(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる。なお、同様のものを指す際にはハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0029】
なお、図において、大きさ、膜(層)の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。
【0030】
また、電圧は、ある電位と、基準の電位(例えば接地電位(GND)またはソース電位)との電位差のことを示す場合が多い。よって、電圧を電位と言い換えることが可能である。なお、電位とは、相対的なものである。よって、接地電位と記載されていても、必ずしも、0Vを意味しない場合もある。
【0031】
なお、第1、第2として付される序数詞は便宜的に用いるものであり、工程順または積層順を示すものではない。よって、第1、第2、第3などの語句は、要素、部材、領域、層、区域などの数を限定するものではない。さらに、例えば、「第1の」を「第2の」又は「第3の」などと置き換えることが可能である。
【0032】
なお、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分低い場合は「絶縁体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「絶縁体」は境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。従って、本明細書に記載の「半導体」は、「絶縁体」と言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「絶縁体」は、「半導体」と言い換えることができる場合がある。
【0033】
また、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分高い場合は「導電体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「導電体」は境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。従って、本明細書に記載の「半導体」は、「導電体」と言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「導電体」は、「半導体」と言い換えることができる場合がある。
【0034】
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が0.1原子%未満の元素は不純物である。不純物が含まれることにより、例えば、半導体にDOS(Density of State)が形成されることや、キャリア移動度が低下することや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第14族元素、第15族元素、主成分以外の遷移金属などがあり、特に、例えば、水素(水にも含まれる)、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素などがある。酸化物半導体の場合、例えば水素などの不純物の混入によって酸素欠損を形成する場合がある。また、半導体がシリコンである場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、第15族元素などがある。
【0035】
なお、以下に示す実施の形態では、特に断りがない場合、絶縁体として、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを一種以上含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。または、絶縁体として、樹脂を用いてもよい。例えば、ポリイミド、ポリアミド、アクリル、シリコーンなどを含む樹脂を用いればよい。樹脂を用いることで、絶縁体の上面を平坦化処理しなくてもよい場合がある。また、樹脂は短い時間で厚い膜を成膜することができるため、生産性を高めることができる。絶縁体としては、好ましくは酸化アルミニウム、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。
【0036】
また、以下に示す実施の形態では、特に断りがない場合、導電体として、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウム、スズ、タンタルまたはタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、合金膜や化合物膜であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅およびチタンを含む導電体、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム、スズおよび酸素を含む導電体、チタンおよび窒素を含む導電体などを用いてもよい。
【0037】
なお、本明細書において、Aが濃度Bの領域を有する、と記載する場合、例えば、Aのある領域における深さ方向全体が濃度Bである場合、Aのある領域における深さ方向の平均値が濃度Bである場合、Aのある領域における深さ方向の中央値が濃度Bである場合、Aのある領域における深さ方向の最大値が濃度Bである場合、Aのある領域における深さ方向の最小値が濃度Bである場合、Aのある領域における深さ方向の収束値が濃度Bである場合、測定上Aそのものの確からしい値の得られる領域が濃度Bである場合などを含む。
【0038】
また、本明細書において、Aが大きさB、長さB、厚さB、幅Bまたは距離Bの領域を有する、と記載する場合、例えば、Aのある領域における全体が大きさB、長さB、厚さB、幅Bまたは距離Bである場合、Aのある領域における平均値が大きさB、長さB、厚さB、幅Bまたは距離Bである場合、Aのある領域における中央値が大きさB、長さB、厚さB、幅Bまたは距離Bである場合、Aのある領域における最大値が大きさB、長さB、厚さB、幅Bまたは距離Bである場合、Aのある領域における最小値が大きさB、長さB、厚さB、幅Bまたは距離Bである場合、Aのある領域における収束値が大きさB、長さB、厚さB、幅Bまたは距離Bである場合、測定上Aそのものの確からしい値の得られる領域が大きさB、長さB、厚さB、幅Bまたは距離Bである場合などを含む。
【0039】
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
【0040】
チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
【0041】
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネル幅(以下、実効的なチャネル幅と呼ぶ。)と、トランジスタの上面図において示されるチャネル幅(以下、見かけ上のチャネル幅と呼ぶ。)と、が異なる場合がある。例えば、立体的な構造を有するトランジスタでは、実効的なチャネル幅が、トランジスタの上面図において示される見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつ立体的な構造を有するトランジスタでは、半導体の上面に形成されるチャネル領域の割合に対して、半導体の側面に形成されるチャネル領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、上面図において示される見かけ上のチャネル幅よりも、実際にチャネルの形成される実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
【0042】
ところで、立体的な構造を有するトランジスタにおいては、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。従って、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
【0043】
なお、トランジスタの「ソース」や「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書においては、「ソース」や「ドレイン」という用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
【0044】
なお、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、85°以上95°以下の場合も含まれる。
【0045】
なお、図面における各回路ブロックの配置は、説明のため位置関係を特定するものであり、異なる回路ブロックで別々の機能を実現するよう図面で示していても、実際の回路や領域では、同じ回路ブロックで別々の機能を実現しうるように設けられている場合もある。また図面における各回路ブロックの機能は、説明のため機能を特定するものであり、一つの回路ブロックとして示していても、実際の回路や領域では、一つの回路ブロックで行う処理を複数の回路ブロックで行うよう設けられている場合もある。
【0046】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の回路について、その基本構成の一例を示す。
【0047】
図1に、回路101の一例を示す。回路101は、例えば、情報を記憶することができる機能を有している。つまり、回路101は、2値(1ビット)以上の情報を記憶することができる機能を有している。したがって、回路101は、メモリセルとしての機能を有しているとも言える。例えば、複数の回路101をマトリクス状に設けることによって、記憶装置を構成することができる。
【0048】
次に、回路101の回路構成の一例について述べる。回路101は、例えば、トランジスタ107を有している。回路101は、例えば、回路110を有している。なお、回路110は、回路101に複数設けられていてもよいし、1つだけ設けられていてもよい。
図1では、一例として、回路110が、4個設けられている場合の例を示している。したがって、回路101は、回路110A、回路110B、回路110C、回路110D、を有している。回路110は、端子112を有している。そして、端子112は、トランジスタ107のゲートと接続されている。したがって、回路110Aは、端子112Aを有し、回路110Bは、端子112Bを有し、回路110Cは、端子112Cを有し、回路110Dは、端子112Dを有している。そして、端子112A、端子112B、端子112C、および、端子112Dは、トランジスタ107のゲートと接続されている。トランジスタ107のソースまたはドレインの一方は、配線103と接続されている。トランジスタ107のソースまたはドレインの他方は、配線105と接続されている。
【0049】
次に、回路101の機能の一例について述べる。回路110、例えば、回路110A、回路110B、回路110C、回路110Dは、情報を記憶することができる機能を有している。一例としては、回路110、例えば、回路110A、回路110B、回路110C、回路110Dは、2値(1ビット)の情報、または、2値(1ビット)よりも大きな情報を記憶する機能を有している。したがって、回路101が、回路110を複数個有している場合には、回路101は、4値(2ビット)以上の情報を記憶することができる。つまり、回路101は、多値のメモリセルとして、機能させることが出来る。なお、回路101が、回路110を1個有している場合には、回路110が記憶する情報量に応じて、回路101は、1ビットのメモリセルとして機能する場合と、多値のメモリセルとして機能する場合と、がある。
【0050】
回路110(例えば、回路110A、回路110B、回路110C、回路110D)は、端子112(例えば、端子112A、端子112B、端子112C、端子112D)を介して、トランジスタ107に情報を出力することが出来る。そして、トランジスタ107は、配線103、および、配線105を介して、情報を出力することができる。つまり、配線103、および、配線105を介して、回路101から、情報を読み出すことができる。つまり、配線103、または/および、配線105は、ビット線としての機能を有している。
【0051】
そして、回路110が複数設けられている場合、例えば、回路110A、回路110B、回路110C、回路110Dが設けられている場合には、それぞれから、順次、トランジスタ107に情報を出力することが出来る。なお、回路110A、回路110B、回路110C、回路110Dのそれぞれが、2値(1ビット)よりも大きな情報を記憶している場合には、ある一つの回路110(例えば回路110A)から、2値(1ビット)よりも大きな情報の全てをトランジスタ107に出力したあとで、次の回路110(例えば回路110B)から、2値(1ビット)よりも大きな情報の全てをトランジスタ107に出力してもよい。または、ある一つの回路110(例えば回路110A)から、2値(1ビット)よりも大きな情報のうちの一部の情報をトランジスタ107に出力したあとで、次の回路110(例えば回路110B)から、2値(1ビット)よりも大きな情報のうちの一部の情報をトランジスタ107に出力してもよい。そして、その後で、再度、ある一つの回路110(例えば回路110A)から、2値(1ビット)よりも大きな情報のうちの別の一部の情報をトランジスタ107に出力し、その後、次の回路110(例えば回路110B)から、2値(1ビット)よりも大きな情報のうちの別の一部の情報をトランジスタ107に出力してもよい。または、複数の回路101にわたって、記憶されている情報の一部ずつを読み出してもよい。
【0052】
ここで、トランジスタ107は、
図1では、Pチャネル型の場合を示しているが、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、
図2には、Nチャネル型のトランジスタ107Aの場合の例を示す。トランジスタ107は、例えば、スイッチとして機能することができる。よって、トランジスタの極性は、適宜変更することができる。極性に合わせて、それぞれの端子の電圧を調整すればよい。なお、トランジスタ107以外のトランジスタにおいても、適宜、極性を変更して構成することができる。
【0053】
なお、トランジスタ107のゲートには、端子112(例えば、端子112A、端子112B、端子112C、端子112D)が接続されているが、さらに別の素子などが接続されていてもよい。さらに別の素子をトランジスタ107のゲートに接続することにより、例えば、トランジスタ107のゲートの電位を制御することが出来る。
【0054】
例えば、トランジスタ107のゲートに、容量素子116を接続した場合の例を、
図3、
図4に示す。容量素子116の一方の端子は、トランジスタ107のゲートに接続されている。容量素子116の他方の端子は、配線118に接続されている。
【0055】
配線118は、容量素子116を介して、トランジスタ107のゲートの電位を制御することができる機能を有している。つまり、配線118は、容量素子116の容量結合を利用して、トランジスタ107のゲートの電位を制御することができる機能を有している。例えば、トランジスタ107がPチャネル型の場合、配線118の電位を上げることによって、トランジスタ107のゲートの電位を上げて、その結果、トランジスタ107をオフ状態にすることができる。または、配線118の電位を下げることによって、トランジスタ107をオン状態にすることができる。なお、トランジスタ107AがNチャネル型の場合、配線118の電位の大小関係は逆になる。そのため、トランジスタ107がオンになったことを検知することによって、回路101が記憶している情報を出力することができる。したがって、配線118は、回路101を選択することができる機能を有している。つまり、配線118は、ワード線としての機能を有している。配線118の電位を制御することにより、配線118と接続された複数の回路101、例えば、横一列に並んだ、1行分の回路101を選択することができる。
【0056】
なお、容量素子116は、
図1、
図2だけでなく、他の図面においても、同様に設けることが出来る。
【0057】
次に、トランジスタ107のゲートに接続される素子の例として、トランジスタ120の場合を
図5に示す。なお、トランジスタ107、および、トランジスタ120は、Pチャネル型だけでなく、様々な極性をとることができる。トランジスタ120がNチャネル型のトランジスタ120Aである場合の例を、
図6に示す。仮に、トランジスタ107、および、トランジスタ120をどちらも、Pチャネル型にすれば、単結晶シリコンを用いる場合、素子分離を行う必要がなくなる。そのため、レイアウト面積を小さくすることが出来る。
【0058】
トランジスタ120のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ107のゲートに接続されている。そのため、トランジスタ120のゲートに接続された配線122の電位を制御することにより、トランジスタ120のソースまたはドレインの他方の電位を、トランジスタ107のゲートに供給することができる。つまり、トランジスタ120は、スイッチとして機能することができる。なお、
図5では、トランジスタ120のソースまたはドレインの他方は、配線124と接続されている。ただし、本発明の一態様は、これに限定されない。トランジスタ120のソースまたはドレインの他方は、配線124以外の配線、例えば、配線105、配線103、配線122などに接続されていてもよい。または、トランジスタ120のソースまたはドレインの他方は、回路110(例えば、回路110A、回路110B、回路110C、回路110D)が有する配線と接続されていてもよい。それらの場合の例を、
図7、
図8に示す。つまり、トランジスタ120がオン状態となるときに、トランジスタ107のゲートを、所定の電位に制御できるようになっていればよい。
【0059】
ここで、トランジスタ120は、トランジスタ107のゲートの電位を制御することができる機能を有している。例えば、トランジスタ120は、トランジスタ107のゲートの電位を、所定の電位、例えば、トランジスタ107がオフ状態となるような電位にすることができる。または、回路110(例えば、回路110A、回路110B、回路110C、回路110D)から、トランジスタ107のゲートに、信号が出力される場合、その前に、トランジスタ107のゲートの電位を所定の電位に初期化することができる。つまり、トランジスタ120は、トランジスタ107のゲート電位を初期化することができる機能や、回路101を非選択状態にすることができる機能を有している。
【0060】
なお、トランジスタ120は、
図1、
図2だけでなく、他の図面においても、同様に設けることが出来る。例えば、
図3、
図4などにも設けることができる。その場合の例を、
図9、
図10、
図11に示す。
【0061】
なお、回路110(例えば、回路110A、回路110B、回路110C、回路110D)が、2値(1ビット)よりも大きな情報を記憶する場合、信号処理のしやすさを考慮すると、一例としては、2のべき乗の値を取ること、つまり、ビット数で数えられる数値にすることが望ましい。ただし、本発明の一態様は、これに限定されず、任意の大きさの値を取ってもよい。
【0062】
具体的には、4値(2ビット)の情報、16値(4ビット)の情報、64値(6ビット)の情報、256値(8ビット)、或いは1024値(10ビット)の情報を記憶する(或いは保持する)ことができる。例えば、回路101に回路110が2個(回路110Aと回路110B)設けられている場合、回路110Aに2状態、回路110Bに2状態、をそれぞれ保持することで、回路101は、4値(2値×2値、2ビットに対応)の情報を記憶することができる。例えば、回路110Aに4状態、回路110Bに4状態、をそれぞれ保持することで、回路101は、16値(4値×4値、4ビットに対応)の情報を記憶することができる。例えば、回路110Aに8状態、回路110Bに8状態、をそれぞれ保持することで、回路101は、64値(8値×8値、6ビットに対応)の情報を記憶することができる。例えば、回路110Aに16状態、回路110Bに16状態、をそれぞれ保持することで、回路101は、256値(16値×16値、8ビットに対応)の情報を記憶することができる。例えば、回路110Aに32状態、回路110Bに32状態、をそれぞれ保持することで、回路101は、1024値(32値×32値、10ビットに対応)の情報を記憶することができる。このように、回路101は、回路110の個数の積で与えられる値の情報を記憶することができるため、記憶密度を向上することができる。
【0063】
なお、記憶できる情報数は、これらの値に限られず、様々な状態を記憶する(或いは保持する)ことが可能である。例えば、回路101に回路110が4個(回路110A、回路110B、回路110C、回路110D)設けられている場合、回路110Aにk1個の状態、回路110Bにk2個の状態、回路110Cにk3個の状態、回路110Dにk4個の状態、をそれぞれ保持することで、k1×k2×k3×k4値の情報を記憶することができる。さらに、その一部の状態をパリティチェックやエラー訂正に用いることもできる。その場合は、回路101が記憶することができる情報量としては、k1×k2×k3×k4値より少ない値となる。
【0064】
なお、回路101が有するトランジスタや、回路110(例えば、回路110A、回路110B、回路110C、回路110D)が有するトランジスタは、例えば、スイッチとして機能させることが出来る。
【0065】
例えば、本明細書等において、スイッチとしては、様々な形態のものを用いることができる。スイッチは、導通状態(オン状態)、または、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有している。または、スイッチは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有し、例えば、経路1に電流を流すことが出来るようにするか、経路2に電流を流すことができるようにするかを選択して切り替える機能を有している。スイッチの一例としては、電気的スイッチ又は機械的なスイッチなどを用いることができる。つまり、スイッチは、電流を制御できるものであればよく、特定のものに限定されない。スイッチの一例としては、トランジスタ(例えば、バイポーラトランジスタ、MOSトランジスタなど)、ダイオード(例えば、PNダイオード、PINダイオード、ショットキーダイオード、MIM(Metal Insulator Metal)ダイオード、MIS(Metal Insulator Semiconductor)ダイオード、ダイオード接続のトランジスタなど)、又はこれらを組み合わせた論理回路などがある。機械的なスイッチの一例としては、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)のように、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)技術を用いたスイッチがある。そのスイッチは、機械的に動かすことが可能な電極を有し、その電極が動くことによって、導通と非導通とを制御して動作する。
