(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0005】
上記従来の車両用ラジエータ装置においては、グリルシャッター部のフレームが矩形の枠状に形成されており、その枠の厚みの分だけ、グリル開口部(空気の取り入れ口の開口面積)が実質的に狭くなっている。よって、車両用ラジエータ装置の冷却性能が低下する虞がある。
【0006】
本発明は上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、冷却性能を向上させた車両用ラジエータ装置を提供することにある。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の各構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、ラジエータ本体部(10)と、
前記ラジエータ本体部を支持するラジエータ支持部材(20)と、前記ラジエータ本体部の前方に設けられた開口部から取り入れられて前記ラジエータ本体部へ向かって流れる空気の量を調整するグリルシャッター部(30)と、前記ラジエータ本体部と前記グリルシャッター部との下方にて前後方向に延設され、前記開口部から取り入れられた空気を前記ラジエータ本体部へ導く板状の導風板(40)と、を備えた車両用ラジエータ装置(1)であって、前記グリルシャッター部は、車両の開口部を開閉するシャッター部材(31)と、前記シャッター部材を支持するシャッター支持部材(32)であって、左右一対のサイドフレーム部(321,322)、及び前記サイドフレーム部の上端部同士を接続するアッパーフレーム部(323)とを有し、下方へ開放されているシャッター支持部材と、を備え、前記グリルシャッター部のサイドフレーム部の下端部が前記導風板の上面部に組み付けられて
おり、前記ラジエータ支持部材は、左右一対の縦柱部、及び前記縦柱部の上端部同士を接続する横柱部とを有し、下方へ開放されており、前記ラジエータ本体部の下端部及び前記ラジエータ支持部材の縦柱部の下端部が、前記導風板の後端部に組み付けられている、車両用ラジエータ装置としたことにある。
【0008】
本発明によれば、グリルシャッター部のシャッター支持部材は、下方へ開放されている。すなわち、上記従来のグリルシャッター部における下側のフレーム部が削除され、サイドフレーム部の下端部が導風板に直接的に組み付けられている。したがって、従来のグリルシャッター部に比べて、前記下側のフレーム部の分だけグリル開口部を拡大できる。よって、車両用ラジエータ装置の冷却性能を向上させることができる。また、従来の車両用ラジエータ装置に比べて部品点数を削減できる。
【0010】
また、これによれば、ラジエータ支持部材もシャッター支持部材と同様に下方へ開放され、その縦柱部の下端部が導風板に直接的に組み付けられている。したがって、ラジエータ支持部材の下側のフレーム部が別体として設けられている場合に比べて、部品点数を削減できる。
【0011】
また、本発明の他の特徴は、前記導風板は、車両の衝突時に生じた衝撃を吸収する衝撃吸収部材(42)を備える、車両用ラジエータ装置としたことにある。
【0012】
車両の衝突時に生じた衝撃は、主に、バンパーリインフォースメント(BR)に接続された衝撃吸収部材(CB)によって吸収される。本発明に係る衝撃吸収部材は補助的に機能する。よって、本発明に係る車両用ラジエータ装置が適用された車両は、より多くの衝撃を吸収可能である。
【0013】
また、本発明の他の特徴は、前記衝撃吸収部材は、車両前後方向に延設され、前記導風板は、前記衝撃吸収部材を保持する保持部(414)を備えていることにある。これによれば、衝突時に衝撃吸収部材が脱落すること、衝撃吸収部材の中間部の折れ曲がりなどを抑制でき、衝撃吸収性能を十分に発揮させることができる。
【0014】
また、本発明の他の特徴は、前記グリルシャッター部のサイドフレーム部の下端部が前記衝撃吸収部材に組み付けられていることにある。これによれば、グリルシャッター部を安定的に保持できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る車両用ラジエータ装置1について説明する。まず、車両用ラジエータ装置1が適用された車両の前端部の構造について簡単に説明しておく。
