特許第6618441号(P6618441)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 旭化成エレクトロニクス株式会社の特許一覧
特許6618441磁気センサ、電流センサおよび磁気センサの駆動方法
<>
  • 特許6618441-磁気センサ、電流センサおよび磁気センサの駆動方法 図000002
  • 特許6618441-磁気センサ、電流センサおよび磁気センサの駆動方法 図000003
  • 特許6618441-磁気センサ、電流センサおよび磁気センサの駆動方法 図000004
  • 特許6618441-磁気センサ、電流センサおよび磁気センサの駆動方法 図000005
  • 特許6618441-磁気センサ、電流センサおよび磁気センサの駆動方法 図000006
  • 特許6618441-磁気センサ、電流センサおよび磁気センサの駆動方法 図000007
  • 特許6618441-磁気センサ、電流センサおよび磁気センサの駆動方法 図000008
  • 特許6618441-磁気センサ、電流センサおよび磁気センサの駆動方法 図000009
  • 特許6618441-磁気センサ、電流センサおよび磁気センサの駆動方法 図000010
  • 特許6618441-磁気センサ、電流センサおよび磁気センサの駆動方法 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6618441
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】磁気センサ、電流センサおよび磁気センサの駆動方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/07 20060101AFI20191202BHJP
   H01L 43/06 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   G01R33/07
   H01L43/06 A
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-169585(P2016-169585)
(22)【出願日】2016年8月31日
(65)【公開番号】特開2018-36149(P2018-36149A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2017年12月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】相羽 祐丞
【審査官】 島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0258840(US,A1)
【文献】 特開2005−283503(JP,A)
【文献】 特開2011−252818(JP,A)
【文献】 特開2014−190862(JP,A)
【文献】 特開2010−002388(JP,A)
【文献】 特開2010−181211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/07
H01L 43/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホール素子と、
前記ホール素子に駆動電流を流す方向を周期的に変化させる駆動方向変更部と、
前記ホール素子の駆動方向の電位差が、前記駆動方向の変化の複数周期において一定値となるように、前記ホール素子の駆動方向の電流値を制御する電流制御部と
を備え、
前記ホール素子が前記駆動電流を流す方向に応じた感度異方性を有する磁気センサ。
【請求項2】
前記電流制御部は、
前記ホール素子の高電位側の駆動端と、低電位側の駆動端とに接続されており、
前記ホール素子の一方の駆動端に、前記ホール素子の駆動方向における電位差が予め定められた電圧値になるように前記ホール素子の駆動方向に流れる電流をフィードバック制御する
請求項1に記載の磁気センサ。
【請求項3】
前記電流制御部は、
前記ホール素子の高電位側の駆動端における電圧を第3基準電圧に近づけるように制御し、前記ホール素子の低電位側の駆動端における電圧を第4基準電圧に近づけるように制御する
請求項2に記載の磁気センサ。
【請求項4】
前記電流制御部は、
前記ホール素子の駆動方向における電位差と予め定められた第1基準電圧との差分を増幅して出力する第1増幅回路と、
前記ホール素子の一方の駆動端に接続され、前記第1増幅回路の出力に応じた電流を前記ホール素子の駆動方向に流す第1電流源と
