(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6618488
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】テストステロンウンデカノエートの安定な製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/568 20060101AFI20191202BHJP
A61P 15/08 20060101ALI20191202BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20191202BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20191202BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20191202BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20191202BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20191202BHJP
【FI】
A61K31/568
A61P15/08
A61K47/10
A61K47/14
A61K47/24
A61K47/26
A61K47/44
【請求項の数】14
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-572477(P2016-572477)
(86)(22)【出願日】2015年6月15日
(65)【公表番号】特表2017-522283(P2017-522283A)
(43)【公表日】2017年8月10日
(86)【国際出願番号】EP2015063292
(87)【国際公開番号】WO2015193224
(87)【国際公開日】20151223
【審査請求日】2018年6月13日
(31)【優先権主張番号】14172805.5
(32)【優先日】2014年6月17日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513156397
【氏名又は名称】メルク・シャープ・エンド・ドーム・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ショーヌス−ヘリツマ,ヘリツデイナ・ヘー
【審査官】
小堀 麻子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−523880(JP,A)
【文献】
機能性DDSキャリアの製剤設計,株式会社シーエムシー出版,2008年,p.105-115
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テストステロンウンデカノエート;
水溶性界面活性剤であって、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される水溶性界面活性剤、親水性ノニオン界面活性剤および水不溶性ノニオン界面活性剤;および
消化性長鎖脂肪酸エステル
を含む医薬製剤。
【請求項2】
前記水溶性界面活性剤、親水性ノニオン界面活性剤および水不溶性ノニオン界面活性剤が、1:3:5の重量比で存在する請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記水溶性界面活性剤がプロピレングリコールである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記水不溶性ノニオン界面活性剤が、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールリシノレエート、プロピレングリコールモノオレエート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレートおよびプロピレングリコールジオクタノエートからなる群から選択される請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記水不溶性ノニオン界面活性剤がプロピレングリコールモノカプリレートである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記親水性ノニオン界面活性剤がソルビタンモノオレエート、ポリソルベート80およびポリエトキシル化ヒマシ油からなる群から選択される請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記親水性ノニオン界面活性剤がポリエトキシル化ヒマシ油である請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記消化性長鎖脂肪酸エステルがグリセリントリオレエートおよびオレイン酸エチルからなる群から選択される請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記消化性長鎖脂肪酸エステルがオレイン酸エチルである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記消化性長鎖脂肪酸エステルの量が約5重量%である請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
