(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
プレスブレーキにおける上部テーブルの下部に、複数の上型ホルダを左右方向に適宜間隔に離隔して備え、前記上部テーブルの左右方向の一側方に、複数の分割上型を着脱可能に支持した金型ストッカを備え、前記金型ストッカに支持された分割上型を上型ホルダに装着する分割上型の装着方法であって、
(a)前記上部テーブルの後側から前記金型ストッカの後側に亘って左右方向へ移動自在な金型交換装置であって、前記金型交換装置に備えた棒状のフィンガーを、前記金型ストッカに支持された分割上型における左右方向の中央部に備えた係止穴に係止する工程、
(b)フィンガーを係止した分割上型を左右方向に移動して、前記金型ストッカに形成した切欠き部の位置に移動する工程、
(c)前記金型ストッカを上方向に移動して、フィンガーを挿通した分割上型を前記金型ストッカから相対的に下方向に取り外す工程、
(d)前記金型交換装置を左右方向へ移動して、フィンガーによって保持した分割上型の取付部を、前記上部テーブルに備えた上型ホルダにおける上型支持部と上型クランプとの間に一時的に位置決めする工程、
(e)一時的に位置決めした分割上型の係止穴からフィンガーを離脱する工程、
(f)一時的に位置決めした分割上型の取付部を、上型ホルダに固定する工程、
を備えていることを特徴とする分割上型の装着方法。
プレスブレーキにおける上部テーブルの下部に、複数の上型ホルダを左右方向に適宜間隔に離隔して備え、前記上部テーブルの左右方向の一側方に、複数の分割上型を着脱可能に支持した金型ストッカを備え、前記金型ストッカに支持された分割上型を上型ホルダに装着する分割上型の装着方法であって、
(a)前記上部テーブルの後側から前記金型ストッカの後側に亘って左右方向へ移動自在な金型交換装置であって、前記金型交換装置に備えた棒状のフィンガーを、前記金型ストッカに支持された分割上型における左右方向の中央部に備えた係止穴に係止する工程、
(b)フィンガーを係止した分割上型を左右方向に移動して、前記金型ストッカに形成した切欠き部の位置に移動する工程、
(c)フィンガーに係止した分割上型を、切欠き部から後方向へ取り外す工程、
(d)後方向へ取り外した分割上型を、左右方向へ移動して、装着すべき上型ホルダと隣接した上型ホルダとの間の間隙内に一時的に位置決めする工程、
(e)間隙内に一時的に位置決めした分割上型を左右方向に移動して、分割上型に備えた取付部を、装着すべき上型ホルダの上型支持部と上型クランプとの間に一時的に位置決めし、分割上型の係止穴からフィンガーを離脱する工程、
(f)一時的に位置決めした分割上型の取付部を、前記上型ホルダに固定する工程、
を備えていることを特徴とする分割上型の装着方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、上部テーブルの下部に備えた上型装着部(上型ホルダ)に対して、金型交換装置を用いて上型を着脱交換する構成が記載されている。
【0005】
特許文献2,3には、上部テーブルの下部に、複数の上型ホルダ(上型装着部)を左右方向に適宜間隔に離隔して備えた構成が記載されている。
【0006】
特許文献2に記載の構成は、上型ホルダの本体に備えた押圧用アクチュエータを操作することによって、上型クランプの下側を閉じる方向へ回動して、上型の上部に備えた取付部を、前記本体に備えた上型支持部へ押圧固定する構成である。引用文献3に記載の構成は、上型ホルダの左右方向の中央部に備えたレバーを左右方向に回動操作することにより、引用文献2に記載の上型クランプに相当するクランプ(引用文献3には等号なし)を開閉して、上型の固定、開放を行う構成である。
【0007】
ところで、特許文献2,3に記載されているように、上部テーブルの下部に左右方向に適宜に離隔して上型ホルダを備えた構成においては、上型ホルダに対する上金型の着脱交換は手動的に行われている。したがって、上部テーブルの下部に複数の上型ホルダを左右方向に適宜に離隔して備えた構成においても、各上型ホルダに対して、金型交換装置を使用して着脱交換することが望まれている。
【0008】
ここで、特許文献1に記載の金型交換方法を、特許文献2,3に記載のプレスブレーキに適用しようとすると、特許文献1に記載の上金型及び金型装着部(金型ホルダ)の構成は、金型交換装置を使用することを前提として構成されている。したがって、特許文献2,3に記載の構成のように、手動で金型交換を行うことを前提とした構成には適用不可能である。
【0009】
すなわち、特許文献1に記載の上部テーブルの下部に備えた上型装着部(金型装着部)は、上部テーブルの左右方向の幅寸法に対応して全長に亘って備えられている。上型装着部には、装着溝が左右方向の全長に亘って備えられている。そして、金型自動交換装置(ATC)によって分割金型を上下方向に着脱する構成であることにより、上型装着部及び分割金型は、分割金型が不用意に落下しないように構成してある。
【0010】
換言すれば、ATCを使用することを前提とした構成となっている。
【0011】
したがって、特許文献1に記載の構成を、特許文献2,3に記載のプレスブレーキには適用不可能である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、前述のごとき問題に鑑みてなされたもので、プレスブレーキにおける上部テーブルの下部に、左右方向に適宜間隔を保持して備えた複数の上型ホルダに対して、金型交換装置を使用して分割上型を装着する方法及びその方法に使用する金型交換装置並びに金型ストッカを提供しようとするものである。
