特許第6618679号(P6618679)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6618679液状の、付着を改善する添加物及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6618679
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】液状の、付着を改善する添加物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/668 20060101AFI20191202BHJP
   C08G 63/12 20060101ALI20191202BHJP
   C09D 167/00 20060101ALI20191202BHJP
   C09D 7/40 20180101ALI20191202BHJP
   C09J 167/00 20060101ALI20191202BHJP
   C09J 11/02 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   C08G63/668
   C08G63/12
   C09D167/00
   C09D7/40
   C09J167/00
   C09J11/02
【請求項の数】7
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-195094(P2014-195094)
(22)【出願日】2014年9月25日
(65)【公開番号】特開2015-67836(P2015-67836A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2017年7月10日
(31)【優先権主張番号】10 2013 219 555.9
(32)【優先日】2013年9月27日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501073862
【氏名又は名称】エボニック デグサ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100182545
【弁理士】
【氏名又は名称】神谷 雪恵
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハイコ アルツァー
(72)【発明者】
【氏名】イングリート ホイセン
(72)【発明者】
【氏名】ザシャ ヘルヴェアト
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ファイト
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル エーヴァルト
(72)【発明者】
【氏名】エリカ レツラフ
(72)【発明者】
【氏名】ターニャ イェレス
(72)【発明者】
【氏名】アニカ ズィーバース
【審査官】 三原 健治
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−079036(JP,A)
【文献】 特開昭61−179231(JP,A)
【文献】 特開昭55−098215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
付着を改善するための添加物として使用される、ジカルボン酸又はポリカルボン酸及びジオール又はポリオールを基礎とするポリエステル樹脂組成物であって、前記組成物は、少なくとも1種の不飽和ジカルボン酸又はポリカルボン酸及び少なくとも1種のアルコキシル化されたジオール又はポリオールを含み、
ここで、前記アルコキシル化されたジオール又はポリオールは、
一般式(I)
R−O(CH2CH2O)a(CH2CHCH3O)b−H (I)、又は
一般式(II)
R−[O(CHCHO)(CHCHCHO)−H] (II)
[式中、Rは、トリシクロデカンジメタノール又はネオペンチルグリコールの残基であり、
aは、0〜20であり、及び/又は
bは、0〜20であり、
ただし、a+b≧1である]を満たすことを特徴とする、前記ポリエステル樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物において、不飽和ジカルボン酸又はポリカルボン酸として、シトラコン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸及び/又はメサコン酸を使用することを特徴とする、前記ポリエステル樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載のポリエステル樹脂組成物において、前記アルコキシル化されたジオール又はポリオール対前記ジカルボン酸又はポリカルボン酸のモル比は0.5〜2:1であることを特徴とする、前記ポリエステル樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1または2に記載のポリエステル樹脂組成物において、前記ポリエステルは、DIN EN ISO 2114により測定して、1〜150mg KOH/gの酸価を示すことを特徴とする、前記ポリエステル樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1または2に記載のポリエステル樹脂組成物において、前記ポリエステルは、DIN 53240-2により測定して、1〜200mg KOH/gのOH価を示すことを特徴とする、前記ポリエステル樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1または2に記載のポリエステル樹脂組成物において、アルコキシル化されたジオール又はポリオールとして、異性体化合物の3,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン及び5,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンのエトキシル化された又はプロポキシル化されたトリシクロデカンジメタノールが使用され、かつジカルボン酸又はポリカルボン酸としてフマル酸及び/又はマレイン酸及びアジピン酸の混合物が使用されることを特徴とする、前記ポリエステル樹脂組成物。
【請求項7】
ジカルボン酸又はポリカルボン酸及びジオール又はポリオールを基礎とするポリエステルにおいて、前記ポリエステルは、少なくとも1種の不飽和ジカルボン酸又はポリカルボン酸及び少なくとも1種のアルコキシル化されたジオール又はポリオールを含み、
ここで、前記アルコキシル化されたジオール又はポリオールは、一般式(I)
R−O(CH2CH2O)a(CH2CHCH3O)b−H (I)、又は
一般式(II)
R−[O(CHCHO)(CHCHCHO)−H] (II)
[式中、Rは、トリシクロデカンジメタノール又はネオペンチルグリコールの残基であり、
aは、0〜20であり、及び/又は
bは、0〜20であり、
ただし、a+b≧1である]を満たすことを特徴とする、ポリエステルの、付着を改善する添加物としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジカルボン酸又はポリカルボン酸及びジオール又はポリオールを基礎とするポリエステルであって、少なくとも1種の不飽和ジカルボン酸又はポリカルボン酸及び少なくとも1種のアルコキシル化されたジオール又はポリオールを含有するポリエステル、その製造方法及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
