特許第6618487号(P6618487)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6618487センサ挿入装置セット及びベースプレート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6618487
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】センサ挿入装置セット及びベースプレート
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1459 20060101AFI20191202BHJP
【FI】
   A61B5/1459
【請求項の数】6
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-571494(P2016-571494)
(86)(22)【出願日】2015年10月1日
(86)【国際出願番号】JP2015005016
(87)【国際公開番号】WO2016120920
(87)【国際公開日】20160804
【審査請求日】2018年9月6日
(31)【優先権主張番号】特願2015-13734(P2015-13734)
(32)【優先日】2015年1月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(72)【発明者】
【氏名】坪内 猛
(72)【発明者】
【氏名】有田 栄次
(72)【発明者】
【氏名】桃木 秀幸
【審査官】 清水 裕勝
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0267811(US,A1)
【文献】 特表2014−529481(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/162383(WO,A1)
【文献】 特表2008−506468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/145−5/1495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報を検出可能なセンサと共に生体内に挿入され、前記センサの先端側を生体内に留置した後に生体外へと抜去される針部材を備えるセンサ挿入装置と、
前記センサ挿入装置の一端側に取り外し可能に装着されたベースプレートと、を備え、
前記センサ挿入装置は、前記ベースプレートに対して相対的に回動させることによって、前記ベースプレートから取り外し可能であり、
前記ベースプレートは、前記センサ挿入装置を前記ベースプレートから取り外す動作に連動して、前記針部材の抜去後に前記センサの生体外に延在する基端側を挟み込むように移動するクランプ部を備えることを特徴とするセンサ挿入装置セット。
【請求項2】
前記クランプ部は、前記センサの前記基端側を挟み込む一対の板バネ部を備え、
前記センサ挿入装置は、前記回動させる動作に連動して、前記一対の板バネ部との係合関係を変化させて、前記一対の板バネ部の弾性変形量を変化させることが可能なカム部を備えることを特徴とする、請求項1に記載のセンサ挿入装置セット。
【請求項3】
前記一対の板バネ部は、第1板バネと、前記第1板バネと対向して配置され、前記第1板バネよりもばね定数の大きい第2板バネと、を備え、
前記ベースプレートは、前記センサ挿入装置から取り外される際に、前記第2板バネの位置を規制する位置規制部を備えることを特徴とする、請求項2に記載のセンサ挿入装置セット。
【請求項4】
前記ベースプレートのうち生体表面と対向する面には、生体表面と粘着する粘着部が設けられていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1つに記載のセンサ挿入装置セット。
【請求項5】
前記センサは、生体内に留置され、生体情報を検出可能な検出部と、前記検出部が先端部に装着され、生体内外に跨って留置される光ファイバと、を備えることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1つに記載のセンサ挿入装置セット。
【請求項6】
生体情報を検出可能なセンサと共に生体内に挿入され、前記センサの先端側を生体内に留置した後に生体外へと抜去される針部材を収容するセンサ挿入装置に対して、着脱可能に装着されるベースプレートであって、
前記センサ挿入装置に装着されている状態から前記センサ挿入装置に対して相対的に回動させる動作に連動して、前記針部材の抜去後に前記センサの生体外に延在する基端側を挟み込むように移動するクランプ部を備えることを特徴とするベースプレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者等の生体の生体情報を検出するセンサを生体内に挿入するセンサ挿入装置とベースプレートとを備えるセンサ挿入装置セット及びベースプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、患者などの被測定者の体内にセンサを挿入あるいは埋め込み、患者の血液又は体液中のアナライト(例えば、グルコースやpH、コレステロール、たんぱく質等)を該センサによって検出することが行われている。この場合、患者の皮膚を貫通してセンサを迅速且つ容易に配置するためにセンサ挿入装置が使用される(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された検体測定システム(センサ挿入装置セット)は、アプリケータ(センサ挿入装置)と、生体表面側にセンサと共に留置される取付けユニットと、を備えている。また、特許文献1のアプリケータは、センサとともに挿入される挿入針と、該センサ及び挿入針を移動させて穿刺させるプランジャサブアッセンブリ(移動機構)と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−224381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、生体内にセンサを留置した後に、被測定者の体動等によって、センサが生体外へ抜去される方向に移動してしまうことがあり、かかる場合には、正確な生体情報を検出できなくなるおそれがある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、生体内に留置されたセンサが体動によっても抜去方向に移動し難くすることが可能なセンサ挿入装置セット及びベースプレートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様としてのセンサ挿入装置セットは、生体情報を検出可能なセンサと共に生体内に挿入され、前記センサの先端側を生体内に留置した後に生体外へと抜去される針部材を備えるセンサ挿入装置と、前記センサ挿入装置の一端側に取り外し可能に装着されたベースプレートと、を備え、前記ベースプレートは、前記センサ挿入装置を前記ベースプレートから取り外す動作に連動して、前記針部材の抜去後に前記センサの生体外に延在する基端側を挟み込むように移動するクランプ部を備えることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の1つの実施形態として、前記クランプ部は、前記センサの前記基端側を挟み込む一対の板バネ部を備え、前記センサ挿入装置は、前記ベースプレートに対して相対的に回動させることによって、前記ベースプレートから取り外し可能であり、前記回動させる動作に連動して、前記一対の板バネ部との係合関係を変化させて、前記一対の板バネ部の弾性変形量を変化させることが可能なカム部を備えることが好ましい。
【0009】
本発明の1つの実施形態として、前記一対の板バネ部は、第1板バネと、前記第1板バネと対向して配置され、前記第1板バネよりもばね定数の大きい第2板バネと、を備え、前記ベースプレートは、前記センサ挿入装置から取り外される際に、前記第2板バネの位置を規制する位置規制部を備えることが好ましい。