【0066】
なお、スイッチとしてトランジスタを用いる場合、そのトランジスタは単なるスイッチとして動作するため、トランジスタの極性(導電型)は特に限定されない。ただし、オフ電流を抑えたい場合、オフ電流が少ない方の極性のトランジスタを用いることが望ましい。オフ電流が少ないトランジスタの一例としては、LDD領域を有するトランジスタ、又はマルチゲート構造を有するトランジスタなどがある。
【0067】
なお、スイッチとしてトランジスタを用いる場合、スイッチとして動作させるトランジスタのソースの電位が、低電位側電源(Vss、GND、0Vなど)の電位に近い値で動作する場合は、スイッチとしてNチャネル型トランジスタを用いることが望ましい。反対に、ソースの電位が、高電位側電源(Vddなど)の電位に近い値で動作する場合は、スイッチとしてPチャネル型トランジスタを用いることが望ましい。なぜなら、Nチャネル型トランジスタではソースが低電位側電源の電位に近い値で動作するとき、Pチャネル型トランジスタではソースが高電位側電源の電位に近い値で動作するとき、ゲートとソースとの間の電圧の絶対値を大きくできるからである。そのため、スイッチとして、より正確な動作を行うことができるからである。または、トランジスタがソースフォロワ動作をしてしまうことが少ないため、出力電圧の大きさが小さくなってしまうことが少ないからである。
【0068】
なお、スイッチとして、Nチャネル型トランジスタとPチャネル型トランジスタとの両方を用いて、CMOS型のスイッチを用いてもよい。CMOS型のスイッチにすると、Pチャネル型トランジスタとNチャネル型トランジスタとのどちらか一方が導通すれば、電流が流れるため、スイッチとして機能しやすくなる。よって、スイッチへの入力信号の電圧が高い場合でも、低い場合でも、適切に電圧を出力させることができる。または、スイッチをオン又はオフさせるための信号の電圧振幅値を小さくすることが出来るので、消費電力を小さくすることができる。
【0069】
なお、スイッチとしてトランジスタを用いる場合、スイッチは、入力端子(ソースまたはドレインの一方)と、出力端子(ソースまたはドレインの他方)と、導通を制御する端子(ゲート)とを有している場合がある。一方、スイッチとしてダイオードを用いる場合、スイッチは、導通を制御する端子を有していない場合がある。したがって、トランジスタよりもダイオードをスイッチとして用いた方が、端子を制御するための配線を少なくすることが出来る。
【0070】
例えば、本明細書等において、トランジスタとして、様々な構造のトランジスタを用いることが出来る。よって、用いるトランジスタの種類に限定はない。トランジスタの一例としては、単結晶シリコンを有するトランジスタ、または、非晶質シリコン、多結晶シリコン、微結晶(マイクロクリスタル、ナノクリスタル、セミアモルファスとも言う)シリコンなどに代表される非単結晶半導体膜を有するトランジスタなどを用いることが出来る。または、それらの半導体を薄膜化した薄膜トランジスタ(TFT)などを用いることが出来る。TFTを用いる場合、様々なメリットがある。例えば、単結晶シリコンの場合よりも低い温度で製造できるため、製造コストの削減、又は製造装置の大型化を図ることができる。製造装置を大きくできるため、大型基板上に製造できる。そのため、同時に多くの個数の表示装置を製造できるため、低コストで製造できる。または、製造温度が低いため、耐熱性の弱い基板を用いることができる。そのため、透光性を有する基板上にトランジスタを製造できる。または、透光性を有する基板上のトランジスタを用いて表示素子での光の透過を制御することが出来る。または、トランジスタの膜厚が薄いため、トランジスタを形成する膜の一部は、光を透過させることが出来る。そのため、開口率が向上させることができる。
【0071】
なお、多結晶シリコンを製造するときに、触媒(ニッケルなど)を用いることにより、結晶性をさらに向上させ、電気特性のよいトランジスタを製造することが可能となる。その結果、ゲートドライバ回路(走査線駆動回路)、ソースドライバ回路(信号線駆動回路)、及び信号処理回路(信号生成回路、ガンマ補正回路、DA変換回路など)を基板上に一体形成することが出来る。
【0072】
なお、微結晶シリコンを製造するときに、触媒(ニッケルなど)を用いることにより、結晶性をさらに向上させ、電気特性のよいトランジスタを製造することが可能となる。このとき、レーザー照射を行うことなく、熱処理を加えるだけで、結晶性を向上させることも可能である。その結果、ソースドライバ回路の一部(アナログスイッチなど)及びゲートドライバ回路(走査線駆動回路)を基板上に一体形成することが出来る。なお、結晶化のためにレーザー照射を行わない場合は、シリコンの結晶性のムラを抑えることができる。そのため、画質の向上した画像を表示することが出来る。ただし、触媒(ニッケルなど)を用いずに、多結晶シリコン又は微結晶シリコンを製造することは可能である。
【0073】
なお、シリコンの結晶性を、多結晶又は微結晶などへと向上させることは、パネル全体で行うことが望ましいが、それに限定されない。パネルの一部の領域のみにおいて、シリコンの結晶性を向上させてもよい。選択的に結晶性を向上させることは、レーザー光を選択的に照射することなどにより可能である。例えば、画素以外の領域である周辺回路領域にのみ、ゲートドライバ回路及びソースドライバ回路などの領域にのみ、又はソースドライバ回路の一部(例えば、アナログスイッチ)の領域にのみ、にレーザー光を照射してもよい。その結果、回路を高速に動作させる必要がある領域にのみ、シリコンの結晶化を向上させることができる。画素領域は、高速に動作させる必要性が低いため、結晶性が向上されなくても、問題なく画素回路を動作させることが出来る。こうすることによって、結晶性を向上させる領域が少なくて済むため、製造工程も短くすることが出来る。そのため、スループットが向上し、製造コストを低減させることが出来る。または、必要とされる製造装置の数も少ない数で製造できるため、製造コストを低減させることが出来る。
【0074】
なお、トランジスタの一例としては、化合物半導体(例えば、SiGe、GaAsなど)、又は酸化物半導体(例えば、Zn−O、In−Ga−Zn−O、In−Zn−O、In−Sn−O(ITO)、Sn−O、Ti−O、Al−Zn−Sn−O(AZTO)、In−Sn−Zn−Oなど)などを有するトランジスタを用いることが出来る。または、これらの化合物半導体、又は、これらの酸化物半導体を薄膜化した薄膜トランジスタなどを用いることが出来る。これらにより、製造温度を低くできるので、例えば、室温でトランジスタを製造することが可能となる。その結果、耐熱性の低い基板、例えばプラスチック基板又はフィルム基板などに直接トランジスタを形成することが出来る。なお、これらの化合物半導体又は酸化物半導体を、トランジスタのチャネル部分に用いるだけでなく、それ以外の用途で用いることも出来る。例えば、これらの化合物半導体又は酸化物半導体を配線、抵抗素子、画素電極、又は透光性を有する電極などとして用いることができる。それらをトランジスタと同時に成膜又は形成することが可能なため、コストを低減できる。
【0075】
なお、トランジスタの一例としては、インクジェット法又は印刷法を用いて形成したトランジスタなどを用いることが出来る。これらにより、室温で製造、低真空度で製造、又は大型基板上に製造することができる。よって、マスク(レチクル)を用いなくても製造することが可能となるため、トランジスタのレイアウトを容易に変更することが出来る。または、レジストを用いずに製造することが可能なので、材料費が安くなり、工程数を削減できる。または、必要な部分にのみ膜を付けることが可能なので、全面に成膜した後でエッチングする、という製法よりも、材料が無駄にならず、低コストにできる。
【0076】
なお、トランジスタの一例としては、有機半導体やカーボンナノチューブを有するトランジスタ等を用いることができる。これらにより、曲げることが可能な基板上にトランジスタを形成することが出来る。有機半導体やカーボンナノチューブを有するトランジスタを用いた装置は、衝撃に強くすることができる。
【0077】
なお、トランジスタとしては、他にも様々な構造のトランジスタを用いることができる。例えば、トランジスタとして、MOS型トランジスタ、接合型トランジスタ、バイポーラトランジスタなどを用いることが出来る。トランジスタとしてMOS型トランジスタを用いることにより、トランジスタのサイズを小さくすることが出来る。よって、複数のトランジスタを搭載することができる。トランジスタとしてバイポーラトランジスタを用いることにより、大きな電流を流すことが出来る。よって、高速に回路を動作させることができる。なお、MOS型トランジスタとバイポーラトランジスタとを1つの基板に混在させて形成してもよい。これにより、低消費電力、小型化、高速動作などを実現することが出来る。
【0078】
例えば、本明細書等において、トランジスタの一例としては、ゲート電極が2個以上のマルチゲート構造のトランジスタを用いることができる。マルチゲート構造にすると、チャネル領域が直列に接続されるため、複数のトランジスタが直列に接続された構造となる。よって、マルチゲート構造により、オフ電流の低減、トランジスタの耐圧向上(信頼性の向上)を図ることができる。または、マルチゲート構造により、飽和領域で動作する時に、ドレインとソースとの間の電圧が変化しても、ドレインとソースとの間の電流があまり変化せず、傾きがフラットである電圧・電流特性を得ることができる。傾きがフラットである電圧・電流特性を利用すると、理想的な電流源回路、又は非常に高い抵抗値をもつ能動負荷を実現することが出来る。その結果、特性のよい差動回路又はカレントミラー回路などを実現することが出来る。
【0079】
なお、トランジスタの一例としては、チャネルの上下にゲート電極が配置されている構造のトランジスタを適用することができる。チャネルの上下にゲート電極が配置される構造にすることにより、複数のトランジスタが並列に接続されたような回路構成となる。よって、チャネル領域が増えるため、電流値の増加を図ることができる。または、チャネルの上下にゲート電極が配置されている構造にすることにより、空乏層ができやすくなるため、S値の改善を図ることができる。
【0080】
なお、トランジスタの一例としては、チャネル領域の上にゲート電極が配置されている構造、チャネル領域の下にゲート電極が配置されている構造、正スタガ構造、逆スタガ構造、チャネル領域を複数の領域に分けた構造、チャネル領域を並列に接続した構造、又はチャネル領域が直列に接続する構造などのトランジスタを用いることができる。または、トランジスタとして、プレーナ型、FIN型(フィン型)、TRI−GATE型(トライゲート型)、トップゲート型、ボトムゲート型、ダブルゲート型(チャネルの上下にゲートが配置されている)、など、様々な構成をとることが出来る。
【0081】
なお、トランジスタの一例としては、チャネル領域(もしくはその一部)にソース電極やドレイン電極が重なっている構造のトランジスタを用いることができる。チャネル領域(もしくはその一部)にソース電極やドレイン電極が重なる構造にすることによって、チャネル領域の一部に電荷が溜まることにより動作が不安定になることを防ぐことができる。
【0082】
なお、トランジスタの一例としては、LDD領域を設けた構造を適用できる。LDD領域を設けることにより、オフ電流の低減、又はトランジスタの耐圧向上(信頼性の向上)を図ることができる。または、LDD領域を設けることにより、飽和領域で動作する時に、ドレインとソースとの間の電圧が変化しても、ドレイン電流があまり変化せず、傾きがフラットな電圧・電流特性を得ることができる。
【0083】
例えば、本明細書等において、様々な基板を用いて、トランジスタを形成することが出来る。基板の種類は、特定のものに限定されることはない。その基板の一例としては、半導体基板(例えば単結晶基板又はシリコン基板)、SOI基板、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板、金属基板、ステンレス・スチル基板、ステンレス・スチル・ホイルを有する基板、タングステン基板、タングステン・ホイルを有する基板、可撓性基板、貼り合わせフィルム、繊維状の材料を含む紙、又は基材フィルムなどがある。ガラス基板の一例としては、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、又はソーダライムガラスなどがある。可撓性基板、貼り合わせフィルム、基材フィルムなどの一例としては、以下のものがあげられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)に代表されるプラスチックがある。または、一例としては、アクリル等の合成樹脂などがある。または、一例としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、又はポリ塩化ビニルなどがある。または、一例としては、ポリアミド、ポリイミド、アラミド、エポキシ、無機蒸着フィルム、又は紙類などがある。特に、半導体基板、単結晶基板、又はSOI基板などを用いてトランジスタを製造することによって、特性、サイズ、又は形状などのばらつきが少なく、電流能力が高く、サイズの小さいトランジスタを製造することができる。このようなトランジスタによって回路を構成すると、回路の低消費電力化、又は回路の高集積化を図ることができる。
【0084】
また、基板として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、トランジスタを形成してもよい。または、基板とトランジスタの間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上に半導体装置を一部あるいは全部完成させた後、基板より分離し、他の基板に転載するために用いることができる。その際、トランジスタは耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも転載できる。なお、上述の剥離層には、例えば、タングステン膜と酸化シリコン膜との無機膜の積層構造の構成や、基板上にポリイミド等の有機樹脂膜が形成された構成等を用いることができる。
【0085】
つまり、ある基板を用いてトランジスタを形成し、その後、別の基板にトランジスタを転置し、別の基板上にトランジスタを配置してもよい。トランジスタが転置される基板の一例としては、上述したトランジスタを形成することが可能な基板に加え、紙基板、セロファン基板、アラミドフィルム基板、ポリイミドフィルム基板、石材基板、木材基板、布基板(天然繊維(絹、綿、麻)、合成繊維(ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル)若しくは再生繊維(アセテート、キュプラ、レーヨン、再生ポリエステル)などを含む)、皮革基板、又はゴム基板などがある。これらの基板を用いることにより、特性のよいトランジスタの形成、消費電力の小さいトランジスタの形成、壊れにくい装置の製造、耐熱性の付与、軽量化、又は薄型化を図ることができる。
【0086】
なお、所定の機能を実現させるために必要な回路の全てを、同一の基板(例えば、ガラス基板、プラスチック基板、単結晶基板、又はSOI基板など)に形成することが可能である。こうして、部品点数の削減によるコストの低減、又は回路部品との接続点数の低減による信頼性の向上を図ることができる。
【0087】
なお、所定の機能を実現させるために必要な回路の全てを同じ基板に形成しないことが可能である。つまり、所定の機能を実現させるために必要な回路の一部は、ある基板に形成され、所定の機能を実現させるために必要な回路の別の一部は、別の基板に形成されていることが可能である。例えば、所定の機能を実現させるために必要な回路の一部は、ガラス基板に形成され、所定の機能を実現させるために必要な回路の別の一部は、単結晶基板(又はSOI基板)に形成されることが可能である。そして、所定の機能を実現させるために必要な回路の別の一部が形成される単結晶基板(ICチップともいう)を、COG(Chip On Glass)によって、ガラス基板に接続して、ガラス基板にそのICチップを配置することが可能である。または、ICチップを、TAB(Tape Automated Bonding)、COF(Chip On Film)、SMT(Surface Mount Technology)、又はプリント基板などを用いてガラス基板と接続することが可能である。このように、回路の一部が画素部と同じ基板に形成されていることにより、部品点数の削減によるコストの低減、又は回路部品との接続点数の低減による信頼性の向上を図ることができる。特に、駆動電圧が大きい部分の回路、又は駆動周波数が高い部分の回路などは、消費電力が大きくなってしまう場合が多い。そこで、このような回路を、画素部とは別の基板(例えば単結晶基板)に形成して、ICチップを構成する。このICチップを用いることによって、消費電力の増加を防ぐことができる。
【0088】
例えば、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域またはソース電極)の間にチャネル領域を有しており、ドレインとチャネル領域とソースとを介して電流を流すことが出来るものである。ここで、ソースとドレインとは、トランジスタの構造又は動作条件等によって変わるため、いずれがソースまたはドレインであるかを限定することが困難である。そこで、ソースとして機能する部分、及びドレインとして機能する部分を、ソース又はドレインと呼ばない場合がある。その場合、一例として、ソースとドレインとの一方を、第1端子、第1電極、又は第1領域と表記し、ソースとドレインとの他方を、第2端子、第2電極、又は第2領域と表記する場合がある。
【0089】
なお、トランジスタは、ベースとエミッタとコレクタとを含む少なくとも三つの端子を有する素子であってもよい。この場合も同様に、一例として、エミッタとコレクタとの一方を、第1端子、第1電極、又は第1領域と表記し、エミッタとコレクタとの他方を、第2端子、第2電極、又は第2領域と表記する場合がある。なお、トランジスタとしてバイポーラトランジスタが用いられる場合、ゲートという表記をベースと言い換えることが可能である。
【0090】
例えば、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載する場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とを含むものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定されず、図または文章に示された接続関係以外のものも含むものとする。
【0091】
ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
【0092】
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、スイッチは、オンオフが制御される機能を有している。つまり、スイッチは、導通状態(オン状態)、または、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有している。または、スイッチは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有している。
【0093】
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可能とする回路(例えば、論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号変換回路(DA変換回路、AD変換回路、ガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(電源回路(昇圧回路、降圧回路など)、信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など)、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(信号振幅または電流量などを大きく出来る回路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生成回路、記憶回路、制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Xから出力された信号がYへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。
【0094】
なお、XとYとが電気的に接続されている、と明示的に記載する場合は、XとYとが電気的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟んで接続されている場合)と、XとYとが機能的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の回路を挟んで機能的に接続されている場合)と、XとYとが直接接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟まずに接続されている場合)とを含むものとする。つまり、電気的に接続されている、と明示的に記載する場合は、単に、接続されている、とのみ明示的に記載されている場合と同じであるとする。
【0095】
なお、例えば、トランジスタのソース(又は第1の端子など)が、Z1を介して(又は介さず)、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)が、Z2を介して(又は介さず)、Yと電気的に接続されている場合や、トランジスタのソース(又は第1の端子など)が、Z1の一部と直接的に接続され、Z1の別の一部がXと直接的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)が、Z2の一部と直接的に接続され、Z2の別の一部がYと直接的に接続されている場合では、以下のように表現することが出来る。
【0096】
例えば、「XとYとトランジスタのソース(又は第1の端子など)とドレイン(又は第2の端子など)とは、互いに電気的に接続されており、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yの順序で電気的に接続されている。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(又は第1の端子など)は、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)はYと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yは、この順序で電気的に接続されている」と表現することができる。または、「Xは、トランジスタのソース(又は第1の端子など)とドレイン(又は第2の端子など)とを介して、Yと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yは、この接続順序で設けられている」と表現することができる。これらの例と同様な表現方法を用いて、回路構成における接続の順序について規定することにより、トランジスタのソース(又は第1の端子など)と、ドレイン(又は第2の端子など)とを、区別して、技術的範囲を決定することができる。なお、これらの表現方法は、一例であり、これらの表現方法に限定されない。ここで、X、Y、Z1、Z2は、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
