(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記バースト信号発信回路はさらに前記バースト波周波数を調整するステップ幅を記憶するバースト波周波数可変幅設定レジスタと、前記バースト波周波数を調整するステップ回数を記憶するバースト波周波数可変回数設定レジスタとを有することを特徴とする請求項3に記載の超音波センサ。
前記増幅回路の出力から取り出されるアナログ増幅信号をデジタル信号に変換するA/D変換部と、前記デジタル信号を濾過するバンドパスフィルタと、前記濾過した信号を積分する積分部とを有し、前記演算部は前記積分部に基づき前記対象物の状態を検知することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の超音波センサ。
前記受信部の入力端にはローパスフィルタが結合され、前記増幅回路の入力端には前記ローパスフィルタを介して前記送信部の前記出力端及び前記圧電素子の一端と結合されていることを特徴とする請求項9に記載の超音波センサ。
前記送信部と前記バースト信号発信回路との間には前記バースト信号を増幅し、かつ、前記送信部を駆動するドライバ回路が設けられていることを特徴とする請求項10に記載の超音波センサ。
前記バースト波周波数を所定の範囲で可変して前記パルス信号の数を逐次カウントしてメモリに保存し、前記メモリに保存された中で最も大きなパルス信号の数を示した前記バースト波周波数に前記バースト信号発信回路で生成される前記バースト波周波数を調整することを特徴とする請求項14に記載の超音波センサ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記特許文献1は、圧電素子に印加する電圧の周波数を共振周波数に調整するという技術思想は示唆するが、そのための具体的な回路構成は開示していない。また、印加する電圧の周波数を調整することまでは示唆していない。
【0011】
特許文献2は基準超音波受波器を用意しなければならず回路構成がやや複雑になる。さらに、異なる複数の周波数を発生させる周波数発生手段と複数の周波数を混合させる周波数混合手段を設けることは開示するものの、残響周波数に基づき周波数の大きさを調整することまでは開示していない。
【0012】
特許文献3は、例えば雪の超音波センサでの付着状態を検出した後、雪による影響を低減す具体的な回路構成までは示唆、開示していない。
【0013】
特許文献4は外的変化により受波感度低減を抑制する技術思想を示唆していない。
【0014】
本発明は、上記の問題点に鑑み、泥、雨、雪、温度などの周囲の環境の外的変化による、超音波センサの固有振動周波数を自動的に補正し、外的変化に伴う送受信感度の低下を抑制することができる超音波センサ及びそれに用いる圧電素子に印加するバースト信号の周波数(バースト波周波数)の制御、調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本書での「バースト信号」とは、バースト信号発信回路から発信される例えばパルス、三角波、または正弦波等が間欠に現れる信号及び、これらが現れない信号部分も含む信号全体を指す。
【0016】
本書での「バースト波」とは、「バースト信号」の一部分であって、パルス、三角波、または正弦波等の信号そのものを指す。
【0017】
本書での「バースト波周波数」とは上記バースト波の周波数を指す。「バースト波周波数」は「バースト信号の周波数」または「バースト信号周波数」と同義である。
【0018】
本書での「超音波センサ」なる意味は、人間の耳に聞こえない振動数をもつ音波、すなわち超音波を送信部から対象物に向け送信し、その反射を受信部で受信して例えば、対象物の有無や対象物までの距離を検出するセンサを指している。したがって「超音波センサ」には超音波を発生する例えばセラミック圧電素子のみならず、送信部、受信部、及びその周辺の回路部も含む。なお、本書で符号を伴わず端に「超音波センサ」と記した場合には特定の回路部や部品等を指すものではなく、上記の機能を有する広い概念であることを意味する。
【0019】
本書での「超音波信号」とは、上記バースト信号のみならずバースト発信回路から発信される信号及び対象物から反射されてきた受信信号も含み、上記「バースト信号」、「バースト波」だけではなく、超音波センサで生成または処理される信号全般を指す。
また、「残響信号」とは圧電素子に印加するバースト信号がカットされたあとも圧電素子に生じているかまたはそこから出力される圧電素子の共振周波数に近い超音波信号を指す。また、「残響周波数」とは上記「残響信号」の周波数を指す。
【0020】
本書での「検定」とは、上記残響信号または上記残響信号に処理を加えた加工信号を所定の基準に添って検知し、また計測し、上記残響周波数や上記残響信号または上記加工信号の周波数または信号の継続時間を求める信号処理を指す。
【0021】
上記目的を達成するために本発明の一態様の超音波センサは、超音波信号を送受信する圧電素子と、圧電素子を駆動する送信部と、送信部にバースト信号を伝達するバースト信号発信回路と、圧電素子が受信した受信信号を受け入れる受信部と、受信信号を増幅して増幅信号を出力する増幅回路と、増幅回路から出力される増幅信号を検定する信号処理回路とを備え、信号処理回路は増幅信号に含まれる残響信号の残響時間または残響周波数を検定し、検定した結果をバースト信号発信回路にフィードバックし、バースト信号発信回路は検定した結果に基づきバースト信号の周波数(バースト波周波数)を調整する。
【0022】
また本発明の一態様ではバースト信号発信回路は、バースト波周波数を残響周波数に調整する。
【0023】
また本発明の一態様では、増幅信号を積分した積分信号の積分時間を計測し該積分時間に基づきバースト波周波数を調整する。
【0024】
また、本発明の一態様では信号処理回路は残響信号の所定の周期内に存在するパルス信号の数をカウントして残響周波数を検定する。
【0025】
また、本発明の一態様では信号処理回路は増幅回路の出力から取り出されるアナログ増幅信号をA/D変換部でデジタル信号に変換し、デジタル信号をバンドパスフィルタを介して濾過し、濾過した信号を積分し積分した積分信号をバースト波周波数の検定に用いる。
【0026】
また本発明の一態様ではバースト波周波数を所定の範囲で変化させパルス信号の数を逐次カウントしてメモリに保存し、メモリに保存された中で最も大きなパルス信号の数を示したバースト波周波数にバースト信号発信回路で生成されるバースト信号の周波数を調整する。
【0027】
また本発明の一態様では、増幅回路には受信部を介して圧電素子の一端に発生している超音波信号が常時印加される。
【0028】
また本発明の一態様では、受信部の入力端にはローパスフィルタが結合され、増幅回路の入力端にはローパスフィルタを介して送信部の出力端及び圧電素子の一端と結合されている。
【0029】
また本発明の一態様では、送信部とバースト信号発信回路との間にはバースト信号を増幅し、かつ、送信部を駆動するドライバ回路が設けられている。
【0030】
また本発明の一態様では、ドライバ回路または送信部にはバースト信号を増幅するトランスを含む。
【0031】
また本発明の別の発明であるバースト波周波数の制御方法の一態様は下記のステップを含む。
(a1)バースト信号発信回路で生成されるバースト信号を構成するバースト波の数を設定するステップ(501)
(b1)バースト波の初期の周波数の大きさを設定するデフォルトバースト周波数設定ステップ(502)
(c1)バースト信号を圧電素子に印加するタイミング及び終了させる、バースト信号発信開始及びバースト信号の圧電素子への印加を終了させるステップ(503,504)
(d1)信号処理回路の一部であるロジック制御部の回路動作を開始させ、残響周波数の検定を開始するステップ(505)