図1に示すように、この車両は、車両前後方向に延びる左右一対のサイドメンバS,Sを備える。サイドメンバS,Sの前端面には、衝撃吸収部材CB,CBがそれぞれ取り付けられている。衝撃吸収部材CBは、車両前後方向に延びる筒状に形成されている。衝撃吸収部材CB,CBの前端面には、車幅方向に延びるバンパーリインフォースメントBRが取り付けられている。車両の前端に物体が衝突したとき、衝撃吸収部材CBが車両前後方向に圧縮されるように変形することにより、前記衝突による衝撃が吸収される。車両用ラジエータ装置1は、バンパーリインフォースメントBR、衝撃吸収部CB,CB及びサイドメンバS,Sで囲まれた空間に配置されている。
【0017】
次に、車両用ラジエータ装置1について具体的に説明する。車両用ラジエータ装置1は、
図2に示すように、ラジエータ本体部10、ラジエータ支持部材20、グリルシャッター部30及び導風板40を備える。
【0018】
ラジエータ本体部10の構造は、周知のラジエータ本体部と同様である。つまり、ラジエータ本体部10は、エンジンに設けられた冷却水用の流路に接続され、エンジンを通過して高温になった冷却水を空冷する。すなわち、ラジエータ本体部10は、冷却水の熱を放散するフィン11を備える。また、ラジエータ本体部10の上端面及び下端面には、上方及び下方へそれぞれ突出したブッシュ部12がそれぞれ形成されている。
【0019】
ラジエータ支持部材20は、
図3に示すように、本体部21及び補強部22を備える。本体部21は、車両高さ方向に延設された左右一対の縦柱部211,212、及び縦柱部211,212の上端部同士を接続する横柱部213を備える。縦柱部211,212、及び横柱部213は、合成樹脂材で一体的に形成されている。
【0020】
縦柱部211,212は、ラジエータ本体部10の左右の両側縁部に沿って延設されている。縦柱部211,212は、前方へ開放された箱状に形成されており、それらの内部には複数の補強リブが設けられている。
【0021】
横柱部213は、車幅方向に延設されている。つまり、横柱部213は、ラジエータ本体部10の上縁部に沿って延設されている。横柱部213の車幅方向に垂直な断面は、
図4に示すように、階段状を呈する。横柱部213は、基部213a、溝部213b及び突出部213cを備える。
【0022】
基部213aは、車幅方向に延び、且つ車両高さ方向に垂直な板状に形成されている。基部213aの前端部の板厚は、後端部よりも大きい。
【0023】
溝部213bは、基部213aの前側の端部における下端部に接続されており、基部213aよりも前方且つ下方に位置している。溝部213bは、後方へ開放されている。溝部213bは、ラジエータ本体部10がラジエータ支持部材20に支持された状態において、ラジエータ本体部10の上縁部の前側に位置する(
図5及び
図6参照)。溝部213bには、後述する補強部22が挿入されて固定される。
【0024】
突出部213cは、溝部213bの前端部に接続されており、溝部213bよりも前方且つ下方に位置している。この突出部213cの前面には、車両のフードHの前端を係止するフードロックHLが組み付けられる(
図1及び
図5参照)。基部213aの左右の端部には、車両高さ方向に貫通する貫通孔TH
213aが形成されている(
図3及び
図6参照)。貫通孔TH
213aは、ブッシュ部12に対応している。また、溝部213bの左端部及び右端部には、その上側の面から溝部213bの内部へ貫通する2個の貫通孔TH
213bがそれぞれ形成されている(
図3参照)。貫通孔TH
213bには、次に説明する補強部22を固定するボルトが挿入される。
【0025】
補強部22は、筒状部221及び補強シート222を備える(
図3参照)。筒状部221は、車幅方向に延びる角筒状に形成されている。筒状部221は、ラジエータ支持部材20の横柱部213よりも長い。つまり、筒状部221は、溝部213bに固定された状態において、本体部21から左方及び右方へ突出している。筒状部221の長手方向における中央部は、車幅方向に平行である。筒状部221の長手方向における中間部であって、補強部22が溝部213bに固定された状態において本体部21の左端部及び右端部に位置する部分が後方へそれぞれ湾曲している。筒状部221の端部であって、本体部21から突出した左右の突出部は、斜め後方へ直線状にそれぞれ延設されている。それらの突出部の先端部(左端部及び右端部)には、車両高さ方向に貫通する貫通孔TH
221がそれぞれ形成されている。貫通孔TH