【0097】
なお、回路図上は独立している構成要素同士が電気的に接続しているように図示されている場合であっても、1つの構成要素が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合もある。例えば配線の一部が電極としても機能する場合は、一の導電膜が、配線の機能、及び電極の機能の両方の構成要素の機能を併せ持っている。したがって、本明細書における電気的に接続とは、このような、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合も、その範疇に含める。
【0098】
本実施の形態は、基本原理の一例について述べたものである。したがって、本実施の形態の一部または全部について、他の実施の形態の一部また全部と、自由に組み合わせ、適用し、置き換えて実施することができる。
【0099】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1における回路101の駆動方法の一例について述べる。
【0100】
まず、
図1の場合において、駆動方法の一例を述べる。なお、他の図面に示す回路101においても、同様に駆動させることができる。
【0101】
図12(A)に、一例として、回路101に、回路110が2個(回路110Aと回路110B)設けられている場合について示す。なお、回路110の個数が変わったとしても、同様に動作させることが出来る。
【0102】
まず、
図12(A)において、配線103と配線105とを利用して、信号を回路101から外へ出力する場合、つまり、回路101の情報を読み出す場合の駆動方法の例を、
図12(B)、
図12(C)、
図12(D)、
図12(E)、
図12(F)、
図13(A)、
図13(B)など、に示す。なお、図面において、トランジスタの上に×印が記載されているものは、一例としては、トランジスタがオフ状態になっている場合を示している。また、図面において、矢印は、一例としては、電流が流れているところや、電位が変化したところなどを示している。
【0103】
まず、初期化を行う。
図12(B)に示すように、回路110Aから、トランジスタ107がオフするような電位を出力して、トランジスタ107のゲートの電位を初期化する。トランジスタ107がPチャネル型の場合には、例えば、高電位側電源電圧(VDD)を出力する。トランジスタ107がNチャネル型の場合には、大小関係が逆の電位となる。
【0104】
なお、初期化において、トランジスタ107が、チャネル領域において単結晶シリコンを有するトランジスタである場合には、例えば、高電位側電源電圧(VDD)は、5V以下、好ましくは、3V以下、より好ましくは1.5V以下である。このような値にすることにより、トランジスタ107に、不具合が生じにくくすることができる。ただし、本発明の一態様は、これに限定されない。
【0105】
なお、別の回路、例えば、回路110Bから、トランジスタ107のゲートの電位が初期化するような電位を出力してもよい。または、別の回路や別の素子を利用して、トランジスタ107のゲートの電位を初期化してもよい。
【0106】
なお、既に、トランジスタ107がオフしている場合には、必ずしも、初期化を実行しなくてもよい場合がある。
【0107】
次に、回路110Aからトランジスタ107のゲートへの信号の出力動作と、回路101からの信号の出力動作(回路101に記憶されている信号の読み取り)を行う。例えば、
図12(C)、及び、
図12(D)に示すように、回路110Aから、トランジスタ107のゲートへ信号を出力する。
図12(C)と
図12(D)とは、それぞれ、異なる信号を出力した場合の例を示している。回路110Aから出力される信号は、回路110Aに記憶されている情報に応じた信号となっている。よって、
図12(D)では、トランジスタ107のゲートへ信号を出力しないことによって、回路110Aに記憶されている情報を、トランジスタ107へ出力しているということができる。
【0108】
そして、回路110Aからトランジスタ107のゲートへ出力される信号が、例えば、L信号(例えば、低電位側電源電圧(VSS)や、接地電圧(VGND))の場合には、
図12(C)に示すように、トランジスタ107がオンする。その結果、配線105と配線103との間が、導通状態となる。例えば、配線105に、高電位側電源電圧(VDD)が供給されているとすると、配線105から、トランジスタ107を介して、配線103に、電流が供給され、配線103の電位が上昇する。配線103には、信号を読み取ることができる機能を有する回路、例えば、センスアンプ回路などが接続されており、そのセンスアンプ回路などにおいて、配線103の電位、すなわち、回路101からの出力信号を読み取ることが出来る。
【0109】
一方、回路110Aから、H信号(例えば、高電位側電源電圧(VDD))が出力された場合、または、回路110Aから、信号が出力されなかった場合には、
図12(D)に示すように、トランジスタ107がオフのままになる。その結果、配線105と配線103との間が、非導通状態のままとなる。その結果として、センスアンプ回路などにおいて、配線103の電位、すなわち、回路101からの信号を読み取る。
【0110】
以上のような動作により、回路110Aに保存されていた情報を読み取ることが出来る。つまり、回路101から、そこで保存されていた情報を出力することが出来る。
【0111】
なお、回路110Aが、2値(1ビット)よりも大きな値を記憶していた場合、つまり、多値を保存していた場合には、その値に応じて、何度も、
図12(B)と、
図12(C)との間、または、
図12(B)と、
図12(D)との間、の動作を繰り返し実行して、どの場合に、トランジスタ107がオンになり、どの場合にトランジスタ107がオフになるかを読み取って、多値のデータを回路101から出力させてもよい。
【0112】
または、回路110Aに、ランプ波形の信号や、のこぎり型の信号などを供給することによって、ある状態まではトランジスタ107がオフのままであり、所定の状態になったときに、トランジスタ107がオンになることを読み取って、多値のデータを回路101から出力させてもよい。つまり、回路110Aに供給されるランプ波形の信号や、のこぎり型の信号の電位などから、どの値が回路110Aに記録されているかを読み取ることにより、多値のデータを読み取ることが出来る。なお、この場合にも、
図12(B)のように、ランプ波形の信号や、のこぎり型の信号などを変化させている途中の段階で、トランジスタ107のゲート電位を初期化してもよい。
【0113】
以上により、回路110Aについての動作が終了する。次に、回路110Aと同様な動作を、別の回路110(例えば、回路110B)において、実行すればよい。念のために、簡単に以下に説明する。
【0114】
まず、
図12(E)に示すように、トランジスタ107を初期化する。
図12(E)は、
図12(B)の場合に対応している。
【0115】
次に、
図12(F)または
図13(A)に示すように、トランジスタ107のゲートに回路110Bから信号を出力する。
図12(F)は、
図12(C)に対応し、
図13(A)は、
図12(D)に対応する。そして、回路101から、信号を出力する。これにより、回路110Bの場合の動作が終了する。
【0116】
さらに、回路110が設けられている場合にも、同様な動作を繰り返す。
【0117】
最後に、トランジスタ107のゲートの電位を初期化することによって、トランジスタ107がオフ状態となるようにする。初期化方法は、
図12(B)や
図12(E)の場合と同様に実行すればよい。
【0118】
なお、トランジスタ107のゲートの電位を初期化する場合、
図13(B)に示すように、複数の回路110から、実行してもよい。
【0119】
以上の動作により、回路101からの信号の読み取りが終了する。そして、
図13(C)に示すように、トランジスタ107は、オフ状態を維持することとなる。この動作により、回路101が非選択状態になったということができる。次に、もし、別の行に回路101が設けられている場合には、そこにおいても同様に、信号の読み取りなどが実行される。
【0120】
なお、
図12、
図13では、
図1の場合の駆動方法の一例を示したが、他の図面においても、同様に動作させることが出来る。
【0121】
例えば、
図5や
図6の場合の駆動方法の一例を、
図14(A)の構成を用いて、以下に示す。なお、
図14(A)では、トランジスタ120やトランジスタ120Aとして、スイッチ120Bを用いて示している。スイッチ120Bのオンとオフとは、例えば、配線122の電位を制御することによって、制御することができる。
【0122】
まず、
図14(A)は、
図12(A)に対して、スイッチ120Bが追加された構成に相当する。そのため、トランジスタ107のゲートの電位を初期化する場合、
図14(A)では、スイッチ120Bの導通状態を制御することによって、実行することが出来る。それ以外の動作は、概ね、
図12(A)の場合と同様である。
【0123】
そこで、対応関係を示すと、
図14(B)は、
図12(B)に対応する。
図14(B)では、スイッチ120Bを介して、トランジスタ107のゲートの電位を初期化することが出来る。したがって、トランジスタ107がPチャネル型の場合には、配線124は、例えば、高電位側電源電圧(VDD)を供給することができる。トランジスタ107がNチャネル型の場合には、大小関係が逆の電位となる。
【0125】
なお、
図5や
図6の場合だけでなく、
図7や
図8などでも、同様に駆動させることが出来る。
【0126】
次に、別の例として、例えば、
図3の場合の駆動方法の一例を、
図16(A)の構成を用いて、以下に示す。
【0127】
まず、初期化を行う。
図16(B)に示すように、回路110Aから、トランジスタ107がオフするような電位を出力して、トランジスタ107のゲートの電位を初期化する。トランジスタ107がPチャネル型の場合には、例えば、高電位側電源電圧(VDD)を出力する。トランジスタ107がNチャネル型の場合には、大小関係が逆の電位となる。
【0128】
このとき、配線118は、トランジスタ107がオフするような電位になるようにしておく。つまり、回路101が、非選択状態となるような電位としておく。トランジスタ107がPチャネル型の場合には、例えば、配線118の電位は、高電位側電源電圧(VDD)にする。トランジスタ107がNチャネル型の場合には、大小関係が逆の電位となる。
【0129】
なお、初期化において、トランジスタ107が、チャネル領域において単結晶シリコンを有するトランジスタである場合には、例えば、高電位側電源電圧(VDD)は、5V以下、好ましくは、3V以下、より好ましくは1.5V以下である。このような値にすることにより、トランジスタ107に、不具合が生じにくくすることができる。ただし、本発明の一態様は、これに限定されない。
【0130】
なお、別の回路、例えば、回路110Bから、トランジスタ107のゲートの電位が初期化するような電位を出力してもよい。または、別の回路や別の素子を利用して、トランジスタ107のゲートの電位を初期化してもよい。
【0131】
なお、既に、トランジスタ107がオフしている場合には、必ずしも、初期化を実行しなくてもよい。
【0132】
なお、
図16(B)は、
図12(B)と対応した説明となっている。
【0133】
次に、回路110Aからトランジスタ107のゲートへの信号の出力動作を行う。例えば、
図16(C)、及び、
図16(D)に示すように、回路110Aから、トランジスタ107のゲートへ信号を出力する。
図16(C)と
図16(D)とは、それぞれ、異なる信号を出力した場合の例を示している。回路110Aから出力される信号は、回路110Aに記憶されている情報に応じた信号となっている。よって、
図16(D)では、トランジスタ107のゲートへ信号を出力しないことによって、回路110Aに記憶されている情報を、トランジスタ107へ出力しているということができる。
【0134】
次に、回路101からの信号の出力動作(信号の読み取り)を行う。容量素子116の容量結合を利用して、回路101から出力される信号に応じてトランジスタ107がオン状態となることができるように、配線118の電位を制御する。これは、回路101を選択している動作を行っているともいえる。例えば、トランジスタ107がPチャネル型の場合には、例えば、配線118の電位は、低電位側電源電圧(VSS)や、接地電圧(VGND)にする。
【0135】
配線118の電位により、回路110Aからトランジスタ107のゲートへ出力される信号が、例えば、H信号(例えば、高電位側電源電圧(VDD))の場合には、
図16(E)に示すように、トランジスタ107がオンする。その結果、配線105と配線103との間が、導通状態となる。例えば、配線105に、高電位側電源電圧(VDD)が供給されているとすると、配線105から、トランジスタ107を介して、配線103に、電流が供給され、配線103の電位が上昇する。配線103には、信号を読み取ることができる機能を有する回路、例えば、センスアンプ回路などが接続されており、そのセンスアンプ回路などにおいて、配線103の電位、すなわち、回路101からの出力信号を読み取ることが出来る。
【0136】
一方、回路110Aから、HH信号(例えば、高電位側電源電圧(VDD)よりもさらに高い電位、例えば、VDDHと呼ぶことにする)が出力された場合には、または、回路110Aから、信号が出力されなかった場合には、
図16(F)に示すように、トランジスタ107がオフのままになる。その結果、配線105と配線103との間が、非導通状態のままとなる。その結果として、センスアンプ回路などにおいて、配線103の電位、すなわち、回路101からの信号を読み取る。
【0137】
以上のような動作により、回路110Aに保存されていた情報を読み取ることが出来る。つまり、回路101から、そこで保存されていた情報を出力することが出来る。
【0138】
なお、回路110Aが、2値(1ビット)よりも大きな値を記憶していた場合、つまり、多値を保存していた場合には、その値に応じて、何度も、
図16(B)と、
図16(C)と、
図16(E)との間、または、
図16(B)と、
図16(D)と、
図16(F)との間、の動作を繰り返し実行して、どの場合に、トランジスタ107がオンになり、どの場合にトランジスタ107がオフになるかを読み取って、多値のデータを回路101から出力させてもよい。
【0139】
または、回路110Aに、ランプ波形の信号や、のこぎり型の信号などを供給することによって、ある状態まではトランジスタ107がオフのままであり、所定の状態になったときに、トランジスタ107がオンになることを読み取って、多値のデータを回路101から出力させてもよい。つまり、回路110Aに供給されるランプ波形の信号や、のこぎり型の信号の電位などから、どの値が回路110Aに記録されているかを読み取ることにより、多値のデータを読み取ることが出来る。なお、この場合にも、
図12(B)における動作と同様、ランプ波形の信号や、のこぎり型の信号などを変化させている途中の段階で、トランジスタ107のゲート電位を初期化してもよい。
【0140】
そして、最後に、
図17(A)に示すように、配線118の電位を戻すことによって、トランジスタ107がオフ状態となるようにする。
【0141】
以上により、回路110Aについての動作が終了する。次に、回路110Aと同様な動作を、別の回路110(例えば、回路110B)において、実行すればよい。念のために、簡単に以下に説明する。
【0142】
まず、
図17(B)に示すように、トランジスタ107を初期化する。
図17(B)は、
図16(B)の場合に対応している。
【0143】
次に、
図17(C)または
図17(D)に示すように、トランジスタ107のゲートに回路110Bから信号を出力する。
図17(C)は、
図16(C)に対応し、
図17(D)は、
図16(D)に対応する。
【0144】
そして、
図17(E)または
図17(F)に示すように、配線118の電位を制御することによって、回路101から、信号を出力する。
図17(E)は、
図16(E)に対応し、
図17(F)は、
図16(F)に対応する。
【0145】
そして、最後に、
図18(A)に示すように、配線118の電位を戻すことによって、トランジスタ107がオフ状態となるようにする。
図18(A)は、
図17(A)に対応する。
【0146】
これにより、回路110Bの場合の動作が終了する。
【0147】
さらに、回路110が設けられている場合にも、同様な動作を繰り返す。
【0148】
最後に、トランジスタ107のゲートの電位を初期化することによって、トランジスタ107がオフ状態となるようにする。初期化方法は、
図16(B)や
図17(B)の場合と同様に実行すればよい。
【0149】
なお、トランジスタ107のゲートの電位を初期化する場合、
図18(B)に示すように、複数の回路110から、実行してもよい。
【0150】
なお、配線118の電位を制御することによって、トランジスタ107は、オフ状態となっているので、必ずしも、初期化は行わなくてもよい。
【0151】
以上の動作により、回路101からの信号の読み取りが終了する。そして、
図18(C)に示すように、トランジスタ107は、オフ状態を維持することとなる。次に、もし、別の行に回路101が設けられている場合には、そこにおいても同様に、信号の読み取りなどが実行される。
【0152】
なお、
図16、
図17、
図18では、
図3の場合の駆動方法の一例を示したが、他の図面においても、同様に動作させることが出来る。
【0153】
例えば、
図9の場合の駆動方法の一例を、
図19(A)の構成を用いて、以下に示す。なお、
図19(A)では、トランジスタ120として、スイッチ120Bを用いて示している。スイッチ120Bのオンとオフとは、例えば、配線122の電位を制御することによって、制御することができる。
【0154】
まず、
図19(A)は、
図16(A)に対して、スイッチ120Bが追加された構成に相当する。そのため、トランジスタ107のゲートの電位を初期化する場合、
図19(A)では、スイッチ120Bの導通状態を制御することによって、実行することが出来る。それ以外は、概ね、
図16(A)の場合と同様である。
【0155】
そこで、対応関係を示すと、
図19(B)は、
図16(B)に対応する。
図19(B)では、スイッチ120Bを介して、トランジスタ107のゲートの電位を初期化することが出来る。したがって、トランジスタ107がPチャネル型の場合には、配線124は、例えば、高電位側電源電圧(VDD)を供給することができる。トランジスタ107がNチャネル型の場合には、大小関係が逆の電位となる。
【0157】
なお、
図9の場合だけでなく、
図10や
図11などでも、同様に駆動させることが出来る。
【0158】
本実施の形態は、他の実施の形態の一部または全部について、変更、追加、修正、削除、応用、上位概念化、又は、下位概念化したものに相当する。したがって、本実施の形態の一部または全部について、他の実施の形態の一部または全部と自由に組み合わせ、適用し、置き換えて実施することができる。
【0159】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1で説明した本発明の一態様の回路の変形例について、その基本構成の一例を示す。なお、以下に説明する以外の構成については、実施の形態1の構成を援用することができる。
【0160】
図22に、回路101の一例を示す。回路101は、例えば、トランジスタ107と、トランジスタ114と、を有している。回路101は、例えば、回路110を有している。なお、回路110は、回路101に複数設けられていてもよいし、1つだけ設けられていてもよい。
図22では、一例として、回路110が、4個設けられている場合の例を示している。したがって、回路101は、回路110A、回路110B、回路110C、回路110D、を有している。回路110は、端子112を有している。そして、端子112は、トランジスタ107のゲートと接続されている。したがって、回路110Aは、端子112Aを有し、回路110Bは、端子112Bを有し、回路110Cは、端子112Cを有し、回路110Dは、端子112Dを有している。そして、端子112A、端子112B、端子112C、および、端子112Dは、トランジスタ107のゲートと接続されている。トランジスタ107のソースまたはドレインの一方は、配線103と接続されている。トランジスタ107のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ114のソースまたはドレインの一方と接続されている。トランジスタ114のソースまたはドレインの他方は、配線105と接続されている。
【0161】
回路101の機能の一例は、実施の形態1と同様である。回路110(例えば、回路110A、回路110B、回路110C、回路110D)は、端子112(例えば、端子112A、端子112B、端子112C、端子112D)を介して、トランジスタ107に情報を出力することが出来る。そして、トランジスタ107は、配線103、配線105、および、トランジスタ114を介して、情報を出力することができる。つまり、配線103、配線105、および、トランジスタ114を介して、回路101から、情報を読み出すことができる。つまり、配線103、または/および、配線105は、ビット線としての機能を有している。
【0162】
トランジスタ114のゲートには、配線113が接続されている。配線113の電位を制御することによって、トランジスタ114の導通状態(オンとオフ)を制御することができる。トランジスタ114がオンになると、トランジスタ107は、配線103、配線105、および、トランジスタ114を介して、情報を出力することができる。したがって、配線113は、回路101を選択することができる機能を有している。つまり、配線113は、ワード線としての機能を有している。配線113の電位を制御することにより、配線113と接続された複数の回路101、例えば、横一列に並んだ、1行分の回路101を選択することができる。
【0163】
なお、トランジスタ107とトランジスタ114とは、配線103と、配線105との間に、直列接続で接続されていればよい。その場合の例を、
図23に示す。
【0164】
