着され、ニス層20a,20bが積層されていない領域においては、剥離困難に接着されていることになる。なお、剥離困難とは、人間の手によって上シート10と下シート20とを剥離した場合に、上シート10と下シート20が裂かれたり厚み方向に分割されたりする程度に強接着されていることである。ただし、本形態における配送伝票1においては、上シート10のニス層20a,20bが積層されていない領域は、上シート10の長手方向両端部の幅狭の領域であるため、上シート10と下シート20との剥離が容易ではないものの、人間の手によって剥離することが可能である。また、領収証10a及び配達票10bの下シート20との接着面に積層されたニス層20aが、剥離ニスがベタ印刷されることによって積層されているのに対して、貼付票10cに積層されたニス層20bが、剥離ニスが50%の濃度の網点スクリーン印刷が施されることによって積層されているものであるため、貼付票10cの下シート20からの剥離力が、領収証10aや配達票10bの下シート20からの剥離力よりも重くなっている。
【0036】
上記のように構成された配送伝票1においては、配達票10bと下シート20とを接着している接着部21〜24,27のうち、主に接着力が強い接着部22〜24によって、配達票10bの下シート20からの不用意な剥離が回避されていることになるが、配送伝票1よりも一回り大きなシート体が断裁されることで配送伝票1が区画形成される場合、特に、幅が狭い接着部23,24が設けられた領域においては、断裁位置がずれると、断裁位置となる端辺には接着部が存在しないこととなり、配達票10bがその端辺から不用意に剥離してしまう虞がある。ところが、本形態のように、配達票10bに外周に沿って接着部21が設けられることで接着部23,24が断裁位置から遠ざかっていることにより、断裁位置が多少ずれた場合でも、配達票10bの端辺に接着部23,24が存在することになり、配達票10bが下シート20から不用意に剥離してしまうことを回避できる。
【0037】
また、領収証10aにおいては、上記同様の効果に加えて、上シート10及び下シート20の長手方向端部に接着部21が設けられていないものの、この領域に設けられた接着部25,26の幅が接着部23,24よりも広いことによって、断裁位置が多少ずれた場合でも、領収証10aが下シート20から不用意に剥離してしまうことを回避できる。
【0038】
以下に、上述した配送伝票1の使用方法及びその際の作用効果について説明する。
【0039】
上述した配送伝票1を用いて配送物を配送する場合は、まず、領収証10a、配達票10b及び貼付票10cに設けられた配送情報表示領域11a〜11cのそれぞれに、配送物の配送先の住所や氏名等の配送情報を印字する必要がある。
【0040】
図6は、
図1に示した配送伝票1にプリンタにて配送情報が印字される際の作用を説明するための図である。
【0041】
図1に示した配送伝票1に配送情報を印字する場合は、配送伝票1の長手方向の端辺にうち領収証10a側の端辺が先端となってプリンタ内を搬送される。すなわち、下シート20から剥離される領収証10a及び配達票10bのうち、剥離指示情報14a,14bによって指定される剥離開始端の両側端辺に対向する端辺の一方が上シート10の長手方向における外周辺に重なる領収証10aの端辺が先端となってプリンタ内を搬送されることとなる。
【0042】
すると、領収証10aに対向する領域においては、配達票10bに対向する領域に対して、上シート10及び下シート20の長手方向端辺に沿う領域が、接着部23,24の代わりに接着部25,26が設けられており、それにより、接着力が弱い接着部21が設けられず、かつ、接着力が強い接着部25,26が上シート10及び下シート20の長手方向端辺、すなわち、領収証10aの端辺に対向する領域まで延びているため、
図6に示すように、プリンタ内の2つのローラ2a,2bに挟まれながら搬送されても、上シート10及び下シート20と剥離紙30との大きさの違いによって配送伝票1の搬送方向先端側に段差が生じているものの、この段差にローラ2aがひっかかって領収証10aが下シート20から不用意に剥離してしまうことが回避される。
【0043】
この効果は、領収証10aに対向する領域のうち、上シート10及び下シート20の長手方向における外周辺に重なる端辺に対向する領域に接着部21が設けられず、接着部21の代わりに、接着部23,24をその端辺に対向する領域まで達するように設けることでも得ることができるが、接着部23,24よりも幅が広い接着部25,26を設けることで、配送伝票1の搬送方向先端における上シート10と下シート20との接着力が強くなり、領収証10aがプリンタ内にて下シート20から剥離されることがより確実に回避されることとなる。
