特許第6618508号(P6618508)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アース製薬株式会社の特許一覧

特許6618508歯牙又は歯垢への色素付着を防止する方法及び色素付着防止剤
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6618508
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】歯牙又は歯垢への色素付着を防止する方法及び色素付着防止剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/24 20060101AFI20191202BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   A61K8/24
   A61Q11/00
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-108297(P2017-108297)
(22)【出願日】2017年5月31日
(65)【公開番号】特開2018-203651(P2018-203651A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2018年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100539
【氏名又は名称】アース製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土居 史人
(72)【発明者】
【氏名】阪梨 健太
(72)【発明者】
【氏名】浅井 梨加
【審査官】 小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−281548(JP,A)
【文献】 特開2001−247438(JP,A)
【文献】 特開2000−247851(JP,A)
【文献】 特開昭57−188510(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0377194(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 11/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
色素を含有する液体口腔用組成物に、テトラポリリン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1種のリン酸化合物を含有させ、
前記色素と前記リン酸化合物を含有した液体口腔用組成物を歯表面に適用することを特徴とする、歯牙又は歯垢への色素付着を防止する方法。
【請求項2】
前記色素がタール系色素であることを特徴とする、請求項1に記載の歯牙又は歯垢への色素付着を防止する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯牙又は歯垢への色素付着を防止する方法及び色素付着防止剤に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔用組成物には多くの添加剤が配合され、しばしば製品の美観や、製剤計量時の視認性を高めるために色素成分が配合されている。
【0003】
例えば、歯垢等の口腔内付着物に対し色素成分を効率的に付着させて、歯垢と口腔内組織とを識別できるように構成された口腔用組成物として、ラッカイン酸または銅クロロフィル塩類を主成分とする歯垢染色剤が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、製品の美観を改善するために色素が配合された口腔用組成物は、色素により着色された組成物の色が視認できるように透明容器に充填することがなされるが、色素は光が当たると退色しやすくなるため、組成物中における色素の退色を防止する技術が種々提案されている(特許文献2、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭54−56629号公報
【特許文献2】特開平08−081344号公報
【特許文献3】特開2006−219418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
洗口剤として使用される液体口腔用組成物において、近年のオーラルケア意識の高まりに伴い、その使用が増加しているが、液体口腔用組成物の使用頻度によっては口腔内粘膜、プラーク等の口腔内付着物、歯牙組織等に液体口腔用組成物中の色素が付着し、審美上の問題を引き起こすことがある。
【0007】
上記したように、製品の美観を改善するために液体口腔用組成物の色調を調整することはなされているが、液体口腔用組成物に含有された色素による歯牙や歯垢への着色を抑制し、審美性を高める検討はほとんどなされていない。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、液体口腔用組成物中の色素が歯牙又は歯垢に付着することを防止する方法、及び液体口腔用組成物中の色素の歯牙又は歯垢への付着を防止するための色素付着防止剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、色素を含有する液体口腔用組成物に、ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸及びそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種のリン酸化合物を含有させることにより、歯表面に適用した際に、色素の歯牙又は歯垢への付着が抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記<1>〜<3>に関するものである。
【0010】
