(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コントローラは、前記蓄電装置温度検出器によって検出した温度によって前記蓄電装置が低温状態であると判断したときに、前記蓄電装置の温度が低くなるに従って前記蓄電装置の放電電力最大値を小さくする放電電力最大値調整部をさらに有し、
前記車体動作制御部は、前記エンジンの最大出力と前記放電電力最大値との和である最大出力加算値から、前記第1の車体速度低減量と前記第2の車体速度低減量との和である減少出力加算値を減算した値を超えないように、前記発電電動機を制御することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド建設機械。
前記コントローラは、前記蓄電装置温度検出器によって検出した温度によって前記蓄電装置が低温状態であると判断したときに、前記蓄電装置の温度が低くなるに従って前記蓄電装置の充電電力最大値を小さくする充電電力最大値調整部をさらに有し、
前記車体動作制御部は、充電電力が前記充電電力最大値を超えないように、前記発電電動機を制御することを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド建設機械。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態によるハイブリッド建設機械としてハイブリッド油圧ショベルを例に挙げて、添付図面に従って説明する。
【0015】
図1ないし
図16は本発明の実施の形態を示している。ハイブリッド油圧ショベル1(以下、油圧ショベル1という)は、後述のエンジン20と発電電動機27とを備えている。この油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に設けられた旋回装置3と、下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4と、上部旋回体4の前側に設けられ掘削作業等を行う多関節構造の作業装置12とにより構成されている。このとき、下部走行体2と上部旋回体4とは、油圧ショベル1の車体を構成している。
【0016】
上部旋回体4は、旋回フレーム5上に設けられエンジン20等が収容された建屋カバー6と、オペレータが搭乗するキャブ7とを備えている。
図2に示すように、キャブ7内には、オペレータが着座する運転席8が設けられると共に、運転席8の周囲には、操作レバー、操作ペダル等からなる走行操作装置9と、操作レバー等からなる旋回操作装置10と、操作レバー等からなる作業操作装置11とが設けられている。また、キャブ7内には、エンジン制御ダイヤル39が設けられている。
【0017】
走行操作装置9は、例えば運転席8の前側に配置されている。また、旋回操作装置10は、例えば運転席8の左側に配置された操作レバーのうち前後方向の操作部分が該当する。さらに、作業操作装置11は、運転席8の左側に配置された操作レバーのうち左右方向の操作部分(アーム操作)と、運転席8の右側に配置された操作レバーのうち前後方向の操作部分(ブーム操作)と左右方向の操作部分(バケット操作)とが該当する。なお、操作レバーの操作方向と旋回動作や作業動作との関係は、前述したものに限らず、油圧ショベル1の仕様等に応じて適宜設定される。
【0018】
ここで、操作装置9〜11には、これらの操作量(レバー操作量OA)を検出する操作量センサ9A〜11Aがそれぞれ設けられている。これらの操作量センサ9A〜11Aは、複数の油圧アクチュエータ(油圧モータ25,26、シリンダ12D〜12F)を駆動させる操作量を検出する操作量検出部を構成している。操作量センサ9A〜11Aは、例えば下部走行体2の走行操作、上部旋回体4の旋回操作、作業装置12の俯仰動操作(掘削操作)等のような車体の操作状態を検出する。
【0019】
このとき、操作量センサ9Aは、前進操作量と後進操作量とを含む走行レバー・ペダルの操作量を検出している。操作量センサ10Aは、左旋回操作量と右旋回操作量とを含む旋回レバーの操作量を検出している。操作量センサ11Aは、ブーム上げ操作量およびブーム下げ操作量を含むブームレバーの操作量と、アーム上げ操作量およびアーム下げ操作量を含むアームレバーの操作量と、バケットクラウド操作量およびバケットダンプ操作量を含むバケットレバーの操作量と、を検出している。レバー操作量OAは、これらの操作量を含んでいる。
【0020】
図1に示すように、作業装置12は、例えばブーム12A、アーム12B、バケット12Cと、これらを駆動するブームシリンダ12D、アームシリンダ12E、バケットシリンダ12Fとによって構成されている。ブーム12A、アーム12B、バケット12Cは、互いにピン結合されている。作業装置12は、旋回フレーム5に取付けられ、シリンダ12D〜12Fを伸長または縮小することによって、俯仰動する。
【0021】
ここで、油圧ショベル1は、発電電動機27等を制御する電動システムと、作業装置12等の動作を制御する油圧システムとを搭載している。以下、油圧ショベル1のシステム構成について
図3を参照して説明する。
【0022】
エンジン20は、旋回フレーム5に搭載されている。このエンジン20は、例えばディーゼルエンジン等の内燃機関によって構成されている。エンジン20の出力側には、後述の油圧ポンプ22と発電電動機27とが機械的に直列接続して取付けられ、これら油圧ポンプ22と発電電動機27とは、エンジン20によって駆動される。ここで、エンジン20の作動はエンジンコントロールユニット21(以下、ECU21という)によって制御されている。ECU21は、ハイブリッドコントロールユニット37(以下、HCU37という)からのエンジン出力指令Peに基づいて、エンジン20の出力トルク、回転速度(エンジン回転数)等を制御する。なお、エンジン20の最大出力は、例えば油圧ポンプ22の最大動力よりも小さくなっている。
【0023】
油圧ポンプ22は、エンジン20に機械的に接続されている。この油圧ポンプ22は、エンジン20単独のトルクによって駆動可能である。また、油圧ポンプ22は、エンジン20のトルクに発電電動機27のアシストトルクを加えた複合トルク(合計トルク)によっても駆動可能である。この油圧ポンプ22は、タンク(図示せず)内に貯溜された作動油を加圧し、走行油圧モータ25、旋回油圧モータ26、作業装置12のシリンダ12D〜12F等に圧油として吐出する。また、タンクには、作動油温度Toを検出する作動油温度センサ23が設けられている。作動油温度センサ23は、作動油温度Toに応じた信号をHCU37に向けて出力する。なお、作動油温度センサ23は、タンクとは異なる位置に設けられてもよい。
【0024】
油圧ポンプ22は、コントロールバルブ24を介して油圧アクチュエータとしての走行油圧モータ25、旋回油圧モータ26、シリンダ12D〜12Fに接続されている。これらの油圧モータ25,26、シリンダ12D〜12Fは、油圧ポンプ22からの圧油によって駆動する。コントロールバルブ24は、走行操作装置9、旋回操作装置10、作業操作装置11に対する操作に応じて、油圧ポンプ22から吐出された圧油を走行油圧モータ25、旋回油圧モータ26、シリンダ12D〜12Fに供給または排出する。
【0025】
具体的には、走行油圧モータ25には、走行操作装置9の操作に応じて油圧ポンプ22から圧油が供給される。これにより、走行油圧モータ25は、下部走行体2を走行駆動させる。旋回油圧モータ26には、旋回操作装置10の操作に応じて油圧ポンプ22から圧油が供給される。これにより、旋回油圧モータ26は、上部旋回体4を旋回動作させる。シリンダ12D〜12Fには、作業操作装置11の操作に応じて油圧ポンプ22から圧油が供給される。これにより、シリンダ12D〜12Fは、作業装置12を俯仰動させる。
【0026】
発電電動機27(モータジェネレータ)は、エンジン20に機械的に接続されている。この発電電動機27は、例えば同期電動機等によって構成される。発電電動機27は、エンジン20を動力源に発電機として働き蓄電装置31や旋回電動モータ34への電力供給を行う発電と、蓄電装置31や旋回電動モータ34からの電力を動力源にモータとして働きエンジン20および油圧ポンプ22の駆動をアシストする力行との2通りの役割を果たす。従って、エンジン20のトルクには、状況に応じて発電電動機27のアシストトルクが追加され、これらのトルクによって油圧ポンプ22は駆動する。この油圧ポンプ22から吐出される圧油によって、作業装置12の動作や車両の走行等が行われる。
【0027】
発電電動機27は、第1のインバータ28を介して一対の直流母線29A,29Bに接続されている。第1のインバータ28は、例えばトランジスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等からなる複数のスイッチング素子を用いて構成されている。第1のインバータ28は、モータジェネレータコントロールユニット30(以下、MGCU30という)によって、各スイッチング素子のオン/オフが制御される。直流母線29A,29Bは、正極側と負極側とで対をなし、例えば数百V程度の直流電圧が印加されている。