テストステロンウンデカノエートの量が約6重量%から12重量%である請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
テストステロンウンデカノエートの量が10重量%未満である請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
性腺機能低下症の治療のための請求項1〜12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
本質的に、
テストステロンウンデカノエート;
水溶性界面活性剤であって、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される水溶性界面活性剤、親水性ノニオン界面活性剤および水不溶性ノニオン界面活性剤;および
消化性長鎖脂肪酸エステル
からなる医薬製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は安定な医薬製剤に関するものである。より具体的には、本発明は、食物効果低下および曝露増加をもたらすテストステロンウンデカノエートの医薬製剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テストステロンウンデカノエートはアンドリオールと称され、1978年以降、男性性腺機能低下症用に多くの国で販売されてきた。最初のアンドリオール市販製剤は、オレイン酸を含む消化性製剤であった。この製剤の欠点は、それの有効期間が室温で3ヶ月しかないというものであった。その有効期間の短さのため、ウンデカノエートエステルのオレイン酸による再エステル化が生じた。この不安定さのため、ヒマシ油およびラウログリコールを含む新しい製剤が開発された。
【0003】
この新たな製剤は、米国特許第6,652,880号および米国特許出願第2005/0287203号に開示されており、2003年以降アンドリオールTESTOCAPSSとして多くの国で上市されている。アンドリオールTESTOCAPS製剤は、有効期間3年の非消化性製剤である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,652,880号
【特許文献2】米国特許出願第2005/0287203号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
テストステロンウンデカノエートは、LogP 9.1および非常に低い水溶解度を有する。アンドリオールおよびアンドリオールTESTOCAPS製剤の両方が、飼養状態で絶対生物学的利用能4%を示す。中ないし高脂肪食とともに、テストステロンウンデカノエートは、消化された脂肪および胆汁酸の組み合わせによって消化管で乳化(emulgated)される。乳化(emulgated)されたら、テストステロンウンデカノエートはカイロミクロンに取り込まれ、リンパから吸収される。絶食状態では、高いテストステロンウンデカノエートおよび/またはテストステロン血清レベルは得られない。従って、曝露を増やし、食物効果を低下させることで、絶食状態ならびに低脂肪食で吸収されるテストステロンウンデカノエートに患者が頼ることができるテストステロンウンデカノエートの安定な、好ましくは低用量の医薬製剤が現在もなお必要とされている。
【0006】
テストステロンエステルの自己乳化製剤が、消化性オイル、親水性界面活性剤および疎水性界面活性剤を用いるテストステロンウンデカノエートの自己乳化薬剤送達系(SEDDS)について記載している米国特許第8,241,664号;オレイン酸、CREMOPHORE RH40、ペパーミント油およびルリヂサオイルを含むテストステロンウンデカノエートのSEDDSの調製について記載している米国特許出願公開番号2011/0251167;固体脂質マトリクス(ステアリン酸)を用いるナノ化テストステロンエステルの製造について記載している米国特許出願公開番号2012/0135069;溶液、結晶と溶液の混合物および固体混合物としてのテストステロンウンデカノエート濃度を14から35%とする各種可溶化剤中のテストステロンウンデカノエートの組成物について記載している米国特許出願2012/0135074および2012/0148675;および消化性脂質、水溶性界面活性剤、水不溶性界面活性剤;植物ステロールおよび/または植物ステロール脂肪酸エステル、およびdl−α−トコフェロールを含むテストステロンウンデカノエートの医薬投与用の乳剤、マイクロエマルション製剤もしくはナノエマルション製剤について記載している米国特許出願番号20130303495などのいくつかの米国特許および特許出願に記載されている。