(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6618503
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】車両用照射装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/24 20060101AFI20191202BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20191202BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20191202BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20191202BHJP
【FI】
B60Q1/24 D
F21V5/04 100
F21V5/00 510
F21Y115:10
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-79172(P2017-79172)
(22)【出願日】2017年4月12日
(65)【公開番号】特開2018-176987(P2018-176987A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2018年5月24日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】中山 湧斗
(72)【発明者】
【氏名】横山 一幸
【審査官】
杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】
欧州特許出願公開第01488954(EP,A1)
【文献】
実開昭60−158605(JP,U)
【文献】
特開2012−099409(JP,A)
【文献】
特開2004−356512(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/087838(WO,A1)
【文献】
国際公開第2006/033184(WO,A1)
【文献】
特開2010−132047(JP,A)
【文献】
特開2006−111128(JP,A)
【文献】
特開2008−132875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/24
F21V 5/00
F21V 5/04
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられる設置部材内に設けられ、光を放射する放射部と、
前記放射部の車両下側に配置されると共に、前記放射部を囲む反射面が設けられ、前記放射部が放射した光を前記反射面が中心軸線側に反射すると共に、前記反射面が反射した光を車両下側に照射する照射体と、
前記照射体に設けられると共に、車両上側に凹状にされ、かつ、前記設置部材に車両下側へ向かうに従い拡径されて設けられる照射孔に内部が連通されて前記設置部材の車両下側に露出され、前記反射面が反射した光を前記照射体の車両下側に照射する照射面と、
を備える車両用照射装置。
【請求項2】
前記照射体に前記反射面の中心軸線側において設けられると共に、車両上側に凸状にされ、前記放射部が放射した光が入射される入射面を備える請求項1記載の車両用照射装置。
【請求項3】
前記放射部が前記反射面の内側に配置される請求項1又は請求項2記載の車両用照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射部が放射した光を照射体が照射する
車両用照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のドアミラーでは、ランプの下側にレンズが配置されており、ランプが放射した光をレンズが下側に照射する。また、レンズの内面(上面)に断面三角形状のステップが複数形成されており、複数のステップは互いに平行に延在された状態で等間隔に配置されている。
【0003】
ここで、このようなドアミラーでは、ランプが放射した光をレンズが効率良く集光できるのが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−132875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、放射部が放射した光を照射体が効率良く集光できる
車両用照射装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の
車両用照射装置は、車両に設けられ、光を放射する放射部と、前記放射部の一側に配置されると共に、前記放射部を囲む反射面が設けられ、前記放射部が放射した光を前記反射面が中心側に反射すると共に、前記反射面が反射した光を一側に照射する照射体と、を備える。
【0007】
請求項1に記載の
車両用照射装置は
、前記照射体に設けられると共に、他側に凹状にされ、前記反射面が反射した光を前記照射体の一側に照射する照射面を備える。
【0008】
請求項2に記載の
車両用照射装置は、
請求項1に記載の
車両用照射装置において、前記照射体に前記反射面の中心側において設けられると共に、他側に凸状にされ、前記放射部が放射した光が入射される入射面を備える。
【0009】
請求項3に記載の
車両用照射装置は、請求項1
又は請求項2に記載の
車両用照射装置において、前記放射部が前記反射面の内側に配置される。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の
車両用照射装置では、車両において、放射部の一側に照射体が配置されている。
【0011】
ここで、照射体に反射面が設けられると共に、反射面が放射部を囲んでおり、放射部が放射した光を反射面が中心側に反射すると共に、反射面が反射した光を照射体が一側に照射する。このため、放射部が放射した光を照射体が反射面によって効率良く集光できる。
【0012】
請求項1に記載の