<1>色素を含有する液体口腔用組成物に、ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸及びそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種のリン酸化合物を含有させ、前記色素と前記リン酸化合物を含有した液体口腔用組成物を歯表面に適用することを特徴とする、歯牙又は歯垢への色素付着を防止する方法。
<2>前記色素がタール系色素であることを特徴とする、<1>に記載の歯牙又は歯垢への色素付着を防止する方法。
<3>色素を含有する液体口腔用組成物の歯牙又は歯垢への色素付着を防止するための色素付着防止剤であって、ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸及びそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種のリン酸化合物からなることを特徴とする、色素付着防止剤。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、液体口腔用組成物中の色素が歯牙又は歯垢に付着することを防止することができるので、液体口腔用組成物の美感を保ちつつ、口腔内の審美性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳述するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものであり、本発明はこれらの内容に特定されるものではない。
【0013】
本発明の歯牙又は歯垢への色素付着を防止する方法は、色素を含有する液体口腔用組成物に、ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸及びそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種のリン酸化合物(以下、本明細書において「特定のリン酸化合物」と称することがある。)を色素付着防止剤として含有させ、前記色素と前記リン酸化合物を含有した液体口腔用組成物を歯表面に適用することを特徴とする。
【0014】
本発明では、色素を含有する液体口腔用組成物に、色素付着防止剤として特定のリン酸化合物を含有させることにより、前記色素と特定のリン酸化合物を含有した液体口腔用組成物を洗口剤等として口腔内に含んだとき、色素成分と歯牙又は歯垢の間に働く静電的相互作用や疎水的相互作用を十分に阻害するため、歯牙又は歯垢に色素が付着するのを防止することが可能となる。
【0015】
前記したリン酸の塩としては、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩等)、アンモニウム塩等が挙げられ、これらの中でも、香味や入手容易性の観点から、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
【0016】
本発明においては、特定のリン酸化合物の中でも、歯牙への色素付着をより抑制できることから、トリポリリン酸塩、テトラポリリン酸塩がより好ましく、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウムがさらに好ましい。
また、これらの中でも、液体口腔用組成物中の色素の退色を抑制する観点から、テトラポリリン酸ナトリウムが最も好ましい。
【0017】
液体口腔用組成物中の、特定のリン酸化合物の含有量は、好ましくは0.01w/v%以上であり、より好ましくは0.05w/v%以上である。また、当該含有量は、好ましくは5w/v%以下であり、より好ましくは1w/v%以下である。
【0018】
当該含有量が0.01w/v%未満であると、十分な色素付着防止効果を得ることができない。また、当該含有量が5w/v%を超えると、特定のリン酸化合物によるえぐみが強く感じられ使用感が著しく低下するとともに、低温保管時に塩の析出等を生じやすくなる。
【0019】
液体口腔用組成物中の色素としては、例えば、アゾ系色素、ニトロソ系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、アントラキノン系色素、インジゴ系色素等のタール系色素、カロテノイド系色素、フラボノイド系色素等が挙げられる。また、クシナシ色素、カロチン色素、ベニバナ色素、アントシアニン、ベニコウジ色素などの天然色素も使用することができる。
これらの中でも、常温で水に可溶で安定性が高いことから、タール系色素が好ましい。
【0020】
タール系色素としては、例えば、青色1号、青色2号、青色201号、青色403号、黄色4号、黄色5号、黄色203号、赤色2号、赤色3号、赤色40号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、赤色227号、緑色3号、緑色201号等が挙げられ、これらの中でも、特定のリン酸化合物による色素付着防止効果が高くなることから、青色1号、黄色4号が好ましい。
これらの色素は、1種または2種以上を使用することができる。
【0021】
液体口腔用組成物中の色素の含有量は、0.000001〜0.1w/v%が好ましく、0.00001〜0.01w/v%がより好ましく、0.00005〜0.001w/v%がさらに好ましい。色素の含有量が0.000001w/v%未満であると、液体口腔用組成物を十分に着色することができず、0.1w/v%を超えると、液色が濃く暗くなり美観が低下するともに、凝集物を生じやすくなる。
【0022】
また、特定のリン酸化合物は、色素に対して、質量比で0.1〜5,000,000倍量含有することが好ましく、1〜50,000倍量含有することがより好ましく、10〜10,000倍量含有することがさらに好ましい。
【0023】
特定のリン酸化合物の含有量が、色素に対して、質量比で0.1倍量未満であると、十分な色素付着防止効果を得ることができない。また、質量比で5,000,000倍量を超えると、色素によっては塩析を生じ不溶化することがある。
【0024】
本発明の液体口腔用組成物は、色素や特定のリン酸化合物を組成物中に溶解させやすくするため、溶媒を配合することが好ましい。
