(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0027】
なお本明細書等において、「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものである。従って、構成要素の数を限定するものではない。また、構成要素の順序を限定するものではない。また例えば、本明細書等の実施の形態の一において「第1」に言及された構成要素が、他の実施の形態、あるいは特許請求の範囲において「第2」に言及された構成要素とすることもありうる。また例えば、本明細書等の実施の形態の一において「第1」に言及された構成要素を、他の実施の形態、あるいは特許請求の範囲において省略して言及することもありうる。
【0028】
なお図面において、同一の要素または同様な機能を有する要素、同一の材質の要素、あるいは同時に形成される要素等には同一の符号を付す場合があり、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0029】
また、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図又は文章に示された接続関係に限定されず、図又は文章に示された接続関係以外のものも、図又は文章に記載されているものとする。
【0030】
ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
【0031】
XとYとが直接的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に接続されていない場合であり、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)を介さずに、XとYとが、接続されている場合である。
【0032】
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、スイッチは、オンオフが制御される機能を有している。つまり、スイッチは、導通状態(オン状態)、又は、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有している。又は、スイッチは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有している。なお、XとYとが電気的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合を含むものとする。
【0033】
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可能とする回路(例えば、論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号変換回路(DA変換回路、AD変換回路、ガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(電源回路(昇圧回路、降圧回路など)、信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など)、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(信号振幅又は電流量などを大きく出来る回路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生成回路、記憶回路、制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Xから出力された信号がYへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。なお、XとYとが機能的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合と、XとYとが電気的に接続されている場合とを含むものとする。
【0034】
なお、XとYとが電気的に接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟んで接続されている場合)と、XとYとが機能的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の回路を挟んで機能的に接続されている場合)と、XとYとが直接接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟まずに接続されている場合)とが、本明細書等に開示されているものとする。つまり、電気的に接続されている、と明示的に記載されている場合は、単に、接続されている、とのみ明示的に記載されている場合と同様な内容が、本明細書等に開示されているものとする。
【0035】
なお、例えば、トランジスタのソース(又は第1の端子など)が、Z1を介して(又は介さず)、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)が、Z2を介して(又は介さず)、Yと電気的に接続されている場合や、トランジスタのソース(又は第1の端子など)が、Z1の一部と直接的に接続され、Z1の別の一部がXと直接的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)が、Z2の一部と直接的に接続され、Z2の別の一部がYと直接的に接続されている場合では、以下のように表現することが出来る。
【0036】
例えば、「XとYとトランジスタのソース(又は第1の端子など)とドレイン(又は第2の端子など)とは、互いに電気的に接続されており、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yの順序で電気的に接続されている。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(又は第1の端子など)は、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)はYと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yは、この順序で電気的に接続されている」と表現することができる。または、「Xは、トランジスタのソース(又は第1の端子など)とドレイン(又は第2の端子など)とを介して、Yと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yは、この接続順序で設けられている」と表現することができる。これらの例と同様な表現方法を用いて、回路構成における接続の順序について規定することにより、トランジスタのソース(又は第1の端子など)と、ドレイン(又は第2の端子など)とを、区別して、技術的範囲を決定することができる。
【0037】
または、別の表現方法として、例えば、「トランジスタのソース(又は第1の端子など)は、少なくとも第1の接続経路を介して、Xと電気的に接続され、前記第1の接続経路は、第2の接続経路を有しておらず、前記第2の接続経路は、トランジスタを介した、トランジスタのソース(又は第1の端子など)とトランジスタのドレイン(又は第2の端子など)との間の経路であり、前記第1の接続経路は、Z1を介した経路であり、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)は、少なくとも第3の接続経路を介して、Yと電気的に接続され、前記第3の接続経路は、前記第2の接続経路を有しておらず、前記第3の接続経路は、Z2を介した経路である。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(又は第1の端子など)は、少なくとも第1の接続経路によって、Z1を介して、Xと電気的に接続され、前記第1の接続経路は、第2の接続経路を有しておらず、前記第2の接続経路は、トランジスタを介した接続経路を有し、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)は、少なくとも第3の接続経路によって、Z2を介して、Yと電気的に接続され、前記第3の接続経路は、前記第2の接続経路を有していない。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(又は第1の端子など)は、少なくとも第1の電気的パスによって、Z1を介して、Xと電気的に接続され、前記第1の電気的パスは、第2の電気的パスを有しておらず、前記第2の電気的パスは、トランジスタのソース(又は第1の端子など)からトランジスタのドレイン(又は第2の端子など)への電気的パスであり、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)は、少なくとも第3の電気的パスによって、Z2を介して、Yと電気的に接続され、前記第3の電気的パスは、第4の電気的パスを有しておらず、前記第4の電気的パスは、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)からトランジスタのソース(又は第1の端子など)への電気的パスである。」と表現することができる。これらの例と同様な表現方法を用いて、回路構成における接続経路について規定することにより、トランジスタのソース(又は第1の端子など)と、ドレイン(又は第2の端子など)とを、区別して、技術的範囲を決定することができる。
【0038】
なお、これらの表現方法は、一例であり、これらの表現方法に限定されない。ここで、X、Y、Z1、Z2は、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
【0039】
なお、回路図上は独立している構成要素同士が電気的に接続しているように図示されている場合であっても、1つの構成要素が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合もある。例えば配線の一部が電極としても機能する場合は、一の導電膜が、配線の機能、及び電極の機能の両方の構成要素の機能を併せ持っている。したがって、本明細書における電気的に接続とは、このような、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合も、その範疇に含める。
【0040】
(実施の形態1)
本実施の形態では、開示する発明の一態様に係る半導体装置の構成および駆動方法について、
図1乃至
図23を用いて説明する。
【0041】
〈外部補正の方法〉
本実施の形態で説明する表示装置は、m行n列(m、nともに2以上の整数)のマトリクス状に設けられた複数の画素を有する。また、当該画素は、発光素子および当該発光素子に電流を供給するトランジスタ(以下、駆動用トランジスタともいう)を有する。また、画素が設けられた画素部の外部に駆動用トランジスタの電流特性の情報を読み出すことができる機能を有する回路(以下、読み出し回路ともいう)を有する。電流特性の情報の例としては、所定の電圧が駆動用トランジスタに供給された場合の電流値、または、駆動用トランジスタのしきい値電圧、もしくは、しきい値電圧に応じた電圧、などがあげられる。なお、読み出し回路は、表示装置、表示装置と接続されたFPC(Flexible Printed Circuit)、または、表示モジュールに設けられている場合がある。
【0042】
なお、読み出し回路は、一例としては、画素からの情報、例えば、電位、または、電流などを読み取ることができる機能を有する。ただし、読み出し回路は、例えば、他の機能を有する場合がある。例えば、読み出し回路は、画素に、所定の電位を供給する機能を有する場合がある。または例えば、読み出し回路は、情報を保存する機能を有する場合がある。または例えば、読み出し回路は、アナログ信号をデジタル信号に変換する機能を有する場合がある。そのため、読み出し回路を、単に、回路と呼ぶ場合がある。例えば、読み出し回路を、第1の回路、第2の回路などと呼ぶ場合がある。
【0043】
駆動用トランジスタなどのトランジスタは、一例としては、発光素子などの表示素子を駆動することができる機能を有する。または、駆動用トランジスタなどのトランジスタは、一例としては、発光素子などの表示素子に流れる電流の大きさを制御することができる機能を有する。ただし、駆動用トランジスタなどのトランジスタは、例えば、他の機能を有する場合がある。そのため、駆動用トランジスタなどのトランジスタを、単に、トランジスタと呼ぶ場合がある。例えば、駆動用トランジスタなどのトランジスタを、第1のトランジスタ、第2のトランジスタなどと呼ぶ場合がある。
【0044】
本実施の形態に示す表示装置は、
図1に示すように、1行目からm行目まで行ごとに順番に画素を走査し、この走査を繰り返すことによって画像を表示する。なお、
図1には、2フレーム期間の表示装置の動作を示す。所定の行の走査を開始してからm行の走査を順次行って、再度所定の行の走査を行うまでの時間を1フレーム期間と呼ぶ。1フレーム期間には、画像を表示するための走査が行われない期間(以下、ブランキング期間ともいう)があってもよい。なお、1行目の走査を開始してからm行目まで走査を行う期間を、アドレス期間、または、書き込み期間などと呼ぶことがある。つまり、1フレーム期間は、アドレス期間とブランキング期間とから構成されていてもよい。ただし、1フレーム期間が、複数のサブフレーム期間を有する場合もある。その場合、各サブフレーム期間は、それぞれ、アドレス期間を有する場合がある。また、ある行に属する画素が選択されて、当該画素における発光素子の発光を制御する信号(以下、データ信号ともいう)が入力され、次のフレーム期間において、再度、当該画素が選択されて、新たなデータ信号が入力されるまでの期間を、表示期間と呼ぶことがある。つまり、ある画素について、実質的に1つの階調の表示を行っている期間を表示期間と呼ぶことがある。なお、画素の選択は、画素と接続された配線(以下、選択線ともいう)に、当該画素を選択するための信号(以下、選択信号ともいう)を供給することにより行うことができる。また、表示期間の長さは、全ての行で同じであるが、表示期間が始まるタイミングと終わるタイミングは、行によって変わってくることが多い。
【0045】
画像を表示するための走査を行っている間に、駆動用トランジスタの電流特性を読み出そうとすると、読み出しのための信号の入力によって画像の表示が乱れてしまう場合がある。しかしながら、m×n個の全ての画素、m×n個のうちの特定の色の全ての画素、または特定の複数の画素が全て黒表示の場合に、当該黒表示の画素を選択して電流特性の情報の読み出しを行うことで、画素の黒表示を乱すことなく、電流特性の情報の読み出しを行うことができる。なお、特定の複数の画素が全て黒表示である場合とは、具体的には、同一の選択線と接続された全ての画素が黒表示である場合、同一の行に配置された全ての画素が黒表示である場合、または、同一の行に配置された画素のうちの特定の色の全ての画素が黒表示である場合、などである。一例としては、同一の行に属し、同一の選択線と接続された全ての画素が黒表示である場合などが挙げられる。
【0046】
なお、黒表示の状態のことを、非表示の状態、と呼ぶ場合もある。または、黒表示の状態のことを、階調数がゼロの状態、と呼ぶ場合もある。また、黒以外の階調の表示を行っている状態のことを、表示の状態、と呼ぶ場合もある。または、黒以外の階調の表示を行っている状態のことを、階調数がゼロより大きい状態、と呼ぶ場合もある。最も明るい階調の表示を行っている状態のことを、白表示の状態、と呼ぶ場合もある。または、最も明るい階調の表示を行っている状態のことを、最高階調数での表示の状態、と呼ぶ場合もある。
【0047】
本実施の形態では、一例としては、特定の複数の画素が全て黒表示の場合に、アドレス期間において、当該複数の画素のうち、所定の画素が有する駆動用トランジスタの電流特性の情報を読み出すことによって、駆動用トランジスタの電流特性のばらつきを補正する表示装置の駆動方法について説明する。
【0048】
図2に本実施の形態に示す表示装置の駆動方法のフローチャートの一例を示す。
図2に示すように、表示装置の駆動方法をステップS1乃至S6に分けて説明する。
【0049】
まず、アドレス期間が開始すると、特定の画素が選択される(ステップS1)。この選択は、ゲート線駆動回路などを用いて行うことができる。ここで、選択された特定の複数の画素が全て黒表示である場合(ステップS2において「YES」)、特定の複数の画素のうち、電流特性の情報の読み出しを行う所定の画素(以下、読み出し画素ともいう)に、電流特性の情報を読み出すための信号(以下、読み出し信号ともいう)が入力される。また、特定の複数の画素のうち、読み出し画素以外の画素には、黒表示を行うための信号が入力される(ステップS3)。なお、ここでは具体例として、上記特定の複数の画素が、同一の選択線と接続され、同一の行に属するn個の画素である場合について説明する。このように読み出し画素のみから情報を読み出すことにより、情報が混ざり合ってしまうことを避けることができる。
【0050】
ステップS3における読み出し信号の入力により、読み出し画素から駆動用トランジスタの電流特性の情報を、読み出し回路を用いて読み出すことができる。なお、電流特性の情報の読み出しは、ステップS3の動作の期間において行ってもよいし、ステップS3の動作の期間よりも後に行ってもよい。
【0051】
上記の電流特性の情報としては、駆動用トランジスタの電流特性のばらつきに関する情報ならばどのような情報でもよい。例えば、駆動用トランジスタの電流値でもよいし、駆動用トランジスタのしきい値電圧でもよい。なお、電流値を読み出せば、その大きさから、しきい値電圧、移動度、チャネル長、または、チャネル幅などの少なくとも一つが、どのようにばらついているのか、または、劣化しているのか、を知ることが出来る。例えば、読み出す情報が電流値である場合、その電流は、入力された読み出し用の信号の大きさに応じた大きさを有する。
【0052】
なお、ステップS3において読み出し信号の入力を行った時、読み出し画素の発光素子が黒表示を維持できるように、当該発光素子に逆方向のバイアスが印加されることが好ましい。また、黒表示の状態を維持できるように、順方向のバイアスが印加されるとしても微弱な電位差に抑えるものとする。微弱な電位差としては、数ボルト程度以下が好ましく、例えば、2ボルト以下、より好ましくは1ボルト以下とする。または、例えば、発光素子に電流が流れないような状態となっていることが好ましい。一例としては、発光素子と接続されているトランジスタがオフ状態となっており、その結果、発光素子に電流が流れない状態となっていることが好ましい。
【0053】
一方、同一の行に属するn個の画素の少なくとも1つが黒表示ではない場合(ステップS2において「NO」)は、読み出し信号の入力は行わず、n個の画素に所定の階調表示を行うための信号を入力して、通常の書き込み動作を行う(ステップS4)。
【0054】
なお、ゲート線駆動回路がシフトレジスタ回路を有する場合には、1行目からm行目まで行ごとに順番に走査することができる。また、ゲート線駆動回路として、デコーダ回路などが使用されている場合には、任意の順序で、任意の行を選択できる。したがって、その場合には、ゲート線駆動回路が1行目からm行目まで行ごとに順番に走査する必要はない。走査せずに、所定の行(黒表示の行)のみをすぐに選択して、読み出し用の信号を画素に入力してもよい。なお、選択する行は、1行のみでもよいし、複数の行であってもよい。
【0055】
そして、ステップS3において読み出し信号および黒表示の信号を入力した後、次行の画素を選択と、読み出し画素が有する駆動用トランジスタの電流特性の情報の読み出しを行う(ステップS5)。このとき、例えば、読み出し画素では、トランジスタの電流特性を読み出すためのスイッチまたはトランジスタが、オン状態となっている。なお、次行の書き込みにおいても、ステップS2のように、特定の画素が黒表示かどうかを判断して、画素に信号を入力すればよい。
【0056】
なお、電流特性の情報の読み出しは、ステップS3以降、次のフレーム期間において、再度読み出し画素が選択されるまでの期間であれば、自由に行うことができる。そのため、ステップS5のように、アドレス期間において行が選択されている際にも電流特性の情報の読み出しを行うことができる。
【0057】
例えば、
図1(A)に示すように、i行目(iは1以上m以下の整数)の画素において、表示期間全体にわたって、つまり、1フレーム期間にわたって、読み出し画素が有する駆動用トランジスタの電流特性の情報を読み出すことができる。また、1フレーム期間よりも短い期間において、読み出し画素が有する駆動用トランジスタの電流特性の情報を読み出すこともできる。例えば、
図1(B)に示すように、読み出し画素が選択された後のアドレス期間の一部または全期間において読み出しを行ってもよいし、
図1(C)に示すようにブランキング期間の一部または全期間において読み出しを行ってもよいし、
図1(D)に示すように次のアドレス期間において、読み出し画素が選択されるまでの一部または全期間において読み出しを行ってもよい。なお、i行目の画素において特性の読み出しを行わない場合には、表示期間全体にわたって、つまり、1フレーム期間にわたって、表示動作が行われる。
【0058】
なお、ステップS5において、読み出し画素に読み出し信号が保持されていれば、読み出し画素に読み出し信号を入力し続けなくてもよい。
【0059】
