特許第6618669号(P6618669)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6618669
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】曲げ加工器
(51)【国際特許分類】
   B21D 7/06 20060101AFI20191202BHJP
【FI】
   B21D7/06 G
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-17823(P2014-17823)
(22)【出願日】2014年1月31日
(65)【公開番号】特開2015-145011(P2015-145011A)
(43)【公開日】2015年8月13日
【審査請求日】2016年9月28日
【審判番号】不服2018-5957(P2018-5957/J1)
【審判請求日】2018年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】514020437
【氏名又は名称】有限会社日三エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110001782
【氏名又は名称】特許業務法人ライトハウス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 雅博
【合議体】
【審判長】 栗田 雅弘
【審判官】 青木 良憲
【審判官】 中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−60366(JP,A)
【文献】 実開平1−128910(JP,U)
【文献】 特開昭63−215320(JP,A)
【文献】 実開昭63−19920(JP,U)
【文献】 特開昭56−136231(JP,A)
【文献】 特開平8−174117(JP,A)
【文献】 実開昭53−132941(JP,U)
【文献】 実開昭54−139039(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 5/01-7/06
B21F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受け具上に加工対象の金属製のワークを配置し、押圧具により押圧して前記ワークを曲げ加工する曲げ加工器であって、
前記受け具が、所定間隔をおいて配置され、前記ワークを支持する一対のローラと、前記一対のローラ相互間の間隔を調整するローラ間隔調整手段とを有して構成され、
前記押圧具が、前記ワークのうち、前記一対のローラ間に位置する部位を押圧して曲げ加工を行うものであり、
前記一対のローラには、前記ワークを配置し、支持するための溝部が形成されており、
前記押圧具は、駆動部によって支持されるベース体と前記ベース体の先端部に配置された押圧体を備え、
前記押圧体は、前記ワークを押圧したときに回転不能であり、ローラに支持されたワークの長さ方向、及び、曲げ加工の際に押圧具を押圧する方向に平行な面での断面が、略円形の円柱形状である、
曲げ加工器。
【請求項2】
受け具上に加工対象の金属製のワークを配置し、押圧具により押圧して前記ワークを曲げ加工する曲げ加工器であって、
前記受け具が、所定間隔をおいて配置され、前記ワークを支持する一対のローラと、前記一対のローラ相互間の間隔を調整するローラ間隔調整手段とを有して構成され、
前記押圧具が、前記ワークのうち、前記一対のローラ間に位置する部位を押圧して曲げ加工を行うものであり、
前記一対のローラには、前記ワークを配置し、支持するための溝部が形成されており、
押圧具によりワークが押圧された場合に、ワークと前記一対のローラのそれぞれとが接触することで、前記一対のローラが内側方向に回転し、
前記押圧具は、ベース体と前記ベース体の先端部に配置された押圧体を備え、
前記押圧体は、ローラに支持されたワークの長さ方向、及び、曲げ加工の際に押圧具を押圧する方向に平行な面での断面が、略円形の円柱形状である、
曲げ加工器。
【請求項3】
前記ローラ間隔調整手段は、前記一対のローラを、離間方向及び接近方向のいずれの方向にも、両者を共に移動させて調整可能である請求項1又は2に記載の曲げ加工器。
【請求項4】
前記受け具は、前記一対のローラをそれぞれ回転可能に支持する一対の軸受けブロックを有し、
前記ローラ間隔調整手段は、互いに逆方向の螺旋状に形成された第1ねじ部及び第2ねじ部が軸方向に沿って設けられた調整軸を備えてなり、