しかしながら、そのような製剤によって、曝露を増やし、食物効果を低下させることで、絶食状態ならびに低脂肪食で吸収されるテストステロンウンデカノエートに患者が依存できるテストステロンウンデカノエートの安定な、好ましくは低用量の医薬製剤が得られるとは限らない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
アンドリオールおよびアンドリオールTESTOCAPS製剤の両方とも水系での自己乳化(self−emulgation)できないため、これらの製剤が絶食状態時に低い乳化(emulgation)を示すことから、テストステロンウンデカノエートがカイロミクロンへの取り込みに利用できないと予想される。消化性オレイン酸アンドリオール製剤が非消化性アンドリオールTESTOCAPS製剤と同じ食物効果を示したことから、本発明者らは、乳化(emulgation)のないことが、両方の製剤の観察される食物効果の主たる理由となり得ると予想した。
【0008】
本明細書においては、テストステロンウンデカノエートが水系環境で自己乳化系を形成することができる、テストステロンウンデカノエートを含む自己乳化薬剤送達系(SEDDS)を含む医薬製剤が記載されている。本明細書に記載のSEDDSのある種の実施形態では、自己ナノ乳化薬剤送達系(SNEDDS)である。SEDDSが議論されている場合の下記の説明に関して、SNEDDSも想到される。本明細書に記載のSEDDS医薬製剤は、テストステロンウンデカノエートに関して良好な溶媒和能を有し、テストステロンウンデカノエートを消化管で溶解状態に維持して、液滴を含む油状のテストステロンウンデカノエートとリンパ管に進入するカイロミクロンとの間の接触を促進することができる。
【0009】
本明細書に記載の医薬製剤は、絶食状態でのテストステロンの生物学的利用能を変えるように設計されたものであり、それによって食物効果を低くすることができる。本明細書に記載の医薬製剤によって、テストステロンの曝露を増やすこともできる。食物効果の低下および曝露増加によっても、アンドリオールTESTOCAPSと比較してテストステロンウンデカノエートの用量を低くすることができる。
【0010】
本明細書に記載の医薬製剤は、アンドリオールTESTOCAPSと比較して特に絶食状態で早い開始(短いT
max)も示す。従って、本明細書に記載の製剤で、吸収が早くなり、程度が高くなることが予想される。
【0011】
具体的には、本明細書には、テストステロンウンデカノエート、水溶性界面活性剤、非イオン性界面活性剤および水不溶性界面活性剤、そして適宜に消化性長鎖脂肪酸エステルを含む自己乳化性医薬製剤が記載されている。
【0012】
本明細書には、処置を必要とする患者に、本明細書に記載の製剤の一つを投与することを含む性腺機能低下症の治療方法も記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書には、テストステロンウンデカノエートが水系環境で自己乳化系を形成できる、自己乳化性薬剤送達系(SEDDS)でテストステロンウンデカノエートを含む安定な液体医薬製剤が記載されている。ある種の実施形態において、本明細書に記載の医薬製剤は、テストステロンウンデカノエート、水溶性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤および水不溶性界面活性剤、そして適宜に消化性長鎖脂肪酸エステルを含む。
【0014】
ある種の実施形態において、本明細書に記載の医薬製剤は、テストステロンウンデカノエート、水溶性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤および水不溶性界面活性剤、ならびに消化性長鎖脂肪酸エステルを含む。例えば、ある種の実施形態において、本明細書に記載の医薬製剤は、テストステロンウンデカノエート、プロピレングリコール、CREMOPHOR EL、CAPRYOL90およびオレイン酸エチルを含む。
【0015】
ある種の実施形態において、本明細書に記載の医薬製剤は、テストステロンウンデカノエート;水溶性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤および水不溶性界面活性剤を含む。例えば、ある種の実施形態において、本明細書に記載の医薬製剤は、テストステロンウンデカノエート、プロピレングリコール、CREMOPHOR ELおよびCAPRYOL90を含む。