一方、ステップS4において通常の書き込みを行った場合は、次行の画素の選択のみを行う(ステップS6)。
【0060】
そして、ステップS5またはステップS6において次行の画素を選択した後は、次行の画素の全てが黒表示であるか否かに応じて(ステップS2)、ステップS3乃至ステップS6の動作が同様に行われる。なお、ステップS3で信号の入力を行った画素が最終行(m行目)の画素の場合、ステップS3とステップS5の間にブランキング期間があってもよく、また、当該ブランキング期間に電流特性の情報の読み出しをおこなってもよい。
【0061】
また、1フレーム期間中において、読み出しを行う行は、1行のみである必要はない。1フレーム期間中において、複数行において、読み出し動作をおこなってもよい。例えば、
図1におけるi行目と、i+A行目と、i+A+B行目とにおいて、読み出し動作を行ってもよい。ここで、AおよびBは、自然数である。従って、ステップS2乃至ステップS6までの動作は、1フレーム期間中において、行数分だけ繰り返されることとなる。
【0062】
そして、次のフレーム期間においては、ステップS3以降に読み出された電流特性の情報に従って、電流特性のばらつきを補正した信号を作成し、当該信号を読み出し画素に入力することができる。
【0063】
なお、電流特性の情報の読み出しは、例えば、読み出し画素において、トランジスタの電流特性を読み出すためのスイッチまたはトランジスタをオフ状態とすることにより、終了することができる。
【0064】
これにより、表示動作に並行して外部補正を行うことができることとなる。または、これにより、表示ムラの少ない表示装置を実現できる。または、これにより、精細な表示を行うことができる表示装置を実現できる。または、これにより、トランジスタの特性ばらつきの影響を低減することができる半導体装置を実現できる。または、これにより、トランジスタのしきい値電圧のばらつきの影響を低減することができる半導体装置を実現できる。または、これにより、トランジスタの移動度のばらつきの影響を低減することができる半導体装置を実現できる。
【0065】
なお、画像の表示を始めてから一度も1行すべての画素が黒表示にならなかった行については、例えば、表示装置の電源が切られる際、表示装置の電源が入力された直後、所定の期間中に表示装置が使用されていないとき、深夜、または、早朝などの少なくとも一つに当該行の駆動用トランジスタの電流特性の情報を読み出しておくことが好ましい。また、あるフレーム期間中またはあるサブフレーム期間中に全ての画素が黒表示になる期間が存在する場合や、あるフレーム期間と他のフレーム期間との間に全ての画素が黒表示になる期間が存在する場合や、あるサブフレーム期間と他のサブフレーム期間との間に全ての画素が黒表示になる期間が存在する場合には、これらの期間中に駆動用トランジスタの電流特性の情報の読み出しを行うことができる。
【0066】
以上の駆動方法を用いて表示装置の各画素の駆動用トランジスタの電流特性のばらつきを補正することができる。この駆動方法においては、表示装置の表示動作と並行して駆動用トランジスタの電流特性のばらつきを補正することができる。
【0067】
これにより、開示する発明の一態様に係る表示装置を組み込んだ製品について、出荷前検査を行うとき、製品の表示検査をしながら、製品の画素の発光輝度のばらつきの補正を行うことができる。よって、製品の出荷前の検査期間を短縮することができるので、製品のコストダウンを図ることができる。
【0068】
また、上記の表示装置の駆動方法は、出荷した後の製品においても、電源を入れて画像を表示するたびに行われる。よって、製品出荷後の経時的な劣化などによる発光輝度のばらつきについても、自動的に補正を行うことができる。これにより、製品寿命の延長を図ることができる。
【0069】
なお、上記の表示装置の駆動方法においては、他の行において表示を行いながら、電流特性の情報を読み出していたが、本実施の形態に示す表示装置の駆動方法は必ずしもこれに限られるものではない。例えば、表示画面が暗転して全画素が黒表示となっているとき、または、動画特性を向上させるために、黒画面挿入を行っているとき、などに電流特性の情報の読み出しを行ってもよい。
【0070】
〈半導体装置の構成例〉
次に、開示する発明の一態様に係る半導体装置の具体的な構成の一例について、
図3のブロック図および
図4の回路図を用いて説明する。
図3は、(m×n)個の画素20を有する画素部15と周辺回路のブロック図の一例である。
【0071】
図3に示す表示装置は、駆動回路11と、駆動回路12と、回路部13と、画素20が縦m個(行)×横n個(列)のマトリクス状に設けられた画素部15と、行方向に延設して設けられた配線SL_1乃至SL_mと、行方向に延設して設けられた配線GL_1乃至GL_mと、列方向に延設して設けられた配線DL_1乃至DL_nと、行方向に延設して設けられた配線IL_1乃至IL_mと、を有する。このように配線IL_1乃至IL_mが行方向に延設して設けられているため、各行で、独立して、配線ILを駆動することができる。そのため、各行で、独立して、電流特性の情報の読み出しを行うことができる。したがって、1フレーム期間において、複数行において、電流特性の情報の読み出しを行うことができる。
【0072】
駆動回路11は、配線SL_1乃至SL_m、配線GL_1乃至GL_mと接続されている。駆動回路11は、画素または行を選択する機能を有している。または、駆動回路11は、画素または行を、1行ずつ順次選択する機能を有している。または、駆動回路11は、特定の画素または行を選択する機能を有している。または、駆動回路11は、画素に、選択信号または非選択信号を出力する機能を有している。したがって、駆動回路11は、ゲート線駆動回路、または、スキャン線駆動回路としての機能を有している。
【0073】
また、駆動回路12は、配線DL_1乃至DL_nと、接続されている。駆動回路12は、画素または列に、データ信号を供給する機能を有している。または、駆動回路12は、画素または列に、読み出し信号を供給する機能を有している。したがって、駆動回路12は、ソース線駆動回路、データ線駆動回路、または、ビデオ信号線駆動回路としての機能を有している。なお、データ信号の例としては、画素に表示する映像に対応する信号(以下、映像信号ともいう)などが挙げられる。
【0074】
回路部13(以下、読み出し回路部ともいう)は、配線IL_1乃至IL_mと接続されている。回路部13は、画素から出力される情報を読み取る機能を有している。または、回路部13は、画素の中の端子の電位を読み取る機能を有している。または、回路部13は、画素から出力される情報を読み取るか否かを選択する機能を有している。
【0075】
なお、駆動回路12と回路部13とは、一つの回路にまとまって設けることもできる。
【0076】
このように、駆動回路11、駆動回路12、回路部13などは、様々な機能を有する場合がある。そのため、駆動回路11、駆動回路12、回路部13などを、単に、回路と呼ぶ場合がある。例えば、駆動回路11、駆動回路12、回路部13などを、第1の回路、第2の回路などと呼ぶ場合がある。
【0077】
図4にi行j列(jは1以上n以下の整数)の画素20_(i,j)の構成を示す。画素20_(i,j)は、トランジスタ21、トランジスタ22、トランジスタ23、発光素子24および容量素子25を有している。なお、それぞれのトランジスタは、マルチゲート構造、つまり、複数のトランジスタが直列に接続されたような構造を取っていてもよい。なお、それぞれのトランジスタは、チャネルの上下にゲート電極が設けられているような構造を取っていてもよい。画素20_(i,j)が有するこれらの素子は、配線GL_i、配線SL_i、配線DL_j、配線CL_jおよび配線IL_iとそれぞれ接続されている。なお、配線CL_1乃至配線CL_nについては、
図3には示していないが、例えば、列方向に延設して設けることができる。また、配線CLは
図4では列方向に延設して設けられているが、これに限られることなく、延設する方向を適宜変えてもよい。例えば、列方向に設けた配線と、行方向に設けた配線とを用いて、相互に接続して構成してもよい。
【0078】
なお、画素20_(i,j)以外の画素20においても、画素20_(i,j)と同様の構成とすることができる。
【0079】
具体的な画素20_(i,j)の接続関係は、以下のようになる。トランジスタ21のゲートは配線GL_iと接続され、ソースまたはドレインの一方は配線DL_jと接続され、ソースまたはドレインの他方はトランジスタ22のゲートと接続されている。トランジスタ22のソースまたはドレインの一方は配線CL_jと接続され、ソースまたはドレインの他方はトランジスタ23のソースまたはドレインの一方、および発光素子24の一方の電極(以下、画素電極ともいう)と接続されている。トランジスタ23のゲートは配線SL_iと接続され、ソースまたはドレインの他方は配線IL_iと接続されている。発光素子24の他方の電極(以下、共通電極ともいう)には、所定の電位(以下、共通電位ともいう)が与えられる。
【0080】
また、配線IL_iは、回路部13に含まれる読み出し回路16と接続されている。なお、配線IL_iは、電流特性の情報の読み出しを行わない期間中、または、ビデオ信号や読み出し信号が画素に供給されている期間中には、別の回路、例えば、一定の電位を供給する機能を有する回路と接続されていてもよい。例えば、配線IL_iは、一定の電位が供給される配線に接続されていてもよい。なお、配線IL_iが、読み出し回路16および別の回路17と接続されている場合には、
図5に示すように、配線IL_iと読み出し回路16の間にスイッチ19aが、配線IL_iと回路17の間にスイッチ19bが、設けられている。そして、それぞれのスイッチを切り替えて、配線IL_iと、読み出し回路16または回路17のいずれか一つの回路との間を導通させることができる。なお、回路17は
図3における回路部13の内部に設けられた回路であってもよいし、回路部13の外部に設けられた回路であってもよい。
【0081】
また、容量素子25の一方の電極はトランジスタ21のソースまたはドレインの他方、およびトランジスタ22のゲートと接続され、他方の電極はトランジスタ22のソースまたはドレインの他方、トランジスタ23のソースまたはドレインの一方、および発光素子24の画素電極と接続されている。このように、容量素子25を設けることで、トランジスタ22のゲートに多くの電荷を保持することができ、映像情報の保持期間をより長くすることができる。
【0082】
なお、容量素子25は必ずしも設ける必要はなく、例えば、トランジスタ22のゲートとトランジスタ22のソースまたはドレインの他方との間の寄生容量が大きい場合は、当該寄生容量で容量素子25の代替とすることができる。
【0083】
駆動回路11は、配線GLを介してトランジスタ21のオン状態とオフ状態を制御することができ、配線SLを介してトランジスタ23のオン状態とオフ状態を制御することができる。
【0084】
駆動回路12は、配線DLを介して映像信号または読み出し信号をトランジスタ22のゲートに与えることができる。
【0085】
回路部13は、配線IL_1乃至IL_mに対応して読み出し回路16を有している。読み出し回路16は、各画素20のトランジスタ22から電流特性の情報を読み出すことができる。または、読み出し回路16は、配線IL_1乃至IL_mに、所定の電圧を供給することができる。
【0086】
配線CLは、例えば、発光素子24に電流を供給する高電位電源線として機能させることができる。
【0087】
ただし、駆動回路11、駆動回路12および回路部13の構成は上記に限定されるものではなく、駆動回路11、駆動回路12および回路部13を設ける位置を変えても良いし、これらのうち複数の駆動回路の機能を一つの駆動回路にまとめる構成としても良い。例えば、
図3では駆動回路11および回路部13が画素部15の片側だけに設けられているが、駆動回路11または回路部13を分割し、画素部15の両側に設けるような構成としてもよい。また、
図3では、駆動回路11と回路部13を分割して設けているが、これを一つの駆動回路部としてまとめる構成としてもよい。
【0088】
また、駆動回路11、駆動回路12および回路部13の位置、機能などの構成を変更するのに伴い、配線GL、配線SL、配線DL、配線ILおよび配線CLの延設する方向、本数などを適宜変更することができる。例えば、配線ILを列方向に延設して設ける構成としてもよい。また、例えば、配線GLと配線SLを一種類の配線にまとめる構成としてもよい。その場合の回路図を
図6に示す。一種類の配線にまとめる場合には、トランジスタ21とトランジスタ23は同時にオンオフすることになる。したがって、トランジスタ21とトランジスタ23とを同時にオンオフするような駆動方法を採用する場合には、配線GLと配線SLを一種類の配線にまとめることができる。
【0089】
発光素子24を流れる電流の大きさは、画素20に入力される映像信号の大きさに応じて制御された、トランジスタ22にしたがって制御される。また、発光素子24の輝度は、画素電極と共通電極の間に流れる電流量によって定まる。例えば、OLED(有機発光ダイオード)を発光素子24として用いる場合、アノードとカソードのいずれか一方が画素電極として機能し、他方が共通電極として機能する。
図4では、発光素子24のアノードを画素電極として用い、発光素子24のカソードを共通電極として用いた画素20の構成を例示している。
【0090】
なお、トランジスタの極性、発光素子の向き、配線の電位、および、信号の電位などを変更した回路構成で動作することもできる。一例として、
図4を変形した場合の例を
図7に示す。
図7では、トランジスタ21乃至トランジスタ23をpチャネル型とし、発光素子24の向きを
図4とは逆にしている。なお、
図4に示す画素回路以外にも、同様に回路を構成することができる。
【0091】
画素20が有する、トランジスタ21乃至トランジスタ23、およびその他のトランジスタの少なくとも一つには、チャネル形成領域に酸化物半導体を含むトランジスタ(以下、OSトランジスタともいう)を用いることができる。特に、トランジスタ21としてOSトランジスタを用いることで、トランジスタ21のオフ電流を極めて小さくすることができる。そして、このようなトランジスタ21を画素20に用いることで、通常のシリコンやゲルマニウムなどの半導体で形成されたトランジスタをトランジスタ21に用いる場合に比べて、トランジスタ22のゲートまたは容量素子25に蓄積された電荷のリークを防ぐことができる。
【0092】
また、静止画のように、連続する幾つかのフレーム期間に渡って、画素部15に同じ画像情報を有する映像信号が書き込まれる場合などは、駆動周波数を低くする、言い換えると一定期間内における画素部15への映像信号の書き込み回数を少なくしても、画像の表示を維持することができる。例えば、電子供与体(ドナー)となる水分または水素などの不純物が低減され、なおかつ酸素欠損が低減されることにより高純度化された酸化物半導体(purified Oxide Semiconductor)をトランジスタ21の半導体膜に用いることで、映像信号の書き込みの間隔を10秒以上、好ましくは30秒以上、さらに好ましくは1分以上にすることができる。そして、映像信号が書き込まれる間隔を長くすればするほど、消費電力をより低減することができる。
【0093】
また、映像信号の電位をより長い期間に渡って保持することができるため、トランジスタ22のゲートの電位を保持するための容量素子25を画素20に設けなくとも、表示される画質が低下するのを防ぐことができる。
【0094】
なお、OSトランジスタの構造やオフ電流の詳細については、実施の形態4において後述する。
【0095】
また、トランジスタ21乃至トランジスタ23、およびその他のトランジスタは、OSトランジスタに限定されない。例えば、チャネル形成領域が単結晶半導体を有する基板の一部に形成されるトランジスタを用いることができる。単結晶半導体を有する基板としては、単結晶シリコン基板や単結晶ゲルマニウム基板などが挙げられる。チャネル形成領域に単結晶半導体を有するトランジスタは電流供給能力が高いため、このようなトランジスタを用いて画素20を構成することにより、画素20の動作速度を向上させることができる。
【0096】
また、トランジスタ21乃至トランジスタ23、およびその他のトランジスタは、OSトランジスタ以外の、半導体膜にチャネル形成領域が形成されるトランジスタにより構成することもできる。例えば、チャネル形成領域に非単結晶半導体を有するトランジスタによって構成することができる。非単結晶半導体としては、非晶質シリコン、微結晶シリコン、多結晶シリコンなどの非単結晶シリコンや、非晶質ゲルマニウム、微結晶ゲルマニウム、多結晶ゲルマニウムなどの非単結晶ゲルマニウムなどが挙げられる。特に、結晶性を有する半導体膜を用いることにより、画素20の動作速度を向上させることができる。
【0097】
また、各トランジスタは、ゲートを半導体膜の片側において少なくとも有していれば良いが、半導体膜を間に挟んで存在する一対のゲートを有していても良い。
【0098】
ここで、あるトランジスタTが、半導体膜を間に挟んで存在する一対のゲートを有している場合、一方のゲートには信号Aが、他方のゲートには固定電位Vbが与えられてもよい。
【0099】
信号Aは、例えば、導通状態または非導通状態を制御するための信号である。信号Aは、電位V1、または電位V2(V1>V2とする)の2種類の電位をとるデジタル信号であってもよい。例えば、電位V1を高電源電位とし、電位V2を低電源電位とすることができる。信号Aは、アナログ信号であってもよい。
【0100】
固定電位Vbは、例えば、トランジスタTのしきい値電圧VthAを制御するための電位である。固定電位Vbは、電位V1、または電位V2であってもよい。この場合、固定電位Vbを生成するための電位発生回路を別途設ける必要がなく好ましい。固定電位Vbは、電位V1、または電位V2と異なる電位であってもよい。固定電位Vbを低くすることで、しきい値電圧VthAを高くできる場合がある。その結果、ゲートーソース間電圧Vgsが0Vのときのドレイン電流を低減し、トランジスタTを有する回路のリーク電流を低減できる場合がある。例えば、固定電位Vbを低電源電位よりも低くしてもよい。固定電位Vbを高くすることで、しきい値電圧VthAを低くできる場合がある。その結果、ゲートーソース間電圧VgsがVDDのときのドレイン電流を向上させ、トランジスタTを有する回路の動作速度を向上できる場合がある。例えば、固定電位Vbを低電源電位よりも高くしてもよい。
【0101】
また、トランジスタTの一方のゲートには信号Aが、他方のゲートには信号Bが与えられてもよい。信号Bは、例えば、トランジスタTの導通状態または非導通状態を制御するための信号である。信号Bは、電位V3、または電位V4(V3>V4とする)の2種類の電位をとるデジタル信号であってもよい。例えば、電位V3を高電源電位とし、電位V4を低電源電位とすることができる。信号Bは、アナログ信号であってもよい。
【0102】
信号Aと信号Bが共にデジタル信号である場合、信号Bは、信号Aと同じデジタル値を持つ信号であってもよい。この場合、トランジスタTのオン電流を向上し、トランジスタTを有する回路の動作速度を向上できる場合がある。このとき、信号Aの電位V1は信号Bの電位V3と異なっていても良い。また、信号Aの電位V2は信号Bの電位V4と異なっていても良い。例えば、信号Bが入力されるゲートに対応するゲート絶縁膜が、信号Aが入力されるゲートに対応するゲート絶縁膜よりも厚い場合、信号Bの電位振幅(V3−V4)を、信号Aの電位振幅(V1−V2)より大きくしても良い。そうすることで、トランジスタTの導通状態または非導通状態に対して、信号Aが与える影響と、信号Bが与える影響と、を同程度とすることができる場合がある。
【0103】
信号Aと信号Bが共にデジタル信号である場合、信号Bは、信号Aと異なるデジタル値を持つ信号であってもよい。この場合、トランジスタTの制御を信号Aと信号Bによって別々に行うことができ、より高い機能を実現できる場合がある。例えば、トランジスタTがnチャネル型である場合、信号Aが電位V1であり、かつ、信号Bが電位V3である場合のみ導通状態となる場合や、信号Aが電位V2であり、かつ、信号Bが電位V4である場合のみ非導通状態となる場合には、一つのトランジスタでNAND回路やNOR回路等の機能を実現できる場合がある。また、信号Bは、しきい値電圧VthAを制御するための信号であってもよい。例えば、信号Bは、トランジスタTを有する回路が動作している期間と、当該回路が動作していない期間と、で電位が異なる信号であっても良い。信号Bは、回路の動作モードに合わせて電位が異なる信号であってもよい。この場合、信号Bは信号Aほど頻繁には電位が切り替わらない場合がある。
【0104】
信号Aと信号Bが共にアナログ信号である場合、信号Bは、信号Aと同じ電位のアナログ信号、信号Aの電位を定数倍したアナログ信号、または、信号Aの電位を定数だけ加算もしくは減算したアナログ信号等であってもよい。この場合、トランジスタTのオン電流を向上し、トランジスタTを有する回路の動作速度を向上できる場合がある。信号Bは、信号Aと異なるアナログ信号であってもよい。この場合、トランジスタTの制御を信号Aと信号Bによって別々に行うことができ、より高い機能を実現できる場合がある。
【0105】
