(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
情報記録媒体の構造を示す媒体識別情報を含む第1領域と、ユーザデータが記録可能なまたは記録済みのデータ領域と、前記第1領域と前記データ領域との間に位置する、情報記録媒体上の領域に対する装置のアクセス可否を示す制御情報を含む第2領域と、を有する情報記録媒体であって、
前記第1領域と前記第2領域とは互いに隣接していると共に、前記第2領域と前記データ領域とは互いに隣接しており、
前記第1領域は、PIC(Permanent Information & ControlData)領域であり、
前記媒体識別情報は、少なくとも前記データ領域の基準アドレス情報として、最初のアドレスもしくは最後のアドレスの何れか、またはそれら両方を含み、
前記第1領域のトラック数は、前記第2領域のトラック数より多く、
前記第1領域の面積は、前記第2領域の面積より大きいことを特徴とする情報記録媒体。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
本発明の実施形態1について
図1から
図3に基づいて説明すると以下の通りである。
【0013】
〔情報記録媒体の構成〕
まず、本実施形態に係る情報記録媒体の構成について
図1および
図2に基づいて説明する。
図1は、情報記録媒体10の外観の一例を示す図である。また、
図2は、情報記録媒体10の半径に対応した断面構造の一例を示す図である。
図1に示すように、情報記録媒体10は、中心に開口部を有する円盤形状の光ディスクであり、例えば、Blu-ray(登録商標) Disc(BD)等の光ディスクである。
【0014】
情報記録媒体10は、
図1および
図2に示すように、その情報記録媒体の構造を示す媒体識別情報等が記録される第1領域(PIC領域)11と、画像や動画等の任意のユーザデータが記録可能なまたは記録済みのデータ領域(ユーザ領域)13と、情報記録媒体上の領域に対する光ディスク装置のアクセス制御(PAC)のための制御情報等が記録される第2領域12とを有する。
【0015】
なお、情報記録媒体10は、ユーザがデータ領域13のユーザデータを読み書き可能な記録型情報記録媒体であってもよいし、データ領域13のユーザデータを読み取りのみ可能な再生専用型情報記録媒体であってもよい。
【0016】
ここで、光ディスク装置とは、情報記録媒体10に記録されている情報の再生、および/または、データ領域13への情報の記録を行う記録再生装置である。
【0017】
また、ディスク半径方向に対して、第1領域11は情報記録媒体10の最内周側に位置し、データ領域13は情報記録媒体10の最外周側に位置する。第2領域12は、第1領域11とデータ領域13との間に位置する。つまり、情報記録媒体10には、その内周側から外周側に向かって、第1領域11、第2領域12、データ領域13が順に配置されている。ただし、各領域の位置関係はこれに限るものではなく、第2領域12が第1領域11とデータ領域13の間に配置されていればよい。
【0018】
上述のように、情報記録媒体10のサイズを変更せずに大容量化を図る場合、データ領域13の記録線密度を上げることとなる。そこで、本発明の一態様に係る情報記録媒体10では、データ領域13の記録線密度を高くすることによって、記録可能なデータ量(記録容量)を増大させている。また、第2領域12の記録線密度も高くしている。また、本実施形態に係る情報記録媒体10は、第2領域12とデータ領域13の記録線密度は同じであるとする。ただし、これに限るものではなく、第2領域12とデータ領域13の記録線密度は異なっていてもよい。後述のように、第2領域12とデータ領域13の記録線密度は、第1領域11の記録線密度より高ければよい。
【0019】
ここで、本発明の一態様に係る情報記録媒体10では、第1領域11の面積は、第2領域12の面積より大きい。情報記録媒体10の光ディスク装置が、第1領域11にアクセスしようとする場合、所望の半径位置を指定したとしても厳密なアクセス精度がないため、第1領域11とデータ領域13の間に配置されている第2領域12に誤ってアクセスする可能性がある。そのため、媒体の構造の認識処理に必要な時間の増大、認識処理のリトライ回数増加、および、媒体の認識自体が不可能になるという問題が生じる。しかし、第2領域12よりも第1領域11の面積を大きく確保することより、情報記録媒体10の記録再生装置が第1領域へのアクセス、および、媒体識別情報の認識を容易に実行することができる。各領域は開始半径位置から終了半径位置(=隣接する領域の開始半径位置)が規格上で指定されることになり、各領域の面積は開始半径位置、終了半径位置から算出することができる。
