(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記無線復調部は、複数の前記地上アンテナ装置が前記移動局から受信したアナログ電気信号を前記電気光変換部から受け取り、受け取ったアナログ電気信号をダイバーシチ復調する、
ことを特徴とする請求項2に記載の基地局装置。
前記無線復調部は、複数の前記地上アンテナ装置が前記移動局から受信したアナログ電気信号を前記電気光変換部から受け取り、受け取ったアナログ電気信号をダイバーシチ復調する、
ことを特徴とする請求項6に記載の地上局装置。
移動局へ送信するアナログ電気信号と、前記アナログ電気信号をアップコンバートする際に用いられる基準クロック信号とを電気信号から光信号に変換し、波長分割多重して光伝送路へ出力する地上局装置に前記光伝送路を介して接続され、他の地上アンテナ装置とともに無線通信システムの基地局装置を構成する地上アンテナ装置であって、
前記光伝送路から入力される前記各光信号を分波し、分波後の各光信号を電気信号に変換し、電気信号に変換後の前記基準クロック信号に基づいて、電気信号に変換後の前記アナログ電気信号の周波数をアップコンバートして前記移動局へ送信し、
前記光伝送路から入力される前記各光信号を分波し、分波後の各光信号を電気信号に変換するとともに、前記移動局から受信したアナログ電気信号を光信号に変換し、波長分割多重して前記光伝送路へ出力する光電気変換部と、
前記光電気変換部で電気信号に変換された後の前記基準クロック信号に基づいて、前記光電気変換部で電気信号に変換された後の前記アナログ電気信号の周波数をアップコンバートする第1の周波数変換処理部と、
前記光電気変換部で電気信号に変換された後の前記基準クロック信号に基づいて、前記移動局から受信したアナログ電気信号の周波数をダウンコンバートし、ダウンコンバート後のアナログ電気信号を前記光電気変換部へ出力する第2の周波数変換処理部と、
を備えることを特徴とする地上アンテナ装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態にかかる基地局装置、地上局装置および地上アンテナ装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる基地局装置が適用される無線通信システムの構成例を示す図である。
【0013】
実施の形態1にかかる無線通信システムは、複数の地上局装置100および複数の地上アンテナ装置200を含んで構成される。複数の地上局装置100の各々には複数の地上アンテナ装置200が接続され、同じ地上局装置100に接続されている各地上アンテナ装置200は、同一信号を同一周波数で同期して送信する。すなわち、1台の地上局装置100、および、この地上局装置100に接続された複数の地上アンテナ装置200が1つのリニアセルを形成する。
図1に示した例では、3台の地上局装置100の各々が形成しているリニアセルをリニアセルA〜リニアセルCとしている。また、
図1では、移動体としての鉄道車両に搭載された車上局300も記載している。車上局300は移動局である。なお、地上局装置100側すなわち地上アンテナ装置200側から車上局300への通信をダウンリンク通信、逆方向の通信をアップリンク通信と呼ぶ。
【0014】
図1に示した無線通信システムは、アナログ光RoF方式を用いてリニアセルを実現するものとする。複数の地上局装置100の各々の構成および動作は同様であり、また、複数の地上アンテナ装置200の構成および動作は同様である。
【0015】
以下では、
図1に示した無線通信システムにおいて1つのリニアセルを実現する1台の地上局装置100およびN(N≧2)台の地上アンテナ装置200で構成される単位を基地局装置と呼ぶ。各実施の形態では、1つの基地局装置の構成および動作について説明を行う。また、各実施の形態では、基地局装置から車上局300へのダウンリンク通信を主に扱うものとする。特に、実施の形態1および実施の形態2では、基地局装置において地上局装置100からN台の地上アンテナ装置200へアナログ光信号を伝送する形態を例に挙げて説明する。車上局300から基地局装置へのアップリンク通信についてはダウンリンク通信と可逆的であり、基地局装置においてN台の地上アンテナ装置200から地上局装置100へアナログ光信号を伝送する場合についても同様に適用可能である。また、以下に説明する各実施の形態では、基準クロック信号の数を1として例示するが、これに限らず、基準クロック信号数を2以上としてもよい。