【0044】
領収証10a、配達票10b及び貼付票10cに設けられた配送情報表示領域11a〜11cのそれぞれに、配送物の配送先の住所や氏名等の配送情報が印字された配送伝票1は、剥離紙30が剥離されて配送物に貼付され、配送伝票1が貼付された配送物が、配送情報表示領域11a〜11cに印字された配送情報に従って配送物の配送先に配送されていく。この際、貼付票10cのうち上シート10の長手方向一端の領域がニス層20bが積層されずに上シート10と下シート20とが接着されていることで、貼付票10cが領収証10aや配達票10bと比べて下シート20に強固に接着されているため、配送物の配送途中において、領収証10a、配達票10b及び貼付票10cの全てが下シート20から不用意に剥離して配送物から脱落してしまうことが回避される。
【0045】
配送伝票1が貼付された配送物が配送先に配送されると、配達票10bに設けられた押印領域12bに受領印が押下され、配送業者によって配達票10bが下シート20から剥離されることで配送伝票1から分離される。
【0046】
図7は、
図1に示した配送伝票1から配達票10bを分離する際の作用を説明するための図である。
【0047】
図7(a)に示すように、
図1に示した配送伝票1の配達票10bに設けられた押印領域12bに受領印16bが押下された後、配達票10bの角部のうち剥離指示情報14bが表示された角部を剥離開始端として配達票10bが下シート20から剥離されていく。配達票10bは下シート20との接着面に積層されたニス層20aによって下シート20から剥離可能となっており、また、スリット13a,13b及びジッパー部13cによって領収証10a及び貼付票10cから分離可能となっているため、配達票10bを下シート20から剥離して配送伝票1から分離していくことができる。この際、配達票10bの剥離指示情報14bが表示された角部は、下シート20と接着されていない非接着領域29bとなっているため、配達票10bを下シート20からスムーズに剥離し始めることができ、また、配達票10bの外周に沿う領域に接着力が弱い接着部21が設けられていることによっても、配達票10bを下シート20からスムーズに剥離していくことができる。また、配達票10bを下シート20から剥離していく際、その配達票10bに加わる力が、配達票10bと貼付票10cとの境界部分から配達票10bの内側に向かうことになるが、配達票10bの剥離指示情報14bが表示された角部の近傍にはジッパー部13cが設けられており、このジッパー部13cが、上シート10の短手方向に延びた辺部と配達票10b側に斜めに向かった辺部とからなる「へ」の字状のカット部とタイ部とから構成されているため、配達票10bがジッパー部13cの1つのカット部の端部から内側に裂けていっても隣接するカット部に繋がり、配達票10bが破れてしまうことがない。
【0048】
配達票10bは、剥離指示情報14bが表示された角部から、対向する角部に向かって剥離されていくが、上シート10と下シート20との間における配達票10bに対向する領域には、水性エマルジョン接着剤が塗布された接着部27aが、接着剤が塗布されていない非接着部27b内に島状に設けられて構成された接着部27が設けられているため、接着部27が設けられた領域においては、配達票10bを下シート20から剥離する際に剥離部分に大きな応力が集中することがなくなり、配達票10bが下シート20から剥離した状態においてカールが生じることが抑制されることとなる。また、上シート10と下シート20との間における配達票10bに対向する領域においては、剥離指示情報14bによって示される剥離開始端の両側端辺に対向する端辺に並行して設けられた接着部23,24の幅が、剥離指示情報14bによって示される剥離開始端の両側端辺に並行して設けられた接着部22の幅よりも狭いことで、剥離指示情報14bによって示される剥離開始端の両側端辺に対向する端辺に並行した領域における配達票10bと下シート20との接着力が、剥離指示情報14bによって示される剥離開始端の両側端辺に並行した領域における配達票10bと下シート20との接着力よりも弱くなっているため、剥離指示情報14bによって示される剥離開始端から配達票10bを剥離していった際、配達票10bが下シート20から剥離される剥離部分にかかる負荷が小さくなっていき、配達票10bが下シート20から剥離した後にカールしにくくなる。さらに、剥離指示情報14bによって示される剥離開始端の両側端辺に対向する端辺に並行する領域においては、剥離終了端側の接着層24の幅が、接着部22に繋がる接着層23の幅よりも狭いことで、剥離終了端側の領域における配達票10bと下シート20との接着力が、接着部22に繋がる領域における配達票10bと下シート20との接着力よりも弱くなっているため、剥離指示情報14bによって示される剥離開始端から配達票10bを剥離していった際、配達票10bが下シート20から剥離される剥離部分にかかる負荷が小さくなっていき、配達票10bが下シート20から剥離した後にカールしにくくなる。