信号Aがデジタル信号、信号Bがアナログ信号であってもよい。信号Aがアナログ信号、信号Bがデジタル信号であってもよい。
【0106】
また、トランジスタTの一方のゲートには固定電位Vaが、他方のゲートには固定電位Vbが与えられてもよい。トランジスタTの両方のゲートに固定電位を与える場合、トランジスタTを、抵抗素子と同等の素子として機能させることができる場合がある。例えば、トランジスタTがnチャネル型である場合、固定電位Vaまたは固定電位Vbを高く(低く)することで、トランジスタの実効抵抗を低く(高く)することができる場合がある。固定電位Va及び固定電位Vbを共に高く(低く)することで、一つのゲートしか有さないトランジスタによって得られる実効抵抗よりも低い(高い)実効抵抗が得られる場合がある。
【0107】
また、
図4では、トランジスタがすべてnチャネル型である場合を例示している。画素20内のトランジスタがすべて同じチャネル型である場合、トランジスタの作製工程において、半導体膜に一導電性を付与する不純物元素の添加などの工程を、一部省略することができる。ただし、表示装置では、必ずしも画素20内のトランジスタがすべてnチャネル型である必要はない。例えば、トランジスタ21およびトランジスタ23をpチャネル型にしてもよい。
【0108】
また、トランジスタ21およびトランジスタ23の代わりに、電気的スイッチ、機械的スイッチ、または、MEMS素子などを用いてもよい。
【0109】
〈半導体装置の駆動方法〉
次に、
図3および
図4に示す半導体装置の駆動方法の一例について説明する。ここでは特に、i行j列の画素20_(i,j)を含む9つの画素の動作を、
図8乃至
図14を参照しながら説明する。なお、以下においては、
図2のステップS1おいて選択される画素が、同一の配線GL_iおよび同一の配線SL_iと接続された、i行目の画素20である場合について説明する。また、i行目の画素20がすべて黒表示であり、i行j列の画素20_(i,j)から電流特性の情報を読み出す場合について説明する。また、配線IL_i、配線IL_i+1、配線IL_i+2と接続された読み出し回路16を、それぞれ読み出し回路16_i、読み出し回路16_i+1、読み出し回路16_i+2と表す。
【0110】
まず、1フレーム期間のアドレス期間が開始すると、1行目からm行目まで行ごとに順番に画素20が走査される。そして、
図8に示すように、i行目の画素20が選択されると、配線SL_iに選択信号が入力され、i行目の画素20においてトランジスタ23がオン状態となる。トランジスタ23がオン状態となると、配線IL_iとトランジスタ22のソースまたはドレインの他方(以下、トランジスタ22のソース電極ともいう)が導通し、トランジスタ22のソース電極に配線IL_iの電位が与えられる。なお、配線SL_iに入力される選択信号としては、トランジスタ23がnチャネル型トランジスタである場合はハイレベルの電位を、トランジスタ23がpチャネル型トランジスタである場合はローレベルの電位を用いることができる。
【0111】
なお、このときの配線IL_iの電位は、発光素子24が発光状態とならないような電位である。具体的には、配線IL_iの電位は、発光素子24の共通電位より低い、または共通電位と同程度とすることが好ましい。このように配線IL_iの電位を設定することにより、発光素子24に逆方向のバイアスが印加されるか、バイアスが印加されない状態とすることができ、i行目の画素の黒表示の状態を維持することができる。また、発光素子24に順方向のバイアスが印加されるとしても、黒表示の状態を維持できるように、配線IL_iと共通電位の電位差は、微弱な電位差に抑えることが好ましい。微弱な電位差としては、数ボルト程度以下が好ましく、例えば、2ボルト以下、より好ましくは1ボルト以下とする。
【0112】
なお、
図8に示す動作は、必ずしも行わなくてもよい。
【0113】
その後、または、配線SL_iへの選択信号の入力と同時に、配線GL_iに選択信号が入力され、i行目の画素20においてトランジスタ21がオン状態となる(
図9)。トランジスタ21がオン状態となると、配線DLとトランジスタ22のゲート電極が導通状態となる。ここで、配線DL_j+1、配線DL_j+2にはそれぞれ、画素20_(i,j+1)、画素20_(i,j+2)の映像信号(ここでは、黒表示の映像信号)が与えられているため、画素20_(i,j+1)のトランジスタ22のゲート電極に画素20_(i,j+1)の映像信号に対応する電位が与えられ、画素20_(i,j+2)のトランジスタ22のゲート電極に画素20_(i,j+2)の映像信号に対応する電位が与えられる。つまり、画素20_(i,j+1)のトランジスタ22のゲート―ソース間に、配線DL_j+1の電位と配線IL_iの電位との間の電圧が供給される。また、画素20_(i,j+2)のトランジスタ22のゲート―ソース間に、配線DL_j+2の電位と配線IL_iの電位との間の電圧が供給される。これにより、トランジスタ22のゲート―ソース間の電位差が安定し、トランジスタ22のゲート電極または容量素子25に保持された映像信号に応じた電流を、配線CL_jから発光素子24に供給することが可能となる。なお、
図9においては、画素20_(i,j+1)、画素20_(i,j+2)のトランジスタ22のゲートに黒表示に対応する映像信号が与えられるため、トランジスタ22はオフ状態となっている。また、配線GL_iに入力される選択信号としては、トランジスタ21がnチャネル型トランジスタである場合はハイレベルの電位を用いることができ、トランジスタ21がpチャネル型トランジスタである場合はローレベルの電位を用いることができる。
【0114】
一方、配線DL_jには、読み出し信号が与えられている。そのため、配線GL_iに選択信号が入力されて画素20_(i,j)のトランジスタ21がオン状態となると、トランジスタ22のゲート電極に読み出し信号が与えられ、トランジスタ22がオン状態となる。ここで、配線SL_iには選択信号が入力されており、トランジスタ23はオン状態であるため、配線IL_iとトランジスタ22のソース電極が導通し、トランジスタ22のソース電極に配線IL_iの電位が与えられる。よって、配線CL_jがトランジスタ22およびトランジスタ23を介して読み出し回路16_iと導通状態となる。なお、配線IL_iの電位は、読み出し回路16_iによって制御される。そのため、発光素子には、電流が流れない。従って、画素20_(i,j)において、黒表示の状態を維持しつつ、トランジスタ22の電流特性の情報を読み出すことができる。なお、配線IL_iの電位は、読み出し回路16_iで設定することができる。
【0115】
ここで、トランジスタ22の電流特性の情報としては、各画素におけるトランジスタ22の電流特性のばらつきに関する情報ならばどのような情報でもよい。例えば、トランジスタ22の電流値でもよいし、トランジスタ22のしきい値電圧でもよい。
【0116】
ここで、i行以外の行については、読み出し用の信号が入力されないように、トランジスタ21をオフ状態のままにしておける信号を配線GLに入力しておく。
【0117】
なお、配線GL_iと配線SL_iとが1本にまとめられている場合は、配線GL_iと配線SL_iとが、同時に選択される場合と同様の動作を行うこととなる。
【0118】
次に、
図10に示すように、i行目の画素20の選択が終了し、i+1行目の画素20の選択が行われる。i+1行目の画素が選択されると、配線GL_i+1および配線SL_i+1に選択信号が供給される。一方、配線GL_iに入力されていた選択信号が供給されなくなり、配線GL_iには非選択信号が供給される。その結果、トランジスタ21がオフ状態となる。なお、配線GL_i+1への選択信号の供給と、配線SL_i+1への選択信号の供給は、
図8、9に示すように異なる期間に行ってもよい。
【0119】
ここで、画素20_(i,j+1)、画素20_(i,j+2)においては、トランジスタ22のゲート−ソース間の電位差が維持されているため、画素20_(i,j+1)、画素20_(i,j+2)におけるトランジスタ22には電流が流れず、発光素子24にも電流が流れない。その結果、画素20_(i,j+1)、画素20_(i,j+2)の発光素子24は、黒表示、または、非表示状態に維持される。また、配線CL_j+1と読み出し回路16_iは非導通状態となり、配線CL_j+2と読み出し回路16_iは非導通状態となる。
【0120】
一方、画素20_(i,j)においては、トランジスタ22のゲートに読み出し信号が保持されているため、トランジスタ22はオン状態に維持されている。また、配線SL_iには選択信号が供給されているため、トランジスタ23はオン状態に維持されている。従って、i+1行目の画素20が選択されている期間においても、画素20_(i,j)のトランジスタ22の電流特性の情報を読み出し回路16_iで読み出すことができる。このとき、配線IL_iの電位は、読み出し回路16_iによって制御される。そのため、発光素子には、電流が流れない。
【0121】
上記のように、画素20_(i,j)のトランジスタ23は、i行目の画素20の選択が終了した後もオン状態とすることが好ましい。これにより、i行目の画素20の選択時のみでなく、i+1行目の画素20の選択時以降においても電流特性の情報を読み出すことができる。すなわち、i行目の画素20の電流特性の情報を読み出しが行われている期間内に、i+1行目などの他の画素20へのデータ信号の入力を行うことができる。この場合、配線SL_iには、i+1行目の画素20の選択時以降も引き続きトランジスタ23がオン状態となる信号が入力され続ける必要がある。この場合、例えば、配線SLにラッチ回路を接続し、i行目の画素20の選択時の入力信号をi+1行目の画素20の選択時以降も保持できるようにすればよい。
【0122】
なお、ゲート線駆動回路において、デコーダ回路などが採用されている場合には、配線SLにラッチ回路などを接続しなくても、デコーダ回路に入力される信号を制御することによって、配線SL_iに、選択信号を供給し続けることは可能である。
【0123】
なお、
図10において、i+1行目の画素である画素20_(i+1,j)、画素20_(i+1,j+1)、画素20_(i+1,j+2)には、通常の映像信号が供給される。
【0124】
次に、
図11に示すように、i+1行目の画素20の選択が終了し、i+2行目の画素20の選択が行われる。i+2行目の画素が選択されると、配線GL_i+2および配線SL_i+2に選択信号が供給される。そして、画素20_(i+2,j)、画素20_(i+2,j+1)、画素20_(i+2,j+2)には、映像信号が供給される。一方、配線GL_i+1および配線SL_i+1に入力されていた選択信号が供給されなくなり、配線GL_i+2および配線SL_i+2に選択信号が供給される。その結果、i+1行目の画素20のトランジスタ21およびトランジスタ23がオフ状態となる。そして、i+1行目の画素20では、映像信号に応じた電流が、発光素子に流れる。つまり、画素20_(i+1,j)、画素20_(i+1,j+1)、画素20_(i+1,j+2)において、表示期間が開始されることとなる。なお、配線GL_i+2への選択信号の供給と、配線SL_i+2への選択信号の供給は、
図8、9に示すように異なる期間に行ってもよい。
【0125】
ここで、画素20_(i,j)においては、トランジスタ22のゲートに読み出し信号が保持されているため、トランジスタ22はオン状態に維持されている。また、配線SL_iには選択信号が供給されているため、トランジスタ23はオン状態に維持されている。従って、i+2行目の画素20が選択されている期間や、i+1行目の画素20が表示動作を行っている期間においても、画素20_(i,j)のトランジスタ22の電流特性の情報を読み出し回路16_iで読み出すことができる。
【0126】
次に、
図12に示すように、i+2行目の画素20の選択が終了し、さらに次の行の画素20の選択が行われる。さらに次の行の画素が選択されると、同様に、さらに次の行に選択信号が供給され、映像信号が供給される。一方、配線GL_i+2および配線SL_i+2に入力されていた選択信号が供給されなくなる。その結果、i+2行目の画素20のトランジスタ21およびトランジスタ23がオフ状態となる。そして、i+2行目の画素20では、映像信号に応じた電流が、発光素子に流れる。つまり、画素20_(i+2,j)、画素20_(i+2,j+1)、画素20_(i+2,j+2)において、表示期間が開始されることとなる。
【0127】
以下、さらに次の行をスキャンしながら、同様の動作が繰り返される。
【0128】
以上の動作により、画素への映像信号の書き込み、および駆動用トランジスタの電流特性の情報の読み出しを行うことができる。そして、最終行の画素20が選択された後、1フレーム期間が終了し、次のフレーム期間が開始する。
【0129】
次のフレーム期間においても、i行目の画素20がすべて黒表示であり、i行j列の画素20_(i,j)から電流特性の情報を続けて読み出す場合は、
図9から同様に動作させる。ただし、i行目の画素20がすべて黒表示であり、i行j列の画素20_(i,j)以外の画素、例えば、i行j+1列の画素20_(i,j+1)から電流特性の情報を読み出す場合には、
図9の代わりに、
図13のように動作させればよい。つまり、ここで、配線DL_j、配線DL_j+2にはそれぞれ、画素20_(i,j)、画素20_(i,j+2)の映像信号(ここでは、黒表示の映像信号)が与えられ、配線DL_j+1および画素20_(i,j+1)には、読み出し信号が与えられる。これにより、i行j+1列の画素20_(i,j+1)から電流特性の情報を読み出すことができる。さらに次のフレーム期間においても、別の画素から電流特性の情報を読み出すことができる。このような動作を繰り返すことにより、1行分の画素のうちの全ての画素から電流特性の情報を読み出すことができるができるようになる。
【0130】
または、次のフレーム期間において、i行目の画素20の一部が黒表示ではない場合には、通常の動作となる。よって、
図9の代わりに、
図14のように動作させればよい。
【0131】
このように、
図8乃至
図14に示す動作によって読み出された画素20_(i,j)などのトランジスタ22の電流特性の情報に従って、トランジスタ22の電流特性のばらつきを補正した映像信号を作成し、これを次以降のフレーム期間において画素20_(i,j)などに入力することができる。その結果、トランジスタのばらつき、または、劣化の影響を低減することができる。
【0132】
なお、画素20_(i,j)からの電流特性の情報の読み出しは、
図9に示す動作を行った後、次のフレーム期間において再度画素20_(i,j)が選択されるまで行うことができる。
【0133】
なお、i行目以外にも1行すべての画素が黒表示の行がある場合、上記と同様の動作により、電流特性の情報の読み出しを行うことができる。
【0134】
また、1フレーム期間において、複数の行で読み出しを行ってもよい。例えば、
図9におけるi行目の場合と同様に、
図10において、i+1行目に対して、読み出し信号と映像信号を供給してもよい。これにより、i+1行目の画素のうちの一つの画素について、電流特性の情報を読み出すことができる。または、
図9におけるi行目の場合と同様に、
図11において、i+2行目に対して、読み出し信号と映像信号を供給してもよい。これにより、i+2行目の画素のうちの一つの画素について、電流特性の情報を読み出すことができるができる。その結果、複数行に対して、読み出しを実行することができる。
【0135】
以上の駆動方法を用いて本実施の形態に示す表示装置の各画素の駆動用トランジスタの電流特性のばらつきを補正することができる。この駆動方法においては、表示装置の表示動作と並行して駆動用トランジスタの電流特性のばらつきを補正することができる。
【0136】
これにより、本実施の形態に示す表示装置を組み込んだ製品について、出荷前検査を行うとき、製品の表示検査をしながら、製品の画素の発光輝度のばらつきの補正を行うことができる。よって、製品の出荷前の検査期間を短縮することができるので、製品のコストダウンを図ることができる。
【0137】
また、上記の表示装置の駆動方法は、出荷した後の製品においても、電源を入れて画像を表示するたびに行われる。よって、製品出荷後の経時的な劣化などによる発光輝度のばらつきについても、自動的に補正を行うことができる。これにより、製品寿命の延長を図ることができる。
【0138】
本実施の形態に示す表示装置の画素構造は
図4に示す構造に限られるものではない。例えば、
図4に示す画素20_(i,j)において、発光素子24とトランジスタ22の間にスイッチ26を設ける構造としてもよい。その場合の回路図を、
図15(A)および
図15(B)に示す。
図15(A)は
図4においてスイッチ26を設けた場合を示し、
図15(B)は
図6においてスイッチ26を設けた場合を示している。スイッチ26を非導通状態としておくことにより、例えば読み出し画素において、より確実に発光素子24を非発光状態のまま維持しておくことができる。
【0139】
〈読み出し回路の構成例〉
次に、読み出し回路16の具体的な構成の一例について
図16(A)乃至
図16(D)に示す回路図を用いて説明する。
【0140】
図16(A)に示す読み出し回路16aは、オペアンプ30a、容量素子32およびスイッチ31を有する。オペアンプ30aは、非反転入力端子に参照電位が入力され、反転入力端子が、配線IL_iと、スイッチ31の一方の端子と、容量素子32の一方の電極と接続され、出力端子が、スイッチ31の他方の端子と、容量素子32の他方の電極と接続されている。オペアンプ30aは、非反転入力端子の電位と、反転入力端子の電位とが、等しくなるように動作する。したがって、配線IL_iの電位は、非反転入力端子の電位によって制御することができる。したがって、読み出し回路16aは、配線IL_iの電位を制御することができる機能を有しているとも言える。そのため、アドレス期間中においても、読み出し回路16aによって、配線IL_iの電位を制御してもよい。
【0141】
このような構成とすることにより、読み出し回路16aは、配線IL_iの電流の積分値を読み出すことができる。
【0142】
図16(B)に示す読み出し回路16bは、オペアンプ30bおよび抵抗素子33を有する。オペアンプ30bは、非反転入力端子に参照電位が入力され、反転入力端子が、配線IL_iと、抵抗素子33の一方の電極と接続され、出力端子が、抵抗素子33の他方の電極と接続されている。オペアンプ30bは、非反転入力端子の電位と、反転入力端子の電位とが、等しくなるように動作する。したがって、配線IL_iの電位は、非反転入力端子の電位によって制御することが出来る。したがって、読み出し回路16bは、配線IL_iの電位を制御することができる機能を有しているとも言える。そのため、アドレス期間中においても、読み出し回路16bによって、配線IL_iの電位を制御してもよい。
【0143】
このような構成とすることにより、読み出し回路16bは、配線IL_iの電流値を電圧値に変換して、読み出すことができる。
【0144】
図16(C)に示す読み出し回路16cは、オペアンプ30cを有する。オペアンプ30cは、非反転入力端子が、配線IL_iと接続され、反転入力端子がオペアンプ30cの出力端子と接続されている。オペアンプ30cは、非反転入力端子の電位と、反転入力端子の電位とが、等しくなるように動作する。したがって、配線IL_iの電位を、反転入力端子の電位、つまり、出力端子の電位として、オペアンプ30cから出力することができる。なお、読み出し回路16cは、配線IL_iの電位を制御する機能を有していない。そのため、
図5に示すように、別の回路を用いて、配線IL_iの電位を制御してもよい。
【0145】
なお、
図16(D)に示すように、反転入力端子を、オペアンプ30cの出力端子と接続せず、別の配線Vrefに接続してもよい。その結果、コンパレータ回路として動作させることができる。配線Vrefの電位と、反転入力端子の電位とを比較して、大小関係を出力することができる。また、この回路を利用することにより、AD変換回路を構成することもできる。その場合、配線Vrefの電位を変化させることによって、アナログ電位をデジタル電位に変換することが可能となる。なお、オペアンプを並列に複数設けて、フラッシュ型のAD変換回路としてもよい。
【0146】
このような構成とすることにより、読み出し回路16cは、配線IL_iと接続されたトランジスタ22のしきい値電圧を読み出すことができる。
【0147】
〈読み出し回路の接続例〉
図8乃至
図14においては、配線ILがそれぞれ別の読み出し回路16と接続された構成を示したが、複数の配線ILが1つの読み出し回路16と接続されていてもよい。このような構成を有する画素20、読み出し回路16の構成例を
図17に示す。
【0148】
図17において、配線IL_i、配線IL_i+1、配線IL_i+2は、スイッチを介して同一の読み出し回路16と接続されている。具体的には、配線IL_iはスイッチ41_iを介して読み出し回路16と接続され、配線IL_i+1はスイッチ41_i+1を介して読み出し回路16と接続され、配線IL_i+2はスイッチ41_i+2を介して読み出し回路16と接続されている。なお、ここでは3本の配線ILが1つの読み出し回路16と接続された構成を示すが、1つの読み出し回路16と接続される配線ILの数はこれに限られず、2以上の任意の数とすることができる。
【0149】