(e1)バースト信号の周期のカウント値と検定区間設定値との大小を比較するステップ(506)
(f1)上記カウント値が検定区間設定値に達した時にロジック制御部の動作を終了させるステップ(507)
(g1)信号処理回路で残響周波数を検定するステップ(508)
(h1)残響周波数検定結果をバースト信号発信回路にフィードバックし、バースト波周波数を調整するステップ(510)。
【0032】
また本発明の別の態様であるバースト波周波数の制御方法は下記のステップを含む。
(a2)バースト信号発信回路で生成されるバースト信号を構成するバースト波の数を設定するステップ(801)
(b2)バースト波の初回の周波数の大きさを設定する初回バースト周波数設定ステップ(802)
(c2)バースト波周波数の可変幅を設定するステップ(803)
(d2)バースト波周波数の可変回数を設定するステップ(804)
(e2)バースト信号を圧電素子に印加した回数をリセットするバースト送信回数リセットステップ(805)
(f2)バースト送信回数と設定されたバースト周波数の可変回数との大小関係を比較するステップ(806)
(g2)バースト送信回数がバースト周波数の可変回数に至るまでの間、バースト信号を送信するステップ(807)
(h2)バースト信号の送信を終えるバースト送信完了ステップ(808)
(i2)対象物から反射されてきた超音波信号の残響する時間を計測するステップ(809)
(j2)検定部で残響時間を所定値と比較するステップ(810)と、残響時間が所定値に達した時に残響時間の計測を停止するステップ(811)
(k2)計測した残響時間を保持するステップ(812)と、保持した残響時間に応じてバースト周波数を調整するステップ(813)
【発明の効果】
【0033】
本発明は超音波センサが置かれた環境の変化に応じてバースト信号の周波数を自動的に調整して外的変化に伴う超音波センサの送受信感度の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は本発明にかかる超音波センサの概要を示す回路ブロック図である。本発明にかかる超音波センサは例えば、車のバンパーの角部にコーナーソナーまたはバックソナーとして利用される。超音波センサ1000は、送受信処理回路100、ドライバ回路2、送信部3、圧電素子4、及び、受信部5を有する。送信部3、圧電素子4、及び受信部5は本書での送受信部に相当する。
【0036】
送受信処理回路100は、バースト信号発信回路1、増幅回路6、信号処理回路7、及び発信端T1、受信端T2を有する。発信端T1を介してバースト信号発信回路1から発信されたバースト信号S0がドライバ回路2に供給され、受信端T2には圧電素子4、受信部5を介して受信信号(超音波信号)が印加される。なお、受信信号の中には送信部3から送信されるバースト信号S0の超音波信号成分も含まれる。
【0037】
バースト信号発信回路1は、バースト信号S0を生成し、発信端T1を介してドライバ回路2に送信する。バースト信号S0は、搬送波S1と変調波S2に基づき生成される。すなわち、バースト信号S0は、搬送波S1が変調波信号S2のインターバルで切り出され間欠的に生じる超音波信号である。バースト信号S0は、例えば4個の電圧ピークを有した、すなわち4波を有する。こうした状態はバースト波数が4波であるとして表される。また、バースト信号発信回路1は、検定部73からの残響周波数検定結果に基づいて、バースト信号S0の周波数を調整する。搬送波S1はいわゆる超音波と称される、いわゆる人間の耳に聞こえない例えば周波数が20KHz以上の高い振動数を有する。本発明で用いられる搬送波S1の周波数は例えば40KHz〜80KHzである。変調波S2は搬送波S1を変調する信号であり、その周波数は例えば数十Hzであり、搬送波S1の周波数に比べるとその周波数は2桁程度小さい。なお、以降の説明において「バースト波」とはバースト信号S0の一部となる搬送波S1の信号成分を指す。また、「バースト波周波数」とは、搬送波S1の周波数に相当することになる。
【0038】
ドライバ回路2は、バースト信号発信回路1からバースト信号S0を受け、送信部3に供給する。ドライバ回路2は送信部3を十分に駆動できるレベルまでバースト信号S0を増幅する。
【0039】
送信部3は、バースト信号発信回路1から発信されたバースト信号S0を、ドライバ回路2を介して受信し圧電素子4に印加する。送信部3は圧電素子4が十分に駆動、振動するように、増幅手段として、例えばトランスを含み、バースト信号S0を十分な大きさまで昇圧している。昇圧レベルは例えば80Vppである。トランスを採用することで、ドライバ2及び送信部3に供給する電源電圧VDDが比較的小さくても送信部3からは比較的大きなバースト信号(超音波信号)を出力することができる。なお、ドライバ回路2と送信部3とを区別する必然性はなく、これら両者を一体化して1つの送信部として位置づけても良い。送信部3の出力端3aは圧電素子4の一端41と受信部5の入力端5aに結合される。
【0040】
圧電素子4は、送信部3からの発信信号を受信し、それに基づいて超音波信号を図示しない対象物、障害物に向けて送信する。また、圧電素子4は図示しない対象物、障害物から反射されてきた超音波信号、すなわち受信信号を受信する役割も担う。圧電素子4にバースト信号S0が印加されている間、圧電素子4の超音波振動子の振動は続くが、バースト信号S0の印加がカットされた後は残響信号が生じている。また、送信された超音波信号が障害物から反射され、圧電素子4の超音波振動子が反射された反射波を受信して振動することにより、圧電素子4が反射波に基づいた超音波信号に変換して出力する。圧電素子4は、超音波信号の送信と受信を兼用する。圧電素子4の一端は送信部3の出力端と受信部5の入力端に共通に結合される。本発明で圧電素子4は送信部3と受信部5の両者に兼用されるが、送信部3と受信部5にそれぞれ別々の圧電素子を用意しても良い。圧電素子4の一端は送信部3の出力端3a及び受信部5の入力端5aに結合され、その他端は接地電位GNDに結合される。
【0041】
受信部5は、圧電素子4の超音波振動子の振動に変換された超音波信号を受信し、送受信処理回路100の一部を構成する増幅回路6に伝達する。本発明で受信部5は直流信号成分をカットし、かつ高周波信号を大きく減衰させる機能も合わせ有している。受信部5の入力端5aは送信部3の出力端3a及び圧電素子4の一端41に結合される。こうした回路構成によって、受信部5は、送信部3及び圧電素子4の電気的特性が仮に変化した場合であっても、送受信部全体で決まる超音波信号を後段の回路部に伝達することができる。これによって、残響周波数の検定を超音波センサの使用環境の変化に応じて適確に実行することができる。
【0042】
増幅回路6は、受信部5から入力される超音波信号を増幅して、信号処理回路7に送信する。増幅回路6の電圧増幅度は受信信号の大きさに基づき、例えば20db〜100dbの範囲で適宜設定する。
【0043】
信号処理回路7は、増幅回路6で増幅したアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部71、変換されたデジタル信号をデジタル的に濾過するフィルタ72、及び変換されたデジタル信号を検定する検定部73を有する。信号処理回路7は、検定部73で超音波信号の残響周波数を検定し、検定した残響周波数をバースト信号発信回路1及びフィルタ部72にフィードバックする。検定した残響周波数に基づいて、フィルタ部72での濾過帯域周波数を決める。また、バースト信号発信回路1から発信するバースト信号S0の周波数すなわちバースト波周波数が調整される。なお、受信部5で受信した超音波信号を信号処理回路7でアナログ処理する場合にはA/D変換部71及びフィルタ部72は不要となる。信号線74はA/D変換部71及びフィルタ部72を採用しない場合の信号経路を示す。この時には増幅回路6から直接、検定部73に超音波信号が送られる。この時、当然ではあるが検定部73からフィルタ部72へのフィードバックを示す信号線75によるフィードバック経路も不要となる。
