特許第6618777号(P6618777)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6618777
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】酸化黒鉛の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/23 20170101AFI20191202BHJP
【FI】
   C01B32/23
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-221471(P2015-221471)
(22)【出願日】2015年11月11日
(65)【公開番号】特開2017-88451(P2017-88451A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 博信
(72)【発明者】
【氏名】鴻巣 修
(72)【発明者】
【氏名】郷田 隼
【審査官】 廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0111449(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103803537(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0293443(US,A1)
【文献】 特開2013−079176(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2014−0028381(KR,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2011−0051907(KR,A)
【文献】 特開2011−148701(JP,A)
【文献】 特開2002−053313(JP,A)
【文献】 特開2010−102829(JP,A)
【文献】 特開2011−213583(JP,A)
【文献】 特開2014−125406(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02639201(EP,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103570007(CN,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2015−0122316(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/00−32/991
B82Y 40/00
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒鉛を酸化して酸化黒鉛を製造する方法であって、
該製造方法は、黒鉛と硫酸とを含む混合液に酸化剤を添加して黒鉛を酸化する工程、及び、
該酸化工程で得られた混合液を、該混合液100質量%に対して200質量%以上、1000質量%以下の水又は過酸化水素水に添加する工程を含む
ことを特徴とする酸化黒鉛の製造方法。
【請求項2】
前記添加工程は、前記酸化工程で得られた混合液を、過酸化水素水に添加する工程である
ことを特徴とする請求項1に記載の酸化黒鉛の製造方法。
【請求項3】
前記添加工程における過酸化水素水の濃度は、10質量%以下である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化黒鉛の製造方法。
【請求項4】
前記添加工程は、水又は過酸化水素水の温度を60℃以下に維持しながら前記酸化工程で得られた混合液を添加する工程である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の酸化黒鉛の製造方法。
【請求項5】
前記添加工程は、水又は過酸化水素水の温度変化を40℃以下に維持しながら前記酸化工程で得られた混合液を添加する工程である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の酸化黒鉛の製造方法。
【請求項6】
前記酸化剤は、過マンガン酸塩である
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の酸化黒鉛の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化黒鉛の製造方法に関する。より詳しくは、触媒材料、電池の電極活物質、キャパシタの電極材料、熱電変換材料、導電性材料、発光材料、潤滑材料等として好適に用いることができる酸化黒鉛の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化黒鉛は、sp結合で結合した炭素原子が平面的に並んだ層状構造をもつ黒鉛を酸化し、酸素官能基を付与したものであり、その特異な構造や物性のために数多くの研究がなされている。酸化黒鉛は、触媒材料、電池の電極活物質、キャパシタの電極材料、熱電変換材料、導電性材料、発光材料、潤滑材料等として用いられることが期待されている。