【0028】
発電電動機27の発電時には、第1のインバータ28は、発電電動機27からの交流電力を直流電力に変換して蓄電装置31や旋回電動モータ34に供給する。発電電動機27の力行時には、第1のインバータ28は、直流母線29A,29Bの直流電力を交流電力に変換して発電電動機27に供給する。そして、MGCU30は、HCU37からの発電電動機出力指令Pmg等に基づいて、第1のインバータ28の各スイッチング素子のオン/オフを制御する。これにより、MGCU30は、発電電動機27の発電時の発電電力や力行時の駆動電力を制御する。
【0029】
蓄電装置31は、発電電動機27に電気的に接続されている。この蓄電装置31は、例えばリチウムイオンバッテリからなる複数個のセル(図示せず)によって構成され、直流母線29A,29Bに接続されている。
【0030】
蓄電装置31は、発電電動機27の発電時には発電電動機27から供給される電力を充電し、発電電動機27の力行時(アシスト駆動時)には発電電動機27に向けて駆動電力を供給する。また、蓄電装置31は、旋回電動モータ34の回生時には旋回電動モータ34から供給される回生電力を充電し、旋回電動モータ34の力行時には旋回電動モータ34に向けて駆動電力を供給する。このように、蓄電装置31は、発電電動機27によって発電された電力を蓄電することに加え、油圧ショベル1の旋回制動時に旋回電動モータ34が発生した回生電力を吸収し、直流母線29A,29Bの電圧を一定に保つ。
【0031】
蓄電装置31は、バッテリコントロールユニット32(以下、BCU32という)によって制御される。BCU32は、蓄電装置状態検出部を構成している。このBCU32は、蓄電率SOCを検出する。このとき、蓄電率SOCは、蓄電装置31の蓄電量に対応した値になる。また、BCU32は、例えば蓄電装置31の充電や放電の電流を検出する電流センサと電圧を検出する電圧センサ(いずれも図示せず)を備えている。BCU32は、蓄電装置31の電流Ibと電圧Vbを検出する。BCU32は、蓄電率SOC、電流Ib、電圧Vb等をHCU37に向けて出力する。蓄電装置31には、バッテリ温度Tbを検出するバッテリ温度センサ33が設けられている。バッテリ温度センサ33は、バッテリ温度Tbに応じた信号をHCU37に向けて出力する。なお、バッテリ温度センサ33は、BCU32に設けられてもよい。バッテリ温度センサ33は、BCU32を通じて間接的にバッテリ温度TbをHCU37に出力してもよく、直接的にHCU37に出力してもよい。
【0032】
なお、本実施の形態では、蓄電装置31には、例えば電圧が350V、放電容量が5Ah、蓄電率SOCの適正使用範囲が例えば30%以上70%以下、適正使用セル温度が−20℃以上60℃以下に設定されたリチウムイオンバッテリを用いるものとする。蓄電率SOCの適正使用範囲等は、上述した値に限らず、蓄電装置31の仕様等に応じて適宜設定される。
【0033】
ここで、エンジン20の最大出力は、最大ポンプ吸収動力よりも小さい。この場合、エンジン20が最大ポンプ吸収動力に対して充分に大きな出力をもつときに比べて、車体動作時の発電電動機27の力行によるエンジンアシストの寄与する割合は大きい。このため、蓄電装置31は、激しく充電と放電を繰り返す。
【0034】
蓄電装置31は、一般的に過度な充電や放電を行うと、劣化が促進し、出力が低下する。蓄電装置31の劣化速度は、充電や放電を行うときの蓄電率SOCや、充電や放電そのものの強度によって異なる。例えば、リチウムイオンバッテリ等の蓄電装置31には、メーカによって蓄電率やセル温度に適正な使用範囲が定められている(例えば、蓄電率で30%以上70%以下、セル温度で−20℃以上60℃以下)。この範囲を超えて蓄電装置31を使用すると、劣化速度が大きく増加する。
【0035】
旋回電動モータ34(旋回電動機)は、発電電動機27または蓄電装置31からの電力によって駆動される。この旋回電動モータ34は、例えば三相誘導電動機によって構成され、旋回油圧モータ26と共に旋回フレーム5に設けられている。旋回電動モータ34は、旋回油圧モータ26と協働して旋回装置3を駆動する。このため、旋回装置3は、旋回油圧モータ26と旋回電動モータ34の複合トルクによって駆動し、上部旋回体4を旋回駆動する。
【0036】
旋回電動モータ34は、第2のインバータ35を介して直流母線29A,29Bに接続されている。旋回電動モータ34は、蓄電装置31や発電電動機27からの電力を受けて回転駆動する力行と、旋回制動時の余分なトルクで発電して蓄電装置31を蓄電する回生との2通りの役割を果たす。このため、力行時の旋回電動モータ34には、発電電動機27等からの電力が直流母線29A,29Bを介して供給される。これにより、旋回電動モータ34は、旋回操作装置10の操作に応じて回転トルクを発生させて、旋回油圧モータ26の駆動をアシストすると共に、旋回装置3を駆動して上部旋回体4を旋回動作させる。
【0037】
第2のインバータ35は、第1のインバータ28と同様に、複数のスイッチング素子を用いて構成されている。第2のインバータ35は、旋回電動モータコントロールユニット36(以下、RMCU36という)によって各スイッチング素子のオン/オフが制御される。旋回電動モータ34の力行時には、第2のインバータ35は、直流母線29A,29Bの直流電力を交流電力に変換して旋回電動モータ34に供給する。旋回電動モータ34の回生時には、第2のインバータ35は、旋回電動モータ34からの交流電力を直流電力に変換して蓄電装置31等に供給する。
【0038】
RMCU36は、HCU37からの旋回電動モータ出力指令Per等に基づいて、第2のインバータ35の各スイッチング素子のオン/オフを制御する。これにより、RMCU36は、旋回電動モータ34の回生時の回生電力や力行時の駆動電力を制御する。また、RMCU36は、旋回電動モータ34の回生電力や駆動電力を検出し、これらを旋回電動モータ出力P0erとしてHCU37に出力する。旋回電動モータ出力P0erは、RMCU36によって検出するものに限らず、例えば現在の旋回電動モータ出力指令Perに基づいて、HCU37が推定(算出)してもよい。
【0039】
HCU37は、例えばECU21、MGCU30、RMCU36等と共にコントローラを構成し、エンジン20および発電電動機27の出力を制御する。このHCU37は、例えばマイクロコンピュータによって構成されると共に、CAN38(Controller Area Network)等を用いてECU21、MGCU30、RMCU36、BCU32に電気的に接続されている。HCU37は、ECU21、MGCU30、RMCU36、BCU32と通信しながら、エンジン20、発電電動機27、旋回電動モータ34、蓄電装置31を制御する。
【0040】
HCU37には、CAN38等を通じて、バッテリ温度Tb、作動油温度To、蓄電率SOC、電流Ib、電圧Vb、旋回電動モータ出力P0er、その他車体情報VI等が入力される。また、HCU37には、操作量センサ9A〜11Aが接続されている。これにより、HCU37には、各種の操作量を含むレバー操作量OAが入力される。さらに、HCU37には、エンジン制御ダイヤル39が接続され、エンジン制御ダイヤル39によって設定されたエンジン20の目標回転数ωeが入力される。
【0041】
HCU37は、蓄電率SOC等に基づいて、蓄電装置31の出力を制御する。ここで、HCU37は、蓄電率SOCに定められた基準値となる目標値SOC0を有している。一例を挙げると、蓄電率SOCの目標値SOC0は50%である。
【0042】
エンジン制御ダイヤル39は、回転可能なダイヤルによって構成され、ダイヤルの回転位置に応じてエンジン20の目標回転数ωeを設定する。このエンジン制御ダイヤル39は、キャブ7内に位置して、オペレータによって回転操作され、目標回転数ωeに応じた指令信号を出力する。
【0043】
次に、HCU37の具体的な構成について、
図4を参照して説明する。HCU37は、電流二乗積算比率演算部40と、最大電力演算部50と、発電電動機要求出力演算部60と、最大出力演算部70と、出力指令演算部80とを備えている。
【0044】
まず、電流二乗積算比率演算部40の具体的な構成について、
図5を参照して説明する。
【0045】
充電や放電の強度の指標には、電流二乗積算値ISCを用いることが一般的である。電流二乗積算値ISCは、現在時刻から遡る過去の一定時間Tにどれぐらい電流の入力や出力があったかを、電流の二乗をT時間積算することで表す指標である。このとき、時間Tは、複数設定されることが多い。この指標は、蓄電装置31の仕様等に応じて適宜設定される。従って、電流二乗積算値の上限値ISCmaxを超えて、蓄電装置31を使用すれば、蓄電装置31の劣化が促進される。このため、蓄電装置31は、可能な限り電流二乗積算値の上限値ISCmaxを超えないように、使用される。以下では、一例として、時間Tが100秒に設定された場合を例に挙げて説明する。