【0044】
図1に示した超音波センサ1000について要約すると次のとおりである。すなわち、設定されバースト信号発信回路1から発信されるバースト信号S0のバースト波周波数を、圧電素子4から受信部5を介して戻ってきた超音波信号に含まれる残響信号の周波数に基づき再度調整するということにほかならない。
【0045】
(第1実施形態)
図2は
図1に示した回路ブロック図の具体的な回路構成図であり、本発明にかかる第1実施形態を示す。第1実施形態の超音波センサ1000は、
図1に示したものとほぼ同様に、送受信処理回路100A、ドライバ回路2、発信部3、圧電素子4、及び受信部5を有する。送受信処理回路100Aは、送信端T1a、受信端T2a、及びバイアス端T3aを有する。第1実施形態の超音波センサ1000は、例えば自動車の車体(図示せず)に搭載され、車両の周辺の対象物、障害物の有無を検知し、また障害物までの距離を計測するために使用される。また、本発明の超音波センサは、車両そのものだけではなく、駐車管理システム、湿度センサ、積雪深計、ベルトコンベアの物体検知、タンク注水時の液量検知、自動ドアや侵入防止の監視などの人体センサ、各種の変位計測など、幅広い各種物体検知装置や各種センサに応用が可能である。
【0046】
バースト信号発信回路1Aは、バースト波数設定レジスタ11、デフォルトバースト周波数設定レジスタ12、バースト送信開始レジスタ13を有する。前述のように、バースト信号発信回路1が信号処理回路7で検定した残響周波数を基づいてバースト信号S0の周波数を逐次調整する。また、バースト信号発信回路1の発信が完了したら、バースト送信完了信号STARTを信号処理回路7に向けて送信する。ここでデフォルトバースト周波数設定レジスタ12は、本書でバースト信号周波数設定レジスタ12としても示される。
【0047】
ドライバ回路2は、トランジスタ21、抵抗22及び23、キャパシタ24、電源電圧VDDを有する。ドライバ回路2は、後段の送信部3から圧電素子4に超音波信号を送信するに十分な大きさまで増幅する役割を担う。トランジスタ21は、後段のトランジスタ32をドライブし、抵抗22はトランジスタ32のベース電流を制限し、抵抗23、キャパシタ24は平滑回路を構成し、不要な信号成分を抑制する。
【0048】
送信部3は、キャパシタ31、トランジスタ32、トランス33を有する。トランス33を使用して、ドライバ回路2の出力信号を昇圧し、圧電素子4を振動させる。トランジスタ32はトランス33の1次巻線にバースト信号S0を供給する。トランジスタ32は例えばバイポーラ型のPNPトランジスタで構成する。トランジスタ32のエミッタは電源電圧VDDに接続され、そのコレクタ側すなわちトランス33の1次側には例えば100mA程度の電流が流れる。トランス33の2次側には1次巻線と2次巻線との巻数に応じた大きさをもった超音波信号が生じる。キャパシタ31は電源電圧VDDに重畳されるリップルを平滑する、いわゆるバイパスキャパシタとして作用する。
【0049】
圧電素子4は、図示しない超音波振動子を有する。第1実施形態の圧電素子4は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ランタンドープチタン酸ジルコン酸鉛(PLET)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などを材料とする圧電素子を用いて超音波信号と超音波振動子の振動との相互変換を行う。前述のように、圧電素子4は、超音波信号の送信4aと受信4bとを兼用するようにしても良いし、送信4aと受信4bとにそれぞれ別々の圧電素子を使用しても良い。
【0050】
受信部5は、可変抵抗51、キャパシタ52及び53、抵抗54及び55、ダイオード56及び57を有する。可変抵抗51及びキャパシタ52はローパスフィルタ(LPF)を形成する。ローパスフィルタLPFは受信部5の入力端側に配置され、該ローパスフィルタLPFの入力は送信部3及び圧電素子4の一端に結合される。ローパスフィルタLPFの出力はキャパシタ53を介して後段の増幅回路6に結合される。ローパスフィルタLPFの時定数はたとえば抵抗54の抵抗値を調整して行われる。ローパスフィルタLPFを設けることで、受信部5と、圧電素子4及び受信部3との直結を回避している。すなわち、受信部5と、圧電素子4及び受信部3との干渉を回避している。なお、ローパスフィルタLPFは必須ではない。キャパシタ53は直流成分をカットする。圧電素子4からの電気信号が受信部5を介して増幅回路6に入力される。抵抗54,55は後段の増幅回路6の回路動作点を決める、いわゆるバイアス抵抗として働く。ダイオード56,57は受信端T2aに到来する不所望なサージ電圧、ノイズ等によって送受信処理回路100Aが誤動作しないように、また、劣化しないようにするためのいわゆる静電破壊防止(ESD)対策のために用意されている。
【0051】
増幅回路6は、可変抵抗61、62、65,66、及びアンプ63,67、及びキャパシタ64,68を有する。増幅回路6の電圧増幅度は前段の受信部5から出力される受信信号の大きさに基づき決めている。増幅回路6には電圧増幅度が可変できる例えばPGA(プログラマブル利得アンプ)を用いる。増幅回路6全体の電圧増幅度は例えば20dB〜100dBに設定されている。増幅回路6の電圧増幅度は抵抗61,62,65及び66の抵抗値を例えばデジタル的に制御して行われる。キャパシタ64,68は直流成分を次段に伝達しないためのいわゆる直流カットのために用意される。アンプ63,67の非反転入力端子(+)には、抵抗54,55で設定されたバイアス電圧VBが与えられる。バイアス電圧VBはアンプ63,67のダイナミックレンジが最適な状態に置かれる大きさに設定される。バイアス電圧VBの大きさはアンプ63,67に供給する電源電圧VDDとすると、例えば、VB=VDD/2に設定される。
【0052】
信号処理回路7は、A/D変換部71、フィルタ部72、演算部7d、検定部73を有する。フィルタ部72はバンドパスフィルタ(BPF)7b及び積分部7cを有する。検定部73はアンプ(バッファ)7e、カウンタ7f、検定区間設定レジスタ7g、比較器7h、ロジック制御部7i、残響周波数検定部7j、高速OSC7k、残響周波数検定結果保持レジスタ7Lを有する。信号処理回路7の回路動作の説明は後述する。
【0053】
アナログ信号である増幅信号DS1〜DS3が増幅回路6からA/D変換部71に入力されると、デジタル信号に変換された後フィルタ部72に入力される。フィルタ部72でノイズなどの不要な信号成分やバースト信号の周波数帯域から大きく外れた周波数帯域の信号成分が除去または大きく減衰される。フィルタ部72は例えばバンドパスフィルタBPF7b及び積分部7cで構成される。フィルタ部72を通過した所定の信号成分は、演算部7dに入力される。演算部7dは例えば対象物や障害物までの例えば距離の測定に用いられる。
【0054】
増幅信号DS1〜DS3は、A/D変換部71のほかに検定部73にも入力される。すなわち、増幅信号DS1〜DS3は被検定信号として処理される。検定部72で検定された残響周波数の検定結果はバースト信号発信回路1及びフィルタ部72にフィードバックされる。なお、A/D変換部71、フィルタ部72、及び演算部7dは必須の構成要件ではないので必ずしも設ける必要はない。
【0055】
図3は圧電素子4に印加されるバースト信号の周波数、すなわちバースト波周波数と残響周波数との関係を示す概念図である。
【0056】
図3(a)は、バースト波周波数f1を圧電素子4が有する固有の共振周波数fcと同じ値に選ばれた時を示す。ここで、共振周波数fcは例えば58KHzであるとする。したがって、バースト波周波数f1も58KHzとなる。