【0016】
図2は、実施の形態1にかかる基地局装置1の構成例を示す図である。基地局装置1は、1台の地上局装置100と、N台の地上アンテナ装置200−1〜200−Nとを備える。地上局装置100と地上アンテナ装置200−1〜200−Nの各々とは光伝送路を構成する光ファイバで接続されている。光ファイバには光信号o(t)が伝送される。ここで、tは時刻を表す変数である。地上局装置100から送られる光信号o(t)は地上アンテナ装置200−1〜200−Nによらず同一である。すなわち、1台の基地局装置1を構成する地上アンテナ装置200−1〜200−Nは同一の信号を送信する。以下の説明では、地上局装置100と、ある1台の地上アンテナ装置200とに焦点を当て、これを地上アンテナ装置200として説明を進める。
【0017】
図3は、実施の形態1にかかる地上局装置100の構成例を示す図である。地上局装置100は、送信電気信号生成部である無線変調部110と、基準クロック信号生成部130と、電気光変換部である地上局側光変換ユニット150とを備える。本実施の形態では、一例として、無線伝送する信号として2つの異なる周波数で周波数多重する独立な2信号を扱う。ただし、これに限らず、無線伝送する信号数を1つとしてもよく、また、3つ以上としてもよい。また、複数の無線信号を周波数多重で伝送するのではなく空間多重で伝送する構成としてもよい。
【0018】
無線変調部110は、周波数多重して無線伝送する2つのアナログ電気信号を生成し、それぞれを送信電気信号s
t1(t),s
t2(t)として地上局側光変換ユニット150に出力する。ここで、送信電気信号s
t1(t),s
t2(t)は、ベースバンド信号、または、IF帯信号である。また、地上アンテナ装置200と車上局300との間に適用される無線伝送方式がデジタル方式である場合、送信電気信号s
t1(t),s
t2(t)は、デジタルアナログ変換後のアナログ電気信号を指す。基準クロック信号生成部130は、正弦波または矩形波のアナログ周期信号を生成し、基準クロック電気信号s
c(t)として地上局側光変換ユニット150に出力する。ここで、基準クロック電気信号s
c(t)は10MHz以上の周期信号である。
【0019】
図4は、実施の形態1にかかる地上局側光変換ユニット150の構成例を示す図である。地上局側光変換ユニット150は、E/O(Electrical/Optical)変換器151−1〜151−3と、WDM(Wavelength Division Multiplex)合波器155とを備える。E/O変換器151−1には送信電気信号s
t1(t)が入力され、E/O変換器151−2には送信電気信号s
t2(t)が入力され、E/O変換器151−3には基準クロック電気信号s
c(t)が入力される。
【0020】
E/O変換器151−1〜151−3は、入力される送信電気信号s
t1(t),s
t2(t)、および、基準クロック電気信号s
c(t)をそれぞれ電気光変換する。なお、電気光変換は電気信号を光信号に変換する処理である。E/O変換器151−1〜151−3が出力する光信号の波長をそれぞれλ
1,λ
2,λ
3とする。WDM合波器155は、電気光変換された3つの信号をWDMすなわち波長分割多重により合波し、3波長が合波されたアナログの光信号o(t)を光ファイバに出力する。地上局側光変換ユニット150のWDM合波器155から光ファイバに出力された光信号o(t)は、
図3に示したように、N台の地上アンテナ装置200−1〜200−Nに向けて分配送信される。
【0021】
図5は、実施の形態1にかかる地上局装置100と地上アンテナ装置200−1〜200−Nとの間の光ファイバ上を伝送される光信号o(t)の光スペクトルのイメージを示す図である。地上局装置100から地上アンテナ装置200−1〜200−Nの各々に向けて伝送される各光信号は同一の信号であるが、便宜上、
図5ではこれらを光信号o
1(t)〜o
N(t)としている。光信号o
1(t)〜o
N(t)は、異なる3つの光波長λ
1,λ
2,λ
3の送信光信号がWDMで多重された信号である。光信号o
1(t)〜o
N(t)のそれぞれにおいて、電気光変換された送信電気信号s
t1(t),s
t2(t)、および、基準クロック電気信号s