【0013】
したがって、本発明は、プレスブレーキにおける上部テーブルの下部に、左右方向に適宜間隔に離隔して配置した上型ホルダに対して、金型交換装置を用いて分割上型を装着する分割上型の装着方法であって、
(a)金型ストッカに支持されている分割上型における左右方向の中央部に備えた係止穴に、金型交換装置に備えた棒状のフィンガーを係止して、金型ストッカから分割上型を1個毎取り外す工程、
(b)取り外した分割上型を、装着すべき上型ホルダと隣接した上型ホルダとの間の間隙内に金型交換装置によって一時的に位置決めする工程、
(c)一時的に位置決めした分割上型を左右方向へ移動して、装着すべき上型ホルダに備えた上型支持部と上型ホルダに備えた上型クランプとの間に、分割上型に備えた取付部を一時的に位置決めする工程、
(d)一時的に位置決めした分割上型の係止穴からフィンガーを離脱する工程、
(e)一時的に位置決めした分割上型における取付部を、上型ホルダに固定する工程、
の各工程を備えている。
【0014】
また、
本発明は、プレスブレーキにおける上部テーブルの下部に、左右方向に適宜間隔に離隔して配置した上型ホルダに対して、金型交換装置を用いて分割上型を装着する分割上型の装着方法であって、(a)金型ストッカに支持されている分割上型における左右方向の中央部に備えた係止穴に、金型交換装置に備えた棒状のフィンガーを係止して、金型ストッカから分割上型を1個毎取り外す工程、(b)金型交換装置を左右方向に移動して、取り外した分割上型における取付部を、ストッカに最接近した上型ホルダに備えた上型支持部と上型クランプとの間を左右方向に通過する工程、(c)分割上型を装着すべき上型ホルダに備えた上型支持部と上型クランプとの間に、装着すべき分割上型の取付部を一時的に位置決めする工程、(d)一時的に位置決めした分割上型の係止穴からフィンガーを離脱する工程、(e)一時的に位置決めした分割上型の取付部を、上型ホルダに固定する工程、
を備えている。
【0015】
また、
本発明は、プレスブレーキにおける上部テーブルの下部に、複数の上型ホルダを左右方向に適宜間隔に離隔して備え、前記上部テーブルの左右方向の一側方に、複数の分割上型を着脱可能に支持した金型ストッカを備え、前記金型ストッカに支持された分割上型を上型ホルダに装着する分割上型の装着方法であって、
(a)前記上部テーブルの後側から前記金型ストッカの後側に亘って左右方向へ移動自在な金型交換装置であって、前記金型交換装置に備えた棒状のフィンガーを、金型ストッカに支持された分割上型に備えた係止穴に係止する工程、(b)フィンガーを係止した分割上型を左右方向に移動して、金型ストッカに形成した切欠き部の位置に移動する工程、(c)金型ストッカを上方向に移動して、フィンガーを挿通した分割上型を金型ストッカから相対的に下方向に取り外す工程、(d)金型交換装置を左右方向へ移動して、フィンガーによって保持した分割上型の取付部を、上部テーブルに備えた上型ホルダにおける上型支持部と上型クランプとの間に一時的に位置決めする工程、(e)一時的に位置決めした分割上型の係止穴からフィンガーを離脱する工程、(f)一時的に位置決めした分割上型の取付部を、上型ホルダに固定する工程、
を備えている。
【0016】
また、
本発明は、プレスブレーキにおける上部テーブルの下部に、複数の上型ホルダを左右方向に適宜間隔に離隔して備え、前記上部テーブルの左右方向の一側方に、複数の分割上型を着脱可能に支持した金型ストッカを備え、前記金型ストッカに支持された分割上型を上型ホルダに装着する分割上型の装着方法であって、
(a)前記上部テーブルの後側から前記金型ストッカの後側に亘って左右方向へ移動自在な金型交換装置であって、前記金型交換装置に備えた棒状のフィンガーを、金型ストッカに支持された分割上型における左右方向の中央部に備えた係止穴に係止する工程、(b)フィンガーを係止した分割上型を左右方向に移動して、金型ストッカに形成した切欠き部の位置に移動する工程、(c)フィンガーを係止した分割上型を、切欠き部から後方向へ取り外す工程、(d)後方向へ取り外した分割上型を、左右方向へ移動して、装着すべき上型ホルダと隣接した上型ホルダとの間の間隙内に一時的に位置決めする工程、(e)間隙内に一時的に位置決めした分割上型を左右方向に移動して、分割上型に備えた取付部を、装着すべき上型ホルダの上型支持部と上型クランプとの間に一時的に位置決めし、分割上型の係止穴からフィンガーを離脱する工程、(f)一時的に位置決めした分割上型の取付部を、前記上型ホルダに固定する工程、
を備えている。
【0017】
また、
本発明に係る金型交換装置は、プレスブレーキにおける上部テーブルの下部に、左右方向に適宜間隔に離隔して配置した複数の上型ホルダに対応した位置と、複数の分割上型を取り外し可能に支持した金型ストッカに対応した位置との間を往復動自在な移動部材を備え、分割上型における左右方向の中央部に備えた前後方向の係止穴に係止自在な棒状のフィンガーを、前記移動部材に備えている。
この金型交換装置は、上述した分割上型の装着方法に使用することができる。
【0018】
また、本発明に係る
金型ストッカは、分割上型を左右方向へ移動可能に支持するストッカ本体を備え、分割金型を1個毎に下方向に、又は前後方向に取り外すための切欠き部を、前記ストッカ本体に備えている。