【0016】
本明細書に記載の製剤は、約6重量%から12重量%のテストステロンウンデカノエートを含む。ある種の実施形態において、本明細書に記載の製剤は、12重量%以下のテストステロンウンデカノエートを含む。そのような実施形態において、テストステロンウンデカノエートの量は、12重量%のテストステロンウンデカノエートを含むアンドリオールなどの商業的実施形態で認められる量より少ない。ある種の実施形態において、本明細書に記載の製剤は、10重量%以下のテストステロンウンデカノエートを含む。ある種の実施形態において、本明細書に記載の製剤は、9重量%以下のテストステロンウンデカノエートを含む。ある種の実施形態において、本明細書に記載の製剤は、7.5重量%以下のテストステロンウンデカノエートを含む。
【0017】
ある種の実施形態において、本明細書に記載の製剤は、約12%のテストステロンウンデカノエートを含む。他の実施形態において、本明細書に記載の製剤は約9%のテストステロンウンデカノエートを含む。他の実施形態において、本明細書に記載の製剤は約7.5%のテストステロンウンデカノエートを含む。さらに他の実施形態において、本明細書に記載の製剤は約6%のテストステロンウンデカノエートを含む。
【0018】
本明細書に記載の製剤は、水溶性(親水性)界面活性剤、ノニオン系界面活性剤および水不溶性(疎水性)界面活性剤を含む。界面活性剤は、テストステロンウンデカノエートを含む製剤の所望の特性を与える比率であることができる。本明細書に記載の製剤のある種の実施形態において、水溶性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤および水不溶性界面活性剤の重量比は、約1:1:1、1:2:1、1:3:1、1:4:1、1:5:1、2:1:1、2:2:1、2:3:1、2:4:1、2:5:1、3:1:1、3:2:1、3:3:1、3:4:1、3:5:1、4:1:1、4:2:1、4:3:1、4:4:1、4:5:1、5:1:1、5:2:1、5:3:1、5:4:1または5:5:1である。本明細書に記載の製剤のある種の実施形態において、水溶性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤および水不溶性界面活性剤の重量比は、約1:1:2、1:2:2、1:3:2、1:4:2、1:5:2、2:1:2、2:2:2、2:3:2、2:4:2、2:5:2、3:1:2、3:2:2、3:3:2、3:4:2、3:5:2、4:1:2、4:2:2、4:3:2、4:4:2、4:5:2、5:1:2、5:2:2、5:3:2、5:4:2または5:5:2である。本明細書に記載の製剤のある種の実施形態において、水溶性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤および水不溶性界面活性剤の重量比は、約1:1:3、1:2:3、1:3:3、1:4:3、1:5:3、2:1:3、2:2:3、2:3:3、2:4:3、2:5:3、3:1:3、3:2:3、3:3:3、3:4:3、3:5:3、4:1:3、4:2:3、4:3:3、4:4:3、4:5:3、5:1:3、5:2:3、5:3:3、5:4:3または5:5:3である。本明細書に記載の製剤のある種の実施形態において、水溶性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤および水不溶性界面活性剤の重量比は、約1:1:4、1:2:4、1:3:4、1:4:4、1:5:4、2:1:4、2:2:4、2:3:4、2:4:4、2:5:4、3:1:4、3:2:4、3:3:4、3:4:4、3:5:4、4:1:4、4:2:4、4:3:4、4:4:4、4:5:4、5:1:4、5:2:4、5:3:4、5:4:4または5:5:4である。本明細書に記載の製剤のある種の実施形態において、水溶性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤および水不溶性界面活性剤の重量比は、約1:1:5、1:2:5、1:3:5、1:4:5、1:5:5、2:1:5、2:2:5、2:3:5、2:4:5、2:5:5、3:1:5、3:2:5、3:3:5、3:4:5、3:5:5、4:1:5、4:2:5、4:3:5、4:4:5、4:5:5、5:1:5、5:2:5、5:3:5、5:4:5または5:5:5である。ある種の実施形態において、水溶性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤および水不溶性界面活性剤の重量比は、1:3:5である。
【0019】