前記第1ねじ部が前記一対の軸受けブロックの一方に、前記第2ねじ部が前記一対の軸受けブロックの他方にそれぞれ螺合され、前記調整軸をいずれかに回転させることにより、前記第1ねじ部及び第2ねじ部に螺合した前記各軸受けブロックが、前記調整軸の軸方向に沿って離間方向又は接近方向に共に変位し、前記一対のローラ間の間隔を無段階調整可能である請求項3に記載の曲げ加工器。
【請求項5】
前記ベース体に、曲げ加工された前記ワークの一部の接触を回避する回避溝が形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の曲げ加工器。
【請求項6】
前記ワークが金属製の棒状部材であり、前記一対のローラに前記棒状部材が配置される溝部が形成され、かつ、前記溝部の内面が断面略円弧状である請求項1〜5のいずれかに記載の曲げ加工器。
【請求項7】
前記一対のローラのそれぞれに、前記棒状部材を支持する溝部が、溝幅を異にして複数並設されている請求項6に記載の曲げ加工器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製のワークを曲げ加工する曲げ加工器に関し、特に金属製の棒状部材を曲げ加工するのに適する曲げ加工器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2には、断面略V字状に形成された溝部を有するダイスと、この溝部に向かって下降するポンチとを備えたプレス機械が開示されている。ダイスの溝部上に、加工対象の金属製のワーク(金属製の棒状部材や長尺な板部材)を掛け渡し、ポンチを下降させてワークの曲げ加工を実施する。また、特許文献1及び2では、ワークを曲げ加工した際のダイスの溝部端縁との接触部において、摩擦により筋状のキズや割れが生じることを防止するため、ダイスの溝部端縁に相当する位置の少なくとも一方に、ワークを支持する回転可能なローラを設けるという工夫を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−99917号公報
【特許文献2】実願昭60−135316号(実開昭62−46121号)明細書及び図面
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1及び2の技術は、ダイスに設けられる一対のローラ間の相互間隔が一定である。そのため、ポンチの下降方向の移動量を一定とした場合、ワークの曲げ角度は常に一定である。曲げ角度を大きくするためには、ポンチの移動量を増加すればよいが、その場合、高い押圧力が必要となり、特に駆動源が手動の場合には作業負担が増加する。また、ローラを使用しなでワークを配置した際に生じる上記の筋状のキズや割れは、板部材よりも、所定の直径のある棒状部材の方が、内面及び外面の周長差に起因して顕著に生じやすく、ワークとの接触部に回転可能なローラを用いることはワークが棒状部材の場合により望まれる。
【0005】
本発明は上記に鑑みなされたものであり、金属製のワークを任意の角度で容易に曲げ加工でき、特に金属製の棒状部材の曲げ加工に適する曲げ加工器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の曲げ加工器は、受け具上に加工対象の金属製のワークを配置し、押圧具により押圧して前記ワークを曲げ加工する曲げ加工器であって、前記受け具が、所定間隔をおいて配置され、前記ワークを支持する一対のローラと、前記一対のローラ相互間の間隔を調整するローラ間隔調整手段とを有して構成され、前記押圧具が、前記ワークのうち、前記一対のローラ間に位置する部位を押圧して曲げ加工を行うものであることを特徴とする。
【0007】
前記ローラ間隔調整手段は、前記一対のローラを、離間方向及び接近方向のいずれの方向にも、両者を共に移動させて調整可能であることが好ましい。
前記受け具は、前記一対のローラをそれぞれ回転可能に支持する一対の軸受けブロックを有し、前記ローラ間隔調整手段は、互いに逆方向の螺旋状に形成された第1ねじ部及び第2ねじ部が軸方向に沿って設けられた調整軸を備えてなり、前記第1ねじ部が前記一対の軸受けブロックの一方に、前記第2ねじ部が前記一対の軸受けブロックの他方にそれぞれ螺合され、前記調整軸をいずれかに回転させることにより、前記第1ねじ部及び第2ねじ部に螺合した前記各軸受けブロックが、前記調整軸の軸方向に沿って離間方向又接近方向に共に変位し、前記一対のローラ間の間隔を無段階調整可能であることが好ましい。
【0008】
前記押圧具は、駆動部によって支持されるベース体と、前記ベース体の先端部に着脱可能に配置される押圧体とを備えてなることが好ましい。前記押圧体が断面略円形であることが好ましい。