を有する請求項1又は2に記載の磁気センサ。
【請求項5】
前記ホール素子の差動出力のコモン電圧を、予め定められた第2基準電圧に近づけるように制御する電圧制御部を更に備える
請求項1、2および4のいずれか1項に記載の磁気センサ。
【請求項6】
前記電圧制御部は、
前記ホール素子の差動出力のコモン電圧と、前記第2基準電圧との差分を増幅して出力する第2増幅回路と、
前記ホール素子の他方の駆動端に接続され、前記第2増幅回路の出力に応じた電流を前記ホール素子の駆動方向に流す第2電流源と
を有する請求項に記載の磁気センサ。
【請求項7】
前記電流制御部は、
前記ホール素子の高電位側の駆動端における電圧を第3基準電圧に近づけるようにフィードバック制御する第3増幅回路と、
前記ホール素子の低電位側の駆動端における電圧を第4基準電圧に近づけるようにフィードバック制御する第4増幅回路と
を有する請求項に記載の磁気センサ。
【請求項8】
前記ホール素子の高電位側の出力電圧と前記ホール素子の低電位側の出力電圧との差分は、前記駆動方向の変化の周期に応じて周期的に変動する
請求項1から7のいずれか1項に記載の磁気センサ。
【請求項9】
前記ホール素子の高電位側の出力電圧と前記ホール素子の低電位側の出力電圧との差分を増幅して出力する信号処理部を更に備える
請求項1から8のいずれか1項に記載の磁気センサ。
【請求項10】
ホール素子と、
前記ホール素子に駆動方向を第1周期で周期的に変化させる駆動方向変更部と、
前記ホール素子を、前記第1周期の時間スケールにおいて定電流駆動し、前記第1周期よりも長い第2周期の時間スケールで定電圧駆動するホール駆動部と
を備え、
前記ホール素子が駆動電流を流す方向に応じた感度異方性を有する磁気センサ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の磁気センサを備える電流センサ。
【請求項12】
ホール素子に駆動電流を流す方向を周期的に変化させる段階と、
前記ホール素子の駆動方向の電位差が、前記駆動方向の変化の複数周期において予め定められた一定値となるように、前記ホール素子の駆動方向の電流値を制御する段階と
を備え、
前記ホール素子が前記駆動電流を流す方向に応じた感度異方性を有する磁気センサの駆動方法。
【請求項13】
前記ホール素子の駆動方向の電流値を制御する段階は、
前記ホール素子の駆動方向における電位差と予め定められた第1基準電圧との差分を増幅する段階と、
前記増幅された結果に応じて前記ホール素子の駆動方向の電流値を制御する段階と
を備える請求項12に記載の磁気センサの駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気センサ、電流センサおよび磁気センサの駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホール素子を用いた磁気センサにおいて、ホール素子を駆動する電圧を一定周期で変更するスピニングカレント法によりオフセットを除去することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1 特開2014−066522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の磁気センサは、ホール素子に流れる電流の方向によって感度に異方性が存在すると、スピニングカレント法のローテーションによって、ホール素子からの出力にリップルが発生する。また、リップルを抑制するために、ホール素子を電流駆動すると、温度によってホール素子の感度の変動が大きくなる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、ホール素子と、ホール素子に駆動電流を流す方向を周期的に変化させる駆動方向変更部と、ホール素子の駆動方向の電位差が、駆動方向の変化の複数周期において一定値となるように、ホール素子の駆動方向の電流値を制御する電流制御部とを備える磁気センサを提供する。
【0005】
本発明の第2の態様においては、ホール素子と、前記ホール素子に駆動方向を第1周期で周期的に変化させる駆動方向変更部と、前記ホール素子を、前記第1周期の時間スケールにおいて定電流駆動し、前記第1周期よりも長い第2周期の時間スケールで定電圧駆動するホール駆動部とを備える磁気センサを提供する。
【0006】
本発明の第3の態様においては、本発明の第1の態様又は第2の態様に係る磁気センサを備える電流センサを提供する。
【0007】