不飽和の非晶質ポリエステル樹脂(UP樹脂)は、飽和又は不飽和のジカルボン酸又はその無水物をジオールと縮合させることによって製造される。この特性は出発材料の種類及び量比に大幅に依存する。このような不飽和の非晶質ポリエステル樹脂を付着の改善のために使用することは以前から公知であり、例えば特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載されている。この場合、一般にポリエステル樹脂中のカルボキシル基が基剤との付着を媒介し、残りのヒドロキシル基は例えば2K系中で、又は重合可能な二重結合は酸化による乾燥する系又は放射線硬化する系中で反応する。
【0003】
重合可能な二重結合のキャリアとして、頻繁にα,β−不飽和酸が使用され、第一にマレイン酸又はその無水物又はフマル酸が使用される。フマル酸及びマレイン酸又はその無水物の他に、他の重合可能な酸として、特に、例えばシトラコン酸、イタコン酸及び/又はメサコン酸が用いられる。不飽和ジオールは、あまり重要ではない。この場合、ポリエステル樹脂の反応性は、二重結合の含有率が増すと共に増大し、高い架橋で比較的脆性の最終生成物が生じる。従って、望ましい脆性は、飽和の脂肪族又は芳香族ジカルボン酸との共縮合によって調節される。
【0004】
個々のUP樹脂型は、その製造のために使用された成分によって区別されるだけでなく、飽和酸対不飽和酸の量比(この量比が重合の際の架橋密度を決定し、縮合度、つまり分子量、酸価及びOH価、つまり鎖分子中の末端基の種類、モノマー含有率を決定する)によって、並びに添加剤の種類によっても区別される(Ullmann's Encydopedia of Industrial Chemistry, VOL A21, p. 217 ff., 1992)。
【0005】
更に、付加的に芳香族及び/又は脂肪族及び/又は脂環式モノカルボン酸及び/又はジカルボン酸及び/又はポリカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、セバシン酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ドデカン二酸、アジピン酸、アゼライン酸、イソノナン酸、2−エチルヘキサン酸、ピロメリト酸及び/又はトリメリト酸を使用することも公知である。
【0006】
ジオール成分として、多様な線状及び/又は分枝状の脂肪族及び/又は脂環式及び/又は芳香族ジオール及び/又はポリオールを使用することができる。これについての例は、エチレングリコール、1,2−及び/又は1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−及び/又は1,4−ブタンジオール、1,3−ブチルエチルプロパンジオール、1,3−メチルプロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン及び/又はペンタエリトリット、並びにビスフェノールA、B、C、F、ノルボルニレングリコール、1,4−ベンジルジメタノール及び−エタノール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオールである。
【0007】
特に、ジシドール(トリシクロデカンジメタノール、オクタヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンジメタノール)を、不飽和ポリエステル樹脂の製造のためのジオール成分として使用することは、例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8に包括的に記載されている。トリシクロデカンジメタノールは、主として、3,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン及び5,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンの異性体化合物からなる。ジシドールの添加は、この場合、純粋なポリエステル樹脂の並びに後に乾燥した被膜の形でのタックフリー(Klebfreiheit)の改善及びこの樹脂の貯蔵安定性に好ましい影響を引き起こす。この被覆の完全乾燥も、ジシドールの使用によって改善される。
【0008】
しかしながら、先行技術の記載されたポリエステル樹脂は、特にジシドールの使用の場合に固形樹脂である。しかしながら、固体の配合は、被覆材料を製造する中小規模の企業の場合にしばしば困難である。この固体の添加は、肉体的に手間をかけて袋から注ぐことによって行わなければならない。生じる粉塵は、労働生理学的欠点の他に、安全性の問題も含む、それというのも固体は基本的に粉塵爆発を引き起こすことがあるためである。
【0009】
固体樹脂は、基本的に、有機溶剤に溶かして配合することもできる。しかしながら、溶解させた形での配合は、使用者が、一方で、製造元の溶剤基準を受け入れなければならないという欠点を伴う。他方で、まさに近代的なハイソリッド(High-Solid)被覆の調製物は、固体樹脂の加工可能な溶液粘度を達成するためにしばしば必要な50質量%までの溶剤含有率では不可能である。
【0010】
特許文献9は、溶剤貧有の低粘度ポリエステル並びにこの低粘度ポリエステルとアミノプラストとの反応により耐衝撃性被覆が得られることを記載している。同様の教示は、特許文献10にも見られる。挙げられたこれらの文献中に開示されたポリエステルは、ビスフェノールAを基礎とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】DE 2409800
【特許文献2】EP 114208
【特許文献3】EP 934988
【特許文献4】DE 953117
【特許文献5】DE 2245110
【特許文献6】DE 2721989
【特許文献7】EP 114208
【特許文献8】EP 934988
【特許文献9】DE 2402841
【特許文献10】DE 2454025
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の課題は、被覆材料の特性、例えば付着又は不揮発成分の割合を改善すると同時に、他の溶剤の添加を避けることができる、付着を改善する添加物を見出すことであった。この付着を改善する添加物は、更に全ての結合剤系において全般的な有効性を有するべきである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の複雑な課題は、本発明による方法によるポリエステルによって解決される。
【0014】
本発明の第1の主題は、ジカルボン酸又はポリカルボン酸及びジオール又はポリオールを基礎とするポリエステルであって、このポリエステルは少なくとも1種の不飽和ジカルボン酸又はポリカルボン酸及び少なくとも1種のアルコキシル化されたジオール又はポリオールを含有し、好ましくは、ただし、このポリエステルはビスフェノールA、B、C、F又はこれらの誘導体を含まないポリエステルである。
【0015】
本発明によるポリエステルは、少なくとも1種のアルコキシル化されたアルコール成分をモノマー構成単位として使用することにより、23℃及び101325Paの圧力で液状のポリエステルを得ることができるという利点を有する。従って、意外にも、アルコキシル化されたアルコール成分の液状の集合状態(Aggregatzustand)を、モノマー構成単位としての使用の際に、固体の不飽和の非晶質ポリエステル樹脂に伝達することができる。このことは、特に意外でありかつ当業者には予測できなかった、それというのもこの特性の伝達は基本的に常に成功するとは限らないためである。例えば、液状のスチレンと固体のマレイン酸無水物からなる重合体や、液状メチルメタクリラートからなるホモポリマーは液状ではない。
【0016】