【0046】
電流二乗積算比率演算部40は、電流二乗積算値算出部41と、上限値演算部42と、比率演算部43と、百分率変換部44とを備えている。電流二乗積算値算出部41は、蓄電装置31の現在から過去一定時間Tの電流二乗積算値ISCを算出する。具体的には、電流二乗積算値算出部41は、BCU32から出力される電流Ibに基づいて、過去100秒の電流二乗積算値ISCを算出する。
【0047】
上限値演算部42は、バッテリ温度センサ33から出力されるバッテリ温度Tbに基づいて、電流二乗積算値の上限値ISCmaxを算出する。具体的には、上限値演算部42は、バッテリ温度Tbに基づいて、電流二乗積算値の上限値ISCmaxを演算するために、例えばテーブルT1を有する。テーブルT1は、バッテリ温度Tbの低下に応じて徐々に上限値ISCmaxを小さくする。特に、−20℃程度の低温状態では、上限値ISCmaxは非常に小さい値になる。この場合、僅かな電流Ibの入力または出力でも、電流二乗積算値ISCは、上限値ISCmaxに到達してしまう。
【0048】
比率演算部43は、電流二乗積算値ISCを上限値ISCmaxによって除算し、電流二乗積算値ISCの現在値と上限値ISCmaxとの比率を求める。百分率変換部44は、比率演算部43からの出力値に100を掛けて、百分率に変換された電流二乗積算比率Riscを算出する。このとき、電流二乗積算比率Riscが100%を超えないように、蓄電装置31の使用は制御される。
【0049】
次に、最大電力演算部50の具体的な構成について、
図6を参照して説明する。
【0050】
最大電力演算部50は、最大放電電力演算部51と、最大充電電力演算部52とを備えている。最大電力演算部50は、バッテリ温度Tbに基づいて、最大放電電力Pd-maxおよび最大充電電力Pc-maxを算出する。
【0051】
最大放電電力演算部51は、バッテリ温度Tbによって蓄電装置31が低温状態であると判断したときに、バッテリ温度Tbが低くなるに従って、最大放電電力Pd-maxを小さくする。具体的には、最大放電電力演算部51は、バッテリ温度Tbが常温Tb2(例えばTb2=25℃)よりも低下したとき(Tb<Tb2)、蓄電装置31が低温状態であると判断する。この最大放電電力演算部51は、バッテリ温度Tbに基づいて、最大放電電力Pd-maxを演算するために、例えば最大放電電力テーブルT2を有する。このテーブルT2は、バッテリ温度Tbが常温Tb2よりも低下したときに、バッテリ温度Tbの低下に応じて、過放電とならない範囲で最大放電電力Pd-maxを徐々に減少させる。なお、低温状態を判定する温度(常温Tb2)は、上述した値に限らず、蓄電装置31の仕様等に応じて、適宜設定される。
【0052】
最大充電電力演算部52は、バッテリ温度Tbによって蓄電装置31が低温状態であると判断したときに、バッテリ温度Tbが低くなるに従って、最大充電電力Pc-maxを小さくする。具体的には、最大充電電力演算部52は、バッテリ温度Tbが常温Tb2よりも低下したとき(Tb<Tb2)、蓄電装置31が低温状態であると判断する。この最大充電電力演算部52は、バッテリ温度Tbに基づいて、最大充電電力Pc-maxを演算するために、例えば最大充電電力テーブルT3を有する。このテーブルT3は、バッテリ温度Tbが常温Tb2よりも低下したときに、バッテリ温度Tbの低下に応じて、過充電とならない範囲で最大充電電力Pc-maxを徐々に減少させる。このとき、最大充電電力Pc-maxは負値になる。このため、テーブルT3は、バッテリ温度Tbの低下に応じて、最大充電電力Pc-maxの絶対値を徐々に小さくする。
【0053】
このとき、低温領域では、最大放電電力Pd-maxよりも最大充電電力Pc-maxの方が絶対値が小さくなるように、テーブルT2,T3は設定されている。これにより、発電電動機27の力行作用を優先することになるので、急峻な油圧負荷の変動に耐え易くなっている。
【0054】
次に、発電電動機要求出力演算部60の具体的な構成について、
図7を参照して説明する。
【0055】
発電電動機要求出力演算部60は、蓄電装置31の状況に応じて、発電電動機27を適切に動作(力行動作または発電動作)させるために、発電電動機要求出力Pmg1を決定する。発電電動機要求出力演算部60は、蓄電率SOCが目標値SOC0を下回る(SOC<SOC0)ときに、発電電動機27に発電を要求し、蓄電率SOCが目標値SOC0を上回る(SOC>SOC0)ときに、発電電動機27に力行を要求する。なお、目標値SOC0は、予め設定されていてもよく、各種の入力装置を用いてオペレータが適宜設定してもよい。
【0056】
発電電動機要求出力演算部60は、蓄電率偏差演算部61と、蓄電率要求出力演算部62と、加算器63とを備えている。この発電電動機要求出力演算部60には、蓄電率SOCと、旋回電動モータ出力P0erとが入力される。
【0057】
蓄電率偏差演算部61は、蓄電率SOCと目標蓄電率設定値である目標値SOC0との差を演算し、蓄電率偏差ΔSOC(ΔSOC=SOC−SOC0)を出力する。
【0058】
蓄電率要求出力演算部62は、蓄電率SOCに応じて、発電電動機27に要求する出力として、蓄電率要求出力Psoc1を出力する。具体的には、蓄電率要求出力演算部62は、蓄電率偏差ΔSOCに基づいて、蓄電率要求出力Psoc1を演算するために、例えばテーブルT4を有する。
【0059】
蓄電率偏差ΔSOCが0となったとき(ΔSOC=0)には、テーブルT4は、蓄電率要求出力Psoc1を最小値(例えばPsoc1=0kW)に設定する。このとき、蓄電率SOCは目標値SOC0となっており、蓄電率SOCに応じた発電電動機27の動作は不要である。
【0060】
蓄電率偏差ΔSOCが負値の場合(ΔSOC<0)には、テーブルT4は、蓄電率偏差ΔSOCの絶対値の大きさに応じて、発電要求となった蓄電率要求出力Psoc1を設定する。一方、蓄電率偏差ΔSOCが正値の場合(ΔSOC>0)には、テーブルT4は、蓄電率偏差ΔSOCの絶対値の大きさに応じて、力行要求となった蓄電率要求出力Psoc1を設定する。
【0061】
加算器63には、蓄電装置31の蓄電率SOCに基づく蓄電率要求出力Psoc1と、反転入力部63Aによって旋回電動モータ出力P0erの符号が反転した値(−P0er)とが入力される。加算器63は、蓄電率要求出力Psoc1に対して、旋回電動モータ出力P0erに−1を掛けた値を加算し、この加算値を算出する。発電要求と力行要求に対して、旋回電動モータ出力P0erに応じた分が優先的に実行される。加算器63は、この点を考慮した処理を行っている。
【0062】
具体的に説明すると、蓄電率要求出力Psoc1が力行要求で、かつ旋回電動モータ34が力行状態では、旋回電動モータ出力P0erに応じた値を、放電電力である蓄電率要求出力Psoc1から低下させる。蓄電率要求出力Psoc1が発電要求で、かつ旋回電動モータ34が発電状態では、旋回電動モータ出力P0erに応じた値を、発電電力である蓄電率要求出力Psoc1から低下させる。
【0063】
一方、蓄電率要求出力Psoc1が力行要求で、かつ旋回電動モータ34が発電状態では、旋回電動モータ出力P0erに応じた値を、放電電力である蓄電率要求出力Psoc1から上昇させる。蓄電率要求出力Psoc1が発電要求で、かつ旋回電動モータ34が力行状態では、旋回電動モータ出力P0erに応じた値を、発電電力である蓄電率要求出力Psoc1から上昇させる。
【0064】
加算器63は、発電電動機要求出力Pmg1を加算値(Psoc1−P0er)に設定する。但し、加算器63は、力行側の加算値が最大力行出力を超えるときには、発電電動機要求出力Pmg1を最大力行出力に設定する。加算器63は、発電側の加算値が最大発電出力を超えるときには、発電電動機要求出力Pmg1を最大発電出力に設定する。加算器63は、旋回電動モータ出力P0erを考慮した発電電動機要求出力Pmg1を出力する。
【0065】
次に、最大出力演算部70の具体的な構成について、
図8ないし
図12を参照して説明する。
【0066】
図8に示すように、最大出力演算部70は、低温減少出力演算部71と、発電電動機出力制限ゲイン演算部72と、エンジン最大出力演算部73と、発電電動機最大出力演算部74と、最大合計出力演算部75とを有している。この最大出力演算部70には、作動油温度Toと、バッテリ温度Tbと、電圧Vbと、エンジン目標回転数ωeと、最大放電電力Pd-maxと、最大充電電力Pc-maxと、電流二乗積算比率Riscとが入力される。
【0067】