c(t)が搬送される。なお、光波長の順番は一例であり、3つの光スペクトルはどのような順番であってもよい。また、多重される送信光信号同士の波長の間隔は不均等であってもよい。
【0022】
図6は、実施の形態1にかかる地上アンテナ装置200の構成例を示す図である。地上アンテナ装置200は、光電気変換部である地上アンテナ側光変換ユニット210と、PLL(Phase Locked Loop)部230と、周波数変換部250−1,250−2と、合波部270と、アンテナ290とを備える。周波数変換部250−1,250−2の内部構成は同一である。PLL部230および周波数変換部250−1,250−2は、周波数変換処理部を構成する。周波数変換部250−1と周波数変換部250−2とを区別しない場合、これらを周波数変換部250と記載する。
【0023】
図7は、
図6に示した地上アンテナ側光変換ユニット210の構成例を示す図である。地上アンテナ側光変換ユニット210は、WDM分波器211と、O/E(Optical/Electrical)変換器215−1〜215−3とを備える。
【0024】
地上アンテナ側光変換ユニット210において、WDM分波器211は、地上局装置100から送られてきた光信号o(t)を波長ごとに分波し、各波長の光信号をO/E変換器215−1〜215−3に出力する。O/E変換器215−1〜215−3は、WDM分波器211から入力された光信号を光電気変換し、光信号から電気信号に変換する。O/E変換器215−1は、入力された光信号を光電気変換し、送信電気信号s
t1(t)を取り出す。O/E変換器215−2は、入力された光信号を光電気変換し、送信電気信号s
t2(t)を取り出す。O/E変換器215−3は、入力された光信号を光電気変換し、基準クロック電気信号s
c(t)を取り出す。このうち、基準クロック電気信号s
c(t)は
図6に示したPLL部230に入力され、位相同期回路であるPLL部230により局部発振電気信号s
cf1(t)およびs
cf2(t)が生成される。局部発振電気信号s
cf1(t)およびs
cf2(t)はともに正弦波信号であり、それぞれの周波数は送信電気信号s
t1(t)およびs
t2(t)をRF帯に周波数変換するための局部発振周波数である。局部発振電気信号s
cf1(t)は周波数変換部250−1に入力され、局部発振電気信号s
cf2(t)は周波数変換部250−2に入力される。
【0025】
図8は、
図6に示した周波数変換部250−1および250−2の構成例を示す図である。周波数変換部250−1と250−2とは同一の構成であるため、
図8ではこれらの中の1つを周波数変換部250として記載している。また、
図8では、周波数変換部250への入力信号を送信電気信号s(t)と局部発振電気信号s
cf(t)としている。周波数変換部250は、ミクサ251および帯域通過フィルタ255を備える。ミクサ251には送信電気信号s(t)および局部発振電気信号s
cf(t)が入力される。ミクサ251は、送信電気信号s(t)に対して局部発振電気信号s
cf(t)を乗積することにより送信電気信号s(t)の周波数をアップコンバートし、アップコンバート後の送信電気信号s(t)を帯域通過フィルタ255へ出力する。帯域通過フィルタ255は、入力された信号から不要な周波数成分を除去してRF帯に周波数変換された送信電気信号を生成する。帯域通過フィルタ255は、生成した周波数変換後の送信電気信号を送信RF信号v(t)として、
図6に示した合波部270に出力する。
【0026】
図9は、
図6に示した合波部270の構成例を示す図である。合波部270は、合波器271および増幅器275を備える。合波器271には、周波数変換部250−1および250−2の各々から出力された送信RF信号v
t1(t)、v
t2(t)が入力される。合波器271は、入力された2つの送信RF信号v
t1(t)およびv
t2(t)を周波数多重して増幅器275へ出力する。増幅器275は、合波器271から入力された信号を増幅してアンテナ290に出力する。
【0027】
上述したように、周波数変換部250−1および250−2は、PLL部230で生成された局部発振電気信号s
cf1(t)およびs
cf2(t)を使用して、入力された信号をアップコンバートしてRF帯に周波数変換する。ここで、PLL部230における局部発振電気信号の生成基準となるクロック信号は地上局装置100から伝送された基準クロック電気信号s