【0010】
本発明の1つの実施形態として、前記ベースプレートのうち生体表面と対向する面には、生体表面と粘着する粘着部が設けられていることが好ましい。
【0011】
本発明の1つの実施形態として、前記センサは、生体内に留置され、生体情報を検出可能な検出部と、前記検出部が先端部に装着され、生体内外に跨って留置される光ファイバと、を備えることが好ましい。
【0012】
本発明の第2の態様としてのベースプレートは、生体情報を検出可能なセンサと共に生体内に挿入され、前記センサの先端側を生体内に留置した後に生体外へと抜去される針部材を収容するセンサ挿入装置に対して、着脱可能に装着されるベースプレートであって、前記センサ装置に装着されている状態から前記センサ装置に対して相対的に回動させる動作に連動して、前記針部材の抜去後に前記センサの生体外に延在する基端側を挟み込むように移動するクランプ部を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、生体内に留置されたセンサが体動によっても抜去方向に移動し難くすることが可能なセンサ挿入装置セット及びベースプレートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態としてのセンサ挿入装置セットを示す断面図であり、センサ及び針部材を生体内に挿入する前の状態を示す図である。
図2図1に示す状態から、センサ及び針部材を生体内に挿入可能な位置まで移動させた状態を示す図である。
図3図2に示す状態から、針部材を生体外へ抜去可能な位置まで移動させた状態を示す図である。
図4図1に示すセンサ挿入装置セットの斜視図である。
図5図2に示すセンサ挿入装置セットの断面図のうち、センサ及び針部近傍を拡大した拡大断面図である。
図6図3に示すセンサ挿入装置セットの断面図のうち、センサ及び針部近傍を拡大した拡大断面図である。
図7図3に示す状態から、センサ挿入装置と、本発明の一実施形態としてのベースプレートとを分離した状態を示す図である。
図8図7に示すセンサ及びベースプレートの斜視図である。
図9図8に示すベースプレートの分解斜視図である。
図10】センサ挿入装置に装着されている状態でのベースプレートの上面を示す図である。
図11】センサ挿入装置から取り外し可能な状態でのベースプレートの上面を示す図である。
図12図11に示すベースプレートの中央部を拡大して描いた拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るセンサ挿入装置セット及びベースプレートの実施形態について、図1図12を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0016】
図1図3は、本発明に係るセンサ挿入装置セットの1つの実施形態としてのセンサ挿入装置セット100の構成を示す断面図である。また、図4は、センサ挿入装置セット100の斜視図である。このセンサ挿入装置100は、センサ挿入装置1と、このセンサ挿入装置1の一端側に取り外し可能に装着された、本発明に係るベースプレートの1つの実施形態としてのベースプレート2と、を備えるものである。
【0017】
センサ挿入装置セット100は、ベースプレート2を生体表面上に載置した状態又は押しつけた状態で、センサ挿入装置1を操作することにより、センサ50を、ベースプレート2の下面(図1図4における下側の面)から生体内へと挿入するものである。
【0018】
<センサ挿入装置セット100>
<センサ挿入装置1>
まず、センサ挿入装置セット100におけるセンサ挿入装置1について説明する。図1図4に示すように、本実施形態におけるセンサ挿入装置1は、体液から生体情報を検出可能なセンサ50を生体内に挿入するものである。具体的に、センサ挿入装置1は、ハウジング3と、針部材4と、第1付勢部材5と、第2付勢部材6と、可動部材7と、操作部材8と、を備えている。
【0019】
ここで、図1及び図4は、センサ50及び針部材4を生体内に挿入する前の状態にあるセンサ挿入装置1及びセンサ挿入装置セット100を示す図であり、図2は、センサ50及び針部材4を生体内に挿入可能な位置まで移動させた状態にあるセンサ挿入装置1及びセンサ挿入装置セット100を示す図である。また、図3は、センサ50を生体内に留置した後、針部材4を生体内から抜去可能な位置まで移動させた状態にあるセンサ挿入装置1及びセンサ挿入装置セット100を示す図である。
【0020】
以下、本実施形態におけるセンサ挿入装置1の各部材及び各部材により構成される特徴部の詳細について説明する。
【0021】
[ハウジング3]
図1図4に示すように、ハウジング3は、略円柱状の中空部を区画する筒部3aと、この筒部3aの一端側(図1図4においては下側)に設けられた底板部3bと、筒部3aの他端側(図1図4においては上側)に設けられた天板部3cと、を備えている。底板部3bは、筒部3aが区画する中空部の一端側に位置し、針部材4の後述する針部11が移動可能な貫通孔9が形成されている。また、天板部3cは、筒部3aが区画する中空部の他端側に位置し、可動部材7が移動可能な貫通孔10が形成されている。
【0022】
ハウジング3の底板部3bは、後述する可動部材7の円筒状の筒部7a内に嵌り込み、後述する変形部7cと係合して変形部7cを径方向外側に変形させる係止解除部としての係合部60を備えている。より具体的に、本実施形態の係合部60とは、底板部3bの上面に形成された円柱状の突出部60aである。
【0023】
また、ハウジング3の底板部3bは、ベースプレート2に対して相対的に回動させる動作に連動して、後述するベースプレート2の一対の板バネ部32との係合関係を変化させて、一対の板バネ部32の弾性変形量を変化させることが可能なカム部61を備えている。より具体的に、本実施形態のカム部61は、底板部3bの下面に形成された楕円柱状の突出部61aである。
【0024】
なお、本実施形態のハウジング3の筒部3a及び天板部3cは、筒状のハウジング本体により構成されており、本実施形態の底板部3bは、ハウジング本体に取り付けられ固定される底板部材により構成されている。ハウジング3を構成するハウジング本体及び底板部材の材料としては、例えば樹脂材料が挙げられる。この樹脂材料としては、例えば、ABS樹脂、AS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、熱可塑性ポリウレタン、ポリメチレンメタクリレート、ポリオキシエチレン、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、アセタール樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート等の射出成形で用いられる熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。
【0025】
[針部材4]
図1図4に示すように、針部材4は、センサ50と共に生体内に挿入される針部11と、この針部11の基端側に位置し、後述する第2付勢部材6としての戻しバネ6aと接続される接続部12と、後述する可動部材7の係止部としての突起部18に係止される被係止部13と、を備えており、針部11の挿入方向A及び針部11が生体内から抜去される抜去方向Bにおいてハウジング3内を移動可能である。
【0026】
ここで、針部11の挿入方向Aとは、針部11の延在方向のうち針部11の基端から先端に向かう方向を意味し、図1図4においては下方である。一方、針部11の抜去方向Bとは、針部11の延在方向のうち針部11の先端から基端に向かう方向を意味し、図1図4においては上方である。なお、針部11の延在方向とは、本実施形態では針部11の中心軸線方向と同じ方向である。また、以下、挿入方向Aを単に「下」、抜去方向Bを単に「上」と表記することがあるが、ここで定義したとおりの意味である。
【0027】