【0020】
なお、例えば、大容量情報記録媒体とは、1層あたりの記録容量が33GBのBDであり、小容量情報記録媒体とは、1層あたりの記録容量が25GBのBDである。
【0021】
また、大容量情報記録媒体用の光ディスク装置とは、高い記録線密度で記録されている情報の再生および記録可能な光ディスク装置である。大容量情報記録媒体用の光ディスク装置は、さらに、低い記録線密度で記録されている情報の再生および記録も可能である。また、小容量情報記録媒体用の光ディスク装置とは、低い記録線密度で記録されている情報の再生および記録可能な光ディスク装置である。小容量情報記録媒体用の光ディスク装置は、高い記録線密度で記録されている情報の再生および記録を行うよう設計されていないため、高い記録線密度で記録されている情報の再生および記録を行うために必要な再生速度に変更できない等の理由により、高い記録線密度で記録されている情報の再生および記録をすることが困難である、もしくは不可能である。
【0022】
さらに、本発明の一態様に係る情報記録媒体10では、第1領域11の記録線密度は、第2領域12の記録線密度より低い。これにより、情報記録媒体10より記録可能なデータ量が少ない小容量情報記録媒体用の光ディスク装置に情報記録媒体10を挿入した場合であっても、第1領域11の記録線密度が低い、つまり、小容量情報記録媒体の記録線密度と同じ、あるいは、近い記録線密度で記録されているため、媒体識別情報が読み取りやすくなる。そのため、光ディスク装置が認識処理のリトライを繰り返したり、光ディスク装置がフリーズしたりする不具合を抑制することができる。そして、媒体識別情報を読み取ることにより、情報記録媒体10が大容量情報記録媒体であることを認識することができ、光ディスク装置が高い記録線密度で記録されている情報の再生および高い記録線密度での記録に対応できない場合に、情報記録媒体10が非対応の光ディスクであることをユーザに時間をかけずに提示することができる。なお、ユーザへの提示に加えて、情報記録媒体10を光ディスク装置から排出する処理を行ってもよい。また、情報記録媒体10を排出する処理だけでもよい。
【0023】
なお、媒体識別情報は、第2領域およびデータ領域13の記録線密度を示す情報を含む。また、媒体識別情報は、各領域の基準アドレスを示す基準アドレス情報を含んでいてもよい。基準アドレスとは、領域の最初のアドレスもしくは最後のアドレスの何れか、またはそれら両方を含むものである。
【0024】
媒体識別情報に、第2領域12およびデータ領域13の記録線密度を示す情報を含んでいれば、大容量情報記録媒体用の光ディスク装置は、媒体識別情報の読み取り後、第2領域12およびデータ領域13にアクセスするための記録線密度の設定を素早く行うことができる。
【0025】
一方、小容量情報記録媒体用の光ディスク装置は、第2領域12およびデータ領域13の記録線密度を示す情報が、小容量情報記録媒体の記録線密度と同じ、あるいは、近い記録線密度で記録されているため、媒体識別情報を読み取りやすくなる。読み取った結果、情報記録媒体10が、小容量情報記録媒体用の光ディスク装置では情報の再生および記録に対応できないことを素早く認識することができる。
【0026】
なお、第1領域11に同一の媒体識別情報が複数記録されていてもよい。これにより、媒体識別情報の読み取りに対して、一つの媒体識別情報が傷や汚れ等の影響を受けても、他の媒体識別情報を読み取れることにより、傷や汚れ等の影響を回避しやすくすることができる。
【0027】
また、媒体識別情報に、各領域の基準アドレスを示す基準アドレス情報を含んでいれば、大容量情報記録媒体用の光ディスク装置は、媒体識別情報の読み取り後、第2領域12およびデータ領域13にアクセスするためのアドレスの指定を素早く行うことができ、各領域へのアクセスが容易になる。
【0028】
また、情報記録媒体10は、第1領域11を複数有していてもよく、例えば、情報記録媒体10の最内周側および最外周側に第1領域11が配置されていてもよい。この場合は、最内周側から最外周側に向かって、第1領域、第2領域、データ領域、第2領域、第1領域と配置されることになる。
【0029】
また、情報記録媒体10は、第1領域11のトラック数が、第2領域12のトラック数より多くてもよい。
【0030】
各領域の開始半径位置および終了半径位置(=隣接する領域の開始半径位置)が規格上で指定されることになる。トラック数とは、各領域の開始半径位置から終了半径位置の間の半径方向の直線を横切るトラックの本数のことであり、各領域の開始半径位置から終了半径位置までの半径方向の距離をトラックピッチ(隣接するトラック同士の半径方向の間隔)で割ることにより算出することができる。