図9に示すように、低温減少出力演算部71は、第1の車体速度低減量決定部としてのバッテリ低温減少出力演算部71Aと、第2の車体速度低減量決定部としての作動油低温減少出力演算部71Bとを備えている。
【0068】
バッテリ低温減少出力演算部71Aは、バッテリ温度Tbと電圧Vbとに基づいて、第1の車体速度低減量としてのバッテリ低温減少出力PbLを演算する。このバッテリ低温減少出力演算部71Aは、バッテリ温度センサ33によって検出したバッテリ温度Tbによって蓄電装置31が低温状態であると判断したときに、バッテリ温度Tbが低くなるに従って大きい値とするバッテリ低温減少出力PbLを決定する。具体的には、バッテリ低温減少出力演算部71Aは、バッテリ温度Tbが常温Tb2よりも低下したとき(Tb<Tb2)、蓄電装置31が低温状態であると判断する。
【0069】
バッテリ低温減少出力演算部71Aは、バッテリ低温減少電流演算部71A1と、出力換算部71A2とを備えている。バッテリ低温減少電流演算部71A1は、バッテリ温度Tbに基づいてバッテリ減少電流IbLを演算するために、テーブルT5を有する。テーブルT5は、車体使用時の仕様上の最低温度Tb1[℃]から常温Tb2[℃]に亘ってバッテリ減少電流IbLを算出する。テーブルT5は、最低温度Tb1と常温Tb2との間の温度Tb3[℃](Tb1≦Tb3≦Tb2)のときの最大放電電流と、常温Tb2における電流二乗積算値の上限値ISCmaxとに基づいて作成されている。具体的には、テーブルT5は、温度Tb3における蓄電装置31の最大放電電流と常温Tb2における電流二乗積算値の上限値ISCmaxを積算時間Tで割って平方根をとった値(常温Tb2のときの電流実効値の上限値)の値とのうち小さい方と、温度Tb3における電流実効値の上限値との差に基づいて作成されている。このとき、バッテリ減少電流IbLは、バッテリ温度Tbの低下に伴って電流実効値の上限値が低下するときに、この上限値の低下量に応じて蓄電装置31の電流Ibを制限するものである。
【0070】
このため、テーブル
T5は、バッテリ温度Tbが常温Tb2以上に上昇(Tb≧Tb2)すると、バッテリ減少電流IbL(電流Ibの制限値)を最小値I1(例えばI1=0[A])に設定する。テーブル
T5は、バッテリ温度Tbが最低温度Tb1以下に低下(Tb≦Tb1)すると、バッテリ減少電流IbLを最大値I2に設定する。また、バッテリ温度Tbが常温Tb2と最低温度Tb1の間の値(Tb1<Tb<Tb2)となるときには、テーブル
T5は、バッテリ温度Tbが低下するに従って、バッテリ減少電流IbLを最小値I1から増加させる。即ち、バッテリ温度Tbが常温Tb2よりも低下すると、テーブルT5は、常温Tb2からの低下度合いに応じて、バッテリ減少電流IbLを最小値I1と最大値I2との間の値に設定する。ここで、常温Tb2および最低温度Tb1は、車体使用時の仕様等に応じて予め決められている。例えば、常温Tb2は25℃で、最低温度Tb1は−20℃に設定されている。
【0071】
出力換算部71A2は、バッテリ低温減少電流演算部71A1から出力されるバッテリ減少電流IbLに、蓄電装置31の電圧Vbと、出力の次元となるように所定の係数(効率Eff/1000)とを掛ける。これにより、出力換算部71A2は、バッテリ温度Tbに応じたバッテリ低温減少出力PbL[kW]を算出する。
【0072】
作動油低温減少出力演算部71Bは、作動油温度Toとエンジン目標回転数ωeとに基づいて、第2の車体速度低減量としての作動油低温減少出力PoLを演算する。この作動油低温減少出力演算部71Bは、作動油温度センサ23によって検出した作動油温度Toによって作動油が低温状態であると判断したときに、作動油温度Toが低くなるに従って大きい値とする作動油低温減少出力PoLを決定する。具体的には、作動油低温減少出力演算部71Bは、作動油温度Toが常温To2よりも低下したとき(To<To2)、作動油が低温状態であると判断する。
【0073】
作動油低温減少出力演算部71Bは、作動油低温減少トルク演算部71B1と、出力換算部71B2とを備えている。作動油低温減少トルク演算部71B1は、作動油温度Toに基づいて作動油減少トルクNoLを演算するために、テーブルT6を有する。テーブルT6は、最低温度To1と常温To2との間の温度To3[℃](To1≦To3≦To2)のときの引摺りトルクと、常温To2における引摺りトルクとに基づいて作成されている。具体的には、テーブル
T6は、常温To2における引摺りトルクを基準値とし、その基準値に対する温度To3における引摺りトルクの増加量に基づいて作成されている。このとき、作動油減少トルクNoLは、作動油温度Toの低下に伴って引摺りトルクが増加するときに、この引摺りトルクの増加量に応じて油圧機器の出力トルクを制限するものである。
【0074】
このため、テーブルT6は、作動油温度Toが常温To2以上に上昇(To≧To2)すると、作動油減少トルクNoL(トルクの制限値)を最小値N1(例えばN1=0Nm)に設定する。テーブルT6は、作動油温度Toが閾値となる最低温度To1以下に低下(To≦To1)すると、作動油減少トルクNoLを最大値N2に設定する。また、作動油温度Toが常温To2と最低温度To1の間の値(To1<To<To2)となるときには、テーブルT6は、作動油温度Toが低下するに従って、作動油減少トルクNoLを最小値N1から増加させる。即ち、作動油温度Toが常温To2よりも低下すると、テーブルT6は、常温To2からの低下度合いに応じて、作動油減少トルクNoLを最小値N1と最大値N2との間の値に設定する。ここで、常温To2および最低温度To1は、車体使用時の仕様等に応じて予め決められている。例えば常温To2は、常温Tb2と同じ値に設定され、最低温度To1は最低温度Tb1と同じ値に設定されている。但し、常温To2は、常温Tb2と異なる値でもよい。同様に、最低温度To1は、最低温度Tb1と異なる値でもよい。
【0075】
出力換算部71B2は、作動油低温減少トルク演算部71B1から出力される作動油減少トルクNoLに、エンジン目標回転数ωe[rpm]と、出力の次元となるように所定の係数(2π/60/1000)とを掛ける。これにより、出力換算部71B2は、作動油温度Toに応じた作動油低温減少出力PoL[kW]を算出する。
【0076】
図10に示すように、発電電動機出力制限ゲイン演算部72は、力行制限ゲイン演算部72Aと、発電制限ゲイン演算部72Bとを有している。発電電動機出力制限ゲイン演算部72には、電流二乗積算比率Riscが入力される。
【0077】
力行制限ゲイン演算部72Aは、電流二乗積算比率Riscに基づいて力行制限ゲインKmgmを演算するために、テーブルT7を有している。このとき、力行制限ゲインKmgmは、発電電動機27の力行によって電流二乗積算比率Riscが上限値Rm2まで上昇するのを抑制するために、発電電動機27の力行出力を制限するものである。力行制限ゲイン演算部72Aは、テーブルT7を用いて電流二乗積算比率Riscに応じた力行制限ゲインKmgmを演算する。なお、上限値Rm2は、第3の基準値であり、例えば100%である。
【0078】
テーブルT7は、電流二乗積算比率Riscが上限値Rm2まで上昇(Risc≧Rm2)すると、力行制限ゲインKmgmを最小値(例えばKmgm=0)に設定する。テーブルT7は、電流二乗積算比率Riscが閾値となる適正基準値Rm1以下に低下(Risc≦Rm1)すると、力行制限ゲインKmgmを最大値(例えばKmgm=1)に設定する。また、電流二乗積算比率Riscが上限値Rm2と適正基準値Rm1の間の値(Rm1<Risc<Rm2)となるときには、テーブルT7は、電流二乗積算比率Riscが上昇するに従って
、力行制限ゲインKmgmを低下させる。即ち、電流二乗積算比率Riscが適正基準値Rm1よりも上昇すると、テーブルT7は、適正基準値Rm1からの上昇度合いに応じて、力行制限ゲインKmgmを最小値と最大値との間の値に設定する。ここで、適正基準値Rm1は、上限値Rm2から予め決められた余裕を持って大きな値に設定されている。例えば上限値Rm2が100%となるときに、適正基準値Rm1は90%程度の値に設定されている。
【0079】
従って、力行制限ゲイン演算部72Aは、最大ゲイン設定部72A1と、ゲイン低下設定部72A2と、最小ゲイン設定部72A3とを有している。最大ゲイン設定部72A1は、電流二乗積算比率Riscが適正基準値Rm1以下のときに力行制限ゲインKmgmを最大値に設定する。ゲイン低下設定部72A2は、電流二乗積算比率Riscが適正基準値Rm1と上限値Rm2との間の範囲内にあるときに電流二乗積算比率Riscが大きくなるに従って力行制限ゲインKmgmを低下させる。最小ゲイン設定部72A3は、電流二乗積算比率Riscが上限値Rm2以上のときに力行制限ゲインKmgmを最小値に設定する。
【0080】