【0003】
酸化黒鉛の製造方法としては、酸化剤として過マンガン酸カリウムを反応系内に氷冷下で添加して黒鉛を酸化するハマーズ法が知られており(非特許文献1参照。)、当該方法を改良することで安全性や得られる酸化黒鉛の品質等を向上させる試みがなされている(特許文献1、2、非特許文献2、3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−148701号公報
【特許文献2】特開2002−53313号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】William S. Hummers, et.al, Journal of American Chemical Society, 1958, 80, 1339
【非特許文献2】Nina I. Kovtyukhova, et.al, Chemistry of Materials, 1999, 11, 771-778
【非特許文献3】Daniela C. Marcano, et.al, ACS NANO, 2010, 4, 8, 4806-4814
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の酸化黒鉛の製造方法は、安定した品質の酸化黒鉛を高効率(短時間)で製造するための工夫の余地があった。
【0007】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、安定した品質の酸化黒鉛を効率的に製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、酸化黒鉛の製造方法について種々検討し、黒鉛と硫酸とを含む混合液に酸化剤を添加して黒鉛を酸化する方法に着目した。該黒鉛の酸化方法で得られた混合液に水を添加し、次いで過酸化水素水を添加して酸化剤を還元し、反応停止(クエンチ)する従来の方法では、水和熱(希釈熱)により大きな発熱が生じるため、液温が低くなるまで添加を止めて待機する必要が生じ、反応停止に要する時間が長時間化する。また従来の方法では、上記発熱に起因して水や過酸化水素水の添加時に酸化剤だけでなく酸化黒鉛も還元されやすく、高品質な酸化黒鉛を安定的に製造することができず、過酸化水素水の添加時に酸素ガスが発生し、激しい発泡が生じるため、液面が急激に上昇し、液面が安定するまで待機する必要が生じ、反応停止に要する時間が長時間化するとともに、得られる酸化黒鉛の構造や組織の均一性を維持し難い。これに対し、本発明者らは、上記酸化工程で得られた混合液を、該混合液に対して過剰の水又は過酸化水素水に添加する方法に想到し、該方法を用いることで、発熱、発泡を充分に抑制することができ、安定した品質の酸化黒鉛を効率的に製造することができることを見出した。
以上のようにして本発明者らは上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
【0009】
すなわち本発明は、黒鉛を酸化して酸化黒鉛を製造する方法であって、該製造方法は、黒鉛と硫酸とを含む混合液に酸化剤を添加して黒鉛を酸化する工程、及び、該酸化工程で得られた混合液を、該混合液100質量%に対して200質量%以上の水又は過酸化水素水に添加する工程を含む酸化黒鉛の製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において段落に分けて記載される個々の本発明の好ましい特徴を2つ以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態である。
【0010】
<酸化黒鉛の製造方法>
本発明の製造方法により得られる酸化黒鉛は、グラフェン、黒鉛(グラファイト)等の黒鉛質の炭素材料に酸素が結合したものであり、エポキシ基、カルボキシル基、カルボン酸塩基、水酸基等の酸素含有官能基を有する。
上記酸化黒鉛は、更に、硫黄含有基等のその他の官能基を有していてもよいが、炭素原子、水素原子、及び、酸素原子のみを構成元素とするものであることが好ましい。
【0011】
本発明の製造方法は、先ず上記酸化工程を行い、次いで酸化工程で得られた混合液を水又は過酸化水素水に添加する工程を行うものであるが、以下では、先ず添加工程について説明し、次いで酸化工程について説明する。該添加工程の説明において、混合液とは、特に断らない限り、酸化工程で得られた混合液を言う。
【0012】
(添加工程)
