(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
耳を囲んで頭部に接触する枠、及び該枠とヘッドフォンに設けられる一対のハウジングのうちの一のハウジングとを接続するとともに前記耳を覆い、前記耳に対して通気性を有する接続部を含む耳収容部を有し、
前記接続部は、前記ハウジングに着脱可能な取付部を有し、
前記枠の各頂点のうち少なくとも2点は、同一平面上に位置しない、耳収容部品。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0010】
[第1実施形態]
以下、第1実施形態におけるヘッドフォンの一例を、図面を用いて説明する。
【0011】
<ヘッドフォンの形状>
まず、
図1〜3を用いて、第1実施形態におけるヘッドフォンの形状の一例について説明する。
図1は、第1実施形態におけるヘッドフォン1の正面図である。
図2は、第1実施形態におけるヘッドフォン1の上面図である。
図3は、第1実施形態におけるヘッドフォン1の側面図である。
【0012】
図1〜3において、ヘッドフォン1は、一対の耳収容部10A、10B、一対のハウジング20A、20B、アーム30、ケーブル40を有する。耳収容部10Aは、装着者の耳を囲んで頭部に接触する枠12A、枠12Aとハウジング20Aとを接続するとともに耳を覆い、耳に対して通気性を有する接続部14Aを含む。耳収容部10Bは、耳収容部10A同様に、枠12Bと、接続部14Bとを含む。なお、左右の耳収容部、左右のハウジング等を区別する必要がないときは、耳収容部10及びハウジング20等という表記を用いる。枠12と接続部14とは、例えば同一部材であるが、別の部材であってもよい。接続部14は、例えばハウジング20の中央部分で、このハウジング20に接続する。これにより、ハウジング中央に耳収容部10を接続でき、構造上の安定化を図ることができる。
【0013】
耳収容部10の接続部14は、耳を覆い、耳に対する通気性を有する構造を含む。また、耳収容部10の構造の形状として、例えばハウジング20に対向する面が凸形状となっている。
図1〜3に示す例では、耳収容部10の形状は、凸形状の一例として椀形状、又は多角錘形状となっている。なお、耳収容部10又は接続部14の形状は、耳を覆うことができ、通気性があればよく、ドーム形状、円錐形状、円錐台形状、多角錘台形状、円柱形状(円筒形状)、多角柱形状などでもよい。
【0014】
また、
図1〜3に示す例では、耳収容部10の接続部14は、略均一に複数の孔又は開口を有するメッシュ構造を含む。また、別の言い方をすれば、耳収容部10は、複数の隙間を有するフレーム構造を含む。また、孔や開口のサイズは、耳への通気性を確保できるのであればいずれのサイズでもよい。
【0015】
また、ヘッドフォン1全体の視覚性に対して大きく影響を与える孔や開口の形状やサイズや位置を工夫することで、ヘッドフォン1全体のデザイン性を優れたものにすることができる。耳収容部10A、10Bの構造及び形状はそれぞれ同じでもよいし、違っていてもよい。
【0016】
なお、従来のヘッドフォン全体の形状はある程度決まっており、特に第1実施形態の耳収容部10に対応する従来のイヤーパッドにおいては、斬新なデザインはあまり存在しなかった。しかし、
図1〜3に示す例では、耳収容部10の構造において、耳を収容し、さらに通気性を有しつつ、形状においてデザイン性を向上させることが可能になる。また、耳収容部10の孔又は開口は、サイズに違いはあるが、例えば三角形状をしており、デザイン的に統一感を持たせることができる。また、孔又は開口は、耳収容部10の全周位に対して略均一に設けられるとよい。これにより、装着者は、外部の音を自然に聞くことができる。
【0017】
また、第1実施形態において、耳収容部10は、耳を囲んで頭部に装着された際、耳収容部10内の収容空間に耳全体が収容されるよう設計される。よって、耳収容部10は、基本的には耳に接触しないように設計される。しかし、耳収容部10は、全ての人の耳に接触しないことを必要とするのではなく、例えば耳の大きな人が装着する時には、耳収容部10は、多少耳に接触したり、耳が孔や開口からはみだしたりしても構わない。
【0018】
ハウジング20は、内部にスピーカーユニットを含み、このスピーカーユニットを保護するケースであり、耳収容部10に接続される。スピーカーユニットは、例えば平面スピーカーユニットを有し、さらに、指向性を高めたスピーカーユニットを適用することが好適である。例えば、スピーカーユニットによる出力音の指向性が耳の外耳道に直接向かうように、スピーカーユニットの位置が考慮されてハウジング20内に配置されればよい。例えば、スピーカーユニットは、ハウジング20の中央部から音が出力されるように配置される。
【0019】
指向性を有するスピーカーユニットを用いることにより、出力音が、耳の外耳道に直接向かうため、耳収容部10の孔や開口から漏れる音をなるべく小さくすることができる。なお、スピーカーユニットは、公知の技術を用いたり、市販されているものを採用したりすればよい。
【0020】
また、ハウジング20は、例えば、電源などの各種部品が含まれる。ハウジング20の内部の詳細は、
図5を用いて説明する。
【0021】
ハウジング20の形状は、例えば、耳収容部10に対向する面が凸形状を有する。
図1〜3に示す例では、ハウジング20は、凸形状の一例として椀形状又は円錐台形状となっている。また、ハウジング20は、ドーム形状、円錐形状、多角錘形状、多角錘台形状、円柱形状(円筒形状)、多角柱形状などでもよい。
【0022】
また、ハウジング20は、例えばオープン型又は密閉型であり、ハウジング20から外部に音漏れが起きにくい構造を有してもよい。また、ハウジング20は、耳収容部10と同様に凸形状をしており、ハウジング20と耳収容部10とが略面対称に接続されることで、デザイン的に美しい印象を与えることができる。
【0023】
アーム30は、ハウジング20などを支える部分であり、また、ヘッドフォン1の側圧を作る部位でもある。また、アーム30は、装着者の頭部の形に沿うよう可撓性を有し、アーム30の長さを調節するスライド機構を有する。また、