DE 2402841又はDE 2454025に開示されたポリエステルとは異なり、本発明によるポリエステルは、好ましくはビスフェノールA、B、C、F又はこれらの誘導体を含まない。ビスフェノールAの神経障害作用及び発ガン作用は十分に公知であり、例えばポリカーボネートからなるほ乳瓶でのその使用は、2011年以来禁止されている。2012年4月以来、欧州食品安全機関によりビスフェノールAの再評価が行われ、ビスフェノールA誘導体の更なる規制が見込まれている。更に、DE 2402841又はDE 2454025からのポリエステルは、その効果、例えば耐久性及び弾性を、架橋剤(2成分結合剤系中でのジオール成分)として使用する場合にだけ発揮している。本発明の場合のようなポリエステル単独の添加による付着の改善は、記載されていない。
【0017】
次に本発明によるポリエステルを詳細に説明する、以後、本発明によるポリエステルについては、「ポリエステル樹脂」の概念も使用される。
【0018】
本発明によるポリエステル樹脂は、ジカルボン酸又はポリカルボン酸及びジオール又はポリオールの反応により得られ、この場合、少なくとも1種の不飽和ジカルボン酸又はポリカルボン酸及び少なくとも1種のアルコキシル化されたアルコール成分が使用される。従って、本発明によるポリエステルは、不飽和ポリエステルである。
【0019】
本発明によるポリエステル樹脂は、出発酸成分として、少なくとも1種の不飽和ジカルボン酸又はポリカルボン酸、特にα,β−不飽和ジカルボン酸又はポリカルボン酸を含む。好ましくは、不飽和ジカルボン酸又はポリカルボン酸として、シトラコン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸及び/又はメサコン酸が使用される。
【0020】
上述の不飽和ジカルボン酸又はポリカルボン酸の他に、更に芳香族及び/又は脂肪族及び/又は脂環式モノカルボン酸、ジカルボン酸、ポリカルボン酸及び/又はリン酸が含まれていてもよい。芳香族及び/又は脂肪族及び/又は脂環式モノカルボン酸、ジカルボン酸、ポリカルボン酸として、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、セバシン酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ドデカン二酸、アジピン酸、アゼライン酸、イソノナン酸、2−エチルヘキサン酸、ピロメリト酸及び/又はトリメリト酸が適している。好ましいのは、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、トリメリト酸及び/又はイソフタル酸である。
【0021】
リン酸として、リン酸、塩化ホスホリル又はポリリン酸(H3PO4中に溶解したP25)から選択されるリン化合物が適していて、好ましくは塩化ホスホリル又はポリリン酸(H3PO4中に溶解したP25)、特に好ましくはポリリン酸(H3PO4中に溶解したP25)が使用される。適切なポリリン酸は、例えばCAS-No.8017-16-1で表される、Clariant社のH3PO4中に溶解したP25の84質量%の含有量を有するポリリン酸である。
【0022】
このポリエステルの構成成分として上述された酸成分は、本発明の範囲内で、対応する酸誘導体、特に無水物及び/又はアルキルエステル、好ましくはメチルエステルを含む。
【0023】
α,β−不飽和酸の割合は、付加的な酸に対する比で、5:1〜1:5で可変である。好ましくは4:1〜1:4の比、特に好ましくは2:1〜1:2の比である。この「付加的な酸」の概念は、個々の酸にも、酸の混合物にも当てはまり、上述の比は、使用された全ての、α,β−不飽和でない酸の全体に当てはまる。
【0024】
更に、本発明によるポリエステルは、ジオール又はポリオールを含み、この場合、少なくとも1種のアルコキシル化されたアルコール成分が含まれていなければならない、つまり本発明によるポリエステルの製造のために使用されるジオール又はポリオールの少なくとも1種はアルコキシル化されていなければならない。アルコキシル化されたジオール又はポリオールとは、ジオール又はポリオールの含まれるヒドロキシ基の少なくとも1つがエポキシドと反応しているアルコールであると解釈される。この場合、アルコキシル化されたジオール又はポリオールは、線状及び/又は分枝状の脂肪族及び/又は脂環式及び/又は芳香族ジオール又はポリオールを基礎とすることができる。線状及び/又は分枝状の脂肪族及び/又は脂環式ジオール又はポリオールの例は、エチレングリコール、1,2−及び/又は1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−及び/又は1,4−ブタンジオール、1,3−ブチルエチルプロパンジオール、1,3−メチルプロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン及び/又はペンタエリトリット、ノルボルニレングリコール、1,4−ベンジルジメタノール、1,4−ベンジルジエタノール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール及びトリシクロデカンジメタノールである。芳香族ジオールの例は、特にジヒドロキシベンゼン、例えばピロカテキン、レゾルシン及びヒドロキノンである。好ましくは、アルコキシル化されたジオール又はポリオールは、線状及び/又は分枝状の脂肪族及び/又は脂環式ジオール又はポリオールを基礎とする。好ましいジオール又はポリオールは、トリシクロデカンジメタノール、1,2−プロパンジオール、シクロヘキサンジメタノール及びネオペンチルグリコールである。特に好ましくは、本発明によるポリエステルは、ビスフェノールA、B、C、Fを含まない。
【0025】
ジオール又はポリオールのアルコキシル化は、エポキシドを用いて行われる。上述のジオール又はポリオールをアルコキシル化させるエポキシドの例は、酸化エチレン、酸化プロピレン、1,2−ブテンオキシド、1,2−ヘプテンオキシド、1,2−オクテンオキシド、1,2−ノネンオキシド、1,2−ウンデセンオキシド、1,2−ドデセンオキシド、4−メチル−1,2−ペンテンオキシド、スチレンオキシド、ブタジエンモノオキシド、イソプレンモノオキシド、シクロペンテンオキシド及び/又は2−エチル−1,2−ブテンオキシドである。特に好ましくは、酸化エチレン及び/又は酸化プロピレンが使用される。
【0026】
特に好ましいアルコキシル化されたアルコール成分は、この化合物が一般式(I)
R−O(CH2CH2O)a(CH2CHCH3O)b−H (I)
[式中、
Rは、トリシクロデカンジメタノール、1,2−プロパンジオール、シクロヘキサンジメタノール及びネオペンチルグリコール、好ましくはトリシクロデカンジメタノールであり、
aは、0〜20、好ましくは5〜12であり、及び/又は
bは、0〜20、好ましくは5〜12であり、
ただし、a+b≧1である]を満たすことを特徴とする。
【0027】
本発明によるポリエステル中に含まれるジオール又はポリオールの全体量を基準として、アルコキシル化されたジオール又はポリオールの割合は、少なくとも60Mol%、好ましくは少なくとも75Mol%、特に好ましくは少なくとも90Mol%である。
【0028】
好ましくは、アルコキシル化されたジオール又はポリオール対酸成分のモル比は、0.5〜2:1、好ましくは0.8〜1.5:1である。特に好ましくは、アルコキシル化されたジオール又はポリオール対酸成分のモル比は、1.0〜1.1:1である。「酸成分」とは、この関連において、含まれる全ての酸の全体であると解釈される。
【0029】
本発明によるポリエステルは、23℃及び101325Paの圧力で流動性であり、好ましくは液状である。
更に、本発明によるポリエステルは、好ましくは、DIN EN ISO 2114により測定して、1〜150mg KOH/g、好ましくは1〜100mg KOH/g、特に好ましくは1〜50mg KOH/gの酸価を有する。酸価(SZ)とは、物質1グラム中に含まれる酸を中和するために必要な、水酸化カリウムのmgで示す量であると解釈される。試験されるべき試料はジクロロメタン中に溶かされかつフェノールフタレインに対して0.1Nのエタノール性苛性カリ液で滴定される。
【0030】