【0031】
第2領域12のトラックの本数よりも第1領域11のトラックの本数を多く確保する場合も、第2領域12よりも第1領域11の面積を大きく確保するのと同様、情報記録媒体10の記録再生装置が第1領域へのアクセス、および、媒体識別情報の認識を容易に実行することができる。
【0032】
また、情報記録媒体10において、第1領域11の面積を第2領域の面積よりも大きくすると共に、第1領域11のトラック数を、第2領域12のトラック数より多くしてもよい。
【0033】
次に、
図3に基づいて、情報記録媒体10のより詳細な構成について説明する。ここでは、情報記録媒体10が再生専用ディスクである場合を例に説明する。
図3(a)は、第1領域におけるピットのピット長の一例を示す図であり、
図3(b)は、第2領域におけるピットのピット長の一例を示す図である。
【0034】
再生のための同期を取るチャネルクロック1周期に対応する単位ビット長をTであらわすとすると、
図3に示すように、2T、3T、4T、6Tといったように、Tの整数倍のビット長を持つピット、および、ピットとピットの間のスペースが各領域に存在する。ここで、「第1領域11より第2領域12の方が記録線密度が高い」とは、第1領域11および第2領域12のチャネルクロック周期は同じで、第1領域11を再生するための基準の再生速度が第2領域12を再生するための基準の再生速度のほうが遅く、単位ビット長が第1領域11より第2領域12の方が短いということを意味する。つまり、第1領域11と第2領域12を再生するための再生速度は、領域に応じて装置が変更させることになる。
【0035】
<実施形態2>
本発明の実施形態2について
図4に基づいて説明すると以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態1において示した部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0036】
実施形態2に係る情報記録媒体10は、第2領域12に同じ制御情報が複数記録されている。制御情報は2箇所以上に書かれていれば良く、例えば、
図4に示すように、第2領域12の先頭および末尾に、それぞれ制御情報121、122が記録されていてもよい。制御情報121および122は、同じ内容の情報である。
【0037】
上述のように、第2領域には、情報記録媒体10上の領域に対する光ディスク装置のアクセス制御(PAC)のための制御情報が含まれている。そのため、光ディスク装置は、第2領域の制御情報を認識することにより、各領域へのアクセス可否を認識できる。
【0038】
ここで、情報記録媒体に傷や汚れが付くことにより、制御情報の記録されている箇所が読み取れなくなる可能性がある。制御情報が読み取れない場合、光ディスク装置は、データ領域13にアクセスすることができず、情報記録媒体へのデータの読み書きが実行できなくなる。
【0039】
そこで、本実施形態2に係る情報記録媒体10のように、制御情報を第2領域内に複数回記録しておくことにより、情報記録媒体の耐久性を向上させることができる。
【0040】
また、
図4に示すように、第2領域12は、将来の情報記録媒体10の規格拡張において使用するための予備領域123を有することが望ましい。すなわち、第2領域12は、制御情報以外の情報を記録可能な空領域を有することが望ましい。
【0041】
上記のとおり、傷や汚れ等の影響を受けにくくするため、複数の制御情報は離れて存在することが望ましい。そのため、予備領域123は、制御情報が記録されている箇所の間に位置することが望ましい。
【0042】
複数の制御情報が記録できるように、また、予備領域123を有することができるように、第2領域の記録容量は、第1領域の記録容量(第1領域に記録されている媒体識別情報のデータ量)より多くすることが好ましい。
【0043】
<実施形態3>
本発明の実施形態3について
図5〜
図7に基づいて説明すると以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態1において示した部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0044】
図5および
図6に示すように、実施形態3に係る情報記録媒体20は、実施形態1と異なり、第1領域21、第2領域22およびデータ領域24に加え、さらに線密度を変更するための第3領域23を有する。情報記録媒体20には、その内周側から外周側に向かって、第1領域21、第3領域23、第2領域22、データ領域24が順に配置されている。ただし、各領域の位置関係はこれに限るものではなく、任意である。