この金型ストッカは、上述した分割上型の装着方法に使用することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、分割上型を装着すべき上型ホルダに隣接した間隙内に金型交換装置によって分割上型を一時的に位置決めし、この分割上型を左右方向に移動して装着すべき上型ホルダに対して分割上型を装着する。したがって、上型ホルダに対する分割上型の装着を迅速に行い得るものである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。先ず、理解を容易にするために、プレスブレーキと、交換すべき金型を格納した金型格納装置との関係について概略的に説明する。
【0022】
プレスブレーキの構成はよく知られている。したがって、概略的に示すと、
図1に示すように、プレスブレーキ1は、C形状の左右のサイドフレーム3L,3R(左右対称形の構成であるから左側のサイドフレームを示す符号3Lは図示省略)を備えている。そして、サイドフレーム3L,3Rの前側下部には、下部テーブル5が一体的に取付けてある。この下部テーブル5の上部には、分割下型7を着脱交換自在に装着する下型装着部9が備えられている。
【0023】
前記サイドフレーム3L,3Rの前側上部には、下部テーブル5と上下に対向した上部テーブル11が上下動自在に備えられている。そして、上部テーブル11を上下動するために、前記サイドフレーム3L,3Rの上部には、例えば流体圧シリンダやサーボモータなどのごとき左右の上下動用アクチュエータ13L,13R(符号13L省略)が備えられている。
【0024】
前記上部テーブル11の下部には、左右方向(X軸方向)に適宜間隔に離隔した複数の上型ホルダ15が備えられている。この上型ホルダ15は、分割上型17を着脱交換可能に保持する機能を奏する。なお、上型ホルダ15の構成は、前記特許文献2に記載された上型ホルダの構成と同様の構成で、公知である。したがって、上型ホルダ15の詳細については説明を省略する。
【0025】
上記構成により、下部テーブル5に装着した分割下型7に板状のワークWを載置位置決めし、上部テーブル11を下降することにより、分割下型7と分割上型17との協働によって、ワークWの折曲げ加工が行われる。
【0026】
前記下型装着部9に対して着脱交換する分割下型7及び前記上型ホルダ15に対して着脱交換する分割上型17を格納した金型格納装置19が、プレスブレーキ1の左右方向の一側に近接して備えられている。そして、プレスブレーキ1と金型格納装置19との間で分割下型7の着脱交換を行うための下型交換装置(
図1には図示省略)と、分割上型17の着脱交換を行うための上型交換装置(自動金型交換装置:ATC)20(
図2参照)が備えられている。
【0027】
より詳細には、前記上型ホルダ15に対して分割上型17の着脱交換を行うために、上部テーブル11の後側(
図2において右側)には、左右方向(X軸方向)に長いガイドレール21が備えられている。
【0028】
すなわち、前記上部テーブル11の下部であって、適宜の上型ホルダ15のX軸方向(左右方向)の間には、後方向(
図2において右方向)へ突出した複数の桁部材23が備えられている。そして、この桁部材23の先端部(後端部)には、左右方向(X軸方向)に延伸した梁部材25が水平に備えられている。上記梁部材25の下面には、X軸方向に長いラック27が備えられている。そして、このラック27には、X軸方向の前記ガイドレール21が備えられている。
【0029】
前記ガイドレール21には、移動部材としての箱状の第1スライダ31がリニアスライダ29を介して移動自在に支持されている。そして、第1スライダ31をX軸方向に移動位置決めするために、第1スライダ31にはサーボモータ33が備えられている。そして、このサーボモータ33によって回転駆動されるピニオンギア35(
図3参照、
図3においてはラック27,ガイドレール21は図示省略)は前記ラック27に噛合してある。したがって、前記サーボモータ33の回転によって、第1スライダ31はX軸方向に往復移動位置決めされるものである。
【0030】
なお、前記ガイドレール21、梁部材25、ラック27は、金型格納装置19内に亘って長く延伸してある。したがって、スライダ31は、プレスブレーキ1の後側から金型格納装置19内に亘ってX軸方向に往復動し得るものである。
【0031】
前記第1スライダ31のX軸方向の一側面にはベースプレート37(
図3参照)が垂直に一体的に備えられている。このベースプレート37に備えたY軸方向のガイド部材39には、第2スライダ41がY軸方向へ移動自在に支持されている。第2スライダ41をY軸方向へ移動するために、第2スライダ41には、往復作動装置43が備えられている。
【0032】
この往復作動装置43としては、種々の構成を採用可能である。しかし、本実施形態においては、上記往復作動装置43は流体圧シリンダにて例示してある。そして、流体圧シリンダ43に往復動自在に備えたピストンロッド43Pの先端部43Eは、前記ベースプレート37と一体的に連結して(連結構造は図示省略)備えたブラケット部37Aに連結してある。したがって、流体圧シリンダ43を駆動することにより、ベースプレート37に対して第2スライダ41をY軸方向に往復動することができる。
【0033】