図1〜3に示す例では、アーム30は、中央部分に隙間が設けられた形状からなり、例えば2本の平行な棒状のフレームから形成されてもよい。なお、耳収容部10は、装着時のアーム30による側圧を受けて大きく変形しないことが望ましい。
【0024】
アーム30は、一対のハウジング20を互いに接続する。アーム30は、耳収容部10又はハウジング20に接続され、例えば、
図1に示すように、耳収容部10とハウジング20それぞれの凸部(先端部)にアーム30の端部周辺の部位が接続される。この部位に、長さを調節するスライド機構が設けられる。このスライド機構については後述する。
【0025】
ケーブル40は、例えば、フレキシブルケーブルであり、長さが一例として300mm、幅が一例として15〜20mmである。ケーブルは、各ハウジングにおけるコネクタにより接続される。ケーブル40は、各種信号(例えば音信号)を左右のスピーカーユニット等に伝達する。なお、ケーブル40は、
図2−3には図示していない。
【0026】
図4は、耳収容部10B、ハウジング20Bの内側(耳側)から見た拡大図である。
図4に示す例では、耳収容部10Bは、複数の孔部分又は開口部分の総面積が、耳収容部の素材の総面積よりも十分に大きい。これにより、耳周辺の通気性がよくなり、耳収容部10を装着した際、耳が蒸れたり、汗をかいたりすることを防止することができる。例えば、
図4に示す例では、孔部分又は開口部分の総面積は約70%、素材の総面積は約30%である。しかし、
図4に示す例に限られないことは言うまでもない。
【0027】
また、
図4に示す例では、耳収容部10Bの凸形状の先端部分16B(凸となっている先細り部分)において、耳収容部10Bとハウジング20Bとが接続され、この先端部分16Bにおいて、スピーカーユニット50Bから出力される音の方向が、耳の外耳道方向を向くように、スピーカーユニット50Bが接続される。
【0028】
また、耳収容部10Bの枠12B(先端部分とは逆方向であり、耳に接触する部分)が、耳周辺の頭部に接触される。このとき、耳収容部10B内の収容空間において、耳を収容することができる。また、接続部14Bは、枠12Bとハウジング20Bとを接続する部分である。
図4に示す例では、接続部14Bの先端部分16Bが、ハウジング20Bに接続される。
【0029】
図4に示す例を用いて、耳収容部10Bの構造について、頭部方向からハウジング20B方向における略垂直断面を説明する。頭部に接触する枠12Bは、例えば八角形であり、ハウジング20Bと接続される先端部分16Bは、例えば円形であり、この八角形と円形との間の接続部14Bの形状は、例えば四角形となっている。
【0030】
また、八角形と四角形と円形それぞれの間には所定の幅があり、この幅は、耳を収納可能な程度の幅があればよい。耳収容部10Bは、八角形の角から四角形の角に対してそれぞれ棒状部材で接続され、四角形の角から円を4分割した部位に対してそれぞれ棒状部材で接続されるフレーム構造を有する。つまり、耳収容部10Bは、
図4に示すように、耳収容部は、多層構造になっており、それぞれの層の外枠において、所定層の所定位置から他の層の所定位置までを接続する棒状部材を含む。これにより、耳収容部10Bにおいて、収容空間を形成しやすく、かつ、耳収容部10Bの強度を効率良く保つことができる。
【0031】
このフレーム構造は、隙間が存在し、樹脂などにより一体として成形されてもよいし、部分的に組み立てることで成形されてもよい。また、耳収容部10Bは、八角形の面積>四角形の面積>円形の面積の関係が成り立つ。また、八角形から円形までの外枠は、耳を覆いかぶせることができるようにドーム型となっている。なお、
図1〜4に示す耳収容部10の構造はあくまでも一例であって、耳収容部10の外側と内側との間で空気が流れるように隙間を有する別のフレーム構造であってもよい。
【0032】
また、
図4に示す例では、アーム30のスライド機構60Bは、この先端部分(凸部分)においてスライドさせる機構を有する。例えば、スライド機構60Bは、ハウジング20Bと耳収容部10Bとの接続部位(凸部分)に、アーム30の中央部分の隙間を挟み込み、接続部分が隙間をスライドしやすくしている。また、スライド機構60Bは、スライドさせた所定位置で係止めるための係止め機構を含む。よって、アーム30の中央全体に亘る隙間は、デザイン性を高めるとともに、可撓性を有しやすくするとともに、スライド機構の一部を担うことができる。
【0033】
ハウジング20Bの内側(耳側)には、第1スイッチ70と、第2スイッチ80とが設けられている。第1スイッチ70は、例えば電源スイッチであり、ヘッドフォン1の電源のON又はOFFのスイッチを切り替える。また、第2スイッチ80は、スピーカーユニット50Bのボリュームを調節するスイッチであり、複数の出力レベルをユーザが適宜選択できるようにしておけばよい。
図4に示すボタン例はあくまでも一例であって、この例に限られない。
【0034】
図5は、ハウジング20内の構成の一例を示す図である。
図5に示す例では、ハウジング20内の基板の厚さは、例えば5mm以内である。これにより、ハウジング20の厚さを薄くすることができ、デザイン的にスタイリッシュな印象を与えることができる。また、ハウジング20の直径は、例えば80mmとする。
【0035】
図5に示す例において、ハウジング20Aは、処理部100、増幅部102A、第1通信部104、発光部106A、スピーカーユニット50Aを含む。
【0036】
処理部100は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、音信号をデジタル信号からアナログ信号に変換したり、取得された音信号から抽出した情報の照合処理を行ったり、発光部106Aの発光を制御したりする。
【0037】
増幅部102Aは、処理部100において処理された音信号を増幅し、増幅した信号をスピーカーユニット50Aに出力する。これにより、スピーカーユニット50Aから音が出力される。
【0038】