本発明の酸化黒鉛の製造方法は、上記酸化工程で得られた混合液を、該混合液100質量%に対して200質量%以上の水又は過酸化水素水に添加する工程を含む。
このように酸化工程で得られた混合液を混合液に対して過剰の水又は過酸化水素水に添加して酸化反応を停止することにより、発熱、発泡を充分に抑制することができる。これにより、添加を止めて待機する時間を削減することができ、反応停止に要する時間を短縮することができるとともに、酸化黒鉛の還元反応を抑制でき、また、液面の急激な上昇等を充分に抑制して安定的に反応を停止することができる。その結果、高品質な酸化黒鉛を効率的に製造することができる。
また本発明の酸化黒鉛の製造方法では、上記酸化工程で得られた混合液中の粗酸化グラフェンが、水又は過酸化水素水に添加された後、凝集・沈降し易い傾向がある。したがって、本発明の酸化黒鉛の製造方法は、デカンテーション等の固液分離による精製の効率を向上すると考えられる。
【0013】
上記添加工程における水又は過酸化水素水の量は、発熱、発泡をより充分に抑制する観点から、酸化工程で得られた混合液100質量%に対して、300質量%以上であることが好ましく、350質量%以上であることがより好ましく、400質量%以上であることが更に好ましく、500質量%以上であることが特に好ましい。また水又は過酸化水素水の量の上限値は特に限定されないが、廃水量を低減する観点から、該量は、2000質量%以下であることが好ましく、1600質量%以下であることがより好ましく、1200質量%以下であることが一層好ましく、1000質量%以下であることが特に好ましい。
【0014】
本発明の酸化黒鉛の製造方法において、上記添加工程における過酸化水素水の濃度は、発泡の抑制の観点からは、10質量%以下であることが好ましい。該濃度は、5質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることが更に好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。また、該濃度は、酸化剤の充分な還元の観点からは、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることが更に好ましく、0.2質量%以上であることが特に好ましい。
【0015】
上記添加工程は、水又は過酸化水素水の温度を60℃以下に維持しながら酸化工程で得られた混合液を添加する工程であることが好ましい。これにより、特に酸化剤として過マンガン酸塩を使用した場合に、添加工程をより安全に行うことができ、また、高品質な酸化黒鉛を製造することができる。更に、上記添加工程では、酸化工程で得られた混合液を混合液に対して過剰の水又は過酸化水素水に添加するため、水又は過酸化水素水の温度を60℃以下に容易に維持することができ、その結果、酸化黒鉛を効率的に製造することができる。
上記添加工程において、水又は過酸化水素水の温度を55℃以下に維持することがより好ましく、50℃以下に維持することが更に好ましい。
【0016】
本発明の酸化黒鉛の製造方法において、上記添加工程は、水又は過酸化水素水の温度変化を40℃以下に維持しながら上記酸化工程で得られた混合液を添加する工程であることが好ましい。これにより、特に酸化剤として過マンガン酸塩を使用した場合に、添加工程をより安全に行うことができ、また、高品質の酸化黒鉛を製造することができる。更に、上記添加工程では、酸化工程で得られた混合液を混合液に対して過剰の水又は過酸化水素水に添加するため、水又は過酸化水素水の温度変化を40℃以下に容易に維持することができ、その結果、酸化黒鉛を効率的に製造することができる。
上記温度変化とは、混合液を添加する前の水又は過酸化水素水の温度と、混合液を添加した後の、混合液の添加により上昇した水又は過酸化水素水の温度の最大値との差を言う。
上記温度変化を35℃以下に維持することがより好ましく、30℃以下に維持することが更に好ましい。
【0017】
上記添加工程において、酸化工程で得られた混合液を水又は過酸化水素水に一括で添加してもよく、徐々に添加してもよく、複数回に分けて添加してもよい。発熱及び発泡を充分に抑制する観点からは、酸化工程で得られた混合液を水又は過酸化水素水に徐々に添加するか、又は、複数回に分けて添加することが好ましいが、操作を簡便にする観点からは、一括で添加することが好ましい。
上記複数回は、発熱及び発泡を充分に抑制して本発明の効果をより充分に発揮する観点からは、3回以上であることが好ましく、5回以上であることがより好ましいが、操作を簡便にする観点からは、50回以下であることが好ましく、30回以下であることがより好ましい。
【0018】
上記添加工程が、上記酸化工程で得られた混合液を水又は過酸化水素水に複数回に分けて添加する場合、1回当たりの添加量は、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