【0057】
バースト信号SS1は、時刻t0〜t11の間、圧電素子4に印加される。この時、バースト信号SS1の超音波信号成分は受信部5にも伝達される。
【0058】
受信信号RS1は受信部5の出力である受信端T2aから取り出される超音波信号である。受信信号RS1は、時刻t10〜t11の間、すなわちバースト信号SS1が圧電素子4に印加されている間は、バースト波周波数f1とほぼ同じ信号成分を有する。時刻t11以降すなわちバースト信号SS1の圧電素子4への印加がカットされると、受信信号RS1の振幅は時間の経過とともに徐々に減少していく。しかし、バースト波周波数f1の大きさは共振周波数f0のそれと同じに選ばれているので、圧電素子4の振動エネルギーは比較的強く、時刻t11でバースト信号SS1の圧電素子4への印加がカットされた後も残響信号の発生は比較的長い時刻t13まで続く状態を示している。
【0059】
増幅信号DS1は増幅回路6から出力され、信号処理回路7に入力される。増幅信号DS1は第1実施形態で検定の対象となる、いわゆる被検定信号となる。増幅信号DS1は時刻t10〜t11の間では、バースト信号SS1の信号成分が、時刻t11〜t13の間では残響信号がそれぞれ増幅回路6で増幅された超音波信号である。前に述べた受信信号RS1の振幅は、時刻t11以降、時間の経過とともに徐々に減少するものであったが、増幅信号DS1は時刻の経過に関わらず、すなわち時刻t11〜t13の間、一定の振幅値に維持される。これは増幅回路6の電圧増幅度が十分に大きく、時刻t13近傍で生じる比較的微小な受信信号RS1を増幅回路6のダイナミックレンジ一杯まで増幅できているからである。これによって、本発明では残響信号が実質的に0になる時間までを適確に計測し、適確に検定することができる。増幅信号DS1に基づき、バースト信号SS1の圧電素子4への印加が完了した時刻t11からあらかじめ決められた時刻t12までの間、
図2に示した比較器7hで残響信号の残響周波数が検定される。
【0060】
図3(b)はバースト波周波数f2が、圧電素子4が有する固有の共振周波数fcから低いほうにずれた時を示す。ここで、共振周波数fcは例えば58KHzであるとする。また、バースト波周波数f2は、共振周波数fcよりも小さな例えば50KHzであるとする。
【0061】
バースト信号SS2は、時刻t20〜t21の間、圧電素子4に印加される。この時、バースト信号SS2が有する超音波信号成分は受信部5にも伝達される。
【0062】
受信信号RS2は受信部5の出力である受信端T2aから取り出される。受信信号RS2は、時刻t20〜t21の間、すなわちバースト信号SS2が圧電素子4に印加されている間は、バースト波周波数f2、すなわち周波数がほぼ50KHzの信号成分を示している。時刻t21以降すなわちバースト信号SS2の圧電素子4への印加がカットされると、受信信号RS2は時間の経過とともに徐々に減衰していくが、
図3(a)、受信信号RS1に比べると、その減衰する時間は早い。これは、圧電素子4は時刻t20〜t21の間、共振周波数fcから外れたバースト信号SS2で振動していたために、時刻t20〜t21の間で蓄えられた振動エネルギーはさほど強くないからである。このためバースト信号SS2がカットされた後は圧電素子4の共振周波数fcで振動する残響信号が生じるが、その継続時間は
図3(a)に示した時刻t13よりは早い時刻t23で収斂する。
【0063】
増幅信号DS2は増幅回路6から出力され、信号処理回路7に入力される。増幅信号DS2は時刻t20〜t21の間では、バースト信号SS2の超音波信号成分が、時刻t21〜t23の間では残響信号がそれぞれ増幅回路6で増幅された超音波信号である。前に述べた受信信号RS2の振幅は時刻t21以降、時間の経過とともに徐々に減少するものであったが、増幅信号DS2は時刻の経過に関わらず、すなわち、時刻t21〜t23の間、一定の振幅値に維持される。これは増幅回路6の電圧増幅度が十分に大きく、時刻t23近傍で生じる比較的微小な受信信号RS2を増幅回路6のダイナミックレンジ一杯まで増幅できているからである。これによって、本発明では残響信号が実質的に0になる時間までを適確に計測でき、適確に検定することができる。増幅信号DS2に基づき、バースト信号SS2の圧電素子4への印加が完了した時刻t21からあらかじめ決められた時刻t22までの間、
図2に示した比較器7hで残響信号の残響周波数が検定される。
【0064】
図3(c)は、バースト波周波数f3が圧電素子4が有する固有の共振周波数fcから高いほうにずれた時を示す。ここで、共振周波数fcは例えば58KHzであるとする。また、バースト波周波数f3は、共振周波数fcよりも大きな例えば65KHzとしている。
【0065】
バースト信号SS3は、時刻t30〜t31の間、圧電素子4に印加される。この時、バースト信号SS3の超音波信号成分は受信部5にも伝達される。
【0066】
受信信号RS3は受信部5の出力である受信端T2aから取り出される。受信信号RS3は、時刻t30〜t31の間、すなわちバースト信号SS3が圧電素子4に印加されている間は、バースト波周波数f3、すなわち周波数が65KHzの信号成分を示している。時刻t31以降すなわちバースト信号SS3の圧電素子4への印加がカットされると、受信信号RS3は時間の経過とともに徐々に減衰していくが、
図3(a)に比べると、その減衰する時間は早い。これは、圧電素子4は時刻t30〜t31の間、共振周波数fcから外れたバースト信号SS3で振動していたために、時刻t30〜t31の間で蓄えられた振動エネルギーはさほど強くないからである。このためバースト信号SS3がカットされた後は圧電素子4の共振周波数fcを有する残響信号が生じるが、その継続時間は
図3(a)に示した時刻t13よりは早い時刻t33で収斂する。
【0067】
増幅信号DS3は増幅回路6から出力され、信号処理回路7に入力される。増幅信号DS3は時刻t30〜t31の間では、バースト信号SS3の信号成分が、時刻t31〜t33の間では残響信号がそれぞれ増幅回路6で増幅された超音波信号である。前に述べた受信信号RS3の振幅は時刻t31以降、時間の経過とともに徐々に減少するものであったが、増幅信号DS3は時刻の経過に関わらず、すなわち、時刻t31〜t33の間、一定の振幅値に維持される。これは増幅回路の電圧増幅度が十分に大きく、時刻t33近傍で生じる比較的微小な受信信号RS3を増幅回路6のダイナミックレンジ一杯まで増幅できているからである。これによって、本発明では残響信号が実質的に0になる時間までを適確に計測でき、適確に検定することができる。増幅信号DS3に基づき、バースト信号SS3の圧電素子4への印加が完了した時刻t31からあらかじめ決められた時刻t32までの間、
図2に示した比較器7hで残響信号の残響周波数が検定される
【0068】
図4は第1実施形態のタイムチャートである。
図4(a)は被検定信号DS1を示す。被検定信号DS1は、
図2、増幅回路6の出力から取り出される増幅信号DS1〜DS3でもある。被検定信号DS1の周波数はバースト波周波数と同じである。本書においてバースト波周波数はたとえば、20KHz〜80KHzである。本発明の一実施形態では被検定信号DS1の周期の数は符号Nで示されている。周期N=1,2,3及び4は、それぞれ1周期、2周期、3周期及び4周期を表す。本発明ではたとえば4周期すなわちN=4に設定している。
【0069】
図4(b)は高速OSC7kから出力されるパルス信号OSCを示す。パルス信号OSCの周波数はたとえば10MHzであり、バースト波周波数の20KHz〜80KHzに比べると、その周波数は2桁以上大きい。高速OSC7kの「高速」なる意味合いはこのような関係から付している。パルス信号OSCの周波数を大きくすればするほど残響周波数の検定精度は高められるが、一方では高い周波数を発振する発振器が必要となり、耐ノイズ特性やコストの面ではやや不利となる。本発明の一実施形態では被検定信号DS1の4周期でのパルス信号OSCのカウント数が残響周波数、残響時間として検定される。