前記ベース体に、曲げ加工された前記ワークの一部の接触を回避する回避溝が形成されていることが好ましい。
前記ワークが金属製の棒状部材であり、前記一対のローラに前記棒状部材が配置される溝部が形成され、かつ、前記溝部の内面が断面略円弧状であることが好ましい。
前記一対のローラのそれぞれに、前記棒状部材を支持する溝部が、溝幅を異にして複数並設されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、金属製のワークを支持する一対のローラ相互間の間隔を調整するローラ間隔調整手段を有する受け具を備えている。そのため、ローラ間隔調整手段により一対のローラ相互間の間隔を調整すれば、ワークを支持する支点間の間隔が変位するため、それにより、ワークの曲げ角度を容易に調整することができる。ローラ間隔調整手段は、一対のローラを、離間方向及び接近方向のいずれの方向にも、両者を共に移動させて調整可能な構成とすることが好ましく、それにより、2つのローラの位置を別々に調整する必要がなく、極めて容易に調整することができる。また、ワークを回転可能な一対のローラで支持する構成であるため、曲げたときの内外周長差により筋状のキズや割れの生じやすい金属製の棒状部材の曲げ加工に適している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一の実施形態に係る曲げ加工器の概略構成を示した斜視図図である。
図2図2は、受け具の平面図である。
図3図3は、受け具の分解斜視図である。
図4図4(a),(b)は、ローラに形成した溝部の形状を説明するための図である。
図5図5は、押圧具の構造を説明するための斜視図である。
図6図6(a)〜(c)は、曲げ加工の工程を示した図である。
図7図7(a)〜(c)は、曲げ加工の工程を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態を説明する。図1は、本実施形態に係る曲げ加工器1の全体構成を示した図である。この図に示したように、曲げ加工器1は、受け具10及び押圧具20を有して構成される。
【0012】
受け具10は、図1図3に示したように、基台フレーム11と、この基台フレーム11に所定間隔をおいて配設される一対のローラ12,13を有して構成される。基台フレーム11は、幅方向に対面する側壁部11a,11bと、該側壁部11a,11b間に位置するガイド溝11cとを備えた断面凹状に形成されている。ガイド溝11cには、該ガイド溝11cの長手方向に沿って間隔をおいて一対の軸受けブロック14,15が配設されている。各軸受けブロック14,15は、底壁部14c,15cと、該底壁部14c,15cの両側部で立ち上がる一対の軸受け板14a,14b又は15a,15bとを備えた略コ字状に形成され、各軸受け板14a,14b又は15a,15bが、それぞれ基台フレーム11の各側壁部11a,11bに隣接するように配置される。なお、各軸受けブロック14,15は、ガイド溝11cに沿って移動可能となっている。
【0013】
一対のローラ12,13は、それぞれ、この軸受けブロック14,15に回転可能に支持される。一方のローラ12は、一方の軸受けブロック14の軸受け板14a,14b間に回転軸12cが軸支されて配設され、他方のローラ13は、他方の軸受けブロック15の軸受け板15a,15b間に回転軸13cが軸支されて配設される。
【0014】
各ローラ12,13は、周面に溝部12a,13aが形成されている。この溝部12a,13aに加工対象の金属製のワークとして例えば金属製の棒状部材Wが支持される。溝部12a,13aはその内面が断面略円弧状に形成される。これにより、金属製の棒状部材W、典型的には断面略円形の丸棒を載置して曲げ加工する際に、棒状部材Wの接点が1点になる(図4(a)参照)。仮に、溝部12a,13aを断面V字状に形成すると、棒状部材Wとの接点が2点になり、加工中の摩擦等によるひび割れ等が生じやすい(図4(b)参照)。従って、溝部12a、13aの内面は、断面略円弧状に形成することが好ましい。
【0015】
本実施形態のローラ12,13には、上記の各溝部(以下、場合により「第1溝部」)12a,13aと並列に、他の溝部(以下、場合により「第2溝部」)12b,13bが設けられている。この第2溝部12b,13bは、第1溝部12a,13aとは異なる溝幅で形成されており、加工対象の棒状部材Wの直径により、第1溝部12a,13aに掛け渡して加工するか、第2溝部12b,13bに掛け渡して加工するかを選択する。このように、溝幅の異なる複数の溝部12a,12b,13a,13bを各ローラ12,13に形成することにより、種々の太さの棒状部材Wを加工することができる。本実施形態では2種類の溝幅の溝部12a,12b,13a,13bを並設しているが、溝幅の異なる溝部を3種類以上形成してもよいことはもちろんである。