また上記酸化工程が、上記酸化工程で得られた混合液を3回以上に分けて添加する場合、添加と添加との間の時間間隔は、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0019】
上記添加工程は、上記酸化工程で得られた混合液を水又は過酸化水素水に、水又は過酸化水素水の量100質量%に対し、0.5質量%/分以上の添加速度で添加することが好ましい。これにより、高品質の酸化黒鉛を効率的に製造する本発明の効果をより顕著に発揮できる。該添加速度は、1質量%/分以上であることがより好ましく、2質量%/分以上であることが更に好ましい。また、該添加速度は、100質量%/分以下であることが好ましく、50質量%/分以下であることがより好ましく、20質量%/分以下であることが更に好ましい。
なお、上記水又は過酸化水素水の量とは、混合液を添加する前の水又は過酸化水素水の量を言う。
【0020】
また上記添加工程は、添加開始から添加終了までの期間は特に限定されないが、酸化工程で得られた混合液を水又は過酸化水素水に0.1分以上、180分以下の間にわたって添加することが好ましい。
上記添加工程は、反応停止に要する時間をより短縮する観点から、酸化工程で得られた混合液を120分以下の間にわたって添加することがより好ましく、60分以下の間にわたって添加することが更に好ましく、30分以下の間にわたって添加することが特に好ましい。また、該添加工程は、より高品質の酸化黒鉛を製造する観点から、酸化工程で得られた混合液を0.5分以上の間にわたって添加することがより好ましく、1分以上の間にわたって添加することが更に好ましい。
【0021】
本発明の酸化黒鉛の製造方法において、上記添加工程は、酸化工程で得られた混合液を、過酸化水素水に添加する工程であることが好ましい。
従来の反応停止方法では、発熱及び発泡を抑制する観点から、酸化工程で得られた混合液に対して直ぐに過酸化水素水を添加して混合液中の酸化剤を還元・失活させるのではなく、先ず水を添加し、次いで過酸化水素水を添加して混合液中の酸化剤を還元・失活させ、反応停止していた。これに対し、本発明の酸化黒鉛の製造方法では、発熱及び発泡を充分に抑制できるため、酸化工程で得られた混合液を混合液に対して大過剰の過酸化水素水に添加して混合液中の酸化剤を還元・失活させることができ、安定した品質の酸化黒鉛を極めて効率的に製造することができる。
なお、本発明の酸化黒鉛の製造方法において、上記添加工程が、酸化工程で得られた混合液を水に添加する工程である場合、過マンガン酸塩等の酸化剤を還元・失活させるために、通常は添加工程で得られた混合液に更に過酸化水素水を添加することになる。
【0022】
上記添加工程は、酸化工程で得られた混合液を添加する水又は過酸化水素水を撹拌しながら行うことが好ましい。撹拌は、公知の撹拌機等を用いて行うことができる。
添加工程は、例えば空気中、又は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中で行うことができる。また、添加工程は、その圧力条件は特に限定されないが、例えば常圧条件下で行うことが好ましい。
【0023】
(酸化工程)
本発明の酸化黒鉛の製造方法は、黒鉛と硫酸とを含む混合液に酸化剤を添加して黒鉛を酸化する工程を含む。
【0024】
上記酸化工程で添加する酸化剤としては、特に限定されず、例えば過マンガン酸塩、硝酸塩、次亜塩素酸塩、クロム酸塩等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できるが、中でも過マンガン酸塩が好ましい。
上記過マンガン酸塩としては、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸アンモニウム、過マンガン酸銀、過マンガン酸亜鉛、過マンガン酸マグネシウム、過マンガン酸カルシウム、過マンガン酸バリウム等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できるが、中でも過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウムが好ましく、過マンガン酸カリウムがより好ましい。
【0025】
上記酸化工程における酸化剤の全添加量は、混合液中の黒鉛量100質量%に対し、50〜500質量%であることが好ましい。これにより、酸化黒鉛を安全かつ効率的に製造することができる。なお、酸化剤の全添加量を変化させることで、酸化黒鉛に導入される酸素原子の量を調節することができる。
該全添加量は、100質量%以上であることがより好ましく、150質量%以上であることが更に好ましく、200質量%以上であることが一層好ましく、240質量%以上であることが特に好ましい。また、該全添加量は、450質量%以下であることがより好ましく、400質量%以下であることが更に好ましく、350質量%以下であることが一層好ましく、300質量%以下であることが特に好ましい。