本発明の第4の態様においては、ホール素子に駆動電流を流す方向を周期的に変化させる段階と、ホール素子の駆動方向の電位差が、駆動方向の変化の複数周期において予め定められた一定値となるように、ホール素子の駆動方向の電流値を制御する段階とを備える磁気センサの駆動方法を提供する。
【0008】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1に係る磁気センサ100の構成の概要を示す。
図2】実施例1に係る磁気センサ100の構成の一例を示す。
図3】比較例1に係る磁気センサ500の構成の概要を示す。
図4】比較例1に係る磁気センサ500で生じるリップルを示す模式図である。
図5】電流駆動と電圧駆動の温度特性を比較するためのグラフである。
図6】本明細書に係る磁気素子10の駆動端の電位差V−Vの時間変化を示す。
図7】本明細書に係る磁気素子10の駆動電流Iの時間変化の一例を示す。
図8】実施例2に係る磁気センサ100の構成の概要を示す。
図9】実施例2に係る磁気センサ100の構成の一例を示す。
図10】実施例3に係る磁気センサ100の構成の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0011】
[実施例1]
図1は、実施例1に係る磁気センサ100の構成の概要を示す。本例の磁気センサ100は、磁気素子10、駆動方向変更部20、電流制御部30および信号処理部40を備える。
【0012】
磁気素子10は、磁気素子10に与えられた磁場の変化を検出する。本例の磁気素子10は、ホール素子Hを備える。磁気素子10は、与えられた磁場の変化に基づいて出力信号Sおよび制御用信号Sを出力する。例えば、磁気素子10は、出力信号Sとして、ホール素子Hの高電位側の出力電圧VOHおよび低電位側の出力電圧VOLを出力する。出力電圧VOH,VOLは、ホール素子Hのホール起電力信号である。また、磁気素子10は、制御用信号Sとして、ホール素子Hの高電位側および低電位側の駆動端の電位V,Vをそれぞれ出力する。
【0013】
一例において、磁気素子10は、磁気素子10の近傍を流れる被測定電流を検出する。この場合、磁気素子10は、被測定電流が磁気素子10の近傍を流れることにより生じた被測定磁場の変化により被測定電流を検出する。つまり、磁気センサ100を有することにより、被測定電流を検出する電流センサが構成されてもよい。
【0014】
駆動方向変更部20は、磁気素子10が有するホール素子Hに駆動電流を流す方向を周期的に変化させる。これにより、駆動方向変更部20は、磁気素子10をスピニングカレント法により動作させる。スピニングカレント法とは、駆動電流を供給する方向を順次切り替えて、ホール電圧およびオフセット電圧の周波数を分離することにより、オフセットを低減する方法である。例えば、駆動方向変更部20は、予め定められたローテーション周期で、磁気素子10が有するホール素子Hの駆動方向を90度ずつ変更する。
【0015】
電流制御部30は、制御用信号Sに応じてフィードバック信号Sfbを生成する。ここで、ホール素子Hの高電位側の出力電圧Vとホール素子Hの低電位側の出力電圧Vとの差分V−Vは、駆動方向の変化の周期に応じて周期的に変動する。本例の電流制御部30は、ホール素子Hの高電位側および低電位側の駆動端の電位V,Vの差分が一定値となるようにフィードバック信号Sfbを生成する。電流制御部30は、生成したフィードバック信号Sfbを磁気素子10に出力する。これにより、電流制御部30は、磁気素子10に流れる電流を制御する。例えば、電流制御部30は、ホール素子Hの駆動方向の電位差が、駆動方向の変化の複数周期において予め定められた電圧値となるように、ホール素子Hの駆動方向の電流値をフィードバック制御する。
【0016】
信号処理部40は、ホール素子Hのホール起電力信号に応じた出力信号Soutを生成する。本例の信号処理部40は、ホール素子Hの高電位側の出力電圧VOHとホール素子Hの低電位側の出力電圧VOLとの差分を増幅して出力信号Soutを生成する。信号処理部40は、生成した出力信号Soutを磁気センサ100の出力端子に出力する。
【0017】
図2は、実施例1に係る磁気センサ100の具体的な構成の一例を示す。本例の電流制御部30は、増幅回路51および電流源61を備える。なお、本例では、駆動方向変更部20については省略している。本例の電流源61は、NMOSトランジスタを備える。
【0018】