発電制限ゲイン演算部72Bは、電流二乗積算比率Riscに基づいて発電制限ゲインKmggを演算するために、テーブルT8を有している。このとき、発電制限ゲインKmggは、発電電動機27の発電によって電流二乗積算比率Riscが上限値Rg2まで上昇するのを抑制するために、発電電動機27の発電出力を制限するものである。発電制限ゲイン演算部72Bは、テーブルT8を用いて電流二乗積算比率Riscに応じた発電制限ゲインKmggを演算する。なお、上限値Rg2は、第2の基準値であり、例えば上限値Rm2と同じ値(例えばRg2=100%)である。
【0081】
テーブルT8は、電流二乗積算比率Riscが上限値Rg2まで上昇(Risc≧Rg2)すると、発電制限ゲインKmggを最小値(例えばKmgg=0)に設定する。テーブルT8は、電流二乗積算比率Riscが閾値となる適正基準値Rg1以下に低下(Risc≦Rg1)すると、発電制限ゲインKmggを最大値(例えばKmgg=1)に設定する。また、電流二乗積算比率Riscが上限値Rg2と適正基準値Rg1の間の値(Rg1<Risc<Rg2)となるときには、テーブルT8は、電流二乗積算比率Riscが上昇するに従って、発電制限ゲインKmggを低下させる。即ち、電流二乗積算比率Riscが適正基準値Rg1よりも上昇すると、テーブルT8は、適正基準値Rg1からの上昇度合いに応じて、発電制限ゲインKmggを最小値と最大値との間の値に設定する。
【0082】
従って、発電制限ゲイン演算部72Bは、最大ゲイン設定部72B1と、ゲイン低下設定部72B2と、最小ゲイン設定部
72B3とを有している。最大ゲイン設定部72B1は、電流二乗積算比率Riscが適正基準値Rg1以下のときに発電制限ゲインKmggを最大値に設定する。ゲイン低下設定部72B2は、電流二乗積算比率Riscが適正基準値Rg1と上限値Rg2との間の範囲内にあるときに電流二乗積算比率Riscが大きくなるに従って発電制限ゲインKmggを低下させる。最小ゲイン設定部72B3は、電流二乗積算比率Riscが上限値Rg2以上のときに発電制限ゲインKmggを最小値に設定する。
【0083】
ここで、適正基準値Rg1は、上限値Rg2から予め決められた余裕を持って小さな値に設定されている。例えば適正基準値Rg1は、適正基準値Rm1と同じ値に設定されている。適正基準値Rg1,Rm1は、いずれも第1の基準値となっている。
【0084】
なお、発電制限用の適正基準値Rg1は、力行制限用の適正基準値Rm1と同じ値になる場合を例示したが、これらは互いに異なる値でもよい。同様に、発電制限用の上限値Rg2は、力行制限用の上限値Rm2と同じ値になる場合を例示したが、これらは互いに異なる値でもよい。
【0085】
エンジン最大出力演算部73は、エンジン目標回転数ωeとエンジン最大出力Pe-maxとの対応関係を示したテーブル(図示せず)を有している。このとき、エンジン最大出力Pe-maxは、エンジン目標回転数ωeでエンジン20が駆動したときの、エンジン20から供給可能な最大出力を示している。エンジン最大出力演算部73は、エンジン目標回転数ωeに基づいてエンジン最大出力Pe-maxを演算し、算出したエンジン最大出力Pe-maxを出力する。
【0086】
図11に示すように、発電電動機最大出力演算部74は、発電電動機最大力行出力Pmgm-maxを算出する発電電動機最大力行出力算出部74Aと、発電電動機最大発電出力Pmgg-maxを算出する発電電動機最大発電出力算出部74Bとを備えている。
【0087】
発電電動機最大力行出力算出部74Aは、エンジン目標回転数ωeと、最大放電電力Pd-maxと
、力行制限ゲインKmgmとに基づいて、発電電動機最大力行出力Pmgm-maxを算出する。
【0088】
この発電電動機最大力行出力算出部74Aは、力行最大出力算出部74A1と、最小値選択部74A2と、乗算部74A3とを備えている。力行最大出力算出部74A1は、エンジン最大出力演算部73と同様に、エンジン目標回転数ωeに対する発電電動機27の力行最大出力を算出するテーブル(図示せず)を有している。力行最大出力算出部74A1は、エンジン20の目標回転数ωeに基づいて、発電電動機27の力行最大出力を算出する。
【0089】
最小値選択部74A2は、目標回転数ωeから決定した力行最大出力と、蓄電装置31の最大放電電力Pd-maxにインバータ28および発電電動機27の効率を作用(乗算)させた値とを比較し、これらの最小値を選択する。
【0090】
乗算部74A3は、最小値選択部74A2によって選択された最小値
に力行制限ゲインKmgmを作用(乗算)させ、この乗算値を、発電電動機最大力行出力Pmgm-maxとして出力する。このとき、発電電動機最大力行出力Pmgm-maxは、蓄電装置31の放電電力最大値に相当する。
【0091】
このとき、発電電動機最大力行出力算出部74Aおよび最小ゲイン設定部72A3は、放電電力最大値低減部92を構成している。この放電電力最大値低減部92は、電流二乗積算比率Riscが予め決められた適正基準値Rm1よりも大きな値である上限値Rm2を超えた場合(Risc≧Rm2)には、上限値Rm2よりも小さい場合に比べて、発電電動機最大力行出力Pmgm-maxをさらに小さくする。
【0092】
また、発電電動機最大発電出力算出部74Bは、エンジン目標回転数ωeと、最大充電電力Pc-maxと
、発電制限ゲインKmggとに基づいて、発電電動機最大発電出力Pmgg-maxを算出する。
【0093】
この発電電動機最大発電出力算出部74Bは、発電最大出力算出部74B1と、最大値選択部74B2と、乗算部74B3とを備えている。発電最大出力算出部74B1は、エンジン最大出力演算部73と同様に、エンジン目標回転数ωeに対する発電電動機27の発電最大出力を算出するテーブル(図示せず)を有している。発電最大出力算出部74B1は、エンジン20の目標回転数ωeに基づいて、発電電動機27の発電最大出力を算出する。
【0094】
最大値選択部74B2は、目標回転数ωeから決定した発電最大出力と、蓄電装置31の最大充電電力Pc-maxにインバータ28および発電電動機27の効率を作用させた値とを比較し、これらの最大値を算出する。このとき、発電最大出力と最大充電電力Pc-maxは、いずれも負値であるため、これらのうちで絶対値の小さい方が最大値になる。
【0095】
乗算部74B3は、最大値選択部74B2によって選択された最大値
に発電制限ゲインKmggを作用(乗算)させ、この乗算値を、発電電動機最大発電出力Pmgg-maxとして出力する。このとき、発電電動機最大発電出力Pmgg-maxは、蓄電装置31の充電電力最大値に相当する。
【0096】
このとき、発電電動機最大発電出力算出部74Bおよび最小ゲイン設定部72B3は、充電電力最大値低減部93を構成している。この充電電力最大値低減部93は、電流二乗積算比率Riscが予め決められた適正基準値Rg1よりも大きな値である上限値Rg2を超えた場合(Risc≧Rg2)には、上限値Rg2よりも小さい場合に比べて、発電電動機最大発電出力Pmgg-maxをさらに小さくする。
【0097】
図12に示すように、最大合計出力演算部75は、加算器75A,75Bと、減算器75Cとを備えている。加算器75Aは、エンジン最大出力Pe-maxと発電電動機最大力行出力Pmgm-maxの和である最大出力加算値(Pe-max+Pmgm-max)を算出する。加算器75Bは、作動油低温減少出力PoLとバッテリ低温減少出力PbLとの和である減少出力加算値(PoL+PbL)を算出する。減算器75Cは、最大出力加算値(Pe-max+Pmgm-max)から減少出力加算値(PoL+PbL)を減算する。これにより、最大合計出力演算部75は、以下の数1式に示すように、最大出力加算値から減少出力加算値を減算した減算値を、最大合計出力Pt-maxとして算出する。
【0099】
このとき、最大合計出力演算部75、発電電動機最大力行出力算出部74Aおよびゲイン低下設定部72A2は、車体速度低減量調整部91を構成している。この車体速度低減量調整部91は、電流二乗積算比率Riscが予め決められた適正基準値Rm1を超えた場合(Risc≧Rm1)に、超えた量が大きくなるに従ってバッテリ低温減少出力PbLよりも車体速度を低下させる。
【0100】
次に、出力指令演算部80の具体的な構成について、
図13を参照して説明する。
【0101】
出力指令演算部80は、バッテリ低温減少出力PbLと作動油低温減少出力PoLとの和に
基づいて、車体動作を制御する。ここで、出力指令演算部80は、充電電力が最大充電電力Pc-maxを超えないように、発電電動機27を制御する。また、出力指令演算部80は、放電電力が最大放電電力Pd-maxを超えないように、発電電動機27を制御する。
【0102】