【0045】
第3領域23は、第1領域21と第2領域22の間に位置し、低い記録線密度から、高い記録線密度へピット長を変更するための領域である。
図7に、第3領域23におけるピットのピット長の一例を示す。第3領域23では、図示のように、トラック方向を進むにしたがって、チャネルビット長が短くなる。
【0046】
第1領域21と第2領域22の間に位置し、低い記録線密度から、高い記録線密度へピット長を変更するための第3領域23を含むことにより、光ディスク装置は、記録線密度に対応した再生速度の切り替えを容易に行うことができる。
【0047】
なお、第3領域23の面積は、第1領域21の面積よりも小さいことが望ましい。これにより、第1領域21へのアクセス、および、媒体識別情報の認識が容易になる。
【0048】
また、第2領域22は、第3領域23とデータ領域24との間に位置することが望ましい。これにより、第3領域23で高い記録線密度に対応した再生速度に変更した後に、その記録線密度のままで、第2領域22、データ領域24の順に再生することができ、光ディスク装置の線密度変更による処理負担がなくなる。
【0049】
なお、実施形態3に係る情報記録媒体20も、実施形態2で示したように、第2領域22に複数の制御情報が記録されていてもよい。
【0050】
<実施形態4>
本発明の実施形態4について
図8〜
図10に基づいて説明すると以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態1において示した部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0051】
実施形態4に係る情報記録媒体30は、実施形態1と異なり、記録層を複数有する。その他の構成は実施形態1と同様であり、
図8に示すように、情報記録媒体30は、第1領域31、第2領域32およびデータ領域33を有する。
【0052】
例えば、
図9に示すように、情報記録媒体30は、記録層を2層(L0層およびL1層)有していてもよい。このとき、
図10に示すように、第1領域31に記録されている媒体識別情報は、情報記録媒体30の記録層の数を示す層情報、および、各領域の基準アドレスを示す基準アドレス情報を含む。基準アドレスは、各記録層および、記録層内の各領域の最初のアドレスもしくは最後のアドレスの何れか、またはそれら両方を含むものである。
【0053】
なお、媒体識別情報は、各記録層に記録されていてもよいし、何れかの記録層に記録されていてもよい。各記録層に記録されていれば、どの記録層に光ディスク装置がアクセスしても、媒体識別情報を認識することができる。
【0054】
情報記録媒体30が複数記録層を有しており、媒体識別情報に層情報が記録されていれば、光ディスク装置は、媒体識別情報を認識することによって、所望の情報が記録されている記録層に容易に層間移動することができる。
【0055】
さらに、媒体識別情報に、第2領域32および/またはデータ領域33の基準アドレスを示す基準アドレス情報が記録されている場合、光ディスク装置は、その情報を認識することにより、第2領域32およびデータ領域33において、所望の情報が記録されているアドレスに容易に移動することができる。
【0056】
なお、実施形態4に係る情報記録媒体30も、実施形態2で示したように、第2領域22に複数の制御情報が記録されていてもよい。さらに、実施形態4に係る情報記録媒体30も、実施形態3で示したように、第3領域を有していてもよい。
【0057】
<実施形態5>
実施形態5では、本発明の一態様に係る情報記録媒体の記録・再生を行う光ディスク装置について
図11および
図12に基づいて説明する。
【0058】
(光ディスク装置の構成)
まず、
図11に基づき、実施形態5に係る光ディスク装置40の構成について説明する。光ディスク装置40は、情報記録媒体10、20、30等の大容量情報記録媒体の再生を行う装置である。すなわち、光ディスク装置40は、大容量情報記録媒体用の光ディスク装置である。
【0059】
図11は、光ディスク装置40の概略構成を示す機能ブロック図である。
図11に示すように、光ディスク装置40は、主として、ディスク装填認識部41、再生回路群42、光ピックアップ43、スピンドルモータ44および制御部45を含んでいる。
【0060】
光ピックアップ43は、さらに光ヘッド51およびアクチュエータ52を含んでいる。
【0061】