そして、回路110が複数設けられている場合、例えば、回路110A、回路110B、回路110C、回路110Dが設けられている場合には、それぞれから、順次、トランジスタ107に情報を出力することが出来る。なお、回路110A、回路110B、回路110C、回路110Dのそれぞれが、2値(1ビット)よりも大きな情報を記憶している場合には、ある一つの回路110(例えば回路110A)から、2値(1ビット)よりも大きな情報の全てをトランジスタ107に出力したあとで、次の回路110(例えば回路110B)から、2値(1ビット)よりも大きな情報の全てをトランジスタ107に出力してもよい。または、ある一つの回路110(例えば回路110A)から、2値(1ビット)よりも大きな情報のうちの一部の情報をトランジスタ107に出力したあとで、次の回路110(例えば回路110B)から、2値(1ビット)よりも大きな情報のうちの一部の情報をトランジスタ107に出力してもよい。そして、その後で、再度、ある一つの回路110(例えば回路110A)から、2値(1ビット)よりも大きな情報のうちの別の一部の情報をトランジスタ107に出力し、その後、次の回路110(例えば回路110B)から、2値(1ビット)よりも大きな情報のうちの別の一部の情報をトランジスタ107に出力してもよい。または、複数の回路101にわたって、記憶されている情報の一部ずつを読み出してもよい。
【0165】
ここで、トランジスタ107とトランジスタ114は、
図22や
図23では、Pチャネル型の場合を示しているが、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、
図24や
図25には、Nチャネル型のトランジスタ107Aと、Nチャネル型のトランジスタ114Aの場合の例を示す。なお、トランジスタ107とトランジスタ114とは、互いに異なる極性を有していてもよい。しかし、トランジスタ107とトランジスタ114とで、同じ極性とすることにより、素子分離が不要になり、不純物領域を共用できることなどから、レイアウト面積を小さくすることができるので、好適である。トランジスタ107、および/または、トランジスタ114は、例えば、スイッチとして機能することができる。よって、トランジスタの極性は、適宜変更することができる。極性に合わせて、それぞれの端子の電圧を調整すればよい。なお、トランジスタ107とトランジスタ114以外のトランジスタにおいても、適宜、極性を変更して構成することができる。
【0166】
なお、トランジスタ107のゲートには、容量素子116を接続してもよい。この容量素子116を設けることによって、トランジスタ107のゲートの電位を保持しやすくすることができる。ただし、容量素子116を設けなくても、トランジスタ107の寄生容量(ゲート容量)によって、信号は保持することが出来る。一例として、
図22において、容量素子116の一方の端子をトランジスタ107のゲートに接続した場合の例を
図26に示す。なお、他の図面においても同様に、容量素子116を設けることができる。なお、
図26では、容量素子116の他方の端子は、接地されている。ただし、本発明の一態様は、これに限定されない。容量素子116の他方の端子は、一定の電位が供給されていればよい。したがって、VDD、VSS、VGNDなど、様々な電位が供給されていてもよい。
【0167】
なお、トランジスタ107のゲートには、端子112(例えば、端子112A、端子112B、端子112C、端子112D)が接続されているが、さらに別の素子などが接続されていてもよい。さらに別の素子をトランジスタ107のゲートに接続することにより、例えば、トランジスタ107のゲートの電位を制御することが出来る。
【0168】
トランジスタ107のゲートに接続される素子の例として、トランジスタ120の場合を
図27に示す。なお、トランジスタ107、および、トランジスタ120は、Pチャネル型だけでなく、様々な極性をとることができる。トランジスタ120がNチャネル型のトランジスタ120Aである場合の例を、
図28に示す。仮に、トランジスタ107、トランジスタ114、および、トランジスタ120を全て、Pチャネル型にすれば、単結晶シリコンを用いる場合、素子分離を行う必要がなくなる。そのため、レイアウト面積を小さくすることが出来る。
【0169】
トランジスタ120のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ107のゲートに接続されている。そのため、トランジスタ120のゲートに接続された配線122の電位を制御することにより、トランジスタ120のソースまたはドレインの他方の電位を、トランジスタ107のゲートに供給することができる。つまり、トランジスタ120は、スイッチとして機能することができる。なお、
図27では、トランジスタ120のソースまたはドレインの他方は、配線124と接続されている。ただし、本発明の一態様は、これに限定されない。トランジスタ120のソースまたはドレインの他方は、配線124以外の配線、例えば、配線105、配線103、配線122などに接続されていてもよい。または、トランジスタ120のソースまたはドレインの他方は、回路110(例えば、回路110A、回路110B、回路110C、回路110D)が有する配線と接続されていてもよい。それらの場合の例を、
図29、
図30に示す。つまり、トランジスタ120がオン状態となるときに、トランジスタ107のゲートを、所定の電位に制御できるようになっていればよい。
【0170】
ここで、トランジスタ120は、トランジスタ107のゲートの電位を制御することができる機能を有している。例えば、トランジスタ120は、トランジスタ107のゲートの電位を、所定の電位、例えば、トランジスタ107がオフ状態となるような電位にすることができる。または、回路110(例えば、回路110A、回路110B、回路110C、回路110D)から、トランジスタ107のゲートに、信号が出力される場合、その前に、トランジスタ107のゲートの電位を所定の電位に初期化することができる。つまり、トランジスタ120は、トランジスタ107のゲート電位を初期化することができる機能を有している。
【0171】
なお、トランジスタ120は、
図22、
図24だけでなく、他の図面においても、同様に設けることが出来る。
【0172】
なお、回路110(例えば、回路110A、回路110B、回路110C、回路110D)が、2値(1ビット)よりも大きな情報を記憶する場合、信号処理のしやすさを考慮すると、一例としては、2のべき乗の値を取ること、つまり、ビット数で数えられる数値にすることが望ましい。ただし、本発明の一態様は、これに限定されず、任意の大きさの値を取ってもよい。回路110に記憶することができる情報の具体例は、実施の形態1と同様である。
【0173】
また、回路101が有するトランジスタや、回路110(例えば、回路110A、回路110B、回路110C、回路110D)が有するトランジスタは、例えば、スイッチとして機能させることが出来る。このようなトランジスタやスイッチとしては、実施の形態1で説明するトランジスタやスイッチを用いることができる。
【0174】
本実施の形態は、基本原理の一例について述べたものである。したがって、本実施の形態の一部または全部について、他の実施の形態の一部また全部と、自由に組み合わせ、適用し、置き換えて実施することができる。
【0175】
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態3における回路101の駆動方法の一例について述べる。なお、以下に説明する以外の構成や駆動方法については、実施の形態2の説明を援用することができる。
【0176】
まず、
図22の場合において、駆動方法の一例を述べる。なお、他の図面に示す回路101においても、同様に駆動させることができる。
【0177】
図31(A)に、一例として、回路101に、回路110が2個(回路110Aと回路110B)設けられている場合について示す。なお、回路110の個数が変わったとしても、同様に動作させることが出来る。
【0178】
まず、
図31(A)において、配線103と配線105とを利用して、信号を回路101から外へ出力する場合、つまり、回路101の情報を読み出す場合の駆動方法の例を、
図31(B)、
図31(C)、
図31(D)、
図31(E)、
図31(F)、
図32(A)、
図32(B)、
図32(C)、
図32(D)、
図32(E)、
図32(F)、
図33(A)、
図33(B)、
図33(C)など、に示す。なお、図面において、トランジスタの上に×印が記載されているものは、一例としては、トランジスタがオフ状態になっている場合を示している。また、図面において、矢印は、一例としては、電流が流れているところや、電位が変化したところなどを示している。
【0179】
まず、初期化を行う。
図31(B)に示すように、回路110Aから、トランジスタ107がオフするような電位を出力して、トランジスタ107のゲートの電位を初期化する。トランジスタ107がPチャネル型の場合には、例えば、高電位側電源電圧(VDD)を出力する。トランジスタ107がNチャネル型の場合には、大小関係が逆の電位となる。
【0180】
このとき、配線113は、トランジスタ114がオフするような電位になるようにしておく。つまり、回路101が、非選択状態となるような電位としておく。トランジスタ114がPチャネル型の場合には、例えば、配線113の電位は、高電位側電源電圧(VDD)にする。トランジスタ114がNチャネル型の場合には、大小関係が逆の電位となる。
【0181】
なお、初期化において、トランジスタ107が、チャネル領域において単結晶シリコンを有するトランジスタである場合には、例えば、高電位側電源電圧(VDD)は、5V以下、好ましくは、3V以下、より好ましくは1.5V以下である。このような値にすることにより、トランジスタ107に、不具合が生じにくくすることができる。ただし、本発明の一態様は、これに限定されない。
【0182】
なお、別の回路、例えば、回路110Bから、トランジスタ107のゲートの電位が初期化するような電位を出力してもよい。または、別の回路や別の素子を利用して、トランジスタ107のゲートの電位を初期化してもよい。
【0183】
なお、既に、トランジスタ107がオフしている場合には、必ずしも、初期化を実行しなくてもよい。
【0184】
次に、回路110Aからトランジスタ107のゲートへの信号の出力動作を行う。例えば、
図31(C)、及び、
図31(D)に示すように、回路110Aから、トランジスタ107のゲートへ信号を出力する。
図31(C)と
図31(D)とは、それぞれ、異なる信号を出力した場合の例を示している。回路110Aから出力される信号は、回路110Aに記憶されている情報に応じた信号となっている。例えば、
図31(C)の場合には、信号の電位は、L信号(例えば、低電位側電源電圧(VSS)や、接地電圧(VGND))にする。例えば、
図31(D)の場合には、信号の電位は、H信号(例えば、高電位側電源電圧(VDD))にする。よって、
図31(D)では、トランジスタ107のゲートへ信号を出力しないことによって、回路110Aに記憶されている情報を、トランジスタ107へ出力しているということができる。
【0185】
次に、回路101からの信号の出力動作(信号の読み取り)を行う。トランジスタ114がオン状態となることができるように、配線113の電位を制御する。これは、回路101を選択している動作を行っているともいえる。例えば、トランジスタ114がPチャネル型の場合には、例えば、配線113の電位は、低電位側電源電圧(VSS)や、接地電圧(VGND)にする。
【0186】
配線113の電位により、回路110Aからトランジスタ107のゲートへ出力される信号が、例えば、L信号(例えば、低電位側電源電圧(VSS)や、接地電圧(VGND))の場合には、
図31(E)に示すように、トランジスタ107がオンする。その結果、配線105と配線103との間が、導通状態となる。例えば、配線105に、高電位側電源電圧(VDD)が供給されているとすると、配線105から、トランジスタ107とトランジスタ114とを介して、配線103に、電流が供給され、配線103の電位が上昇する。配線103には、信号を読み取ることができる機能を有する回路、例えば、センスアンプ回路などが接続されており、そのセンスアンプ回路などにおいて、配線103の電位、すなわち、回路101からの出力信号を読み取ることが出来る。
【0187】
一方、回路110Aから、H信号(例えば、高電位側電源電圧(VDD))が出力された場合には、または、回路110Aから、信号が出力されなかった場合には、
図31(F)に示すように、トランジスタ107がオフのままになる。その結果、配線105と配線103との間が、非導通状態のままとなる。その結果として、センスアンプ回路などにおいて、配線103の電位、すなわち、回路101からの信号を読み取る。
【0188】
以上のような動作により、回路110Aに保存されていた情報を読み取ることが出来る。つまり、回路101から、そこで保存されていた情報を出力することが出来る。
【0189】
なお、回路110Aが、2値(1ビット)よりも大きな値を記憶していた場合、つまり、多値を保存していた場合には、その値に応じて、何度も、
図31(B)と、
図31(C)と、
図31(E)との間、または、
図31(B)と、
図31(D)と、
図31(F)との間、の動作を繰り返し実行して、どの場合に、トランジスタ107がオンになり、どの場合にトランジスタ107がオフになるかを読み取って、多値のデータを回路101から出力させてもよい。
【0190】
または、回路110Aに、ランプ波形の信号や、のこぎり型の信号などを供給することによって、ある状態まではトランジスタ107がオフのままであり、所定の状態になったときに、トランジスタ107がオンになることを読み取って、多値のデータを回路101から出力させてもよい。つまり、回路110Aに供給されるランプ波形の信号や、のこぎり型の信号の電位などから、どの値が回路110Aに記録されているかを読み取ることにより、多値のデータを読み取ることが出来る。なお、この場合にも、
図31(B)のように、ランプ波形の信号や、のこぎり型の信号などを変化させている途中の段階で、トランジスタ107のゲート電位を初期化してもよい。
【0191】
そして、最後に、
図32(A)に示すように、配線113の電位を戻すことによって、トランジスタ114がオフ状態となるようにする。
【0192】
以上により、回路110Aについての動作が終了する。次に、回路110Aと同様な動作を、別の回路110(例えば、回路110B)において、実行すればよい。念のために、簡単に以下に説明する。
【0193】
まず、
図32(B)に示すように、トランジスタ107を初期化する。
図32(B)は、
図31(B)の場合に対応している。
【0194】
次に、
図32(C)または
図32(D)に示すように、トランジスタ107のゲートに回路110Bから信号を出力する。
図32(C)は、
図31(C)に対応し、
図32(D)は、
図31(D)に対応する。
【0195】
そして、
図32(E)または
図32(F)に示すように、配線113の電位を制御することによって、回路101から、信号を出力する。
図32(E)は、
図31(E)に対応し、
図32(F)は、
図31(F)に対応する。
【0196】
そして、最後に、
図33(A)に示すように、配線113の電位を戻すことによって、トランジスタ114がオフ状態となるようにする。
図33(A)は、
図32(A)に対応する。
【0197】
これにより、回路110Bの場合の動作が終了する。
【0198】
さらに、回路110が設けられている場合にも、同様な動作を繰り返す。
【0199】
最後に、トランジスタ107のゲートの電位を初期化することによって、トランジスタ107がオフ状態となるようにする。初期化方法は、
図31(B)や
図32(B)の場合と同様に実行すればよい。
【0200】
なお、トランジスタ107のゲートの電位を初期化する場合、
図33(B)に示すように、複数の回路110から、実行してもよい。
【0201】
なお、配線113の電位を制御することによって、トランジスタ114は、オフ状態となっているので、必ずしも、初期化は行わなくてもよい。
【0202】
以上の動作により、回路101からの信号の読み取りが終了する。そして、
図33(C)に示すように、トランジスタ114は、オフ状態を維持することとなる。次に、もし、別の行に回路101が設けられている場合には、そこにおいても同様に、信号の読み取りなどが実行される。
【0203】
なお、
図31、
図32、
図33では、
図22の場合の駆動方法の一例を示したが、他の図面においても、同様に動作させることが出来る。
【0204】
例えば、
図27の場合の駆動方法の一例を、
図34(A)の構成を用いて、以下に示す。なお、
図34(A)では、トランジスタ120として、スイッチ120Bを用いて示している。スイッチ120Bのオンとオフとは、例えば、配線122の電位を制御することによって、制御することができる。
【0205】
まず、
図34(A)は、
図31(A)に対して、スイッチ120Bが追加された構成に相当する。そのため、トランジスタ107のゲートの電位を初期化する場合、
図34(A)では、スイッチ120Bの導通状態を制御することによって、実行することが出来る。それ以外の動作は、概ね、
図31(A)の場合と同様である。
【0206】
そこで、対応関係を示すと、
図34(B)は、
図31(B)に対応する。
図34(B)では、スイッチ120Bを介して、トランジスタ107のゲートの電位を初期化することが出来る。したがって、トランジスタ107がPチャネル型の場合には、配線124は、例えば、高電位側電源電圧(VDD)を供給することができる。トランジスタ107がNチャネル型の場合には、大小関係が逆の電位となる。
【0208】
本実施の形態は、他の実施の形態の一部または全部について、変更、追加、修正、削除、応用、上位概念化、又は、下位概念化したものに相当する。したがって、本実施の形態の一部または全部について、他の実施の形態の一部または全部と自由に組み合わせ、適用し、置き換えて実施することができる。
【0209】
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態1乃至4で説明した回路110の具体的な回路構成の一例について述べる。
【0210】
回路110は、回路101に、例えば、1個以上設けられる。よって、本実施の形態で一例として示す回路110は、例えば、回路110A、回路110B、回路110C、回路110D、などに適用することが出来る。なお、1つの回路101が有する回路110A、回路110B、回路110C、回路110D、などにおいて、例えば、それぞれ、異なる回路構成を有していてもよい。つまり、回路110として、様々な回路構成を採用することが出来る場合、1つの回路101が有する、回路110A、回路110B、回路110C、回路110D、などにおいて、それぞれ、異なる回路構成を適用してもよいし、少なくとも一部、または、全部において、同一の回路構成を適用してもよい。
【0211】
まず、一例として、回路110の例を
図37に示す。回路110は、例えば、トランジスタ126と、トランジスタ128と、容量素子130とを有している。そして、トランジスタ126と、トランジスタ128と、容量素子130は、
図37に示すように、配線132、配線134、配線136、配線138などと、接続されている。ここで、端子112は、トランジスタ126のソースまたはドレインの一方と接続されている。
【0212】
なお、配線136と、配線138とは、異なる配線として設けられているが、本発明の一態様は、これに限定されない。各動作状態に応じて、配線の電位を制御することにより、配線136と、配線138とは、一本に配線にまとめることができる。その場合の例を、
図38に示す。
【0213】
次に、一例として、
図37に示す回路110、つまり、
図39(A)に示す回路110の動作方法の一例を、以下に示す。
【0214】
まず、回路110は、例えば、次のような動作状態を有している。ただし、回路101の回路構成によっては、有する動作状態が異なる場合もある。または、さらに別の動作状態を有する場合もある。または、一部の動作状態を有さない場合もある。なお、以下に示す工程は、以下に示す順序で実行されるものには、限定されない。
【0215】
まず、1つ目の工程は、回路110を初期化する工程である。回路110に信号を入力する前に、初期状態に戻す工程である。この工程は、状況に応じて、または、回路101の回路構成によっては、不要な場合がある。
【0216】
2つ目の工程は、回路110に、信号を入力する工程である。回路110は、入力された信号を保持することができる機能を有している。
【0217】
3つ目の工程は、トランジスタ107のゲートの電位を初期化する工程である。これは、回路101の回路構成によっては、不要な場合がある。
【0218】
4つ目の工程は、回路110から、トランジスタ107のゲートに、信号を出力する工程である。トランジスタ107は、回路110から出力された信号、つまり、回路110に保存されていた信号に応じて、信号を出力することができる機能を有している。
【0219】
次に、各工程の動作を、図を用いて説明する。
【0220】
まず、1つ目の工程は、回路110を初期化する工程である。
図39(B)に示すように、配線132の電位を制御することによって、トランジスタ126がオフ状態となるようにする。ただし、既に、同様な状況になっている場合には、この動作は、不要な場合もある。
【0221】
このとき、トランジスタ126がNチャネル型の場合には、配線132の電位を低くしておく。その電位は、回路110に、何ビットの情報を保持させるかに応じて、変わってくる。逆の言い方をすると、配線132の電位を、大きく変化させることによって、回路110に、より多くの情報を保持させることができる。
【0222】
一例としては、トランジスタ126が、チャネル部に酸化物半導体を有する場合には、配線132の電位の振幅は、5V以上、好ましくは、10V以上、より好ましくは、50V以上である。つまり、チャネル部に酸化物半導体を有する場合には、トランジスタ126の耐圧が高いため、配線132の電位に、大きな振幅を持たせることができる。よって、この動作時においては、振幅させる配線132の電位において、最も低い電位を供給しておけばよい。例えば、配線132の電位は、トランジスタ126がオン状態となる場合の、トランジスタ126のゲートの電位よりも、5Vよりも下の電位、好ましくは、10Vよりも下の電位、より好ましくは、50Vよりも下の電位である。例えば、配線132の電位が、トランジスタ126がオン状態となる場合の、トランジスタ126のゲートの電位よりも、16Vよりも下の電位の場合、1Vずつ配線132を変化させることによって、回路110は、16値(4ビット)の情報を記憶することができる。
【0223】