第1通信部104は、例えば有線や無線の通信機能を有するモジュールであり、各種信号を通信する。例えば、第1通信部104は、無線通信機能により通信することが好適である。また、第1通信部104は、PC(Personal Computer)、スマートフォンなどの携帯端末を含む情報処理装置や、他のヘッドフォン1などと通信を行う。この第1通信部104により、複数のヘッドフォン1において、通信される音を同期して出力することが可能になる。第1通信部104は、例えば、2.4GHzを使用した近距離無線通信を行い、送信モードと受信モードとを適宜切り替えることが可能である。以下、第1通信部104は、この近距離無線通信を行う場合を例に挙げて説明する。
【0039】
発光部106Aは、例えばLEDなどの発光をするものであり、ハウジング20A内の周縁部に設けられるとよい。例えば、周縁部において、それぞれの間隔が均等になるように、4つのLEDが配置される。この発光部106Aにより、発光制御信号に基づいて、音に合わせて光制御を行ったり、複数のヘッドフォン1と合わせて、光の演出を行ったりすることができる。
【0040】
なお、ハウジング20Aは、図示しないが、例えば直径3.5mmのヘッドフォンジャックを有していてもよい。
【0041】
図5に示す例では、ハウジング20Bは、第1スイッチ70、第2スイッチ80、増幅部102B、発光部106B、電源回路108、充電保護回路110、第2通信部112、バッテリー114、スピーカーユニット50Bを含む。
【0042】
第1スイッチ70は、上述したとおり、例えば電源をON又はOFFするスイッチである。第2スイッチ80は、上述したとおり、例えばスピーカーユニットから出力される音量を調節するスイッチである。
【0043】
増幅部102Bは、ケーブル40から取得した音信号を増幅し、増幅した音信号をスピーカーユニット50Bに出力する。これにより、スピーカーユニット50Bから音が出力される。
【0044】
発光部106Bは、基本的には発光部106Aと同様である。発光部106Bは、発光部106Aと同期して発行制御されてもよい。
【0045】
電源回路108は、入力電力から必要とされる出力電力を生成する電力回路である。充電保護回路110は、バッテリー114の過充電・過放電・過電流を保護する。バッテリー114は、例えばリチウムイオンポリマー二次電池である。
【0046】
第2通信部112は、無線通信を行う機能を有するモジュールである。例えば、第2通信部112は、Bluetooth(登録商標)による無線通信機能を有するモジュールである。第2通信部112は、これにより、同様の規格の無線通信機能を有する機器と通信を行うことができる。例えば、第2通信部112は、携帯端末や、PCなどと通信を行うことができる。
【0047】
また、ハウジング20Bは、マイクロUSBのコネクタを有してもよい。また、
図5に示したハウジング20A及びハウジング20Bの構成について、上述した例に限られず、はハウジング内のサイズ、機能に応じて適宜設計変更してもよい。また、
図1〜4に示すハウジング20は、中央部の厚さが一番厚くなっているので、高さのある部品は、ハウジング20の中央部に配置するとよい。
【0048】
また、耳収容部10の素材は、例えばシリコン、ウルテム、TR90などの樹脂を用いた素材である。他にも、耳収容部10の素材として、形状記憶合金(NT合金)などを用いた素材にシリコンでラッピングするなどの素材を用いることもできる。また、耳収容部10には、特徴的なハニカム構造や、ホールド技術が用いられてもよい。
【0049】
以上、第1実施形態では、上述した耳収容部10の構成を有することにより、装着時に耳部全体の通気性を担保することができ、ヘッドフォン1を装着しても、耳の蒸れや汗の発生を抑えることができる。また、第1実施形態では、装着者は、装着時に耳に汗をかきにくくなっているので、音楽等を長時間聞くことができる。また、第1実施形態では、装着時に耳収容部10が、耳周辺の頭部に接触し、耳に圧力をかけにくい構造になっているため、長時間装着しても耳が痛くなりにくい。また、第1実施形態では、従来存在しない耳収容部10の構成を有することで、デザイン的に優れたヘッドフォン1を提供することができる。また、ヘッドフォン1は、通気性を有する耳収容部10の構造により、外部の環境音などを装着者が聞くことができる。
【0050】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態における配信システム200について説明する。
図6は、第2実施形態における配信システム200の構成の一例を示す図である。
図6に示す配信システム200は、ヘッドフォン1A、1B、1Cと、情報処理装置2と、サーバ3とが、通信ネットワークNを介して接続されている。なお、
図6には、1つの情報処理装置2が記載されているが、ヘッドフォンごとに1対1で対応する情報処理装置2があってもよい。
【0051】
通信ネットワークNは、無線ネットワークや有線ネットワークにより構成される。通信ネットワークの一例としては、携帯電話網や、PHS(Personal Handy-phone System)網、無線LAN(Local Area Network)、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、WiMax(登録商標)、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、有線LAN、電話線、電灯線ネットワーク、IEEE1394等に準拠したネットワークがある。
【0052】
また、ヘッドフォン1A、1B、1Cは、それぞれを区別する必要がない場合は、ヘッドフォン1と表記する。ヘッドフォン1は、第1実施形態において説明したヘッドフォンと同様である。
【0053】
情報処理装置2は、PCや、スマートフォンなどの携帯端末や、通信機能を有する情報処理装置である。情報処理装置2は、通信ネットワークNを介して、各ヘッドフォン1に制御信号を送信したり、音データを送信したりする。
【0054】
サーバ3は、ヘッドフォン1を用いたイベントの情報を配信したり、情報処理装置2からイベントの登録を受けたり、情報処理装置2に、ヘッドフォン1を利用するためのアプリケーションを配信したりする。
【0055】
第2実施形態における配信システム200は、ワイヤレス・ヘッドフォン(ヘッドフォン1)で音楽を聴きながら踊るサイレントディスコなどのイベントを提供することができる。