【0049】
また、本形態においては、配達票10bと下シート20とを接着している接着部21〜24,27のうち、主に接着力が強い接着部22〜24によって、配達票10bの下シート20からの不用意な剥離が回避されていることになるが、この接着部22〜24の外側に、接着部22〜24よりも接着力が弱い接着部21が配達票10bの外周に沿って設けられているため、
図7(b)に示すように、例えば、剥離指示情報14bが表示された角部に対向する角部等、剥離開始端の領域を問わずに配達票10bを下シート20からスムーズに剥離していくことができる。
【0050】
このようにして配達票10bが下シート20から剥離され、
図7(c)に示すように、配送伝票1から配達票10bが分離されることになるが、配達票10bは、配送業者がその作業中に配送物から迅速に剥離する必要があるため、上述したように配達票10bを下シート20からスムーズに剥離できる構成とすることにより、運用上有効なものとすることができる。
【0051】
下シート20から剥離した配達票10bは、裏面がその全面に剥離ニス層20aが表出したものとなるため、べたつくことがなく、さらに、上シート10と下シート20とが接着されたものに対して、その厚さが薄いものとなり、保管しやすくなる。
【0052】
配送伝票1から配達票10bが分離された後、配送物の配送先において、領収証10aが下シート20から剥離される。
【0053】
図8は、
図1に示した配送伝票1から領収証10aを分離する際の作用を説明するための図である。
【0054】
領収証10aは下シート20との接着面に積層されたニス層20aによって、配達票10bとは反対側の端辺に沿う領域以外が下シート20から剥離可能となっているため、
図8(a)に示すように、剥離指示情報14aが表示された角部から剥離していくことができる。この際、領収証10aにおいても、領収証10aの剥離指示情報14aが表示された角部は、下シート20と接着されていない非接着領域29aとなっており、また、接着力が弱い接着部21が、領収証10aの配達票10bとは反対側の端辺に沿う領域を除いた外周に沿って設けられていることによって下シート20からスムーズに剥離していくことができる。また、接着部27aが非接着部27b内に島状に設けられて構成された接着部27によって、領収証10aが下シート20から剥離した状態においてカールが生じることが抑制されることとなる。また、領収証10aに対向する領域においては、剥離指示情報14aによって示される剥離開始端の両側端辺に対向する端辺のうち上シート10の長手方向の一端に並行して設けられた接着部25の幅が、剥離指示情報14aによって示される剥離開始端の両側端辺に並行して設けられた接着部22の幅と同等であることにより、接着部25が設けられた領域においては、領収証10aが下シート20から剥離されていく際にその剥離部分にかかる負荷が小さくなりにくいが、領収証10aを下シート20からゆっくり剥離することで、カールしにくくすることができる。また、剥離指示情報14aによって示される剥離開始端の両側端辺に対向する端辺に並行する領域においては、剥離終了端側の接着層24の幅が、接着部22に繋がる接着層23の幅よりも狭く、また、剥離終了端側の接着層26の幅が、接着部22に繋がる接着層25の幅よりも狭いことで、剥離終了端側の領域における領収証10aと下シート20との接着力が、接着部22に繋がる領域における領収証10aと下シート20との接着力よりも弱くなっているため、剥離指示情報14aによって示される剥離開始端から領収証10aを剥離していった際、領収証10aが下シート20から剥離される剥離部分にかかる負荷が小さくなっていき、領収証10aが下シート20から剥離した後にカールしにくくなる。
【0055】
領収証10aの下シート20からの剥離部分が、ニス層20aが積層されていない領域に達すると、ニス層20aが積層されていない領域は領収証10aと下シート20とが剥離可能とはなっておらず、また、この領域には、接着力が弱い接着部21ではなく、接着部21よりも接着力が強い接着部25,26が設けられていることによっても、領収証10aと下シート20とが剥離しにくくなっているが、ニス層20aが積層されていない領域が、領収証10aの配達票10bとは反対側の端辺に沿う幅狭の部分であるため、人の手によって領収証10aを下シート20から剥離することができる。
