【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、本発明者らは、鋭意研究を行い、以下のような構成による測定装置を考案し、混合吸着系、例えば、水とエタノール混合ガスでの多孔性物質の成分別吸着量測定を行ったところ、極めて良好な結果を得ることができた。
【0014】
すなわち本発明は、
[1]
所定のガスの流路に設けられ、測定する多孔性物質を収納する試料収納部と、前記流路から前記試料収納部への前記所定のガスの導入を制御するバルブと、前記所定のガスの前記流路への導入量を制御するガス導入制御部と、前記流路の内部圧力を測定する圧力計と、 前記流路から排出されるガスの排気量を制御する排気制御部と、前記排出されるガスの成分量を分析する成分分析部と、前記流路からガスを排出するポンプとを備える測定装置であって、前記成分分析部が質量分析器からなり、前記成分分析
部は、前記試料収納部に収納された前記多孔性物質への前記所定のガスの吸着開始時から平衡吸着量到達時までの、前記排出されるガスの成分の検出量の時間積分から成分別の吸着量を算出することを特徴とする多孔性物質の特性測定装置、
[2]
前記ガス導入制御部が、2個以上備えられていることを特徴とする[1]に記載の多孔性物質の特性測定装置、
[3]
前記ガス導入制御部が、開度が調整可能なバルブと流量センサとを備えていることを特徴とする[1]または[2]に記載の多孔性物質の特性測定装置、
[4]
前記排気制御部が、開度が調整可能なバルブと、該開度を調整するコントローラーと、流量センサを備えていることを特徴とする[1]から[3]の何れかに記載の多孔性物質の特性測定装置、
[5]
2個以上のガス導入制御部の、各バルブと流量センサにより、各導入ガスの流量を調整することにより、該試料収納部へ導入する混合ガスの成分比を制御することを特徴とする[1]に記載の多孔性物質の特性測定装置、に関する。
また、本発明は、
[6]
[1]または[5]に記載の多孔性物質の特性測定装置を用い、且つ、
(1)試料収納部に測定する多孔性物質をいれ、真空とした後、該試料収納部を封鎖する工程、
(2)ガス導入制御部および排気制御部のバルブを全開としてポンプで脱気する工程、
(3)所定の複数のガスを、該ガス導入制御部を介して測定装置に導入する工程、
(4)該導入された複数のガスの混合ガスの成分量を、質量分析器で分析する工程、
(5)該質量分析器の検出量および測定装置内の圧力を定常化する工程、
(6)試料収納部へのガスの導入を制御するバルブを開放して、該測定装置内に導入されている該混合ガスを該試料収納部へ導入する工程、
(7)該混合ガスの該多孔性物質への吸着開始時から平衡吸着量到達時までの、排出ガスの成分量を測定する工程、
(8)多孔性物質への吸着開始時から平衡吸着量到達時までの、排出ガスの成分の検出量の時間積分から成分別の吸着量を算出する工程、
(9)該平衡吸着量到達後、排気制御部のバルブの開度を下げて該測定装置内の圧力を上げ、加圧開始時から該加圧状態での平衡吸着量到達時までの、排出ガスの成分量を測定す
る工程、および、
(10)加圧開始時から該加圧状態での平衡吸着量到達時までの、排出ガスの成分の検出量の時間積分から成分別の吸着量を算出する工程、からなることを特徴とする多孔性物質の成分別の吸着等温線測定方法、
[7]
[1]または[5]に記載の多孔性物質の特性測定装置を用い、且つ、
(1)試料収納部に測定する多孔性物質をいれ、真空とした後、該試料収納部を封鎖する工程、
(2)ガス導入制御部および排気制御部のバルブを全開としてポンプで脱気する工程、
(3)所定の複数のガスを、該ガス導入制御部を介して測定装置に導入する工程、
(4)該導入された複数のガスの混合ガスの成分量を、質量分析器で分析する工程、
(5)該質量分析器の検出量および測定装置内の圧力を定常化する工程、
(6)試料収納部へのガスの導入を制御するバルブを開放して、該測定装置内に導入されている該混合ガスを該試料収納部へ導入する工程、
(7)該混合ガスの該多孔性物質への吸着開始時から平衡吸着量到達時までの、排出ガスの成分量を測定する工程、
(8)多孔性物質への吸着開始時から平衡吸着量到達時までの、排出ガスの成分の検出量の時間積分から成分別の吸着量を算出する工程、
(9)該平衡吸着量到達後、排気制御部のバルブの開度を上げて該測定装置内の圧力を下げ、減圧開始時から該減圧状態での平衡吸着量到達時までの、排出ガスの成分量を測定する工程、および、
(10)減圧開始時から該減圧状態での平衡吸着量到達時までの、排出ガスの成分の検出量の時間積分から成分別の吸着量を算出する工程、からなることを特徴とする多孔性物質の成分別の脱着等温線測定方法、
[8]
[1]から[5]の何れかに記載の多孔性物質の特性測定装置を用い、且つ、
(1)試料収納部に測定する多孔性物質をいれ、真空とした後、該試料収納部を封鎖する工程、
(2)ガス導入制御部および排気制御部のバルブを全開としてポンプで脱気する工程、
(3)所定の複数のガスを、該ガス導入制御部を介して測定装置に導入する工程、
(4)該導入された複数のガスの混合ガスの成分量を、質量分析器で分析する工程、
(5)該質量分析器の検出量および測定装置内の圧力を定常化する工程、
(6)試料収納部へのガスの導入を制御するバルブを開放して、該測定装置内に導入されている該混合ガスを該試料収納部へ導入する工程、
(7)該混合ガスの該多孔性物質への吸着開始時から平衡吸着量到達時までの、排出ガスの成分量を測定する工程、