車両用照射装置では、照射体に照射面が設けられており、反射面が反射した光を照射面が照射体の一側に照射する。
【0013】
ここで、照射面が他側に凹状にされている。このため、反射面が反射して照射面が照射体の一側に照射した光の集束点を照射体に接近させることができる。
【0014】
請求項2に記載の
車両用照射装置では、照射体に反射面の中心側において入射面が設けられており、放射部が放射した光が入射面に入射される。
【0015】
ここで、入射面が他側に凸状にされている。このため、入射面に入射された光を反射面の中心側に効果的に屈折させることができ、放射部が放射した光を照射体が一層効率良く集光できる。
【0016】
請求項3に記載の
車両用照射装置では、放射部が反射面の内側に配置される。このため、放射部が放射した光を反射面が効率良く反射でき、放射部が放射した光を照射体が一層効率良く集光できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態における車両用ドアミラー装置を示す車両後方から見た正面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る車両用ランプ装置を示す車両後方から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1には、本発明の実施形態に係る車両用ランプ装置10(
車両用照射装置)が設置された車両用ドアミラー装置12(設置体)が車両後方から見た正面図にて示されている。なお、図面では、車幅方向外方(車両右方)を矢印OUTで示し、上方を矢印UPで示している。
【0019】
本実施形態における車両用ドアミラー装置12は、車両のドアとしてのサイドドア(特にフロントサイドドア)の上下方向中間部かつ車両前側端における車両外側に設けられている。
【0020】
図1に示す如く、車両用ドアミラー装置12は、固定部材としてのステー14を備えており、ステー14の車幅方向内側端がサイドドア(車体側)に固定されることで、車両用ドアミラー装置12がサイドドアに設置されている。
【0021】
ステー14の車幅方向外側部分には、設置部材としての樹脂製で略直方体形容器状のバイザ16が支持されており、バイザ16は、ステー14の車幅方向外側に突出されると共に、光を透過不能にされている。バイザ16の車両後側壁には、略矩形状の開口18が貫通形成されており、開口18は、バイザ16内を車両後側に開放させている。バイザ16の下壁には、略円錐台状の照射孔20(
図2参照)が貫通形成されており、照射孔20は、バイザ16内を下側に開放させると共に、下側へ向かうに従い拡径されている。
【0022】
バイザ16内には、視認手段としての略矩形板状のミラー22が支持されている。ミラー22は、バイザ16内の開口18近傍に配置されており、ミラー22は、開口18を略閉鎖している。ミラー22の鏡面22Aは、車両後側に向けられており、これにより、ミラー22が、車両の乗員(特に運転手)の車両後側の視認を可能にして、乗員の視認を補助している。
【0023】
バイザ16内には、照射孔20の上側において、車両用ランプ装置10(足元ランプ装置)が設置されている。
【0024】
図2に示す如く、車両用ランプ装置10には、支持体としての略直方体形箱状のハウジング24が設けられており、ハウジング24は、バイザ16内に固定されると共に、内部が下側に開放されている。
【0025】
ハウジング24内には、制御手段としての平板状の回路基板26が設けられており、回路基板26は、ハウジング24の上壁に固定されている。回路基板26の下面には、放射部としての略直方体状のLED28が固定されており、LED28は、バイザ16の照射孔20と同軸上に配置されると共に、回路基板26に電気的に接続されている。LED28は、所定の機会に、回路基板26の制御により発光して、下側へ円錐状に光を放射可能にされており、LED28が放射する光は、LED28と同軸上にされると共に、所定の指向角(頂角)にされている。
【0026】
ハウジング24の下側には、照射体としての略直方体形箱状のレンズ30が固定されており、レンズ30は、内部が上側に開放されると共に、ハウジング24内を下側から閉塞している。レンズ30は、透明な樹脂製(例えばポリカーボネート製)にされており、レンズ30は、光を透過可能にされている。
【0027】
レンズ30の下壁(底壁)には、略半球壁状の集光部32が形成されており、集光部32は、上側(レンズ30の内側)に突出されると共に、LED28と同軸上に配置されている。
【0028】
集光部32の上部には、略逆円錐台状の入射凹部34が同軸上に形成されており、入射凹部34は、上側に開放されている。入射凹部34の下面(頂面)は、球面状の入射面34Aにされており、入射面34Aは、上側に凸状に湾曲されると共に、集光部32と同軸上に配置されている。入射凹部34の周面(側面)は、略逆円錐面状の透過面34Bにされており、透過面34Bの下端は、入射面34Aの外周と一体にされている。透過面34Bは、集光部32と同軸上に配置されており、透過面34Bは、上側へ向かうに従い拡径されると共に、軸方向において凹状に湾曲されている。透過面34Bの内側には、LED28の下側部分が挿入されており、LED28が放射した光の全部は、入射面34A及び透過面34Bから集光部32に入射される。
【0029】
集光部32の周面(側面)は、略円錐面状の反射面36にされており、反射面36は、上端が透過面34Bの上端と一体にされると共に、下端がレンズ30の下壁上面と一体にされている。反射面36は、集光部32と同軸上に配置されており、反射面36は、下側へ向かうに従い拡径されると共に、軸方向において凸状に湾曲されている。反射面36は、透過面34Bの下側まで延出されており、入射面34Aから集光部32に入射された光の一部及び透過面34Bから集光部32に入射された光の全部は、反射面36によって集光部32の中心軸線側に反射(全反射)される。
【0030】