c(t)であり、これはN台の地上アンテナ装置200−1〜200−Nで共通である。したがって、異なる地上アンテナ装置間で高精度な無線周波数の同期を実現できる。
【0028】
図10は、
図2に示した構成の基地局装置1と同様の効果を奏することが可能な基地局装置1aの構成例を示す図である。基地局装置1aは、基地局装置1の地上局装置100を地上局装置100aとしたものである。基地局装置1aの地上アンテナ装置200−1〜200−Nは、基地局装置1の地上アンテナ装置200−1〜200−Nと同一である。地上局装置100aは、無線変調部110と、基準クロック信号生成部130と、地上局側光変換ユニット150−1〜150−Nとを備える。
【0029】
基地局装置1の地上局装置100は、
図3に示したように、地上局側光変換ユニット150により変換された光信号をN分配して伝送する構成であった。これに対して、地上局装置100aは、
図10に示すように、各電気信号s
t1(t)、s
t2(t)およびs
c(t)をそれぞれN分配した後、N個の地上局側光変換ユニット150−1〜150−Nにより光信号に変換する構成である。地上局側光変換ユニット150−1〜150−Nは
図4に示した地上局側光変換ユニット150と同一の構成であるため説明を割愛する。
【0030】
以上のように、本実施の形態では、アナログ光RoF方式を用いる基地局装置1および1aにおいて、地上局装置100および100aは、移動局へ伝送する信号と、基準クロック信号とをWDMにより複数の地上アンテナ装置200へ多重伝送する。地上アンテナ装置200は、基準クロック信号を用いて、移動局へ伝送する信号を無線周波数帯域の信号へ変換する。これにより、複数の地上アンテナ装置200の各々から移動局に向けて送信する無線信号の周波数を高精度に同期させることができる。
【0031】
実施の形態2.
図11は、実施の形態2にかかる地上局装置100bの構成例を示す図である。なお、地上局装置100bを備える基地局装置を基地局装置1bとする。
【0032】
本実施の形態にかかる基地局装置1bは、実施の形態1で説明した基地局装置1aの地上局装置100aを地上局装置100bに置き換えたものである。地上局装置100bは、無線変調部110と、基準クロック信号生成部130と、基準クロック信号用光変換ユニット140と、地上局側光変換ユニット150b−1〜150b−Nとを備える。地上局側光変換ユニット150b−1〜150b−Nは同一の構成である。無線変調部110および基準クロック信号生成部130は、実施の形態1で説明した地上局装置100,100aの無線変調部110および基準クロック信号生成部130と同一であるため、説明を割愛する。
【0033】
地上局装置100bと地上局装置100aとの相違点は、送信電気信号s
t1(t)およびs
t2(t)が電気信号の状態でN分配される一方、基準クロック信号については予め光電気変換した上でN分配する点である。以下に実施の形態1、特に地上局装置100aと異なる点を中心に説明する。
【0034】
図12は、基準クロック信号用光変換ユニット140の構成例を示す図である。基準クロック信号用光変換ユニット140は、E/O変換器141および光増幅器145を備える。基準クロック信号用光変換ユニット140は、基準クロック信号を電気信号から光信号に変換する変換部である。E/O変換器141は、基準クロック信号生成部130から入力された基準クロック電気信号s
c(t)を電気光変換して光増幅器145に出力する。光増幅器145は、E/O変換器141から入力された光信号を増幅し、基準クロック光信号o
c(t)として出力する。基準クロック信号用光変換ユニット140から出力された基準クロック光信号o
c(t)は、N分配され、地上局側光変換ユニット150b−1〜150b−Nに入力される。基準クロック電気信号s
c(t)を光信号である基準クロック光信号o
c(t)に変換した上でN分配することで、実施の形態1に比べ、各地上アンテナ装置200に同一性の高い基準クロック信号を伝送することができ、より高精度な周波数同期を実現できる。
【0035】
図13は、地上局側光変換ユニット150b−1〜150b−Nの構成例を示す図である。N個の地上局側光変換ユニット150b−1〜150b−Nは同一の構成であるため、
図13ではこれらの1つを地上局側光変換ユニット150bとして記載している。地上局側光変換ユニット150bは、E/O変換器151−1および151−2と、WDM合波器155とを備える。E/O変換器151−1には送信電気信号s