【0056】
<ヘッドフォンの構成>
ヘッドフォン1のハードウェア構成は、
図5に示すとおりであるため、その説明を省略する。
図7は、第2実施形態におけるヘッドフォン1の機能構成の一例を示す図である。
図7に示す例では、ヘッドフォン1は、第1取得部302、第1ペアリング部304、イベント制御部306、発光制御部308、出力制御部310を有する。
【0057】
なお、第1取得部302、第1ペアリング部304、イベント制御部306、発光制御部308、出力制御部310は、
図5に示す処理部100により実現されうる。
【0058】
第1取得部302は、他の装置から受信された各種信号を取得する。例えば、第1取得部302は、情報処理装置2や他のヘッドフォン1などから音信号や、発光制御信号や、イベントIDや、音信号が配信される周波数情報や、ペアリングに関する情報などを取得する。
【0059】
ここで、ヘッドフォン1同士で第1通信部104を用いて通信を行う場合、所定のヘッドフォンが親として設定され、その他のヘッドフォンが子として設定されればよい。このとき、親のヘッドフォンは、子のヘッドフォンに対して、音楽などを一斉送信することができる。
【0060】
第1ペアリング部304は、第1取得部302からペアリングに関する情報、例えば、共有秘密鍵情報(リンクキー)や、リンクキーから生成されたセッションキーを取得し、これらの情報を用いて、ペアリングを行う。
【0061】
例えば、第1ペアリング部304は、Bluetooth(登録商標)を用いて情報処理装置2とペアリングを行う。これにより、ヘッドフォン1と情報処理装置2との間で、マスタースレーブ関係の通信が確立する。なお、ペアリングの方法については、公知の技術を用いればよい。このペアリングで確立した通信を用いて、第1取得部302は、イベントIDやそのイベントで用いる周波数情報を取得してもよい。
【0062】
イベント制御部306は、ペアリング後、イベントのイベントIDや周波数情報などを第1取得部302から取得する。イベント制御部306は、周波数情報に基づき、イベントで音信号が配信される周波数に設定する。このとき、イベント制御部306は、周波数設定後に、発光制御部308に発光制御信号を出力し、受信可能状態を示す色を発光させるようにしてもよい。
【0063】
イベント制御部306は、ペアリング直後に取得されたイベントIDを保持しておく。イベント制御部306は、このイベントIDなどを用いてヘッドフォン1に関するイベントを制御する。例えば、イベント制御部306は、ヘッドフォン1を用いたサイレントディスコなどのイベントを制御する。
【0064】
より具体的には、まず、イベント制御部306は、このイベントにおいて送信される音信号であって、この音信号の非可聴領域に、所定時間毎にイベントIDが埋めこまれた音信号を取得する。所定時間は、例えば2分である。次に、イベント制御部306は、この音信号から抽出したイベントIDと、保持しているイベントIDとを用いて照合を行う。イベント制御部306は、イベントIDが照合された場合、出力制御部310による音信号の再生を継続するよう制御する。音信号は、音楽や、音声などの情報又はデータを含む。また、イベント制御部306は、イベントIDが照合されなかった場合、出力制御部310による音信号の再生を停止するよう制御する。
【0065】
これにより、イベントにおいて、例えば音楽を有料配信する際に、音楽を一斉送信し、イベントIDの照合が成功した特定のヘッドフォン1だけで音信号を再生することができる。
【0066】
発光制御部308は、第1取得部302から発光制御信号を取得し、発光制御信号に基づいて発光部106A、Bの発光を制御する。これにより、例えば、音に合わせてヘッドフォン1を発光させることが可能になる。1つの発光制御信号が複数のヘッドフォン1に送信されることで、複数のヘッドフォン1において同期した発光を行うことできるようになる。その結果、複数のヘッドフォン1が存在する空間を光によって演出することが可能になる。
【0067】
また、発光制御部308は、音情報が送信可能な場合には発光部106A、Bが第1色に発光するよう制御し、音信号が受信可能な場合には発光部106A、Bが第2色に発光するよう制御する。音信号が送信可能な場合とは、例えば、第1通信部104が送信モードの場合で、音信号を配信する周波数が確定した後であり、音信号が受信可能な場合とは、例えば、第1通信部104が受信モードの場合で、音信号が配信される周波数を設定した後である。
【0068】
出力制御部310は、第1取得部302から音信号を取得し、スピーカーユニット50A、Bから音が出力(再生)されるように制御する。また、出力制御部310は、イベント制御部302により、再生の停止が指示された場合は再生を停止する。なお、出力制御部310は、イベント以外にも音信号を出力制御することができ、ヘッドフォンジャックから入力された音信号を出力制御したり、情報処理装置2から受信された音信号を出力制御したりする。
【0069】
<情報処理装置の構成>
次に、配信システム200内の情報処理装置2について説明する。
図8は、第2実施形態における情報処理装置2のハードウェア構成の一例を示す図である。
図8に示す情報処理装置2は、制御部402、通信部404、記憶部406、電源部408を少なくとも備える。
【0070】
制御部402は、例えばCPUであり、メモリ上に展開されたプログラムを実行し、情報処理装置2に各種の機能を実現させる。また、制御部402は、ヘッドフォン1に送信する音情報を管理したり、イベントを管理したりする。制御部402の詳細は
図9を用いて説明する。
【0071】
通信部404は、例えば通信ネットワークNを介してデータの送受信を行う。例えば、通信部404は、制御部402により処理された各種信号をヘッドフォン1などに送信する。また、通信部404は、サーバ3などからの信号を受信する。
【0072】
記憶部406は、例えばプログラムや各種データを格納する。各種データには、イベントに用いるイベントIDを含むイベント情報、ヘッドフォン1の識別情報などを記憶する。また、記憶部406は、音源の音信号を記憶する。電源部408は、各部に電源を供給する。