増幅回路51は、ホール素子Hの高電位側および低電位側の駆動端の電位V,Vに基づいて、電流源61を制御する。一例において、増幅回路51は、ホール素子Hの駆動方向における電位差V−Vと基準電圧Vtcalとの差分を増幅して電流源61のゲート電圧Vを出力する。これにより、増幅回路51は、電流源61が有するNMOSトランジスタの電流量を制御する。なお、本例の増幅回路51の動作周波数は、駆動方向変更部20のチョッパ周波数と等しくてよい。
【0019】
電流源61は、ホール素子Hの一方の駆動端に接続され、増幅回路51の出力に応じた電流をホール素子Hの駆動方向に流す。電流源61は、増幅回路51からの信号に応じて磁気素子10に流れる電流の大きさを制御する。電流源61のドレイン端子は、ホール素子Hの低電位側の駆動端に接続され、ソース端子は基準電位に設定された基準端子に接続される。本例の電流源61は、ホール素子Hの低電位側の駆動端に接続されているが、高電位側の駆動端に接続されてもよい。なお、増幅回路51は、第1増幅回路の一例である。
【0020】
例えば、ホール素子Hの駆動方向における電位差V−Vが基準電位Vtcalよりも小さい場合、電流源61のNMOSトランジスタのゲート電圧が上昇し、ホール駆動電流Iが増加する。これにより、ホール素子Hの駆動方向における電位差V−Vが大きくなる。一方、ホール素子Hの駆動方向における電位差V−Vが基準電位Vtcalよりも大きい場合、電流源61のNMOSトランジスタのゲート電圧が下降し、ホール電流Iが減少する。これにより、ホール素子Hの駆動方向における電位差V−Vが小さくなる。したがって、電位差V−VがVtcalとなるように制御される。
【0021】
ここで、ホール素子Hに流れる電流をI、ホール素子Hの抵抗をRhall、電流源61のNMOSのトランスコンダクタンスをGmn、増幅回路51のゲインをG、増幅回路51の出力をVとする。また、ホール素子Hの駆動方向における電位差V−Vは、ホール素子Hの高電位側の駆動端の電位Vと低電位側の駆動端の電位Vとの差分である。この場合、次の関係式が得られる。
[数1]
−V=I × Rhall
[数2]
=−G × {(V−V)−Vtcal
[数3]
=V × Gmn
【0022】
(数1)式〜(数3)式に関して方程式を解くと、次式が得られる。
−V=−G × Gmn × Rhall × {(V−V)−Vtcal
−V={(G × Gmn × Rhall) /(1+G × Gmn × Rhall )} × Vtcal
【0023】
ここで、増幅回路51のゲインGが非常に大きいと仮定すると、1/(G × Gmn × Rhall )が0となる。よって、V−V=Vtcalとなるようにフィードバックがかかる。つまり、本例の磁気センサ100は、平均的には、ホール素子Hの駆動方向における電位差V−Vを一定の電圧値Vtcalとなるように制御できるので、平均的には電圧駆動とみなせる。これにより、磁気センサ100は、感度特性を良好に保つことができる。一方、本例の磁気センサ100は、瞬時的には電流駆動しているので、ホール素子Hの感度異方性の影響を受けにくい。
【0024】
[比較例1]
図3は、比較例1に係る磁気センサ500の構成の一例を示す。本例の磁気センサ500は、磁気素子510および信号処理部540を備える。磁気素子510は、ホール素子Hを有する。
【0025】
磁気素子510は、高電位側の駆動端の電位および低電位側の駆動端の電位がそれぞれ電位V,Vとなるように制御されている。また、磁気素子510の高電位側および低電位側の駆動端の電位は、V−V=Vtcalとなるように固定されている。磁気素子510は、ホール素子Hの出力電圧VOH,VOLを信号処理部540に出力する。
【0026】
信号処理部540は、ホール素子Hの出力電圧VOH,VOLに基づいて、出力信号Soutを生成する。信号処理部540は、生成した出力信号Soutを磁気センサ500の出力端子に出力する。
【0027】
次に、図4図7を用いて、本明細書に係る磁気センサ100の優位性について説明する。
【0028】
図4は、比較例1に係る磁気センサ500で生じるリップルを示す模式図である。縦軸は磁気素子510が有するホール素子Hの出力電圧を示し、横軸は時間を示す。
【0029】
本例の磁気センサ500は、電圧駆動でスピニングカレント動作している。磁気センサ500が感度異方性を有する場合、磁気素子510の出力電圧にはローテーションに応じたリップルが含まれる。例えば、ホール素子Hに流れる駆動電流の角度が0度、90度、180度、270度と変化した場合、駆動電流の流れる角度の変更時にリップルが生じる。このように、ホール素子Hを電圧駆動させると、感度異方性によるリップルが瞬時的に生じる場合がある。
【0030】
図5は、電流駆動と電圧駆動の温度特性を比較するためのグラフである。縦軸は磁気素子10のホール起電力Vhallを示し、横軸は温度を示す。