i行目の画素20から電流特性の情報を読み出す場合は、スイッチ41_iをオン状態とし、スイッチ41_i+1、スイッチ41_i+2をオフ状態とする。これにより、配線IL_iと読み出し回路16が導通状態となり、配線IL_iと接続された画素20から電流特性の情報を読み出すことができる。同様に、i+1行目の画素20から電流特性の情報を読み出す場合は、スイッチ41_i+1をオン状態、スイッチ41_i、スイッチ41_i+2をオフ状態とし、i+2行目の画素20から電流特性の情報を読み出す場合は、スイッチ41_i+2をオン状態、スイッチ41_i、スイッチ41_i+1をオフ状態とすればよい。
【0150】
このような構造とすることによって、配線ILごとに読み出し回路16が設けられた構成と比較して、読み出し回路16の数を削減することができるため、回路部13の占有面積を低減することができる。
【0151】
スイッチ41は、例えばトランジスタなどによって構成することができる。この場合、トランジスタのソースまたはドレインの一方が配線ILと接続され、ソースまたはドレインの他方が読み出し回路16と接続された構成とすればよい。また、当該トランジスタの材料としては、上記のトランジスタ21乃至トランジスタ23に用いることができる半導体材料を用いることができる。ここで、スイッチ41に用いるトランジスタとして、特にOSトランジスタを用いることが好ましい。これにより、電流特性の情報の読み出しを行わない行の配線ILの電流が、読み出し回路16に流れることを防止することができ、電流特性の情報の読み出しをより正確に行うことができる。
【0152】
また、電流特性の情報の読み出しを行う行において、配線ILの電流が読み出し回路16に正確に供給されることが好ましい。そのため、スイッチ41として用いるトランジスタには、トランジスタ21、トランジスタ22、またはトランジスタ23と比較して大きな電流供給能力を有することが好ましい。従って、スイッチ41として用いるトランジスタのW(チャネル幅)/L(チャネル長)は、トランジスタ21、トランジスタ22、またはトランジスタ23のW/Lよりも大きくすることが好ましい。
【0153】
〈出力制御回路の構成例〉
図3等に示す表示装置の駆動方法において、1行目から順番に走査して1行すべてが黒表示の行を選択して電流特性の情報を読み出した。このような駆動方法を用いる場合、駆動回路11から出力された信号を制御する出力制御回路を設けるのが好ましい。出力制御回路の構成の一例について
図18(A)および
図18(B)を用いて説明する。
図18(A)は表示装置の駆動回路11、出力制御回路14および画素部15を示しており、
図18(B)は、
図18(A)中に示されるラッチ回路43の構成の一例を示している。
【0154】
図18(A)に示す表示装置は、駆動回路11と画素部15の間に出力制御回路14を設ける構成となっている。駆動回路11と接続された配線SL_iは、出力制御回路14において二股に分かれており、一方はラッチ回路43およびスイッチ44を介して行方向に延設され、他方はスイッチ45を介して行方向に延設されている。配線SL_iはスイッチ44およびスイッチ45を介して合流し、画素部15に向かって行方向に延設して設けられている。
【0155】
ラッチ回路43は
図18(B)に示すように、スイッチ46、インバータ47、インバータ48およびインバータ49を有している。スイッチ46は、一方の端子が配線SL_iと接続され、他方の端子がインバータ47の入力端子、およびインバータ48の出力端子と接続されている。インバータ47は、出力端子がインバータ48の入力端子、およびインバータ49の入力端子と接続されている。インバータ49の出力端子はスイッチ44の一方の端子と接続される。スイッチ46は列方向に延設して設けられた配線SWによって制御される。
【0156】
通常の表示においては、スイッチ44を非導通状態、スイッチ45を導通状態として駆動回路11から信号を出力する。一方、電流特性の情報の読み出しを行う行を選択するときには、スイッチ44を導通状態、スイッチ45を非導通状態として駆動回路11から信号を出力する。
【0157】
さらに、黒表示の行を選択するときには、配線SWを介してスイッチ46を導通状態にする。これにより、配線SL_iに入力された信号をラッチ回路43に保持することができる。よって、i+1行目が選択されて駆動回路11から配線SL_iに入力される信号が途切れても、ラッチ回路43に保持された信号によって配線SL_iを介してトランジスタ23をオン状態にしておくことができる。
【0158】
なお、
図18に示す表示装置では、配線SLについて出力制御回路14を介して信号を出力する例を示したが、本実施の形態に示す表示装置はこれに限られるものではない。例えば、配線SLに加えて配線GLも出力制御回路14を介して出力できるようにしてもよい。
【0159】
なお、本実施の形態に示す表示装置において、配線GLについては、ラッチ回路43を用いて信号を保持しなくても上記の駆動方法を用いることができるので、ラッチ回路43を用いない構成としてもよい。
【0160】
また、本実施の形態に示す表示装置は必ずしも出力制御回路14を用いなくてもよい。例えば、デコーダなどを用いて駆動回路11の信号を好きな行に選択的に出力できる場合、出力制御回路14を用いない構成とすることができる。
【0161】
なお、本実施の形態は、基本原理の一例について述べたものである。したがって、本実施の形態で示す構成、方法は、他の実施の形態で示す構成、方法と適宜組み合わせることができる。
【0162】
(実施の形態2)
〈半導体装置の変形例〉
本実施の形態では、実施の形態1とは異なる態様の半導体装置の構成および駆動方法について、
図19および
図20を用いて説明する。
【0163】
本実施の形態に係る表示装置の画素構造について
図19に示す。なお、本実施の形態に示す表示装置は、
図3で示す表示装置と同様に、(m×n)個の画素70を有する画素部15、各種周辺回路、および各種配線を有しており、周辺回路および配線などの符号は共通のものを用いる。
【0164】
図19にi行j列の画素70_(i,j)の構成を示す。画素70_(i,j)は、トランジスタ71、pチャネル型のトランジスタ72、トランジスタ73、発光素子74および容量素子75を有している。画素70_(i,j)が有するこれらの素子は、配線GL_i、配線SL_i、配線DL_j、配線CL_jおよび配線IL_iとそれぞれ接続されている。
【0165】
具体的な画素70_(i,j)の接続関係は、以下のようになる。トランジスタ71のゲートは配線GL_iと接続され、ソースまたはドレインの一方は配線DL_jと接続され、ソースまたはドレインの他方はトランジスタ72のゲートと接続されている。トランジスタ72のソースまたはドレインの一方はトランジスタ73のソースまたはドレインの一方、および発光素子74の電極の一方(以下、画素電極ともいう)と接続され、ソースまたはドレインの他方(トランジスタ72のソース電極ともいう)は配線CL_jと接続されている。トランジスタ73のゲートは配線SL_iと接続され、ソースまたはドレインの他方は配線IL_iと接続されている。発光素子74の他方の電極(以下、共通電極ともいう)には、所定の電位(以下、共通電位ともいう)が与えられる。
【0166】
また、配線IL_iは、回路部13に含まれる読み出し回路16と接続されている。
【0167】
また、容量素子75の一方の電極はトランジスタ71のソースまたはドレインの他方、およびトランジスタ72のゲートと接続され、他方の電極はトランジスタ72のソースまたはドレインの他方と接続されている。このように容量素子75を設けることで、トランジスタ72のゲート電極に多くの電荷を保持することができ、映像情報の保持期間をより長くすることができる。
【0168】
なお、容量素子75は必ずしも設ける必要はなく、例えば、トランジスタ72のゲートとトランジスタ72のソースまたはドレインの他方との間の寄生容量が大きい場合は、当該寄生容量で容量素子75の代替とすることができる。
【0169】
なお、トランジスタ71およびトランジスタ73の構成については、トランジスタ21およびトランジスタ23についての記載を参酌することができる。また、発光素子74については、発光素子24の記載を参酌することができる。
【0170】
図19に示す画素構造は、トランジスタ72がpチャネル型である点、およびこれに伴い容量素子75の接続関係が異なっている点において、
図4に示す画素構造と異なっている。
図19に示す表示装置の駆動方法については、トランジスタ72のスイッチングの電位がトランジスタ22と逆になっている点を考慮して、実施の形態1に記載の表示装置の駆動方法を参酌することができる。なお、トランジスタ72に用いることができる半導体の材料に関しては、トランジスタ22についての記載を参酌することができる。
【0171】
図20に
図19に示す画素構造とは異なる画素構造を示す。
図20に示す画素構造は、配線CLが行方向に延設して設けられている点において、
図19に示す画素構造とは異なり、他の構成については同様である。
【0172】
ここで、配線CLを、電位をアナログ的に変更できるような構成とすることにより、配線GLおよび配線SLの電位の変化に合わせて配線CLの電位を調節することができる。例えば、
図8において、配線CL_jの電位を、共通電位より低く、または共通電位と同程度にすることができる。このように配線CL_jの電位を設定することにより、発光素子74に逆方向のバイアスが印加されるか、バイアスが印加されない状態とすることができ、i行目の画素の黒表示の状態を維持することができる。また、黒表示の状態を維持できるように、発光素子74に順方向のバイアスが印加されるとしても、配線CL_jと共通電位の電位差を、微弱な電位差に抑えることができる。微弱な電位差としては、数ボルト程度以下が好ましく、例えば、2ボルト以下、より好ましくは1ボルト以下とする。
【0173】
以上の駆動方法を用いて本実施の形態に示す表示装置の各画素の駆動用トランジスタの電流特性のばらつきを補正することができる。この駆動方法においては、表示装置の表示動作と並行して駆動用トランジスタの電流特性のばらつきを補正することができる。
【0174】
本実施の形態に示す表示装置の画素構造は
図19および
図20に示す構造に限られるものではない。例えば、
図19および
図20に示す画素70_(i,j)において、発光素子74とトランジスタ72の間にスイッチ76を設ける構造としてもよい。その場合の回路図を、
図21および
図22に示す。
図21は
図19においてスイッチ76を設けた場合を示し、
図22は
図20においてスイッチ76を設けた場合を示している。
図10、11における画素20_(i,j)などにおいて、当該スイッチ76を非導通状態としておくことにより、より確実に発光素子74を非発光状態のまま維持しておくことができる。
【0175】
本実施の形態は、他の実施の形態の一部または全部について、変更、追加、修正、削除、応用、上位概念化、又は、下位概念化したものに相当する。したがって、本実施の形態で示す構成、方法は、他の実施の形態で示す構成、方法と適宜組み合わせることができる。
【0176】
(実施の形態3)
〈画素の構成例〉
上記実施の形態で用いることができる画素のレイアウトの例を、
図23に示す。なお、
図23において、同一のハッチパターンで表す配線、導電層、半導体層などは、同一の材料を用いて同一の工程で形成することができる。また、ここでは画素20の構成例を示すが、画素70にも同様の構成を適用することができる。
【0177】
図23(A)に示す画素20は、トランジスタ21、トランジスタ22、トランジスタ23、容量素子25を有する。また、発光素子24の画素電極としての機能を有する導電層406を有する。各素子の接続関係については、
図4の説明を参酌することができる。なお、図中の丸印はコンタクトホールを表す。
【0178】
トランジスタ21は半導体層411を有し、トランジスタ22は半導体層412を有し、トランジスタ23は半導体層413を有する。半導体層411は、導電層401aおよび導電層401bと接続されている。半導体層412は、導電層403aおよび導電層403bと接続されている。半導体層413は導電層403bおよび導電層403cと接続されている。
【0179】
導電層401aは、配線DLと接続されている。なお、配線DLの一部を導電層401aとして用いてもよい。導電層401bは導電層402と接続されている。導電層403aは、配線CLと接続されている。なお、配線CLの一部を導電層403aとして用いてもよい。導電層403bは、発光素子24の一方の電極としての機能を有する導電層406と接続されている。なお、導電層403bの一部を導電層406として用いてもよい。導電層403cは、配線ILと接続されている。なお、配線ILの一部を導電層403cとして用いてもよい。導電層405は導電層404と接続され、導電層404は配線SLと接続されている。なお、導電層404の一部を導電層405として用いてもよいし、配線SLの一部を導電層404および導電層405として用いてもよい。
【0180】
導電層401aはトランジスタ21のソースまたはドレインの一方としての機能を有する。導電層401bはトランジスタ21のソースまたはドレインの他方としての機能を有する。導電層402はトランジスタ22のゲートおよび容量素子25の一方の電極としての機能を有する。導電層403aはトランジスタ22のソースまたはドレインの一方としての機能を有する。導電層403bは、トランジスタ22のソースまたはドレインの他方、トランジスタ23のソースまたはドレインの一方、および容量素子25の他方の電極としての機能を有する。導電層403cは、トランジスタ23のソースまたはドレインの他方としての機能を有する。導電層405は、トランジスタ23のゲートとしての機能を有する。なお、半導体層411、半導体層412、半導体層413には、酸化物半導体を含む半導体層を用いることができる。または、非晶質、微結晶、多結晶、又は単結晶の、シリコン、又はゲルマニウムなどの半導体を含む半導体層を用いることができる。
【0181】
図23(A)においては、トランジスタ21乃至23をボトムゲート型としているが、トランジスタ21乃至23はそれぞれボトムゲート型であってもトップゲート型であってもよい。
【0182】
ここで、配線ILは、他の配線や導電層と重なる位置に設けることもできる。例えば、
図23(A)において、配線ILを配線GLまたは配線SLとは別の層に形成し、配線GLまたは配線SLと重なる領域を有するように配置することができる。これにより、画素20の面積の増加を抑えつつ、電流特性の情報の読み出しに用いる配線ILを設けることができる。なお、配線ILは、導電層401乃至406のいずれか一以上、または半導体層411乃至413のいずれか一以上と重なる領域を有するように設けられていてもよい。
【0183】
なお、
図23(A)においては、配線CLが列方向に延設して設けられている構成を示したが、
図20に示すように、配線CLは行方向に延設して設けられていてもよい。このような画素20の構成例を、
図23(B)に示す。
【0184】
図23(B)において、配線CLは、配線SL、配線GLと同様に、行方向に延設して設けられている。また、配線CLは配線SLおよび配線GLと同一の層に設けられ、且つ、配線SLと配線GLとの間に設けられている。また、導電層403aは導電層407と接続され、導電層407は配線CLと接続されている。
【0185】
なお、ここでは配線SL、配線CL、配線GLが同一の層に設けられた構成例を示したが、配線CLは、配線SL、配線GLと異なる層に設けられていてもよい。この場合、配線CLを配線SLまたは配線GLと重なる領域を有する位置に配置することができる。また、配線CLと配線GLとの間に配線SLが設けられていてもよいし、配線CLと配線SLとの間に配線GLが設けられていてもよい。
【0186】
本実施の形態は、他の実施の形態の一部または全部について、変更、追加、修正、削除、応用、上位概念化、又は、下位概念化したものに相当する。したがって、本実施の形態で示す構成、方法は、他の実施の形態で示す構成、方法と適宜組み合わせることができる。
【0187】
(実施の形態4)
〈表示装置の構成例〉
表示装置の構成の一例について説明する。
図24に、表示装置80の構成を、ブロック図で示す。なお、ブロック図では、構成要素を機能ごとに分類し、互いに独立したブロックとして示しているが、実際の構成要素は機能ごとに切り分けることが難しく、一つの構成要素が複数の機能に係わることもあり得る。
【0188】
図24に示す表示装置80は、画素20を画素部15に複数有するパネル85と、コントローラ86と、CPU83と、画像処理回路82と、画像メモリ87と、メモリ88と、補正回路81とを有する。また、パネル85は、駆動回路11、駆動回路12および回路部13を有する。なお、駆動回路11、駆動回路12、回路部13、画素部15および画素20については先の実施の形態の記載を参酌することができる。
【0189】
CPU83は、外部から入力された命令、またはCPU83内に設けられたメモリに記憶されている命令をデコードし、表示装置80が有する各種回路の動作を統括的に制御することで、当該命令を実行する機能を有する。
【0190】
補正回路81は、実施の形態1に記載した方法によって、表示画素それぞれに含まれる駆動用トランジスタの電流特性の情報をもとに電流特性を補正するデータを生成する。メモリ88は、電流特性を補正するデータを記憶する機能を有する。
【0191】
画像メモリ87は、表示装置80に入力された画像データ89を記憶する機能を有する。なお、
図24では、画像メモリ87を1つだけ表示装置80に設ける場合を例示しているが、複数の画像メモリ87が表示装置80に設けられていても良い。例えば、赤、青、緑などの色相にそれぞれ対応する3つの画像データ89により、画素部15にフルカラーの画像が表示される場合、各画像データ89に対応した画像メモリ87を、それぞれ設けるようにしても良い。
【0192】
画像メモリ87には、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)等の記憶回路を用いることができる。或いは、画像メモリ87に、VRAM(Video RAM)を用いても良い。
【0193】
画像処理回路82は、CPU83からの命令にしたがい、画像データ89の画像メモリ87への書き込みと、画像データ89の画像メモリ87からの読み出しをおこない、画像データ89から映像信号を生成する機能を有する。また、画像処理回路82は、CPU83からの命令にしたがい、メモリ88に記憶されているデータを読み出し、当該データを用いて、映像信号の補正をおこなう機能を有する。
【0194】
コントローラ86は、映像信号が入力されると、パネル85の仕様に合わせて映像信号に信号処理を施した後、パネル85に供給する機能を有する。
【0195】
なお、コントローラ86は、駆動回路12や駆動回路11などの駆動に用いられる各種の駆動信号を、パネル85に供給する機能を有する。駆動信号には、駆動回路12の動作を制御するスタートパルス信号SSP、クロック信号SCK、ラッチ信号LP、駆動回路11の動作を制御するスタートパルス信号GSP、クロック信号GCKなどが含まれる。
【0196】
なお、表示装置80は、表示装置80が有するCPU83に、データや命令を与える機能を有する入力装置を、有していても良い。入力装置として、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、センサなどを用いることができる。
【0197】
〈トランジスタの構成例1〉
図25、
図30に、表示装置に含まれるトランジスタの一例として、トップゲート構造のトランジスタを示す。
【0198】
図30に駆動回路に設けられるトランジスタ100B及び画素部15に設けられるトランジスタ100Aの上面図を示し、
図25にトランジスタ100B及びトランジスタ100Aの断面図を示す。
図30(A)はトランジスタ100Bの上面図であり、
図30(B)はトランジスタ100Aの上面図である。
図25(A)は、
図30(A)の一点鎖線X1−X2間の断面図、及び
図30(B)の一点鎖線X3−X4間の断面図である。
図25(B)は、
図30(A)の一点鎖線Y1−Y2間の断面図、及び
図30(B)の一点鎖線Y3−Y4間の断面図である。また、
図25(A)は、トランジスタ100Aおよびトランジスタ100Bのチャネル長方向の断面図である。また、
図25(B)は、トランジスタ100Aおよびトランジスタ100Bのチャネル幅方向の断面図である。
【0199】
なお、トランジスタの上面図においては、以降の図面においてもトランジスタ100A及びトランジスタ100Bと同様に、構成要素の一部を省略して図示する場合がある。また、一点鎖線X1−X2方向及び一点鎖線X3−X4方向をチャネル長方向、一点鎖線Y1−Y2方向及び一点鎖線Y3−Y4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
【0200】
図25に示すトランジスタ100Aは、基板101上に形成された絶縁膜111上の酸化物半導体膜112と、酸化物半導体膜112に接する導電膜114、導電膜116及び絶縁膜117と、絶縁膜117を介して酸化物半導体膜112と重なる導電膜118とを有する。なお、トランジスタ100A上に絶縁膜120が設けられている。
【0201】