【0073】
図9は、第2実施形態における情報処理装置2の機能構成の一例を示す図である。
図9に示す例では、情報処理装置2は、第2取得部502、第2ペアリング部504、イベント管理部506、発光管理部508、出力管理部510を有する。
【0074】
なお、第2取得部502、第2ペアリング部504、イベント管理部506、発光管理部508、出力管理部510は、
図8に示す制御部402により実現されうる。
【0075】
第2取得部502は、サーバ3やヘッドフォン1から受信された各種信号や各種情報を取得する。例えば、第2取得部502は、サーバ3からイベント情報を取得したり、音信号を取得したり、また、ヘッドフォン1からヘッドフォン1の識別番号を取得したり、ペアリングに関する情報を取得したりする。
【0076】
第2ペアリング部504は、第2取得部502からペアリングに関する情報、例えば、共有秘密鍵情報(リンクキー)や、リンクキーから生成されたセッションキーを取得し、これらの情報を用いて、ペアリングを行う。第2ペアリング部504は、例えば画面上のペアリングボタンが押下されると、ペアリングを開始する。このとき、情報処理装置2は、共有秘密鍵情報を生成してもよいし、予め決められた共有秘密鍵情報を用いてもよい。
【0077】
例えば、第2ペアリング部504は、Bluetooth(登録商標)を用いてヘッドフォン1とペアリングを行う。これにより、ヘッドフォン1と情報処理装置2の間で、マスタースレーブ関係の通信が確立する。
【0078】
イベント管理部506は、イベントIDなどを生成し、生成したイベントIDなどを用いてヘッドフォン1に関するイベントを管理する。例えば、親のヘッドフォン1に対する情報処理装置2のイベント管理部506は、ヘッドフォン1を用いたサイレントディスコなどのイベントを管理する。より具体的には、イベント管理部506は、音信号に対して、どの周波数で送信するかを決めたり、この音信号にイベントIDを埋め込んだりしてもよい。例えば、イベント管理部506は、音信号の非可聴領域にDTMF(Dual Tone Multiple Frequency)等の変調信号として、一定時間毎にイベントIDを埋め込む。なお、イベントIDの埋め込みは、親のヘッドフォン1のイベント制御部306が音信号を送信する際に行われてもよい。
【0079】
また、子のヘッドフォン1に対応する情報処理装置2のイベント管理部506は、サーバ3等から取得されたイベントIDや周波数情報をペアリングされたヘッドフォン1に送信するよう制御する。これにより、子のヘッドフォン1は、音信号を受信する前に照合に用いるイベントIDを取得したり、配信される周波数帯を設定したりすることができる。
【0080】
これにより、イベントにおいて、例えば音信号を有料配信する際に、音信号を受信した親のヘッドフォン1が、一斉に子のヘッドフォン1に音信号を送信し、正当に購入された際に得られるイベントIDを有する特定のヘッドフォン1だけが、音信号を再生することができるようになる。
【0081】
また、イベント管理部506は、ユーザによるイベントの生成を可能にし、ユーザにより生成されたイベントの情報を、サーバ3にアップロードしたりする。これにより、他の情報処理装置2において、サーバ3からイベントの情報を閲覧したりすることが可能になる。また、イベント管理部506は、イベントにおけるチケット販売については、適宜購入サイトに接続するよう制御する。イベント管理部506は、チケットを購入した後に、サーバ3等からイベントIDや周波数情報を取得する。
【0082】
発光管理部508は、音信号に応じて発光制御信号を生成し、管理する。生成された発光制御信号は、ヘッドフォン1に送信される。上述したとおり、1つの発光制御信号が複数のヘッドフォン1に送信されることで、複数のヘッドフォン1において同期した発光を行うことできるようになり、複数のヘッドフォン1が存在する空間を光によって演出することが可能になる。
【0083】
出力管理部510は、イベント管理部506から音信号等を取得し、ヘッドフォン1に出力するように管理する。例えば、出力管理部510は、イベントに応じて出力する音信号を管理する。
【0084】
これにより、イベント時において、情報処理装置2が送信した音信号を多数のヘッドフォン1に送信することができ、一つの音信号を複数のヘッドフォン1で再生することが可能になる。よって、第2実施形態では、サイレントディスコなどのイベントを実現することができる。
【0085】
なお、出力管理部510は、記憶部406により記憶された音信号のプレイリストなどを管理し、ユーザにより選択された音信号をヘッドフォン1に出力してもよい。
【0086】
<サーバの構成>
サーバ3のハードウェア構成は、
図8に示す情報処理装置2と同様である。また、サーバ3は、情報処理装置2等により生成されたイベントの情報がアップロードされ、このイベントの情報を検索可能にする。また、サーバ3は、有料イベントの場合、購入サイトへ接続し、有料イベントのチケットの購入を可能にする。
【0087】
<画面例>
次に、画面例について説明する。
図10は、ヘッドフォン1を制御するアプリケーションを情報処理装置2で起動させたときのホーム画面の一例を示す図である。
図10に示す画面600Aには、ホームを示す画像と、第1検索ボタン602と、第2検索ボタン604と、イベント作成ボタン606と、設定ボタン608とが表示される。
【0088】
第1検索ボタン602は、イベントや音楽などを検索するためのボタンである。第2検索ボタン604は、現在位置において、音信号を受信可能なイベントを検索し、イベント情報を表示するためのボタンである。イベント作成ボタン606は、イベントを作成するためのボタンである。設定ボタン608は、ユーザ登録やヘッドフォン1に関する設定を行うためのボタンである。
【0089】
図11は、イベント作成画面の一例を示す図である。
図11に示す画面600Bには、イベント作成ボタン606が押下された時に表示され、イベントのタイトルや、タイプ、説明、値段、場所などの入力欄が表示される。ユーザは、これらの入力欄に入力することで、イベントを作成することができる。
【0090】
また、ユーザは、