本実施形態の針部11は、中空部を区画する円筒状の外形を有しており、中空部にセンサ50を収容することができる。針部11は、センサ50を中空部内に収容した状態で生体内へと挿入され、生体内にセンサ50を留置した後に、生体外へと抜去される。なお、本実施形態の針部11は、中空円筒針で構成されている。
【0028】
針部11を構成する中空円筒針の材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金等の金属材料を用いることができる。また、針部11の先端には、鋭利な刃先が形成されている。
【0029】
本実施形態の接続部12は貫通孔14が形成された略円筒状の形状を有しており、その外面には第2付勢部材6としての戻しバネ6aが係止される螺旋溝が形成されている。
【0030】
本実施形態の被係止部13は、円筒状の接続部12の下側端部から径方向外側に向かって突出するフランジ部であり、このフランジ部の外縁部が、可動部材7の係止部としての突起部18と係合して引っ掛かかることにより、針部材4が可動部材7に対して係止される。この詳細は後述する。
【0031】
なお、本実施形態の接続部12及び被係止部13は、針部11を構成する中空円筒針が固定され、中空円筒針を支持する針支持部材により構成されている。具体的に、針支持部材と中空円筒針とは、接続部12の貫通孔14を区画する内周面が中空円筒針の基端部の外周面と密着するように嵌合されており、これにより、中空円筒針が針支持部材に固定されている。
【0032】
但し、針部材としては、本実施形態の針部材4のように中空円筒針及び針支持部材により構成されているものに限られず、例えば、針部、接続部及び被係止部を単一の部材により一体で成形することも可能である。更に、針部、接続部及び被係止部を、3つ以上の部材により構成するようにしてもよい。
【0033】
接続部12及び被係止部13を構成する針支持部材の材料としては、上述したハウジング3に用いることが可能な樹脂材料や、上述した針部11に用いることができる金属材料などを使用することが可能である。
【0034】
[第1付勢部材5及び第2付勢部材6]
第1付勢部材5は、針部材4を挿入方向Aに付勢して、針部材4を、針部11が生体内へ挿入可能な第1の位置(図2参照)まで移動させることができる。また、第2付勢部材6は、針部材4を抜去方向Bに付勢して、針部材4を、第1の位置(図2参照)に到達した針部11が生体内から抜去可能な第2の位置(図3参照)まで移動させることができる。
【0035】
なお、本実施形態の第1付勢部材5及び第2付勢部材6はいずれも弾性部材であり(以下、第1付勢部材5としての弾性部材を「第1弾性部材」と記載し、第2付勢部材6としての弾性部材を「第2弾性部材」と記載する。)、本実施形態では、第1弾性部材及び第2弾性部材としてバネを用いている。以下、第1弾性部材としてのバネを、単に「発射バネ5a」と記載し、第2弾性部材としてのバネを、単に「戻しバネ6a」と記載する。更に、本実施形態では、発射バネ5a及び戻しバネ6aとしてコイルバネを用いている。
【0036】
ここで、本実施形態の第1付勢部材5としての第1弾性部材と第2付勢部材6としての第2弾性部材は、挿入方向A(又は抜去方向B)において直列に配置されており、針部材4の挿入方向Aへの移動(図1及び図2参照)は、第2付勢部材6の付勢力(本実施形態では第2弾性部材としての戻しバネ6aの弾性力(復元力))が関与することなく、第1付勢部材5の付勢力(本実施形態では第1弾性部材としての発射バネ5aの弾性力(復元力))により行われる。また、針部材4の抜去方向Bへの移動(図2及び図3参照)は、第1付勢部材5の付勢力が関与することなく、第2付勢部材6の付勢力により行われる。本実施形態のセンサ挿入装置1は、このような動作を実現するために、切り替え機構を備えている。切り替え機構については後述する。
【0037】
[可動部材7]
可動部材7は、第1付勢部材5の付勢力(本実施形態では圧縮変形された発射バネ5aの弾性力)により、ハウジング3内を挿入方向Aに移動可能である。具体的に、可動部材7は、発射バネ5aを所定長さまで圧縮変形した状態でハウジング3と係合し、ハウジング3に対する可動部材7の位置を維持可能とする係止部としての係止爪部15と、第1付勢部材5としての発射バネ5aと当接して、挿入方向Aへと押圧される受け部16と、を備えている。
【0038】
図1図3に示すように、可動部材7とハウジング3の天板部3cとの間には発射バネ5aが配置されており、可動部材7を、発射バネ5aの弾性力に抗してハウジング3内を抜去方向Bに移動させることにより、発射バネ5aを圧縮変形させることができる。そして、可動部材7とハウジング3との間で発射バネ5aを圧縮変形させた状態で、係止爪部15の爪21をハウジング3の天板部3cに係合することにより、可動部材7をハウジング3に対して係止することができる(図1参照)。つまり、可動部材7は、第1付勢部材5が可動部材7を挿入方向Aに移動させるエネルギー(本実施形態では圧縮変形された発射バネ5aの復元力エネルギー)を保持した状態で、係止爪部15によりハウジング3に対して係止される。このような構造を有することで、製造時に予め発射バネを圧縮変形させておくことが可能となる。すなわち、患者または医療従事者が発射バネ5aをチャージする手間を省くことが可能となる。
【0039】
その後、操作部材8の後述する押し板部23を操作することにより、ハウジング3と可動部材7の係止爪部15との係合が解除され、可動部材7は、発射バネ5aが受け部16を押圧する弾性力により、ハウジング3内を挿入方向Aに移動する。
【0040】
また、可動部材7には、第2付勢部材6としての戻しバネ6aを介して針部材4が連結されており、可動部材7は、所定長さまで伸び変形させた戻しバネ6aの弾性力が針部材4に作用した状態を維持したまま、発射バネ5aの弾性力により、ハウジング3内を挿入方向Aに移動することができる。具体的に、可動部材7は、戻しバネ6aの上側の端部と接続される接続部17と、戻しバネ6aを所定長さまで伸び変形させた状態で、戻しバネ6aの下側の端部に接続された針部材4を係止可能な係止部としての突起部18と、を備えている。
【0041】
つまり、戻しバネ6aは、針部材4の接続部12と可動部材7の接続部17とに接続されており、ハウジング3に接続されていない。したがって、可動部材7は、戻しバネ6aを所定長さまで伸び変形させた状態を突起部18により維持したまま、発射バネ5aの弾性力によって挿入方向Aへと移動することができる。
【0042】
更に、本実施形態では、可動部材7が第1付勢部材5の付勢力(本実施形態では発射バネ5aの弾性力)により挿入方向Aに移動し、針部材4が第1の位置(図2参照)に到達した際に、突起部18による針部材4の係止状態は、ハウジング3の係止解除部としての係合部60により解除される。これにより、針部材4は、第2付勢部材6の付勢力(本実施形態では戻しバネ6aの弾性力)によって、抜去方向Bに移動し、第2の位置(図3参照)まで移動する。
【0043】
また更に、可動部材7は、針部材4の接続部12の貫通孔14を通じて針部11の基端側から、針部11内に挿入された直線状のロッド部19を備えている。このロッド部19は、針部11及び針部11内のセンサ50が生体内に挿入された後、センサ50を生体内に留置した状態で針部11を抜去する際に、針部11内でセンサ50を挿入方向Aへと押圧する。これにより、センサ50が針部11と共に抜去されることを防ぐことができる。
【0044】
以下に、本実施形態の可動部材7についての詳細構成について記載する。本実施形態の可動部材7は、針部材4及び第2付勢部材6としての戻しバネ6aを取り囲む円筒状の筒部7aと、この筒部7aの下側の一端から径方向外側に突設されたフランジ部7bと、筒部7aの挿入方向Aの端部に位置し、筒部7aの周方向Dにおいて切欠き20に挟まれ、筒部7aの径方向外側に弾性変形可能な変形部7cとしての板バネ部と(図4参照)、筒部7aの上側の一端に設けられた天板部7dと、この天板部7dの上面から抜去方向Bに突設された、先端にハウジング3の天板部3cに係合する爪21を有する係止爪部15と、筒部7aの外壁から径方向外側に突設され、発射バネ5aと当接する受け部16と、天板部7dの下方に設けられ、戻しバネ6aを係止する螺旋溝が外面に形成された接続部17と、この接続部17から挿入方向Aに延在し、先端部が針部材4の針部11内に挿入されるロッド部19と、を備えている。