前記第2スライダ41には、Y軸方向のガイド部材(図示省略)を介して第3スライダ45がY軸方向へ往復動自在に備えられている。そして、この第3スライダ45を往復動するために、前記第2スライダ41に装着した往復作動装置としての流体圧シリンダ47に往復動自在に備えたピストンロッド47Pが、前記第3スライダ45に備えた突出部45Pに連結してある。したがって、第3スライダ45は流体圧シリンダ47の作動によってY軸方向へ往復動される。
【0034】
前記第3スライダ45の前後方向(Y軸方向)の前側には支持ブロック49が一体的に備えられている。この支持ブロック49には、上金型17における左右方向(X軸方向)の中央部に備えた係止穴の一例としての前後方向の貫通穴51へ挿通自在(係止自在)な棒状のフィンガー53が前方向へ(
図2,3において左方向)へ突出して備えている。
【0035】
前記上金型17は、
図2,3においては、グースネック金型17Gにて例示してある。グースネック金型17Gの肉厚部17A(
図2参照)は、一般的な上金型17(
図4参照)の肉厚部17Aに比較して前後方向に大きな肉厚に形成してある。したがって、貫通穴(係止穴)51は、
図2に示すように、大径穴51Aと小径穴51Bとを連通してある。そして、大径穴51Aと小径穴51Bとの接続部には段差部51Cが形成してある。
【0036】
前記フィンガー53の先端側には、グースネック金型17Gの貫通穴51に挿通した際に、グースネック金型17Gが落下しないように支持するために、フィンガー53の先端側の外周面に対して出没自在なロック片(係止片)55が備えられている。
【0037】
すなわち、前記フィンガー53は、本実施例においては丸棒状に形成してある。そして、フィンガー53は、前記貫通穴51に挿通自在な先端側の小径部53Aと基端部側の大径部53Bとを備えている。そして、小径部53Aと大径部53Bとの間には段差部53Cが形成してある。この段差部53Cは、上金型17における貫通穴51に前記小径部53Aを挿通した際に、上金型17の前記肉厚部17Aにおける前後の面17F(フィンガー53を貫通穴51に前側から挿通した場合には前面に、後側から挿通した場合には後面)に当接する構成である。
【0038】
より詳細には、前記フィンガー53の先端側には、
図5に示すように、長手方向のスリット57が形成してある。そして、このスリット57内には、フィンガー53の長手方向に対して直交する方向の枢軸59を介して、前記ロック片55が上下に回動自在に備えられている。なお、前記スリット57には、フィンガー53の外周面に対するロック片55の没入を制限するストッパ61が備えられている。そして、前記フィンガー53の外周面に対してロック片55の出没の操作を行うために、フィンガー53には、操作ロッド63が長手方向(Y軸方向、前後方向)へ移動自在に備えられている。
【0039】
前記操作ロッド63の先端部には、
図6(a)(b)に示すように、切欠部63Aが備えられている。そして、切欠部63Aには、フィンガー53の外周面に対してロック片55を没入すべく押圧回動操作するための押し面63Bが形成してある。また、切欠部63Aには、フィンガー53の外周面に対してロック片55を突出操作すべく回動するための引き面63Cが押し面63Bと対向して形成してある。したがって、前記操作ロッド63を長手方向に往復動することにより、フィンガー53の外周面に対して、ロック片55を出没操作することができる。
【0040】
図5に示すように、前記フィンガー53における大径部53Bの外周には、フィンガー53の長手方向へ移動自在な前後移動部材としてのスライドブロック65が備えられている。このスライドブロック65は、
図2,4において図示の形態が異なるが機能は同一である。前記スライドブロック65には、上金型17,17Gに備えた回り止め部67に係合して上金型17,17Gの回り止めを行うピン状の回り止め部材69が備えられている。
【0041】
すなわち、上金型17(17G)における貫通穴51に対して、フィンガー53の小径部53Aを挿通すると、フィンガー53の段差部53Cが上金型17(17G)の前面17F又は後面17Fに当接する。そして、小径部53Aの先端側に備えたロック片55等は、前記貫通穴51から外部へ突出する。したがって、フィンガー53の外周面に対してロック片55を突出して、上金型17(17G)の前面17F又は後面17Fを、係止することができる。そして、前記ロック片55によって係止された面の反対側の後面又は前面に備えた回り止め部67に、ATC20に備えた回り止め部材69を係合して、フィンガー53を中心とする上金型17(17G)の回り止めを行うことができる。
【0042】
前記回り止め部材69は、前記ロック片55がフィンガー53の外周面に突出した状態にあるとき、金型17,17Gをロック片55側へ押圧する作用をなす。また、回り止め部材69は、ロック片55との間に分割上型17,17Gを挟み込む作用をなす。
【0043】
前記スライドブロック65を、フィンガー53に沿って往復動するために、
図3に示すように、第3スライダ45には流体圧シリンダ71が取付けてある。そして、この流体圧シリンダ71に往復動自在に備えたピストンロッド71Pは、前記支持ブロック49に摺動自在に支持されたスライドロッド73の基端部に取付けた連結部材75に連結してある。そして、前記スライドロッド73の先端側に前記スライドブロック65が備えられている。
【0044】
したがって、流体圧シリンダ71を往復作動することにより、フィンガー53に対してスライドブロック65が往復動される。そして、スライドブロック65に備えた回り止め部材69が金型17,17Gに備えた回り止め部67に対して係合離脱することになる。