更に、本発明によるポリエステルは、特に1〜200mg KOH/g、好ましくは1〜180mg KOH/g、特に好ましくは1〜150mg KOH/gのOH価を示す。本発明の範囲内で、OH価の測定はDIN 53240-2に従って行われる。この方法の場合、触媒として4−ジメチルアミノピリジンの存在で、試料を無水酢酸と反応させ、その際、ヒドロキシル基はアセチル化される。この場合、ヒドロキシル基1個当たり1分子の酢酸が生じ、引き続く過剰の無水酢酸の加水分解は2分子の酢酸を供給する。酢酸の消費量を主要値と並行して実施されるブラインド値との差から滴定により算出する。
【0031】
本発明による、23℃及び101325Paで流動性のポリエステルは、アントン・パール(Anton Paar)社の回転粘度計M102及び測定ジオメトリCP50/2を用いて23℃でかつ1/100sの剪断速度で測定して、特に0Pas〜3000Pas、好ましくは1Pas〜1000Pas、特に好ましくは1Pas〜100Pasの粘度を示す。
【0032】
本発明によるポリエステルは、特に、500〜5000g/mol、好ましくは750〜4000g/mol、特に好ましくは1000〜3000g/molの相対分子量の数平均Mnを有する。これは、当業者に周知の方法で、原料の反応性基のモル割合を介して得られる。相対分子量は、本発明の範囲内で、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって決定される。このために、5μmの粒子サイズを有するMerck社の3つのカラム(PS 400, 250*7mm、PS 40, 250*7mm及びPS 1, 250*7mm)を直列に組み合わせる。校正の後に、テトラヒドロフラン中のポリエステル溶液(c(ポリエステル)=20mg/ml)20μlを、40℃で、Rheodyne 7125インジェクタを用いて注入し、1ml/minの流動速度(Waters社のHPLCポンプ 510)で40℃で移動相として脱ガスされたテトラヒドロフランを用いてかつ40℃で示差屈折計(Waters社のモデル410)を用いて分析する。この評価は、ポリスチレン標準に対する校正により行い、この校正は予め記載されたように実施した。ポリスチレン標準(標準 1 Mp 377400, Mp 96000, Mp 20650, Mp 1300, Mp 162; 標準 2 Mp 283300, Mp 50400, Mp 10850, Mp 2930, Mp 980; 標準 3 Mp 218800, Mp 68900, Mp 10050, Mp 1940, Mp 580;Mp=ピーク極大中のモル質量)は、例えばMerck社又はPolymer Laboratories社から市場で入手できる。
【0033】
特に好ましい実施態様の場合に、ジオール又はポリオールとして、異性体化合物の3,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン及び5,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンのエトキシル化された又はプロポキシル化されたトリシクロデカンジメタノールが、ジカルボン酸又はポリカルボン酸としてフマル酸及び/又はマレイン酸又はそれらの無水物及びアジピン酸の混合物が使用される。アルコール成分対酸成分の好ましいモル比は、0.9:1.1〜1.1〜0.9であり、この場合、「アルコール成分もしくは酸成分」とは、この関連で、含まれる全ての酸及びアルコールの全体であると解釈される。この組成物の本発明によるポリエステルは、一般に、1〜150mg KOH/g、好ましくは1〜100mg KOH/g、特に好ましくは1〜50mg KOH/gの酸価、1〜200mg KOH/g、好ましくは1〜180mg KOH/g、特に好ましくは1〜150mg KOH/gのOH価を示す。
【0034】
本発明によるポリエステルは、出発酸及び出発アルコールの(半)連続的又は不連続的エステル化及び縮合によって1段階又は2段階法で製造される。本発明によるポリエステルの合成は、好ましくは溶融縮合によって行われる。このために、本発明の場合に使用されるジカルボン酸又はポリカルボン酸とジオール又はポリオールとは反応させられる。この重縮合は、融液中で150〜280℃の温度で、3〜30時間行われる。この場合、まず、遊離する水の量の大部分は常圧で留去される。更なる経過において、残りの水及び易揮発性のジオール又はポリオールを、目指した分子量が達成されるまで分離する。場合によっては、この分離は減圧により又は不活性ガス流の導通により軽減することができる。この反応は、付加的に、反応の前又は反応の間に、連行剤及び/又は触媒の添加により促進させることができる。適切な連行剤は、例えばトルエン及びキシレンである。典型的な触媒は、有機チタン化合物又はスズ化合物、例えばチタン酸テトラブチル又はジブチルスズオキシドである。他の金属、例えば亜鉛又はアンチモンを基礎とする触媒、並びに金属不含のエステル化触媒も考えられる。更に、他の添加物及び運転助剤(Fahrhilfsmittel)、例えば酸化防止剤又はラジカル安定剤及び色安定剤も可能である。
【0035】
本発明によるポリエステルは23℃及び101325Paで流動性であるため、従って好ましい方法で一連の適用のために適している。特に、本発明によるポリエステルは付着を改善する添加物として適している。
【0036】
従って、本発明の他の主題は、特に被覆中での、付着を改善する添加物としての本発明によるポリエステルの使用である。被覆は、本発明の意味範囲で、特に、ペイント、塗料、印刷インキ及び印刷塗料、一般に、下地に適用して、保護特性、装飾特性及び他の特別な特性を備えた表面被覆を生じる液状、ペースト状又は粉末状の製品である。
【0037】
本発明によるポリエステルの、被覆材料及び/又は接着剤及び/又はシーラントの他の成分との全般的な適合性があることが判明した。例えば、本発明によるポリエステルは、付着を改善する添加物として使用する場合に、ポリアクリラート、ポリオレフィン、飽和及び/又は不飽和のポリエステル及びコポリエステル、硝酸セルロース、フェノール−及び/又はメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、アクリル化されたポリエステル、ポリアミド、フェノール−又はケトン−ホルムアルデヒド樹脂、ケトン樹脂、ポリウレタン、ポリ尿素、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル及びその誘導体、例えばコポリマー及びターポリマー、ポリビニルアルコール、PVDF、ポリエーテル、シリコーン樹脂、塩化ゴム、環化ゴム、セルロースアセトブチラートと混合することができる。
【0038】
本発明によるポリエステルは、例えば上述のポリマーと共に、ハイソリッド調製物及びベリーハイソリッド(very high-solid)調製物、熱硬化性の、放射線硬化性の、空気乾燥する(酸化及び物理的)被覆材料、サーフェーサー及び/又はシーラント及び接着剤中で使用され、かつプライマー、フィラー、下塗り塗料、ワンコート塗料(Einschichtdecklacke)、透明塗料、接着剤、シーラント、道路マーキング塗料、腐食防止塗料のために改質樹脂として適している。
【0039】
本発明によるポリエステルは、例えば本発明によるポリエステルがラジカル反応によって耐食性の層を形成する腐食防止塗料において使用することができる。付着の向上の他に、更にその上にある境界層とその下にある境界層とに対する中間層の付着を改善する。本発明による添加物を含む被覆材料は、更に、高い光沢及び良好なレベリングによって優れている。吹付塗料において、更にスプレーミスト吸収が明らかに高まる。
【0040】