【0031】
磁気素子10のホール起電力Vhallは、電流駆動の場合も電圧駆動の場合も温度依存性を示す。電流駆動および電圧駆動のいずれの場合も温度の上昇に応じて、ホール起電力Vhallが低下している。しかしながら、電流駆動の場合は、電圧駆動の場合よりも温特が変化しやすい。即ち、温度特性の観点からは、電流駆動よりも電圧駆動の方が好ましい。
【0032】
図6は、本明細書に係る磁気素子10の駆動端の電位差V−Vの時間変化を示す。縦軸は磁気素子10の駆動端の電位差V−Vを示し、横軸は時間を示す。
【0033】
磁気素子10の駆動端の電位差V−Vは、ローテーション周期に合わせて変動する。しかしながら、磁気センサ100は、電流制御部30によって磁気素子10の駆動端の電位差V−VがVtcalとなるようにフィードバック制御する。これにより、磁気素子10の駆動端の電位差V−Vは、平均としてVtcalに固定される。つまり、ローテーション周期よりも長い時間を考えた場合、磁気センサ100は磁気素子10を電圧駆動させている。これにより、長期的に温度変化が生じた場合であっても、磁気素子10の温度特性が良好となる。よって、本例の磁気センサ100は、優れた感度特性を有する。
【0034】
図7は、本明細書に係る磁気素子10の駆動電流Iの時間変化の一例を示す。縦軸は駆動電流Iを示し、横軸は時間を示す。また、駆動電流Iの時間変化の拡大図において、φ1,φ2,φ3,φ4は、それぞれローテーション周期に対応する。
【0035】
磁気センサ100の周囲の温度は、ローテーション周期よりも長い時間で変化する場合がある。ローテーション周期を考慮した場合、磁気センサ100の周囲の温度を一定とみなせるので、駆動電流Iが実質的に変化しない。一方、ローテーション周期よりも長い周期を考慮した場合、磁気センサ100の周囲の温度が変化するので、駆動電流Iが温度に応じて変化する。
【0036】
ここで、本明細書に係る磁気センサ100は、ローテーション周期よりも長い時間で考えると、駆動電流Iが一定ではないが、ローテーション周期では電流駆動で動作しているように見える。即ち、磁気センサ100の動作は、ローテーション周期で考えた場合、温度の影響を受けにくい電流駆動とみなせる。ローテーション周期よりも長い時間とは、少なくとも複数のローテーション周期を含む時間を指す。一例において、ローテーション周期よりも長い時間とは、駆動電流Iが一定でないとみなせる程度の温度変化が生じ得る時間を指す。
【0037】
例えば、駆動方向変更部20は、ホール素子Hの駆動方向を第1周期(即ち、ローテーション周期)で周期的に変化させる。駆動方向変更部20は、ホール素子Hを、第1周期の時間スケールにおいて定電流駆動し、第1周期よりも長い第2周期の時間スケールで定電圧駆動する。この場合の駆動方向変更部20は、ホール駆動部として動作する。
【0038】
以上の通り、本明細書に係る磁気センサ100は、ローテーション周期程度の短い時間スケールにおいて定電流駆動として動作し、ローテーション周期よりも長い時間スケールにおいて定電圧駆動として動作する。これにより、磁気センサ100は、磁気素子10の感度異方性によるリップルを抑制しつつ、磁気素子10の温度特性の影響を低減できる。
【0039】
[実施例2]
図8は、実施例2に係る磁気センサ100の構成の概要を示す。本例の磁気センサ100は、電圧制御部70を更に備える点で、実施例1に係る磁気センサ100と相違する。その他の構成は、実施例1の対応する構成と基本的に同様に動作する。
【0040】
電圧制御部70は、磁気素子10の高電位側および低電位側の駆動端の電圧を制御する。本例の電圧制御部70は、ホール素子Hの差動出力のコモン電圧を、予め定められた電圧Vcに近づけるように制御する。電圧Vcは、第2基準電圧の一例である。電圧制御部70は、ホール素子Hの差動出力のコモン電圧を制御することにより、信号処理部40の動作点を適切な範囲に制御することができる。
【0041】
図9は、実施例2に係る磁気センサ100の構成の一例を示す。本例の磁気センサ100は、電圧制御部70として、増幅回路52および電流源62を備える。
【0042】
増幅回路52は、ホール素子Hの差動出力のコモン電圧と、第2基準電圧との差分を増幅して出力する。本例の増幅回路52の正側入力端子には出力電圧VOH,VOLが入力される。また、増幅回路52の負側入力端子には2Vcが入力される。これにより、増幅回路52は、出力電圧VOHおよびVOLの和が2Vcと等しくなるように電流源62のゲート電圧を制御する。
【0043】