図11に示す画面600Bの入力欄に入力し、OKボタンを押すと、イベントの作成を完了し、作成されたイベントの情報をサーバ3にアップロードしたり、所定のユーザの情報処理装置2に送信したりする。
【0091】
図12は、イベント画面(その1)の一例を示す図である。
図12に示す画面600Cは、第2検索ボタン604が押下されたときに表示され、イベントの概要を示す表示領域620が表示される。
【0092】
図13は、イベント画面(その2)の一例を示す図である。
図13に示す画面600Dは、
図12に示す画面の「Set Up」ボタンが押下されたときに表示され、イベントの詳細情報を示す表示領域630が表示される。
【0093】
図14は、イベント画面(その3)の一例を示す図である。
図14に示す画面600Eは、
図12に示す画面の「JOIN」ボタンが押下されたときに表示され、イベントのチケットを購入するための表示領域640が表示される。
【0094】
図15は、イベント画面(その4)の一例を示す図である。
図15に示す画面600Fは、
図12に示す画面からHashtagが選択された後に表示される画面の一つである。
図15に示す画面600Fでは、イベント参加者同士でソーシャルネットワーキングサービスの提供を受けることを可能にする。これにより、参加者同士のコミュニケーションを図ることができる。
【0095】
<動作>
次に、配信システム200の動作について説明する。
図16及び
図17は、送受信側の楽曲の送受信に関する処理を説明し、
図18から
図20は、イベントに関する処理を説明する。
【0096】
図16は、送信側の楽曲配信処理の一例を示すフローチャートである。
図16に示すステップS102で、送信側、例えば情報処理装置2は、対応する親のヘッドフォン1とペアリングを実行する。ペアリングの方法は、公知の方法を用いればよい。
【0097】
ステップS104で、情報処理装置2は、ヘッドフォン1に対して、ON AIRモードを送信する。この通信は、例えばBluetooth(登録商標)が用いられる。このON AIRモードを、イベントを作成した情報処理装置2から受信することにより、親のヘッドフォン1は、送信モードに設定される。
【0098】
ステップS106で、親のヘッドフォン1は、第2通信部112の通信範囲内に存在する子のヘッドフォン1に対して、楽曲の音信号の一斉配信を行う。
【0099】
図17は、受信側の楽曲受信処理の一例を示すフローチャートである。
図17に示すステップS202で、受信側、例えばヘッドフォン1は、対応する情報処理装置2とペアリングを実行する。ペアリングの方法は、公知の方法を用いればよい。
【0100】
ステップS204で、子のヘッドフォン1は、情報処理装置2から、ON AIRモードを受信する。この通信は、例えばBluetooth(登録商標)が用いられる。このON AIRモードを、イベントに参加した情報処理装置2から受信することにより、子のヘッドフォン1は、受信モードに設定される。
【0101】
ステップS206で、子のヘッドフォン1は、親のヘッドフォン1から、楽曲の音信号を受信する。このとき、音信号にイベントIDが含まれていれば、子のヘッドフォン1は、イベントIDを抽出し、照合処理を行う。
【0102】
ステップS208で、子のヘッドフォン1は、音信号を再生する。これにより、複数のヘッドフォン1において、1つの楽曲を同期して再生することができ、サイレントディスコなどを実現することが可能になる。
【0103】
図18は、イベント作成に関する処理の一例を示すフローチャートである。
図18に示すステップS302で、情報処理装置2は、イベントを作成する(例えば
図11参照)。
【0104】
ステップS304で、情報処理装置2は、イベント作成時に、イベントを区別するためのイベントIDを取得する。この後、情報処理装置2は、イベントIDを含むイベントの情報をサーバ3やローカルメモリに保存する。
【0105】
ステップS306で、情報処理装置2は、作成されたイベントの配信を行う。イベントの配信は、プッシュ通信や、所定のサイトでの告知などにより行われる。これにより、ユーザはイベントを作成し、そのイベントを配信することができる。
【0106】
図19は、イベント参加に関する処理の一例を示すフローチャートである。
図19に示すステップS402で、情報処理装置2は、アプリーションにおいて、対応するヘッドフォン1の識別情報を登録する。なお、ヘッドフォン1の識別情報が既に登録されていればこの処理は不要である。
【0107】
ステップS404で、情報処理装置2は、サーバ3又はローカルメモリに登録されているイベントを検索する。
【0108】
ステップS406で、情報処理装置2は、検索されたイベントが有料イベントである場合、ユーザの操作によりチケットを購入する(例えば
図14参照)。これにより、イベントに参加することが可能になる。なお、無料イベントの場合、ステップS406は不要である。
【0109】
図20は、イベントにおける楽曲の再生処理の一例を示すフローチャートである。
図20に示すステップS502で、子のヘッドフォン1は、親のヘッドフォン1から音信号を受信する。
【0110】
ステップS504で、子のヘッドフォン1は、取得した音信号を再生する。
【0111】
ステップS506で、子のヘッドフォン1は、音信号からイベントIDを抽出する。
【0112】
ステップS508で、子のヘッドフォン1は、抽出したイベントIDを用いて照合処理を行う。照合が成功すれば(ステップS508−YES)、処理はステップS502に戻り、照合が失敗すれば(ステップS508−NO)、処理はステップS510に進む。
【0113】
ステップS510で、子のヘッドフォン1は、音信号の受信を停止したり、音信号の再生を停止したりする。これにより、特定のヘッドフォン1だけに楽曲の再生を許可することが可能になる。なお、照合処理は必ずしも必要ではなく、無料イベントの場合などには、ヘッドフォン1は、受信した楽曲をそのまま再生することができるようにしてもよい。
【0114】
以上、第2実施形態における配信システム200は、所定のイベントにおいて、ヘッドフォン1を利用することができる。例えば、サイレントディスコなどのイベントにヘッドフォン1を利用することができる。さらに、ヘッドフォン1の発光機能を用いて、会場に存在するヘッドフォン1の発光制御を行い、空間の演出を行い、会場を盛り上げることができる。