また、再生回路群42は、さらに、ピックアップ駆動回路61、レーザ駆動回路62、再生回路63、アクチュエータ駆動回路64、およびスピンドルモータ駆動回路65を含んでいる。
【0062】
ディスク装填認識部41は、情報記録媒体10等の装填および排出を検出するためのものであり、例えば、各種センサが例示できるが、情報記録媒体10等の装填および排出を検出できるものであれば、どのようなセンサを用いても良い。
【0063】
ピックアップ駆動回路61は、光ピックアップ43を駆動させるものである。レーザ駆動回路62は、光ヘッド51を制御するものである。再生回路63は、光ヘッド51から取得した再生光を再生信号に変換するものである。アクチュエータ駆動回路64は、アクチュエータを駆動するものである。スピンドルモータ駆動回路65は、スピンドルモータを駆動させるものである。
【0064】
光ヘッド51は、情報記録媒体10にレーザ光を照射し、情報記録媒体10から反射して得られた再生光を再生回路63に出力する。アクチュエータ52は、光ヘッド51を移動させるものである。
【0065】
スピンドルモータ44は、情報記録媒体10を回転させるものである。
【0066】
制御部45は、光ディスク装置40が備える各部、特に、再生回路群42の各部を統括的に制御するものである。
【0067】
(光ディスク装置の再生処理)
次に、光ディスク装置40が実行する再生処理について
図12に基づいて説明する。
図12は、光ディスク装置40が実行する再生処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、光ディスク装置40が情報記録媒体10を再生する処理について説明する。
【0068】
図12に示すように、まず、スピンドルモータ44を第1領域11の記録線密度に応じた再生速度に設定する。そして、光ピックアップおよびアクチュエータを駆動させて、光ヘッド51を第1領域11にアクセスさせる(S1)。光ヘッド51が第1領域11からの再生光を取得し、制御部45は、再生回路63からの再生信号に基づいて、第1領域の媒体識別情報を認識する(S2:媒体認識ステップ)。これにより、制御部45は、第2領域12およびデータ領域13の記録線密度が高いことを認識する。
【0069】
次に、第2領域12の記録線密度に応じた再生速度に設定し、光ヘッド51が第2領域12にアクセスする(S3)。制御部45は、第2領域12の制御情報を認識する(S4:再生ステップ)。そして、制御部45は、制御情報に基づいて、データ領域13のアクセス可否を判定する(S5)。
【0070】
データ領域13へアクセス可能な場合、光ヘッド51がデータ領域13にアクセスし(S6)、データ領域の情報(ユーザデータ)を再生する(S7:再生ステップ)。一方、データ領域13へアクセスできない場合、再生処理を終了する。再生処理の終了は、表示部にエラーメッセージの表示を行う等により、ユーザへ知らせる。
【0071】
情報記録媒体10において、第1領域11とデータ領域13の間に配置される第2領域12に対して、第1領域11の面積が大きいため、光ディスク装置40による第1領域11へのアクセスが容易となり、第1領域11に記録されている媒体識別情報の認識が容易となる。
【0072】
また、第2領域12は、第1領域11とデータ領域13の間に配置されているため、光ディスク装置は、第1領域11の媒体識別情報の認識、その認識による第2領域12の記録線密度に応じた再生速度の設定、第2領域12の制御情報の認識、その認識によるデータ領域13へのアクセス可否の判断、データ領域13へのアクセス、を光ディスクの半径方向に沿って順番に実施することができる。
【0073】
なお、第2領域12の制御情報は、データ領域13全体のアクセス可否を判定するための情報であってもよく、データ領域13のうち特定の領域へのアクセス可否を判定するための情報であってもよい。また、第2領域12の制御情報は、データ領域13以外のある特定の領域へのアクセス可否を判定するための情報を含んでいてもよい。
【0074】
光ディスク装置40は、第1領域11の媒体対識別情報を認識すれば、第2領域12およびデータ領域13の記録線密度が高いことが認識できるため、その記録線密度に応じた再生速度の設定が可能になり、それらの領域の情報を的確に再生することができる。
【0075】
また、情報記録媒体10が複数層からなり、媒体識別情報に層情報が記録されている場合、S6において、光ヘッド51は、層情報に基づいて、第2領域の情報、および/または、データ領域の情報の記録されている層に層間移動する。
【0076】