【0045】
前記操作ロッド63を長手方向に往復動するために、前記第3スライダ45には流体圧シリンダ77が装着してある。そして、流体圧シリンダ77に往復動自在に備えたピストンロッド77Pに前記操作ロッド63が連結してある。
【0046】
したがって、流体圧シリンダ77を往復作動することによって操作ロッド63をY軸方向(前後方向)に往復動できる。よって、前述したように、ロック片55を、フィンガー53の外周面に対して出没することができる。
【0047】
以上のごとき説明から理解されるように、上金型17,17Gに備えた係止穴としての貫通穴51に、ATC20に備えたフィンガー53の小径部53Aを挿通(係止)することができる。そして、上金型17,17Gにおける前後の面17Fには、
図6に示すように、ATC20に備えた回り止め部材69と係合して回り止めを行う凹状の回り止め部67が備えられている。
【0048】
したがって、上金型17,17Gにおける貫通穴51に対して前側又は後側からフィンガー53を挿通(係止)することができる。そして、フィンガー53における段差部53Cが前後の面17Fに当接し、フィンガー53の外周面に対して出没自在に備えたロック片55でもって上金型17,17Gの前面17F又は後面17Fを係止することができる。また、前記ロック片55によって係止された面の反対側の後面又は前面に備えた回り止め部67に、ATC20に備えた回り止め部材69を係合して、上金型17,17Gの回り止めを行うことができる。
【0049】
すなわち、上金型17,17Gに備えた前後方向の貫通穴51に対して、ATC20に備えたフィンガー53の小径部53Bを前側又は後側から挿通して、上金型17,17Gを落下しないように搬送することができる。換言すれば、プレスブレーキの上部テーブル11に備えた上型ホルダ15に対して、ATC20によって上金型17Gの着脱を行うことができる。
【0050】
ところで、上金型17,17Gが、
図2,3に示すように、グースネック金型17Gの場合に、貫通穴51の小径穴51B側からフィンガー53を挿通した場合には、
図6(a)に示すように、貫通穴51における段差部51Cがロック片55を係止する係止面となる。そして、大径穴51A側からフィンガー53を挿通すると、小径穴51Bにおける外端縁を備えた外側面17F(
図6参照)が、ロック片55を係止する係止面となる。
【0051】
すなわち、上金型17Gの前側又は後側から貫通穴51にフィンガー53を挿通した場合、どちらの場合であっても、スライドブロック65に備えた回り止め部材69を、グースネック金型17Gの前後両側に備えた回り止め部67に係合することができる。したがって、グースネック金型17Gの場合であっても、回動することなくATC20を用いて着脱することができる。
【0052】
既に理解されるように、グースネック金型17Gの場合には、
図6に示すように、貫通穴51の、大径穴51Aと小径穴51Bとの間に段差部51Cを備えた構成である。したがって、グースネック金型17Gにおける肉厚部17Aの肉厚が大きい場合であっても、容易に対応することができる。
【0053】
以上のごとき説明から理解されるように、上金型17,17GはATC20を用いて、上型ホルダ15に対して着脱交換することができる。そして、上金型17,17Gは、上金型17,17Gの上部に備えた取付部79に近接して備えた肉厚部17Aの幅方向(左右方向)の中央部に、ATC20におけるフィンガー53の小径部53Aを挿通する円形状の貫通穴51を備えた構成である。したがって、上金型17,17Gの構成の簡素化を図ることができると共に、貫通穴が上下方向の長孔の場合に比較して上金型17,17Gの上下寸法を小さくすることができる。また、貫通穴51が丸穴であることにより、貫通穴51の加工が容易なものである。
【0054】
既に理解されるように、前記特許文献2,3に記載の上型ホルダに装着される分割金型に対して後加工的に貫通穴、回り止め部を加工することにより、特許文献2,3に記載の上型ホルダに対しても、ATCを使用して分割上型の着脱交換が可能になるものである。
【0055】
前記プレスブレーキ1における上部テーブル11に備えた上型ホルダ15に対して、前記金型格納装置19に格納された分割上型17,17Gを上型交換装置(ATC)20によって装着するために、ATC20は、上型ホルダ15の後方位置と金型格納装置19との間を往復動自在に備えられている。
【0056】
ところで、前記金型格納装置19の全体的構成は、例えば特開2016−83673号公報(以下、公開公報と称す)に記載されている金型収納装置の構成とほぼ同様の構成である。そして、公開公報には、プレスブレーキにおける上下のテーブルに備えた左右方向のガイドレールに沿って上下の金型交換装置が左右方向へ移動自在に備えられている。そして、上下の金型交換装置によって、プレスブレーキと金型交換装置との間で金型交換を行うことが記載されている。すなわち、プレスブレーキと金型収納装置との間で金型交換を行うことは公知である。
【0057】
ところで、今回の実施形態は、上型ホルダ15に対する分割上型17の装着に関するものである。したがって、上型ホルダ15に対して分割上型17を装着する場合について説明することとする。そして、下型装着部9に対する分割下型7の装着は、例えば前記公開公報に記載の構成を適用してもよいものである。したがって、下型装着部9に対して分割下型7を装着する場合についての説明は省略する。
【0058】