t1(t)が入力され、E/O変換器151−2には送信電気信号s
t2(t)が入力される。また、WDM合波器155には、E/O変換器151−1が出力する信号と、E/O変換器151−2が出力する信号と、基準クロック光信号o
c(t)とが入力される。ここで、送信電気信号s
t1(t)およびs
t2(t)は、
図11に示すとおり予めそれぞれN分配されている。
【0036】
E/O変換器151−1は、入力された送信電気信号s
t1(t)を電気光変換してWDM合波器155に出力する。E/O変換器151−2は、入力された送信電気信号s
t2(t)を電気光変換してWDM合波器155に出力する。WDM合波器155は、基準クロック光信号o
c(t)を含めた3つの光信号、すなわち入力された3つの光信号を波長分割多重して地上アンテナ装置200へ出力する。
【0037】
以上のように、本実施の形態では、アナログ光RoF方式を用いる基地局装置1において、地上局装置100bは、移動局へ伝送する信号と基準クロック信号とをWDMによりN台の地上アンテナ装置200へ多重伝送する際に、基準クロック電気信号を光信号に変換した上で、N台の地上局側光変換ユニットにN分配する。これにより、基準クロック電気信号をN台の地上局側光変換ユニットにN分配する場合に比べて異なる複数の地上アンテナ装置に同一性の高い基準クロック信号を伝送することができ、複数の地上アンテナ装置200の各々から移動局に向けて送信する無線信号の周波数を高精度に同期させることができる。
【0038】
実施の形態3.
図14は、実施の形態3にかかる基地局装置1cの構成例を示す図である。基地局装置1cは、1台の地上局装置100cと、N台の地上アンテナ装置200c−1〜200c−Nとを備える。地上局装置100cと地上アンテナ装置200c−1〜200c−Nの各々とは光ファイバで接続されている。本実施の形態にかかる基地局装置1cと実施の形態1,2にかかる基地局装置との相違点は、基地局装置から車上局へのダウンリンク伝送に加えて車上局から基地局装置へのアップリンク伝送も実施し、ダウンリンクおよびアップリンクの両伝送信号をWDMにより光ファイバ区間において多重伝送する点である。以降では実施の形態1及び2との相違点を中心に説明する。なお、地上アンテナ装置200c−1〜200c−Nの構成は同一である。以下の説明では、地上アンテナ装置200c−1〜200c−Nを区別しない場合、これらを地上アンテナ装置200cと記載する。
【0039】
図15は、実施の形態3にかかる地上局装置100cの構成を示す図である。地上局装置100cは、無線変調部110と、無線復調部120と、基準クロック信号生成部130と、地上局側光変換ユニット150cとを備える。無線変調部110および基準クロック信号生成部130は、
図3に示した実施の形態1にかかる地上局装置100の無線変調部110および基準クロック信号生成部130と同一である。無線復調部120は、地上局側光変換ユニット150cから入力される受信電気信号s
r1(t)およびs
r2(t)を復調する。無線復調部120に入力される受信電気信号s
r1(t)およびs
r2(t)は、地上アンテナ装置200cが車上局から受信し、ベースバンドあるいはIF帯に周波数変換したアナログ電気信号である。地上アンテナ装置200cと車上局との間の無線伝送方式がデジタル方式である場合、無線復調部120では受信電気信号s
r1(t)およびs
r2(t)をアナログデジタル変換した上でデジタル信号処理により復調を行う。
【0040】
図16は、地上局側光変換ユニット150cの構成例を示す図である。地上局側光変換ユニット150cは、E/O変換器151−1〜151−3と、O/E変換器152−1および152−2と、WDM分合波器156とを備える。E/O変換器151−1〜151−3は、実施の形態1で説明した地上局側光変換ユニット150のE/O変換器151−1〜151−3と同一である。ここで、送信電気信号s
t1(t),s
t2(t)および基準クロック電気信号s
c(t)の伝送方向は地上局装置100cから地上アンテナ装置200cへ向かう方向であり、受信電気信号s
r1(t),s
r2(t)の伝送方向は地上アンテナ装置200cから地上局装置100cへ向かう方向である。
【0041】
各電気信号s
t1(t),s
t2(t),s
c(t)はそれぞれE/O変換器151−1〜151−3において電気信号から光信号に変換される。