【0045】
なお、上述した係止部としての突起部18は、図1図3に示すように、変形部7cの内壁に形成されており、可動部材7の筒部7aが区画する中空部側へと突出している。そのため、可動部材7の変形部7cは、針部材4が第1の位置(図2参照)に到達した際に、ハウジング3の挿入方向Aの端部に位置する底板部3bに形成された係合部60としての円柱状の突出部60aと係合して、筒部7aの径方向外側に拡がるように弾性変形する。これにより、変形部7cの内壁に形成された突起部18も径方向外側に移動し、可動部材7の係止部としての突起部18と、針部材4の被係止部13としてのフランジ部との係止状態が解除され、針部材4は、戻しバネ6aの弾性力により、筒部7a内を抜去方向Bへと移動する(図3参照)。
【0046】
ここで、ハウジング3の円柱状の突出部60aの外径は、可動部材7の筒部7aの内径と略等しく形成されており、変形部7cの内壁には、突出部60aが筒部7a内に嵌り込む際に、突出部60aの外壁と摺動しながら、突出部60aから受ける抜去方向Bの押圧力を筒部7aの径方向外側の押圧力に変換する突起22が形成されている。具体的に、突起22の下面22aは、抜去方向Bに進むにつれて筒部7aの中心軸線O(本実施形態では針部11の中心軸線と同じ)に近づくように、中心軸線Oに対して傾斜しており、突出部60aの外周面が、この突起22における下面22aと摺動しながら、変形部7cとしての板バネ部を径方向外側に弾性変形させる(図2等参照)。
【0047】
なお、発射バネ5aの弾性力による可動部材7の移動は、可動部材7のフランジ部7b及び受け部16の外周面がハウジング3の筒部3aの内周面と摺動することにより、挿入方向Aへと案内されるように構成されている。また、ロッド部19は、図1図3に示すように、周囲を戻しバネ6aに囲まれた状態で、接続部17から挿入方向Aに延在しており、その先端部は、針部材4の接続部12内を通じて針部11内にまで至っている。
【0048】
本実施形態の可動部材7における筒部7a、フランジ部7b、変形部7c、天板部7d、係止爪部15、及び受け部16は、一体成形された単一の筒体により構成されている。また、本実施形態の可動部材7における接続部17は、筒体の天板部7dにボルトやねじ等の締結手段により締結される接続部材により構成されている。更に、本実施形態の可動部材7におけるロッド部19は、接続部17を構成する接続部材に基端部が固定されるロッド部材により構成されている。なお、本実施形態では、接続部17を構成する接続部材が、外周面に戻しバネ6aを係止可能な螺旋溝が形成された筒部を有しており、ロッド部19を構成するロッド部材の基端部は、接続部材の筒部内に挿入された状態で接続部材に対して固定されている。
【0049】
但し、可動部材における上述した部位は、本実施形態のように筒体、接続部材及びロッド部材により構成されるものに限られるものではなく、例えば、上述した可動部材における全部分を1又は2部材により構成することや、4部材以上により構成することも可能である。
【0050】
この一例として、上述した筒体を、筒部7aの周方向において均等に3分割された樹脂製の成型品パーツを接着や溶着等の接合手段を用いて接合することにより形成することができる。このような製法とすることにより、金型が複雑化することを抑制することができる。
【0051】
なお、本実施形態の可動部材7では、3つの係止爪部15が設けられているが、この数に限られるものではなく、1つ又は2つとしてもよく、4つ以上としてもよい。更に、係止爪部15の形状や位置についても、本実施形態の構成に限定されるものではなく、適宜変更することが可能である。更に、変形部7cとしての板バネ部の数、位置、形状についても、本実施形態の構成に限られるものではなく、変形部を変形させる係合部の数、位置、形状等に応じて適宜変更することが可能である。
【0052】
また、本実施形態の可動部材7を構成する筒体、接続部材及びロッド部材の材料としては、上述したハウジング3に用いることが可能な樹脂材料や、上述した針部11に用いることが可能な金属材料などを使用することができる。但し、筒体については、上述したハウジング3に使用可能な樹脂材料で成形することが好ましく、接続部材及びロッド部材については、上述した針部11に使用可能な金属材料で成形することが好ましい。
【0053】
[操作部材8]
図1図4に示すように、本実施形態の操作部材8は、患者や医療従事者等の使用者が操作する円形板状の押し板部23と、この押し板部23の下面に形成され、ハウジング3の天板部3cの貫通孔10を通じてハウジング3内に挿入され、天板部3cの下面に係合する爪24を先端部に備える突起部25と、押し板部23の下面に形成され、可動部材7の係止爪部15を押圧して変形させて可動部材7のハウジング3に対する係止状態を解除可能な係止解除部としての押圧部26と、を備えている。
【0054】
突起部25の爪24は、操作部材8が抜去方向Bに抜け落ちないように、ハウジング3の天板部3cの下面と係合可能であり、これにより操作部材8の抜け落ちが抑制される。
【0055】
押圧部26は、挿入方向Aに進むにつれて可動部材7の筒部7aの中心軸線Oに近づくように、中心軸線Oに対して傾斜するテーパー部27を有している。押し板部23を挿入方向Aに押し下げると、天板部3cの貫通孔10を通じて、押し板部23と共に挿入方向Aに移動する。この際、押圧部26のテーパー部27が、可動部材7の係止爪部15を筒部7aの径方向外側に押圧する。これにより、係止爪部15は径方向外側に変形し、ハウジング3の天板部3cとの係合が解除され、その結果、可動部材7のハウジング3に対する係止状態が解除される。
【0056】
なお、本実施形態の操作部材8の材料としては、上述したハウジング3に用いることが可能な樹脂材料を用いることが可能である。
【0057】
[センサ挿入装置1に装着されるセンサ50]
図5は、図2に示すセンサ挿入装置セット100のうち、針部11及びセンサ50近傍を拡大した拡大断面図であり、図6は、図3に示すセンサ挿入装置セット100のうち、針部11及びセンサ50近傍を拡大した拡大断面図である。
【0058】
図5に示すように、センサ50は、中空円筒針で構成された針部11の中空部に収容された状態で、ベースプレート2の挿入孔70を通じて下方に突き出る。そのため、図1に示す状態にあるセンサ挿入装置セット100のベースプレート2の下面を生体表面(皮膚)上に載置又は押しつけ、その状態からセンサ挿入装置1を操作して上述した発射バネ5aを発動させることにより、センサ50及び針部11を生体内へと挿入することができる(図2及び図5参照)。なお、図2及び図5は、針部材4が第1の位置にある状態を示している。また、本実施形態におけるベースプレート2の挿入孔70には、針部11の穿通及び抜去が可能なセプタムとしてのゴム部材71が嵌め込まれている。これにより、ベースプレート2の上面側から、ベースプレート2の挿入孔70及び針部11の挿入により生体表面に形成された刺し傷を通じて、生体内へと雑菌等が進入し感染症を引き起こすリスクをより低減することができる。
【0059】
なお、センサ50は、生体内に留置され、生体情報を検出可能な検出部(不図示)と、この検出部が先端に装着され、生体内外に跨って留置される光ファイバ51と、を備えており、検出部及び光ファイバ51の両方が、針部11の中空部に収容された状態で、針部11が生体内へ挿入される。
【0060】
そして、針部材4は、図5に示す状態から後述する切り替え機構の働きによって、戻しバネ6aの弾性力による抜去方向Bへの移動を開始する。但し、図6に示すように、針部11は抜去方向Bに移動するが、ロッド部19がセンサ50を押圧することにより、センサ50は抜去方向Bに移動しない。そのため、センサ50を生体内の所定の深さへ留置することが可能となる。