【0115】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態におけるヘッドフォンの一例を、図面を用いて説明する。
【0116】
<ヘッドフォンの形状>
図21〜23を用いて、第3実施形態におけるヘッドフォンの形状の一例について説明する。
図21は、第3実施形態におけるヘッドフォン2の正面図である。
図22は、耳収容部710Aの正面図である。
図23は、耳収容部710Aの右側面図である。
【0117】
第3実施形態におけるヘッドフォン2において、耳収容部710A、710Bのうち頭部と接触する枠712A、712Bは、頭蓋骨又は頭部形状に沿った形状を有する。頭蓋骨や頭部形状については、その標準形状が3Dデータで表現され、この3Dデータを用いて枠712A、712Bの形状が設計され、形成されるとよい。これにより、ユーザがヘッドフォン2を装着した際に、例えば枠712A全体が、頭蓋骨又は頭部形状に沿って接触しやすくなるため、枠712Aによる耳周辺を押圧する力を、枠712A全体に分散させることができる。
【0118】
また、第3実施形態における耳収容部710Aは、上述したように耳周辺を押圧する力を分散しつつ、音漏れを防ぐためスピーカをできるだけ耳に近づけ、かつ、第1実施形態と同様に通気性を有しつつ強度を保つように設計される。
【0119】
図21において、ヘッドフォン2は、一対の耳収容部710A、710B、一対のハウジング720A、720B、アームA730、アームB735を有する。第3実施形態における耳収容部710A、710B、及びアームA730、アームB730以外の構成は、第1実施形態において対応する構成と同様である。
【0120】
アームA730は、装着者の頭頂部に沿うように円弧状になっており、例えばクッション性を有する部材を用いて形成される。アームB735は、例えばアームA730の外側に設けられる。また、アームB735は、ヘッドフォン2を耳にフィットさせるため、ヘッドフォン2を耳から離す方向に広げたときに、耳を押圧する側の力Fを発生させる。すなわち、アームB735は、一対の耳収容部710A、710Bが互いに離れる方向に移動されたとき、一対の耳収容部710A、710Bが互いに向き合う方向に力Fを発生させる。アームB735は、例えば弾性部材を用いて形成される。
【0121】
第3実施形態における耳収容部710は、第1実施形態における耳収容部10と比較して、その形状が異なる。以下では、第3実施形態における耳収容部710について主に説明するが、耳収容部710Aと710Bとは面対称な構成を有するため、耳収容部710Aを例に挙げて説明する。
【0122】
耳収容部710Aの枠712Aは、頂点P11、P12、P13、P14、P15、P16を有する枠状の部材から構成される。これらの頂点を結ぶ部材を含む枠712Aは、ヘッドフォン2が装着される頭蓋骨または頭部形状に沿った形状を有する。
【0123】
例えば、枠712Aは、六角形であり、各頂点のうち少なくとも2つの頂点は一の平面上にはない。これにより、枠712Aは、耳周辺の凸凹した形状に沿うことができる。例えば、頂点P11は、ヘッドフォン2装着時の耳上部に位置し、頂点P12は、装着時の耳前方上部に位置し、頂点P13は、装着時の耳前方下部に位置し、頂点P14は、装着時の耳下部に位置し、頂点P15は、装着時の耳後方下部に位置し、頂点P16は、装着時の耳後方上部に位置する。
【0124】
また、枠712Aの各頂点について、
図21に示すヘッドフォン2の正面図や
図22に示す耳収容部710Aの正面図では、頂点P11は、アーム方向に位置し、頂点P14は、アームとは逆方向に位置する。頂点P12及びP13は、頂点P11とP14の基準線よりヘッドフォン2の前方(前頭部方向)に位置し、頂点P15及びP16は、この基準線よりヘッドフォン2の後方(後頭部方向)に位置する。
【0125】
また、頂点P11、P12、P14により形成される同一平面に対して、頂点P13は、頬骨の凸状に応じて、この同一平面より上方(ハウジング700Aに近づく方向を上方とする)に位置し、頂点P15及びP16は、耳裏の凹みに応じて、同一平面上より下方(ハウジング700Aから離れる方向を下方とする)に位置する。また、頂点P15は、頂点P16よりも、同一平面より離れる方向に位置する。
【0126】
また、上述したように、枠712Aの正面視における構造は、六角形であり(
図22参照)、D1方向に位置する頂点P11、P12、P13、及びP14を結ぶ各線分より、D2方向に位置する頂点P11、P16、P15、及びP14を結ぶ各線分の方が長い。つまり、頂点P11と頂点P14との線分で六角形を分割したときに、四角形P11、P12、P13、P14の面積は、四角形P11、P14、P15、P16の面積よりも小さい。なお、
図22及び
図24に示す矢印D1は、前頭部方向であり、矢印D2は、後頭部方向である。
【0127】
また、耳収容部710Aは、接続部714Aを有し、接続部714Aは、ハウジング700Aに取り付けられる取付部716Aを有する。取付部716Aは、
図22に示す例ではリング形状を有するがこの限りではない。また、取付部716Aには、爪部T1、T2、T3を有し、この爪部T1、T2、T3をハウジング700Aの凹み部(不図示)に嵌め込み、回転させることでハウジング700Aに取り付ける。
【0128】
なお、爪部T1、T2、T3は、リング形状の均等な位置(例えば120度間隔ずつ)には設けられず、ランダムな位置に設けられる。これにより、耳収容部710Aの適切な取付位置が一意に判別可能になる。
【0129】
また、爪部T1、T2、T3は、ハウジング700Aに嵌め込まれ、方向R1の方向に回転(ハウジング700A側から見て右回転、取り付ける側から見て左回転)して取り付けられる。また、右耳の耳収容部710Bの場合は、ハウジング700Bから見ると左回り、取り付け側から見ると右回りに回転して取り付けられる。これは、発明者らの実験により、通常のヘッドフォンを装着したユーザが運動をした場合、ヘッドフォン(たとえばアーム部分)は前頭部方向D1にずれることが多いことが分かっている。よって、ヘッドフォンのアームが前頭部方向D1にずれると、耳収容部710Aがハウジング700Aに対して、より締まる方向に回転することで、耳収容部710Aがハウジング700Aから脱着されることを防ぐことができる。