本発明で使用する溶媒としては、口腔内に適用するという観点から、水を主体とした溶媒が好ましく、水よりも少ない量においては、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の20℃で液体である多価アルコール、エタノール等の炭素数2又は3の低級一価アルコール等の他の溶媒を含んでもよい。
上記水としては、精製水、イオン交換水、蒸留水等の水を用いることができる。
【0025】
前記多価アルコールは、湿潤剤として作用するため添加することが好ましく、その含有量は組成物全体の1〜20質量%、特に3〜15質量%であることが好ましい。
【0026】
前記低級一価アルコールは、添加する場合はその含有量が組成物全体の20質量%以下、特に10%質量以下であることが好ましい。低級一価アルコールは、使用時のすっきり感、清涼感を付与するのに好適であるが、含有量が20質量%を超えると刺激が強くなり使用感を低下させる場合がある。
【0027】
液体口腔用組成物には、その他、本発明の効果を損なわない限り、口腔内に適用できる各種成分を配合することができる。
【0028】
例えば、グリセリン、プロピレングリコール等の湿潤剤、ラウリル硫酸ナトリウム等の発泡剤、ステビオサイド、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、サッカリンナトリウム、スクラロース、トレハロース等の甘味料、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸クロルヘキシジン等の殺菌剤、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、プロテアーゼ等の酵素、フッ化ナトリウム、フルオロリン酸塩、フルオロホウ酸塩等のフッ素イオン源、リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、グルコン酸カルシウム等のカルシウム源、パラヒドロキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム等の防腐剤、ペパーミント油、ハッカ油、メントール、カルバクロール、ユーカリオイル、オイゲノール、アネトール、シネオール、ヒノキチオール等の精油成分、オウバクエキス、トウキエキス等の生薬、チモール、メントール等の香料、各種pH調整剤等が挙げられる。
【0029】
その他、塩化リゾチーム、グリチルリチン酸塩及びその誘導体、グリチルレチン酸塩及びその誘導体、アズレン、アズレンスルホン酸、ジヒドロコレステロール、エピジヒドロコレステリン、アラントイン、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、塩化ナトリウム、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、イプシロンアミノカプロン酸、トラネキサム酸、銅クロロフィリンナトリウム、ビタミン、アミノ酸等を配合することができる。
【0030】
また、液体口腔用組成物には、界面活性剤を用いることができる。
例えば、ポリオキシエチレン(POE)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン(POE・POP)ブロックポリマー、POE・POPアルキルエーテル、POEアルキルエーテル、POEアルキルフェニルエーテル、POE脂肪酸エステル、POE高級アルコールエーテル、POE・POP脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、POEアルキルエーテル硫酸塩、ラウロイルサルコシンナトリウム、ミリストイルサルコシンナトリウム、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルリン酸塩、POEアルキルエーテルリン酸塩、N−アシルタウリン塩、POEアルキルエーテルリン酸又はリン酸塩、スルホン酸塩等のアニオン性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド等のカチオン性界面活性剤、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の両性界面活性剤等が挙げられる。
【0031】
本発明の液体口腔用組成物は、常法により製造される。例えば、各成分を混合し、撹拌することにより得ることができ、所望により加熱等を行ってもよい。なお、各成分の含有量は、適宜調整することができる。
【0032】
本発明の液体口腔用組成物は、洗口剤や口中清涼剤として口腔内に適量を含み、歯表面に適用させて使用できる。また、リン酸水素カルシウム、水酸化アルミニウム、無水ケイ酸、炭酸カルシウム等の研磨剤を必要に応じて配合したものを含めて液体歯磨き剤として使用することもでき、液体歯磨き剤として使用する場合も同様に、口腔内に適量を含み、歯表面に適用させ、その後、歯ブラシでブラッシングすればよい。
【実施例】
【0033】
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
【0034】
[試験例1]
(実施例1〜3、比較例1〜4)
表1に記載の処方により、各成分を撹拌下、順次混合し、各組成物を調製した。
【0035】
得られた各組成物1mLと下記の付着基質モデル物質50mgを混合して混合液を作製した。
ハイドロキシアパタイト粉末:BioRad社製バイオゲルHTPを歯面モデル物質として使用した。
ケラチン粉末:東京化成工業株式会社製の試薬を口腔内角化上皮細胞モデル物質として使用した。
プラーク塊:S.mutansを1%スクロース添加BHI液体培地で、37℃で浸透培養した。好気条件下で48時間培養した後、生成したプラーク塊を遠心分離(5,000rpm×5分)で回収し、精製水で洗浄したのち、デンタルプラークモデル物質として使用した。
【0036】
得られた混合液を遠心分離(10,000rpm×5分)して上清を除き、精製水1mLで沈降物の洗浄を行った。洗浄後、再度遠心分離(10,000rpm×5分)して上清を除いたのち、色素抽出液(0.1%ラウリル硫酸ナトリウム、20%エタノール水溶液)500μLを加え、撹拌して沈着した色素を抽出した。抽出液を100μL採取して96穴プレートに入れ、波長630nmの吸光度をマイクロプレート分光光度計(Thermo Scientific社製、Multiskan GO)で測定した。