【0061】
更に、センサ挿入装置セット100によりセンサ50を留置し、針部11を抜去した後は、センサ50と共にベースプレート2を生体側に留置した状態で、センサ挿入装置1を取り外す。これにより、留置されたセンサ50の光ファイバ51のうち、生体外に延在する基端側には、検出部に励起光を照射する照射部およびアナライトの量に応じて検出部から得られた蛍光を受光する受光部を備えた光学検出部、光学検出部と光学検出部から得られた信号を処理する処理部からなる処理装置とを接続することが可能となる。したがって、光ファイバ51は、検出部で検出した生体情報を、処理装置に伝送する伝送路を構成している。なお、処理装置は、生体情報を記憶するメモリ、生体情報を外部装置に送信する送信器、生体情報を表示する表示モニタなど、目的や使用用途に応じて適宜設計することができる。
【0062】
なお、図1図3に示す本実施形態のセンサ挿入装置1では、センサ50が針部材4の針部11内に位置する状態を示しているが、本実施形態におけるセンサ50は、センサ挿入装置1の構成要素ではなく、センサ挿入装置1に対して着脱可能に取り付けられる1度のみ使用可能な使い捨て品である。但し、センサをセンサ挿入装置の一構成要素として、センサを含むセンサ挿入装置全体を使い捨て品として構成することも可能である。更に、本実施形態における針部材4は、センサ挿入装置1に対して着脱できない構成であるが、針部材をセンサ挿入装置に対して着脱可能にし、使い捨てできる着脱ユニットとすることも可能である。
【0063】
また、本実施形態では、センサ50として光ファイバを備えるものを用いているが、生体内に留置される検出部に接続され、生体外まで延在するリード線と、リード線の基端部に設けられた処理装置との電気接続部と、を備えるセンサを用いてもよい。但し、本実施形態のように光ファイバ51を備えるセンサ50を用いれば、上述した電気接続部を設ける必要がないため、針部材4の針部11として、中空部を区画する筒状の外形を有するものを使用することができる。このような筒状の外形を有する針部11は、電気接続部を針部の外側に延在させるために隙間が形成された、横断面をU字形状のU字針と比較して、製造が容易であるため、本実施形態のような横断面が円形の針部を採用できることは有益である。
【0064】
[切り替え機構]
本実施形態のセンサ挿入装置1は、針部材4が第1の位置(図2参照)に到達した際に、第1付勢部材5の付勢力(本実施形態では圧縮変形させた発射バネ5aの復元力)による針部材4の挿入方向Aへの移動から、第2付勢部材6の付勢力(本実施形態では伸び変形させた戻しバネ6aの復元力)による針部材4の抜去方向Bへの移動へと択一的に切り替え可能な切り替え機構を備えている。
【0065】
ここで、択一的な切り替えとは、針部材4の挿入時における第1の位置までの移動と、針部材4の抜去時における第2の位置までの移動とが、別の付勢部材の影響下で行われるように切り替えることを意味し、本実施形態では、戻しバネ6aの復元力が影響せずに発射バネ5aの復元力の影響下で行われる針部材4の挿入時の移動と、発射バネ5aの復元力が影響せずに戻しバネ6aの復元力の影響下で行われる針部材4の抜去時の移動と、を切り替えることを意味する。
【0066】
具体的に、本実施形態の切り替え機構は、可動部材7の係止部としての突起部18及びハウジング3の係止解除部としての係合部である円柱状の突出部60aにより構成されている。
【0067】
上述したように、可動部材7の係止部としての突起部18は、伸び変形させた戻しバネ6aの弾性力(復元力)が針部材4に作用した状態を維持して針部材4を係止するものであり、変形部7cの内壁に形成されている。また、ハウジング3の係止解除部としての突出部60aは、針部材4が第1の位置(図2参照)に到達した際に、可動部材7の係止部としての突起部18による針部材4の係止状態を解除するものであり、この突出部60aは、底板部3bに形成されており、針部材4が第1の位置に到達した際に、変形部7cの突起22と係合して変形部7cを径方向外側に変形させる。これにより、針部材4は、可動部材7をハウジング3内で移動させることなく、戻しバネ6aの復元力により抜去方向Bに移動し、可動部材7内、具体的には可動部材7の筒部7a内に格納される。換言すれば、針部材4は、戻しバネ6aの復元力により第2の位置(図3参照)まで移動する。
【0068】
本実施形態のセンサ挿入装置1は、使用者が操作部材8の押し板部23を押し下げる動作をするだけで、第1付勢部材5としての発射バネ5aの付勢力によるセンサ50及び針部11の生体内への挿入と、第2付勢部材6としての戻しバネ6aの付勢力による針部11の生体外への抜去と、を手動による操作を介在させることなく連動して自動的に行うことができ、針部11が生体内にある時間を短縮することができる。そのため、センサ50が留置される被測定者が、針部11の挿入から抜去に至る間に感じる痛みを軽減することができる。
【0069】
更に、本実施形態のセンサ挿入装置1は、上述した切り替え機構を備えるため、センサ50及び針部11の挿入時に、第2付勢部材6の付勢力(本実施形態では戻しバネ6aの弾性力)が挿入方向Aの挿入速度を減じるように作用せず、更に、針部11の抜去時に、第1付勢部材5の付勢力(本実施形態では発射バネ5aの弾性力)が抜去方向Bの抜去速度を減じるように作用しない。したがって、本実施形態のような切り替え機構を備えないセンサ挿入装置、つまりは、戻しバネの弾性力が挿入速度を減じるように作用すると共に発射バネの弾性力が抜去速度を減じるように作用するセンサ挿入装置と比較して、本実施形態のセンサ挿入装置1では、センサ50及び針部11の挿入速度及び針部11の抜去速度を速くする構成を実現することが容易になる。
【0070】
<ベースプレート2>
次に、本発明の一実施形態としてのベースプレート2について説明する。上述したように、センサ挿入装置セット100は、上述したセンサ挿入装置1と、このセンサ挿入装置1の一端側に取り外し可能に装着されたベースプレート2と、を備えている。なお、図7は、図3に示す状態から、センサ挿入装置1とベースプレート2とを相対的に回動させて、センサ挿入装置1とベースプレート2とを分離した状態を示している。
【0071】
ベースプレート2は、センサ50を生体内に挿入及び留置する際には、センサ挿入装置1と共に使用され(図1図3等参照)、センサ50を生体内に留置された後は、センサ挿入装置1と分離され、センサ50と共に生体側に留置されるものである(図7参照)。
【0072】
センサ挿入装置1から分離され、生体表面(皮膚)上に留置されたベースプレート2は、センサ50の光ファイバ51の基端部に接続される処理装置を装着可能な、処理装置の支持部材として使用される。
【0073】
換言すれば、ベースプレート2は、生体情報を検出可能なセンサ50と共に生体内に挿入され、センサ50の先端側を生体内に留置した後に生体外へと抜去される針部材11を収容するセンサ挿入装置1に対して、着脱可能に装着されるものである。
【0074】
図8は、生体側に留置された状態にあるセンサ50及びベースプレート2を示す斜視図であり、図9は、ベースプレート2の分解斜視図である。また、図10は、センサ挿入装置1に装着されている状態、すなわち図1図6に示す状態におけるベースプレート2の上面を示す図であり、図11は、センサ挿入装置1から取り外し可能な状態、すなわち図7に示す状態におけるベースプレート2の上面を示す図である。なお、図10及び図11では、説明の便宜上、センサ挿入装置1のハウジング3の底板部3bを構成する底板部材の構成を破線で示している。
【0075】
なお、ベースプレート2がセンサ挿入装置1に装着されている状態とは、ベースプレート2に対してセンサ挿入装置1全体を抜去方向Bに移動しても分離できない状態を意味する。また、ベースプレート2をセンサ挿入装置1から取り外し可能な状態とは、ベースプレート2に対してセンサ挿入装置1を抜去方向Bに移動することにより両者を分離できる状態を意味する。