本発明の他の主題は、本発明によるポリエステルを含む調製物である。本発明による調製物中では、既に上述のポリマーを含むことができる。更に、この調製物は、禁止剤、水及び/又は有機溶剤、中和剤、界面活性物質、酸素捕捉剤及び/又はラジカル捕捉剤、触媒、光保護剤、蛍光増白剤、光増感剤、チキソトロピー付与剤、付着防止剤、消泡剤、帯電防止剤、増粘剤、熱可塑性添加物、染料、顔料、防火仕上剤、内部離型剤、充填剤及び/又は発泡剤から選択される助剤及び添加剤も含むことができる。
【0041】
上述の調製物中で、本発明によるポリエステルはそれ自体使用可能である。更に、本発明によるポリエステルの疎水化、親水化及び官能化のための更なる変性が可能である。疎水化は、例えば脂肪アルコール又は脂肪酸との更なる反応により行うことができる。親水化又は官能化は、例えば、リン含有化合物又はホウ素含有化合物(リン酸、ポリリン酸、ホウ酸)との更なる反応により達成することができる。
【0042】
本発明による不飽和ポリエステル樹脂は、塗料(室温硬化〜焼き付け硬化、IR−、UV−及び電子線硬化型)、ペイント、印刷インキ、被覆材料全般、積層接着剤、貼り合わせ接着剤の製造のための調製物中に、一般にポリエステル、メラミン、エポキシド、アミド、ポリエーテル、ニトロセルロース、セルロースアセトブチラート、ポリビニルブチラール、アクリラート、ポリカルボナートを基礎とする接着剤及びシーラント中に使用するため、及び上記塗料を粘度、付着、腐食又は光沢に関して改善するために特に適している。
【0043】
更なる説明がない場合でも、当業者が、上述の記載を最も広い範囲で利用できることを前提としている。従って、好ましい実施態様及び実施例は、単に記載された開示と解釈され、何らかの様式で限定する開示とは解釈されない。次に、本発明を、実施例によって詳細に説明する。本発明の別の実施態様も同じように得られる。
【実施例】
【0044】
本発明による実施例
実施例1−トリシクロデカンジメタノールを酸化エチレン4molでアルコキシル化
トリシクロデカンジメタノール962.9g(4.9mol)を、粘度を低下するために80℃に加熱し、KOH(45%)18.5g(0.15mol)と一緒に反応器中に装入した。引き続き窒素で不活性化した。この反応器を排気し(約20mbar)、この混合物を120℃の温度に加熱し、1時間の間に水を除去した。その後、酸化エチレン865g(19.6mol)を、約1時間の間で付加した。120℃で更に1時間の後反応時間の後に、この反応生成物を95℃に冷却し、反応されなかった酸化エチレンの除去のために<20mbarで30分間排気した。引き続き、この温度で乳酸(90%)を用いて中和を実施した。この乳酸は、酸価が0.0〜0.3mg KOH/gになるまで添加した。引き続き、この生成物を1μmフィルターで濾過した。
【0045】
実施例2−実施例1からのエトキシル化されたトリシクロデカンジメタノールを用いた不飽和ポリエステル樹脂
アジピン酸及びフマル酸(モル比1:1)を、実施例1からのエトキシル化されたトリシクロデカンジメタノールとモル比1:1.5で180℃で窒素雰囲気中で、31mg KOH/gの酸価及び119mg KOH/gのOH価が達成されるまで反応させた。このため、まずフマル酸を実施例1からのエトキシル化されたトリシクロデカンジメタノールで1時間にわたってエステル化し、次いでアジピン酸を添加した。
Mn=1000g/mol
Mw=1800g/mol
ガラス転移温度−38℃
23℃での粘度:9500mPas
【0046】
実施例3−トリシクロデカンジメタノールを酸化エチレン10molでアルコキシル化
トリシクロデカンジメタノール962.9g(4.9mol)を、粘度を低下するために80℃に加熱し、KOH(45%)18.5g(0.15mol)と一緒に反応器中に装入した。引き続き、窒素で不活性化した。この反応器を排気し(約20mbar)、この混合物を120℃の温度に加熱し、1時間の間に水を除去した。その後、酸化エチレン2156g(49mol)を、約1時間の間で付加した。120℃で更に1時間の後反応時間の後に、この反応生成物を95℃に冷却し、反応されなかった酸化エチレンの除去のために<20mbarで30分間排気した。引き続き、この温度で乳酸(90%)を用いて中和を実施した。この乳酸は、酸価が0.0〜0.3mg KOH/gになるまで添加した。引き続き、この生成物を1μmフィルターで濾過した。
【0047】
実施例4−実施例3からのエトキシル化されたトリシクロデカンジメタノールを用いた不飽和ポリエステル樹脂
アジピン酸及びフマル酸(モル比1:1)を、実施例3からのエトキシル化されたトリシクロデカンジメタノールとモル比1:1で180℃で窒素雰囲気中で、29mg KOH/gの酸価及び45mg KOH/gのOH価が達成されるまで反応させた。このため、まずフマル酸を実施例3からのエトキシル化されたトリシクロデカンジメタノールで1時間にわたってエステル化し、次いでアジピン酸を添加した。
Mn=2900g/mol
Mw=10300g/mol
ガラス転移温度−48℃
23℃での粘度:18400mPas
【0048】
実施例5−ネオペンチルグリコールを酸化プロピレン5molでアルコキシル化
ネオペンチルグリコール509.6g(4.9mol)を、粘度を低下するために80℃に加熱し、KOH(45%)18.5g(0.15mol)と一緒に反応器中に装入した。引き続き、窒素で不活性化した。この反応器を排気し(約20mbar)、この混合物を120℃の温度に加熱し、1時間の間に水を除去した。その後、酸化プロピレン1423g(24.5mol)を、約1時間の間で付加した。120℃で更に1時間の後反応時間の後に、この反応生成物を95℃に冷却し、反応されなかった酸化プロピレンの除去のために<20mbarで30分間排気した。引き続き、この温度で乳酸(90%)を用いて中和を実施した。この乳酸は、酸価が0.0〜0.3mg KOH/gになるまで添加した。引き続き1μmフィルターで濾過した。
【0049】
実施例6−実施例5からのプロポキシル化されたネオペンチルグリコールを用いた不飽和ポリエステル樹脂
アジピン酸及びフマル酸(モル比1:1)を、実施例5からのプロポキシル化されたネオペンチルグリコールとモル比1:1.1で180℃で窒素雰囲気中で、33mg KOH/gの酸価及び52mg KOH/gのOH価が達成されるまで反応させた。このため、まずフマル酸を実施例5からのプロポキシル化されたネオペンチルグリコールで1時間にわたってエステル化し、次いでアジピン酸を添加した。
Mn=2200g/mol
Mw=5400g/mol
ガラス転移温度−54℃
23℃での粘度:4900mPas
【0050】
実施例7−モノカルボン酸の使用下で実施例1からのエトキシル化されたトリシクロデカンジメタノールを用いた不飽和ポリエステル樹脂
フマル酸及びラウリン酸(モル比4:1)を、実施例1からのエトキシル化されたトリシクロデカンジメタノールとモル比1:1で180℃で窒素雰囲気中で、33mg KOH/gの酸価及び45mg KOH/gのOH価が達成されるまで反応させた。
Mn=1790g/mol
Mw=5230g/mol
ガラス転移温度−72℃
23℃での粘度:6500mPas
【0051】
実施例8−ポリリン酸の使用下で実施例1からのエトキシル化されたトリシクロデカンジメタノールを用いた不飽和ポリエステル樹脂
フマル酸、アジピン酸及びポリリン酸85%w/w(モル比1:0.94:0.06)を、実施例1からのエトキシル化されたトリシクロデカンジメタノールとモル比1:1で180℃で窒素雰囲気中で、27mg KOH/gの酸価及び52mg KOH/gのOH価が達成されるまで反応させた。このため、まずフマル酸を実施例1からのエトキシル化されたトリシクロデカンジメタノールで1時間にわたってエステル化し、次いでポリリン酸を添加した。更に1時間後にアジピン酸を添加した。
Mn=1900g/mol
Mw=5000g/mol
ガラス転移温度−21℃
23℃での粘度:19500mPas
【0052】
実施例9−トリシクロデカンジメタノールを酸化エチレン5molでアルコキシル化