【0042】
WDM分合波器156は、異なる5つの光波長を対象として、分波および合波を行う。具体的には、WDM分合波器156は、E/O変換器151−1〜151−3から入力された3つの送信光信号を波長分割多重して地上アンテナ装置200cへ出力する。また、WDM分合波器156は、2つの受信光信号が波長分割多重された状態で地上アンテナ装置200cから入力された光信号を2つの受信光信号に分波する。WDM分合波器156で分波された2つの受信光信号はO/E変換器152−1および152−2に入力される。
【0043】
O/E変換器152−1および152−2は、WDM分合波器156から入力された受信光信号に対して光電気変換を実行して電気信号に変換し、受信電気信号s
r1(t)およびs
r2(t)として無線復調部120へ出力する。
【0044】
図17は、実施の形態3にかかる地上局装置100cと地上アンテナ装置200c−1〜200c−Nとの間の光ファイバ上を伝送される光信号o(t)の光スペクトルのイメージを示す図である。
図17では、地上局装置100cと地上アンテナ装置200c−1〜200c−Nとの間で伝送される各光信号をo
1(t)〜o
N(t)としている。また、
図17では、波長分割多重されて光信号o
1(t)〜o
N(t)として伝送される各波長をそれぞれλ
1,λ
2,λ
3,λ
4,λ
5としている。波長分割多重された5つの光信号のそれぞれの元の電気信号はs
t1(t),s
t2(t),s
c(t),s
r1(t),s
r2(t)である。なお、実施の形態1,2とは異なり、本実施の形態では各地上アンテナ装置200cで受信したアップリンク信号も光ファイバ上を通っている。単一の車上局から送信されたアップリンク信号であっても、無線電波伝搬における反射および回折、マルチパス等の影響により、各地上アンテナ装置200cで受信するアップリンク信号のフェージング状態は信号ごとに異なり、各地上アンテナ装置200cで受信した信号については光ファイバ毎に異なる。そのため、
図17では、各光ファイバ上の光信号をそれぞれo
1(t)〜o
N(t)として異なる信号としている。光波長の順番は一例であり、5つの光スペクトルはどのような順番であってもよい。また、波長分割多重される光信号同士の波長の間隔は不均等であってもよい。
【0045】
図18は、実施の形態3にかかる地上アンテナ装置200cの構成例を示す図である。地上アンテナ装置200cは、地上アンテナ側光変換ユニット210cと、PLL部230と、周波数変換部250−1,250−2および260−1,260−2と、合波部270と、分波部280と、アンテナ290と、デュプレクサ291とを備える。PLL部230、周波数変換部250−1,250−2、合波部270およびアンテナ290は、実施の形態1にかかる地上アンテナ装置200のPLL部230、周波数変換部250−1,250−2、合波部270およびアンテナ290と同じものである。また、周波数変換部260−1および260−2の内部構成は同一である。周波数変換部260−1と周波数変換部260−2とを区別しない場合、これらを周波数変換部260と記載する。地上アンテナ装置200cにおいて、周波数変換部250−1および250−2は、PLL部230とともに第1の周波数変換処理部を構成し、周波数変換部260−1および260−2は、PLL部230とともに第2の周波数変換処理部を構成する。
【0046】
デュプレクサ291は、地上局装置100cから送信されたダウンリンク信号およびアンテナ290で受信したアップリンク信号の複信を実現する役割を持ち、アンテナ290をダウンリンクおよびアップリンクで共用するために用いられる。以下では、複信方式として時間分割複信(TDD:Time Division Duplex)を用いる例を説明するが、これに限らず、周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)を用いてもよい。以下では、実施の形態1で説明した地上アンテナ装置200と同一の構成回路については説明を割愛し、異なる点を中心に説明を行う。
【0047】
図19は、地上アンテナ側光変換ユニット210cの構成例を示す図である。地上アンテナ側光変換ユニット210cは、WDM分合波器212と、O/E変換器215−1〜215−3と、E/O変換器216−1,216−2とを備える。
【0048】