本明細書に記載の製剤において、界面活性剤の少なくとも一つが水溶性界面活性剤である。好適な水溶性界面活性剤には、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステルおよび多価アルコールのトリグリセリド類の群からの少なくとも一つの構成員との親水性エステル交換生成物;グリセロール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、ペンタエリトリトール、または糖類、d−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネートなどの植物油および水素化植物油などがあるが、これらに限定されるものではない。本明細書に記載の製剤のある種の実施形態において、水溶性界面活性剤はプロピレングリコールである。
【0020】
本明細書に記載の製剤において、界面活性剤の少なくとも一つがノニオン系界面活性剤である。好適なノニオン系界面活性剤には、エチレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールミリステート、モノステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、ポリグリセリル−4−オレエート、ソルビタンアクリレート、ショ糖アクリレート、PEG−150ラウレート、PEG−400モノラウレート、ポリオキシエチレンモノラウレート、TWEEN80などのポリソルベート類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、PEG−1000セチルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリプロピレングリコールブチルエーテル、POLOXAMER401、プルロニック類、ステアロイルモノイソプロパノールアミド、CREMOPHOR EL(ポリエトキシル化ヒマシ油)、SPAN80(ソルビタンオレエート)、およびポリオキシエチレン水素化獣脂アミドなどがあるが、これらに限定されるものではない。本明細書に記載の製剤のある種の実施形態において、ノニオン系界面活性剤はSPAN80、TWEEN80またはCREMOPHOR ELである。本明細書に記載の製剤のある種の実施形態において、ノニオン系界面活性剤はCREMOPHOR ELである。
【0021】
本明細書に記載の製剤において、界面活性剤の少なくとも一つが水不溶性界面活性剤である。好適な水不溶性界面活性剤には、CAPRYOL90(プロピレングリコールモノカプチレート)、LAUROGLYCOL FFC(プロピレングリコールモノラウレート)、Propymuls(プロピレングリコールリシノレエート)、Myverol P−06(プロピレングリコールモノオレエート)、CAPTEX200(プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート)およびCAPTEX800(プロピレングリコールジオクタノエート)などがあるが、これらに限定されるものではない。本明細書に記載の製剤のある種の実施形態において、水不溶性界面活性剤は、LAUROGLYCOL FFCおよびCAPRYOL90からなる群から選択される。ある種の実施形態において、水不溶性界面活性剤はLAUROGLYCOL FFCである。ある種の実施形態において、水不溶性界面活性剤はCAPRYOL90である。
【0022】
ある種の実施形態において、本明細書に記載の製剤は消化性長鎖脂肪酸エステルを含む。好適な消化性長鎖脂肪酸エステルには、グリセリントリオレエートおよびオレイン酸エチルなどがあるが、これらに限定されるものではない。ある種の実施形態において、消化性長鎖脂肪酸エステルはオレイン酸エチルである。
【0023】
本明細書に記載の製剤において、長鎖脂肪酸エステルは、1重量%から10重量%の量で存在する。ある種の実施形態において、長鎖脂肪酸エステルは7重量%の量で存在する。ある種の実施形態において、長鎖脂肪酸エステルは5重量%の量で存在する。他の実施形態において、長鎖脂肪酸エステルは3重量%の量で存在する。
【0024】
本明細書に記載の製剤のある種の実施形態は、TRANSCUTOL P(2−(2−エトキシエトキシ)エタノール)などの共溶媒を含むことができる。
【0025】
本明細書では、処置を必要とする患者に対して、本明細書に記載の医薬製剤を投与することを含む、性腺機能低下症の治療方法も記載されている。本明細書では、性腺機能低下症の治療または性腺機能低下症の治療の製造のための本明細書に記載の製剤の使用も記載されている。
【0026】
実施例
テストステロンウンデカノエートの溶解度