【0070】
図4(c)は検定開始信号STARTを示す。前述の通り、バースト信号発信回路1Aがバースト信号SS1の送信完了後、カウンタ7f及びロジック制御部7iにバースト送信完了信号STARTを送信する。検定部73は、バースト送信完了信号STARTから検定を開始する。本実施例では、時刻t10〜t10aのハイレベルHの間で検定開始信号STARTを送信する。
【0071】
図4(d)は検定終了信号STOP1を示す。検定終了信号STOP1は比較器7hからロジック制御部7iに入力される。例えば検定区間設定レジスタの設定区間は4周期分であり、時刻t10から被検定信号DS1の4周期分(N=4)を比較器7hで数えて、4周期が到達する時刻t11〜t11aまでの間、検定終了信号STOP1を発生する。
【0072】
図4(e)はロジック制御部7iの検定区間信号DPを示す。検定区間信号DPは
図4(c)に示した検定開始信号START及び
図4(d)に示した検定終了信号STOPから一義的に決められる信号である。すなわち、これらの信号がハイレベルHからローレベルLに遷移する時刻t10a及びt11aを検知する。しかしこれらの信号がローレベルLからハイレベルHに遷移する時刻t10,t11を検知するようにしても良い。
【0073】
図4(f)は、残響周波数検定部7jで実行される検定結果を模式的に示す。残響周波数検定部7jにはロジック制御部7iから検定区間信号DPが、高速OSC7kからパルス信OSCがそれぞれ印加される。被検定信号DS1の所定の区間でカウントされたパルス信号OSCの数が検定結果として残響周波数検定部7jに記憶される。すなわち、
図4(e)に示した検定区間信号DPのハイレベルHの区間でのパルス信号OSCのカウント数が検定結果として残響周波数検定結果保持レジスタ7Lに記憶される。
【0074】
高速OSC7で生成されるパルス信号OSCの周波数をfosc、検定区間の数をp、検定区間でのカウント値をqとすると、残響周波数fRTは、fRT=fosc/(q/p)となる。ここで、fosc=10MHz、p=4、q=689とすると、残響周波数fRT=10000/(689/4)≒58KHzとなる。
【0075】
図5は
図2〜
図4に示した本発明にかかる第1実施形態において、バースト波周波数を調整するフローチャートである。ステップ501〜504はバースト信号発信回路1Aが実行する
【0076】
ステップ501は、バースト信号発信回路1A、バースト波数レジスタ11でバースト信号S0のバースト波数を設定する。バースト波数は超音波センサの計測精度及び消費電力に大きく影響するパラメータである。本実施例ではバースト波数は例えば4波としている。
【0077】
ステップ502は、バースト信号発信回路1A、デフォルトバースト波(バースト信号)周波数設定レジスタ12でバースト信号S0の最初のバースト波のデフォルト周波数を設定する。残響周波数を測定、検定するために、最初に発信するバースト信号の周波数波を決定しなければならない。デフォルトバースト周波数は例えば、超音波センサ4が外的変化を受けていない、いわゆる理想的な環境状態で設定される。
【0078】
ステップ503は、バースト送信開始レジスタ13でバースト信号発信回路1がバースト信号S0を発信するタイミングを設定する。発信タイミングはバースト送信開始レジスタ13から出力される送信開始パルスの例えば立上がりエッジを検知して実行する。この時、バースト波数設定レジスタ11及びデフォルトバースト周波数設定レジスタ12で設定したバースト信号S0が発信端T1aを介してドライバ2に向けて伝達される。
【0079】
ステップ504は、例えば、バースト送信開始レジスタ13に設定された送信開始パルスの立下がりエッジで、バースト信号S0の発信を完了する。
【0080】
ステップ505は、例えば、バースト送信開始レジスタ13で設定された送信開始パルスのたとえば立下がりエッジを検知して、バースト信号発信回路1からバースト送信完了信号STARTを送信する。なお、前記送信開始パルスを送信完了信号STARTとして信号処理回路7に送信しても良い。そこで、ロジック制御部7i及びカウンタ7fがSTART信号を受け、検定部73の回路動作が開始する。
【0081】
ステップ506は信号処理回路7Bに用意された比較器7hで実行される。比較器7hで、検定区間設定レジスタ7gの設定値(N)とカウンタ7fの累積値(n)を比較する。ここで設定値(N)は
図4(a)に示した被検定信号DS1の周期の数に相当し、本発明ではN=4としている。設定値(N)は
図4(a)に示した被検定信号DS1の周期の数の最大数に対応している。また、累積値(n)は被検定信号DS1の周期が何回繰り返されているかを表す数値であり、本発明の一実施形態ではn=1,2,3と続き、n=4で設定値N=4と等しくなる。したがって、ステップ506では被検定信号DS1の周期の数をカウントし、設定値(N)の数に到達するまで被検定信号DS1の印加は続き、“YES”で示した処理が継続される。
【0082】
ステップ507は、比較器7hで実行される。比較器7hは、検定累積値(n)が前記設定値(N)に比べて小さくない場合(NO)、すなわち、カウンタ7fの累積値(n)がレジスタ7fの設定値(N)に達した時(n=N)、検定完了の信号を出力する。例えば、比較器7hは累積値(n)が設定値(N)より小さい時、ローレベルLの信号を出力し、累積値が(n)が設定値(N)と同じである時、ハイレベルHの信号を出力する。その時、比較器7hのハイレベルHが検定区間終了信号STOP1としてロジック制御部7iに入力される。カウンタ7fの累積値(n)がレジスタ7fの設定値(N)に達した時点でロジック制御部7iの回路動作はストップする。
【0083】
ステップ508は、残響周波数検定部7jで実行される。残響周波数を検定する。例えば、前記設定された検定区間すなわち設定値N=4の区間でのパルス信号OSCの数をカウントし、カウンタされた数値から、残響周波数を検定する。
【0084】
ステップ509は、残響周波数検定結果保持レジスタ7Lで実行され前記検定した残響周波数を保持する。
【0085】
ステップ510は、残響周波数検定部7jで実行され、残響周波数検定結果保持レジスタ7Lに保存した残響周波数の値をバースト信号発信回路1及びフィルタ部72にフィードバックする.前記検定した残響周波数は、バースト信号発信回路1Aの発信最適周波数としてバースト波周波数の設定に反映される。さらに、検定された残響周波数に基づき、残響周波数帯域から外れた周波数を持つ信号を大きく減衰させるようにフィルタ72の選択度(Q:Quality factor)、帯域幅が調整される。なお、ステップ509を省略して、直接残響周波数検定部7jで検定した残響周波数信号の情報をバースト信号発信回路1及びフィルタ部72にフィードバックするようにしても良い。
【0086】
上記第1実施形態にかかる超音波センサ1000Aは、外的変化を受けた場合であっても圧電素子の固有振動周波数の変動に応じてバースト波周波数を自動的に補正するので、外的変化に伴って生じる送受信感度の低下を抑制することができる。また、受信信号を濾過するフィルタ部の電気的特性も調整するようにしたので超音波センサの感知精度を高め併せて耐ノイズ特性をさらに向上することができ、超音波センサの感応範囲をさらに拡大することができる。
【0087】
(第2実施形態)
図6は本発明にかかる第2実施形態を示す回路構成図である。本構成の超音波センサ1000Bは、