なお、回路図において、トランジスタの記号の下に、OSと記載されているものは、そのトランジスタは、チャネル部に酸化物半導体を有するトランジスタである場合を示している。その場合には、チャネル部に酸化物半導体を有するトランジスタを用いることが望ましい。ただし、OSと記載されていても、チャネル部に酸化物半導体を有さないトランジスタを用いてもよい。同様に、回路図において、トランジスタの記号の下に、Siと記載されているものは、そのトランジスタは、チャネル部に単結晶シリコンを有するトランジスタである場合を示している。その場合には、チャネル部に単結晶シリコンを有するトランジスタを用いることが望ましい。ただし、Siと記載されていても、チャネル部に単結晶シリコンを有さないトランジスタを用いてもよい。
【0224】
トランジスタは、一例として、チャネル形成領域などにおいて、酸化物半導体を用いることができるが、本発明の実施形態の一態様は、これに限定されない。例えば、チャネル形成領域やその近傍、ソース領域、ドレイン領域などにおいて、場合によっては、または、状況に応じて、Si(シリコン)、Ge(ゲルマニウム)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、GaAs(ガリウムヒ素)、などを有する材料で形成してもよい。
【0225】
なお、チャネル部に酸化物半導体を有するトランジスタは、オフ状態のときのドレイン電流(リーク電流とも呼ぶ)の小さくすることができる。そのため、容量素子に保存したデータを、より長く保持することが出来る。例えば、オフ電流は、室温(25℃程度)にて1×10
−18A以下、好ましくは1×10
−21A以下、さらに好ましくは1×10
−24A以下、または85℃にて1×10
−15A以下、好ましくは1×10
−18A以下、さらに好ましくは1×10
−21A以下である。
【0226】
なお、チャネル部に酸化物半導体を有するトランジスタにおいて、耐圧をより高くするためには、例えば、5nm以上、好ましくは7nm以上、より好ましくは10nm以上の厚いゲート絶縁体を用いてもよい。また、エネルギーギャップが2.5eV以上4.2eV以下、好ましくは2.8eV以上3.8eV以下、さらに好ましくは3eV以上3.5eV以下の半導体をチャネル形成領域に用いてもよい。
【0227】
なお、チャネル部に酸化物半導体を有するトランジスタにおいて、酸化物半導体として、後述するCAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)を用いてもよい。CAAC−OSは、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体の一つである。特に、後述する、CAAC比率を高めることが好ましい。CAAC比率は、一定の範囲におけるCAAC−OSの回折パターンが観測される領域の割合である。CAAC比率を高めることにより、例えば、欠陥をより少なくすることができる。また、例えばキャリアの散乱を小さくすることができる。また、不純物の少ないCAAC−OSを実現することができ、例えば極めて低いオフ電流特性を実現することができる。例えば、良質なCAAC−OSであれば、CAAC比率は、50%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上100%以下である。
【0228】
また、酸化物半導体中の不純物濃度を低減し、酸化物半導体を真性または実質的に真性にすることが有効である。ここで、実質的に真性とは、酸化物半導体のキャリア密度が、1×10
17/cm
3未満であること、好ましくは1×10
15/cm
3未満であること、さらに好ましくは1×10
13/cm
3未満であることを指す。酸化物半導体において、水素、窒素、炭素、シリコン、および主成分以外の金属元素は不純物となる。例えば、水素および窒素はドナー準位の形成に寄与し、キャリア密度を増大させてしまう。
【0229】
実質的に真性な酸化物半導体を用いたトランジスタは、キャリア密度が低いため、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性になることが少ない。また、当該酸化物半導体を用いたトランジスタは、酸化物半導体のキャリアトラップが少ないため、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。また、当該酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流を非常に低くすることが可能となる。
【0230】
例えば、酸化物半導体を用いたトランジスタがオフ状態のときのドレイン電流を、室温(25℃程度)にて1×10
−18A以下、好ましくは1×10
−21A以下、さらに好ましくは1×10
−24A以下、または85℃にて1×10
−15A以下、好ましくは1×10
−18A以下、さらに好ましくは1×10
−21A以下とすることができる。なお、トランジスタがオフ状態とは、nチャネル型のトランジスタの場合、ゲート電圧がしきい値電圧よりも小さい状態をいう。具体的には、ゲート電圧がしきい値電圧よりも1V以上、2V以上または3V以上小さければ、トランジスタはオフ状態となる。
【0231】
次に、2つ目の工程は、回路110に、信号を入力する工程である。まず、
図39(C)に示すように、配線134の電位を制御することによって、トランジスタ128がオン状態となるようにする。そして、配線138を介して、トランジスタ126のゲートに、信号を入力する。回路110では、このときに入力された信号を記憶することとなる。
【0232】
このときの配線138の電位は、配線132の電位の振幅に応じて、制御される。そして、配線138の電位は、回路110に記憶する情報に応じた値となる。つまり、配線138の電位は、配線132の電位が所定の電位にまで変化したときに、トランジスタ126がオン状態になるような電位になる。つまり、トランジスタ126が、どのような状態のときに、オン状態になるかによって、回路110に、いくつの値が記憶されているかが決まる。そのため、配線132の電位の振幅が大きい場合には、それに応じて、配線138の電位の振幅も大きくなる。
【0233】
仮に、トランジスタ126のしきい値電圧が0Vであると仮定したときに、例えば、配線132の電位の振幅が16Vである場合には、配線138の電位の振幅も、同程度の16Vとなる。そして、例えば、配線138の最も低い電位は、配線132の最も低い電位と、同程度、もしくは、少し高い電位になる。
【0234】
その後、
図39(D)に示すように、トランジスタ128をオフ状態にする。
【0235】
次に、3つ目の工程は、トランジスタ107のゲートの電位を初期化する工程である。これは、
図12(B)、
図12(E)、
図13(B)、
図15(B)、
図16(B)、
図17(B)、
図18(B)、
図31(B)、
図31(E)、
図32(B)、
図33(B)などにおける回路110の動作に対応している。よって、回路101の構成によっては、実行されない場合がある。
【0236】
まず、
図40(A)に示すように、配線132の電位を制御することにより、トランジスタ126をオン状態とする。なお、トランジスタ126のゲートには、情報が記憶されている場合がある。その情報に応じて、トランジスタ126のゲートの電位は、異なっている場合がある。しかし、どのような電位となっていたとしても、配線132の電位を制御することにより、トランジスタ126をオン状態とする。その結果、配線136の電位が、端子112に供給される。このとき、トランジスタ107の極性などに応じて、
図40(A)に示すように、配線136から端子112の方へ電流を供給する場合と、
図40(B)に示すように、端子112から配線136の方へ電流を供給する場合と、がある。
【0238】
まず、
図41(A)または、
図41(B)に示すように、配線132の電位を制御する。その結果、回路110に記憶されている情報に応じて、トランジスタ126が、オン状態またはオフ状態となる。トランジスタ126がオン状態であれば、配線138の電位を、端子112に供給することが出来る。例えば、トランジスタ107がPチャネル型の場合には、端子112から、配線136の方に電流が流れ、端子112の電位が下がる。その結果、トランジスタ107がオン状態となる。なお、トランジスタ107がNチャネル型の場合には、
図41(C)または、
図41(D)に示すように、配線136から、端子112の方に電流が流れる。
【0239】
つまり、配線132は、回路101の構成によっては、ワード線としての機能を有している場合がある。配線132の電位を制御することにより、配線132と接続された複数の回路101(または、回路101が有している複数の回路110のうちの一つ)、例えば、横一列に並んだ、1行分の回路101(または、回路101が有している複数の回路110のうちの一つ)を選択することができる。
【0240】
なお、これまでは、
図37、つまり、
図39(A)の回路110の動作方法について述べたが、
図38、つまり、
図42(A)の回路110も、同様に動作させることが出来る。
図39に対応する図面を、
図42に、
図40に対応する図面を、
図43に、
図41に対応する図面を、
図44に、示す。
図42、
図43、
図44では、配線138が、配線136にまとめられている。したがって、トランジスタ128がオンするときと、トランジスタ126がオンするときとで、配線136の電位を変更すればよい。
【0241】
本実施の形態は、他の実施の形態の一部または全部について、変更、追加、修正、削除、応用、上位概念化、又は、下位概念化したものに相当する。したがって、本実施の形態の一部または全部について、他の実施の形態の一部または全部と自由に組み合わせ、適用し、置き換えて実施することができる。
【0242】
(実施の形態6)
本実施の形態では、回路110が複数配置された記憶装置の一例について述べる。
【0243】
図45に、記憶装置の構成を示す。回路302には、回路101がマトリクス状に複数配置されている。
【0244】
回路304は、例えば、回路302と接続されている。回路304は、例えば、ワード線として機能する配線の電位を制御することができる。つまり、回路304は、各行の回路101を選択することができる機能を有している。例えば、回路304は、シフトレジスタ、または、デコーダなどを有している。
【0245】
回路308は、例えば、回路302と接続されている。回路308は、例えば、ビット線として機能する配線から出力される信号を読み取ることができる機能を有している。または、回路308は、例えば、ビット線として機能する配線の電位を制御することができる。例えば、回路308は、センスアンプを有している。
【0246】
なお、回路308や回路304において、インバータ回路、NAND回路、NOR回路、アナログ回路などで構成されている場合、例えば、Nチャネル型トランジスタでは、チャネル領域に酸化物半導体を有するトランジスタを使用し、Pチャネル型トランジスタでは、チャネル領域に単結晶半導体(例えば、シリコン、ガリウム、ヒ素など)を有するトランジスタを使用してもよい。これにより、チャネル領域に単結晶半導体(例えば、シリコン、ガリウム、ヒ素など)を有するトランジスタの上に、チャネル領域に酸化物半導体を有するトランジスタを積層して設けることが出来る。その結果、レイアウト面積を小さくすることができる。ただし、本発明の一態様は、これに限定されない。なお、回路101においても、同様に、Nチャネル型トランジスタでは、チャネル領域に酸化物半導体を有するトランジスタを使用し、Pチャネル型トランジスタでは、チャネル領域に単結晶半導体(例えば、シリコン、ガリウム、ヒ素など)を有するトランジスタを使用してもよい。これにより、チャネル領域に単結晶半導体(例えば、シリコン、ガリウム、ヒ素など)を有するトランジスタの上に、チャネル領域に酸化物半導体を有するトランジスタを積層して設けることが出来る。その結果、レイアウト面積を小さくすることができる。ただし、本発明の一態様は、これに限定されない。
【0247】
回路306は、例えば、回路304と接続されている。回路306は、例えば、回路308と接続されている。回路306は、例えば、回路304や回路308に、スタートパルス信号や、クロック信号などを供給することができる機能を有している。つまり、回路306は、コントローラとしての機能を有している。
【0248】
次に、回路302の構成の例を
図46に示す。
【0249】
例えば、配線310が、横方向(左右方向)に伸びて配置されている。つまり、各行に、配線310(1)、配線310(2)、配線310(3)、配線310(4)、配線310(5)などが配置されている。これらの配線は、一例としては、ワード線としての機能を有している。
【0250】
なお、1つの回路101に、複数の配線が接続される場合もある。
図47に示すように、例えば、配線310(1A)、配線310(1B)、配線310(2A)、配線310(2B)、配線310(3A)、配線310(3B)、などが配置されている。
【0251】
例えば、配線312が、縦方向(上下方向)に伸びて配置されている。つまり、各列に、配線312(1)、配線312(2)、配線312(3)、配線312(4)などが配置されている。これらの配線は、一例としては、ビット線としての機能を有している。
【0252】
なお、1つの回路101に、複数の配線312が接続される場合もある。
【0253】
次に、一つの回路101の中において、横方向(左右方向)に伸びて配置されている配線と、回路110との接続関係の例を、
図48に示す。例えば、回路110Aは、配線314Aと接続され、回路110Bは、配線314Bと接続され、回路110Cは、配線314Cと接続され、回路110Dは、配線314Dと接続されている。つまり、回路110のそれぞれにおいて、別々の配線314と接続されている。配線314は、一例としては、ワード線としての機能を有している。配線314は、回路110が有する様々な配線、または、回路110に接続されている様々な配線に相当する。ただし、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、
図49に示すように、複数の回路110において、一本の配線314と接続されていてもよい。
【0254】
次に、一つの回路101の中において、縦方向(上下方向)に伸びて配置されている配線と、回路110との接続関係の例を、
図50に示す。例えば、回路110Aは、配線316Aと接続され、回路110Bは、配線316Bと接続され、回路110Cは、配線316Cと接続され、回路110Dは、配線316Dと接続されている。つまり、回路110のそれぞれにおいて、別々の配線316と接続されている。配線316は、一例としては、回路110に保存される信号を供給することができる機能を有する配線である。配線316は、回路110が有する様々な配線、または、回路110に接続されている様々な配線に相当する。ただし、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、
図51に示すように、複数の回路110において、一本の配線316と接続されていてもよい。
【0256】
本実施の形態は、他の実施の形態の一部または全部について、変更、追加、修正、削除、応用、上位概念化、又は、下位概念化したものに相当する。したがって、本実施の形態の一部または全部について、他の実施の形態の一部または全部と自由に組み合わせ、適用し、置き換えて実施することができる。
【0257】
(実施の形態7)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明したオフ電流の低いトランジスタの半導体層に用いることのできる酸化物半導体層について説明する。
【0258】
トランジスタの半導体層中のチャネル形成領域に用いる酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)又は亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にIn及びZnを含むことが好ましい。また、それらに加えて、酸素を強く結びつけるスタビライザーを有することが好ましい。スタビライザーとしては、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)及びアルミニウム(Al)の少なくともいずれかを有すればよい。
【0259】
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のいずれか一種又は複数種を有してもよい。
【0260】
トランジスタの半導体層として用いられる酸化物半導体としては、例えば、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、In−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、In−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−Zr−Zn系酸化物、In−Ti−Zn系酸化物、In−Sc−Zn系酸化物、In−Y−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、In−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物等がある。
【0261】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=3:1:2、あるいはIn:Ga:Zn=2:1:3の原子数比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
【0262】
半導体層を構成する酸化物半導体膜に水素が多量に含まれると、酸化物半導体と結合することによって、水素の一部がドナーとなり、キャリアである電子を生じてしまう。これにより、トランジスタの閾値電圧がマイナス方向にシフトしてしまう。そのため、酸化物半導体膜の形成後において、脱水化処理(脱水素化処理)を行い酸化物半導体膜から、水素、又は水分を除去して不純物が極力含まれないように高純度化することが好ましい。
【0263】
なお、酸化物半導体膜への脱水化処理(脱水素化処理)によって、酸化物半導体膜から酸素が減少してしまうことがある。よって、酸化物半導体膜への脱水化処理(脱水素化処理)によって増加した酸素欠損を補填するため酸素を酸化物半導体膜に加える処理を行うことが好ましい。本明細書等において、酸化物半導体膜に酸素を供給する場合を、加酸素化処理と記す場合がある。また、酸化物半導体膜に含まれる酸素を化学量論的組成よりも多くする場合を過酸素化処理と記す場合がある。
【0264】
このように、酸化物半導体膜は、脱水化処理(脱水素化処理)により、水素又は水分が除去され、加酸素化処理により酸素欠損を補填することによって、i型(真性)化又はi型に限りなく近く実質的にi型(真性)である酸化物半導体膜とすることができる。なお、実質的に真性とは、酸化物半導体膜中にドナーに由来するキャリアが極めて少なく(ゼロに近く)、キャリア密度が1×10
17/cm
3以下、1×10
16/cm
3以下、1×10
15/cm
3以下、1×10
14/cm
3以下、1×10
13/cm
3以下であることをいう。特に、酸化物半導体のキャリア密度は、8×10
11/cm
3未満、又は1×10
11/cm
3未満、又は1×10
10/cm
3未満であり、且つ、1×10
−9/cm
3以上とすることが好ましい。
【0265】
また、このように、i型又は実質的にi型である酸化物半導体膜を備えるトランジスタは、極めて優れたオフ電流特性を実現できる。例えば、酸化物半導体膜を用いたトランジスタがオフ状態のときのドレイン電流を、室温(25℃程度)にて1×10
−18A以下、好ましくは1×10
−21A以下、更に好ましくは1×10
−24A以下、又は85℃にて1×10
−15A以下、好ましくは1×10
−18A以下、更に好ましくは1×10
−21A以下とすることができる。なお、トランジスタがオフ状態とは、nチャネル型のトランジスタの場合、ゲート電圧が閾値電圧よりも十分小さい状態をいう。具体的には、ゲート電圧が閾値電圧よりも1V以上、2V以上又は3V以上小さければ、トランジスタはオフ状態となる。
【0266】
以下では、酸化物半導体膜の構造について説明する。
【0267】
酸化物半導体膜は、非単結晶酸化物半導体膜と単結晶酸化物半導体膜とに大別される。非単結晶酸化物半導体膜とは、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜、多結晶酸化物半導体膜、微結晶酸化物半導体膜、非晶質酸化物半導体膜などをいう。
【0268】
まずは、CAAC−OS膜について説明する。
【0269】
CAAC−OS膜は、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つである。
【0270】
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって、CAAC−OS膜の明視野像および回折パターンの複合解析像(高分解能TEM像ともいう。)を観察することで複数の結晶部を確認することができる。一方、高分解能TEM像によっても明確な結晶部同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC−OS膜は、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
【0271】
試料面と概略平行な方向から、CAAC−OS膜の断面の高分解能TEM像を観察すると、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は、CAAC−OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映した形状であり、CAAC−OS膜の被形成面または上面と平行に配列する。
【0272】
一方、試料面と概略垂直な方向から、CAAC−OS膜の平面の高分解能TEM像を観察すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
【0273】
図60(a)は、CAAC−OS膜の断面の高分解能TEM像である。また、
図60(b)は、
図60(a)をさらに拡大した断面の高分解能TEM像であり、理解を容易にするために原子配列を強調表示している。
【0274】
図60(c)は、
図60(a)のA−O−A’間において、丸で囲んだ領域(直径約4nm)の局所的なフーリエ変換像である。
図60(c)より、各領域においてc軸配向性が確認できる。また、A−O間とO−A’間とでは、c軸の向きが異なるため、異なるグレインであることが示唆される。また、A−O間では、c軸の角度が14.3°、16.6°、26.4°のように少しずつ連続的に変化していることがわかる。同様に、O−A’間では、c軸の角度が−18.3°、−17.6°、−15.9°と少しずつ連続的に変化していることがわかる。
【0275】
なお、CAAC−OS膜に対し、電子回折を行うと、配向性を示すスポット(輝点)が観測される。例えば、CAAC−OS膜の上面に対し、例えば1nm以上30nm以下の電子線を用いる電子回折(ナノビーム電子回折ともいう。)を行うと、スポットが観測される(