221には、車両用ラジエータ装置1を車両の本体部に固定するためのボルトが挿入される。また、筒状部221の長手方向における中央部(車幅方向に平行に形成された部分)の上側の壁部には、雌ネジFT
221が形成されている。雌ネジFT
221は貫通孔TH
213bに対応している。
【0026】
筒状部221は、次のようにして形成される。まず、金属材(例えば、アルミニウム合金材)を押出加工して直線状に延びる角筒を形成する。そして、前記角筒の長手方向における中間部(本体部21の左端部及び右端部にそれぞれ位置する部分)が後方へ湾曲するように曲げ加工する。つぎに、貫通孔TH
221及び雌ネジFT
221を形成する。このようにして、筒状部221が形成される。
【0027】
補強シート222は、炭素繊維強化樹脂材(CFRP)で形成されている。補強シート222は、車幅方向に延び、且つ車両高さ方向に垂直なシート状に形成されている。補強シート222は、筒状部221の車幅方向中央部における下面に貼り付けられる。
【0028】
補強部22は、次のようにして、溝部213bに固定される。まず、補強部22を溝部213bに挿入する。そして、貫通孔TH
213bにボルトを挿入し、その先端部を雌ネジFT
221に締結する。このようにして、補強部22が溝部213bに固定される。
【0029】
グリルシャッター部30は、車両用ラジエータ装置1が車両に組み付けられた状態において、車両のグリル開口部に位置し、グリル開口部からエンジンルーム内へ取り入れてラジエータ本体部10へ向かって流れる空気の量を調節する。グリルシャッター部30は、
図7に示すように、複数(例えば、4つ)のシャッター部材31と、シャッター部材31を支持するシャッター支持部材32、及びシャッター部材31を駆動する駆動部33を備える。
【0030】
シャッター部材31は、軸部311と板状部312を備える。軸部311は、車幅方向に延びる棒状に形成されている。板状部312は、車幅方向に延びる板状に形成されている。板状部312の幅方向(車幅方向及び板厚方向に垂直な方向)における中央部に軸部311が設けられている。
【0031】
シャッター支持部材32は、車両高さ方向に延びる左右一対のサイドフレーム部321,322、サイドフレーム部321,322の上端部同士を接続するアッパーフレーム部323、アッパーフレーム部323の中央部を支持する補強部324を備える。サイドフレーム部321は左方へ開放された箱状に形成されている。つまり、サイドフレーム部321は、車幅方向に垂直な底壁部321a、底壁部321aの周囲を取り囲む周壁部321bを備える。さらに、サイドフレーム部321は、底壁部321aから左方へ延設され、車両高さ方向に垂直な板状のブラケット部321cを備える。ブラケット部321cには、車両高さ方向に貫通する貫通孔TH
321cが形成されている。サイドフレーム部322の形状は、サイドフレーム部321と左右対称である。つまり、サイドフレーム部322は、サイドフレーム部321と同様に、底壁部322a、周壁部322b及びブラケット部322cを備える。また、ブラケット部322cには貫通孔TH
322cが形成されている。アッパーフレーム部323は、車幅方向に延び、且つ車両高さ方向に垂直な板状に形成されている。補強部324は、アッパーフレーム部323の車幅方向における中央部から下方へ延びる柱状に形成されている。サイドフレーム部321,322、アッパーフレーム部323及び補強部324は、合成樹脂材で一体的に形成されている。
【0032】
駆動部33は、車幅方向に延びる中心軸線まわりに回転可能な駆動軸を備える。駆動部33は、前記駆動軸の回転角度を調整可能なモータ(例えばステッピングモータ)を備える。駆動部33は、サイドフレーム部322の底壁部322aの右面に組み付けられている。
【0033】
サイドフレーム部321,322及び補強部324には、車幅方向に貫通する2つの貫通孔TH
32がそれぞれ形成されている。前記2つの貫通孔TH
32は、車両高さ方向に離間している。貫通孔TH
32にシャッター部材31の軸部311が挿入されている。これにより、シャッター部材31が貫通孔TH