出力指令演算部80は、ポンプ推定入力演算部81と、発電電動機力行発電要求判定部82と、発電電動機力行出力演算部83と、発電電動機発電出力演算部84と、発電電動機出力指令演算部85と、エンジン出力指令演算部86とを有している。この出力指令演算部80には、各レバー操作量OAと、その他車体情報VIと、最大合計出力Pt-maxと、発電電動機要求出力Pmg1と、エンジン最大出力Pe-maxと、発電電動機最大力行出力Pmgm-maxと、発電電動機最大発電出力Pmgg-maxとが入力される。
【0103】
ポンプ推定入力演算部81は、各レバー操作量OAに応じて車体を動作させるために必要なポンプ推定入力Ppと旋回電動モータ出力指令Perとを演算する。ポンプ推定入力演算部81は、ポンプ推定入力Ppと旋回電動モータ出力指令Perとを演算するときに、その他車体情報VIと、最大合計出力Pt-maxとを考慮する。このため、ポンプ推定入力演算部81には、その他車体情報VIと、各レバー操作量OAと、最大合計出力Pt-maxとが入力される。ポンプ推定入力演算部81は、各レバー操作量OAとその他車体情報VIとに基づいて目標とする動作に必要なポンプ出力を推定する。ポンプ推定入力演算部81は、このポンプ出力にポンプ効率や補機負荷等を考慮して、予備的なポンプ推定入力を計算する。このとき、ポンプ推定入力演算部81は、各レバー操作量OAのうち旋回の操作量に応じて、旋回電動モータ34を動作させるための旋回電動モータ出力指令Perも計算する。具体的には、ポンプ推定入力演算部81は、旋回油圧モータ26に比べて、旋回電動モータ34が優先的に旋回動作の出力を負担するように、旋回電動モータ出力指令Perを算出する。次に、ポンプ推定入力演算部81は、最大合計出力Pt-maxと予備的なポンプ推定入力とを比較し、値の小さい方を最終的なポンプ推定入力Ppとして出力する。ポンプ推定入力演算部81で行われる計算は、蓄電装置31が低温状態で電流二乗積算比率Riscを増加させないように、車体速度を低下させることに相当する。
【0104】
発電電動機力行発電要求判定部82には、発電電動機要求出力Pmg1が入力される。発電電動機要求出力Pmg1が正の値の場合(Pmg1>0)、発電電動機力行発電要求判定部82は、発電電動機力行要求出力Pmgm1を発電電動機要求出力Pmg1の値に設定する(Pmgm1=Pmg1)と共に、発電電動機発電要求出力Pmgg1を0に設定する(Pmgg1=0)。逆に、発電電動機要求出力Pmg1が負の値の場合(Pmg1<0)、発電電動機力行発電要求判定部82は、発電電動機力行要求出力Pmgm1を0に設定する(Pmgm1=0)と共に、発電電動機発電要求出力Pmgg1を発電電動機要求出力Pmg1の値に設定する(Pmgm1=Pmg1)。発電電動機力行発電要求判定部82は、これらの発電電動機力行要求出力Pmgm1と発電電動機発電要求出力Pmgg1とを出力する。
【0105】
発電電動機力行出力演算部83には、ポンプ推定入力Ppと、エンジン最大出力Pe-maxと、発電電動機最大力行出力Pmgm-maxと、発電電動機力行要求出力Pmgm1とが入力される。発電電動機力行出力演算部83は、ポンプ推定入力Ppとエンジン最大出力Pe-maxとを比較する。発電電動機力行出力演算部83は、ポンプ推定入力Ppがエンジン最大出力Pe-maxよりも大きい場合(Pp>Pe-max)には、ポンプ推定入力Ppとエンジン最大出力Pe-maxとの差を発電電動機力行出力指令Pmgmとする。但し、発電電動機力行出力指令Pmgmは、発電電動機最大力行出力Pmgm-maxよりも大きくならないように調整される。
【0106】
一方、発電電動機力行出力演算部83は、エンジン最大出力Pe-maxがポンプ推定入力Ppよりも大きい場合(Pp<Pe-max)には、発電電動機最大力行出力Pmgm-maxと発電電動機力行要求出力Pmgm1とのうち最小のものを選択し、発電電動機力行出力指令Pmgmとする。
【0107】
これにより、発電電動機力行出力演算部83は、油圧負荷に対してエンジン20の出力で不足する部分を発電電動機27の力行出力によって担保する。その上で、発電電動機力行出力演算部83は、発電電動機力行要求出力Pmgm1を満たすように、発電電動機27の力行動作を制御する。これにより、発電電動機27は、可能な限り力行要求に従うことになる。
【0108】
発電電動機発電出力演算部84には、ポンプ推定入力Ppと、エンジン最大出力Pe-maxと、発電電動機最大発電出力Pmgg-maxと、発電電動機発電要求出力Pmgg1とが入力される。
【0109】
このように、発電電動機発電出力演算部84は、ポンプ推定入力Ppとエンジン最大出力Pe-maxとを比較する。発電電動機発電出力演算部
84は、ポンプ推定入力Ppがエンジン最大出力Pe-maxよりも大きい場合(Pp>Pe-max)は、0となった発電電動機発電出力指令Pmggを出力する。この場合、エンジン20は、油圧負荷への対応で全ての出力が消費されるから、発電動作を行う余裕がない。このため、発電電動機発電出力指令Pmggは0に設定され、発電電動機27が発電動作を行うことはない。
【0110】
一方、エンジン最大出力Pe-maxがポンプ推定入力Ppよりも大きい場合(Pp<Pe-max)は、エンジン最大出力Pe-maxとポンプ推定入力Ppとの差と、発電電動機最大発電出力Pmgg-maxと、発電電動機発電要求出力Pmgg1とのうち、その絶対値が最小のものを選択し、発電電動機発電出力指令Pmggとする。
【0111】
これにより、発電電動機発電出力演算部84は、油圧負荷に対応しながら、可能な限り発電電動機発電要求出力Pmgg1を満たすように、発電電動機27の発電動作を制御する。
【0112】
発電電動機出力指令演算部85は、発電電動機力行出力指令Pmgmと発電電動機発電出力指令Pmggとを加算する。発電電動機出力指令演算部85は、この加算値を、発電電動機出力指令Pmgとして出力する。
【0113】
エンジン出力指令演算部86は、ポンプ推定入力Ppから発電電動機出力指令Pmgを減算する。エンジン出力指令演算部86は、この減算値を、エンジン出力指令Peとして出力する。
【0114】
出力指令演算部80は、発電電動機要求出力演算部60からの出力の要求に加えて、操作量センサ9A〜11Aによって検出したレバー操作量OAに基づいて、蓄電装置31の出力を制御する。また、出力指令演算部80のポンプ推定入力演算部81は、各レバー操作量OAに応じたポンプ推定入力Ppを算出する。このとき、出力指令演算部80の発電電動機力行出力演算部83は、ポンプ推定入力Ppの確保を優先させた発電電動機力行出力指令Pmgmを出力する。同様に、出力指令演算部80の発電電動機発電出力演算部84は、ポンプ推定入力Ppの確保を優先させた発電電動機発電出力指令Pmggを出力する。このため、車体速度の低下を抑制して、オペレータに操作ストレスや違和感を与える機会を減少させることができる。
【0115】
本実施の形態によるハイブリッド油圧ショベル1は上述のような構成を有する。次に、低温状態でのHCU37によるエンジン20と蓄電装置31との間の出力の負担割合の制御について、
図14ないし
図16を参照しつつ説明する。
図14ないし
図16中では、エンジン最大出力Pe-maxは60kWとし、蓄電装置31の常温状態での最大放電電力Pd-maxは40kWとしている。このとき、最大合計出力Pt-maxは、バッテリ温度Tbおよび作動油温度Toの両方が常温状態であるときには、100kWである。
【0116】
なお、前述した値は、エンジン最大出力Pe-maxや最大放電電力Pd-maxの一例を示したものであり、油圧ショベル1の仕様等によって適宜変更される。また、説明を簡略化するために、旋回動作は行わず、旋回電動モータ34は力行と回生のいずれも実行しないものとする。これに加え、蓄電率SOCには余裕があり、充電は不要な状態であるとする。
【0117】
第1に、バッテリ温度Tbが低温状態にあり、作動油温度Toが常温状態にある場合について、HCU37の制御内容を、
図14を参照して説明する。
【0118】
寒冷地で建設機械を起動する場合、実際の作業前に一時的にラジエータ室の吸気に目張りをすることによって、機械室内の放熱効果を抑制した状態で車体の暖機運転を行うことがある。このとき、作動油温度Toは速やかに上昇するが、バッテリ温度Tbは同等の速度で上昇するとは限らない。車体システムの設計に依存する話ではあるが、作動油温度Toが常温まで上昇していても、バッテリ温度Tbがまだ低温領域にある、という状況は十分にありえる。
【0119】
このとき、最大電力演算部50は、バッテリ温度Tbに応じて、常温状態に比べて減少した最大放電電力Pd-max(例えばPd-max=20kW)を出力する。このため、システムが出力可能なパワーは、エンジン最大出力Pe-maxに、最大放電電力Pd-maxに基づく発電電動機最大力行出力Pmgm-maxを加算した値として、例えば80kWになる。また、最大出力演算部70の低温減少出力演算部71は、バッテリ温度Tbに応じて、常温状態に比べて増加したバッテリ低温減少出力PbL(例えば、PbL=10kW)を出力する。これに対し、最大出力演算部70の低温減少出力演算部71は、作動油温度Toに応じて、常温状態における作動油低温減少出力PoL(例えばPoL=0kW)を出力する。