図61(A)参照。)。
【0276】
断面の高分解能TEM像および平面の高分解能TEM像より、CAAC−OS膜の結晶部は配向性を有していることがわかる。
【0277】
なお、CAAC−OS膜に含まれるほとんどの結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさである。従って、CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、一辺が10nm未満、5nm未満または3nm未満の立方体内に収まる大きさの場合も含まれる。ただし、CAAC−OS膜に含まれる複数の結晶部が連結することで、一つの大きな結晶領域を形成する場合がある。例えば、平面の高分解能TEM像において、2500nm
2以上、5μm
2以上または1000μm
2以上となる結晶領域が観察される場合がある。
【0278】
CAAC−OS膜に対し、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)装置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnO
4の結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO
4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OS膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に概略垂直な方向を向いていることが確認できる。
【0279】
一方、CAAC−OS膜に対し、c軸に概略垂直な方向からX線を入射させるin−plane法による解析では、2θが56°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO
4の結晶の(110)面に帰属される。InGaZnO
4の単結晶酸化物半導体膜であれば、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行うと、(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。これに対し、CAAC−OS膜の場合は、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合でも、明瞭なピークが現れない。
【0280】
以上のことから、CAAC−OS膜では、異なる結晶部間ではa軸およびb軸の配向は不規則であるが、c軸配向性を有し、かつc軸が被形成面または上面の法線ベクトルに平行な方向を向いていることがわかる。従って、前述の断面の高分解能TEM観察で確認された層状に配列した金属原子の各層は、結晶のab面に平行な面である。
【0281】
なお、結晶部は、CAAC−OS膜を成膜した際、または加熱処理などの結晶化処理を行った際に形成される。上述したように、結晶のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面または上面の法線ベクトルに平行な方向に配向する。従って、例えば、CAAC−OS膜の形状をエッチングなどによって変化させた場合、結晶のc軸がCAAC−OS膜の被形成面または上面の法線ベクトルと平行にならないこともある。
【0282】
また、CAAC−OS膜中において、c軸配向した結晶部の分布が均一でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の結晶部が、CAAC−OS膜の上面近傍からの結晶成長によって形成される場合、上面近傍の領域は、被形成面近傍の領域よりもc軸配向した結晶部の割合が高くなることがある。また、不純物の添加されたCAAC−OS膜は、不純物が添加された領域が変質し、部分的にc軸配向した結晶部の割合の異なる領域が形成されることもある。
【0283】
なお、InGaZnO
4の結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS膜中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC−OS膜は、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
【0284】
CAAC−OS膜は、不純物濃度の低い酸化物半導体膜である。不純物は、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体膜の主成分以外の元素である。特に、シリコンなどの、酸化物半導体膜を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体膜から酸素を奪うことで酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体膜内部に含まれると、酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体膜に含まれる不純物は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
【0285】
また、CAAC−OS膜は、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜である。例えば、酸化物半導体膜中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによってキャリア発生源となることがある。
【0286】
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性または実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。従って、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。なお、酸化物半導体膜のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
【0287】
また、CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。
【0288】
次に、多結晶酸化物半導体膜について説明する。
【0289】
多結晶酸化物半導体膜は、高分解能TEM像において結晶粒を確認することができる。多結晶酸化物半導体膜に含まれる結晶粒は、例えば、高分解能TEM像で、2nm以上300nm以下、3nm以上100nm以下または5nm以上50nm以下の粒径であることが多い。また、多結晶酸化物半導体膜は、高分解能TEM像で、結晶粒界を確認できる場合がある。
【0290】
多結晶酸化物半導体膜は、複数の結晶粒を有し、当該複数の結晶粒間において結晶の方位が異なっている場合がある。また、多結晶酸化物半導体膜に対し、XRD装置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnO
4の結晶を有する多結晶酸化物半導体膜のout−of−plane法による解析では、2θが31°近傍のピーク、2θが36°近傍のピーク、またはそのほかのピークが現れる場合がある。
【0291】
多結晶酸化物半導体膜は、高い結晶性を有するため、高い電子移動度を有する場合がある。従って、多結晶酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、高い電界効果移動度を有する。ただし、多結晶酸化物半導体膜は、結晶粒界に不純物が偏析する場合がある。また、多結晶酸化物半導体膜の結晶粒界は欠陥準位となる。多結晶酸化物半導体膜は、結晶粒界がキャリアトラップやキャリア発生源となる場合があるため、多結晶酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、CAAC−OS膜を用いたトランジスタと比べて、電気特性の変動が大きく、信頼性の低いトランジスタとなる場合がある。
【0292】
次に、微結晶酸化物半導体膜について説明する。
【0293】
微結晶酸化物半導体膜は、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。微結晶酸化物半導体膜に含まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大きさであることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微結晶であるナノ結晶(nc:nanocrystal)を有する酸化物半導体膜を、nc−OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)膜と呼ぶ。また、nc−OS膜は、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。
【0294】
nc−OS膜は、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。従って、nc−OS膜は、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体膜と区別が付かない場合がある。例えば、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きい径のX線を用いるXRD装置を用いて構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子回折(制限視野電子回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc−OS膜に対し、結晶部の大きさと近いか結晶部より小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測される。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子回折を行うと、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合がある(
図61(B)参照。)。
【0295】
nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも規則性の高い酸化物半導体膜である。そのため、nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OS膜は、CAAC−OS膜と比べて欠陥準位密度が高くなる。
【0296】
従って、nc−OS膜は、CAAC−OS膜と比べて、キャリア密度が高くなる場合がある。キャリア密度が高い酸化物半導体膜は、電子移動度が高くなる場合がある。従って、nc−OS膜を用いたトランジスタは、高い電界効果移動度を有する場合がある。また、nc−OS膜は、CAAC−OS膜と比べて、欠陥準位密度が高いため、キャリアトラップが多くなる場合がある。従って、nc−OS膜を用いたトランジスタは、CAAC−OS膜を用いたトランジスタと比べて、電気特性の変動が大きく、信頼性の低いトランジスタとなる。ただし、nc−OS膜は、比較的不純物が多く含まれていても形成することができるため、CAAC−OS膜よりも形成が容易となり、用途によっては好適に用いることができる場合がある。そのため、nc−OS膜を用いたトランジスタを有する半導体装置は、生産性高く作製することができる場合がある。
【0297】
次に、非晶質酸化物半導体膜について説明する。
【0298】
非晶質酸化物半導体膜は、膜中における原子配列が不規則であり、結晶部を有さない酸化物半導体膜である。石英のような無定形状態を有する酸化物半導体膜が一例である。
【0299】
非晶質酸化物半導体膜は、高分解能TEM像において結晶部を確認することができない。
【0300】
非晶質酸化物半導体膜に対し、XRD装置を用いた構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、非晶質酸化物半導体膜に対し、電子回折を行うと、ハローパターンが観測される。また、非晶質酸化物半導体膜に対し、ナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測されず、ハローパターンが観測される。
【0301】
非晶質酸化物半導体膜は、水素などの不純物を高い濃度で含む酸化物半導体膜である。また、非晶質酸化物半導体膜は、欠陥準位密度の高い酸化物半導体膜である。
【0302】
不純物濃度が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体膜は、キャリアトラップやキャリア発生源が多い酸化物半導体膜である。
【0303】
従って、非晶質酸化物半導体膜は、nc−OS膜と比べて、さらにキャリア密度が高くなる場合がある。そのため、非晶質酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、ノーマリーオンの電気特性になりやすい。従って、ノーマリーオンの電気特性が求められるトランジスタに好適に用いることができる場合がある。非晶質酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が高いため、キャリアトラップが多くなる場合がある。従って、非晶質酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、CAAC−OS膜やnc−OS膜を用いたトランジスタと比べて、電気特性の変動が大きく、信頼性の低いトランジスタとなる。
【0304】
次に、単結晶酸化物半導体膜について説明する。
【0305】
単結晶酸化物半導体膜は、不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損が少ない)酸化物半導体膜である。そのため、キャリア密度を低くすることができる。従って、単結晶酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、ノーマリーオンの電気特性になることが少ない。また、単結晶酸化物半導体膜は、不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低いため、キャリアトラップが少なくなる場合がある。従って、単結晶酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。
【0306】
なお、酸化物半導体膜は、欠陥が少ないと密度が高くなる。また、酸化物半導体膜は、結晶性が高いと密度が高くなる。また、酸化物半導体膜は、水素などの不純物濃度が低いと密度が高くなる。単結晶酸化物半導体膜は、CAAC−OS膜よりも密度が高い。また、CAAC−OS膜は、微結晶酸化物半導体膜よりも密度が高い。また、多結晶酸化物半導体膜は、微結晶酸化物半導体膜よりも密度が高い。また、微結晶酸化物半導体膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも密度が高い。
【0307】
なお、酸化物半導体膜は、nc−OS膜と非晶質酸化物半導体膜との間の物性を示す構造を有する場合がある。そのような構造を有する酸化物半導体膜を、特に非晶質ライク酸化物半導体(amorphous−like OS:amorphous−like Oxide Semiconductor)膜と呼ぶ。
【0308】
amorphous−like OS膜は、高分解能TEM像において鬆(ボイドともいう。)が観察される場合がある。また、高分解能TEM像において、明確に結晶部を確認することのできる領域と、結晶部を確認することのできない領域と、を有する。amorphous−like OS膜は、TEMによる観察程度の微量な電子照射によって、結晶化が起こり、結晶部の成長が見られる場合がある。一方、良質なnc−OS膜であれば、TEMによる観察程度の微量な電子照射による結晶化はほとんど見られない。
【0309】
なお、amorphous−like OS膜およびnc−OS膜の結晶部の大きさの計測は、高分解能TEM像を用いて行うことができる。例えば、InGaZnO
4の結晶は層状構造を有し、In−O層の間に、Ga−Zn−O層を2層有する。InGaZnO
4の結晶の単位格子は、In−O層を3層有し、またGa−Zn−O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有する。よって、これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。そのため、高分解能TEM像における格子縞に着目し、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所においては、それぞれの格子縞がInGaZnO
4の結晶のa−b面に対応すると見なした。その格子縞の観察される領域における最大長を、amorphous−like OS膜およびnc−OS膜の結晶部の大きさとする。なお、結晶部の大きさは、0.8nm以上のものを選択的に評価する。
【0310】
図62は、高分解能TEM像により、amorphous−like OS膜およびnc−OS膜の結晶部(20箇所から40箇所)の平均の大きさの変化を調査した例である。
図62より、amorphous−like OS膜は、電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなっていくことがわかる。具体的には、TEMによる観察初期においては1.2nm程度の大きさだった結晶部が、累積照射量が4.2×10
8e
−/nm
2においては2.6nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、良質なnc−OS膜は、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×10
8e
−/nm
2になるまでの範囲で、電子の累積照射量によらず結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。
【0311】
また、
図62に示す、amorphous−like OS膜およびnc−OS膜の結晶部の大きさの変化を線形近似して、電子の累積照射量0e
−/nm
2まで外挿すると、結晶部の平均の大きさが正の値をとることがわかる。そのため、amorphous−like OS膜およびnc−OS膜の結晶部が、TEMによる観察前から存在していることがわかる。
【0312】
なお、酸化物半導体膜は、例えば、非晶質酸化物半導体膜、微結晶酸化物半導体膜、CAAC−OS膜のうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
【0313】
酸化物半導体膜が複数の構造を有する場合、ナノビーム電子回折を用いることで構造解析が可能となる場合がある。
【0314】
図61(C)に、電子銃室210と、電子銃室210の下の光学系212と、光学系212の下の試料室214と、試料室214の下の光学系216と、光学系216の下の観察室220と、観察室220に設置されたカメラ218と、観察室220の下のフィルム室222と、を有する透過電子回折測定装置を示す。カメラ218は、観察室220内部に向けて設置される。なお、フィルム室222を有さなくても構わない。
【0315】
また、
図61(D)に、
図61(C)で示した透過電子回折測定装置内部の構造を示す。透過電子回折測定装置内部では、電子銃室210に設置された電子銃から放出された電子が、光学系212を介して試料室214に配置された物質228に照射される。物質228を通過した電子は、光学系216を介して観察室220内部に設置された蛍光板229に入射する。蛍光板229では、入射した電子の強度に応じたパターンが現れることで透過電子回折パターンを測定することができる。
【0316】
カメラ218は、蛍光板229を向いて設置されており、蛍光板229に現れたパターンを撮影することが可能である。カメラ218のレンズの中央、および蛍光板229の中央を通る直線と、蛍光板229の上面と、の為す角度は、例えば、15°以上80°以下、30°以上75°以下、または45°以上70°以下とする。該角度が小さいほど、カメラ218で撮影される透過電子回折パターンは歪みが大きくなる。ただし、あらかじめ該角度がわかっていれば、得られた透過電子回折パターンの歪みを補正することも可能である。なお、カメラ218をフィルム室222に設置しても構わない場合がある。例えば、カメラ218をフィルム室222に、電子224の入射方向と対向するように設置してもよい。この場合、蛍光板229の裏面から歪みの少ない透過電子回折パターンを撮影することができる。
【0317】
試料室214には、試料である物質228を固定するためのホルダが設置されている。ホルダは、物質228を通過する電子を透過するような構造をしている。ホルダは、例えば、物質228をX軸、Y軸、Z軸などに移動させる機能を有していてもよい。ホルダの移動機能は、例えば、1nm以上10nm以下、5nm以上50nm以下、10nm以上100nm以下、50nm以上500nm以下、100nm以上1μm以下などの範囲で移動させる精度を有すればよい。これらの範囲は、物質228の構造によって最適な範囲を設定すればよい。
【0318】
次に、上述した透過電子回折測定装置を用いて、物質の透過電子回折パターンを測定する方法について説明する。
【0319】
例えば、
図61(D)に示すように物質におけるナノビームである電子224の照射位置を変化させる(スキャンする)ことで、物質の構造が変化していく様子を確認することができる。このとき、物質228がCAAC−OS膜であれば、
図61(A)に示したような回折パターンが観測される。または、物質228がnc−OS膜であれば、
図61(B)に示したような回折パターンが観測される。
【0320】
ところで、物質228がCAAC−OS膜であったとしても、部分的にnc−OS膜などと同様の回折パターンが観測される場合がある。したがって、CAAC−OS膜の良否は、一定の範囲におけるCAAC−OS膜の回折パターンが観測される領域の割合(CAAC化率ともいう。)で表すことができる場合がある。例えば、良質なCAAC−OS膜であれば、CAAC化率は、50%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上となる。なお、CAAC−OS膜と異なる回折パターンが観測される領域の割合を非CAAC化率と表記する。
【0321】
一例として、成膜直後(as−sputteredと表記。)、または酸素を含む雰囲気における450℃加熱処理後のCAAC−OS膜を有する各試料の上面に対し、スキャンしながら透過電子回折パターンを取得した。ここでは、5nm/秒の速度で60秒間スキャンしながら回折パターンを観測し、観測された回折パターンを0.5秒ごとに静止画に変換することで、CAAC化率を導出した。なお、電子線としては、プローブ径が1nmのナノビーム電子線を用いた。なお、同様の測定は6試料に対して行った。そしてCAAC化率の算出には、6試料における平均値を用いた。