上述のとおり、地上局装置100cとの間で伝送される光信号は、元の電気信号としてのs
t1(t)、s
t2(t)、s
c(t)、s
r1(t)およびs
r2(t)を電気光変換して得られる5つの光信号がWDMで多重されている。WDM分合波器212では、これら5つの光信号を分波および合波する。具体的には、WDM分合波器212は、地上局装置100cより受け取った光信号から、送信電気信号s
t1(t)が変換された光信号、送信電気信号s
t2(t)が変換された光信号および基準クロック電気信号s
c(t)が変換された光信号を分波し、分波後の各光信号をO/E変換器215−1、215−2および215−3のそれぞれに出力する。また、WDM分合波器212は、E/O変換器216−1が受信電気信号s
r1(t)を変換して得られた光信号と、E/O変換器216−2が受信電気信号s
r2(t)を変換して得られた光信号とを合波し、地上局装置100cに出力する。
【0049】
O/E変換器215−1は、WDM分合波器212から入力された、地上局装置100cからの光信号を光電気変換し、送信電気信号s
t1(t)を取り出す。同様に、O/E変換器215−2は、WDM分合波器212から入力された、地上局装置100cからの光信号を光電気変換し、送信電気信号s
t2(t)を取り出す。O/E変換器215−3は、WDM分合波器212から入力された、地上局装置100cからの光信号を光電気変換し、基準クロック電気信号s
c(t)を取り出す。E/O変換器216−1は、
図18に示した周波数変換部260−1がアップリンク信号を周波数変換して得られた受信電気信号s
r1(t)を電気光変換し、WDM分合波器212に出力する。E/O変換器216−2は、
図18に示した周波数変換部260−2がアップリンク信号を周波数変換して得られた受信電気信号s
r2(t)を電気光変換し、WDM分合波器212に出力する。
【0050】
図20は、
図18に示した周波数変換部260−1および260−2の構成例を示す図である。周波数変換部260−1と260−2とは同一の構成であるため、
図20ではこれらの中の1つを周波数変換部260として記載している。周波数変換部260の主な機能は実施の形態1で説明した周波数変換部250と同様であるが、周波数変換部260は、
図18に示したアンテナ290で受信した受信RF信号の周波数をダウンコンバートする。周波数変換部260は、ミクサ261およびフィルタ265を備える。ミクサ261には受信RF信号v
r(t)と、
図18に示したPLL部230で生成された局部発振電気信号s
cf(t)とが入力される。ミクサ261は、受信RF信号v
r(t)に対して局部発振電気信号s
cf(t)を乗積することにより、受信RF信号v
r(t)の周波数をダウンコンバートし、ダウンコンバート後の信号をフィルタ265へ出力する。フィルタ265は、入力された信号から不要な周波数成分を除去する。ここで、フィルタ265は、入力される周波数変換後の信号がベースバンド信号であれば低域通過フィルタが適しており、IF帯信号であれば当該IF帯を通過させる帯域通過フィルタが適しているが、これらの限りではない。
【0051】
図21は、
図18に示した分波部280の構成例を示す図である。分波部280は、増幅器281と、帯域通過フィルタ285−1および285−2とを備える。増幅器281には、
図18に示したデュプレクサ291から出力された受信RF信号が入力される。増幅器281は、入力された受信RF信号を増幅する。増幅後の受信RF信号は2分配され、帯域通過フィルタ285−1および285−2に入力される。帯域通過フィルタ285−1は、入力された信号から受信RF信号V
r1(t)を抽出し、
図18に示した周波数変換部260−1に出力する。帯域通過フィルタ285−2は、入力された信号から受信RF信号V
r2(t)を抽出し、
図18に示した周波数変換部260−2に出力する。
【0052】
以上のように、本実施の形態では、アナログ光RoF方式を用いる基地局装置1cにおいて、地上局装置100cおよび複数の地上アンテナ装置200cは、移動局へ伝送するダウンリンクの信号と、基準クロック信号と、移動局から伝送されるアップリンクの信号とをWDMにより多重し、光張出構成を実現する。これにより、複数の地上アンテナ装置が送信する無線信号の周波数および受信する無線信号の周波数を高精度に同期させることが可能となる。
【0053】
実施の形態4.