ある種のSNEDDSならびにSNEDDSで使用される個々の成分について、溶解度実験を行った。溶解度実験は250μL規模で実施し、テストステロンウンデカノエート25mgで開始した。室温固形脂肪および室温固形脂肪を含むほとんどの混合物を40℃で終夜撹拌した。全ての他の賦形剤(オイル類、界面活性剤およびこれらの混合物)を室温で終夜撹拌した。肉眼のチェックでテストステロンウンデカノエートの完全な溶解を示したら、追加のテストステロンウンデカノエート25mgを加え、撹拌して平衡とした。飽和点を通過するまで、この段階を繰り返した。得られた懸濁液を14.000rpmで6分間遠心した。上清をバイアルから注意深くピペット採取し、肉眼での透明度を調べてから、H
2O/THF(体積比1/9)で200から1000倍希釈した。溶液中のテストステロンウンデカノエートの濃度を、HPLCによって測定した。表1に結果を示してある。
【表1】
【0027】
表からわかるように、テストステロンウンデカノエートの可溶化に関して、製剤BがアンドリオールTESTOCAPS製剤に最も近い。
【0028】
製剤の均一性
テストステロンウンデカノエートを含む製剤は、透明および均一なままであるべきである。このために、テストステロンウンデカノエートは、選択された製剤に溶解されている。SNEDDSに加えられるテストステロンウンデカノエートの量は、最大溶解度によって決まる。貯蔵中の均一性に関して製剤の安定性を調べるため、表2で挙げた各製剤1mLをガラス製バイアルに入れN
2下で密閉し、室温で4週間維持した。4週間後、肉眼での外観を記録した。全ての試験製剤が、4週間後の肉眼検査で均一なままであった。二つの製剤、製剤Cおよび製剤Gにおいて、いくつかのガラス様結晶が4週間以内に現れた。これらの結晶は、結晶化テストステロンウンデカノエートであり、溶解したテストステロンウンデカノエートの量が最大溶解度に近いことが示された。
【表2】
【0029】
製剤の乳化
水系での選択された製剤の自己乳化特性を確認するため、二つの方法を用いた。第1の方法は、油状混合物の水相による遅い滴定であった(方法1)。第2の方法は、油状混合物の水相への添加であった(方法2)。
【0030】
方法1:水相による油状混合物の遅い滴定。磁気撹拌バーを入れたガラス製バイアル中のSNEDDS 250μLに水を少量ずつ加え、最初に50μLずつで、最後は10mLとした。各量を加えた後、構成にそれ以上変化が認められなくなるまで、混合物を撹拌した。構成を記録し、別の量の水を加えた。体積15mLとなるまで、これらの段階を繰り返した。次に、1mLを取り、撹拌した水4mLに加えた。得られた溶液を少なくとも2時間撹拌してから、肉眼での外観を記録した。
【0031】
方法2:水相への油状混合物の添加。SNEDDS 25μLを、撹拌した水6.25mLに加えた。1分以内に乳濁液が形成されなかった場合、渦撹拌を用いて、2相を混和した。混和後、溶液を少なくとも2時間撹拌してから、肉眼での外観を記録し、および/または液滴の大きさを測定した。
【0032】
両方の方法の希釈を選択して、SNEDDS約1mL/水250mLの濃度となるようにし、その水の量は胃の容量を表す。いくつかのSNEDDSを方法1ならびに方法2によって乳化させて(emulgate)、得られた乳濁液を比較した。
【0033】
乳化した製剤は、6%、9%または12%テストステロンウンデカノエートを含む。これは最大溶解度によって決まる。12%は、アンドリオールTESTOCAPSS中のテストステロンウンデカノエート濃度に匹敵する。
【0034】
製剤の自己乳化特性を評点するため、乳濁液の肉眼での外観を表3で記録した。乳濁液の乳状の外観は、相対的に大きい液滴サイズを示しており、若干乳状、乳状濁り、濁り、青みがかった透明または透明な外観はナノエマルションが形成された可能性を示している。若干乳状ないし透明の範囲の乳濁液の液滴サイズパラメータを、動的光散乱技術で測定する。
【表3】
【0035】
液滴の大きさの測定
液滴サイズを、動的光散乱(DLS)技術によって得た。これらの測定を行って、方法1または2によって得られた乳濁液中の液滴の液滴サイズおよび液滴サイズ分布についての理解を深めた。測定は、Malvern DLS NanosizerまたはZetasizer Nano ZSを用いて行った。乳濁液約1mLを低容量使い捨てサイジング(sizing)キュベットにピペットで取り、気泡の有無を調べ、キュベットホルダーに入れた。結果を表4に示してある。
【表4】
【0036】
動物試験
動物試験で使用される製剤
表5に示した製剤でカプセルを製造した。液体賦形剤を秤取し、混和した。次に、テストステロンウンデカノエートを加え、混合物を1から3日の期間にわたりローラーバンクに乗せた。表6に、カプセル当たりの製剤およびテストステロンウンデカノエートの量を示してある。
【表5】
【表6】
【0037】