【0120】
これにより、最大合計出力Pt-maxは、常温状態に比べて低下し、バッテリ低温減少出力PbLおよび最大放電電力Pd-maxによって、例えば70kWになる。このため、HCU37の出力指令演算部80は、エンジン20が60kWを負担し、蓄電装置31が10kWを負担するように、常温状態に比べて車体速度を低下させる。
【0121】
第2に、バッテリ温度Tbが常温状態にあり、作動油温度Toが低温状態にある場合について、HCU37の制御内容を、
図15を参照して説明する。
【0122】
建設機械には、蓄電装置31の暖機を行う機能を備えたものが存在する。このような暖機機能には、例えば充放電の繰り返しによって、蓄電装置31の自己発熱を利用するもの、または、エンジン20の排熱を蓄電装置31に供給するもの等が考えられる。このような蓄電装置31の暖機機能は、車体の暖機動作を行わなくても機能するため、例えばエンジンだけ始動して暫く放置した場合には、バッテリ温度Tbが常温まで上昇しても、作動油温度Toがまだ低温領域にある、という状況は十分にありえる。
【0123】
このとき、最大電力演算部50は、バッテリ温度Tbに応じて、常温状態における最大放電電力Pd-max(例えばPd-max=40kW)を出力する。このため、システムが出力可能なパワーは、エンジン最大出力Pe-maxに、最大放電電力Pd-maxに基づく発電電動機最大力行出力Pmgm-maxを加算した値として、例えば100kWになる。また、最大出力演算部70の低温減少出力演算部71は、バッテリ温度Tbに応じて、常温状態におけるバッテリ低温減少出力PbL(例えば、PbL=0kW)を出力する。これに対し、最大出力演算部70の低温減少出力演算部71は、作動油温度Toに応じて、常温状態に比べて増加した作動油低温減少出力PoL(例えばPoL=20kW)を出力する。
【0124】
これにより、最大合計出力Pt-maxは、常温状態に比べて低下し、作動油低温減少出力PoLおよび最大放電電力Pd-maxによって、例えば80kWになる。このため、HCU37の出力指令演算部80は、エンジン20が60kWを負担し、蓄電装置31が20kWを負担するように、常温状態に比べて車体速度を低下させる。
【0125】
第3に、バッテリ温度Tbと作動油温度Toがいずれも低温状態にある場合について、HCU37の制御内容を、
図16を参照して説明する。
【0126】
建設機械を寒冷地で起動した直後は、外気温に応じて、バッテリ温度Tbと作動油温度Toがいずれも低温状態になっていることがある。このとき、最大電力演算部50は、バッテリ温度Tbに応じて、常温状態に比べて低下した最大放電電力Pd-max(例えばPd-max=20kW)を出力する。このため、システムが出力可能なパワーは、エンジン最大出力Pe-maxに、最大放電電力Pd-maxに基づく発電電動機最大力行出力Pmgm-maxを加算した値として、例えば80kWになる。また、最大出力演算部70の低温減少出力演算部71は、バッテリ温度Tbに応じて、常温状態に比べて増加したバッテリ低温減少出力PbL(例えば、PbL=10kW)を出力する。これに加え、最大出力演算部70の低温減少出力演算部71は、作動油温度Toに応じて、常温状態に比べて増加した作動油低温減少出力PoL(例えばPoL=20kW)を出力する。
【0127】
これにより、最大合計出力Pt-maxは、常温状態に比べて低下し、作動油低温減少出力PoLおよび最大放電電力Pd-maxによって、例えば50kWになる。このとき、最大合計出力Pt-maxは、エンジン最大出力Pe-maxよりも低下している。このため、HCU37の出力指令演算部80は、エンジン20だけで50kWを負担するように、常温状態に比べて車体速度を低下させる。
【0128】
次に、HCU37の制御内容によって得られる効果について、詳細に説明する。
【0129】
一般的に、電流二乗積算値の上限値ISCmaxは、バッテリ温度Tbの低下に応じて徐々に値が小さくなる。特に、例えば−20℃程度の低温状態では、僅かな電流Ibが蓄電装置31に入力または出力されるときでも、電流二乗積算値ISCは上限値ISCmaxに達してしまう。このため、蓄電装置31を使用するときは、この点に留意する必要がある。HCU37は、任意の温度で電流二乗積算値ISCが上限値ISCmaxを超えないように、蓄電装置31の使用を制御する。
【0130】
ところで、燃費を考慮して小型のエンジン20を採用したときには、蓄電装置31の使用頻度が高くなる。このため、負荷の大きい作業を連続して行う場合、電流二乗積算値ISCの過度な上昇が起きる可能性がある。その場合、蓄電装置31の劣化を回避するために、車体速度を低減させて、蓄電装置31の使用を緩和させることが一般的である。
【0131】
しかしながら、バッテリ温度Tbが低温状態では、電流二乗積算値の上限値ISCmaxは、非常に小さくなる。このため、電流二乗積算値ISCの増加に応じて車体速度を低下させた場合には、僅かな動作でも車体速度が低下するのに対し、短時間の休止でも車体速度の低下状態から復帰する。この結果、車体速度の低下と回復が早い周期で繰り返されるから、オペレータに大きな操作違和感を与えることが予想される。
【0132】
従って、低温状態では、電流二乗積算値ISCを増加させない必要がある。このためには、蓄電装置31の使用量である放電量または充電量を減少させればよい。
【0133】
蓄電装置31の放電量を減少させることは、発電電動機27の力行作用を減少させることに他ならないが、このときには次のような問題が生じる。例えば発電電動機27の力行出力を直接的に制限してしまうと、油圧負荷に急峻な変動が生じたときには、負荷の変動に応じてエンジン20の出力を変化させる必要がある。しかしながら、エンジン20の出力の応答速度は発電電動機27に比べて遅いため、油圧負荷を担保しきれずに、エンジン20に過度なラグダウンや急停止が生じるという問題がある。
【0134】
これらに加え、低温状態では蓄電装置31の性能低下に加えて、粘度が増加する作動油の影響も考慮する必要がある。作動油の粘度増加は油圧ポンプ22の引摺りトルク増加を発生させるため、作動油温度Toが低温状態では、油圧ポンプ22に対する入力が常温状態と同量であっても、得られるポンプ出力は小さくなる。従って、このようなポンプ出力の減少分を考慮せずに車体を動作させたときも、エンジン20に過度なラグダウンや急停止が生じることがある。
【0135】
これに対し、本実施の形態では、低温状態で蓄電装置31の使用を減少させるために、車体速度を制限する方法と、電力そのものを制限する方法との2種類の方法を併用している。
【0136】
車体速度を制限する方法は、低温減少出力演算部71が算出する作動油低温減少出力PoLおよびバッテリ低温減少出力PbLによって実現している。電力を制限する方法は、最大電力演算部50が算出する最大放電電力Pd-maxおよび最大充電電力Pc-maxによって実現している。
【0137】
そして、発電電動機最大出力演算部74は、最大放電電力Pd-maxおよび最大充電電力Pc-maxに基づいて、発電電動機最大力行出力Pmgm-maxおよび発電電動機最大発電出力Pmgg-maxを算出する。最大合計出力演算部75は、作動油低温減少出力PoL、バッテリ低温減少出力PbLおよび発電電動機最大力行出力Pmgm-maxを考慮して、最大合計出力Pt-maxを算出する。出力指令演算部80は、最大合計出力Pt-maxを超えないように、車体速度を制御する。これに加え、出力指令演算部80は、発電電動機最大力行出力Pmgm-maxおよび発電電動機最大発電出力Pmgg-maxを超えないように、蓄電装置31の放電電力および充電電力を制御する。
【0138】
この結果、バッテリ温度Tbや作動油温度Toが低温状態のときには、最大合計出力Pt-maxによって車体速度を低下させることができる。一方、発電電動機最大力行出力Pmgm-maxによって、発電電動機27の力行動作を制限するものの、ある程度の力行動作を許容させることができる。これにより、エンジン20および蓄電装置31によって供給可能な出力の範囲内となるように、車体速度を低下させることができる。
【0139】
このとき、最大合計出力Pt-maxは、作動油低温減少出力PoLとバッテリ低温減少出力PbLとの和に応じた出力が減少している。このため、最大合計出力Pt-maxによって、蓄電装置31の出力に限らず、エンジン20を含めた全体の出力も低下させることができる。従って、例えば車体速度をエンジン20の最大出力よりも低下させることができるから、蓄電装置31の使用頻度を低下させることができる。この結果、電流二乗積算値ISCの増加を抑制できるから、電流二乗積算値ISCが上限値ISCmaxに到達し難くなる。これにより、車体速度の低下と回復が早い周期で繰り返すことがなくなり、オペレータの操作違和感を低減することができる。