【0076】
図8図11に示すように、本実施形態のベースプレート2は、センサ50を挟持可能なクランプ部28と、ベースプレート2及びセンサ挿入装置1の装着状態と取り外し可能状態とでセンサ挿入装置1のハウジング3における底板部3bとの係合関係を変化させる連結部29と、クランプ部28の位置を規制する位置規制部30と、生体表面に粘着可能な粘着部31と、を備えている。
【0077】
また、本実施形態のベースプレート2は、円形板状のプレート本体部2aと、このプレート本体部2aの外縁と連続して形成された周壁部2bと、を更に備えており、クランプ部28及び位置規制部30は、プレート本体部2aの上面中央部に設けられており、連結部29は、プレート本体部2aの上面外周部に設けられている。更に、粘着部31は、プレート本体部2aの下面側に設けられている。なお、図9図10に示すように、プレート本体部2aにはセンサ挿入装置1の針部11(図1図7参照)及びセンサ50が通過可能な挿入孔70が形成されており、ベースプレート2は、この挿入孔70を閉塞すると共に、針部11及びセンサ50の穿通及び抜去が可能なセプタムとしてのゴム部材71を更に備えている。
【0078】
クランプ部28は、センサ挿入装置1及びベースプレート2が装着されている状態から、センサ挿入装置1をベースプレート2から取り外す動作に連動して、針部材4の抜去後に生体側に留置されたセンサ50の生体外に延在する基端側を挟み込むように移動する。より具体的に、本実施形態におけるセンサ挿入装置1は、ベースプレート2に対して相対的に回動させることによって、ベースプレート2から取り外し可能であり、本実施形態におけるクランプ部28は、この回動させる動作に連動して、針部材4の抜去後に生体側に留置されたセンサ50の生体外に延在する基端側を挟み込むように移動する。
【0079】
より具体的に、本実施形態のクランプ部28は、プレート本体部2aの厚み方向に直交する直交方向C(ベースプレート2がセンサ挿入装置1に装着されている状態では挿入方向A及び抜去方向Bに直交する方向と同じ方向)への弾性力によりセンサ50の基端側を挟み込む一対の板バネ部32と、この一対の板バネ部32がプレート本体部2aの厚み方向に移動することを規制するバネ押さえ部33と、を備えており、一対の板バネ部32は、センサ挿入装置1とベースプレート2とが装着されている状態(図10参照)と、取り外し可能な位置関係にある状態(図11参照)とで、センサ挿入装置1のカム部61としての楕円柱状の突出部61aの作用により、形状を変化させるように構成されている。換言すれば、センサ挿入装置1及びベースプレート2が装着されている状態から、センサ挿入装置1をベースプレート2から取り外す動作(本実施形態ではセンサ挿入装置1をベースプレート2に対して相対的に回動させる動作)に連動して、カム部61としての突出部61aは、一対の板バネ部32との係合関係を変化させて、一対の板バネ部32の弾性変形量を変化させる。
【0080】
図10に示すように、一対の板バネ部32は、センサ挿入装置1とベースプレート2とが装着されている状態では、カム部61としての楕円柱状の突出部61aにより両者の対向距離Mが離れるように弾性変形した状態となっている。具体的に、一対の板バネ部32は、センサ挿入装置1とベースプレート2とが装着されている状態では、突出部61aの長軸方向に対向する外面により、それぞれが長軸方向両側に遠ざかるように押圧されて、センサ50を挟み込む部分の対向距離Mが拡がるように弾性変形した状態となっている。そのため、センサ挿入装置1とベースプレート2とが装着されている状態(図10参照)では、一対の板バネ部32は、センサ50を挟持していない。
【0081】
したがって、図1図3に示すようなセンサ挿入装置セット100によるセンサ50及び針部11の挿入及びセンサ50の留置動作時には、一対の板バネ部32の対向距離Mは突出部61aにより拡げられた状態が維持されるため、一対の板バネ部32がセンサ50及び針部11に接触しないため、ベースプレート2の挿入孔70を通じた針部11及びセンサ50の挿入動作が、クランプ部28の一対の板バネ部32により阻害されない。
【0082】
これに対して、センサ挿入装置1とベースプレート2とが装着されている状態(図10参照)から、センサ挿入装置1をベースプレート2に対して周方向Dの一方向に回動させると(図10の太線矢印参照)、この動作に連動して、突出部61aもまたベースプレート2に対して同方向(周方向Dの一方向)に回動する。そのため、カム部61としての突出部61aと、一対の板バネ部32との係合関係も、センサ挿入装置1とベースプレート2とが装着されている状態(図10参照)から変化する。
【0083】
具体的に、一対の板バネ部32は、センサ挿入装置1とベースプレート2とが装着されている状態(図10参照)では、突出部61aの長軸方向において対向する外面により押圧されていたが、センサ挿入装置1をベースプレート2に対して周方向Dの一方向に回動させ、ベースプレート2をセンサ挿入装置1に対して取り外し可能な位置に移動させた状態(図11参照)では、突出部61aの外壁と当接しない状態となっている。つまり、一対の板バネ部32は、突出部61aによる押圧から解除され、復元力によって直交方向Cにおいて互いに近づくように移動するため、センサ挿入装置1とベースプレート2とが装着されている状態(図10参照)と比較して、対向距離Mが小さくなる。そして、クランプ部28の一対の板バネ部32は、この復元力によって、生体外に延在するセンサ50の基端側を挟み込むことができる。なお、本実施形態では、センサ50の光ファイバ51が、一対の板バネ部32により挟み込まれる。
【0084】
すなわち、センサ挿入装置セット100によるセンサ50及び針部11の挿入(図1図2参照)、並びに針部11の抜去(図3参照)が完了した後に、センサ50とベースプレート2とをセンサ挿入装置1から分離して生体側へ留置する際に(図7参照)、ベースプレート2のクランプ部28は、センサ挿入装置1からの取り外し動作と連動して、センサ50を挟み込む。これにより、センサ挿入装置1の取り外し後に後述する粘着部31により生体表面上に位置が固定されるベースプレート2が、センサ50のうち生体外に延在する部分を挟持するため、センサ50のうち生体内に留置された部分が被測定者の体動等によって生体外へと抜去されるように移動してしまうことを抑制することができる。
【0085】
より具体的に、本実施形態の一対の板バネ部32は、第1板バネ34と、この第1板バネ34と対向して配置された第2板バネ35と、を備えており、第1板バネ34及び第2板バネ35は、プレート本体部2aの上面に取り付けられている。第1板バネ34は、センサ50を挟み込む際にセンサ50と当接して押圧する当接部36aと、この当接部36aと一体又は連結され、弾性変形することにより当接部36aの直交方向Cにおける位置を変えることができる変形部37aと、この変形部37aの一端をプレート本体部2aに固定する固定部38aと、を備えている。また、第2板バネ35も、第1板バネ34と同様、当接部36b、変形部37b及び固定部38bを備えている。
【0086】
当接部36a及び36bには、センサ50を挟み込む際に、センサ50を受容する凹部39が形成されている。当接部36a及び36bそれぞれの凹部39は、ベースプレート2を上面側から見た場合に(図10図11参照)、略半円形状を有しており、センサ50は、当接部36a及び36bそれぞれの凹部39間に挟み込まれる。なお、上述した対向距離Mは、本実施形態では、ベースプレート2を上面側から見た場合に、当接部36a及び36bそれぞれの半円形状の凹部39の底位置となる点同士を結んだ距離としている(図10図11参照)。
【0087】