さらに、媒体識別情報に、第2領域および/またはデータ領域の基準アドレスを示す基準アドレス情報が記録されている場合、S6において、光ヘッド51は、基準アドレス情報に基づいて、第2領域の情報、および/または、データ領域の情報の記録されているアドレスに移動する。
【0077】
なお、小容量情報記録媒体用の再生装置が情報記録媒体10を再生する場合についても説明する。この場合、第1領域11に低い記録線密度で媒体識別情報が記録されているため、小容量情報記録媒体用の再生装置でも、媒体識別情報を認識することができる。そして、小容量情報記録媒体用の再生装置は、媒体識別情報に基づいて、第2領域12およびデータ領域の記録線密度を認識する。ここで、小容量情報記録媒体用の再生装置は、第2領域12およびデータ領域の記録線密度に対応していないため、情報記録媒体10を再生不可能であると判定し、再生処理を終了する。
【0078】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る情報記録媒体は、情報記録媒体の構造を示す媒体識別情報を含む第1領域と、任意のユーザデータが記録可能なまたは記録済みのデータ領域と、前記第1領域と前記データ領域との間に位置する、情報記録媒体上の領域に対する装置のアクセス可否を示す制御情報を含む第2領域と、を有する情報記録媒体であって、前記第1領域の面積は、前記第2領域の面積より大きい。
【0079】
上記の構成によれば、情報記録媒体を大容量化した場合であっても、第1領域の面積を十分に確保でき、光ディスク装置が第1領域にアクセスしようとして、第1領域とデータ領域の間に配置されている第2領域に誤ってアクセスする可能性が低くなり、その結果、媒体の構造の認識処理に時間がかかること、認識処理のリトライ回数増加や、媒体の認識自体が不可能になることを低減させることができる。すなわち、情報記録媒体の記録再生装置が第1領域へのアクセス、および、媒体識別情報の認識を容易に実行することができる。
【0080】
本発明の態様2に係る情報記録媒体は、上記態様1において、前記第2領域の記録容量は、前記第1領域の記録容量より多くしてもよい。
【0081】
上記の構成によれば、第2領域の記録容量を多くすることにより、第2領域に将来の拡張のための予備領域を設けることができる。
【0082】
本発明の態様3に係る情報記録媒体は、上記態様1または2において、前記第1領域の記録線密度は、前記第2領域の記録線密度より低くてもよい。
【0083】
上記の構成によれば、第2領域の記録線密度に対応していない記録再生装置であっても、第1領域へのアクセスが可能になり、媒体識別情報を容易に認識することができる。そのため、記録再生装置が媒体識別情報の認識処理のリトライを繰り返したり、記録再生装置がフリーズしたりする不具合を抑制することができる。
【0084】
また、第2領域の記録線密度を第1領域の記録線密度より高くすることで、第2領域の記録容量を多くすることができる。
【0085】
本発明の態様4に係る情報記録媒体は、情報記録媒体の構造を示す媒体識別情報を含む第1領域と、ユーザデータが記録可能なまたは記録済みのデータ領域と、前記第1領域と前記データ領域との間に位置する、情報記録媒体上の領域に対する装置のアクセス可否を示す制御情報を含む第2領域と、を有する情報記録媒体であって、前記第1領域のトラック数は、前記第2領域のトラック数より多い。
【0086】
上記の構成によれば、情報記録媒体を大容量化した場合であっても、第1領域のトラック数を十分に確保でき、光ディスク装置が第1領域にアクセスしようとして、第1領域とデータ領域の間に配置されている第2領域に誤ってアクセスする可能性が低くなり、その結果、媒体の構造の認識処理に時間がかかること、認識処理のリトライ回数増加や、媒体の認識自体が不可能になることを低減させることができる。すなわち、情報記録媒体の記録再生装置が第1領域へのアクセス、および、媒体識別情報の認識を容易に実行することができる。
【0087】
本発明の態様5に係る情報記録媒体の再生方法は、上記態様1〜4の何れかに係る情報記録媒体を再生する再生方法であって、前記第1領域に記録されている媒体識別情報を認識する媒体認識ステップと、前記第2領域に記録されている情報、および/または、前記データ領域に記録されている情報を再生する再生ステップと、を含んでいてもよい。
【0088】
上記の構成によれば、第1領域の媒体識別情報を認識し、その情報に基づいて、第2領域、および/または、データ領域の所望に位置にアクセスでき、記録されている所望の情報に容易にアクセスすることができる。
【0089】
本発明の態様6に係る情報記録媒体は、上記態様3において、前記第1領域と前記第2領域の間に、記録線密度が前記第1領域の記録線密度から前記第2領域の記録線密度へと変化する第3領域をさらに有してもよい。