【0140】
これに加え、車体速度の低下によって蓄電装置31の使用量が低下する。このため、蓄電装置31は、その放電量が最大放電電力Pd-maxによって制限されるものの、ある程度の使用は許容することができる。従って、油圧負荷が急峻に変動したときには、油圧負荷の変動分を発電電動機27の力行作用によって負担することができ、エンジン20のラグダウンや急停止を抑制することができる。
【0141】
また、作動油温度Toが低温状態となったときには、バッテリ低温減少出力PbLとは別個の作動油低温減少出力PoLによって車体速度を低下させることができる。従って、低温状態で作動油の粘度が増加して、油圧ポンプ22の出力が減少したときでも、その減少分を考慮して、車体速度を低下させることができる。この結果、エンジン20に対する過度な負荷を抑制することができる。
【0142】
かくして、本実施の形態によれば、HCU37は、バッテリ温度センサ33(蓄電装置温度センサ)によって検出した温度によって蓄電装置31が低温状態であると判断したときに、バッテリ温度Tbが低くなるに従って大きい値とするバッテリ低温減少出力PbL(第1の車体速度低減量)を決定するバッテリ低温減少出力演算部71A(第1の車体速度低減量決定部)と、作動油温度センサ23によって検出した温度によって作動油が低温状態であると判断したときに、作動油温度Toが低くなるに従って大きい値とする作動油低温減少出力PoL(第2の車体速度低減量)を決定する作動油低温減少出力演算部71B(第2の車体速度低減量決定部)と、バッテリ低温減少出力PbLと作動油低温減少出力PoLとの和に
基づいて車体動作を制御する出力指令演算部80(車体動作制御部)とを有している。即ち、出力指令演算部80は、バッテリ低温減少出力PbLと作動油低温減少出力PoLとの和を減少させた状態で、車体を動作させる。
【0143】
従って、HCU37は、バッテリ温度Tbが低いときには、電流二乗積算値ISCに拘らず、車体速度を低減されることができる。これにより、低温であることによる電流二乗積算値ISCの速い変化に由来する車体速度変動を抑えて、オペレータの操作ストレスを低減すると共に、エンジン20のラグダウンや急停止(エンジンストール)を防ぎつつ、蓄電装置31の劣化抑制効果を高めることができる。
【0144】
これに加え、HCU37は、バッテリ温度Tbが低いことによるバッテリ低温減少出力PbLと、作動油温度Toが低いことによる作動油低温減少出力PoLとを別々に計算し、これらの合計速度低減量を車体速度に反映させて車体制御を行う。これにより、作動油温度Toは低いがバッテリ温度Tbが高い状態、またはその逆の状態等でも適切な速度低減を行うことができ、車体動作性能を確保することができる。
【0145】
HCU37は、バッテリ温度センサ33によって検出したバッテリ温度Tbによって蓄電装置31が低温状態であると判断したときに、バッテリ温度Tbが低くなるに従って蓄電装置31の充電電力最大値としての発電電動機最大発電出力Pmgg-maxを小さくする最大充電電力演算部52(充電電力最大値
調整部)をさらに有し、出力指令演算部80は、充電電力が発電電動機最大発電出力Pmgg-maxを超えないように、発電電動機27を制御する。
【0146】
具体的には、最大充電電力演算部52は、バッテリ温度Tbが低いときに、電流二乗積算値ISCに拘らず、発電電動機27の発電出力を制限する。これにより、電流二乗積算値ISCの増加を抑えることができる。
【0147】
これに加え、HCU37は、バッテリ温度Tbが低いときには、電流二乗積算値ISCに拘らず、発電電動機27の発電出力を力行出力に対して優先的に制限する最大電力演算部50を備えている。即ち、低温領域では、最大放電電力Pd-max(発電電動機最大力行出力Pmgm-max)よりも最大充電電力Pc-max(発電電動機最大発電出力
Pmgg-max)の方が絶対値が小さくなっている。これにより、車体速度の低減量を最低限にしつつ、電流二乗積算値ISCの増加を抑えることができる。また、発電電動機27の力行作用を優先することになるので、急峻な油圧負荷の変動に耐え易くなっている。
【0148】
HCU37は、バッテリ温度センサ33によって検出したバッテリ温度Tbによって蓄電装置31が低温状態であると判断したときに、バッテリ温度Tbが低くなるに従って蓄電装置31の放電電力最大値としての発電電動機最大力行出力Pmgm-maxを小さくする最大放電電力演算部51(放電電力最大値
調整部)をさらに有し、出力指令演算部80は、エンジン最大出力Pe-maxと発電電動機最大力行出力Pmgm-maxとの和である最大出力加算値から、バッテリ低温減少出力PbLと作動油低温減少出力PoLとの和である減少出力加算値を減算した値を超えないように、発電電動機27を制御する。
【0149】
具体的には、最大放電電力演算部51は、バッテリ温度Tbが低いときに、電流二乗積算値ISCに拘らず、発電電動機27の力行出力を制限する。このとき、出力指令演算部80は、バッテリ温度Tbに応じて低下した発電電動機最大力行出力Pmgm-maxに基づいて、システムが出力可能なパワーである最大出力加算値を低下させる。これに加え、出力指令演算部80は、この低下したパワーからバッテリ低温減少出力PbLと作動油低温減少出力PoLとの和である減少出力加算値を減算した値を超えないように、発電電動機27を制御する。これにより、電流二乗積算値ISCの増加を抑えることができる。
【0150】
また、HCU37は、蓄電装置31の現在から過去一定時間Tの電流二乗積算値ISCを算出する電流二乗積算値算出部41と、電流二乗積算値ISCに応じた電流二乗積算比率Riscが予め決められた適正基準値Rm1を超えた場合に、超えた量が大きくなるに従ってバッテリ低温減少出力PbLを大きくする第1の車体速度低減量調整部91とをさらに有している。
【0151】
即ち、HCU37は、バッテリ温度Tbの低下に応じて車体速度が低減されている状態で、蓄電装置31の電流二乗積算値ISCが大きくなってしまった場合には、車体速度をさらに低下させる制御を行う。これにより、予期しない動作により電流二乗積算値ISCが大きくなってしまった場合でも、さらなる電流二乗積算値ISCの増加を防ぐことができる。
【0152】
HCU37は、電流二乗積算比率Riscが適正基準値Rg1よりも大きな値である上限値Rg2を超えた場合に、蓄電装置31の充電電力最大値である発電電動機最大発電出力Pmgg-maxをさらに小さくする充電電力最大値低減部93をさらに有している。このとき、HCU37は、バッテリ温度Tbの低下に応じて、発電電動機27による発電が制限されている状態で、蓄電装置31の電流二乗積算値ISCが大きくなってしまった場合、発電電動機27の発電をさらに低下させる制御を行う。これにより、予期しない動作により電流二乗積算値ISCが大きくなってしまった場合で、電流二乗積算値ISCの過度な増加を防ぐことができ、蓄電装置31の劣化を抑制することができる。
【0153】
さらに、HCU37は、電流二乗積算比率Riscが予め決められた適正基準値Rm1よりも大きな値である上限値Rm2を超えた場合に、蓄電装置31の放電電力最大値である発電電動機最大力行出力Pmgm-maxをさらに小さくする放電電力最大値低減部92をさらに有している。このとき、HCU37は、バッテリ温度Tbまたは作動油温度Toの低下に応じて車体速度が低減されている状態で、蓄電装置31の電流二乗積算値ISCがさらに大きくなってしまった場合に、発電電動機27の力行を制限する制御を行う。これにより、予期しない動作により電流二乗積算値ISCが大きくなってしまった場合でも、電流二乗積算値ISCの過度な増加を防ぐことができ、蓄電装置31の劣化に対する抑制効果を向上させることができる。
【0154】
なお、前記実施の形態では、エンジン20の最大出力を油圧ポンプ22の最大動力よりも小さくしたが、エンジン20の最大出力は、油圧ショベル1の仕様等に応じて適宜設定される。このため、エンジン20の最大出力は、油圧ポンプ22の最大動力と同程度でもよく、油圧ポンプ22の最大動力よりも大きくてもよい。
【0155】
前記実施の形態では、蓄電装置31にリチウムイオンバッテリを使用した例で説明したが、必要な電力を供給可能な二次電池(例えばニッケルカドミウムバッテリ、ニッケル水素バッテリ)を採用してもよい。また、蓄電装置と直流母線との間にDC−DCコンバータ等の昇降圧装置を設けてもよい。
【0156】
前記実施の形態では、ハイブリッド建設機械としてクローラ式のハイブリッド油圧ショベル1を例に挙げて説明した。本発明はこれに限らず、エンジンと油圧ポンプに連結された発電電動機と、蓄電装置とを備えたハイブリッド建設機械であればよく、例えばホイール式のハイブリッド油圧ショベル、ハイブリッドホイールローダ等の各種の建設機械に適用可能である。