本明細書中、混合液中の黒鉛量とは、上記混合液を作製するために用いられた黒鉛の仕込み量を言う。
【0026】
上記酸化工程では、酸化剤を一括で添加してもよく、複数回に分けて添加してもよいが、酸化剤として過マンガン酸塩を使用する場合は、安全性の観点から、複数回に分けて添加することが好ましい。
【0027】
上記酸化工程では、混合液の温度を−10〜60℃の範囲内に維持しながら酸化剤を添加することが好ましい。
上記温度を0℃以上に維持することがより好ましく、10℃以上に維持することが更に好ましく、15℃以上に維持することが特に好ましい。また、上記温度を50℃以下に維持することがより好ましく、45℃以下に維持することが更に好ましく、40℃以下に維持することが特に好ましい。
【0028】
上記酸化工程において、混合液における黒鉛に対する硫酸の質量比(硫酸/黒鉛)は、25〜60であることが好ましい。該質量比が25以上であることにより、酸化反応中に反応液の高粘度化を充分に防止して酸化黒鉛を効率的に製造することができる。また、該質量比が60以下であることにより、廃液量を充分に少なくすることができる。
上記質量比は、26以上であることがより好ましく、27以上であることが更に好ましく、28以上であることが特に好ましい。また、該質量比は、54以下であることがより好ましく、48以下であることが更に好ましく、42以下であることが特に好ましい。
なお、硫酸が少ない条件で酸化工程を行った場合等に、混合液の粘度が高くなりその添加が困難となるときがあるため、混合液は、酸化工程における酸化剤の添加の後に少量(例えば、硫酸100質量部に対して50質量部未満)の水で希釈された液であってもよい。言い換えれば、酸化工程が、混合液の粘度を低下させるために混合液を水で希釈する工程を含んでいてもよい。
【0029】
以下では、上記混合液を作製するために用いられる黒鉛の好適な物性について説明する。
上記酸化工程において、黒鉛は、ラマンスペクトルにおけるGバンドのピーク強度に対するDバンドのピーク強度の比が0.4以下であることが好ましい。これにより、酸化グラフェンがより得られやすくなる。
本明細書中、Gバンドのピーク強度とは、ラマンシフト1580cm−1のピーク強度を意味し、Dバンドのピーク強度とは、ラマンシフト1350cm−1のピーク強度を意味する。
該ピーク強度の比は、0.35以下であることがより好ましく、0.3以下であることが更に好ましい。また、該ピーク強度の比は、0.04以上であることがより好ましい。
上記ピーク強度の比は、後述する実施例の方法を行うことにより測定することができる。
【0030】
上記酸化工程において、上記黒鉛は、結晶のX線回折による(0 0 2)面の面間隔が3.3Å以上、3.4Å以下であることが好ましい。これにより、酸化グラフェンがより得られやすくなる。
該面間隔は、3.32Å以上であることがより好ましく、3.34Å以上であることが更に好ましい。該面間隔は、3.39Å以下であることがより好ましく、3.38Å以下であることが更に好ましい。
上記面間隔は、後述する実施例の方法を行うことにより測定することができる。
【0031】
上記酸化工程において、黒鉛は、平均粒子径が3μm以上、80μm以下であることが好ましい。
該平均粒子径は、3.5μm以上であることがより好ましい。該平均粒子径は、70μm以下であることがより好ましい。
上記平均粒子径は、粒度分布測定装置により測定することができる。
上記黒鉛の形状としては、微粉状、粉状、粒状、顆粒状、鱗片状、多面体状、ロッド状、曲面含有状等が挙げられる。なお、平均粒子径が上述のような範囲の粒子は、例えば、粒子を粉砕機等により粉砕する方法や、粒子をふるい等にかけて粒子径を選別する方法、これら方法の組み合わせのほか、粒子を製造する段階で調製条件を最適化し、所望の粒子径の粒子を得る方法等により製造することが可能である。
【0032】
上記酸化工程において、黒鉛は、比表面積が3m/g以上、10m/g以下であることが好ましい。
酸化反応をより円滑に進める観点からは、該比表面積が4m/g以上であることがより好ましく、4.5m/g以上であることが更に好ましい。また、該比表面積が9m/g以下であることがより好ましく、8.5m/g以下であることが更に好ましい。
上記比表面積は、窒素吸着BET法で比表面積測定装置により測定することができる。
【0033】
上記酸化工程において、混合液100質量%中の黒鉛量は、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、1.5質量%以上であることが更に好ましく、2質量%以上であることが特に好ましい。該含有量は、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、7質量%以下であることが更に好ましく、6質量%以下であることが特に好ましい。