【0322】
各試料におけるCAAC化率を
図63(A)に示す。成膜直後のCAAC−OS膜のCAAC化率は75.7%(非CAAC化率は24.3%)であった。また、450℃加熱処理後のCAAC−OS膜のCAAC化率は85.3%(非CAAC化率は14.7%)であった。成膜直後と比べて、450℃加熱処理後のCAAC化率が高いことがわかる。即ち、高い温度(例えば400℃以上)における加熱処理によって、非CAAC化率が低くなる(CAAC化率が高くなる)ことがわかる。また、500℃未満の加熱処理においても高いCAAC化率を有するCAAC−OS膜が得られることがわかる。
【0323】
ここで、CAAC−OS膜と異なる回折パターンのほとんどはnc−OS膜と同様の回折パターンであった。また、測定領域において非晶質酸化物半導体膜は、確認することができなかった。したがって、加熱処理によって、nc−OS膜と同様の構造を有する領域が、隣接する領域の構造の影響を受けて再配列し、CAAC化していることが示唆される。
【0324】
図63(B)および
図63(C)は、成膜直後および450℃加熱処理後のCAAC−OS膜の平面の高分解能TEM像である。
図63(B)と
図63(C)とを比較することにより、450℃加熱処理後のCAAC−OS膜は、膜質がより均質であることがわかる。即ち、高い温度における加熱処理によって、CAAC−OS膜の膜質が向上することがわかる。
【0325】
このような測定方法を用いれば、複数の構造を有する酸化物半導体膜の構造解析が可能となる場合がある。
【0326】
なお、本実施の形態に示す構成及び方法などは、他の実施の形態に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0327】
(実施の形態8)
本実施の形態では、開示する発明の一態様に係る半導体装置が有するトランジスタの断面の構造について、図面を参照して説明する。
【0328】
<断面構造の模式図について>
まず発明の一態様に係る半導体装置の断面構造の模式図について、
図64(A)、(B)で説明する。
【0329】
本発明の一態様における半導体装置が有するトランジスタは、Siトランジスタ及びOSトランジスタで構成される。半導体装置の断面構造としては、Siトランジスタを有する層と、OSトランジスタを有する層とを積層して設ける構成を挙げることができる。それぞれの層では、同じ材料の半導体層で構成される、複数のトランジスタを有する。
【0330】
本発明の一態様における半導体装置は、一例としては、
図64(A)に示すように、Siトランジスタを有する層31(図中、Si−FET Layerと表記)、配線が設けられる層32(図中、Wire Layerと表記)、OSトランジスタを有する層33(図中、OS−FET Layerと表記)の順に積層して設けることができる。
【0331】
図64(A)に示す断面構造の模式図でSiトランジスタを有する層31は、単結晶のシリコン基板に形成されるSiトランジスタを有する。なおSiトランジスタは、非晶質、微結晶、多結晶又は単結晶である、シリコン又はゲルマニウムなどの薄膜の半導体を半導体層に用いるトランジスタでもよい。
【0332】
図64(A)に示す断面構造の模式図でOSトランジスタを有する層33は、平坦化された絶縁表面上に形成されるOSトランジスタを有する。
【0333】
図64(A)に示す断面構造の模式図で配線が設けられる層32は、Siトランジスタを有する層31、及び/又はOSトランジスタを有する層33が有するトランジスタ同士を電気的に接続するための配線、あるいはトランジスタに電位を与えるための配線を有する。配線が設けられる層32は、
図64(A)では単層で示したが、複数積層して設ける構成としてもよい。
【0334】
なお
図64(A)に示す断面構造の模式図でOSトランジスタを有する層33は、単層で示したが、積層して設ける構成としてもよい。積層する場合は、
図64(B)に示す断面構造の模式図で表すことができる。
【0335】
図64(B)では、OSトランジスタを有する層33_1及び33_2とする2層構造を例示している。
図64(B)に示す断面構造の模式図でOSトランジスタを有する層33_1及び33_2は、平坦化された絶縁表面上に形成されるOSトランジスタを有する。
図64(B)では、2層を積層する例を示したが、積層数は限定されない。なおOSトランジスタを有する層33_1及び33_2の間には、配線が設けられる層32を設ける構成とすることができる。該構成とすることで、OSトランジスタ同士を電気的に接続することができる。
【0336】
図64(A)、(B)に示すようにOSトランジスタを有する層をSiトランジスタを有する層と積層させることで、メモリセルの回路面積の縮小、すなわち半導体装置のチップ面積を縮小することができる。
【0337】
<Siトランジスタを有する層、配線が設けられる層の断面構造について>
次いで
図65では、
図64(A)、(B)で説明したSiトランジスタを有する層31、配線が設けられる層32の断面構造の一例について示す。
図65では、Siトランジスタを有する層31が有するトランジスタ41の断面構造について説明する。
図65のトランジスタ41の断面構造は、例えば、様々な実施の形態で図示したトランジスタに適用することができる。
【0338】
なお
図65において、破線A1−A2で示す領域では、トランジスタ41のチャネル長方向における構造を示しており、破線A3−A4で示す領域では、トランジスタ41のチャネル幅方向における構造を示している。
【0339】
図65で、トランジスタ41が形成される基板400は、例えば、シリコン基板、ゲルマニウム基板、シリコンゲルマニウム基板等を用いることができる。
図65では、単結晶シリコン基板を基板400として用いる場合を例示している。
【0340】
また、トランジスタ41は、素子分離法により電気的に分離されている。素子分離法として、トレンチ分離法(STI法:Shallow Trench Isolation)等を用いることができる。
図65では、トレンチ分離法を用いてトランジスタ41を電気的に分離する場合を例示している。具体的に、
図65では、エッチング等により基板400に形成されたトレンチに、酸化珪素などが含まれる絶縁物を埋め込んだ後、当該絶縁物をエッチング等により部分的に除去することで形成される素子分離領域401により、トランジスタ41を素子分離させる場合を例示している。
【0341】
また、トレンチ以外の領域に存在する基板400の凸部には、トランジスタ41の不純物領域402及び不純物領域403と、不純物領域402及び不純物領域403に挟まれたチャネル形成領域404とが設けられている。さらに、トランジスタ41は、チャネル形成領域404を覆う絶縁膜405と、絶縁膜405を間に挟んでチャネル形成領域404と重なるゲート電極406とを有する。
【0342】
トランジスタ41では、チャネル形成領域404における凸部の側部及び上部と、ゲート電極406とが絶縁膜405を間に挟んで重なることで、チャネル形成領域404の側部と上部を含めた広い範囲においてキャリアが流れる。そのため、トランジスタ41の基板上における専有面積を小さく抑えつつ、トランジスタ41におけるキャリアの移動量を増加させることができる。その結果、トランジスタ41は、オン電流が大きくなると共に、電界効果移動度が高められる。特に、チャネル形成領域404における凸部のチャネル幅方向の長さ(チャネル幅)をW、チャネル形成領域404における凸部の膜厚をTとすると、チャネル幅Wに対する膜厚Tの比に相当するアスペクト比が高い場合、キャリアが流れる範囲はより広くなるため、トランジスタ41のオン電流をより大きくすることができ、電界効果移動度もより高められる。
【0343】
なお、バルクの半導体基板を用いたトランジスタ41の場合、アスペクト比は0.5以上であることが望ましく、1以上であることがより望ましい。
【0344】
トランジスタ41上には、絶縁膜411が設けられている。絶縁膜411には開口部が形成されている。そして、上記開口部には、不純物領域402、不純物領域403にそれぞれ電気的に接続されている導電膜412、導電膜413と、ゲート電極406に電気的に接続されている導電膜414とが、形成されている。
【0345】
そして、導電膜412は、絶縁膜411上に形成された導電膜416に電気的に接続されており、導電膜413は、絶縁膜411上に形成された導電膜417に電気的に接続されており、導電膜414は、絶縁膜411上に形成された導電膜418に電気的に接続されている。
【0346】
なお
図65において、
図64(A)、(B)で図示した配線が設けられる層32は、導電膜416、417、418に相当する。なお配線が設けられる層32は、絶縁膜、該絶縁膜に設けられる開口部、該開口部を含む領域に設けられる導電膜を順に形成することで積層することができる。
【0347】
<OSトランジスタを有する層の断面構造について>
次いで
図66(A)、(B)では、
図64(A)、(B)で説明したOSトランジスタを有する層33の断面構造の一例について示す。
図66(A)、(B)では、OSトランジスタを有する層33が有するトランジスタ42の断面構造について説明する。
図66(A)、(B)のトランジスタ42の断面構造は、例えば、他の実施の形態で示したトランジスタに適用することができる。
【0348】
なお
図66(A)、(B)において、
図65と同様に、破線A1−A2で示す領域では、トランジスタ42のチャネル長方向における構造を示しており、破線A3−A4で示す領域では、トランジスタ42のチャネル幅方向における構造を示している。
【0349】
図64(A)、(B)で説明した配線が設けられる層32の上層に設けられる、絶縁膜420上には、酸素、水素、水の拡散を防ぐブロッキング効果を有する絶縁膜421が設けられている。絶縁膜421は、密度が高くて緻密である程、また未結合手が少なく化学的に安定である程、より高いブロッキング効果を示す。酸素、水素、水の拡散を防ぐブロッキング効果を示す絶縁膜421として、例えば、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等を用いることができる。水素、水の拡散を防ぐブロッキング効果を示す絶縁膜421として、例えば、窒化シリコン、窒化酸化シリコン等を用いることができる。
【0350】
絶縁膜421上には絶縁膜422が設けられており、絶縁膜422上には、トランジスタ42が設けられている。
【0351】
トランジスタ42は、絶縁膜422上に、酸化物半導体を含む半導体膜430と、半導体膜430に電気的に接続された、ソース電極またはドレイン電極として機能する導電膜432及び導電膜433と、半導体膜430を覆っているゲート絶縁膜431と、ゲート絶縁膜431を間に挟んで半導体膜430と重なるゲート電極434と、を有する。
【0352】
なお、
図66(A)において、トランジスタ42は、ゲート電極434を半導体膜430の片側において少なくとも有していれば良いが、絶縁膜422を間に挟んで半導体膜430と重なるゲート電極を、さらに有していても良い。
【0353】
トランジスタ42が、一対のゲート電極を有している場合、一方のゲート電極には導通状態または非導通状態を制御するための信号が与えられ、他方のゲート電極は、電位が他から与えられている状態であっても良い。この場合、一対のゲート電極に、同じ高さの電位が与えられていても良いし、他方のゲート電極にのみ接地電位などの固定の電位が与えられていても良い。他方のゲート電極に与える電位の高さを制御することで、トランジスタの閾値電圧を制御することができる。
【0354】
また、
図66(A)では、トランジスタ42が、一のゲート電極434に対応した一のチャネル形成領域を有する、シングルゲート構造である場合を例示している。しかし、トランジスタ42は、電気的に接続された複数のゲート電極を有することで、一の活性層にチャネル形成領域を複数有する、マルチゲート構造であっても良い。
【0355】
また、
図66(A)に示すように、トランジスタ42は、半導体膜430が、絶縁膜422上において順に積層された酸化物半導体膜430a乃至酸化物半導体膜430cを有する場合を例示している。ただし、本発明の一態様では、トランジスタ42が有する半導体膜430が、単膜の金属酸化物膜で構成されていても良い。
【0356】
なお酸化物半導体膜430bがIn−M−Zn酸化物(Mは、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNd)の場合、酸化物半導体膜430bを成膜するために用いるターゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x
1:y
1:z
1とすると
、x
1/y
1は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であって、z
1/y
1は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。なお、z
1/y
1を1以上6以下とすることで、酸化物半導体膜430bとしてCAAC−OS膜が形成されやすくなる。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=3:1:2等がある。
【0357】
なお酸化物半導体膜430a、430cがIn−M−Zn酸化物(Mは、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNd)の場合、酸化物半導体膜430a、430cを成膜するために用いるターゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x
2:y
2:z
2とすると
、x
2/y
2<x
1/y
1であって、z
2/y
2は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。なお、z
2/y
2を1以上6以下とすることで、酸化物半導体膜430a、430cとしてCAAC−OS膜が形成されやすくなる。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:3:2、In:M:Zn=1:3:4、In:M:Zn=1:3:6等がある。
【0358】
絶縁膜422は、加熱により酸素の一部を酸化物半導体膜430a乃至酸化物半導体膜430cに供給する機能を有する絶縁膜であることが望ましい。また、絶縁膜422は、欠陥が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定により得られる、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001を持つスピンの密度が1×10
18spins/cm
3以下であることが好ましい。
【0359】
絶縁膜422は、加熱により上記酸素の一部を酸化物半導体膜430a乃至酸化物半導体膜430cに供給する機能を有するため、酸化物であることが望ましく、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルなどを用いることができる。絶縁膜422は、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法またはスパッタリング法等により、形成することができる。
【0360】
なお、本明細書中において、酸化窒化物は、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化物は、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を指す。
【0361】
なお、
図66(A)に示すトランジスタ42は、チャネル領域が形成される酸化物半導体膜430bの端部のうち、導電膜432及び導電膜433とは重ならない端部、言い換えると、導電膜432及び導電膜433が位置する領域とは異なる領域に位置する端部と、ゲート電極434とが、重なる構成を有する。酸化物半導体膜430bの端部は、当該端部を形成するためのエッチングでプラズマに曝されるときに、エッチングガスから生じた塩素ラジカル、フッ素ラジカル等が、酸化物半導体を構成する金属元素と結合しやすい。よって、酸化物半導体膜の端部では、当該金属元素と結合していた酸素が脱離しやすい状態にあるため、酸素欠損が形成され、n型化しやすいやすい。しかし、
図66(A)に示すトランジスタ42では、導電膜432及び導電膜433とは重ならない酸化物半導体膜430bの端部と、ゲート電極434とが重なるため、ゲート電極434の電位を制御することにより、当該端部にかかる電界を制御することができる。よって、酸化物半導体膜430bの端部を介して導電膜432と導電膜433の間に流れる電流を、ゲート電極434に与える電位によって制御することができる。このようなトランジスタ42の構造を、Surrounded Channel(S−Channel)構造とよぶ。
【0362】
具体的に、S−Channel構造の場合、トランジスタ42がオフとなるような電位をゲート電極434に与えたときは、当該端部を介して導電膜432と導電膜433の間に流れるオフ電流を小さく抑えることができる。そのため、トランジスタ42では、大きなオン電流を得るためにチャネル長を短くし、その結果、酸化物半導体膜430bの端部における導電膜432と導電膜433の間の長さが短くなっても、トランジスタ42のオフ電流を小さく抑えることができる。よって、トランジスタ42は、チャネル長を短くすることで、導通状態のときには大きいオン電流を得ることができ、非導通状態のときにはオフ電流を小さく抑えることができる。
【0363】
また、具体的に、S−Channel構造の場合、トランジスタ42が導通状態となるような電位をゲート電極434に与えたときは、当該端部を介して導電膜432と導電膜433の間に流れる電流を大きくすることができる。当該電流は、トランジスタ42の電界効果移動度とオン電流の増大に寄与する。そして、酸化物半導体膜430bの端部と、ゲート電極434とが重なることで、酸化物半導体膜430bにおいてキャリアの流れる領域が、ゲート絶縁膜431に近い酸化物半導体膜430bの界面近傍のみでなく、酸化物半導体膜430bの広い範囲においてキャリアが流れるため、トランジスタ42におけるキャリアの移動量が増加する。この結果、トランジスタ42のオン電流が大きくなると共に、電界効果移動度が高くなり、代表的には電界効果移動度が10cm
2/V・s以上、さらには20cm
2/V・s以上となる。なお、ここでの電界効果移動度は、酸化物半導体膜の物性値としての移動度の近似値ではなく、トランジスタの飽和領域における電流駆動力の指標であり、見かけ上の電界効果移動度である。
【0364】
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
【0365】
チャネル幅とは、例えば、上面図において半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
【0366】
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネル幅(以下、実効的なチャネル幅と呼ぶ。)と、トランジスタの上面図において示されるチャネル幅(以下、見かけ上のチャネル幅と呼ぶ。)と、が異なる場合がある。例えば、立体的な構造を有するトランジスタでは、実効的なチャネル幅が、トランジスタの上面図において示される見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつ立体的な構造を有するトランジスタでは、半導体の上面に形成されるチャネル領域の割合に対して、半導体の側面に形成されるチャネル領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、上面図において示される見かけ上のチャネル幅よりも、実際にチャネルの形成される実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
【0367】
ところで、立体的な構造を有するトランジスタにおいては、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
【0368】
そこで、本明細書では、トランジスタの上面図において、半導体とゲート電極とが重なる領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さである見かけ上のチャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Channel Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い込みチャネル幅などは、断面TEM像などを取得して、その画像を解析することなどによって、値を決定することができる。
【0369】
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅当たりの電流値などを計算して求める場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチャネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
【0370】
なお、
図66(A)の説明では、トランジスタ42が有する半導体膜430が、順に積層された酸化物半導体膜430a乃至酸化物半導体膜430cを有する構造として例示している。半導体膜430は、他の構造として
図66(B)に示すような構造でもよい。
図66(B)に示すように、半導体膜430が有する酸化物半導体膜430cは、導電膜432及び導電膜433の上層でゲート絶縁膜431と重畳させて設ける構成としてもよい。
【0371】
<Siトランジスタを有する層とOSトランジスタを有する層とを積層した断面構造について>
次いで
図67、
図68、
図69では、
図65で説明したSiトランジスタを有する層と、配線が設けられた層と、
図66(A)で説明したOSトランジスタを有する層33と、を積層した際の断面構造の一例について示す。
【0372】
図67では、
図64(A)に示す模式図の断面構造の一例である。
【0373】
なお
図67において、
図65、
図66(A)と同様に、破線A1−A2で示す領域では、トランジスタ41、42のチャネル長方向における構造を示しており、破線A3−A4で示す領域では、トランジスタ41、42のチャネル幅方向における構造を示している。
【0374】
なお本発明の一態様では、
図67に示すように、トランジスタ41のチャネル長方向とトランジスタ42のチャネル長方向とが、必ずしも一致していなくともよい。
【0375】
なお
図67においては、トランジスタ41とトランジスタ42とを電気的に接続するために、絶縁膜420乃至絶縁膜422には開口部が設けられている。開口部に設けられる導電膜433は、上記開口部において導電膜418に接続されている。
【0376】
図67に示す断面構造では、