消化(GI)管での製剤の乳化挙動を推定するため、表6におけるカプセルを異なる量の水または擬似胃液(SGF)で希釈した。単一のカプセルを250、60、または30mL体積に加えて、ヒトおよびイヌでの胃容量の範囲を模倣した。肉眼での外観および液滴サイズを求めた。全ての製剤について、液体250mLに加えたカプセルにおいて、青みがかった透明乳濁液が観察された。全ての製剤について、液体60mLに加えたカプセルにおいて、若干白色の濁りがある青みがかった透明乳濁液が観察された。全ての製剤について、液体30mLに加えたカプセルにおいて、乳状白色濁りが観察された。ナノエマルションの液滴サイズも測定し、表7で下記に示した。
【0038】
5℃/環境湿度、25℃/60%RHまたは40℃/75%RHで6週間貯蔵した後、SGF 60mL中の乳濁液は青みがかった白色濁りを有していた。異なる条件で6週間にわたり貯蔵したカプセルから作った乳濁液の液滴サイズを表8に示してある。
【表7】
【0039】
全ての製剤が、水またはSGF 60mL中で乳化させた場合に最も良好な乳濁液を形成する。水とSGFの間では変動性はほとんど認められない。全ての製剤が媒体60mL中で等しく良好に乳化するように思われる。250mLおよび30mLにおいては、乳濁液は比較的粗いように思われ、場合により複数ピークが観察される。これらの体積については、結果はSGFより水の方が良好である。オレイン酸エチルを含む製剤は、オレイン酸エチルを含まない製剤と比較して、これらの容量でより良好な乳濁液を形成するように思われる。1/60希釈がヒト絶食状態の胃における比率を模倣するものであることから、その希釈を用いて絶食状態ヒトでのイン・ビボ挙動を予想することを考慮すると、全ての製剤が絶食ヒト消化管でナノエマルションを形成するものと予想される。
【表8】
【0040】
ほとんど全ての製剤および全ての条件において、ナノエマルションが形成された(<100nm)。異なる貯蔵温度間で大きい違いは全く観察されず、それは貯蔵後に同じ液滴サイズを得ることが可能であることを示している。
【0041】
結晶化傾向も、カプセル製剤で測定した。全ての製剤が、7℃で貯蔵した場合に、3時間および96時間で透明なままであった。製剤を、−80℃で3時間、次に室温で1時間、次に−80℃で96時間、最後に室温で2時間の冷凍−回答サイクルにも曝露した。製剤Bを除く全ての製剤が、−80℃で固体であり、室温で透明であった。製剤Bは室温で室温で透明であって、若干の小さい針状物が存在したが、振盪後は数時間以内に透明となった。
【0042】
カプセルの分解生成物を、カプセル製造直後および5℃/環境湿度、25℃/60%RH、および40℃/75%RHで6週間貯蔵後に測定した。得られた結果から、異なる製剤の安定性が類似していたことがわかる。40℃/75%RHで6週間貯蔵後にはいくつかの分解生成物が生成しており、上記製剤は2から25℃で約9ヶ月の有効期間を有するものと予想される。
【0043】
イン・ビボ試験
イン・ビボ試験を実施した。投与時に体重範囲7.44から12.9kgの年齢1から2歳の雌ビーグル犬12頭を、3種類の異なる投与群に割り当て、表5に示したスキームに従って試験製剤を投与した。
【表9】
【0044】
テストステロンの場合、平均AUC
0−12hrは、アンドリオールTESTOCAPSでの9.57nM・hrと比較して、絶食イヌにおいて、製剤Bおよび製剤Hでそれぞれ23.5および33.8nM・hrであった。平均AUC
0−12hrは、アンドリオールTESTOCAPSの場合の50.6nM・hrと比較して、高脂肪食で投与した場合のイヌにおいて、製剤Bおよび製剤Hでそれぞれ90.8および123nM・hrまで上昇した。平均C
maxは、アンドリオールTESTOCAPSの場合の4.89nMと比較して、絶食イヌにおいて、製剤Bおよび製剤Hでそれぞれ11.9および18.5nMであった。平均C
maxは、アンドリオールTESTOCAPSの場合の18.2nMと比較して、高脂肪食で投与した場合のイヌにおいて、製剤Bおよび製剤Hでそれぞれ42.3および57.9nMに上昇した。さらに、T
max中央値は、高脂肪食で投与した場合に、製剤B、製剤HおよびアンドリオールTESTOCAPSでそれぞれ、絶食状態での1.5、1.2、2.2時間から、それぞれ3.0、3.0および4.0時間に増えた。
【0045】
テストステロンウンデカノエート(TU)の場合、平均AUC
0−12hrは、アンドリオールTESTOCAPSでの89.1nM・hrと比較して、絶食イヌにおいて、製剤Bおよび製剤Hでそれぞれ205および423nM・hrであった。平均AUC
0−12hrは、アンドリオールTESTOCAPSの場合の1130nM・hrと比較して、高脂肪食で投与した場合のイヌにおいて、製剤Bおよび製剤Hでそれぞれ1660および2300nM・hrまで上昇した。平均C
maxは、アンドリオールTESTOCAPSの場合の55.6nMと比較して、絶食イヌにおいて、製剤Bおよび製剤Hでそれぞれ144および311nMであった。平均C