図25に示すトランジスタ100Bは、基板101上に形成された絶縁膜111上の酸化物半導体膜103と、酸化物半導体膜103に接する導電膜104、導電膜105及び絶縁膜106と、絶縁膜106を介して酸化物半導体膜103と重なる導電膜107とを有する。なお、トランジスタ100B上に絶縁膜120が設けられている。
【0202】
トランジスタ100Bは、絶縁膜111を介して酸化物半導体膜103と重なる導電膜102を有する。すなわち、導電膜102は、ゲート電極として機能する。また、トランジスタ100Bは、デュアルゲート構造のトランジスタである。その他の構成は、トランジスタ100Aと同様であり、同様の効果を奏する。
【0203】
導電膜102及び導電膜107にそれぞれ異なる電位を印加することで、トランジスタ100Bのしきい値電圧を制御することができる。又は、
図25(B)に示すように、導電膜102及び導電膜107に同じ電位を印加することで、オン電流の増加、初期特性バラつきの低減、−GBTストレス試験の劣化の抑制、及び異なるドレイン電圧におけるオン電流の立ち上がり電圧の変動の抑制が可能である。
【0204】
表示装置の駆動回路部(例えば、駆動回路11、駆動回路12など)と画素部15において、トランジスタの構造が異なる。駆動回路部に含まれるトランジスタは、デュアルゲート構造である。即ち、画素部15と比較して、オン電流の高いトランジスタを駆動回路部に有する。
【0205】
また、駆動回路部と画素部15に含まれるトランジスタのチャネル長が異なってもよい。
【0206】
代表的には、駆動回路部に含まれるトランジスタ100Bのチャネル長を2.5μm未満、又は1.45μm以上2.2μm以下とすることができる。一方、画素部15に含まれるトランジスタ100Aのチャネル長を2.5μm以上、又は2.5μm以上20μm以下とすることができる。
【0207】
駆動回路部に含まれるトランジスタ100Bのチャネル長を、2.5μm未満、好ましくは1.45μm以上2.2μm以下とすることで、画素部15に含まれるトランジスタ100Aと比較して、オン電流を増大させることができる。この結果、高速動作が可能な駆動回路部を作製することができる。
【0208】
酸化物半導体膜112において、導電膜114、導電膜116及び導電膜118と重ならない領域には、酸素欠損を形成する元素を有する。また、酸化物半導体膜103において、導電膜104、導電膜105及び導電膜107と重ならない領域には、酸素欠損を形成する元素を有する。以下、酸素欠損を形成する元素を、不純物元素として説明する。不純物元素の代表例としては、水素、希ガス元素等がある。希ガス元素の代表例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン及びキセノンがある。さらに、不純物元素としホウ素、炭素、窒素、フッ素、アルミニウム、シリコン、リン、塩素等が酸化物半導体膜112及び酸化物半導体膜103に含まれてもよい。
【0209】
また、絶縁膜120は水素を含む膜であり、代表的には窒化物絶縁膜がある。絶縁膜120が酸化物半導体膜112及び酸化物半導体膜103に接することで、絶縁膜120に含まれる水素が酸化物半導体膜112及び酸化物半導体膜103に拡散する。この結果、酸化物半導体膜112及び酸化物半導体膜103が絶縁膜120と接する領域において、水素が多く含まれる。
【0210】
不純物元素として、希ガス元素が酸化物半導体膜に添加されると、酸化物半導体膜中の金属元素及び酸素の結合が切断され、酸素欠損が形成される。酸化物半導体膜に含まれる酸素欠損と水素の相互作用により、酸化物半導体膜は導電率が高くなる。具体的には、酸化物半導体膜に含まれる酸素欠損に水素が入ることで、キャリア(電子)が生成される。この結果、導電率が高くなる。
【0211】
ここで、酸化物半導体膜112の部分拡大図を
図26に示す。なお、代表例として、トランジスタ100Aに含まれる酸化物半導体膜112の部分拡大図を用いて説明する。
図26に示すように、酸化物半導体膜112は、導電膜114又は導電膜116と接する領域112aと、絶縁膜120と接する領域112bと、絶縁膜117と接する領域112dとを有する。なお、導電膜118の側面がテーパ形状を有する場合、導電膜118のテーパ部と重なる領域112cを有してもよい。
【0212】
領域112aは、ソース領域及びドレイン領域として機能する。導電膜114及び導電膜116がタングステン、チタン、アルミニウム、銅、モリブデン、クロム、又はタンタル単体若しくは合金等の酸素と結合しやすい導電材料を用いて形成される場合、酸化物半導体膜に含まれる酸素と導電膜114及び導電膜116に含まれる導電材料とが結合し、酸化物半導体膜において、酸素欠損が形成される。また、酸化物半導体膜に導電膜114及び導電膜116を形成する導電材料の構成元素の一部が混入する場合もある。これらの結果、導電膜114又は導電膜116と接する領域112aは、導電性が高まり、ソース領域及びドレイン領域として機能する。
【0213】
領域112bは、低抵抗領域として機能する。領域112bには不純物元素として少なくとも希ガス元素及び水素が含まれる。なお、導電膜118の側面がテーパ形状を有する場合、不純物元素は導電膜118のテーパ部を通過して領域112cに添加されるため、領域112cは、領域112bと比較して不純物元素の一例である希ガス元素の濃度が低いが、不純物元素が含まれる。領域112cを有することで、トランジスタのソース−ドレイン耐圧を高めることができる。
【0214】
酸化物半導体膜112がスパッタリング法で形成される場合、領域112a乃至領域112dはそれぞれ希ガス元素を含み、且つ領域112a及び領域112dと比較して、領域112b及び領域112cの方が希ガス元素の濃度が高い。これは、酸化物半導体膜112がスパッタリング法で形成される場合、スパッタリングガスとして希ガス元素を用いるため、酸化物半導体膜112に希ガス元素が含まれること、並びに領域112b及び領域112cにおいて、酸素欠損を形成するために、意図的に希ガス元素が添加されることが原因である。なお、領域112b及び領域112cにおいて、領域112a及び領域112dと異なる希ガス元素が添加されていてもよい。
【0215】
また、領域112bは絶縁膜120と接するため、領域112a及び領域112dと比較して、領域112bの方が水素の濃度が高い。また、領域112bから領域112cに水素が拡散する場合、領域112cは、領域112a及び領域112dと比較して水素濃度が高い。但し、領域112cより領域112bの方が、水素濃度が高い。
【0216】
領域112b及び領域112cにおいて、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる水素の濃度は、8×10
19atoms/cm
3以上、又は1×10
20atoms/cm
3以上、又は5×10
20atoms/cm
3以上とすることができる。なお、領域112a及び領域112dの二次イオン質量分析法により得られる水素濃度は、5×10
19atoms/cm
3以下、又は1×10
19atoms/cm
3以下、又は5×10
18atoms/cm
3以下、又は1×10
18atoms/cm
3以下、又は5×10
17atoms/cm
3以下、又は1×10
16atoms/cm
3以下とすることができる。
【0217】
また、不純物元素として、ホウ素、炭素、窒素、フッ素、アルミニウム、シリコン、リン、又は塩素が酸化物半導体膜112に添加される場合、領域112b及び領域112cにのみ不純物元素を有する。このため、領域112a及び領域112dと比較して、領域112b及び領域112cの方が不純物元素の濃度が高い。なお、領域112b及び領域112cにおいて、二次イオン質量分析法により得られる不純物元素の濃度は、1×10
18atoms/cm
3以上1×10
22atoms/cm
3以下、又は1×10
19atoms/cm
3以上1×10
21atoms/cm
3以下、又は5×10
19atoms/cm
3以上5×10
20atoms/cm
3以下とすることができる。
【0218】
領域112dと比較して、領域112b及び領域112cは、水素濃度が高く、且つ希ガス元素の添加による酸素欠損量が多い。このため、導電性が高くなり、低抵抗領域として機能する。代表的には、領域112b及び領域112cの抵抗率として、1×10
−3Ωcm以上1×10
4Ωcm未満、又は1×10
−3Ωcm以上1×10
−1Ωcm未満とすることができる。
【0219】
なお、領域112b及び領域112cにおいて、水素の量は酸素欠損の量と同じ又は少ないと、水素が酸素欠損に捕獲されやすく、チャネルである領域112dに拡散しにくい。この結果、ノーマリーオフ特性のトランジスタを作製することができる。
【0220】
領域112dは、チャネルとして機能する。
【0221】
また、導電膜114、導電膜116及び導電膜118をマスクとして酸化物半導体膜112に不純物元素を添加した後、導電膜118の上面形状における面積を縮小してもよい。これは、導電膜118の形成工程において、導電膜118上のマスクに対してスリミング処理をおこない、より微細な構造のマスクを形成することによって行うことができる。次に、該マスクを用いて導電膜118および絶縁膜117をエッチングすることで、
図26(B)に示す導電膜118aおよび絶縁膜117aを形成することができる。スリミング処理としては、例えば、酸素ラジカルなどを用いるアッシング処理を適用することができる。
【0222】
この結果、酸化物半導体膜112において、領域112c及びチャネルである領域112dの間に、オフセット領域112eが形成される。なお、チャネル長方向におけるオフセット領域112eの長さは、0.1μm未満とすることで、トランジスタのオン電流の低下を低減することが可能である。
【0223】
絶縁膜117及び絶縁膜106はゲート絶縁膜として機能する。
【0224】
導電膜114及び導電膜116、並びに導電膜104及び導電膜105は、ソース電極及びドレイン電極として機能する。
【0225】
導電膜118及び導電膜107は、ゲート電極として機能する。
【0226】
本実施の形態に示すトランジスタ100A及びトランジスタ100Bは、チャネルとして機能する領域112dと、ソース領域及びドレイン領域として機能する領域112aとの間に、低抵抗領域として機能する領域112b及び/又は領域112cを有する。チャネルとソース領域及びドレイン領域との間の抵抗を低減することが可能であり、トランジスタ100A及びトランジスタ100Bは、オン電流が大きく、電界効果移動度が高い。
【0227】
また、トランジスタ100A及びトランジスタ100Bにおいて、導電膜118と、導電膜114及び導電膜116とが重ならないことで、導電膜118と、導電膜114及び導電膜116との間の寄生容量を低減することが可能である。また、導電膜107と、導電膜104及び導電膜105とが重ならないことで、導電膜107と、導電膜104及び導電膜105との間の寄生容量を低減することが可能である。この結果、基板101として大面積基板を用いた場合、導電膜114、導電膜116及び導電膜118、並びに導電膜104及び導電膜105及び導電膜107における信号遅延を低減することが可能である。
【0228】
また、トランジスタ100Aにおいて、導電膜114、導電膜116及び導電膜118をマスクとして、希ガス元素を酸化物半導体膜112に添加することで、酸素欠損を有する領域が形成される。また、トランジスタ100Bにおいて、導電膜104、導電膜105及び導電膜107をマスクとして、不純物元素が酸化物半導体膜103に添加することで、酸素欠損を有する領域が形成される。さらに、酸素欠損を有する領域が、水素を含む絶縁膜120と接するため、絶縁膜120に含まれる水素が酸素欠損を有する領域に拡散することで、低抵抗領域が形成される。すなわち、セルフアラインで低抵抗領域を形成することができる。
【0229】
また、本実施の形態に示すトランジスタ100A及びトランジスタ100Bは、領域112bに、希ガス元素を添加することで、酸素欠損を形成するとともに、水素を添加している。このため、領域112bにおける導電率を高めることが可能であるとともに、トランジスタごとの領域112bの導電率のばらつきを低減することが可能である。すなわち、領域112bに希ガス元素及び水素を添加することで、領域112bの導電率の制御が可能である。
【0230】
以下に、
図25に示す構成の詳細について説明する。
【0231】
基板101としては、様々な基板を用いることができ、特定のものに限定されることはない。基板の一例としては、半導体基板(例えば単結晶基板又はシリコン基板)、SOI基板、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板、金属基板、ステンレス・スチル基板、ステンレス・スチル・ホイルを有する基板、タングステン基板、タングステン・ホイルを有する基板、可撓性基板、貼り合わせフィルム、繊維状の材料を含む紙、又は基材フィルムなどがある。ガラス基板の一例としては、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、又はソーダライムガラスなどがある。可撓性基板、貼り合わせフィルム、基材フィルムなどの一例としては、以下のものがあげられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)に代表されるプラスチックがある。又は、一例としては、アクリル等の合成樹脂などがある。又は、一例としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、又はポリ塩化ビニルなどがある。又は、一例としては、ポリアミド、ポリイミド、アラミド、エポキシ、無機蒸着フィルム、又は紙類などがある。特に、半導体基板、単結晶基板、又はSOI基板などを用いてトランジスタを製造することによって、特性、サイズ、又は形状などのばらつきが少なく、電流能力が高く、サイズの小さいトランジスタを製造することができる。このようなトランジスタによって回路を構成すると、回路の低消費電力化、又は回路の高集積化を図ることができる。
【0232】
また、基板101として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、トランジスタを形成してもよい。又は、基板101とトランジスタの間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上に半導体装置を一部あるいは全部完成させた後、基板101より分離し、他の基板に転載するのに用いることができる。その際、トランジスタは耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも転載できる。なお、上述の剥離層には、例えば、タングステン膜と酸化シリコン膜との無機膜の積層構造の構成や、基板上にポリイミド等の有機樹脂膜が形成された構成等を用いることができる。
【0233】
トランジスタが転載される基板の一例としては、上述したトランジスタを形成することが可能な基板に加え、紙基板、セロファン基板、アラミドフィルム基板、ポリイミドフィルム基板、石材基板、木材基板、布基板(天然繊維(絹、綿、麻)、合成繊維(ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル)若しくは再生繊維(アセテート、キュプラ、レーヨン、再生ポリエステル)などを含む)、皮革基板、又はゴム基板などがある。これらの基板を用いることにより、特性のよいトランジスタの形成、消費電力の小さいトランジスタの形成、壊れにくい装置の製造、耐熱性の付与、軽量化、又は薄型化を図ることができる。
【0234】
絶縁膜111は、酸化物絶縁膜又は窒化物絶縁膜を単層又は積層して形成することができる。なお、酸化物半導体膜103及び酸化物半導体膜112との界面特性を向上させるため、絶縁膜111において少なくとも酸化物半導体膜103及び酸化物半導体膜112と接する領域は酸化物絶縁膜で形成することが好ましい。また、絶縁膜111として加熱により酸素を放出する酸化物絶縁膜を用いることで、加熱処理により絶縁膜111に含まれる酸素を、酸化物半導体膜103及び酸化物半導体膜112に移動させることが可能である。
【0235】
絶縁膜111の厚さは、50nm以上、又は100nm以上3000nm以下、又は200nm以上1000nm以下とすることができる。絶縁膜111を厚くすることで、絶縁膜111の酸素放出量を増加させることができると共に、絶縁膜111と酸化物半導体膜103及び酸化物半導体膜112との界面における界面準位、並びに酸化物半導体膜103及び酸化物半導体膜112の領域112dに含まれる酸素欠損を低減することが可能である。
【0236】
絶縁膜111として、例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウム又はGa−Zn酸化物などを用いればよく、単層又は積層で設けることができる。
【0237】
酸化物半導体膜112及び酸化物半導体膜103は、代表的には、In−Ga酸化物、In−Zn酸化物、In−M−Zn酸化物(Mは、Mg、Al、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、又はHf)等の金属酸化物で形成される。なお、酸化物半導体膜112及び酸化物半導体膜103は、透光性を有する。
【0238】
なお、酸化物半導体膜112及び酸化物半導体膜103がIn−M−Zn酸化物の場合、ZnおよびOを除いてのInおよびMの原子数比率は、In及びMの和を100atomic%としたときInが25atomic%以上、Mが75atomic%未満、又はInが34atomic%以上、Mが66atomic%未満とする。
【0239】
酸化物半導体膜112及び酸化物半導体膜103は、エネルギーギャップが2eV以上、又は2.5eV以上、又は3eV以上である。
【0240】
酸化物半導体膜112及び酸化物半導体膜103の厚さは、3nm以上200nm以下、又は3nm以上100nm以下、又は3nm以上50nm以下とすることができる。
【0241】
酸化物半導体膜112及び酸化物半導体膜103がIn−M−Zn酸化物(Mは、Mg、Al、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、又はHf)の場合、In−M−Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M、Zn≧Mを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=2:1:1.5、In:M:Zn=2:1:2.3、In:M:Zn=2:1:3、In:M:Zn=3:1:2等が好ましい。なお、成膜される酸化物半導体膜112及び酸化物半導体膜103の原子数比はそれぞれ、誤差として上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
【0242】
また、酸化物半導体膜112及び酸化物半導体膜103において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物半導体膜112及び酸化物半導体膜103において、酸素欠損が増加し、n型化してしまう。このため、酸化物半導体膜112及び酸化物半導体膜103であって、特に領域112dにおいて、シリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)を、2×10
18atoms/cm
3以下、又は2×10
17atoms/cm
3以下とすることができる。この結果、トランジスタは、しきい値電圧がプラスとなる電気特性(ノーマリーオフ特性ともいう。)を有する。
【0243】
また、酸化物半導体膜112及び酸化物半導体膜103であって、特に領域112dにおいて、二次イオン質量分析法により得られるアルカリ金属又はアルカリ土類金属の濃度を、1×10
18atoms/cm
3以下、又は2×10
16atoms/cm
3以下とすることができる。アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、酸化物半導体と結合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため、領域112dのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。この結果、トランジスタは、しきい値電圧がプラスとなる電気特性(ノーマリーオフ特性ともいう。)を有する。
【0244】
また、酸化物半導体膜112及び酸化物半導体膜103であって、特に領域112dに窒素が含まれていると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化となる場合がある。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体膜を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。したがって、当該酸化物半導体膜であって、特に領域112dにおいて、窒素はできる限り低減されていることが好ましい。例えば、二次イオン質量分析法により得られる窒素濃度を、5×10
18atoms/cm
3以下にすることができる。
【0245】