図22は、実施の形態4にかかる地上局装置100dの構成例を示す図である。なお、地上局装置100dを備える基地局装置を基地局装置1dとする。
【0054】
本実施の形態にかかる基地局装置1dは、実施の形態3で説明した基地局装置1cの地上局装置100cを地上局装置100dに置き換えたものである。地上局装置100dは、無線変調部110と、無線復調部120dと、基準クロック信号生成部130と、地上局側光変換ユニット150c−1〜150c−Nとを備える。
【0055】
本実施の形態にかかる地上局装置100dは、実施の形態3にかかる地上局装置100cと同様、ダウンリンクおよびアップリンクの両伝送信号をWDMにより光ファイバ区間において多重伝送する構成である。地上局装置100dは地上局装置100cの構成を基準としているが、相違点は、N個の地上局側光変換ユニット150c−1〜150c−Nを有し、N台の地上アンテナ装置200c−1〜200c−Nで受信したN本の受信電気信号s
r1(t)とN本の受信電気信号s
r2(t)とが無線復調部120dに入力される点である。以下に実施の形態3、特に地上局装置100cと異なる点を中心に説明する。地上局装置100dの無線変調部110および基準クロック信号生成部130は、地上局装置100cの無線変調部110および基準クロック信号生成部130と同一であるため、説明を割愛する。
【0056】
無線変調部110から出力される送信電気信号s
t1(t)およびs
t2(t)は、それぞれN分配されて地上局側光変換ユニット150c−1〜150c−Nに入力される。ここで、地上局側光変換ユニット150c−1〜150c−Nは、実施の形態3で説明した地上局側光変換ユニット150cと同一である。また、基準クロック信号生成部130から出力される基準クロック電気信号s
c(t)もN分配されて地上局側光変換ユニット150c−1〜150c−Nに入力される。
【0057】
無線復調部120dには、地上局側光変換ユニット150c−1〜150c−Nから出力される受信電気信号s
r1(t)およびs
r2(t)がN組入力される。無線復調部120dは、入力されるN本の受信電気信号s
r1(t)の中から最大電力である1本を選択するか、N本の受信電気信号s
r1(t)を同相合成または最大比合成となるよう合成して1本の信号とした後、復調する。受信電気信号s
r2(t)についても同様に、無線復調部120dは、N本から最大電力のものを選択、あるいはN本を合成した後、復調する。これにより、N台の地上アンテナ装置200c−1〜200c−Nで受信した信号をダイバーシチ受信することができ、実施の形態3に比べて高品質な復調性能が得られるという効果を奏する。
【0058】
図23は、
図22に示した構成の基地局装置1dと同様の効果を奏することが可能な基地局装置1eの構成例を示す図である。基地局装置1eは、基地局装置1dの地上局装置100dを地上局装置100eとしたものである。地上局装置100eは、無線変調部110と、無線復調部120と、信号選択部125−1および125−2と、基準クロック信号生成部130と、地上局側光変換ユニット150c−1〜150c−Nとを備える。
図23に示したように、基地局装置1eと基地局装置1dとの相違点は、基地局装置1eが、無線復調部120と地上局側光変換ユニット150c−1〜150c−Nとの間に信号選択部125−1および125−2を備える点である。地上局装置100eの無線復調部120は、実施の形態3で説明した地上局装置100cの無線復調部120と同じものである。
【0059】
信号選択部125−1は、地上局側光変換ユニット150c−1〜150c−Nから出力されたN本の受信電気信号s
r1(t)から最大電力である1本を選択するか、N本の受信電気信号s
r1(t)を同相合成または最大比合成となるよう合成して1本の信号とした後、無線復調部120に出力する。同様に、信号選択部125−2は、地上局側光変換ユニット150c−1〜150c−Nから出力されたN本の受信電気信号s
r2(t)から最大電力である1本を選択するか、N本の受信電気信号s
r2(t)を同相合成または最大比合成となるよう合成して1本の信号とした後、無線復調部120に出力する。
【0060】
以上のように、本実施の形態では、アナログ光RoF方式を用いる基地局装置1dおよび1eにおいて、地上局装置100d,100eおよび複数の地上アンテナ装置200cは、移動局へ伝送するダウンリンクの信号と、基準クロック信号と、移動局から伝送されるアップリンクの信号とをWDMにより多重し、光張出構成を実現する。これにより、異なる複数の地上アンテナ装置から送信する無線信号の周波数および受信する無線信号の周波数を高精度に同期させることが可能となる。また、地上局装置100d,100eは、アップリンク信号のダイバーシチ受信を行うこととしたので、高品質なアップリンク伝送を実現できる。
【0061】
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。