電流源62は、ホール素子Hの他方の駆動端に接続され、増幅回路52の出力に応じた電流をホール素子Hの駆動方向に流す。本例の電流源62は、PMOSトランジスタを有する。例えば、出力電圧VOHおよびVOLの和が2Vcよりも大きい場合、増幅回路52の出力が上昇し、電流源62のPMOSトランジスタのゲート電圧が上昇することで電流源62の電流が減少する。一方、出力電圧VOHおよびVOLの和が2Vc以下の場合、増幅回路52の出力が下降し、電流源62のPMOSトランジスタのゲート電圧が下降することで電流源62の電流が増加する。これにより、電圧制御部70は、ホール素子Hの差動出力のコモン電圧をVcに制御する。
【0044】
以上の通り、本例の磁気センサ100は、ホール素子Hの差動出力のコモン電圧をVcに制御することにより、信号処理部40の動作点を適切な範囲に制御することができる。また、本例の磁気センサ100は、実施例1に係る磁気センサ100と同様に、磁気素子10の感度異方性によるリップルを抑制しつつ、磁気素子10の温度特性の影響を低減できる。
【0045】
[実施例3]
図10は、実施例3に係る磁気センサ100の構成の一例を示す。磁気素子10は、ホール素子を有する。電流制御部30は、増幅回路33、増幅回路34、電流源61および電流源63を備える。なお、本例では、駆動方向変更部20については省略している。
【0046】
電流源61は、磁気素子10に流れる駆動電流Iを制御する。本例の電流源61は、NMOSトランジスタを有する。NMOSトランジスタのドレイン端子は、ホール素子Hの低電位側の駆動端に接続され、ソース端子は基準電位に設定された基準端子に接続される。
【0047】
電流源63は、磁気素子10に流れる駆動電流Iを制御する。本例の電流源63は、PMOSトランジスタを有する。PMOSトランジスタのソース端子は、電源端子に接続され、ドレイン端子はホール素子Hの高電位側の駆動端に接続される。
【0048】
増幅回路33は、ホール素子Hの高電位側の駆動端における電圧を固定電圧Vに近づけるようにフィードバック制御する。増幅回路33の出力端子は、電流源63が有するPMOSトランジスタのゲート端子に接続される。増幅回路33の負側入力端子には、固定電圧Vが入力され、正側入力端子には、ホール素子Hの高電位側の駆動端の電圧が入力される。増幅回路33は、第3基準回路の一例である。電位Vは、第3基準電圧の一例である。なお、本例の増幅回路33の動作周波数は、駆動方向変更部20のチョッパ周波数と等しい。
【0049】
増幅回路34は、ホール素子Hの低電位側の駆動端における電圧を電圧Vに近づけるようにフィードバック制御する。増幅回路34の出力端子は、電流源61が有するNMOSトランジスタのゲート端子に接続される。増幅回路34の正側入力端子には、ホール素子Hの低電位側の駆動端の電圧が入力され、負側入力端子には、固定電圧Vが入力される。増幅回路34は、第4基準回路の一例である。電位Vは、第4基準電圧の一例である。なお、本例の増幅回路34の動作周波数は、駆動方向変更部20のチョッパ周波数と等しい。
【0050】
本例の磁気センサ100は、増幅回路33および増幅回路34により、ホール素子Hの駆動端の電位をV−V=Vtcalとなるように制御する。この場合も、磁気センサ100は、ローテーション周期程度の短い時間スケールにおいて定電流駆動として動作し、ローテーション周期よりも長い時間スケールにおいて定電圧駆動として動作する。したがって、磁気センサ100は、磁気素子10の感度異方性によるリップルを抑制しつつ、磁気素子10の温度特性の影響を低減できる。
【0051】
以上の通り、本明細書に係る磁気センサ100は、平均的には電圧駆動として動作するので、良好な感度特性を有する。また、磁気センサ100は、瞬時的には電流駆動として動作するので、ホール素子Hの感度異方性の影響を低減できる。
【0052】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0053】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0054】
10・・・磁気素子、20・・・駆動方向変更部、30・・・電流制御部、33・・・増幅回路、34・・・増幅回路、40・・・信号処理部、51・・・増幅回路、52・・・増幅回路、61・・・電流源、62・・・電流源、63・・・電流源、70・・・電圧制御部、100・・・磁気センサ、500・・・磁気センサ、510・・・磁気素子、540・・・信号処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10