上記酸化工程において、黒鉛は単独で用いてもよいし、物性等が異なるものを2種類以上混合して用いてもよい。
【0034】
上記酸化工程は、公知の撹拌機等を用いて撹拌しながら行うことが好ましい。
上記酸化工程は、例えば空気中、又は、不活性ガス雰囲気中で行うことができる。また、上記酸化工程は、減圧条件下、常圧条件下、加圧条件下で行うことができるが、例えば常圧条件下で行うことが好ましい。
また上記酸化工程の時間は、0.5時間〜120時間とすることが好ましく、1時間〜15時間とすることがより好ましく、2時間〜10時間とすることが更に好ましい。
上記酸化工程は、連続的に行ってもよいし、断続的に行ってもよい。
【0035】
上記混合液を調製するために用いる硫酸中の水分が少ない(例えば、5質量%未満)と、品質(例えば、薄膜化の進行)が良好な酸化黒鉛を得ることができる。しかし、プロセス面では、市販されている濃硫酸に水分をある程度添加する等して、例えば5質量%以上、15質量%以下の水分量の硫酸を用いることが好ましい。該水分量を5質量%以上とすることにより、酸化反応中に反応スラリーが固化することを充分に防止でき、混合液中の黒鉛仕込み量を充分に上げることができる。また、該水分量を15質量%以下とすることにより、黒鉛の酸化や剥離を充分に進行させることができる。該水分量は、10質量%以下であることがより好ましい。
【0036】
上記混合液は、黒鉛、硫酸、及び、必要に応じてその他の成分を混合して得ることができる。混合は、公知の方法で適宜行うことが可能であるが、例えば、超音波処理を行ったり、公知の分散機を用いたりして黒鉛を均一に分散させることが好ましい。
【0037】
(他の工程)
本発明の酸化黒鉛の製造方法は、上記混合液の添加工程の後の撹拌工程、精製工程等の、その他の工程を含むものとすることができる。
【0038】
上記添加工程の後、上記添加工程により得られた混合液中の酸化剤をより充分に還元するために、精製工程の前に、添加工程で得られた混合液を撹拌する撹拌工程を行うことが好ましい。
上記撹拌工程において添加工程で得られた混合液を撹拌する時間は、1分以上であることが好ましく、3分以上であることが好ましく、5分以上であることが更に好ましい。また、該時間は、2時間以下であることが好ましく、1.5時間以下であることがより好ましく、1時間以下であることが更に好ましい。
上記撹拌工程において添加工程で得られた混合液の温度は、例えば20℃〜60℃とすることができる。
【0039】
上記精製工程は、上記添加工程の後、例えば、ろ過、デカンテーションにより行うことができる。
本発明の酸化黒鉛の製造方法は、所望の用途に応じてその他の工程を含むことができる。
【0040】
本発明の酸化黒鉛の製造方法により得られる酸化黒鉛は、比表面積の大きさ、化学的修飾の容易さ、種々の溶媒やポリマー成分との親和性等に優れるものであるため、触媒材料、電池やキャパシタの電極材料、熱電変換材料、導電性材料、発光材料、潤滑材料等として好適に使用できる。
なお、上記電池としては、例えば、リチウムイオン二次電池、固体高分子型燃料電池、金属−空気電池等が挙げられる。
上記熱電変換材料が用いられる熱電変換装置としては、例えば、地熱・温泉熱発電機、太陽熱発電機、工場や自動車等の廃熱発電機、体温発電機等の発電機や、該発電機を電源の少なくとも一つとして用いた各種電気製品、電動機、人工衛星等が挙げられる。
【発明の効果】
【0041】
本発明の酸化黒鉛の製造方法は、上述の構成よりなり、安全かつ高効率に酸化黒鉛を生産することができ、大量生産にも好適である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】実施例1で原料として用いた天然黒鉛のラマンスペクトルを示すグラフである。
図2】実施例1で原料として用いた天然黒鉛のXRDを測定した結果を示すグラフである。
図3】実施例1で得られた乾燥物のXRDを測定した結果を示すグラフである。
図4】実施例1で得られた乾燥物のXPSを測定した結果を示すグラフである。
図5】実施例1で原料として用いた天然黒鉛のXPSを測定した結果を示すグラフである。
図6】実施例2で得られた乾燥物のXRDを測定した結果を示すグラフである。
図7】実施例2で得られた乾燥物のXPSを測定した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0044】
下記実施例及び比較例においては、次のようにして分析し、評価を行った。
<7価のマンガン濃度の測定方法>
7価のマンガン濃度の値が分かっていて、且つその濃度の値が異なる複数の溶液を準備し、光電比色計(AP−1000M、株式会社アペレ製)にて540nmにおける各溶液の吸光度を測定し、7価のマンガン濃度に対する吸光度をプロットして検量線を作成する。