図2に示した第1の実施形態の超音波センサ1000Aとは次の3点で大きく相違する。第1にバースト信号発信回路1Bは、デフォルトバースト周波数設定レジスタ12の代わりに、初回バースト周波数設定レジスタ14、バースト周波数可変幅設定レジスタ15及びバースト周波数可変回数設定レジスタ16を有していることである。第2に信号処理回路7B内の検定部73Bがフィルタ部72の出力と接続していることである。第3に検定部73B内に比較器7m、比較値レジスタ7n、残響時間計測カウンタ7o、メモリ7p、演算処理部7qを有していることである。
【0088】
図7は
図6に示した第2実施形態の回路動作を説明するタイムチャートであり、とりわけ、残響時間の計測について説明するチャートである。以下、
図7についてバースト信号発信回路1B及び検定部73Bの回路動作も含めて説明する。
【0089】
図7には説明の便宜上(a)〜(c)の3つのタイムチャートを示している。残響時間の計測回数は、実際は(a),(b)及び(c)の3回だけではなく十数回、あるいは数十回実行するのが一般的である。なお、計測回数の設定は
図6、バースト信号発信回路1Bに設けたバースト波周波数設定レジスタで実行される。なお、
図7(a)〜(c)は必ずしも計測の順序を示したものではない。
【0090】
図7(a)はバースト波周波数f4を圧電素子4が有する固有の共振周波数fcと同じ値に選んだ時を示す。ここで、共振周波数fcは例えば58KHzであるとする。したがって、バースト波周波数f4も58KHzとなる。
【0091】
図7(a)において、バースト信号SS4は時刻t40〜t41の間、圧電素子4に印加される。時刻t41以降、バースト信号SS4の圧電素子4への印加はカットされる。
【0092】
受信信号RS4は受信部5の出力である受信端T2bから取り出される超音波信号である。受信信号RS4は時刻t40〜t41の間すなわち、バースト信号SS4が圧電素子4に印加されている間は、バースト波周波数f4と同じ超音波信号成分を有している。時刻t41以降すなわちバースト信号SS4の圧電素子4への印加がカットされると、受信信号RSの振幅は時間の経過とともに徐々に減少する。しかし、バースト波周波数f4は圧電素子4の共振周波数f0と同じに選ばれているので、時刻t41以降に発生する超音波信号、すなわち残響信号は比較的長い時刻t42まで継続される。
【0093】
増幅信号DS4は増幅回路6から出力され、信号処理回路7Bに入力される。増幅信号DS4は時刻t40〜t41の間では、バースト信号SS4の超音波信号成分が、時刻t41〜t42の間では残響信号がそれぞれ増幅回路6で増幅される超音波信号である。前に述べた受信信号RS4の振幅は時刻t41以降、時間の経過とともに徐々に減少するものであったが、増幅信号DS4は時刻の経過に関わらず、すなわち、時刻t40〜t42の間、一定の振幅を維持する。これは増幅回路6の電圧増幅度が十分に大きく、時刻t42近傍で発生している比較的微小な受信信号DS4を増幅回路6のダイナミックレンジ一杯まで増幅できているからである。これによって、本発明では残響信号が実質的に0になるまでの残響時間を適確に検知し、適確に検定することができる。増幅信号DS4はA/D変換部71を介して、積分部7cに入力される。
【0094】
積分信号IS4は積分部7cから出力される。積分信号IS4の電圧振幅値は、時刻t42でピークになり、その後は徐々に減少していく。ここで、積分信号IS4が上昇する過程で比較値REFに到達した時刻をt41とし、下降する過程で比較値REFと一致した時刻をt43とすると、時刻t41で残響時間の検定を開始し、時刻t43で残響時間の検定を停止する。なお、時刻t43に到達すると比較器7mは停止信号STOP2を残響時間計測カウンタ7oに送信する。なお、比較値REFは比較値レジスタ7nに与えられている。
【0095】
残響時間CS4は積分信号IS4と比較値REFとを比較し残響時間計測カウンタ7oで計測される時間である。残響時間CS4は残響信号の残響時間そのものではないが、本来の残響時間に比例した値となる。バースト信号発信回路1Bがバースト信号SS4をドライバ2に伝達し、その伝達が完了するとバースト送信完了信号STARTを信号処理回路7Bの検定部73Bに送信する。この時、残響時間計測カウンタ7oはバースト送信完了信号STARTを時刻t41で受け取り残響時間CS4の計測を開始する。この計測は比較器7mから停止信号STOP2が印加される時刻t43まで継続する。時刻t41〜t43までの時間は高速OSC7kから入力されるパルス信号OSCの数をカウントすることによって計測される。この時の時間幅を残響時間T4として示す。残響時間時間T4はバースト信号SS4のバースと波周波数f4とともにメモリ7pに保存される。
【0096】
残響時間の計測回数は
図6、バースト信号発信回路1Bに設けたバースト波周波数可変回数設定レジスタ16によって決定される。バースト波周波数可変回数設定レジスタ16に設定される回数は、バースト波数設定レジスタ11、初回バースト波周波数設定レジスタ14、及びバースト波周波数可変設定レジスタ15で設定される各設定値及び要求される残響時間の計測精度などに基づき決定される。
【0097】
図7(b)は、バースト波周波数f5が圧電素子4が有する固有の共振周波数fcから低いほうにずれた時を示す。ここで、共振周波数fcは例えば58KHzであるとする。また、バースト波周波数f5は、共振周波数fcよりも小さな例えば50KHzであるとする。
【0098】
バースト信号SS5は、時刻t50〜t51の間、圧電素子4に印加される。時刻t51以降、バースト信号SS5の圧電素子4への印加はカットされる。
【0099】
受信信号RS5は受信部5の出力である受信端T2bから取り出される超音波信号である。受信信号RS5は、時刻t50〜t51の間、すなわちバースト信号SS5が圧電素子4に印加されている間は、バースト波周波数f5、すなわち周波数がほぼ50KHzの超音波信号成分を有している。時刻t51以降すなわちバースト信号SS5の圧電素子4への印加がカットされると、受信信号RS5は時間の経過とともに徐々に減衰していくが、
図7(a)に比べると、その減衰する時間は早い。これは、圧電素子4は時刻t50〜t51の間、共振周波数fcから外れたバースト信号SS5で振動していたために、時刻t50〜t51の間で蓄えられた振動エネルギーはさほど強くないからである。このためバースト信号SS5がカットされた後は圧電素子4の共振周波数fcで振動する残響信号が生じるが、その継続時間は
図7(a)に示した時刻t42よりは早い時刻t52で収斂する。
【0100】
増幅信号DS5は増幅回路6から出力され、信号処理回路7Bに入力される。増幅信号DS5は時刻t50〜t51の間では、バースト信号SS5の超音波信号成分が、時刻t51〜t52の間では残響信号がそれぞれ増幅回路6で増幅される超音波信号である。増幅信号DS5が発生が完了する時刻t52は、
図7(a)に示した時刻t42よりは早く到来する。前に述べた受信信号RS5の振幅は時刻t51以降、時間の経過とともに徐々に減少するが、増幅信号DS5は時刻の経過に関わらず、すなわち、時刻t50〜t52の間、一定の振幅値に維持される。これは増幅回路6の電圧増幅度が十分に大きく、時刻t52近傍で生じる比較的微小な受信信号RS5を増幅回路6のダイナミックレンジ一杯まで増幅できているからである。これによって、本発明では残響信号が実質的に0になる時間までを適確に計測し、適確に検定することができる。増幅信号DS5はA/D変換部71を介して積分部7cに伝達される。
【0101】
積分信号IS5は積分部7cから出力される。積分信号IS5の電圧振幅値は、時刻t52でピークになり、その後は徐々に減少していく。ここで、積分信号IS5が上昇する過程で比較値REFに到達した時刻をt51とし、下降する過程で比較値REFと一致した時刻をt53とすると、時刻t51で残響時間の検定を開始し、時刻t53で残響時間の検定を停止する。なお、時刻t53に到達すると比較器7mは停止信号STOP5を残響時間計測カウンタ7oに送信する。なお、比較値REFは比較値レジスタ7nに与えられている。