【0090】
第1領域と第2領域とで記録線密度が異なるため、情報記録媒体の記録再生装置は、記録線密度に対応した記録再生速度の切り替えを行う必要がある。
【0091】
上記の構成によれば、記録線密度が前記第1領域の記録線密度から前記第2領域の記録線密度へと変化する第3領域を含むことにより、記録再生装置は、記録線密度に対応した再生速度の切り替えを容易に行うことができる。
【0092】
本発明の態様7に係る情報記録媒体は、上記態様1〜4の何れかにおいて、前記媒体識別情報は、情報記録媒体の層の数を示す層情報を含んでいてもよい。
【0093】
上記の構成によれば、情報記録媒体の記録再生装置は、所望の情報が記録されている層に容易にアクセスすることができる。
【0094】
本発明の態様8に係る情報記録媒体は、上記態様2において、前記第2領域は、将来の拡張のための予備領域を含んでいてもよい。すなわち、本発明の態様8に係る情報記録媒体は、上記態様2において、前記第2領域は、前記制御情報以外の情報を記録可能な空領域を含んでいてもよい。
【0095】
上記の構成によれば、第2領域12は、将来の情報記録媒体の規格拡張において使用するための予備領域を確保できる。また、予備領域を、制御情報が記録されている箇所の間に位置させることにより、複数の制御情報を離れて存在させることができ、一つの制御情報が傷や汚れ等の影響を受けても、他の制御情報への影響を回避しやすくなるという効果を奏する。
【0096】
本発明の態様9に係る情報記録媒体は、上記態様6において、前記第3領域の面積は、前記第1領域よりも小さくてもよい。
【0097】
上記の構成によれば、第3領域に対して、第1領域の面積を十分に確保でき、情報記録媒体の記録再生装置が第1領域へのアクセス、および、媒体識別情報の認識を容易に実行することができる。
【0098】
本発明の態様10に係る情報記録媒体は、上記態様6において、前記第2領域は、前記第3領域と前記データ領域に隣接していてもよい。
【0099】
上記の構成によれば、第3領域で高い記録線密度に対応した再生速度に変更した後に、その記録線密度のままで、第2領域、データ領域の順に再生することができ、光ディスク装置の線密度変更による処理負担がなくなる。
【0100】
本発明の態様11に係る情報記録媒体は、上記態様1〜5の何れかにおいて、前記媒体識別情報は、前記第2領域、および/または、前記データ領域の基準アドレスを示す基準アドレス情報を含んでいてもよい。
【0101】
上記の構成によれば、光ディスク装置は、媒体識別情報の読み取り後、第2領域、および/または、データ領域にアクセスするためのアドレスの指定を素早く行うことができ、各領域へのアクセスが容易になる。
【0102】
本発明の態様12に係る情報記録媒体の再生方法は、上記態様5において、前記情報記録媒体から当該情報記録媒体の層の数を示す層情報を認識する層認識ステップと、前記層情報に基づいて、前記第2領域の情報、および/または、前記データ領域の情報の記録されている層に層間移動する層間移動ステップと、前記第2領域の情報、および/または、前記データ領域の情報を再生する再生ステップと、を有していてもよい。
【0103】
上記の構成によれば、情報記録媒体の層の数を示す層情報を認識し、その情報に基づいて、所望の層の、第2領域、および/または、データ領域に素早くアクセスでき、記録されている所望の情報に容易にアクセスすることができる。なお、層情報は、第1領域の媒体識別情報に含まれていても良い。また、媒体識別情報は、各層の各領域の基準アドレスを示す基準アドレス情報を含んでいても良い。
【0104】
本発明の態様13に係る情報記録媒体の再生方法は、上記態様5において、前記第2領域、および/または、前記データ領域の基準アドレスを示す基準アドレス情報を情報記録媒体から認識するアドレス認識ステップと、前記基準アドレス情報に基づいて、前記第2領域の情報、および/または、前記データ領域の情報の記録されているアドレスに移動するアドレス移動ステップと、前記第2領域の情報、および/または、前記データ領域の情報を再生する再生ステップと、を有していてもよい。
【0105】
上記の構成によれば、媒体識別情報に、各領域の基準アドレスを示す基準アドレス情報を含んでいれば、光ディスク装置は、媒体識別情報を読み取った上で、第2領域およびデータ領域にアクセスするためのアドレスの指定を素早く行うことができ、各領域へのアクセスが容易になる。
【0106】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。