【0016】
一対のローラ12,13間の間隔は、ローラ間隔調整手段16により調整される。本実施形態のローラ間隔調整手段16は、調整軸161と操作用のハンドル162とを有して構成される。ハンドル162は調整軸161の一端に取り付けられている。調整軸161は、このハンドル162が取り付けられている一端側に第1ねじ部161aが形成され、他端側に第2ねじ部161bが形成されている。第1ねじ部161a及び第2ねじ部161bは、互いに逆方向の螺旋状の雄ねじに形成されている。上記の各軸受けブロック14,15の各底壁部14c,15cには、ガイド溝11cの長手方向に沿う方向に貫通孔14d,15dが形成されており、各貫通孔14d,15dの内周面に、第1ねじ部161a又は第2ねじ部161bがそれぞれ螺合する雌ねじが形成されている。本実施形態では、第1ねじ部161aには、ハンドル162が取り付けられている一端側に配置される一方の軸受けブロック14が螺合され、第2ねじ部161bには他端側に配置される他方の軸受けブロック15が螺合される。なお、符号163,164は、ガイド溝11cの一端側及び他端側にそれぞれ配設された調整軸161用の軸受け部材である。
【0017】
第1ねじ部161a及び第2ねじ部161bの雄ねじが逆方向の螺旋状に形成されているため、ハンドル162を把持して調整軸161を一方向に回転させると、第1ねじ部161aに螺合する一方の軸受けブロック14が例えば他方の軸受けブロック15に接近する方向にガイド溝11cに沿って変位し、他方の軸受けブロック15は相対的に逆方向となる一方のブロック14に接近する方向にガイド溝11cに沿って、両者は共に変位する(例えば、図2の想像線で示した位置から実線で示した位置に変位する)。調整軸161を逆方向に回転させると、例えば一方の軸受けブロック14及び他方の軸受けブロック15は互いに離間する方向に共に変位する(例えば、図2の実線で示した位置から想像線で示した位置に変位する)。一対のローラ12,13は、それぞれ軸受けブロック14,15に支持されているため、軸受けブロック14,15が上記のように変位することにより、互いに離間方向又は接近方向に変位する。
【0018】
押圧具20は、上記した一対のローラ12,13間に掛け渡される棒状部材Wにおける該ローラ12,13間に位置する部位を押圧して棒状部材Wを曲げる。本実施形態の押圧具20は、図1及び図5に示したように、ベース体21及び押圧体22を有して構成される。ベース体21は、本実施形態では略直方体状に形成され、その基部(上部)21aが駆動部30によって支持される。ベース体21の先端部(下部)には押圧体22が装着される。具体的には、図5に示したように、ベース体21の先端部に、装着用の突片21bが設けられ、押圧体22にはこの突片21bに嵌合する凹部22aが設けられており、押圧体22の凹部22aを突片21bに嵌合されることにより取り付けられる。ベース体21の中央部には、厚み方向に貫通する長孔21cが形成されており、この長孔21cが後述の回避溝として機能する。
【0019】
押圧体22は、断面略円形で、その周面が棒状部材Wに当接する構成であることが好ましい。押圧体22は、必ずしも断面略円形である必要はないが、断面略円形とすることで、押圧体22が当接する棒状部材Wの曲げ方向内面に局部的な摩擦によるキズ等が生じることを抑制できる。また、押圧体22はベース体21に着脱可能であるため、太さの異なるものに交換することによって、曲げ部の曲率を種々調整することができる。
【0020】
ベース体21の中央部には、厚み方向に貫通する長孔21cが形成されている。これは、棒状部材Wを例えば最初に任意の部位から略90度曲げて略L字状とし、次に、最初に曲げた部位から所定距離離れた部位よりさらに同方向に例えば略90度2度目の曲げ加工を行い、全体として両端に短辺部を有し、その間に長辺部を有する略コ字状に加工しようとする場合、2度目の曲げ加工を行う際に、最初にL字状に曲げて形成した一方の短辺部が、ベース体21方向に接近していく。このとき、長孔21cが開設されていなければ、一方の短辺部がベース体21に接触し、略90度の2度目の曲げ加工を完了することができない。そこで、既に曲げ加工された一方の短辺部の接触を回避する回避溝として上記長孔21cを形成している(図7参照)。なお、本実施形態では、ベース体21の中央部に上記長孔21cを形成しているが、棒状部材W等のワークのいずれかの部位が曲げ加工時にベース体21に接触することを回避できればよく、ベース体21の適宜位置に形成される。これは、ワークの曲げ方向や曲げ加工後の形状等によって異なり、それぞれ専用のベース体21を用いることもできる。