【0102】
残響時間CS5は積分信号IS5と比較値REFとを比較し残響時間計測カウンタ7oで計測される時間である。残響時間CS5は残響信号の残響時間そのものではないが、本来の残響時間に比例した値となる。バースト信号発信回路1Bがバースト信号SS5をドライバ2に伝達し、その伝達が完了するとバースト送信完了信号STARTを信号処理回路7Bの検定部73Bに送信する。この時、残響時間計測カウンタ7oはバースト送信完了信号STARTを時刻T51で受け取り同時に残響時間CS5の計測を開始する。この計測は比較器7mから停止信号STOP5が印加される時刻T53まで継続する。時刻t51〜t53までの時間は高速OSC7kから入力されるパルス信号OSCの数をカウントすることによって計測される。この時の時間幅を残響時間T5として示す。残響時間時間T5はバースト信号SS5のバースと波周波数f5とともにメモリ7pに保存される。
【0103】
図7(c)は、バースト波周波数f6が圧電素子4が有する固有の共振周波数fcから高いほうにずれた時を示す。ここで、共振周波数fcは例えば58KHzであるとする。また、バースト波周波数f5は、共振周波数fcよりも大きな例えば65KHzであるとする。
【0104】
バースト信号SS6は、時刻t60〜t61の間、圧電素子4に印加される。時刻t61以降、バースト信号SS6の圧電素子4への印加はカットされる。
【0105】
受信信号RS6は受信部5の出力である受信端T2bから取り出される超音波信号である。受信信号RS6は、時刻t60〜t61の間、すなわちバースト信号SS6が圧電素子4に印加されている間は、バースト波周波数f6、すなわち周波数がほぼ65KHzの超音波信号成分を有している。時刻t61以降すなわちバースト信号SS6の圧電素子4への印加がカットされると、受信信号RS6は時間の経過とともに徐々に減衰していくが、
図7(a)に比べると、その減衰する時間は早いが
図7(b)に示した受信信号RS5よりは減衰時間が遅いことが分かる。これは、圧電素子4は時刻t60〜t61の間、共振周波数fcから外れたバースト信号SS6で振動していたために、時刻t60〜t61の間で蓄えられた振動エネルギーはさほど強くないからであり、受信信号RS5よりは少し強いからである。このためバースト信号SS5がカットされた後は圧電素子4の共振周波数fcで振動する残響信号が生じるが、その継続時間は
図7(a)に示した時刻t42よりは早いが時刻t52よりは遅い時刻t62で収斂する。
【0106】
増幅信号DS6は増幅回路6から出力され、信号処理回路7Bに入力される。増幅信号DS6は時刻t60〜t61の間では、バースト信号SS6の超音波信号成分が、時刻t61〜t62の間では残響信号がそれぞれ増幅回路6で増幅される超音波信号である。増幅信号DS6の発生が完了する時刻t62は
図7(a)に示した時刻t42よりは早く到来するが
図7(b)に示した時刻t52よりは遅い。前に述べた受信信号RS6の振幅は時刻t61以降、時間の経過とともに徐々に減少するが、増幅信号DS6は時刻の経過に関わらず、すなわち、時刻t60〜t62の間、一定の振幅値に維持される。これは増幅回路6の電圧増幅度が十分に大きく、時刻t62近傍で生じる比較的微小な受信信号RS6を増幅回路6のダイナミックレンジ一杯まで増幅できているからである。これによって、本発明では残響信号が実質的に0になる時間までを適確に計測し、適確に検定することができる。増幅信号DS5はA/D変換部71を介して積分部7cに伝達される。
【0107】
積分信号IS6は積分部7cから出力される。積分信号IS6の電圧振幅値は、時刻t62でピークになり、その後は徐々に減少していく。ここで、積分信号IS6が上昇する過程で比較値REFに到達した時刻をt61とし、下降する過程で比較値REFと一致した時刻をt63とすると、時刻t61で残響時間の検定を開始し、時刻t63で残響時間の検定を停止する。なお、時刻t63に到達すると比較器7mは停止信号STOP6を残響時間計測カウンタ7oに送信する。なお、比較値REFは比較値レジスタ7nに与えられている。
【0108】
残響時間CS6は積分信号IS6と比較値REFとを比較し残響時間計測カウンタ7oで計測される時間である。残響時間CS6は残響信号の残響時間そのものではないが、本来の残響時間に比例した値となる。バースト信号発信回路1Bがバースト信号SS6をドライバ2に伝達し、その伝達が完了するとバースト送信完了信号STARTを信号処理回路7Bの検定部73Bに送信する。この時、残響時間計測カウンタ7oはバースト送信完了信号STARTを時刻T61で受け取り同時に残響時間CS6の計測を開始する。この計測は比較器7mから停止信号STOP5が印加される時刻T63まで継続する。時刻t61〜t63までの時間は高速OSC7kから入力されるパルス信号OSCの数をカウントすることによって計測される。この時の時間幅を残響時間T5として示す。残響時間時間T6はバースト信号SS6のバースと波周波数f6とともにメモリ7pに保存される。残響時間T6は、
図7(b)に示した残響時間T5よりは長い(大きい)が
図7(a)に示した残響時間T4よりは短い(小さい)。
【0109】
図7は十数回または数十回実行される残響周波数の検定の中の3点について説明したものであった。しかし、実際の残響時間の検定にあたっては、
図6、バースト信号発信回路1Bに設けたバースト波数設定レジスタ11にはたとえばバースト波数N=4が設定され、初回バースト波周波数設定レジスタ14には40KHzが設定され、バースト波周波数可変幅設定レジスタ15には1KHzが設定され、バースト波周波数可変回数設定レジスタ16に41回として設定しておくならば、バースト波周波数が40KHz〜80KHzの範囲を1KHzステップで残響周波数の検定が実行されることになる。なお、バースト波周波数の可変ステップは1KHzではなく、たとえば、2KHzや5KHzに設定することももちろん可能である。こうした場合は残響周波数の検定回数は少なくなるが、その分検定精度は低下する。
【0110】
いずれにしても本発明にかかるバースト波周波数の検定は、バースト波周波数を数段階に亘って調整し、残響信号または残響信号を加工したすなわち残響信号の積分信号が継続される時間を計測し、その計測時間の中で最も長い時間である時のバースト波周波数にバースト信号発信回路1Bで生成されるバースト信号の周波数を調整するものである。
【0111】
図8は第2実施形態の回路動作を説明するフローチャートである。
図8について
図5〜
図7を参照して説明する。ステップ801は
図5に示したステップ501と実質的に同じであり、バースト信号S0のバースト波数を設定する。バースト波数は例えば4波に設定される。バースト波数は超音波センサの計測精度及び消費電力に関わってくる。
【0112】
ステップ802は、初回バースト周波数設定レジスタ14でバースト波周波数を設定する。これは検定する周波数の範囲の一端を決めるパラメータである。例えば、本実施例の初回バースト波周波数Aの初回値は40KHzに設定される。こうした場合、バースト波周波数40KHzがバースト波周波数検定のスタートとなる。
【0113】
ステップ803は、バースト波周波数可変幅設定レジスタ15で変化幅を設定する。これは、検定する周波数の分解能を決めるパラメータである。例えば、本実施例のバースト周波数可変幅Bは1KHzに設定されると、1KHzステップでバースト周波数が調整される。したがって、初回に検定されるバースト波周波数Aが40KHであるとすると、次に検定されるバースト波周波数Aは41KHzに設定される。
【0114】