酸化物半導体膜112及び酸化物半導体膜103であって、特に領域112dにおいて、不純物元素を低減することで、酸化物半導体膜のキャリア密度を低減することができる。このため、酸化物半導体膜112及び酸化物半導体膜103であって、特に領域112dにおいては、キャリア密度を8×10
11個/cm
3未満、好ましくは1×10
11個/cm
3未満、さらに好ましくは1×10
10個/cm
3未満であり、且つ、1×10
−9個/cm
3以上とすることができる。
【0246】
酸化物半導体膜112及び酸化物半導体膜103として、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜を用いることで、さらに優れた電気特性を有するトランジスタを作製することができる。ここでは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い(酸素欠損の少ない)ことを高純度真性又は実質的に高純度真性とよぶ。高純度真性又は実質的に高純度真性である酸化物半導体は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる場合がある。したがって、当該酸化物半導体膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、しきい値電圧がプラスとなる電気特性(ノーマリーオフ特性ともいう。)になりやすい。また、高純度真性又は実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。また、高純度真性又は実質的に高純度真性である酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、オフ電流が著しく小さく、ソース電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10
−13A以下という特性を得ることができる。したがって、当該酸化物半導体膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる場合がある。
【0247】
また、酸化物半導体膜112及び酸化物半導体膜103は、例えば非単結晶構造でもよい。非単結晶構造は、例えば、後述するCAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶構造、後述する微結晶構造、又は非晶質構造を含む。非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CAAC−OSは最も欠陥準位密度が低い。
【0248】
なお、酸化物半導体膜112及び酸化物半導体膜103が、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC−OSの領域、単結晶構造の領域の二種以上を有する混合膜であってもよい。混合膜は、例えば、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC−OSの領域、単結晶構造の領域のいずれか二種以上の領域を有する単層構造の場合がある。また、混合膜は、例えば、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC−OSの領域、単結晶構造の領域のいずれか二種以上が積層された構造の場合がある。
【0249】
なお、酸化物半導体膜112及び酸化物半導体膜103において、領域112bと、領域112dとの結晶性が異なる場合がある。また、酸化物半導体膜112及び酸化物半導体膜103において、領域112cと、領域112dとの結晶性が異なる場合がある。これは、領域112b又は領域112cに不純物元素が添加された際に、領域112b又は領域112cにダメージが入ってしまい、結晶性が低減するためである。
【0250】
絶縁膜106及び絶縁膜117は、酸化物絶縁膜又は窒化物絶縁膜を単層又は積層して形成することができる。なお、酸化物半導体膜112及び酸化物半導体膜103との界面特性を向上させるため、絶縁膜106及び絶縁膜117において少なくとも酸化物半導体膜112及び酸化物半導体膜103と接する領域は酸化物絶縁膜を用いて形成することが好ましい。絶縁膜106及び絶縁膜117として、例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウム又はGa−Zn酸化物などを用いればよく、単層又は積層で設けることができる。
【0251】
また、絶縁膜106及び絶縁膜117として、酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する絶縁膜を設けることで、酸化物半導体膜112及び酸化物半導体膜103からの酸素の外部への拡散と、外部から酸化物半導体膜112及び酸化物半導体膜103への水素、水等の侵入を防ぐことができる。酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する絶縁膜としては、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等がある。
【0252】
また、絶縁膜106及び絶縁膜117として、ハフニウムシリケート(HfSiO
x)、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSi
xO
yN
z)、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAl
xO
yN
z)、酸化ハフニウム、酸化イットリウムなどのhigh−k材料を用いることでトランジスタのゲートリークを低減できる。
【0253】
また、絶縁膜106及び絶縁膜117として、加熱により酸素を放出する酸化物絶縁膜を用いることで、加熱処理により絶縁膜106及び絶縁膜117に含まれる酸素を、酸化物半導体膜112及び酸化物半導体膜103に移動させることが可能である。
【0254】
また、絶縁膜106及び絶縁膜117として、欠陥の少ない酸化窒化シリコン膜を用いることができる。欠陥の少ない酸化窒化シリコン膜は、加熱処理後において、100K以下のESRで測定して得られたスペクトルにおいてg値が2.037以上2.039以下の第1のシグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、及びg値が1.964以上1.966以下の第3のシグナルが観測される。なお、第1のシグナル及び第2のシグナルのスプリット幅、並びに第2のシグナル及び第3のシグナルのスプリット幅は、XバンドのESR測定において約5mTである。また、g値が2.037以上2.039以下の第1のシグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、及びg値1.964以上1.966以下である第3のシグナルのスピンの密度の合計が1×10
18spins/cm
3未満であり、代表的には1×10
17spins/cm
3以上1×10
18spins/cm
3未満である。
【0255】
なお、100K以下のESRスペクトルにおいてg値が2.037以上2.039以下の第1シグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、及びg値が1.964以上1.966以下の第3のシグナルは、窒素酸化物(NO
x、xは0以上2以下、又は1以上2以下)起因のシグナルに相当する。即ち、g値が2.037以上2.039以下の第1のシグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、及びg値1.964以上1.966以下である第3のシグナルのスピンの密度の合計が低いほど、酸化窒化シリコン膜に含まれる窒素酸化物の含有量が少ないといえる。
【0256】
また、欠陥の少ない酸化窒化シリコン膜は、二次イオン質量分析法で測定される窒素濃度が、6×10
20atoms/cm
3以下である。絶縁膜117として欠陥の少ない酸化窒化シリコン膜を用いることで、窒素酸化物が生成されにくくなり、酸化物半導体膜112及び酸化物半導体膜103及び絶縁膜の界面におけるキャリアのトラップを低減することが可能である。また、表示装置に含まれるトランジスタのしきい値電圧のシフトを低減することが可能であり、トランジスタの電気特性の変動を低減することができる。
【0257】
絶縁膜106及び絶縁膜117の厚さは、5nm以上400nm以下、又は5nm以上300nm以下、又は10nm以上250nm以下とすることができる。
【0258】
導電膜114、導電膜116及び導電膜118、並びに導電膜104、導電膜105、導電膜102及び導電膜107としては、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、ニッケル、鉄、コバルト、タングステンから選ばれた金属元素、又は上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いて形成することができる。また、マンガン、ジルコニウムのいずれか一又は複数から選択された金属元素を用いてもよい。また、導電膜114、導電膜116及び導電膜118、並びに導電膜104、導電膜105、導電膜102及び導電膜107は、単層構造でも、二層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、マンガンを含む銅膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、窒化タンタル膜又は窒化タングステン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、マンガンを含む銅膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜と、そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造、マンガンを含む銅膜上に銅膜を積層し、さらにその上にマンガンを含む銅膜を形成する三層構造等がある。また、アルミニウムに、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素の一又は複数組み合わせた合金膜、もしくは窒化膜を用いてもよい。
【0259】
また、導電膜114、導電膜116及び導電膜118、並びに導電膜104、導電膜105、導電膜102及び導電膜107は、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化シリコンを含むインジウム錫酸化物等の透光性を有する導電性材料を適用することもできる。また、上記透光性を有する導電性材料と、上記金属元素を含む導電性材料の積層構造とすることもできる。
【0260】
導電膜114、導電膜116及び導電膜118、並びに導電膜104、導電膜105、導電膜102及び導電膜107の厚さは、30nm以上500nm以下、又は100nm以上400nm以下とすることができる。
【0261】
絶縁膜120としては、水素を含む膜であり、代表的には窒化物絶縁膜がある。窒化物絶縁膜としては、窒化シリコン、窒化アルミニウム等を用いて形成することができる。
【0262】
〈トランジスタの構成例2〉
次に、表示装置に含まれるトランジスタの別の構成について、
図27を用いて説明する。ここでは、画素部15に設けられたトランジスタ100Aの変形例としてトランジスタ100Cを用いて説明するが、駆動回路部のトランジスタ100Bにトランジスタ100Cの絶縁膜111の構成、又は導電膜114、導電膜116及び導電膜118の構造を適宜適用することができる。
【0263】
図27(A)乃至
図27(C)に、表示装置が有するトランジスタ100Cの上面図及び断面図を示す。
図27(A)はトランジスタ100Cの上面図であり、
図27(B)は、
図27(A)の一点鎖線Y3−Y4間の断面図であり、
図27(C)は、
図27(A)の一点鎖線X3−X4間の断面図である。
【0264】
図27に示すトランジスタ100Cは、導電膜114、導電膜116及び導電膜118が、2層又は3層構造で構成されている。また、絶縁膜111が、窒化物絶縁膜111a及び酸化物絶縁膜111bの積層構造で構成されている。その他の構成は、トランジスタ100Aと同様であり、同様の効果を奏する。
【0265】
はじめに、導電膜114、導電膜116及び導電膜118について説明する。
【0266】
導電膜114は、導電膜114aと、導電膜114bと、導電膜114cとが順に積層しており、且つ導電膜114a及び導電膜114cは導電膜114bの表面を覆っている。すなわち、導電膜114a及び導電膜114cは、導電膜114bの保護膜として機能する。
【0267】
導電膜114と同様に、導電膜116は、導電膜116aと、導電膜116bと、導電膜116cとが順に積層しており、且つ導電膜116a及び導電膜116cは導電膜116bの表面を覆っている。すなわち、導電膜116a及び導電膜116cは、導電膜116bの保護膜として機能する。
【0268】
導電膜118は、導電膜118aと、導電膜118bとが順に積層している。
【0269】
導電膜114a、導電膜116a及び導電膜118aとしては、導電膜114b、導電膜116b、導電膜118bに含まれる金属元素が酸化物半導体膜112に拡散するのを防ぐ材料を用いて形成する。導電膜114a、導電膜116a及び導電膜118aとして、チタン、タンタル、モリブデン、タングステンの単体若しくは合金、又は窒化チタン、窒化タンタル、窒化モリブデン等を用いて形成することができる。又は、導電膜114a、導電膜116a及び導電膜118aは、Cu−X合金(Xは、Mn、Ni、Cr、Fe、Co、Mo、Ta、又はTi)等を用いて形成することができる。
【0270】
導電膜114b、導電膜116b及び導電膜118bとしては、低抵抗材料を用いて形成する。導電膜114b、導電膜116b及び導電膜118bとして、銅、アルミニウム、金、銀等の単体若しくは合金、又はこれを主成分とする化合物等を用いて形成することができる。
【0271】
導電膜114c及び導電膜116cとしては、導電膜114b、導電膜116bに含まれる金属元素が不動態化された膜を用いて形成することで、導電膜114b、導電膜116bに含まれる金属元素が、絶縁膜128の形成工程において酸化物半導体膜112に移動することを防ぐことができる。導電膜114cおよび導電膜116cとして、金属珪素化物、金属珪素化窒化物等を用いて形成することが可能であり、代表的には、CuSi
x(x>0)、CuSi
xN
y(x>0、y>0)等がある。
【0272】
ここで、導電膜114c及び導電膜116cの形成方法について説明する。なお、導電膜114b及び導電膜116bは、銅を用いて形成される。また、導電膜114c及び導電膜116cは、CuSi
xN
y(x>0、y>0)を用いて形成される。
【0273】
導電膜114b及び導電膜116bを、水素、アンモニア、一酸化炭素等の還元性雰囲気で発生させたプラズマに曝し、導電膜114b及び導電膜116bの表面の酸化物を還元する。
【0274】
次に、200℃以上400℃以下で加熱しながら、導電膜114b及び導電膜116bをシランに曝す。この結果、導電膜114b及び導電膜116bに含まれる銅が触媒として作用し、シランがSiとH
2に分解されるとともに、導電膜114b及び導電膜116bの表面にCuSi
x(x>0)が形成される。
【0275】
次に、導電膜114b及び導電膜116bを、アンモニア又は窒素等の窒素を含む雰囲気で発生させたプラズマに曝すことで、導電膜114b及び導電膜116bの表面に形成されたCuSi
x(x>0)がプラズマに含まれる窒素と反応し、導電膜114c及び導電膜116cとして、CuSi
xN
y(x>0、y>0)が形成される。
【0276】
なお、上記工程において、導電膜114b及び導電膜116bをアンモニア又は窒素等の窒素を含む雰囲気で発生させたプラズマに曝した後、200℃以上400℃以下で加熱しながら、導電膜114b及び導電膜116bをシランに曝すことで、導電膜114c及び導電膜116cとして、CuSi
xN
y(x>0、y>0)を形成してもよい。
【0277】
次に、窒化物絶縁膜111a及び酸化物絶縁膜111bが積層された絶縁膜111について説明する。
【0278】
例えば、窒化物絶縁膜111aとして窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム等を用いて形成することができる。また、酸化物絶縁膜111bとして、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム等を用いて形成することができる。基板101側に窒化物絶縁膜111aを設けることで、外部からの水素、水等が酸化物半導体膜112に拡散することを防ぐことが可能である。
【0279】
〈トランジスタの構成例3〉
次に、表示装置に含まれるトランジスタの別の構成について
図28及び
図29を用いて説明する。ここでは、画素部15に設けられたトランジスタ100Aの変形例としてトランジスタ100D及びトランジスタ100Eを用いて説明するが、駆動回路部のトランジスタ100Bに、トランジスタ100Dに含まれる酸化物半導体膜112の構成、又はトランジスタ100Eに含まれる酸化物半導体膜112の構成を適宜適用することができる。
【0280】
図28(A)乃至
図28(C)に、表示装置が有するトランジスタ100Dの上面図及び断面図を示す。
図28(A)はトランジスタ100Dの上面図であり、
図28(B)は、
図28(A)の一点鎖線Y3−Y4間の断面図であり、
図28(C)は、
図28(A)の一点鎖線X3−X4間の断面図である。
【0281】
図28に示すトランジスタ100Dは、酸化物半導体膜112が多層構造で構成されている。具体的には、酸化物半導体膜112は、絶縁膜111と接する酸化物半導体膜113aと、酸化物半導体膜113aに接する酸化物半導体膜113bと、酸化物半導体膜113b、導電膜114、導電膜116、絶縁膜117及び絶縁膜120と接する酸化物半導体膜113cとを有する。その他の構成は、トランジスタ100Aと同様であり、同様の効果を奏する。
【0282】
酸化物半導体膜113a、酸化物半導体膜113b及び酸化物半導体膜113cは、代表的には、In−Ga酸化物、In−Zn酸化物、In−M−Zn酸化物(Mは、Mg、Al、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、又はHf)等の金属酸化物で形成される。
【0283】
また、酸化物半導体膜113a及び酸化物半導体膜113cは、代表的には、In−Ga酸化物、In−Zn酸化物、In−Mg酸化物、Zn−Mg酸化物、In−M−Zn酸化物(Mは、Mg、Al、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、又はHf)であり、且つ酸化物半導体膜113bよりも伝導帯下端のエネルギーが真空準位に近く、代表的には、酸化物半導体膜113a及び酸化物半導体膜113cの伝導帯下端のエネルギーと、酸化物半導体膜113bの伝導帯下端のエネルギーとの差が、0.05eV以上、0.07eV以上、0.1eV以上、又は0.2eV以上、且つ2eV以下、1eV以下、0.5eV以下、又は0.4eV以下である。なお、真空準位と伝導帯下端のエネルギー差を電子親和力ともいう。
【0284】
酸化物半導体膜113bがIn−M−Zn酸化物(Mは、Mg、Al、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、又はHf)の場合、酸化物半導体膜113bを成膜するために用いるターゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x
1:y
1:z
1とすると
、x
1/y
1は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であって、z
1/y
1は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。なお、z
1/y
1を1以上6以下とすることで、酸化物半導体膜113bとしてCAAC−OS膜が形成されやすくなる。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=2:1:1.5、In:M:Zn=2:1:2.3、In:M:Zn=2:1:3、In:M:Zn=3:1:2等がある。
【0285】
酸化物半導体膜113a及び酸化物半導体膜113cがIn−M−Zn酸化物(Mは、Mg、Al、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、又はHf)の場合、酸化物半導体膜113a及び酸化物半導体膜113cを成膜するために用いるターゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x
2:y
2:z
2とすると
、x
2/y
2<x
1/y
1であって、z
2/y
2は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。なお、z
2/y