黒鉛の酸化工程において、混合液1質量部を試料として採取して10〜10000質量部の水に対して添加し、これを撹拌して均一化し、孔径0.2〜0.5μmフィルターでろ過してガラスセルで受けたろ液を用いて、前記の光電比色計にて540nmにおける吸光度を測定し、上記混合液中の7価のマンガン濃度を検量線から算出する。
【0045】
<ラマンスペクトルにおけるGバンドのピーク強度に対するDバンドのピーク強度の比 の測定方法>
顕微レーザーラマン分光計(NSR−3100、日本分光株式会社製)を用いて、532nmの波長のレーザーを試料に照射して測定する。
【0046】
<面間隔の測定方法>
試料水平型X線回折装置(SmartLab、株式会社リガク製)を用いてXRD測定を行い、黒鉛の(0 0 2)面に由来するX線回折ピークの位置より算出する。
【0047】
<XPS測定>
光電子分光装置(JPS−9000MX、日本電子株式会社製)を用いて測定した。C1sのナロースキャンスペクトルにおけるピーク分離は、バックグラウンド補正をShirley法で行い、フィッティング関数としてGauss−Lorentz関数を用いたピークフィットにより行う。
【0048】
<実施例1>
1Lのセパラブルフラスコに濃硫酸(試薬特級、和光純薬工業)869.40gと天然黒鉛(Z−100、鱗片状黒鉛、伊藤黒鉛工業製)18.90gを加えて混合液とした。天然黒鉛(Z−100)のラマンスペクトルを図1に、XRDパターンを図2に示す。図1より、ラマンスペクトルにおけるGバンドのピーク強度に対するDバンドのピーク強度の比は0.084であり、図2より、X線回折による黒鉛(0 0 2)面の面間隔は3.36Åであった。また、天然黒鉛(Z−100)の平均粒子径は61.80μmであり、比表面積は4.65m/gであった。
【0049】
セパラブルフラスコ内の混合液を撹拌しながら、所定量の過マンガン酸カリウム(試薬特級、和光純薬工業製)を17分間隔で混合液中へ15回投入した。過マンガン酸カリウムの1回の投入量は5.04gであり、投入量の合計は75.60gであった。また、過マンガン酸カリウムの2回目以降の投入に当たっては、投入の直前に前記7価のマンガンの測定方法により、混合液中の7価のマンガン濃度を定量した。具体的には、混合液0.3gを試料として採取して100gの水に添加して撹拌混合し、ろ過後のろ液の吸光度を測定して7価のマンガンの濃度を定量した。その結果、7価のマンガンの濃度はすべて0.65質量%以下であった。過マンガン酸カリウムの1回の投入量(5.04g)に含まれる7価のマンガンは、混合液100質量%に対して0.2質量%以下であるため、過マンガン酸カリウムの投入開始から投入終了までの間、混合液中の7価のマンガン濃度は0.85質量%以下を維持していたことになる。なお、過マンガン酸カリウムの投入開始から投入終了までの間、混合液の温度は24℃〜30℃の範囲内であった。
【0050】
過マンガン酸カリウムの投入終了後、混合液を35℃まで昇温し、液温が35℃に到達後、温度を35℃に維持して2時間撹拌を継続した。その後、室温(20℃)まで冷却した混合液200gを、室温(20℃)の水1000gが入ったビーカーの中へ15分間かけて添加した。混合液の添加開始から終了までの間、ビーカー内の水は常に撹拌しており、水温(液温)は45℃以下を維持していた。続いて、30%過酸化水素水(試薬特級、和光純薬工業)11.08gを1.5分間かけて添加した。過酸化水素水の添加時に発泡が見られたが、急激な液面の上昇は起こらなかった。
【0051】
次に、ビーカー内の混合液200gを1000gの水で希釈した後、希釈液をろ過した。ろ紙上に残ったろ物に水200gを注いで洗浄した後、ろ物を40℃で1晩減圧乾燥した。得られた乾燥物のXRDパターンを図3に、XPS測定で得られるC1sスペクトル(ナロースキャンスペクトル)を図4に示した。また、原料として用いた天然黒鉛(Z−100)のXPS測定で得られるC1sスペクトル(ナロースキャンスペクトル)を図5に示した。図3より、黒鉛の(0 0 2)面に由来するピーク(2θ=26.5°付近)は認められず、2θ=10〜12°付近に酸化黒鉛(酸化グラフェン)由来の特徴的なピークが認められた。また、図5では、大部分が炭素原子どうしの結合に由来するピーク(284〜285eV付近)であるのに対して、図4ではC−O結合に由来するピーク(286〜287eV付近)やC=O結合に由来するピーク(288〜289eV付近)の割合が顕著に大きくなっていた。これらの分析結果から、得られた乾燥物は酸化黒鉛(酸化グラフェン)であることが確かめられた。
【0052】
<実施例2>