32の中心軸線まわりに回転可能に支持されている。2つのシャッター部材31,31がサイドフレーム部321と補強部324との間に支持され、他の2つのシャッター部材31,31が、サイドフレーム部322と補強部324との間に支持されている。右側のシャッタ部材31,31の軸部311,311が、駆動部33の駆動軸に接続されている。左側のシャッター部材31,31の軸部311,311は、図示しないカップリング部材を介して、右側のシャッター部材31,31の軸部311,311に連結されている。駆動部33の駆動軸が回転することにより、各シャッター部材31が軸部311の中心軸線周りに回転する。なお、全てのシャッター部材31の向きが同一である。シャッター部材31の回転角度を調整することにより、グリル開口部からエンジンルーム内へ取り込まれる空気の量を調整できる。
【0034】
導風板40は、
図8に示すように、板状部41及び衝撃吸収部材42,42を備える。板状部41は、基端部411、本体部412、接続部413、保持部414,414を有する(
図5及び
図6参照)。
【0035】
基端部411は、板状部41の後端にて車両幅方向に延び、且つ車両高さ方向に垂直な板状に形成されている。基端部411には、車両高さ方向に貫通する貫通孔TH
411が形成されている(
図6参照)。貫通孔TH
411は、ブッシュ部12に対応している。
【0036】
本体部412は、基端部411の前方且つ上方に位置している。本体部412は、車幅方向及び車両前後方向に延びる板状に形成されている。本体部412の前端部は、車両高さ方向に垂直な板状に形成されている。本体部412の車両前後方向における中央部から後端部に亘る部分が上方へ湾曲している。また、本体部412の前端部には、車両高さ方向に貫通する貫通孔TH
412が形成されている。貫通孔TH
412は、車幅方向における中央部に位置している。また、本体部412の下面には、複数の補強リブが形成されている。
【0037】
接続部413は、車幅方向に延び、且つ車両前後方向に垂直な板状に形成されている。接続部413の上端が本体部412の後端に接続され、接続部413の下端が基端部411の前端に接続されている。
【0038】
保持部414,414は、本体部412の左右の端部にそれぞれ接続されている(
図8参照)。保持部414は、車両前後方向に延び、且つ下方へ開放された箱状に形成されている。保持部414の上側の壁部(上底部)には、車両高さ方向に貫通する4個の貫通孔TH
414が形成されている。これらの4個の貫通孔TH
414は、車両前後方向に互いに間隔をおいて形成されている。
【0039】
衝撃吸収部材42は、車両前後方向に延びる角筒状に形成されている。衝撃吸収部材42は、例えば、金属材料(アルミニウム合金材)を押出加工して形成される。衝撃吸収部材42の上側の壁部には、4個の貫通孔TH
414にそれぞれ対応した4個の雌ネジFT
42が形成されている。衝撃吸収部材42,42は、保持部414,414の下方から、保持部414,414内へ挿入される。そして、貫通孔TH
414にボルトが挿入され、前記ボルトの先端が雌ネジFT
42に締結されることにより、衝撃吸収部材42,42が保持部414,414に固定される。なお、最初、衝撃吸収部材42の4個の雌ネジFT
42のうち、後側の2つの雌ネジFT
42のみにボルトが締結され、衝撃吸収部材42の後側部分のみが保持部414に固定されている。そして、次に説明するように、車両用ラジエータ装置1の組み立て工程において、残りの2つの雌ネジFT
42にボルトが締結され、衝撃吸収部材42の前側部分が、保持部414に固定される。
【0040】
つぎに、車両用ラジエータ装置1の組み立て手順について説明する(
図2参照)。まず、ラジエータ本体部10の下側のブッシュ部12を導風板40の貫通孔TH
411に挿入し、ラジエータ本体部10を導風板40の基端部411の上面に載置する。つぎに、ラジエータ本体部10の上方からラジエータ支持部材20を下降させ、ラジエータ本体部10の上側のブッシュ部12をラジエータ支持部材20の貫通孔TH
213aに挿入する。そして、縦柱部211,212の下端部を基端部411に組み付ける。この状態において、導風板40の本体部412の後端の高さが、ラジエータ本体部10のフィン11の下端の高さに一致している。グリルシャッター部30を通過した空気が本体部412に沿って流れる。つまり、エンジンルーム内に取り込まれた空気がフィン11に向かって流れる。つぎに、グリルシャッター部30の補強部34の下端部を導風板40の貫通孔TH
412に挿入するとともに、ブラケット部321c,322cを保持部414,414の上面に載置する。ブラケット部321c,322cの貫通孔TH