トリシクロデカンジメタノール2802.3g(14.28mol)を、粘度を低下するために80℃に加熱し、KOH(固体)24.0g(0.43mol)と一緒に反応器中に装入した。引き続き、反応器内部を窒素で不活性化した。この反応器を排気し(約20mbar)、この混合物を115℃の温度に加熱した。その後、酸化エチレン3242g(73.5mol)を、約1時間の間で付加した。115℃で更に1時間の後反応時間の後に、この反応生成物を95℃に冷却し、反応されなかった酸化エチレンの除去のために<20mbarで30分間排気した。引き続き、この温度で反応生成物を水性のリン酸(30%)で中和し、水を115℃及び20mbarで蒸留により除去した。この蒸留され乾燥した生成物を引き続き1μmフィルターで濾過した。
【0053】
実施例10−ネオペンチルグリコールを酸化エチレン5molでアルコキシル化
ネオペンチルグリコール227.6g(2.18mol)及びKOH(固体)1.2g(0.02mol)を反応器中に装入した。引き続き、反応器内部を窒素で不活性化した。この反応器を排気し(約20mbar)、この混合物を130℃の温度に加熱することにより融解させた。その後、酸化エチレン481g(10.9mol)を、約2時間の間で付加した。115℃で1.5時間の後反応時間の後に、この反応生成物を95℃に冷却し、反応されなかった酸化エチレンの除去のために<20mbarで30分間排気した。引き続き、この温度で反応生成物を水性のリン酸(30%)で中和し、水を115℃及び20mbarで蒸留により除去した。この蒸留され乾燥した生成物を引き続き1μmフィルターで濾過した。
【0054】
実施例11−実施例9からのエトキシル化されたトリシクロデカンジメタノールを用いた不飽和ポリエステル樹脂
アジピン酸、メサコン酸及びフマル酸(モル比5:1:4)を、実施例9からのエトキシル化されたトリシクロデカンジメタノールとモル比1:1.1で180℃で窒素雰囲気中で、29mg KOH/gの酸価及び58mg KOH/gのOH価が達成されるまで反応させた。このため、まずフマル酸及びメサコン酸を実施例9からのエトキシル化されたトリシクロデカンジメタノールで1時間にわたってエステル化し、次いでアジピン酸を添加した。
Mn=2000g/mol
Mw=5100g/mol
ガラス転移温度−41℃
23℃での粘度:27000mPas
【0055】
実施例12−実施例9からのエトキシル化されたトリシクロデカンジメタノールを用いた不飽和ポリエステル樹脂
アジピン酸、シトラコン酸及びフマル酸(モル比5:1:4)を、実施例9からのエトキシル化されたトリシクロデカンジメタノールとモル比1:1.1で180℃で窒素雰囲気中で、29mg KOH/gの酸価及び58mg KOH/gのOH価が達成されるまで反応させた。このため、まずフマル酸及びシトラコン酸を実施例9からのエトキシル化されたトリシクロデカンジメタノールで1時間にわたってエステル化し、次いでアジピン酸を添加した。
Mn=1900g/mol
Mw=4600g/mol
ガラス転移温度−41℃
23℃での粘度:25000mPas
【0056】
実施例13−実施例10からのエトキシル化されたネオペンチルグリコールを用いた不飽和ポリエステル樹脂
アジピン酸、マレイン酸及びフマル酸(モル比2:1:1)を、実施例10からのエトキシル化されたネオペンチルグリコールとモル比1:1.4で180℃で窒素雰囲気中で、29mg KOH/gの酸価及び124mg KOH/gのOH価が達成されるまで反応させた。このため、まずフマル酸及びマレイン酸を実施例10からのエトキシル化されたネオペンチルグリコールで1時間にわたってエステル化し、次いでアジピン酸を添加した。
Mn=1200g/mol
Mw=2400g/mol
ガラス転移温度−61℃
23℃での粘度:1000mPas
【0057】
実施例14−実施例10からのエトキシル化されたネオペンチルグリコールを用いた不飽和ポリエステル樹脂
アジピン酸、イタコン酸及びフマル酸(モル比10:1:9)を、実施例10からのエトキシル化されたネオペンチルグリコールとモル比1:1.4で180℃で窒素雰囲気中で、30mg KOH/gの酸価及び124mg KOH/gのOH価が達成されるまで反応させた。このため、まずフマル酸及びイタコン酸を実施例10からのエトキシル化されたネオペンチルグリコールで1時間にわたってエステル化し、次いでアジピン酸を添加した。
Mn=1200g/mol
Mw=2200g/mol
ガラス転移温度−62℃
23℃での粘度:930mPas
【0058】
実施例15−実施例10からのエトキシル化されたネオペンチルグリコールを用いた不飽和ポリエステル樹脂
アジピン酸、ドデカン二酸、無水フタル酸、テレフタル酸、イソノナン酸及びフマル酸(モル比10:3:1:1:1:4)を、実施例10からのエトキシル化されたネオペンチルグリコールとモル比1:1.5で180℃で窒素雰囲気中で、24mg KOH/gの酸価及び115mg KOH/gのOH価が達成されるまで反応させた。このため、まずフマル酸及びテレフタル酸を実施例10からのエトキシル化されたネオペンチルグリコールで1時間にわたってエステル化し、次いでアジピン酸、ドデカン二酸、イタコン酸及び無水フタル酸を添加した。
Mn=1300g/mol
Mw=2700g/mol
ガラス転移温度−63℃
23℃での粘度:960mPas
【0059】
実施例16−実施例10からのエトキシル化されたネオペンチルグリコールを用いた不飽和ポリエステル樹脂
コハク酸無水物、アゼライン酸、イソフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物及びフマル酸(モル比6:6.7:1:1.1:1.2:4)を、実施例10からのエトキシル化されたネオペンチルグリコールとモル比1:1.5で180℃で窒素雰囲気中で、24mg KOH/gの酸価及び124mg KOH/gのOH価が達成されるまで反応させた。このため、まずフマル酸及びイソフタル酸を実施例10からのエトキシル化されたネオペンチルグリコールで1時間にわたってエステル化し、次いでアゼライン酸及びコハク酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物及びメチルヘキサヒドロフタル酸無水物を添加した。
Mn=1200g/mol
Mw=2400g/mol
ガラス転移温度−62℃
23℃での粘度:1000mPas
【0060】
実施例17−実施例10からのエトキシル化されたネオペンチルグリコールを用いた不飽和ポリエステル樹脂
アジピン酸、セバシン酸、トリメリト酸無水物、ポリリン酸及びフマル酸(モル比8:6:1:1:4)を、実施例10からのエトキシル化されたネオペンチルグリコールとモル比1:1.6で180℃で窒素雰囲気中で、25mg KOH/gの酸価及び129mg KOH/gのOH価が達成されるまで反応させた。このため、まずフマル酸を実施例10からのエトキシル化されたネオペンチルグリコールで1時間にわたってエステル化し、次いでアジピン酸、セバシン酸、ポリリン酸及びトリメリト酸無水物を添加した。
Mn=1300g/mol
Mw=2600g/mol
ガラス転移温度−64℃
23℃での粘度:990mPas
【0061】
実施例18−実施例10からのエトキシル化されたネオペンチルグリコールを用いた不飽和ポリエステル樹脂
アジピン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルフタラート、リン酸及びフマル酸(モル比10:4:1:1:4)を、実施例10からのエトキシル化されたネオペンチルグリコールとモル比1:1.5で180℃で窒素雰囲気中で、24mg KOH/gの酸価及び132mg KOH/gのOH価が達成されるまで反応させた。このため、まずフマル酸を実施例10からのエトキシル化されたネオペンチルグリコールで1時間にわたってエステル化し、次いでアジピン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルフタラート及びリン酸を添加した。