図64(A)の説明でも述べたように、酸化物半導体膜にチャネル形成領域を有するトランジスタ42を、単結晶のシリコン基板にチャネル形成領域を有するトランジスタ41上に形成する。
図67の構成とすることで、トランジスタ42のチャネル形成領域と、トランジスタ41のチャネル形成領域と、を互いに重ねて設けることができる。そのため該構成としたメモリセルを有する半導体装置では、レイアウト面積の縮小を図ることができる。
【0377】
なおOSトランジスタを有する層33に設けられるトランジスタ42が複数ある場合、それぞれを同じ層に設けてもよいし、異なる層に設けてもよい。
【0378】
例えば、OSトランジスタを有する層33に設けられるトランジスタ42を同じ層に設ける場合、
図68に示す構成とすることができる。また、OSトランジスタを有する層33に設けられるトランジスタ42を異なる層に設ける場合、OSトランジスタを有する層33_1と層33_2を分け、配線が設けられる層32を間に介して積層する、
図69に示す構成とすることができる。
【0379】
図68に示す断面構造とすることで、OSトランジスタ数が増えてもOSトランジスタを有する層33を1層設ければよいため、積層数を削減することができる。例えば
図68ではトランジスタ42Aとトランジスタ42Bとを一度に作製することができる。そのため半導体装置を作製するための工程の削減を図ることができる。
【0380】
なお
図68において、トランジスタ41、42A、42Bのチャネル長方向における構造を示している。チャネル幅構造については
図67で示した構造と同様であり、前述の構造を参照すればよい。
【0381】
図68の断面構造の構成を、他の実施の形態で述べたトランジスタに適用すると、メモリセルを有する半導体装置の製造コストの低減を図ることができる。
【0382】
また、
図69に示す断面構造とすることで、OSトランジスタ数が増えても、OSトランジスタを有する層33_1、33_2を複数の層に設ければよいため、トランジスタ数が増えても回路面積の増大を抑制することができる。そのため、半導体装置のチップ面積を縮小することができる。
【0383】
なお
図69において、トランジスタ41、42C、42Dのチャネル長方向における構造を示している。チャネル幅構造については
図67で示した構造と同様であり、前述の構造を参照すればよい。
【0384】
図69に示す断面構造とすることで、異なる層にあるOSトランジスタを有する層33_1、33_2とで膜厚、膜質等を異ならせたOSトランジスタとすることができる。そのため異なる特性を有するトランジスタの作り分けを図ることができる。例えば、ゲート絶縁膜を薄膜化してスイッチン特性を高めたトランジスタと、ゲート絶縁膜を厚膜化して耐圧性を高めたトランジスタを積層して設けることができる。そのため、半導体装置の高性能化を図ることができる。
【0385】
図69に示すトランジスタ42C、42Dは、他の実施の形態で説明したトランジスタのうち、例えばOSトランジスタに相当するトランジスタである。
【0386】
図69に示す断面構造では、トランジスタ42Cのゲート絶縁膜を薄膜化して形成し、トランジスタ42Dのゲート絶縁膜を厚膜化して形成することができる。そのため
図69に示す断面構造では、スイッチング特性を向上させたトランジスタ42Cと、耐圧を向上させたトランジスタ42Dとを積層し、作製することができる。
【0387】
図69の断面構造の構成を他の実施の形態で述べたトランジスタに適用すると、メモリセルを有する半導体装置の高性能化を図ることができる。
【0388】
なお、本実施の形態に示す構成及び方法などは、他の実施の形態に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0389】
(実施の形態9)
本実施の形態では、上述の実施の形態で説明した半導体装置を電子部品に適用する例、及び該電子部品を具備する電子機器に適用する例について、
図70、
図71を用いて説明する。
【0390】
図70(A)では上述の実施の形態で説明した半導体装置を電子部品に適用する例について説明する。なお電子部品は、半導体パッケージ、又はIC用パッケージともいう。この電子部品は、端子取り出し方向や、端子の形状に応じて、複数の規格や名称が存在する。そこで、本実施の形態では、その一例について説明することにする。
【0391】
上記実施の形態8の
図65乃至
図69に示すようなトランジスタで構成される半導体装置は、組み立て工程(後工程)を経て、プリント基板に脱着可能な部品が複数合わさることで完成する。
【0392】
後工程については、
図70(A)に示す各工程を経ることで完成させることができる。具体的には、前工程で得られる素子基板が完成(ステップS1)した後、基板の裏面を研削する(ステップS2)。この段階で基板を薄膜化することで、前工程での基板の反り等を低減し、部品としての小型化を図るためである。
【0393】
基板の裏面を研削して、基板を複数のチップに分離するダイシング工程を行う。そして、分離したチップを個々にピックアップしてリードフレーム上に搭載し接合する、ダイボンディング工程を行う(ステップS3)。このダイボンディング工程におけるチップとリードフレームとの接着は、樹脂による接着や、テープによる接着等、適宜製品に応じて適した方法を選択する。なお、ダイボンディング工程は、インターポーザ上に搭載し接合してもよい。
【0394】
次いでリードフレームのリードとチップ上の電極とを、金属の細線(ワイヤー)で電気的に接続する、ワイヤーボンディングを行う(ステップS4)。金属の細線には、銀線や金線を用いることができる。また、ワイヤーボンディングは、ボールボンディングや、ウェッジボンディングを用いることができる。
【0395】
ワイヤーボンディングされたチップは、エポキシ樹脂等で封止される、モールド工程が施される(ステップS5)。モールド工程を行うことで電子部品の内部が樹脂で充填され、機械的な外力による内蔵される回路部やワイヤーに対するダメージを低減することができ、また水分や埃による特性の劣化を低減することができる。
【0396】
次いでリードフレームのリードをメッキ処理する。そしてリードを切断及び成形加工する(ステップS6)。このめっき処理によりリードの錆を防止し、後にプリント基板に実装する際のはんだ付けをより確実に行うことができる。
【0397】
次いでパッケージの表面に印字処理(マーキング)を施す(ステップS7)。そして最終的な検査工程(ステップS8)を経て電子部品が完成する(ステップS9)。
【0398】
以上説明した電子部品は、上述の実施の形態で説明した半導体装置を含む構成とすることができる。そのため、多値のデータを記憶できる半導体装置を有する電子部品を実現することができる。該電子部品は多値のデータを記憶できる半導体装置を含むため、記憶容量が向上した電子部品である。
【0399】
また、完成した電子部品の斜視模式図を
図70(B)に示す。
図70(B)では、電子部品の一例として、QFP(Quad Flat Package)の斜視模式図を示している。
図70(B)に示す電子部品700は、リード701及び半導体装置703を示している。
図70(B)に示す電子部品700は、例えばプリント基板702に実装される。このような電子部品700が複数組み合わされて、それぞれがプリント基板702上で電気的に接続されることで電子部品が実装された基板(実装基板704)が完成する。完成した実装基板704は、電子機器等の内部に設けられる。
【0400】
次いで、コンピュータ、携帯情報端末(携帯電話、携帯型ゲーム機、音響再生装置なども含む)、電子ペーパー、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、デジタルビデオカメラなどの電子機器に、上述の電子部品を適用する場合について説明する。
【0401】
図71(A)は、携帯型の情報端末であり、筐体901、筐体902、第1の表示部903a、第2の表示部903bなどによって構成されている。筐体901と筐体902の少なくとも一部には、先の実施の形態に示す半導体装置を有する実装基板が設けられている。そのため、記憶容量が向上した携帯型の情報端末が実現される。
【0402】
なお、第1の表示部903aはタッチ入力機能を有するパネルとなっており、例えば
図71(A)の左図のように、第1の表示部903aに表示される選択ボタン904により「タッチ入力」を行うか、「キーボード入力」を行うかを選択できる。選択ボタンは様々な大きさで表示できるため、幅広い世代の人が使いやすさを実感できる。ここで、例えば「キーボード入力」を選択した場合、
図71(A)の右図のように第1の表示部903aにはキーボード905が表示される。これにより、従来の情報端末と同様に、キー入力による素早い文字入力などが可能となる。
【0403】
また、
図71(A)に示す携帯型の情報端末は、
図71(A)の右図のように、第1の表示部903a及び第2の表示部903bのうち、一方を取り外すことができる。第2の表示部903bもタッチ入力機能を有するパネルとし、持ち運びの際、さらなる軽量化を図ることができ、一方の手で筐体902を持ち、他方の手で操作することができるため便利である。
【0404】
図71(A)に示す携帯型の情報端末は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報を操作又は編集する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。また、筐体の裏面や側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成としてもよい。
【0405】
また、
図71(A)に示す携帯型の情報端末は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、電子書籍サーバから、所望の書籍データなどを購入し、ダウンロードする構成とすることも可能である。
【0406】
更に、
図71(A)に示す筐体902にアンテナやマイク機能や無線機能を持たせ、携帯電話として用いてもよい。
【0407】
図71(B)は、電子ペーパーを実装した電子書籍910であり、筐体911と筐体912の2つの筐体で構成されている。筐体911及び筐体912には、それぞれ表示部913及び表示部914が設けられている。筐体911と筐体912は、軸部915により接続されており、該軸部915を軸として開閉動作を行うことができる。また、筐体911は、電源916、操作キー917、スピーカー918などを備えている。筐体911、筐体912の少なくとも一には、先の実施の形態に示す半導体装置を有する実装基板が設けられている。そのため、記憶容量が向上した電子書籍端末が実現される。
【0408】
図71(C)は、テレビジョン装置であり、筐体921、表示部922、スタンド923などで構成されている。テレビジョン装置の操作は、筐体921が備えるスイッチや、リモコン操作機924により行うことができる。筐体921及びリモコン操作機924には、先の実施の形態に示す半導体装置を有する実装基板が搭載されている。そのため、記憶容量が向上したテレビジョン装置が実現される。
【0409】
図71(D)は、スマートフォンであり、本体930には、表示部931と、スピーカー932と、マイク933と、操作ボタン934等が設けられている。本体930内には、先の実施の形態に示す半導体装置を有する実装基板が設けられている。そのため記憶容量が向上したスマートフォンが実現される。
【0410】
図71(E)は、デジタルカメラであり、本体941、表示部942、操作スイッチ943などによって構成されている。本体941内には、先の実施の形態に示す半導体装置を有する実装基板が設けられている。そのため、記憶容量が向上したデジタルカメラが実現される。
【0411】
以上のように、本実施の形態に示す電子機器には、先の実施の形態に係る半導体装置を有する実装基板が搭載されている。このため、記憶容量が向上した電子機器が実現される。
【0412】
(本明細書の記載に関する付記)
ある一つの実施の形態の中で述べる内容(一部の内容でもよい)は、その実施の形態で述べる別の内容(一部の内容でもよい)、及び/又は、一つ若しくは複数の別の実施の形態で述べる内容(一部の内容でもよい)に対して、適用、組み合わせ、又は置き換えなどを行うことが出来る。
【0413】
なお、実施の形態の中で述べる内容とは、各々の実施の形態において、様々な図を用いて述べる内容、又は明細書に記載される文章を用いて述べる内容のことである。
【0414】
なお、ある一つの実施の形態において述べる図(一部でもよい)は、その図の別の部分、その実施の形態において述べる別の図(一部でもよい)、及び/又は、一つ若しくは複数の別の実施の形態において述べる図(一部でもよい)に対して、組み合わせることにより、さらに多くの図を構成させることが出来る。
【0415】
なお、明細書の中の図面や文章において規定されていない内容について、その内容を除くことを規定した発明の一態様を構成することが出来る。または、ある値について、上限値と下限値などで示される数値範囲が記載されている場合、その範囲を任意に狭めることで、または、その範囲の中の一点を除くことで、その範囲を一部除いた発明の一態様を規定することができる。これらにより、例えば、従来技術が本発明の一態様の技術的範囲内に入らないことを規定することができる。
【0416】
具体例としては、ある回路において、第1乃至第5のトランジスタを用いている回路図が記載されているとする。その場合、その回路が、第6のトランジスタを有していないことを発明として規定することが可能である。または、その回路が、容量素子を有していないことを規定することが可能である。さらに、その回路が、ある特定の接続構造をとっているような第6のトランジスタを有していない、と規定して発明を構成することができる。または、その回路が、ある特定の接続構造をとっている容量素子を有していない、と規定して発明を構成することができる。例えば、ゲートが第3のトランジスタのゲートと接続されている第6のトランジスタを有していない、と発明を規定することが可能である。または、例えば、第1の電極が第3のトランジスタのゲートと接続されている容量素子を有していない、と発明を規定することが可能である。
【0417】
別の具体例としては、ある値について、例えば、「ある電圧が、3V以上10V以下であることが好適である」と記載されているとする。その場合、例えば、ある電圧が、−2V以上1V以下である場合を除く、と発明の一態様を規定することが可能である。または、例えば、ある電圧が、13V以上である場合を除く、と発明の一態様を規定することが可能である。なお、例えば、その電圧が、5V以上8V以下であると発明を規定することも可能である。なお、例えば、その電圧が、概略9Vであると発明を規定することも可能である。なお、例えば、その電圧が、3V以上10V以下であるが、9Vである場合を除くと発明を規定することも可能である。なお、ある値について、「このような範囲であることが好ましい」、「これらを満たすことが好適である」となどと記載されていたとしても、ある値は、それらの記載に限定されない。つまり、「好ましい」、「好適である」などと記載されていたとしても、必ずしも、それらの記載には、限定されない。
【0418】
別の具体例としては、ある値について、例えば、「ある電圧が、10Vであることが好適である」と記載されているとする。その場合、例えば、ある電圧が、−2V以上1V以下である場合を除く、と発明の一態様を規定することが可能である。または、例えば、ある電圧が、13V以上である場合を除く、と発明の一態様を規定することが可能である。
【0419】
別の具体例としては、ある物質の性質について、例えば、「ある膜は、絶縁膜である」と記載されているとする。その場合、例えば、その絶縁膜が、有機絶縁膜である場合を除く、と発明の一態様を規定することが可能である。または、例えば、その絶縁膜が、無機絶縁膜である場合を除く、と発明の一態様を規定することが可能である。または、例えば、その膜が、導電膜である場合を除く、と発明の一態様を規定することが可能である。または、例えば、その膜が、半導体膜である場合を除く、と発明の一態様を規定することが可能である。
【0420】
別の具体例としては、ある積層構造について、例えば、「A膜とB膜との間に、ある膜が設けられている」と記載されているとする。その場合、例えば、その膜が、4層以上の積層膜である場合を除く、と発明を規定することが可能である。または、例えば、A膜とその膜との間に、導電膜が設けられている場合を除く、と発明を規定することが可能である。
【0421】
なお、本明細書等において記載されている発明の一態様は、さまざまな人が実施することが出来る。しかしながら、その実施は、複数の人にまたがって実施される場合がある。例えば、送受信システムの場合において、A社が送信機を製造および販売し、B社が受信機を製造および販売する場合がある。別の例としては、TFTおよび発光素子を有する発光装置の場合において、TFTが形成された半導体装置は、A社が製造および販売する。そして、B社がその半導体装置を購入して、その半導体装置に発光素子を成膜して、発光装置として完成させる、という場合がある。
【0422】
このような場合、A社またはB社のいずれに対しても、特許侵害を主張できるような発明の一態様を、構成することが出来る。つまり、A社のみが実施するような発明の一態様を構成することが可能であり、別の発明の一態様として、B社のみが実施するような発明の一態様を構成することが可能である。また、A社またはB社に対して、特許侵害を主張できるような発明の一態様は、明確であり、本明細書等に記載されていると判断する事が出来る。例えば、送受信システムの場合において、送信機のみの場合の記載や、受信機のみの場合の記載が本明細書等になかったとしても、送信機のみで発明の一態様を構成することができ、受信機のみで別の発明の一態様を構成することができ、それらの発明の一態様は、明確であり、本明細書等に記載されていると判断することが出来る。別の例としては、TFTおよび発光素子を有する発光装置の場合において、TFTが形成された半導体装置のみの場合の記載や、発光素子を有する発光装置のみの場合の記載が本明細書等になかったとしても、TFTが形成された半導体装置のみで発明の一態様を構成することができ、発光素子を有する発光装置のみで発明の一態様を構成することができ、それらの発明の一態様は、明確であり、本明細書等に記載されていると判断することが出来る。
【0423】
なお、本明細書等においては、能動素子(トランジスタ、ダイオードなど)、受動素子(容量素子、抵抗素子など)などが有するすべての端子について、その接続先を特定しなくても、当業者であれば、発明の一態様を構成することは可能な場合がある。つまり、接続先を特定しなくても、発明の一態様が明確であると言える。そして、接続先が特定された内容が、本明細書等に記載されている場合、接続先を特定しない発明の一態様が、本明細書等に記載されていると判断することが可能な場合がある。特に、端子の接続先が複数のケース考えられる場合には、その端子の接続先を特定の箇所に限定する必要はない。したがって、能動素子(トランジスタ、ダイオードなど)、受動素子(容量素子、抵抗素子など)などが有する一部の端子についてのみ、その接続先を特定することによって、発明の一態様を構成することが可能な場合がある。
【0424】
なお、本明細書等においては、ある回路について、少なくとも接続先を特定すれば、当業者であれば、発明を特定することが可能な場合がある。または、ある回路について、少なくとも機能を特定すれば、当業者であれば、発明を特定することが可能な場合がある。つまり、機能を特定すれば、発明の一態様が明確であると言える。そして、機能が特定された発明の一態様が、本明細書等に記載されていると判断することが可能な場合がある。したがって、ある回路について、機能を特定しなくても、接続先を特定すれば、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。または、ある回路について、接続先を特定しなくても、機能を特定すれば、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。
【0425】
なお、本明細書等においては、ある一つの実施の形態において述べる図または文章において、その一部分を取り出して、発明の一態様を構成することは可能である。したがって、ある部分を述べる図または文章が記載されている場合、その一部分の図または文章を取り出した内容も、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能であるものとする。そして、その発明の一態様は明確であると言える。そのため、例えば、能動素子(トランジスタ、ダイオードなど)、配線、受動素子(容量素子、抵抗素子など)、導電層、絶縁層、半導体層、有機材料、無機材料、部品、装置、動作方法、製造方法などが単数もしくは複数記載された図面または文章において、その一部分を取り出して、発明の一態様を構成することが可能であるものとする。例えば、N個(Nは整数)の回路素子(トランジスタ、容量素子等)を有して構成される回路図から、M個(Mは整数で、M<N)の回路素子(トランジスタ、容量素子等)を抜き出して、発明の一態様を構成することは可能である。別の例としては、N個(Nは整数)の層を有して構成される断面図から、M個(Mは整数で、M<N)の層を抜き出して、発明の一態様を構成することは可能である。さらに別の例としては、N個(Nは整数)の要素を有して構成されるフローチャートから、M個(Mは整数で、M<N)の要素を抜き出して、発明の一態様を構成することは可能である。さらに別の例としては、「Aは、B、C、D、E、または、Fを有する」と記載されている文章から、一部の要素を任意に抜き出して、「Aは、BとEとを有する」、「Aは、EとFとを有する」、「Aは、CとEとFとを有する」、または、「Aは、BとCとDとEとを有する」などの発明の一態様を構成することは可能である。
【0426】
なお、本明細書等においては、ある一つの実施の形態において述べる図または文章において、少なくとも一つの具体例が記載される場合、その具体例の上位概念を導き出すことは、当業者であれば容易に理解される。したがって、ある一つの実施の形態において述べる図または文章において、少なくとも一つの具体例が記載される場合、その具体例の上位概念も、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。そして、その発明の一態様は、明確であると言える。
【0427】
なお、本明細書等においては、少なくとも図に記載した内容(図の中の一部でもよい)は、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。したがって、ある内容について、図に記載されていれば、文章を用いて述べていなくても、その内容は、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。同様に、図の一部を取り出した図についても、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。そして、その発明の一態様は明確であると言える。