【0037】
リン酸塩無配合の比較例4を基準としたときの色素の付着阻害率(%)を、下記計算式で計算した。なお、測定は3回行い、その平均値を付着阻害率(%)とした。結果を表1に示す。
付着阻害率(%)=[1−(A1/A2)]×100
A1:各例における抽出液の吸光度
A2:比較例4の抽出液の吸光度
【0038】
【表1】
【0039】
表1より、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウムを使用した実施例1〜3では、全てのモデル物質に対して高い色素付着阻害作用を示すことが分かる。また、メタリン酸ナトリウムを用いた比較例3では、リン酸化合物にもかかわらず色素の付着を促進していることがわかる。
【0040】
[試験例2]
(実施例4〜7、比較例5)
表2に記載の処方により、各成分を撹拌下、順次混合し、各組成物を調製した。
【0041】
得られた各組成物1mLと前記付着基質モデル物質50mgを混合して混合液を作製した。
【0042】
得られた混合液を遠心分離(10,000rpm×5分)して上清を除き、精製水1mLで沈降物の洗浄を行った。洗浄後、再度遠心分離(10,000rpm×5分)して上清を除いたのち、色素抽出液(0.1%ラウリル硫酸ナトリウム、20%エタノール水溶液)500μLを加え、撹拌して沈着した色素を抽出した。抽出液を100μL採取して96穴プレートに入れ、波長630nmの吸光度(青色1号)及び波長427nmの吸光度(黄色4号)をマイクロプレート分光光度計(Thermo Scientific社製、Multiskan GO)で測定した。
【0043】
テトラポリリン酸ナトリウム無配合の比較例5を基準としたときの色素の付着阻害率(%)を、下記計算式で計算した。なお、測定は3回行い、その平均値を付着阻害率(%)とした。結果を表2に示す。
付着阻害率(%)=[1−(A3/A4)]×100
A3:各例における抽出液の吸光度
A4:比較例5の抽出液の吸光度
【0044】
【表2】
【0045】
表2より、テトラポリリン酸ナトリウムを含有した実施例4〜7では、青色1号及び黄色4号共に、全てのモデル物質に対して高い色素付着阻害作用を示すことが分かる。
【0046】
[試験例3]
(参考実施例1〜2)
表3に記載の処方により、各成分を撹拌下、順次混合し、各組成物を調製した。その後、遠心分離(10,000rpm×5分)して上清を除いたのち、色素抽出液(0.1%ラウリル硫酸ナトリウム、20%エタノール水溶液)500μLを加え、撹拌して沈着した色素を抽出した。抽出液を100μL採取して96穴プレートに入れ、波長630nmの吸光度(青色1号)をマイクロプレート分光光度計(Thermo Scientific社製、Multiskan GO)で測定した。
【0047】
各組成物を50℃の条件下にて3週間保管後、同様にして波長630nmの吸光度(青色1号)を求めた。青色1号の色素残存率(%)を下記計算式で計算した。結果を表3に示す。
色素残存率(%)=(A5/A6)×100
A5:50℃にて3週間保管後の参考実施例の吸光度
A6:参考実施例の抽出液の吸光度
【0048】
【表3】
【0049】
表3より、トリポリリン酸ナトリウムを含有した参考実施例1に比べ、テトラポリリン酸ナトリウムを含有した参考実施例2のほうが、色素残存率が高いことが分かる。
【0050】
[試験例4]
(参考実施例3〜9)
歯面モデル物質としてハイドロキシアパタイト粉末(BioRad社製バイオゲルHTP)20mgを1.5mLのマイクロチューブに入れ、表4に記載の処方で調製した各組成物500μLを加えて1分間転倒混和し、この混合液を遠心分離(10,000rpm×30分)して上清を除いた。
残渣(ハイドロキシアパタイト粉末と未反応の成分)を洗浄するため、水700μLを加えて1分間転倒混和し、この混合液を遠心分離(10,000rpm×30分)して上清を除いた。
【0051】
さらに、水500μLを加えて1分間転倒混和し、この混合液を遠心分離(10,000rpm×30分)して上清を除いた。コーヒー、紅茶、ウーロン茶の3種のステイン液をそれぞれ300μL加えて1分間転倒混和し、この混合液を遠心分離(10,000rpm×30分)して上清を除いた。
残渣(ハイドロキシアパタイト粉末に未吸着のステイン)を洗浄するため、水500μLを加えて1分間転倒混和し、この混合液を遠心分離(10,000rpm×30分)して上清を除いた。
【0052】
水1mLを加えて1分間転倒混和し、この混合液を遠心分離(10,000rpm×30分)して上清を除いた。さらに、この混合液を心分離(10,000rpm×30分)して上清を完全に除いた。混合液に5N HCLを250μL加え、ボルテックスミキサーにかけてハイドロキシアパタイト粉末を完全に溶解させた。
【0053】
この混合液200μLを96穴プレートに入れ、波長500nmの吸光度(コーヒー、ウーロン茶)及び波長400nmの吸光度(紅茶)をマイクロプレート分光光度計(Thermo Scientific社製、Multiskan GO)で測定した。精製水を基準としたときのステイン付着抑制率(%)を下記計算式で計算した。結果を表4に示す。
ステイン付着抑制率(%)=[1−(A7/A8)]×100
A7:参考実施例の吸光度
A8:精製水の吸光度
【0054】
【表4】
【0055】
表4より、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、ペンタポリリン酸ナトリウム、ヘキサポリリン酸ナトリウムを含有した参考実施例5〜8では、コーヒー、紅茶、ウーロン茶のいずれのステインに対しても、高いステイン付着抑制効果を示すことが分かる。
【0056】
一方、ペンタポリリン酸ナトリウムを含有した参考実施例7の組成物は、上記のとおりステイン付着抑制作用が強かったが、試験例1では歯面モデル物質であるハイドロキシアパタイト粉末への色素付着阻害作用が弱かった。よって、リン酸化合物のステイン付着抑制作用と色素付着阻害作用は相関性がないことが分かる。