2Lのセパラブルフラスコに濃硫酸(試薬特級、和光純薬工業)1499.40gと天然黒鉛(Z−100、鱗片状黒鉛、伊藤黒鉛工業製)50.40gを加えて混合液とした。セパラブルフラスコ内の混合液を撹拌しながら、所定量の過マンガン酸カリウム(試薬特級、和光純薬工業製)を17分間隔で混合液中へ12回投入した。過マンガン酸カリウムの1回の投入量は10.50gであり、投入量の合計は126.00gであった。また、過マンガン酸カリウムの2回目以降の投入に当たっては、投入の直前に前記7価のマンガンの測定方法により、混合液中の7価のマンガン濃度を定量した。具体的には、混合液0.3gを試料として採取して100gの水に添加して撹拌混合し、ろ過後のろ液の吸光度を測定して7価のマンガンの濃度を定量した。その結果、7価のマンガンの濃度はすべて0.48質量%以下であった。過マンガン酸カリウムの1回の投入量(10.50g)に含まれる7価のマンガンは、混合液100質量%に対して0.31質量%以下であるため、過マンガン酸カリウムの投入開始から投入終了までの間、混合液中の7価のマンガン濃度は0.79質量%以下を維持していたことになる。なお、過マンガン酸カリウムの投入開始から投入終了までの間、混合液の温度は17℃〜27℃の範囲内であった。
【0053】
過マンガン酸カリウムの投入終了後、混合液を35℃まで昇温し、液温が35℃に到達後、温度を35℃に維持して2時間撹拌を継続した。その後、室温(20℃)まで冷却した混合液中に水167.58gを30分間かけて添加し、扱いやすい粘度に調整した。水を添加している間、混合液の液温は50℃以下を維持していた。
【0054】
続いて、室温(20℃)まで冷えた混合液200gを、室温(20℃)の過酸化水素水(濃度0.3%)2000gが入ったビーカーの中へ2分間で投入した。混合液の投入開始から終了までの間、ビーカー内の水は常に撹拌しており、水温(液温)は35℃以下を維持していた。また、混合液の投入時に発泡は見られたが、急激な液面の上昇は起こらなかった。
【0055】
次に、ビーカー内の混合液500gを1000gの水で希釈した後、希釈液をろ過した。ろ紙上に残ったろ物に水300gを注いで洗浄した後、ろ物を40℃で1晩減圧乾燥した。得られた乾燥物のXRDパターンを図6に、XPS測定で得られるC1sスペクトル(ナロースキャンスペクトル)を図7に示した。図6より、黒鉛の(0 0 2)面に由来するピーク(2θ=26.5°付近)が僅かに認められ、2θ=10〜12°付近に酸化黒鉛(酸化グラフェン)由来の特徴的なピークが顕著に認められた。また、図5では、大部分が炭素原子どうしの結合に由来するピーク(284〜285eV付近)であるのに対して、図7ではC−O結合に由来するピーク(286〜287eV付近)やC=O結合に由来するピーク(288〜289eV付近)の割合が顕著に大きくなっていた。これらの分析結果から、得られた乾燥物は酸化黒鉛(酸化グラフェン)であることが確かめられた。
【0056】
実施例1では黒鉛と硫酸とを含む混合液に酸化剤を添加して黒鉛を酸化する酸化工程で得られた混合液を所定量以上の水に添加することにより、実施例2では酸化工程で得られた混合液を所定量以上の過酸化水素水に添加することにより、反応停止の際の発泡を充分に抑制することができ、安全かつ高効率(短時間)で酸化黒鉛を生産することができる。中でも、本発明では、実施例2のように、混合液を過酸化水素水に添加しても発熱及び発泡を充分に抑制することができるため、これにより簡便な操作で酸化黒鉛を生産することができる。
【0057】
また実施例1、2で得られた乾燥物は、高品質な酸化黒鉛である。その判断根拠は下記の通りである。
黒鉛の酸化が不充分であったり、酸化された部分が(局所的な)発熱等の影響により還元されてしまった場合には、XRDデータの2θが20〜30°の範囲に顕著な回折ピークが認められるようになるが、実施例1、2で得られた乾燥物ではそのような顕著なピークは見られない(図3図6)。また、得られたXPSスペクトルにおいて、炭素どうしの結合に由来する284〜285eV付近のピーク面積と比較して、炭素と酸素の結合に由来する286〜287eV付近及び288〜289eV付近のピーク面積の方が明らかに大きい(図4図7)。以上の結果から、実施例1、2で得られた乾燥物は、充分な酸化状態が維持されていると判断でき、高品質な酸化黒鉛であると言える。
【0058】
上述した実施例では、酸化剤として過マンガン酸カリウムを用いているが、酸化剤である限り、本発明の効果を生じさせる作用機構は同様である。すなわち、黒鉛と硫酸とを含む混合液に酸化剤を添加して黒鉛を酸化して得られた混合液を所定量以上の水又は過酸化水素水に添加するところに本発明の本質的特徴があり、反応停止の際の発泡を充分に抑制するものであれば、この実施例で示されるような効果を奏することになる。したがって、本発明における必須構成要素によって構成される酸化黒鉛の製造方法とすれば、発明の有利な効果を発現することは確実であるといえる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7