【0021】
ベース体21は、駆動部30によって上下動するが、駆動部30の駆動源はモータを用いた電動式あるいは手動式等のいずれであってもよく、限定されるものではない。
【0022】
本実施形態の曲げ加工器1は次のように使用される。まず、ローラ間隔調整手段16のハンドル162により調整軸161を一方向又は逆方向に回転させて、一対の軸受けブロック14,15をガイド溝11cに沿って変位させ、一対のローラ12,13間の間隔を所望の位置に調整する(図2参照)。ローラ12,13間の間隔は、押圧具20による加工時の曲げ角度を一定にする場合、ワークである棒状部材Wの断面径が大きい場合には広げ、断面径が小さい場合には狭める。いずれにしても本実施形態によればハンドル162の操作だけで、一対のローラ12,13を共に離間方向又は接近方向に変位させることができるため、所望の間隔への調整を両者を個別に動かす場合よりも正確に行うことができる。また、調整軸161に形成した第1ねじ部161a及び第2ねじ部161bを、各軸受けブロック14,15に螺合してその螺合量を調整する構成であるため、ローラ12,13間の間隔を無段階で調整でき、細かな調整が可能であると共に、所望の間隔に正確に設定できる。
【0023】
一対のローラ12,13間の間隔を調整したならば、例えば第1溝部12a,13a間に跨るように、ワークとしての棒状部材Wをセットする(図3参照)。棒状部材Wを略コ字状に曲げ加工する場合、第1曲げ部W1が押圧具20の下方に位置するようにセットする(図6(a)参照)。
【0024】
この状態で、駆動部30を駆動して押圧具20を下降させていく。押圧具20を下降させていくと、押圧体22が棒状部材Wの第1曲げ部W1に当接し、さらに下降させていくと、第1曲げ部W1が押圧され、第1曲げ部W1を中心として、略L字状ないしは略V字状となるように曲げられていく(図6(b)参照)。このとき、第1曲げ部W1が押圧されていくと、各ローラ12,13と接触している部位に下方への力が働くが、その力は各ローラ12,13を内側方向に回転させる力に変換されるため、棒状部材Wの外面に筋状のキズや割れなどが生じにくい。その際、抵抗負荷が低下するため、押圧具20を押圧し棒状部材Wをプレスする圧力を低減することができる。所定量曲げたならば、押圧具20を上昇させ、図6(c)で示したように第1曲げ部W1で曲げ加工された棒状部材Wを得る。
【0025】
次に、第1曲げ部W1から所定間隔をおいた位置である第2曲げ部W2が押圧具20の下方に位置するようにセットする(図7(a)参照)。次に、上記と同様に、押圧具20を下降させ、押圧体22によって第2曲げ部W2を押圧し、第2曲げ部W2を挟んで略L字状ないし略V字状となるように曲げ加工する(図7(b)参照)。このとき、最初に曲げた第1曲げ部W1より外端寄りの短辺部は、ベース体21の回避溝である長孔21cに侵入していくため、ベース体21に接触することなく曲げ加工を行うことができる。これにより、図7(c)に示したように、第1曲げ部W1及び第2曲げ部W2の2箇所で曲げ加工された棒状部材Wが得られる。
【0026】
なお、上記した説明では、各ローラ12,13の高さ方向の位置は固定であるが、各ローラ12,13の回転軸12c,13cの軸受けブロック14,15における軸支位置を、上下に調整可能な構成としたり、あるいは、軸受けブロック14,15自体を基台フレーム11に対して上下に位置調整可能な構成としたりすることにより、各ローラ12,13を高さ方向にも調整可能とすることができる。各ローラ12,13の位置を高く設定するほど、棒状部材Wを押圧具20により深く押圧することが可能となり、曲げ角度がより大きくなるように調整できる。
【0027】
なお、上記説明では、ワークとして棒状部材を取り上げているが、板部材その他の形状の部材であっても本発明により曲げ加工が可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 曲げ加工器
10 受け具
11 基台フレーム
12,13 ローラ
14,15 軸受けブロック
20 押圧具
21 ベース体
22 押圧体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7