2を1以上6以下とすることで、酸化物半導体膜113a及び酸化物半導体膜113cとしてCAAC−OS膜が形成されやすくなる。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:3:2、In:M:Zn=1:3:4、In:M:Zn=1:3:6、In:M:Zn=1:3:8、In:M:Zn=1:4:3、In:M:Zn=1:4:4、In:M:Zn=1:4:5、In:M:Zn=1:4:6、In:M:Zn=1:6:3、In:M:Zn=1:6:4、In:M:Zn=1:6:5、In:M:Zn=1:6:6、In:M:Zn=1:6:7、In:M:Zn=1:6:8、In:M:Zn=1:6:9等がある。
【0286】
なお、酸化物半導体膜113a、酸化物半導体膜113b及び酸化物半導体膜113cの原子数比はそれぞれ、誤差として上記の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
【0287】
なお、原子数比はこれらに限られず、必要とする半導体特性に応じて適切な原子数比のものを用いればよい。
【0288】
また、酸化物半導体膜113a及び酸化物半導体膜113cは同じ組成でもよい。例えば、酸化物半導体膜113a及び酸化物半導体膜113cとしてIn:Ga:Zn=1:3:2、1:3:4、1:4:5、1:4:6、1:4:7、又は1:4:8の原子数比のIn−Ga−Zn酸化物を用いてもよい。
【0289】
又は、酸化物半導体膜113a及び酸化物半導体膜113cは異なった組成でもよい。例えば、酸化物半導体膜113aとしてIn:Ga:Zn=1:3:2の原子数比のIn−Ga−Zn酸化物を用い、酸化物半導体膜113cとしてIn:Ga:Zn=1:3:4又は1:4:5の原子数比のIn−Ga−Zn酸化物を用いてもよい。
【0290】
酸化物半導体膜113a及び酸化物半導体膜113cの厚さは、3nm以上100nm以下、又は3nm以上50nm以下とする。酸化物半導体膜113bの厚さは、3nm以上200nm以下、又は3nm以上100nm以下、又は3nm以上50nm以下とする。なお、酸化物半導体膜113a及び酸化物半導体膜113cはそれぞれ酸化物半導体膜113bより厚さを薄くすることで、トランジスタのしきい値電圧の変動量を低減することが可能である。
【0291】
酸化物半導体膜113a、酸化物半導体膜113b及び酸化物半導体膜113cそれぞれの界面は、STEM(Scanning Transmission Electron Microscopy)を用いて観察することができる場合がある。
【0292】
酸化物半導体膜113bと比較して酸素欠損の生じにくい酸化物半導体膜113a及び酸化物半導体膜113cをそれぞれ酸化物半導体膜113bの上面及び下面に接して設けることで、酸化物半導体膜113bにおける酸素欠損を低減することができる。また、酸化物半導体膜113bは、酸化物半導体膜113bを構成する金属元素の一以上を有する酸化物半導体膜113a及び酸化物半導体膜113cと接するため、酸化物半導体膜113aと酸化物半導体膜113bとの界面、酸化物半導体膜113bと酸化物半導体膜113cとの界面における界面準位密度が極めて低い。このため、酸化物半導体膜113bに含まれる酸素欠損を低減することが可能である。
【0293】
また、酸化物半導体膜113aを設けることにより、トランジスタのしきい値電圧などの電気特性のばらつきを低減することができる。
【0294】
また、酸化物半導体膜113bを構成する金属元素を一種以上含む酸化物半導体膜113cが酸化物半導体膜113bに接して設けられるため、酸化物半導体膜113bと酸化物半導体膜113cとの界面ではキャリアの散乱が起こりにくく、トランジスタの電界効果移動度を高くすることができる。
【0295】
また、酸化物半導体膜113a及び酸化物半導体膜113cは、絶縁膜111及び絶縁膜117の構成元素が酸化物半導体膜113bへ混入して、不純物による準位が形成されることを抑制するためのバリア膜としても機能する。
【0296】
以上のことから、本実施の形態に示すトランジスタは、しきい値電圧などの電気特性のばらつきが低減されたトランジスタである。このようにしきい値電圧のばらつきが低減されたトランジスタを用いて先の実施の形態に示す表示装置を構成することにより、より容易かつ効果的にしきい値電圧のばらつきを補正することができる。
【0297】
図28と異なる構造のトランジスタを
図29に示す。
【0298】
図29(A)乃至
図29(C)に、表示装置が有するトランジスタ100Eの上面図及び断面図を示す。
図29(A)はトランジスタ100Eの上面図であり、
図29(B)は、
図29(A)の一点鎖線Y3−Y4間の断面図であり、
図29(C)は、
図29(A)の一点鎖線X3−X4間の断面図である。なお、
図29(A)では、明瞭化のため、基板101、絶縁膜111、絶縁膜117、絶縁膜120などを省略している。また、
図29(B)は、トランジスタ100Eのチャネル幅方向の断面図である。また、
図29(C)は、トランジスタ100Eのチャネル長方向の断面図である。
【0299】
図29に示すトランジスタ100Eのように、酸化物半導体膜112が、絶縁膜111と接する酸化物半導体膜113bと、酸化物半導体膜113b及び絶縁膜117と接する酸化物半導体膜113cの積層構造であってもよい。
【0300】
〈バンド構造〉
ここで、
図28及び
図29に示すトランジスタのバンド構造について説明する。なお、
図34(A)は、
図28に示すトランジスタ100Dのバンド構造であり、理解を容易にするため、絶縁膜111、酸化物半導体膜113a、酸化物半導体膜113b、酸化物半導体膜113c及び絶縁膜117の伝導帯下端のエネルギー(Ec)を示す。また、
図34(B)は、
図29に示すトランジスタ100Eのバンド構造であり、理解を容易にするため、絶縁膜111、酸化物半導体膜113b、酸化物半導体膜113c及び絶縁膜117の伝導帯下端のエネルギー(Ec)を示す。
【0301】
図34(A)に示すように、酸化物半導体膜113a、酸化物半導体膜113b及び酸化物半導体膜113cにおいて、伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化する。これは、酸化物半導体膜113a、酸化物半導体膜113b及び酸化物半導体膜113cを構成する元素が共通することにより、酸素が相互に拡散しやすい点からも理解される。したがって、酸化物半導体膜113a、酸化物半導体膜113b及び酸化物半導体膜113cは組成が異なる膜の積層体ではあるが、物性的に連続であるということもできる。
【0302】
主成分を共通として積層された酸化物半導体膜は、各層を単に積層するのではなく連続接合(ここでは特に伝導帯下端のエネルギーが各層の間で連続的に変化するU字型の井戸(U Shape Well)構造)が形成されるように作製する。すなわち、各層の界面に酸化物半導体にとってトラップ中心や再結合中心のような欠陥準位、あるいはキャリアの流れを阻害する不純物が存在しないように積層構造を形成する。仮に、積層された酸化物半導体膜の層間に不純物が混在していると、エネルギーバンドの連続性が失われ、界面でキャリアがトラップあるいは再結合により消滅してしまう。
【0303】
なお、
図34(A)では、酸化物半導体膜113aと酸化物半導体膜113cのEcが同様である場合について示したが、それぞれが異なっていてもよい。
【0304】
図34(A)より、酸化物半導体膜113bがウェル(井戸)となり、トランジスタ100Dにおいて、チャネルが酸化物半導体膜113bに形成されることがわかる。なお、酸化物半導体膜113a、酸化物半導体膜113b及び酸化物半導体膜113cは伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化するため、U字型の井戸構造のチャネルを埋め込みチャネルということもできる。
【0305】
また、
図34(B)に示すように、酸化物半導体膜113b及び酸化物半導体膜113cにおいて、伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化してもよい。
【0306】
図34(B)より、酸化物半導体膜113bがウェル(井戸)となり、トランジスタ100Eにおいて、チャネルが酸化物半導体膜113bに形成されることがわかる。
【0307】
図28に示すトランジスタ100Dは、酸化物半導体膜113bを構成する金属元素を一種以上含んでいる酸化物半導体膜113a及び酸化物半導体膜113cを有しているため、酸化物半導体膜113aと酸化物半導体膜113bとの界面、及び酸化物半導体膜113cと酸化物半導体膜113bとの界面に界面準位を形成しにくくなる。よって、酸化物半導体膜113a及び酸化物半導体膜113cを設けることにより、トランジスタのしきい値電圧などの電気特性のばらつきや変動を低減することができる。
【0308】
図29に示すトランジスタ100Eは、酸化物半導体膜113bを構成する金属元素を一種以上含んでいる酸化物半導体膜113cを有しているため、酸化物半導体膜113cと酸化物半導体膜113bとの界面に界面準位を形成しにくくなる。よって、酸化物半導体膜113cを設けることにより、トランジスタのしきい値電圧などの電気特性のばらつきや変動を低減することができる。このようにしきい値電圧のばらつきが低減されたトランジスタを用いて先の実施の形態に示す表示装置を構成することにより、より容易かつ効果的にしきい値電圧のばらつきを補正することができる。
【0309】
〈トランジスタの構成例4〉
次に、表示装置に含まれるトランジスタの別の構成について、
図31を用いて説明する。
【0310】
図31(A)乃至
図31(C)に、表示装置が有するトランジスタ100Fの上面図及び断面図を示す。
図31(A)はトランジスタ100Fの上面図であり、
図31(B)は、
図31(A)の一点鎖線Y3−Y4間の断面図であり、
図31(C)は、
図31(A)の一点鎖線X3−X4間の断面図である。
【0311】
図31に示すトランジスタ100Fは、基板121上に形成された絶縁膜122上の酸化物半導体膜123と、酸化物半導体膜123に接する絶縁膜124と、絶縁膜124の開口部130aの一部において酸化物半導体膜123と接する導電膜125と、絶縁膜124の開口部130bの一部において酸化物半導体膜123と接する導電膜126と、絶縁膜124を介して酸化物半導体膜123と重なる導電膜127とを有する。なお、トランジスタ100F上に絶縁膜128及び絶縁膜129が設けられてもよい。
【0312】
酸化物半導体膜123において、導電膜125、導電膜126及び導電膜127と重ならない領域には、酸素欠損を形成する元素を有する。以下、酸素欠損を形成する元素を、不純物元素として説明する。不純物元素の代表例としては、水素、ホウ素、炭素、窒素、フッ素、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、希ガス元素等がある。希ガス元素の代表例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン及びキセノンがある。
【0313】
不純物元素が酸化物半導体膜に添加されると、酸化物半導体膜中の金属元素及び酸素の結合が切断され、酸素欠損が形成される。又は、不純物元素が酸化物半導体膜に添加されると、酸化物半導体膜中の金属元素と結合していた酸素が不純物元素と結合し、金属元素から酸素が脱離され、酸素欠損が形成される。これらの結果、酸化物半導体膜においてキャリア密度が増加し、導電性が高くなる。
【0314】
ここで、酸化物半導体膜123の部分拡大図を
図31(D)に示す。
図31(D)に示すように、酸化物半導体膜123は、導電膜125及び導電膜126と接する領域123aと、絶縁膜128と接する領域123bと、絶縁膜124と重なる領域123c及び領域123dとを有する。
【0315】
領域123aは、
図26に示した領域112aと同様に、導電性が高く、ソース領域及びドレイン領域として機能する。
【0316】
領域123b及び領域123cは、低抵抗領域として機能する。領域123b及び領域123cには不純物元素が含まれる。なお、領域123bの方が領域123cより不純物元素濃度が高い。また、導電膜127の側面がテーパ形状を有する場合、領域123cの一部が、導電膜127と重なってもよい。
【0317】
不純物元素が希ガス元素であって、酸化物半導体膜123がスパッタリング法で形成される場合、領域123a乃至領域123dはそれぞれ希ガス元素を含み、且つ領域123a及び領域123dと比較して、領域123b及び領域123cの方が希ガス元素の濃度が高い。これは、酸化物半導体膜123がスパッタリング法で形成される場合、スパッタリングガスとして希ガス元素を用いるため、酸化物半導体膜123に希ガス元素が含まれること、並びに領域123b及び領域123cにおいて、酸素欠損を形成するために、意図的に希ガス元素が添加されることが原因である。なお、領域123b及び領域123cにおいて、領域123a及び領域123dと異なる希ガス元素が添加されていてもよい。
【0318】
不純物元素が、ホウ素、炭素、窒素、フッ素、アルミニウム、シリコン、リン、又は、塩素の場合、領域123b及び領域123cにのみ不純物元素を有する。このため、領域123a及び領域123dと比較して、領域123b及び領域123cの方が不純物元素の濃度が高い。なお、領域123b及び領域123cにおいて、SIMSにより得られる不純物元素の濃度は、1×10
18atoms/cm
3以上1×10
22atoms/cm
3以下、又は1×10
19atoms/cm
3以上1×10
21atoms/cm
3以下、又は5×10
19atoms/cm
3以上5×10
20atoms/cm
3以下とすることができる。
【0319】
不純物元素が、水素の場合、領域123a及び領域123dと比較して、領域123b及び領域123cの方が不純物元素の濃度が高い。なお、領域123b及び領域123cにおいて、SIMSにより得られる水素の濃度は、8×10
19atoms/cm
3以上、又は1×10
20atoms/cm
3以上、又は5×10
20atoms/cm
3以上とすることができる。
【0320】
領域123b及び領域123cは不純物元素を有するため、酸素欠損が増加し、キャリア密度が増加する。この結果、領域123b及び領域123cは、導電性が高くなり、低抵抗領域として機能する。このように低抵抗領域を設けることにより、チャネルとソース領域及びドレイン領域との間の抵抗を低減することが可能であり、トランジスタ100Fは、オン電流が大きく、電界効果移動度が高い。このため、トランジスタ100Fは、例えば先の実施の形態に示す駆動用トランジスタ(トランジスタ22など)に好適に用いることができる。
【0321】
なお、不純物元素が、水素、ホウ素、炭素、窒素、フッ素、アルミニウム、シリコン、リン、又は塩素の一以上と、希ガス元素の一以上の場合であってもよい。この場合、領域123b及び領域123cにおいて、希ガス元素により形成された酸素欠損と、且つ該領域に添加された水素、ホウ素、炭素、窒素、フッ素、アルミニウム、シリコン、リン、又は塩素の一以上との相互作用により、領域123b及び領域123cは、導電性がさらに高まる場合がある。
【0322】
領域123dは、チャネルとして機能する。
【0323】
絶縁膜124において、酸化物半導体膜123及び導電膜127と重なる領域は、ゲート絶縁膜として機能する。また、絶縁膜124において、酸化物半導体膜123と導電膜125及び導電膜126とが重なる領域は、層間絶縁膜として機能する。
【0324】
導電膜125及び導電膜126は、ソース電極及びドレイン電極として機能する。また、導電膜127は、ゲート電極として機能する。
【0325】
本実施の形態に示すトランジスタ100Fは、その作製工程において、ゲート電極として機能する導電膜127と、ソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜125及び導電膜126が同時に形成される。このため、トランジスタ100Fにおいて、導電膜127と、導電膜125及び導電膜126とが重ならず、導電膜127と、導電膜125及び導電膜126との間の寄生容量を低減することが可能である。この結果、基板121として大面積基板を用いた場合、導電膜125、導電膜126及び導電膜127における信号遅延を低減することが可能である。
【0326】
また、トランジスタ100Fにおいて、導電膜125、導電膜126及び導電膜127をマスクとして、不純物元素が酸化物半導体膜123に添加される。すなわち、セルフアラインで低抵抗領域を形成することができる。
【0327】
基板121としては、
図25に示す基板101を適宜用いることができる。
【0328】
絶縁膜122としては、
図25に示す絶縁膜111を適宜用いることができる。
【0329】
酸化物半導体膜123は、
図25に示す酸化物半導体膜103及び酸化物半導体膜112を適宜用いることができる。
【0330】
絶縁膜124は、
図25に示す絶縁膜106及び絶縁膜117を適宜用いることができる。
【0331】
導電膜125、導電膜126及び導電膜127は同時に形成されるため、同じ材料及び同じ積層構造を有する。
【0332】
導電膜125、導電膜126及び導電膜127は、
図25に示す、導電膜114、導電膜116及び導電膜118、並びに導電膜104、導電膜105、導電膜102及び導電膜107を適宜用いることができる。
【0333】
絶縁膜128は、酸化物絶縁膜又は窒化物絶縁膜を単層又は積層して形成することができる。なお、酸化物半導体膜123との界面特性を向上させるため、絶縁膜128において少なくとも酸化物半導体膜123と接する領域は酸化物絶縁膜で形成することが好ましい。また、絶縁膜128として加熱により酸素を放出する酸化物絶縁膜を用いることで、加熱処理により絶縁膜128に含まれる酸素を、酸化物半導体膜123に移動させることが可能である。
【0334】
絶縁膜128として、例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウム又はGa−Zn酸化物などを用いればよく、単層又は積層で設けることができる。
【0335】
絶縁膜129は、外部からの水素、水等のバリア膜として機能する膜であることが好ましい。絶縁膜129として、例えば窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウムなどを用いればよく、単層又は積層で設けることができる。
【0336】
絶縁膜128及び絶縁膜129の厚さはそれぞれ、30nm以上500nm以下、又は100nm以上400nm以下とすることができる。
【0337】
なお、
図25に示すトランジスタ100Bと同様に、トランジスタ100Fは、絶縁膜122の下に、酸化物半導体膜123と重なるように導電膜を設けて、デュアルゲート構造にすることができる。
【0338】
〈トランジスタの構成例5〉
次に、表示装置に含まれるトランジスタの別の構成について、
図32及び
図33を用いて説明する。
【0339】
図32(A)乃至
図32(C)に、表示装置が有するトランジスタ100Gの上面図及び断面図を示す。
図32(A)はトランジスタ100Gの上面図であり、
図32(B)は、
図32(A)の一点鎖線Y3−Y4間の断面図であり、
図32(C)は、
図32(A)の一点鎖線X3−X4間の断面図である。
【0340】
図32に示すトランジスタ100Gは、基板131上に形成された絶縁膜132上の酸化物半導体膜133と、酸化物半導体膜133と接する絶縁膜134と、絶縁膜134を介して酸化物半導体膜133と重なる導電膜137と、酸化物半導体膜133に接する絶縁膜139と、絶縁膜139上に形成された絶縁膜138と、絶縁膜138及び絶縁膜139の開口部140aにおいて酸化物半導体膜133と接する導電膜135と、絶縁膜138及び絶縁膜139の開口部140bにおいて酸化物半導体膜133と接する導電膜136を有する。
【0341】
トランジスタ100Gにおいて、導電膜137はゲート電極として機能する。また、導電膜135及び導電膜136は、ソース電極及びドレイン電極として機能する。
【0342】
酸化物半導体膜133において、導電膜135、導電膜136及び導電膜137と重ならない領域には、酸素欠損を形成する元素を有する。以下、酸素欠損を形成する元素を、不純物元素として説明する。不純物元素の代表例としては、水素、ホウ素、炭素、窒素、フッ素、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、希ガス元素等がある。希ガス元素の代表例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン及びキセノンがある。
【0343】
不純物元素が酸化物半導体膜に添加されると、酸化物半導体膜中の金属元素及び酸素の結合が切断され、酸素欠損が形成される。又は、不純物元素が酸化物半導体膜に添加されると、酸化物半導体膜中の金属元素と結合していた酸素が不純物元素と結合し、金属元素から酸素が脱離され、酸素欠損が形成される。これらの結果、酸化物半導体膜においてキャリア密度が増加し、導電性が高くなる。
【0344】
ここで、酸化物半導体膜133の部分拡大図を
図33(A)に示す。
図33(A)に示すように、酸化物半導体膜133は、導電膜135、導電膜136または絶縁膜138と接する領域133bと、絶縁膜134と接する領域133dとを有する。なお、導電膜137の側面がテーパ形状を有する場合、導電膜137のテーパ部と重なる領域133cを有してもよい。