金型格納装置19に格納されている分割上型17を、プレスブレーキ1に備えた上型ホルダ15に装着するために、前記ATC20は、プレスブレーキ1と金型格納装置19との間を往復動自在に備えられている。
【0059】
すなわち、ATC20を左右方向に案内するガイドレール21、梁部材25及びラック27などは、プレスブレーキ1の後側から金型格納装置19側へ延伸した延伸フレーム81(
図1参照)に支持されている。この延伸フレーム81は、前記公開公報に記載のガイドレール延伸部に相当するものである。
【0060】
前記金型格納装置19は、前記公開公報に記載の金型収納装置と同様の構成である。したがって、概略的に説明すると、金型格納装置19には、金型格納装置19に格納(格納状態は図示省略)された所望のストッカ本体83を持上げて前記延伸フレーム81の前側の所定位置、すなわち、
図1に示したストッカ本体83の位置(上型ホルダ15と左右方向(X軸方向)に整列した位置)へ搬送するストッカ搬送装置85が備えられている。
【0061】
前記ストッカ本体83は、分割上型17を左右方向(X軸方向)へ着脱可能に支持する構成である。すなわち、ストッカ本体83は、下側に開口しかつ左右方向に長い金型装着溝(図示省略)を備えている。ストッカ搬送装置85は金型格納装置19内のストッカ本体83を持ち上げて前後方向に移動し、金型格納装置19側に移動するATC20に対応した所定位置(上型ホルダ15と左右方向に整列した位置、
図1に示す位置)に前記ストッカ本体83を搬送し位置決めする機能を有するものである。
【0062】
上述のように、ストッカ本体83を、延伸フレーム81の前側の前記所定位置(
図1に示す位置)に位置決めすると、ストッカ本体83に備えた前記金型装着溝は、上型ホルダ15に備えた上型支持部15Cと上型クランプ15A又は15Bとの間の一方の間隙15D(
図1参照)と左右方向に連通(整列)するものである。したがって、上型ホルダ15とストッカ本体83との間において、上金型17を直接的に左右方向に移動することが可能なものである。
【0063】
なお、ストッカ本体83及びストッカ搬送装置85の構成は、前記公開公報に記載の上型ホルダ搬送手段、上型ホルダと同一構成であってもよいものである。したがって、ストッカ本体83及びストッカ搬送装置85の詳細については説明を省略する。
【0064】
以上のごとき構成において、
図7に概略的に示すように、金型格納装置19に格納されたストッカ本体83に支持された分割上型17の左右方向の幅寸法W1が適宜間隔に配置された上型ホルダ15の間隙(間隔)Dと等しい場合、またはW1≧Dの関係にある場合には、次のように行う。
【0065】
すなわち、金型格納装置19に備えた前記ストッカ搬送装置85によって、金型格納装置19内の所望のストッカ本体83を持ち上げ、前後方向に搬送する。そして、延伸フレーム81の前側の前記所定位置にストッカ本体83を搬送位置決めする。このストッカ本体83においてプレスブレーキ1に最接近した分割上型17−1の後側へATC20を移動位置決めする。そして、分割上型17−1に備えた貫通穴51に、ATC20に備えたフィンガー53の小径部53Aを挿通し(係止し)、ロック片55を外周面に対して突出する。そして、分割上型17−1が落下しないように支持する。また、ATC20に備えた回り止め部材69を分割上型17−1の回り止め部67(
図7には図示省略)に係合し、分割上型17−1の回り止めを行う。
【0066】
その後、ストッカ本体83に備えた左右方向の装着溝(図示省略)から分割上型17−1をプレスブレーキ1側へ取り外すために、ATC20をプレスブレーキ1側(
図7において左方向)へ移動し、分割上型17−1を装着すべき上型ホルダ15の位置まで搬送し一時的に位置決めする。
【0067】
この際、分割上型17−1が左右方向へ通過自在なように、装着すべき上型ホルダ15と金型格納装置19との間に位置する全ての上型ホルダ15に備えた上型クランプ15A,15B(
図4参照)は、開いた状態にある。したがって、分割上型17−1の上部に備えた取付部79を、上型ホルダ15に備えた上型支持部15Cと上型クランプ15A又は15Bとの間の間隙15D内を左右方向に通過するように搬送する。そして、装着すべき上型ホルダ15の位置に分割上型17−1を一時的に位置決めする。
【0068】
この際、分割金型17−1に備えた取付部79に備えた垂直平面79Fが上型支持部15Cに面接触し、取付部79に備えた左右方向の落下防止溝79Gに、上型クランプ15A,15Bに備えた落下防止爪15Eが係合するように、分割上型17−1の向きに応じて間隙15Dを選択するものである。そして、一時的に位置決めした分割上型17−1の貫通穴51からフィンガー53を離脱する。その後、一時的に位置決めした分割上型17−1の取付部79を、上型ホルダ15に備えた上型クランプ15A又は15Bによって上型支持部15Cへ押圧固定する。すなわち、分割上型17−1を上型ホルダ15に装着する。
【0069】
なお、分割上型17−1の幅W1と上型ホルダ15の間隔Dとがほぼ等しい場合には、前記間隔Dの位置を回避して分割上型17−1の装着を行うものである。この場合、間隙Dの両側における上型ホルダ15に装着した分割上型17の端部が間隙D内に突出し、両端部が当接した状態に組合わせてもよいものである。
【0070】
そして、必要な数の分割上型17に同様の搬送動作を繰り返すと共に、