ステップ804は、バースト波周波数を変化させる回数Mを可変回数設定レジスタ16で設定する。本実施例のバースト周波数可変回数Mは例えばM=40に設定した場合は、検定されるバースト波周波数の回数は41回であり、検定される最後のバースト波周波数は80KHzということになる。
【0115】
ステップ801〜ステップ804は、バースト信号発信回路1Bで実行される初期設定あたる。
【0116】
ステップ805は、バースト送信回路1B内にバースト送信回数を計測しているカウンタ(図示せず)をリセットする。ステップ805は、ステップ801〜ステップ804までの初期設定が完了すると、前記送信回数カウンタのカウント値mが0になるようにリセットする。
【0117】
ステップ806は、前記送信回数カウント値mとステップ804で設定したバースト波周波数可変回数Mと比較する。送信回数カウント値mがバースト波可変回数Mに達していない時、すなわち“NO”に該当する時は次のステップ807〜813までが繰り返して実行される。送信回数カウント値mがバースト波可変回数Mに達した時、すなわち“YES”に該当する時はステップ814〜816に移行する。
【0118】
ステップ807は、バースト波送信開始レジスタ13から図示しない送信開始パルスを発信する。前記送信開始パルスの例えば立上がりエッジでバースト信号SS4〜SS6をドライバ回路2に送信する。
【0119】
ステップ808は、バースト送信開始レジスタ13から出力された送信開始パルスの例えば立下がりエッジで、バースト信号SS4〜SS6の送信を完了する。
【0120】
ステップ809は、圧電素子4から出力される残響信号の残響時間を計測(検定)するスタートにあたる。ステップ807,808でバースト信号SS4〜SS6が送信端T1bを介して圧電素子4に印加される。ステップ809は、圧電素子4へのバースト信号SS4〜SS6の印加が完了した時点でバースト送信開始レジスタ13で設定された送信開始パルスの例えば立下がりエッジを検知し、バースト信号発信回路1Bは信号処理回路7Bの残響時間計測カウンタ7oに対してバースト送信完了信号STARTを発信する。当然のことだが、直接前記送信開始パルスの立下がりを送信完了信号STARTとして信号処理回路7Bに送信しても良い。そこで、残響時間計測カウンタ7oがSTART信号を受け、残響時間の計測が開始される。
【0121】
ステップ810は、比較器7mで積分部7cの積分信号IS4〜IS6と比較値レジスタ7nの出力信号REFを比較する。ここで、信号IS4〜IS6が比較値REFより高い時、比較器7mは例えばハイレベルHを出力し、積分信号IS4〜IS6が比較値REFより低い時、比較器7mは例えばローレベルLを出力する。比較器7mの出力が例えばハイレベルHからローレベルLに変化するタイミングが残響時間計測カウンタ7oに伝えられる。
【0122】
ステップ811は、比較器7mの出力が例えばハイレベルHからローレベルLへ変化する時の立下がりエッジを検知し停止信号STOP2として残響時間計測カウンタの計測を停止させる。
【0123】
ステップ812は、残響時間を保持する。ステップ809の残響時間計測開始から、ステップ811の残響時間計測停止までの残響時間を高速OSC7Kで計測し、残響時間信号CSを発信する。残響時間信号CS、及びバースト信号発信回路1Bから、残響信号に相当するバースト発信周波数信号がメモリ7pに保持される。メモリ7pには検定結果がたとえば「残響時間結果1回目」、「残響時間結果2回目」、「残響時間結果3回目」という具合に最終回までの回数分の検定結果が保持される。
【0124】
ステップ813は、バースト波周波数の大きさを変更し、かつ、その変更回数をカウントする。バースト波周波数の変更はステップ806で設定された条件を満足するまで実行される。
【0125】
ステップ813では、送信回数カウントをアップした後、送信回数カウント値mを初期に設定した周波数可変回数値Mと比較する。送信回路カウント値mが設定した周波数可変回数値Nを超えていない場合は、バースト信号SS4〜SS6の周波数を変更して残響時間の検定を行う。送信回路カウント値nが設定した周波数変化回数値Mに到達するとすなわち、YES”に該当する時はステップ814〜816に移行する。
【0126】
ステップ814は、演算処理部7qで実行され、設定した周波数別のバースト波を全部発信した後、残響時間結果の演算処理を行う。前記演算処理とは、演算処理部7qがメモリ7p内の複数個残響時間(たとえば41個)を比較し、一番長い残響時間に対応する発信周波数を選出し(例えば58KHz)、それを超音波センサ4の検定した残響周波数とみなすことである。
【0127】
ステップ815は、残響周波数検定結果保持レジスタ7Lが前記検定した残響周波数を保存する。
【0128】
ステップ816は、前記検定した残響周波数をバースト送信回路1A及びフィルタ71にフィードバックする。これによって、バースト送信回路1Bの送信最適周波数として送信するバーストの周波数を設定する。さらに、フィルタ72は検定した残響周波数以外の周波数を持つ信号を低減することができる。
【0129】
第2実施形の発信周波数の設定範囲及び分解能が前記の記述に限らず、任意に変えられる。例えば検知範囲を大きくしたい場合、粗調整及び微調整を合わせて検出しでも良い。具体的には、粗調整の初回バースト周波数A=40KHz、バースト周波数可変幅B=10KHz、可変回数M=4にする。すなわち、40KHz、50KHz、60KHz、70KHz、80KHz、それぞれの残響時間を検定する。
【0130】
図9は本発明の第2実施形態(
図6)にかかり、圧電素子の周囲に外的変化が無い場合とある場合とを比較したバースト波周波数に対する残響周波数の遷移図である。横軸にバースト波周波数fbを縦軸に残響信号の残響時間RTをプロットしている、なお、本書で「外的変化無し」とは圧電素子4が実装されたセンサ部になんら付着物が存在していない場合である。また、「外的変化あり」とはセンサ部に意図的に水分を付着させた場合を示している。符号Xで示した「外的変化無し」の場合は、圧電素子4の共振周波数fcと同じ周波数に選ばれたバースト波周波数fbが58KHzでの残響時間RTが一番長くなり、残響時間RTは1.55ms程度であった。一方圧電素子4の共振周波数fcよりも小さなバースト波周波数を50KHzに選んでみると、残響時間RTは1.22msとなり、約21%短くなるという結果が得られた。また、バースト周波数fbを圧電素子4の共振周波数fcよりも大きなバースト波周波数65KHzでの残響時間RTは1.27msとなり、約18%短くなるという結果になった。
【0131】
符号Yで示した「外的変化あり」の場合は、残響時間RTのピーク値はバースト周波数58KHzから低い方向にシフトし、バースト波周波数fbが55KHzでの残響時間RTが一番長くなり、その時の残響時間RTは「外的変化無し」の場合とほぼ同じであり、残響時間RTは1.55ms程度であった。また、「外的変化あり」の場合の残響時間RTのバースト波周波数に対する特性は「外的変化無し」とほぼ同じ特性になることが分かった。いずれにしても超音波センサ、とりわけ圧電素子が置かれる環境の変化によって、圧電素子の共振周波数は変化することが判明した。本発明では残響時間RTを測定し、その測定時間に基づきバースト信号回路で生成されるバースト信号の周波数、すなわち、バースト波周波数を調整することができるので、超音波センサの使用環境に応じたバースト信号を生成し、発信することができるので、S/N比の低下を抑制できる超音波センサを提供することができる。
【0132】
なお、
図9に示した残響時間RTの測定精度は、横軸のバースト波周波数fbの設定値すなわち、バースト波数、初回バースト波周波数、バースト波周波数の可変幅及びバースト周波数可変回数の設定によって変わってくる。これらの設定は
図8に示したステップ801〜ステップ804で設定されることになる。