図8図11に示すように、変形部37aは、一端が当接部36aと連続し、他端が固定部38aと連続する長尺の板状部材であって、プレート本体部2aの位置決め部47及びねじ40によりプレート本体部2aに固定された固定部38aの位置を支点位置として、当接部36aと連続する一端側が弾性変形することができる。そのため、変形部37aにおける当接部36aと連続する一端側を弾性変形させることにより、当接部36aの直行方向C(図1等参照)の位置を変えることができる。この点は、第2板バネ35の変形部37b及び固定部38bも同様である。
【0088】
バネ押さえ部33は、一対の板バネ部32がプレート本体部2aの厚み方向に移動することを規制するものであり、本実施形態のバネ押さえ部33は矩形板部材により構成されている。また、本実施形態におけるバネ押さえ部33は、第1板バネ34の当接部36a及び第2板バネ35の当接部36bの上方をそれぞれ覆うように、当接部36a及び36bそれぞれの上面と当接させた状態で、プレート本体部2aの上面に対して取り付けられ、固定されている。具体的に、バネ押さえ部33は、プレート本体部2aとの間に当接部36a及び36bが介在した状態で、バネ押さえ部33に形成された固定孔にプレート本体部2aの上面に形成された固定突起46を密着嵌合させることにより、プレート本体部2aに対して固定される(図8図9参照)。
【0089】
なお、本実施形態のプレート本体部2aの上面中央には、一対の板バネ部32及びバネ押さえ部33が収容される収容凹部45が形成されている。
【0090】
連結部29は、ベースプレート2がセンサ挿入装置1と装着されている状態(図10参照)において、センサ挿入装置1のベースプレート2に対する抜去方向Bへの移動を、センサ挿入装置1の底板部3b(図1等参照)と係合することにより規制する。また、連結部29は、ベースプレート2がセンサ挿入装置1から取り外し可能な位置にある状態(図11参照)において、センサ挿入装置1のベースプレート2に対する抜去方向Bへの移動を、センサ挿入装置1の底板部3bと係合しないことにより許容する。
【0091】
具体的に、図8に示すように、本実施形態の連結部29は、プレート本体部2aの上面から上方(ベースプレート2がセンサ挿入装置1に対して装着されている状態では抜去方向Bと同じ方向)に突設された胴部41と、この胴部41と連続して形成され、胴部41の先端から屈曲して直行方向Cに延在する先端部42と、を備えている。
【0092】
胴部41及び先端部42を、底板部3bを構成する底板部材に形成された連結孔43、及び、底板部3bを底板部材と共に構成する、ハウジング本体のフランジ部62の下面に形成され連結孔43と連通する凹部44(図1等参照)、の中を移動させることにより、センサ挿入装置1及びベースプレート2の装着状態と取り外し可能な状態とを切り替えることができる。
【0093】
底板部3b(図1等参照)を構成する底板部材に形成された連結孔43は、底板部材を上面側から見た場合に、周方向Dに長い形状を有しており(図10図11の破線参照)、その周方向Dの一端に、ベースプレート2の着脱の際に胴部41及び先端部42が挿入及び抜去される着脱開口部43aを備えている。着脱開口部43aは、連結孔43の他の部分と比較して幅(図10及び図11における径方向の長さ)が大きくなっている。そして、図10図11に示すように、ベースプレート2を上面側から見た場合の、ベースプレート2の径方向における連結部29の長さ(本実施形態では先端部42の長さと同じ)は、連結孔43の着脱開口部43aの幅よりも小さく、連結孔43の着脱開口部43a以外の部分の幅よりも大きい。
【0094】
また、図1に示すように、フランジ部62に形成された凹部44は、底板部材の連結孔43の上方を覆っており、連結孔43と同様、周方向Dに長い形状を有している。さらに凹部44は、周方向Dの位置によらず、着脱開口部43aと略等しい幅、すなわち、ベースプレート2を上面側から見た場合の、ベースプレート2の径方向における連結部29の長さよりも大きい幅を有している。
【0095】
そのため、分離された状態にあるセンサ挿入装置1及びベースプレート2(図7参照)を連結させる際には、ベースプレート2の連結部29における先端部42を、連結孔43の着脱開口部43aに挿入する。そして、先端部42が凹部44の位置まで到達した後に、ベースプレート2及びセンサ挿入装置1の一方を他方に対して周方向Dに回動させることにより、連結部29の先端部42は凹部44内を、連結部29の胴部41は連結孔43内を、周方向Dに移動する。この回動動作により、連結部29と着脱開口部43aの周方向Dにおける位置がずれる。そのため、ベースプレート2に対してセンサ挿入装置1を抜去方向Bに移動させようとしても、連結部29の先端部41が底板部3bに突き当たって両者が干渉するため、センサ挿入装置1の抜去方向Bへの移動は連結部29により規制される。つまり、この状態が、ベースプレート2がセンサ挿入装置1に装着されている状態である(図10参照)。
【0096】
逆に、センサ挿入装置1とベースプレート2とが装着されている状態(図10参照)から両者を分離する際には、ベースプレート2及びセンサ挿入装置1の一方を他方に対して周方向Dに回動させ、連結部29と着脱開口部43aの周方向Dにおける位置を一致させる。これにより、ベースプレート2に対するセンサ挿入装置1の抜去方向Bへの移動は、連結部29の先端部41が底板部3bに突き当たらず両者が干渉しないため、連結部29により規制されなくなる。つまり、この状態が、ベースプレート2がセンサ挿入装置1から取り外し可能な位置にある状態である(図11参照)。なお、生体内にセンサ50を留置した後にセンサ挿入装置1とベースプレート2とを分離する際には、ベースプレート2を生体表面に押し付けた状態で、センサ挿入装置1をベースプレート2に対して回動させる動作により、センサ挿入装置1をベースプレート2から取り外し可能な位置へと移動させる。したがって、本実施形態のセンサ挿入装置セット100によれば、患者や医療従事者は、ベースプレート2の生体表面への押し付け、センサ挿入装置1のベースプレート2に対しての回動、及びセンサ挿入装置1をベースプレート2から分離するための抜去方向Bへの移動、の一連の動作を、センサ挿入装置1を把持する片手の動作により行うことができる。
【0097】
本実施形態では、センサ挿入装置1及びベースプレート2の一方を他方に対して周方向Dに相対的に回動させて、センサ挿入装置1の着脱開口部43a及びベースプレート2の連結部29の周方向Dにおける位置関係を変化させることにより、センサ挿入装置1及びベースプレート2の装着状態(図10参照)と取り外し可能状態(図11参照)とを切り替えることができる。また、上述したように、この切り替えに連動して、一対の板バネ部32とカム部61(本実施形態では突出部61a)との係合関係が変化するため、センサ挿入装置1及びベースプレート2が装着されている状態から、両者が取り外し可能な状態へと切り替えることにより、一対の板バネ部32の弾性力によりセンサ50を挟持させることが可能となる。
【0098】
このように、本実施形態では、センサ挿入装置セット100によりセンサ50を生体内へ挿入した後、センサ挿入装置1をベースプレート2に対して抜去方向Bへ離間させるための回動動作を行うことにより、この回動動作と連動して移動するベースプレート2のクランプ部28における一対の板バネ部32が、弾性力によってセンサ50を挟持する。但し、センサ挿入装置及びベースプレートの装着及び取り外しを両者の相対的な回動により実現するための具体的な構成、並びに、センサ挿入装置からベースプレートを取り外すための回動動作に連動してセンサを挟み込むクランプ部の具体的な構成については、本実施形態の構成に限られるものではなく、例えば、センサ挿入装置及びベースプレートの装着及び取り外しにねじ結合を利用することや、クランプ部として、センサ挿入装置からベースプレートを取り外すための回動動作に連動して変形を伴わずに移動してセンサを挟み込む移動部材を用いるなど、各種構成により実現することができる。また、本実施形態では、センサ挿入装置1をベースプレート2から離間するための動作として、センサ挿入装置1及びベースプレート2の一方を他方に対して回動させる動作を行うものであり、この回動動作と連動するクランプ部28を用いているが、例えば、センサ挿入装置をベースプレートに対して抜去方向へ移動させる動作に連動してセンサを挟持するクランプ部としてもよい。但し、本実施形態のように回動動作と連動するクランプ部とすることにより、センサ挿入装置及びベースプレートの装着状態と取り外し可能状態とを切り替えるための操作距離(本実施形態では連結孔43の周方向Dの長さ)を、ベースプレートの厚み方向で確保しなくてよいため、センサ挿入装置の抜去方向への移動に連動するクランプ部とした場合と比較して、抜去方向における厚みを薄くしたベースプレートの設計が容易となる。