【0130】
接続部714Aは、枠712Aと取付部716Aとを三角形のリブ構造により接続する。これにより、ヘッドフォン2を装着した際に、耳周辺の通気性を有しつつ、強度を保つことができる。枠712Aと取付部716Aとの間にある頂点P21、P22、P23について、例えば、取付部716Aにおいてハウジング700Aから離れる方向において、頂点P21及びP23は、頂点P22よりも取付部716Aに近い位置に設けられる。なお、上述した各頂点P11〜P16は、頂点P21〜23よりもさらに、ハウジング700Aから離れる方向の位置に設けられる。
【0131】
また、取付部716Aは、各頂点P21、P22、P23により形成される三角形の内側に位置する。各頂点P21、P22、P23は、六角形の枠712Aの内側に位置する。各線分の長さの関係は、P23−P22の線分>P22−P21の線分≒P21−P23の線分である。
【0132】
また、各頂点P21、P22、P23から、取付部716Aへのリブについては、取付部716Aの中央に向かうようにリブが形成される。ここで、取付部716Aの面積<三角形P21、P22、P23の面積<枠712Aの面積の関係が成り立つ。また、
図22に示す正面視において、頂点P21は、頂点P12に一番近い位置に設けられ、頂点P22は、頂点P14に一番近い位置に設けられ、頂点P23は、頂点P16に一番近い位置に設けられる。
【0133】
また、ヘッドフォン2の装着時に、耳収容部710Aが位置ずれしにくくするため、頂点P11、P21、及びP23を結ぶ三角形のリブ構造を耳に引っ掛けることができる(
図24参照)。これにより、ヘッドフォン2を安定して装着することができる。なお、これらの頂点P11、P21及びP23から形成される三角形は、隣接する三角形より大きい。このため、耳がこの三角形の隙間を貫通しやすくなっている。
【0134】
図23に示す右側面図では、頂点P23とP22を結ぶリブ、及び頂点P22とP21(
図23に示すP23の裏側に位置する頂点)を結ぶリブ、及び頂点P11とP15とを結ぶリブは、略平行である。これは、ヘッドフォン2の装着時に、耳の裏側から見た際の耳の形状に沿うようにするためである。上記構成により、耳収容部710Aは、より耳に近づくことができる。なお、上述したとおり、頂点P21、P23は、頂点P22よりも、取付部716側の位置に設けられる。
【0135】
図24は、耳収容部と耳との関係を示す図である。
図24に示すように、耳収容部710Aは、耳E10により近づいた状態で装着される。
図24に示す例では、スピーカから出力される指向性を有する音が、外耳道G10の奥に直接入り込むように、取付部716Aの中央部分にスピーカが設けられる。これにより、音漏れを極力防ぐことができるようになる。
【0136】
図24に示す例では、上述したように、頂点P11、P21、P23を結ぶ三角形をなすリブが、耳E10に引っ掛かっていることを示す。第3実施形態における耳収容部701Aでは、枠712Aが耳周辺部を均等に押圧する以外にも、装着時の耳収容部710Aが位置ずれしないような構造を有する。
【0137】
また、頂点P22、P23、及び取付部716Aとの間にある隙間に、耳の周縁部が挟まるように、リブ構造が構成されてもよい。これにより、さらに耳収容部710Aの位置ずれをさらに防止することができる。
【0138】
また、耳収容部710Aは、ユーザに装着される際、頂点P14が頂点P11よりも、よりF方向に傾くようにして装着される。この傾きを考慮して、スピーカから出力される音が外耳道G10の奥に届くように、スピーカの位置が調整されてもよい。
【0139】
以上、第3実施形態によれば、第1実施形態に記載した効果を有しつつ、さらに、耳収容部の枠が頭蓋骨又は頭部形状に沿うことで、耳収容部のフィット感を向上させることができる。また、スピーカがより耳に近づくような耳収容部の構造にすることで、音漏れを極力防ぐことができるようになる。
【0140】
[変形例]
以上、本願の開示する技術の複数の実施形態について説明したが、本願の開示する技術は、上記に限定されるものではない。例えば、楽曲を配信する配信装置がイベント会場に設けられ、この配信装置が、各情報処理装置2を介して各ヘッドフォン1に楽曲の音信号を配信してもよい。また、親の情報処理装置2が、他の情報処理装置2に対し、無線ネットワークを用いて音信号を配信し、音信号を受信した各情報処理装置2が、ペアリングされたヘッドフォン1に音信号を送信するようにしてもよい。
【0141】
いずれの場合でも、会場内に1つの楽曲を提供することができる。また、有料の場合でも、配信装置や親の情報処理装置2がイベントIDを音信号に埋め込んで配信することで、チケット購入に伴ってイベントIDを取得したヘッドフォン1が、音信号を再生できるようにすることができる。
【0142】
また、本発明の情報処理装置2のプログラムは、CD−ROM等の光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記録媒体を通じて、又は通信ネットワークなどを介してダウンロードすることにより、コンピュータにインストール又はロードすることができる。
【0143】
また、本明細書等において、「部」とは、単に物理的構成を意味するものではなく、その構成が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの構成が有する機能が2つ以上の物理的構成により実現されても、2つ以上の構成の機能が1つの物理的構成により実現されてもよい。また、「システム」とは、情報処理装置等から構成される、特定の機能をユーザに提供するためのシステムを含む。例えば、サーバ装置、クラウドコンピューティング形態のもの、ASP(Application Service Provider)、クライアントサーバモデルのもの、などにより構成されるが、これに限られるものではない。