321c,TH
322cは、保持部414,414の前側の2つの貫通孔TH
414及び衝撃吸収部材42の前側の2つの雌ネジFT
42に対応している。貫通孔TH
321c,TH
322c及び貫通孔TH
414にボルトを挿入し、雌ネジFT
42に締結する。これにより、グリルシャッター部30が導風板40に固定されるとともに、衝撃吸収部材42の前側部分が導風板40に固定される。上記のようにして、車両用ラジエータ装置1が組み立てられる。
【0041】
車両用ラジエータ装置1は、エンジンルームの下方からエンジンルーム内へ挿入され、車両本体部に組み付けられる。具体的には、補強部22の両端部、縦柱部211,212、及び保持部414,414が車両の骨格を構成する部材(例えば、サイドメンバ)に締結される。そして、車両用ラジエータ装置1の下方に、アンダープレートUPが組み付けられる(
図1参照)。
【0042】
上記のように構成した車両用ラジエータ装置1によれば、ラジエータ支持部材20の本体部21が合成樹脂材で形成され、その横柱部213が金属製の補強部22によって補強されている。したがって、ラジエータ支持部材の全体が金属製である場合に比べて、重量を削減できるだけでなく、剛性を高く保つことができる。とくに、補強部22(筒状部221)は、車幅方向に延びる筒状に形成されているので、上記従来のラジエータ支持部材のように下方へ開放された溝状に形成された横柱部に比べて、ねじり剛性が高い。また、その車幅方向における中央部の下面に炭素繊維強化樹脂製の補強シート222が貼り付けられている。したがって、横柱部213の車幅方向における中央部を下方へ押圧する外力に対する剛性(曲げ剛性)が高い。よって、フードHの開閉時に、フードロックHLを介して横柱部213に比較的大きな荷重が加わったとしても、横柱部213が変形することを抑制できる。また、車両用ラジエータ装置1において、補強部22は、ラジエータ本体部10の上端部の前方に位置している。したがって、補強部22がラジエータ本体部10の上方に位置している場合に比べて、車両用ラジエータ装置1の車両高さ方向の寸法を小さくすることができる。
【0043】
また、グリルシャッター部30のシャッター支持部材32は、下方へ開放されている。すなわち、従来のグリルシャッター部における下側のフレーム部が削除され、サイドフレーム部321,322の下端部が導風板40に直接的に組み付けられている。したがって、従来のグリルシャッター部に比べて、実質的に、前記下側のフレーム部の分だけグリル開口部を拡大できる。よって、ラジエータ装置の冷却性能を向上させることが出来る。また、従来のグリルシャッター部に比べて部品点数を削減できる。
【0044】
また、ラジエータ支持部材20も、シャッター支持部材32と同様に下方へ開放され、その縦柱部211,212の下端部が導風板40に直接的に組み付けられている。したがって、ラジエータ支持部材20の下側のフレーム部が別体として設けられている場合に比べて、部品点数を削減できる。
【0045】
また、導風板40は、衝撃吸収部材42を備えるので、衝撃吸収部材CBのみを備えた車両に比べて、より多くの衝撃を吸収可能である。また、箱状に形成された保持部414に衝撃吸収部材42が収容されて固定されている。したがって、その中心軸線方向に対して折れ曲がることが抑制される。言い換えれば、衝突時に、衝撃吸収部材42が、その中心軸線方向に圧縮されるように変形する。よって、衝撃が効率良く吸収される。
【0046】
また、グリルシャッター部30のサイドフレーム部321,322の下端部が比較的剛性の高い衝撃吸収部材42,42に組み付けられている。これにより、グリルシャッター部30を安定的に保持できる。
【0047】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0048】
例えば、上記実施形態においては、筒状部221に補強シート222が貼り付けられているが、筒状部221と補強シート22とが一体的に形成(例えば、インサート成形)されていてもよい。また、筒状部221の車幅方向における中央部の下側の壁部のみならず、さらに広範囲に亘る部分が補強シート222によって補強されていても良い。例えば、筒状部221の車幅方向における中央部の全周に亘る部分が補強シート222によって補強されていても良い。また、補強シート22は、炭素繊維強化樹脂材に限られず、他の材料を用いて形成されていてもよい。