【0099】
なお、センサ50を留置後にベースプレート2から分離されたセンサ挿入装置1では、使用者が針部11の先端に触れることがないようになっている。具体的には、針部11の先端が、ハウジング3の底板部3bから外方へ突出しないように、ハウジング3内に収容された状態となっている(図3図6及び図7参照)。
【0100】
図12は、図11に示すベースプレート2の中央部を拡大して描いた拡大図である。上述した第2板バネ35は、第1板バネ34よりもばね定数が大きく構成されており、図12に示すように、ベースプレート2は、センサ挿入装置1から取り外される際に、第2板バネ35の位置を規制する位置規制部30としての位置決めピンを備えている。なお、図8図11では、説明の便宜上、位置決めピンを省略して描いている。また、図12では、説明の便宜上、バネ押さえ部33を破線により示している。
【0101】
位置規制部30としての位置決めピンは、プレート本体部2aの上面から突設されており、センサ挿入装置1とベースプレート2とを取り外す際に、すなわち、センサ挿入装置1及びベースプレート2が装着されている状態から、センサ挿入装置1をベースプレート2に対して周方向Dに回動させる動作(図10参照)を行う際に、センサ50を挟み込むように移動する第2板バネ35の当接部36bに突き当たり、第2板バネ35の当接部36bのそれ以上の移動を制限する。つまり、第1板バネ34よりもばね定数が大きい第2板バネ35は位置決めピンにより位置決めされ、位置決めピンにより位置決めされた状態の第2板バネ35に対して第1板バネ34が押圧することにより、第1板バネ34と第2板バネ35との間でセンサ50が挟み込まれる。
【0102】
このように、本実施形態では、第2板バネ35のばね定数を第1板バネ34のばね定数よりも大きくし、第2板バネ35を位置規制部30に当接させて第2板バネ35を位置決めする構成としているため、第1板バネ34及び第2板バネ35の間に挟み込まれるセンサ50は、位置規制部30に当接した状態の第2板バネ35の当接部36bにおける凹部39(図9参照)の位置において、第1板バネ34の当接部36aと第2板バネ35の当接部36bとにより挟み込まれるようにすることができる。すなわち、位置規制部30に当接する第2板バネ35が、挟み込まれるセンサ50の位置決めとして機能するため、ベースプレート2におけるセンサ50の挟み込み位置のばらつきを抑制することができる。特に光ファイバを用いたセンサにおいては、生体内に留置された光ファイバのわずかな移動により信号が変動するため、センサの挟み込み位置のばらつきを抑制することで正確な生体情報が得られる。
【0103】
粘着部31は、センサ挿入装置セット100によるセンサ50の挿入時、及びセンサ挿入装置1から分離されて生体表面に留置される際に、生体表面と粘着し、ベースプレート2の体表面上での位置が変化し難いようにするため、ベースプレート2のうち生体表面と対向する面、すなわち下面に設けられている。
【0104】
本実施形態の粘着部31は、ベースプレート2の下面に粘着される第1粘着層と生体表面に粘着される第2粘着層とを備える両面粘着シートにより構成されているが、この構成に限られるものではなく、例えば、単にベースプレート2の下面のうち挿入孔70以外の位置に粘着剤を設けて粘着部31とする構成など、種々の手段により粘着部31を構成することができる。また、粘着部31を両面粘着シートとする場合には、ベースプレート2の下面全域に設け、センサ挿入装置セット100によるセンサ50及び針部11の挿入に際して挿入孔70の位置で穿通される構成とすることも、ベースプレート2の下面のうち挿入孔70以外の部分に張り付ける構成とすることも可能である。
【0105】
なお、粘着部31で用いられる生体表面と接触する粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤等の粘着剤が使用可能である。
【0106】
また、ベースプレート2のうち、粘着部31以外の部分は、上述したセンサ挿入装置1のハウジング3と同様の材料により形成することが可能である。
【0107】
以上のとおり、本実施形態のセンサ挿入装置セット100は、生体情報を検出可能なセンサ50と共に生体内に挿入され、センサ50の先端側を生体内に留置した後に生体外へと抜去される針部材4を収容するセンサ挿入装置1と、このセンサ挿入装置1に対して着脱可能に装着されるベースプレート2と、を備えており、センサ50の生体内への留置後に、ベースプレート2は、センサ挿入装置1から分離され、センサ50と共に生体側に留置される。そして、生体表面上に留置されたベースプレート2に対して、センサ50で検出される被測定者の生体情報を処理可能な処理装置が装着され、例えば糖尿病患者の血糖値の経時的変化を、被測定者の生体情報に基づき所定期間に亘ってモニタリングすることが可能となる。
【0108】
本発明に係るセンサ挿入装置セット及びベースプレートは、上述した実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲で記載された内容を逸脱しない範囲で、様々な構成により実現することが可能である。例えば、センサ挿入装置1では、可動部材7をセンサ50及び針部11の生体内への挿入に際して発射バネ5aの弾性力により移動するプランジャとして用いているが、第1付勢部材の付勢力によるセンサ及び針部の挿入に際しては移動せず、第2付勢部材の付勢力による針部の抜去に際して移動する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、患者等の生体の生体情報を検出するセンサを生体内に挿入するセンサ挿入装置とベースプレートとを備えるセンサ挿入装置セット及びベースプレートに関する。
【符号の説明】
【0110】
1:センサ挿入装置
2:ベースプレート
2a:プレート本体部
2b:周壁部
3:ハウジング
3a:筒部
3b:底板部
3c:天板部
4:針部材
5:第1付勢部材
5a:発射バネ(第1弾性部材)
6:第2付勢部材
6a:戻しバネ(第2弾性部材)
7:可動部材
7a:筒部
7b:フランジ部
7c:変形部
7d:天板部
8:操作部材
9:底板部の貫通孔
10:天板部の貫通孔
11:針部
12:接続部
13:被係止部
14:接続部の貫通孔
15:係止爪部(係止部)
16:受け部
17:接続部
18:突起部(係止部)
19:ロッド部
20:切欠き
21:爪
22:突起
22a:突起の下面
23:押し板部
24:爪
25:突起部
26:押圧部
27:テーパー部
28:クランプ部
29:連結部
30:位置規制部
31:粘着部
32:一対の板バネ部
33:バネ押さえ部
34:第1板バネ
35:第2板バネ
36a、36b:当接部
37a、37b:変形部
38a、38b:固定部
39:凹部
40:ねじ
41:胴部
42:先端部
43:連結孔
43a:着脱開口部
44:凹部
45:収容凹部
46:固定突起
47:位置決め部
50:センサ
51:光ファイバ
60:係合部(係止解除部)
60a:突出部
61:カム部
61a:突出部
62:フランジ部
70:挿入孔
71:ゴム部材
100:センサ挿入装置セット
A:挿入方向
B:抜去方向
C:プレート本体部の厚み方向と直交する方向
D:周方向
M:対向距離
O:中心軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12