(8)多孔性物質への吸着開始時から平衡吸着量到達時までの、排出ガスの成分の検出量の時間積分から吸着量を算出する工程、および、
(9)[6]に記載の測定方法により測定された成分別の吸着等温線および[7]に記載の測定方法により測定された成分別の脱着等温線に基づいて、各成分別の吸着量を算出する工程、からなることを特徴とする混合吸着系での多孔性物質の特性測定方法、に関する。
【0015】
本発明の多孔性物質の特性測定装置は、測定する多孔性物質を収納する試料収納部と、所定のガスを測定装置へ導入するガスの導入量を制御するガス導入制御部と、該試料収納部へのガスの導入を制御するバルブと、測定装置の内部圧力を測定する圧力計と、該測定装置から排出されるガスの排気量を制御する排気制御部と、該排出されるガスの成分量を分析する成分分析部と、該測定装置からガスを排出するポンプとを備えることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の多孔性物質の特性測定装置は、該ガス導入制御部を2個以上備え、該2個以上のガス導入制御部の、各バルブと流量センサにより、各導入ガスの流量を調整することにより、該試料収納部へ導入する混合ガスの成分比を制御することを特徴とするものである。
【0017】
さらに本発明の多孔性物質の特性測定装置は、成分分析部が、質量分析器からなることを特徴とするものである。
【0018】
そして、本発明の多孔性物質の特性測定装置を用いて以下のように操作することにより、多孔性物質の成分別の吸着等温線を測定することができる。
【0019】
すなわち、(1)試料収納部に測定する多孔性物質をいれ、真空とした後、該試料収納部を封鎖し、(2)ガス導入制御部および排気制御部のバルブを全開としてポンプで脱気し、(3)所定の複数のガスを、該ガス導入制御部を介して測定装置に導入し、(4)該導入された複数のガスの混合ガスの成分量を、質量分析器で分析する。次いで、(5)該質量分析器の検出量および測定装置内の圧力を定常化し、(6)試料収納部へのガスの導入を制御するバルブを開放して、該測定装置内に導入されている該混合ガスを該試料収納部へ導入する。さらに、(7)該混合ガスの該多孔性物質への吸着開始時から吸着飽和量到達時までの、排出ガスの成分量を測定し、(8)多孔性物質への吸着開始時から吸着飽和量到達時までの、排出ガスの成分の検出量の時間積分から成分別の吸着量を算出する。そして、(9)該吸着飽和量到達後、排気制御部のバル
ブの開度を下げて該測定装置内の圧力を上げ、加圧開始時から該加圧状態での吸着飽和量到達時までの、排出ガスの成分量を測定し、(10)加圧開始時から該加圧状態での吸着飽和量到達時までの、排出ガスの成分の検出量の時間積分から成分別の吸着量を算出することにより、多孔性物質の成分別の吸着等温線を測定できる。
【0020】
また、本発明の多孔性物質の特性測定装置を用いて以下のように操作することにより、多孔性物質の成分別の脱着等温線を測定することができる。
【0021】
すなわち、(1)試料収納部に測定する多孔性物質をいれ、真空とした後、該試料収納部を封鎖し、(2)ガス導入制御部および排気制御部のバルブを全開としてポンプで脱気し、(3)所定の複数のガスを、該ガス導入制御部を介して測定装置に導入し、(4)該導入された複数のガスの混合ガスの成分量を、質量分析器で分析する。次いで、(5)該質量分析器の検出量および測定装置内の圧力を定常化し、(6)試料収納部へのガスの導入を制御するバルブを開放して、該測定装置内に導入されている該混合ガスを該試料収納部へ導入する。さらに、(7)該混合ガスの該多孔性物質への吸着開始時から吸着飽和量到達時までの、排出ガスの成分量を測定し、(8)多孔性物質への吸着開始時から吸着飽和量到達時までの、排出ガスの成分の検出量の時間積分から成分別の吸着量を算出する。そして、(9)該吸着飽和量到達後、排気制御部のバル
ブの開度を上げて該測定装置内の圧力を下げ、減圧開始時から該減圧状態での吸着飽和量到達時までの、排出ガスの成分量を測定し、(10)減圧開始時から該減圧状態での吸着飽和量到達時までの、排出ガスの成分の検出量の時間積分から成分別の吸着量を算出することにより、多孔性物質の成分別の脱着等温線を測定できる。
【0022】
さらにまた、本発明の多孔性物質の特性測定装置を用いて以下のように操作することにより、混合吸着系での、多孔性物質の成分別の吸着量を測定することができる。
【0023】
すなわち、(1)試料収納部に測定する多孔性物質をいれ、真空とした後、該試料収納部を封鎖し、(2)ガス導入制御部および排気制御部のバルブを全開としてポンプで脱気し、(3)所定の複数のガスを、該ガス導入制御部を介して測定装置に導入し、(4)該導入された複数のガスの混合ガスの成分量を、質量分析器で分析する。 次いで、(5)該質量分析器の検出量および測定装置内の圧力を定常化し、(6)試料収納部へのガスの導入を制御するバルブを開放して、該測定装置内に導入されている該混合ガスを該試料収納部へ導入する。 さらに、(7)該混合ガスの該多孔性物質への吸着開始時から吸着飽和量到達時までの、排出ガスの成分量を測定し、(8)多孔性物質への吸着開始時から吸着飽和量到達時までの、排出ガスの成分の検出量の時間積分から成分別の吸着量を算出する。 そして、上記記載の成分別の吸着等温線および成分別の脱着等温線測定方法により測定された成分別の吸着等温線および成分別の脱着等温線に基づいて、各成分別の吸着量を算出することができる。