図8に示すように、各分割上型17−1,17を互に接触した状態に配置する。なお、逆の動作を行うことにより、プレスブレーキに備えた上型ホルダ15からストッカ本体83へ分割上型17−1を戻すことができる。
【0071】
ところで、前記方法によれば、分割上型17の左右方向(幅方向)の中央部に備えた係止穴の1例としての円形状の貫通穴51に、ATC20に備えた棒状(丸棒状)のフィンガー53の小径部53Aを貫通し(係止し)、回り止め部材67を分割上型17に備えた回り止め部材69に係合して分割上型17の搬送を行うものである。したがって、分割上型17を安定した状態で搬送でき、上型ホルダ15に対する分割上型17の着脱交換を迅速に、かつ円滑に行うことができる。
【0072】
また、前述したように、分割上型17は、上型ホルダ15に対して着脱交換される通常の一般的な分割上型に対して、例えば丸穴の貫通穴51及び回り止め部材67を後加工することによっても使用可能である。したがって、分割上型17は、従来のように、上型ホルダ15に対して手動によって着脱交換が可能である。また、ATC20によって着脱することができる。よって、上型ホルダ15に対する分割上型17の着脱交換の汎用性が向上するものである。
【0073】
図9は、第2の実施形態に係るストッカ本体87を示すものである。このストッカ本体87において、前記ストッカ本体83と異なる構成は、複数の切欠き部89A,89B,89C,89DがX軸方向に適宜間隔に備えられている構成が異なるのみである。上記切欠き部89A,89B,89C,89Dは、ストッカ本体87において分割上型17を着脱可能に支持する左右方向の金型装着溝91を前後方向に横切るように形成してある。
【0074】
すなわち、ストッカ本体87に着脱可能に備えた大幅寸法の分割上型17の装着位置93Aと中幅寸法の分割上型17の装着位置93Bとの間の切欠き部89Aは、大幅寸法の分割上型17を上下方向及び/又は前後方向に通過可能な大きさの切欠き部に形成してある。そして、前記装着位置93Bと小幅寸法の分割上型17の装着位置93Cとの間の切欠き部89Bは、中幅寸法の分割上型17が上下方向及び/又は前後方向に通過可能な中幅の切欠き部に形成してある。
【0075】
また、装着位置93Cと、極小幅寸法の分割上型17の装着位置93Dとの間の切欠き部89Cは、小幅寸法の分割上型17が上下方向及び/又は前後方向に通過可能な小幅の切欠き部に形成してある。そして、前記装着位置93Dに隣接して極小幅寸法の分割上型17を装着した装着位置93Eと装着位置93Dとの間の切欠き部89Dは、極小幅の分割上型17が上下方向及び/又は前後方向に通可能な極小幅の切欠き部に形成してある。
【0076】
以上のごとき構成から理解されるように、ストッカ本体87に支持された分割上型17は、金型装着溝91に沿って左右方向に移動することにより、対応した幅寸法又は大きな幅寸法の切欠き部89A〜89Dの位置へ移動位置決めし、ストッカ本体87に対して上下方向又は前後方向に取り外すことができる。したがって、ストッカ本体87に対して分割上型17の着脱をATC20によって行うとき、当該分割上型17の幅寸法に対応した切欠き部89A〜89Dの位置を利用して着脱することができる。
【0077】
よって、ストッカ本体87に対する分割上型17の左右方向への移動距離を抑制することができ、分割上型17の着脱を能率よく行うことができる。換言すれば、ストッカ本体87から分割上型17を取り外して、プレスブレーキ1における上型ホルダ15への装着を迅速に行うことができる。
【0078】
ところで、前記ストッカ本体87における装着位置93C,93D,93Eに装着されている小幅の分割上型17及び極小幅の分割上型17の幅寸法W1は、プレスブレーキ1の上部テーブル11に装着されている上型ホルダ15の間隔寸法Dより小さな寸法である。すなわち、D>W1である。したがって、次のようにして、上型ホルダ15に対して分割上型17の装着を行うことができる。
【0079】
すなわち、前記延伸フレーム81の前側の所定位置に位置決めされたストッカ本体87に支持されている装着位置93C,93D又は93Eの分割上型17に対応した位置の後側にATC20を位置決めする。そして、装着位置93C,93D又は93Eにおいて右側又は左側の端部側の分割上型17における貫通穴51に、フィンガー53の小径部53Aを挿通すると共に、フィンガー53に備えたロック片55をフィンガー53の外周面から突出する。そして、回り止め部材69を分割上型17の回り止め部67に係合して、分割上型17の回り止めを行う。その後、分割上型17を、切欠き部89B,89C又は89Dの位置へ移動する。
【0080】
そして、切欠き部89B,89C又は89Dから後側へ分割上型17を取り出す。その後、ATC20を左右方向へ移動し、分割上型17を装着すべき上型ホルダ15に隣接した間隙に対応した位置へ分割上型17を一時的に位置決めする(
図10参照)。その後、分割上型17を前方向へ移動し、装着すべき上型ホルダ15に隣接した間隙内に分割上型17を一時的に位置決めする。
【0081】
この一時的に位置決めした分割上型17の取付部79を、左右方向へ移動して、装着すべき上型ホルダ15に備えた上型支持部15Cと上型クランプ15A又は15Bとの間の間隙15D内に一時的に位置決めする。そして、上型クランプ15A又は15Bによって一時的に軽く固定した分割上型17の貫通穴51からフィンガー53を抜き取る(離脱する)ものである。その後、上型クランプ15A又は15Bによって分割上型17における取付部79を上型支持部15Cへ押圧固定する。