【0056】
このようにして領収証10aが下シート20から剥離され、
図8(b)に示すように、配送伝票1から領収証10aが分離されることになるが、領収証10aは、配送物の配送先にて配送物から迅速に剥離する必要がないため、上記のように、その一部に剥離しにくい領域が存在していたとしても、運用上差し支えない。
【0057】
また、上記のようにして配達票10b及び領収証10aが配達伝票1から分離した状態においても、
図8(b)に示すように、貼付票10cが配送物に貼付された状態となっているため、配送物の梱包物を廃棄する場合、貼付票10cの配送情報表示領域11cに印字された配送情報15cが漏えいしてしまう虞がある。
【0058】
そこで、貼付票10cについても、下シート20から剥離して配送伝票1から分離することが考えられる。領収証10aや配達票10bの下シート20との接着面に積層されたニス層20aが、剥離ニスがベタ印刷されることによって積層されているのに対して、貼付票10cに積層されたニス層20bが、剥離ニスが50%の濃度の網点スクリーン印刷が施されることによって積層されているものであることにより、貼付票10cの下シート20からの剥離力が、領収証10aや配達票10bの下シート20からの剥離力よりも重くなっているものの、貼付票10を下シート20から剥離することができる。なお、貼付票10cのうち上シート10の長手方向一端の領域は、配送物の配送途中において、貼付票10cが下シート20から不用意に剥離して配送物から脱落してしまうことを回避するためにニス層20bが積層されていないが、ニス層20bが積層されていない領域が、貼付票10cの配達票10bとは反対側の端辺に沿う幅狭の部分であるため、人間の手によって貼付票10cを下シート20から剥離することができる。
【0059】
なお、本形態においては、下シート20の領収証10a及び配達票10bに対向する領域のうち、剥離指示情報14a,14bによって剥離開始端が示された角部においては、接着部21〜28が設けられておらず、上シート10と下シート20とが接着されていない非接着領域29a,29bとなっているが、非接着領域29a,29bはなくてもよい。すなわち、本形態においては、接着部21が、配達票10bに対向する領域にて配達票10bの外周に沿う部分のうち非接着領域20bが設けられている領域には存在していないが、本発明では、その形態も含めて、配達票10bの外周に沿って接着部21が設けられていると定義する。また、領収証10aにおいては、接着部21が、領収証10aの外周に沿う部分のうち、上シート10及び下シート20の端辺に沿う領域と非接着領域20aが設けられている領域には存在していないが、本発明では、その形態も含めて、領収証10aの外周に沿う部分のうち、上シート10及び下シート20の端辺に沿う領域以外の領域に設けられていると定義する。
【0060】
また、本形態においては、接着部25,26の幅が接着部23,24の幅よりも広く、接着部23〜26における擬似接着エマルジョン糊の印刷濃度が互いに等しいことで、接着部25,26における上シート10と下シート20との接着力が、接着部23,24における上シート10と下シート20との接着力よりも強くなっているが、接着部25,26における擬似接着エマルジョン糊の印刷濃度を、接着部23,24における印刷濃度よりも濃くすることで、接着部25,26における上シート10と下シート20との接着力が、接着部23,24における上シート10と下シート20との接着力よりも強くしてもよい。
【0061】
また、ニス層20a,20bを下シート20の上シート10との接着面に積層し、メジウム層50及び接着部21〜28を上シート10の下シート20との接着面に設けてもよい。ただし、上述したように、ニス層20a,20bを上シート10の下シート20との接着面に積層し、メジウム層50及び接着部21〜28を下シート20の上シート10との接着面に設けた方が、領収証10aや配達票10bを下シート20から剥離した際、剥離面がべたつくことがない。
【0062】
また、本形態においては、領収証10aが、その一端辺が上シート10の領収証10a及び配達票10bの並び方向における外周辺に重なることで、本発明における端部剥離領域となっているが、貼付票10cを配達票10bと同様に剥離領域として下シート20から剥離可能な構成としたり、他の剥離領域を、領収証10a及び配達票10bの並び方向にて配達票10b側に並べたりする構成であってもよく、その場合でも、領収証10aが、複数の剥離領域のうち、その一端辺が上シート10の複数の剥離領域の並び方向における外周辺に重なる端部剥離領域となる。