集光部32の下面(内面)は、球面状の照射面38にされており、照射面38は、上側に凹状に湾曲されると共に、集光部32と同軸上に配置されている。照射面38の下端は、レンズ30の下壁下面と一体にされており、照射面38内は、レンズ30の下側に開放されている。照射面38の曲率は、入射面34Aの曲率に対し小さくされており、照射面38は、入射面34A、透過面34B及び反射面36の下側に配置されている。照射面38の下端は、反射面36の下端の径方向内側近傍に配置されており、入射面34Aから集光部32に入射された光の略全部及び反射面36によって反射された光の全部は、照射面38から下側に照射(出射)される。
【0031】
照射面38内は、バイザ16の照射孔20に連通されており、照射面38の下端部は、照射孔20の周面と面一にされている。このため、照射面38から下側に照射された光の全部が、照射孔20を通過されて、バイザ16の下側の地面に照射されることで、当該地面が照明される。また、反射面36によって反射されて照射面38から下側に照射された光は、バイザ16の近傍において逆円錐状に集束された後に円錐状に拡散されて、当該地面に照射される。さらに、入射面34Aから集光部32に入射されて直接(反射面36によって反射されずに)照射面38から下側に照射された光は、円錐状に拡散されて、当該地面に照射される。
【0033】
以上の構成の車両用ドアミラー装置12では、車両用ランプ装置10において、LED28の下側(一側)にレンズ30の集光部32が配置されており、LED28が下側へ円錐状に光を放射した際に、当該光が、集光部32の入射面34A及び透過面34Bからレンズ30に入射されて、集光部32の照射面38から下側に照射される。このため、照射面38から下側に照射された光が、バイザ16の照射孔20を通過されて、バイザ16の下側の地面に照射されることで、当該地面が照明される。
【0034】
ここで、集光部32の反射面36が集光部32の中心軸線(LED28の中心軸線)の全周を囲んでおり、LED28が放射して入射面34A及び透過面34Bからレンズ30に入射された光を反射面36が集光部32の中心軸線側に反射すると共に、反射面36が反射した光が照射面38から下側に照射される。このため、LED28が放射した光を集光部32が反射面36によって照射面38に効率良く集光でき、LED28が放射しても照射面38から下側に照射されない光の量を減少させることができる。これにより、車両用ランプ装置10による地面の照明光量を多くできると共に、LED28の発光量を小さくできることでLED28を小型化できてコストを低減できる。
【0035】
また、照射面38が上側(他側)に凹状に湾曲されている。このため、照射面38からの光の照射位置を上側に配置でき、反射面36が反射して照射面38から下側に照射された光の集束点(焦点)をレンズ30に接近させることができる。これにより、当該光を集束後に効果的に拡散させることができて、車両用ランプ装置10による地面の照明範囲を大きくできる。さらに、バイザ16の照射孔20における当該光の通過面積を小さくでき、照射孔20を小さくできて、バイザ16の見栄えを向上できる。しかも、照射面38が凹状にされているため、照射面38に異物が接触することを抑制できて、照射面38の損傷を抑制できる。また、照射面38が凹状に湾曲されているため、集光部32の入射面34Aと照射面38との間における肉厚の変化を抑制でき、集光部32の成形時に入射面34A及び照射面38にヒケが発生することを抑制できる。
【0036】
さらに、入射面34Aが上側に凸状に湾曲されている。このため、入射面34Aに入射された光を集光部32の中心軸線側に効果的に屈折させることができて、当該光を照射面38に効率良く集光でき、照射面38から下側に照射されない当該光の量を減少させることができて、車両用ランプ装置10による地面の照明光量を一層多くできる。
【0037】
また、LED28の下側部分が透過面34Bの内側(反射面36の内側)に配置されている。このため、LED28が放射した光が透過面34B及び反射面36の上側を通過することを抑制でき、当該光を反射面36が効率良く反射できて、当該光を集光部32が照射面38に一層効率良く集光できる。
【0038】
さらに、レンズ30の集光部32に入射面34A、透過面34B、反射面36及び照射面38が形成されるのみにされて、集光部32の形状が単純化されている。このため、レンズ30を成形する金型を容易に製作できて、コストを低減できる。
【0039】
なお、本実施形態では、反射面36を集光部32の全周に設けた。しかしながら、反射面36は集光部32の中心軸線(LED28の中心軸線)を囲んでいればよく、反射面36を集光部32の周方向の一部に設けなくてもよい。
【0040】
さらに、本実施形態では、反射面36が反射して照射面38から下側に照射された光の集束点より上側にバイザ16の照射孔20を配置した。しかしながら、光の集束点にバイザ16の照射孔20を配置してもよく、これにより、照射孔20を一層小さくできる。
【0041】
また、本実施形態では、LED28の下側部分を透過面34Bの内側(反射面36の内側)に配置した。しかしながら、LED28の全体を透過面34Bの内側に配置してもよく、また、LED28の全体を透過面34Bの外側(上側)に配置してもよい。
【0042】
さらに、本実施形態では、LED28が放射した光の全部が入射面34A及び透過面34Bに入射される。しかしながら、LED28が放射した光の一部が透過面34Bの上側を通過してもよい。
【0043】
また、本実施形態では、照射面38の曲率を入射面34Aの曲率に対し小さくした。しかしながら、照射面38の曲率を入射面34Aの曲率に対し同一にしてもよく又は大きくしてもよい。さらに、照射面38を平面状にしてレンズ30の下壁下面と面一にしてもよい。
【0044】
また、本実施形態では、車両用ランプ装置10を車両用ドアミラー装置12に設置した。しかしながら、車両用ランプ装置10は、車両の内側及び外側における何れの位置に設置してもよい。
【符号の説明】
【0045】
10 車両用ランプ装置(
車両用照射装置)
28 LED(放射部)
30 レンズ(照射体)
34A 入射面
36 反射面
38 照射面