【0082】
なお、分割上型17の貫通穴51からフィンガー53を抜き取る際には、上型クランプ15A,15Bによって分割上型17を予め強固に固定することも可能である。
【0083】
ところで、小幅の分割上型17又は極小幅の分割上型17は、例えば、
図1に示すように、1個の上型ホルダ15に対して複数装着することが普通である。この場合、隣り合った分割上型17は互に離れることなく接触していることが望ましい。したがって、分割上型17が落下しないように僅かに緩く保持して1個の上型ホルダ15に対して分割上型17を次々に配置(装着)する毎に互に接触させる。又は複数の分割上型17を上型ホルダ15に装着した後に、左右両側から適宜に挟み込んで、一括して全ての分割上型17を互に接触することができる。
【0084】
ところで、ストッカ本体87においては、ストッカ本体87に装着した分割上型17は、左右方向へ移動して、対応した大きさの切欠き部89A〜89Dの位置に一時的に位置決めすることにより、後側へ取り出す(取り外す)ことができる。したがって、幅寸法が比較的大きな分割上型17を対応する大きさの切欠き部89Aに対応した位置に一時的に位置決めする。そして、
図11に示すように、ストッカ本体87を上昇することにより、ストッカ本体87から分割上型17を相対的に下側に取り出すことができる。
【0085】
よって、分割上型17を相対的に下側へ取り出した状態の位置において、ATC20をプレスブレーキ1側へ移動する。したがって、取り出した分割上型17を、
図12に示すように、プレスブレーキ1に備えた所望位置の上型ホルダ15に対してそのまま装着することができる。すなわち、プレスブレーキ1に隣接して備えた上型ホルダ15間の間隙(間隔)寸法Dよりも幅寸法の大きな分割上型17に対して容易に対応し得るものである。
【0086】
既に理解されるように、ストッカ本体87に備えた切欠き部の位置へ分割上型17を位置決めすることにより、分割上型17を後側へ取り外すことができる。また、ストッカ本体87を上昇することにより、分割上型17を相対的に下側へ取り外すことができる。したがって、分割上型17を後側へ取り外してプレスブレーキ1側へ移動すること、及び相対的に下側へ取り外した位置においてプレスブレーキ側へ移動することの2通りの動作によって分割上型17の着脱を行うことができる。
【0087】
以上のごとき説明から理解されるように、プレスブレーキ1における上部テーブル11の下部に、左右方向に適宜間隔に離隔して備えた上型ホルダ15に対して、金型交換装置(ATC)を用いて、分割上型17を装着する際、分割上型17の幅方向の中央部に備えた円形状の貫通穴(係止穴)51に、ATC20に備えた丸棒状のフィンガー53の小径部53Aを挿通(係止)する。
【0088】
したがって、分割上型17は、落下することなくATC20に安定した状態に支持される。そして、ATC20と分割上型17との支持構成は、円形状の貫通孔51に棒状のフィンガー53を挿通した簡単な構成である。したがって、ATC20の構成と分割上型17の構成の簡素化を図ることができる。
【0089】
また、幅寸法の小さな分割上型17を上型ホルダ15に装着する際は、ATC20によって、装着すべき上型ホルダ15に隣接した間隙(間隔)内に位置決めする。そして、ATC20を左右方向へ横移動して、装着すべき上型ホルダ15に対して分割上型17を装着する。したがって、装着すべき上型ホルダ15に対する分割上型17の装着を能率良く行うことができる。
【0090】
さらに、金型交換装置は、分割上型17に備えた円形状の貫通穴51に対して挿通する丸棒状のフィンガー53を備えれば良いものであり、構成の簡素化を図ることができる。
【0091】
また、ストッカ本体87は、支持した分割上型17の幅寸法に対応した切欠き部89A〜89Dを適宜間隔に備えた構成である。したがって、ストッカ本体87に支持された分割上型17を、対応した切欠き部89A〜89Dへ位置決めすることにより、ストッカ本体87からの分割上型17の取り外しを迅速に行うことができる。
【0092】
本発明は、前述したごとき実施形態に限ることなく、適宜に変更を行うことにより、その他の形態で実施可能である。すなわち、例えば前記特許文献1に記載の複数の分割上型を支持する交換上型支持部材における下部支持部材に適宜間隔に適宜の大きさの切欠き部を形成する。そして、この切欠部から分割上型を取り外す構成とすることも可能である。
【0093】
また、金型交換装置としては、前述したATCに限ることなく、例えば、産業用ロボット等のマニピュレータを使用することも可能である。
【0094】
ところで、
図1には、上型ホルダ15を等間隔に備えた場合を例示してある。しかし、適宜位置の上型ホルダ15を取り外す。そして、隣接した上型ホルダ15の間隔を大きくし、この大きくした間隔の位置を利用して幅寸法の大きな分割上型を着脱交換することも可能である。
【解決手段】プレスブレーキ1における上部テーブル11の下部に、左右方向に適宜間隔に離隔して配置した上型ホルダ15に対して、金型交換装置20を用いて分割上型17を装着する装着方法であって、分割上型17における幅方向の中央部に備えた円形状の係止穴51に、金型交換装置20に備えた丸棒状のフィンガー53を係止する。分割上型17を、装着すべき上型ホルダ15と隣接した上型ホルダ15との間の間隙内に一時的に位置決めする。一時的に位置決めした分割上型17を左右方向へ移動して、装着すべき上型ホルダ15に装着する。