Mn=930g/mol
Mw=1900g/mol
ガラス転移温度−63℃
23℃での粘度:740mPas
【0062】
実施例19−実施例10からのエトキシル化されたネオペンチルグリコールを用いた不飽和ポリエステル樹脂
アジピン酸、ピロメリト二酸無水物、リンゴ酸、ラウリン酸及びフマル酸(モル比10:1:4:1:4)を、実施例10からのエトキシル化されたネオペンチルグリコールとモル比1:1.3で180℃で窒素雰囲気中で、26mg KOH/gの酸価及び101mg KOH/gのOH価が達成されるまで反応させた。このため、まずフマル酸を実施例10からのエトキシル化されたネオペンチルグリコールで1時間にわたってエステル化し、次いでアジピン酸、ピロメリト酸二無水物、リンゴ酸及びラウリン酸を添加した。
Mn=1700g/mol
Mw=4100g/mol
ガラス転移温度−58℃
23℃での粘度:2400mPas
【0063】
実施例20−実施例10からのエトキシル化されたネオペンチルグリコールを用いた不飽和ポリエステル樹脂
アジピン酸及びフマル酸(モル比1:1)を、実施例10からのエトキシル化されたネオペンチルグリコールとモル比1:1.4で180℃で窒素雰囲気中で、20mg KOH/gの酸価及び117mg KOH/gのOH価が達成されるまで反応させた。このため、まずフマル酸を実施例10からのエトキシル化されたネオペンチルグリコールで1時間にわたってエステル化し、次いでアジピン酸を添加した。
Mn=1400g/mol
Mw=3100g/mol
ガラス転移温度−61℃
23℃での粘度:1200mPas
【0064】
実施例21−実施例10からのエトキシル化されたネオペンチルグリコールを用いた不飽和ポリエステル樹脂
アジピン酸及びフマル酸(モル比3:1)を、実施例10からのエトキシル化されたネオペンチルグリコールとモル比1:1.2で180℃で窒素雰囲気中で、19mg KOH/gの酸価及び73mg KOH/gのOH価が達成されるまで反応させた。このため、まずフマル酸を実施例10からのエトキシル化されたネオペンチルグリコールで1時間にわたってエステル化し、次いでアジピン酸を添加した。
Mn=2000g/mol
Mw=4400g/mol
ガラス転移温度−60℃
23℃での粘度:2000mPas
【0065】
実施例22−実施例9からのエトキシル化されたトリシクロデカンジメタノールを用いた不飽和ポリエステル樹脂
アジピン酸及びフマル酸(モル比3:1)を、実施例9からのエトキシル化されたトリシクロデカンジメタノールとモル比1:1.2で180℃で窒素雰囲気中で、20mg KOH/gの酸価及び61mg KOH/gのOH価が達成されるまで反応させた。このため、まずフマル酸を実施例9からのエトキシル化されたトリシクロデカンジメタノールで1時間にわたってエステル化し、次いでアジピン酸を添加した。
Mn=2000g/mol
Mw=4800g/mol
ガラス転移温度−44℃
23℃での粘度:18000mPas
【0066】
本発明によらない実施例
実施例23−トリシクロデカンジメタノールを用いた不飽和ポリエステル樹脂
アジピン酸及びフマル酸(モル比1:1)を、トリシクロデカンジメタノールとモル比1:1.1で180℃で窒素雰囲気中で、26mg KOH/gの酸価及び37mg KOH/gのOH価が達成されるまで反応させた。このため、まずフマル酸をトリシクロデカンジメタノールで1時間にわたってエステル化し、次いでアジピン酸を添加した。
Mn=1800g/mol
Mw=4300g/mol
ガラス転移温度12℃
23℃で固体
【0067】
実施例24−ネオペンチルグリコールを用いた不飽和ポリエステル樹脂
アジピン酸及びフマル酸(モル比1:1)を、ネオペンチルグリコールとモル比1:1で180℃で窒素雰囲気中で、31mg KOH/gの酸価及び39mg KOH/gのOH価が達成されるまで反応させた。このため、まずフマル酸をネオペンチルグリコールで1時間にわたってエステル化し、次いでアジピン酸を添加した。
Mn=2600g/mol
Mw=6100g/mol
ガラス転移温度−29℃
23℃で固体
【0068】
実施例25−ジシドールを用いた不飽和ポリエステル樹脂
アジピン酸及びマレイン酸(モル比1:1)を、ジシドールとモル比1:1.05で180℃で窒素雰囲気中で、26mg KOH/gの酸価及び37mg KOH/gのOH価が達成されるまで反応させた。このため、まずマレイン酸をジシドールで1時間にわたってエステル化し、次いでアジピン酸を添加した。
Mn=1800g/mol
Mw=4300g/mol
ガラス転移温度12℃
23℃で固体
【0069】
適用例
短油アルキドを基礎とする腐食防止塗料中での適用
短油アルキドを基礎とする腐食防止塗料中で、主要結合剤の部分を、組成物KA2において本発明による不飽和ポリエステル樹脂に置き換え、組成物KA3において本発明によらない不飽和ポリエステル樹脂に置き換えた。KA1は、対照試料の組成物である。
【表1】
【0070】
適用例1
配合KA1の1040mPa*s及び配合KA3の930mPa*sの高い粘度(Anton Paar社の回転粘度計M102及び測定ジオメトリCP50/2を用いて23℃で及び1/100sの剪断速度で測定)は、配合KA2において実施例6からの本発明による不飽和ポリエステル樹脂の添加により630mPa*sに低下した。それにより、被覆材料中の不揮発性成分の割合は、比較可能な粘度で高めることができた。
【0071】
適用例2
配合KA1の57GE>60°及び配合KA3の42GE>60°の低い光沢度(ガラスプレート上でDIN EN ISO2813により測定)は、実施例6からの本発明による不飽和ポリエステル樹脂の添加により80GE>60°に改善された。
【0072】
適用例3
配合KA1のクロスカット−固有値3及び配合KA3のクロスカット−固有値2の付着性(DIN EN ISO 2409により測定、切り込み工具を用いてカット;切り込み間隔1mm;Tesa接着テープNo.4651を用いて引き剥がす)は、実施例6からの本発明による不飽和ポリエステル樹脂の添加によりクロスカット−固有値1に改善された。
下地:鋼板
乾燥塗膜厚さ:55μm
エージング:6週間
【0073】
適用例4
DIN EN ISO 9227による塩水噴霧試験(40℃;0.5%のNaCl;pH6.5〜7.2;80cm2の面積について測定した採取量:2ml/h;試験片の設置角度:20°)で、配合KA1及びKA3で中程度のふくれが生じた結果が、配合KA2の場合の実施例6からの本発明による不飽和ポリエステル樹脂の添加により、ふくれのない結果に改善することができた。
【0074】
ポリイソシアナート架橋性のアクリラート樹脂を基礎とする2K PURワンコート塗料中での適用
ポリイソシアナート架橋性のアクリラート樹脂を基礎とする2K PURワンコート塗料中で、主要結合剤の部分を、組成物PU2において本発明による不飽和ポリエステル樹脂に置き換え、組成物PU3において本発明によらない不飽和ポリエステル樹脂に置き換えた。PU1は、対照試料の組成物である。
【表2】
【0075】
適用例5
配合PU3の715mPa*sの高い粘度(Anton Paar社の回転粘度計M102及び測定ジオメトリCP50/2を用いて23℃で及び1/100sの剪断速度で測定)は、配合PU2において実施例4からの本発明による不飽和ポリエステル樹脂の添加により330mPa*sに低下した。それにより、被覆材料中の不揮発性成分の割合は、比較可能な粘度で高めることができた。
【0076】
適用例6
配合PU1の67GE>60°及び配合PU3の16GE>60°の低い光沢度(ガラスプレート上でDIN EN ISO2813により測定)は、配合PU2において実施例4からの本発明による不飽和ポリエステル樹脂の添加により74GE>60°に改善された。
【0077】
適用例7