maxは、アンドリオールTESTOCAPSの場合の512nMと比較して、高脂肪食で投与した場合のイヌにおいて、製剤Bおよび製剤Hでそれぞれ1090および1550nMに上昇した。さらに、T
max中央値は、高脂肪食で投与した場合に、製剤B、製剤HおよびアンドリオールTESTOCAPSでそれぞれ、絶食状態での1.5、1.5、2.5時間から、それぞれ2.5、2.5および3.0時間に若干増えた。
【0046】
飼養状態と絶食状態での試験製剤についてのテストステロンのAUC
0−12hr比は、製剤B、製剤HおよびアンドリオールTESTOCAPSでそれぞれ3.86、3.64および5.29であった。飼養状態と絶食状態での試験製剤についてのテストステロンウンデカノエートのAUC
0−12hr比は、製剤B、製剤HおよびアンドリオールTESTOCAPSでそれぞれ8.10、5.44および12.7であった。試験製剤については有意な食物効果がなお予想されると考えられるが、試験製剤は、アンドリオールTESTOCAPSと比較して、飼養状態と絶食状態の間での曝露比低下を示した。
【0047】
絶食状態での試験製剤とアンドリオールTESTOCAPSにおけるテストステロンのAUC
0−12hr比を検討すると、高脂肪食で投与した場合の試験製剤とアンドリオールTESTOCAPSでのテストステロンのAUC
0−12hr比は、製剤Bおよび製剤Hでそれぞれ1.79および2.43であった。絶食状態の間、曝露の増加は、製剤Bおよび製剤Hでそれぞれ2.46倍および3.53倍まで伸びた。テストステロンウンデカノエートの場合、高脂肪食で投与した場合に試験製剤とアンドリオールTESTOCAPSについてのAUC
0−12hr比は、製剤Bおよび製剤Hでそれぞれ1.47および2.04であった。絶食状態中、曝露の増加は、製剤Bおよび製剤Hでそれぞれ2.30倍および4.75倍まで伸びた。
【0048】
要約すると、このイヌ試験の結果によれば、試験製剤について、食物効果はまだ認められる。しかしながら、試験製剤は、アンドリオールTESTOCAPSと比較して曝露に有意な増加を示した(テストステロンウンデカノエートに関して、飼養状態で平均約2倍および絶食状態で約3.5倍)。試験製剤では、アンドリオールTESTOCAPSと比較して飼養状態と絶食状態の間の曝露比の低下が認められた。
本発明は、一態様において以下を提供する。
[項目1]
テストステロンウンデカノエート;
水溶性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤および水不溶性界面活性剤;および
消化性長鎖脂肪酸エステル
を含む医薬製剤。
[項目2]
前記水溶性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤および水不溶性界面活性剤が、1:3:5の重量比で存在する項目1に記載の医薬製剤。
[項目3]
前記水溶性界面活性剤が、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される項目1に記載の医薬組成物。
[項目4]
前記水溶性界面活性剤がプロピレングリコールである項目1に記載の医薬組成物。
[項目5]
前記水不溶性界面活性剤が、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールリシノレエート、プロピレングリコールモノオレエート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレートおよびプロピレングリコールジオクタノエートからなる群から選択される項目1に記載の医薬組成物。
[項目6]
前記水不溶性界面活性剤がプロピレングリコールモノカプリレートである項目1に記載の医薬組成物。
[項目7]
前記ノニオン系界面活性剤がソルビタンモノオレエート、ポリソルベート80およびポリエトキシル化ヒマシ油からなる群から選択される項目1に記載の医薬組成物。
[項目8]
前記ノニオン系界面活性剤がポリエトキシル化ヒマシ油である項目1に記載の医薬組成物。
[項目9]
前記消化性長鎖脂肪酸エステルがグリセリントリオレエートおよびオレイン酸エチルからなる群から選択される項目1に記載の医薬組成物。
[項目10]
前記消化性長鎖脂肪酸エステルがオレイン酸エチルである項目1に記載の医薬組成物。
[項目11]
前記消化性長鎖脂肪酸エステルの量が約5重量%である項目1に記載の医薬組成物。
[項目12]
テストステロンウンデカノエートの量が約6重量%から12重量%である項目1に記載の医薬組成物。
[項目13]
テストステロンウンデカノエートの量が10重量%未満である項目1に記載の医薬組成物。
[項目14]
性腺機能低下症の治療のための項目1の製剤の使用。
[項目15]
本質的に、
テストステロンウンデカノエート;
水溶性界面活性剤、水不溶性界面活性剤およびノニオン系界面活性剤;および
消化性長鎖脂肪酸エステル
からなる医薬製剤。