配合PU1のクロスカット−固有値4及び配合PU3のクロスカット−固有値4の付着性(DIN EN ISO 2409により測定、切り込み工具を用いてカット;切り込み間隔1mm;Tesa接着テープNo.4651を用いて引き剥がす)は、実施例6からの本発明による不飽和ポリエステル樹脂の添加によりクロスカット−固有値1に改善された。
下地:センジミア亜鉛めっきした鋼板、乾燥塗膜厚さ:50μm、エージング:6週間
【0078】
適用例8
ハンドクリームに対する耐久性は、配合PU1(被覆の軽度の剥離及び軟化)と比較して、配合PU2の場合に実施例4からの本発明による不飽和ポリエステル樹脂の添加によって、攻撃されない被覆表面にまで改善された。
クリーム:Nivea Soft & Intensive
負荷期間:室温で48時間
【0079】
メラミン架橋性のポリエステル樹脂を基礎とする1K 焼き付け塗料中での適用
メラミン架橋性のポリエステル樹脂を基礎とする1K 焼き付け塗料中で、主要結合剤の部分を、組成物EB2において本発明による不飽和ポリエステル樹脂に置き換え、組成物EB3において本発明によらない不飽和ポリエステル樹脂に置き換えた。EB1は、対照試料の組成物である。
【表3】
【0080】
適用例9
配合EB3の580mPa*sの高い粘度(Anton Paar社の回転粘度計M102及び測定ジオメトリCP50/2を用いて23℃で及び1/100sの剪断速度で測定)は、配合EB2において実施例20からの本発明による不飽和ポリエステル樹脂の添加により366mPa*sに低下した。それにより、被覆材料中の不揮発性成分の割合は、比較可能な粘度で高めることができた。
【0081】
適用例10
配合EB1のクロスカット−固有値4及び配合EB3のクロスカット−固有値4の付着性(DIN EN ISO 2409により測定、切り込み工具を用いてカット;切り込み間隔1mm;Tesa接着テープNo.4651を用いて引き剥がす)は、配合EB2において実施例21からの本発明による不飽和ポリエステル樹脂の添加によりクロスカット−固有値1に改善された。
下地:センジミア亜鉛めっきした鋼板、乾燥塗膜厚さ:37μm
エージング:6週間
【0082】
適用例11
配合EB1のクロスカット−固有値4の付着性(DIN EN ISO 2409により測定、切り込み工具を用いてカット;切り込み間隔1mm;Tesa接着テープNo.4651を用いて引き剥がす)は、配合EB2において実施例21からの本発明による不飽和ポリエステル樹脂の添加によりクロスカット−固有値1に改善された。
下地:ガラスプレート;乾燥塗膜厚さ:37μm
エージング:24時間
【0083】
アミン架橋性のエポキシ樹脂を基礎とする2K EPワンコート塗料中での適用
アミン架橋性のエポキシ樹脂を基礎とする2K EPワンコート塗料中で、主要結合剤の部分を、組成物EP2において本発明による不飽和ポリエステル樹脂に置き換え、組成物EP3において本発明によらない不飽和ポリエステル樹脂に置き換えた。EP1は、対照試料の組成物である。
【表4】
【0084】
適用例12
配合EP1の1170mPa*s及び配合EP3の1750mPa*sの高い粘度(Anton Paar社の回転粘度計M102及び測定ジオメトリーCP50/2を用いて23℃で及び1/100sの剪断速度で測定)は、配合EP2において実施例20からの本発明による不飽和ポリエステル樹脂の添加により744mPa*sに低下した。それにより、被覆材料中の不揮発性成分の割合は、比較可能な粘度で高めることができた。
【0085】
適用例13
配合EP1の93GE>85°の光沢度(ガラスプレート上でDIN EN ISO2813により測定)は、配合EP2において実施例22からの本発明による不飽和ポリエステル樹脂の添加により99GE>85°に改善された。
【0086】
[本発明の態様]
1. ジカルボン酸又はポリカルボン酸及びジオール又はポリオールを基礎とするポリエステルにおいて、前記ポリエステルは、少なくとも1種の不飽和ジカルボン酸又はポリカルボン酸及び少なくとも1種のアルコキシル化されたジオール又はポリオールを含むことを特徴とする、ポリエステル。
2. 前記1に記載のポリエステルにおいて、ただし、前記ポリエステルがビスフェノールA、B、C、F又はそれらの誘導体を含まない、ポリエステル。
3. 前記1又は2に記載のポリエステルにおいて、不飽和ジカルボン酸又はポリカルボン酸として、シトラコン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸及び/又はメサコン酸を使用することを特徴とする、ポリエステル。
4. 前記1から3までのいずれか1に記載のポリエステルにおいて、前記不飽和ジカルボン酸又はポリカルボン酸の他に、芳香族及び/又は脂肪族及び/又は脂環式モノカルボン酸、ジカルボン酸、ポリカルボン酸及び/又はリン酸が含まれていることを特徴とする、ポリエステル。
5. 前記1から4までのいずれか1に記載のポリエステルにおいて、前記アルコキシル化されたジオール又はポリオールは、線状及び/又は分枝状の脂肪族及び/又は脂環式及び/又は芳香族ジオール又はポリオールを基礎とすることを特徴とする、ポリエステル。
6. 前記1から5までのいずれか1に記載のポリエステルにおいて、前記アルコキシル化されたジオール又はポリオールは、線状及び/又は分枝状の脂肪族及び/又は脂環式ジオール又はポリオールを基礎とすることを特徴とする、ポリエステル。
7. 前記1から6までのいずれか1に記載のポリエステルにおいて、前記ジオール又はポリオールは、酸化エチレン、酸化プロピレン、1,2−ブテンオキシド、1,2−ヘプテンオキシド、1,2−オクテンオキシド、1,2−ノネンオキシド、1,2−ウンデセンオキシド、1,2−ドデセンオキシド、4−メチル−1,2−ペンテンオキシド、スチレンオキシド、ブタジエンモノオキシド、イソプレンモノオキシド、シクロペンテンオキシド及び/又は2−エチル−1,2−ブテンオキシドでアルコキシル化されていることを特徴とする、ポリエステル。
8. 前記1から7までのいずれか1に記載のポリエステルにおいて、前記アルコキシル化されたジオール又はポリオール対前記ジカルボン酸又はポリカルボン酸のモル比は0.5〜2:1であることを特徴とする、ポリエステル。
9. 前記1から8までのいずれか1に記載のポリエステルにおいて、前記ポリエステルは、DIN EN ISO 2114により測定して、1〜150mg KOH/gの酸価を示すことを特徴とする、ポリエステル。
10. 前記1から9までのいずれか1に記載のポリエステルにおいて、前記ポリエステルは、DIN 53240-2により測定して、1〜200mg KOH/gのOH価を示すことを特徴とする、ポリエステル。
11. 前記1から10までのいずれか1に記載のポリエステルにおいて、アルコキシル化されたジオール又はポリオールとして、異性体化合物の3,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン及び5,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンのエトキシル化された又はプロポキシル化されたトリシクロデカンジメタノールが使用され、かつジカルボン酸又はポリカルボン酸としてフマル酸及び/又はマレイン酸及びアジピン酸の混合物が使用されることを特徴とする、ポリエステル。
12. 前記1から11までのいずれか1に記載のポリエステルの、付着を改善する添加物としての使用。
13. 前記1から11までのいずれか1に記載のポリエステルを含む、調製物。
14. 前記13に記載の調製物において、前記調製物は、禁止剤、水及び/又は有機溶剤、中和剤、界面活性物質、酸素捕捉剤及び/又はラジカル捕捉剤、触媒、光保護剤、蛍光増白剤、光増感剤、チキソトロピー付与剤、付着防止剤、消泡剤、帯電防止剤、増粘剤、熱可塑性添加物、染料、顔料、防火仕上剤、内部離型剤、充填剤及び/又は発泡剤から選択される助剤及び添加剤を含むことを特徴とする、調製物。