【0345】
領域133bは、低抵抗領域として機能する。領域133bには不純物元素として少なくとも希ガス元素及び水素が含まれる。なお、導電膜137の側面がテーパ形状を有する場合、不純物元素は導電膜137のテーパ部を通過して領域133cに添加されるため、領域133cは、領域133bと比較して不純物元素の一例である希ガス元素の濃度が低いが、不純物元素が含まれる。領域133cを有することで、トランジスタのソース−ドレイン耐圧を高めることができる。
【0346】
酸化物半導体膜133がスパッタリング法で形成される場合、領域133b乃至領域133dはそれぞれ希ガス元素を含み、且つ領域133dと比較して、領域133b及び領域133cの方が希ガス元素の濃度が高い。これは、酸化物半導体膜133がスパッタリング法で形成される場合、スパッタリングガスとして希ガス元素を用いるため、酸化物半導体膜133に希ガス元素が含まれること、並びに領域133b及び領域133cにおいて、酸素欠損を形成するために、意図的に希ガス元素が添加されることが原因である。なお、領域133b及び領域133cにおいて、領域133dと異なる希ガス元素が添加されていてもよい。
【0347】
また、領域133bは絶縁膜138と接するため、領域133dと比較して、領域133bの方が水素の濃度が高い。また、領域133bから領域133cに水素が拡散する場合、領域133cは、領域133dと比較して水素濃度が高い。但し、領域133cより領域133bの方が、水素濃度が高い。
【0348】
領域133b及び領域133cにおいて、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる水素の濃度は、8×10
19atoms/cm
3以上、又は1×10
20atoms/cm
3以上、又は5×10
20atoms/cm
3以上とすることができる。なお、領域133dの二次イオン質量分析法により得られる水素濃度は、5×10
19atoms/cm
3以下、又は1×10
19atoms/cm
3以下、又は5×10
18atoms/cm
3以下、又は1×10
18atoms/cm
3以下、又は5×10
17atoms/cm
3以下、又は1×10
16atoms/cm
3以下とすることができる。
【0349】
また、不純物元素として、ホウ素、炭素、窒素、フッ素、アルミニウム、シリコン、リン、又は塩素が酸化物半導体膜133に添加される場合、領域133b及び領域133cにのみ不純物元素を有する。このため、領域133dと比較して、領域133b及び領域133cの方が不純物元素の濃度が高い。なお、領域133b及び領域133cにおいて、二次イオン質量分析法により得られる不純物元素の濃度は、1×10
18atoms/cm
3以上1×10
22atoms/cm
3以下、又は1×10
19atoms/cm
3以上1×10
21atoms/cm
3以下、又は5×10
19atoms/cm
3以上5×10
20atoms/cm
3以下とすることができる。
【0350】
領域133dと比較して、領域133b及び領域133cは、水素濃度が高く、且つ希ガス元素の添加による酸素欠損量が多い。このため、導電性が高くなり、低抵抗領域として機能する。代表的には、領域133b及び領域133cの抵抗率として、1×10
−3Ωcm以上1×10
4Ωcm未満、又は1×10
−3Ωcm以上1×10
−1Ωcm未満とすることができる。
【0351】
なお、領域133b及び領域133cにおいて、水素の量は酸素欠損の量と同じ又は少ないと、水素が酸素欠損に捕獲されやすく、チャネルである領域133dに拡散しにくい。この結果、ノーマリーオフ特性のトランジスタを作製することができる。
【0352】
領域133dは、チャネルとして機能する。
【0353】
また、導電膜137をマスクとして酸化物半導体膜133に不純物元素を添加した後、導電膜137それぞれの上面形状における面積を縮小してもよい。これは、導電膜137の形成工程において、導電膜137上のマスクに対してスリミング処理をおこない、より微細な構造のマスクを形成することによって行うことができる。次に、該マスクを用いて導電膜137および絶縁膜134をエッチングすることで、
図33(B)に示す導電膜137aおよび絶縁膜134aを形成することができる。スリミング処理としては、例えば、酸素ラジカルなどを用いるアッシング処理を適用することができる。
【0354】
この結果、酸化物半導体膜133において、領域133c及びチャネルである領域133dの間に、オフセット領域133eが形成される。なお、チャネル長方向におけるオフセット領域133eの長さは、0.1μm未満とすることで、トランジスタのオン電流の低下を低減することが可能である。
【0355】
図32に示す基板131としては、
図25に示す基板101を適宜用いることができる。
【0356】
図32に示す絶縁膜132としては、
図25に示す絶縁膜111を適宜用いることができる。
【0357】
図32に示す酸化物半導体膜133は、
図25に示す酸化物半導体膜103及び酸化物半導体膜112を適宜用いることができる。
【0358】
図32に示す絶縁膜134は、
図25に示す絶縁膜106及び絶縁膜117を適宜用いることができる。
【0359】
図32に示す導電膜135、導電膜136及び導電膜137は、
図25に示す、導電膜114、導電膜116及び導電膜118、並びに導電膜104、導電膜105、導電膜102及び導電膜107を適宜用いることができる。
【0360】
導電膜137及び絶縁膜138の厚さはそれぞれ、30nm以上500nm以下、又は100nm以上400nm以下とすることができる。
【0361】
トランジスタ100Gは、導電膜137と、導電膜135及び導電膜136とが重ならず、導電膜137と、導電膜135及び導電膜136との間の寄生容量を低減することが可能である。この結果、基板131として大面積基板を用いた場合、導電膜135、導電膜136及び導電膜137における信号遅延を低減することが可能である。
【0362】
また、トランジスタ100Gにおいて、導電膜137をマスクとして、不純物元素が酸化物半導体膜133に添加される。すなわち、セルフアラインで低抵抗領域を形成することができる。
【0363】
なお、
図25に示すトランジスタ100Bと同様に、トランジスタ100Gは、絶縁膜132の下に、酸化物半導体膜133と重なるように導電膜を設けて、デュアルゲート構造にすることができる。
【0364】
〈酸化物半導体膜の結晶構造〉
以下に、酸化物半導体層520を構成する酸化物半導体膜の構造について説明する。なお、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
【0365】
酸化物半導体膜は、非単結晶酸化物半導体膜と単結晶酸化物半導体膜とに大別される。非単結晶酸化物半導体膜とは、CAAC−OS膜、多結晶酸化物半導体膜、微結晶酸化物半導体膜、非晶質酸化物半導体膜などをいう。
【0366】
[CAAC−OS膜]
CAAC−OS膜は、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つである。
【0367】
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって、CAAC−OS膜の明視野像および回折パターンの複合解析像(高分解能TEM像ともいう。)を観察することで複数の結晶部を確認することができる。一方、高分解能TEM像によっても明確な結晶部同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC−OS膜は、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
【0368】
試料面と略平行な方向から、CAAC−OS膜の断面の高分解能TEM像を観察すると、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は、CAAC−OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映した形状であり、CAAC−OS膜の被形成面または上面と平行に配列する。
【0369】
一方、試料面と略垂直な方向から、CAAC−OS膜の平面の高分解能TEM像を観察すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
【0370】
CAAC−OS膜に対し、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)装置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnO
4の結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO
4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OS膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。
【0371】
InGaZnO
4の結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS膜中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC−OS膜は、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
【0372】
CAAC−OS膜は、不純物濃度の低い酸化物半導体膜である。不純物は、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体膜の主成分以外の元素である。特に、シリコンなどの、酸化物半導体膜を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体膜から酸素を奪うことで酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体膜内部に含まれると、酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体膜に含まれる不純物は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
【0373】
CAAC−OS膜は、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜である。例えば、酸化物半導体膜中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによってキャリア発生源となることがある。
【0374】
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性または実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。したがって、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。なお、酸化物半導体膜のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
【0375】
CAAC−OS膜を用いたOSトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。
【0376】
[微結晶酸化物半導体膜]
微結晶酸化物半導体膜は、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。微結晶酸化物半導体膜に含まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大きさであることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微結晶であるナノ結晶(nc:nanocrystal)を有する酸化物半導体膜を、nc−OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)膜と呼ぶ。また、nc−OS膜は、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。
【0377】
nc−OS膜は、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc−OS膜は、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体膜と区別が付かない場合がある。例えば、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きい径のX線を用いるXRD装置を用いて構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子回折(制限視野電子回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc−OS膜に対し、結晶部の大きさと近いか結晶部より小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測される。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子回折を行うと、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合がある。
【0378】
nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも規則性の高い酸化物半導体膜である。そのため、nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OS膜は、CAAC−OS膜と比べて欠陥準位密度が高くなる。
【0379】
[非晶質酸化物半導体膜]
非晶質酸化物半導体膜は、膜中における原子配列が不規則であり、結晶部を有さない酸化物半導体膜である。石英のような無定形状態を有する酸化物半導体膜が一例である。
【0380】
非晶質酸化物半導体膜は、高分解能TEM像において結晶部を確認することができない。非晶質酸化物半導体膜に対し、XRD装置を用いた構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、非晶質酸化物半導体膜に対し、電子回折を行うと、ハローパターンが観測される。また、非晶質酸化物半導体膜に対し、ナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測されず、ハローパターンが観測される。
【0381】
酸化物半導体膜は、nc−OS膜と非晶質酸化物半導体膜との間の物性を示す構造を有する場合がある。そのような構造を有する酸化物半導体膜を、特に非晶質ライク酸化物半導体(a−like OS:amorphous−like Oxide Semiconductor)膜と呼ぶ。
【0382】
a−like OS膜は、高分解能TEM像において鬆(ボイドともいう。)が観察される場合がある。また、高分解能TEM像において、明確に結晶部を確認することのできる領域と、結晶部を確認することのできない領域と、を有する。a−like OS膜は、TEMによる観察程度の微量な電子照射によって、結晶化が起こり、結晶部の成長が見られる場合がある。一方、良質なnc−OS膜であれば、TEMによる観察程度の微量な電子照射による結晶化はほとんど見られない。
【0383】
a−like OS膜およびnc−OS膜の結晶部の大きさの計測は、高分解能TEM像を用いて行うことができる。例えば、InGaZnO
4の結晶は層状構造を有し、In−O層の間に、Ga−Zn−O層を2層有する。InGaZnO
4の結晶の単位格子は、In−O層を3層有し、またGa−Zn−O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有する。よって、これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。そのため、高分解能TEM像における格子縞に着目し、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所においては、それぞれの格子縞がInGaZnO
4の結晶のa−b面に対応する。
【0384】
酸化物半導体膜は、構造ごとに膜密度が異なる場合がある。例えば、ある酸化物半導体膜の組成がわかれば、該組成と同じ組成における単結晶酸化物半導体膜の膜密度と比較することにより、その酸化物半導体膜の構造を推定することができる。例えば、単結晶酸化物半導体膜の膜密度に対し、a−like OS膜の膜密度は78.6%以上92.3%未満となる。また、例えば、単結晶酸化物半導体膜の膜密度に対し、nc−OS膜の膜密度およびCAAC−OS膜の膜密度は92.3%以上100%未満となる。なお、単結晶酸化物半導体膜の膜密度に対し膜密度が78%未満となる酸化物半導体膜は、成膜すること自体が困難である。
【0385】
上記について、具体例を用いて説明する。例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体膜において、菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnO
4の膜密度は6.357g/cm
3となる。よって、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体膜において、a−like OS膜の膜密度は5.0g/cm
3以上5.9g/cm
3未満となる。また、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体膜において、nc−OS膜の膜密度およびCAAC−OS膜の膜密度は5.9g/cm
3以上6.3g/cm
3未満となる。
【0386】
なお、同じ組成の単結晶酸化物半導体膜が存在しない場合がある。その場合、任意の割合で組成の異なる単結晶酸化物半導体膜を組み合わせることにより、所望の組成の単結晶酸化物半導体膜に相当する膜密度を算出することができる。所望の組成の単結晶酸化物半導体膜の膜密度は、組成の異なる単結晶酸化物半導体膜を組み合わせる割合に対して、加重平均を用いて算出すればよい。ただし、膜密度は、可能な限り少ない種類の単結晶酸化物半導体膜を組み合わせて算出することが好ましい。
【0387】
なお、酸化物半導体膜は、例えば、非晶質酸化物半導体膜、a−like OS膜、微結晶酸化物半導体膜、CAAC−OS膜のうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
【0388】
〈成膜方法〉
本明細書等で開示された、金属膜、半導体膜、無機絶縁膜など様々な膜はスパッタ法やプラズマCVD法により形成することができるが、他の方法、例えば、熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成してもよい。熱CVD法の例としてMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法やALD(Atomic Layer Deposition)法を使っても良い。
【0389】
熱CVD法は、プラズマを使わない成膜方法のため、プラズマダメージにより欠陥が生成されることが無いという利点を有する。
【0390】
熱CVD法は、原料ガスと酸化剤を同時にチャンバー内に送り、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、基板近傍または基板上で反応させて基板上に堆積させることで成膜を行ってもよい。
【0391】
また、ALD法は、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、反応のための原料ガスが順次にチャンバーに導入され、そのガス導入の順序を繰り返すことで成膜を行ってもよい。例えば、それぞれのスイッチングバルブ(高速バルブとも呼ぶ)を切り替えて2種類以上の原料ガスを順番にチャンバーに供給し、複数種の原料ガスが混ざらないように第1の原料ガスと同時またはその後に不活性ガス(アルゴン、或いは窒素など)などを導入し、第2の原料ガスを導入する。なお、同時に不活性ガスを導入する場合には、不活性ガスはキャリアガスとなり、また、第2の原料ガスの導入時にも同時に不活性ガスを導入してもよい。また、不活性ガスを導入する代わりに真空排気によって第1の原料ガスを排出した後、第2の原料ガスを導入してもよい。第1の原料ガスが基板の表面に吸着して第1の層を成膜し、後から導入される第2の原料ガスと反応して、第2の層が第1の層上に積層されて薄膜が形成される。このガス導入順序を制御しつつ所望の厚さになるまで複数回繰り返すことで、段差被覆性に優れた薄膜を形成することができる。薄膜の厚さは、ガス導入順序を繰り返す回数によって調節することができるため、精密な膜厚調節が可能であり、微細なFET(Field Effect Transistor)を作製する場合に適している。
【0392】
MOCVD法やALD法などの熱CVD法は、これまでに記載した実施形態に開示された金属膜、半導体膜、無機絶縁膜など様々な膜を形成することができ、例えば、In−Ga−Zn−O膜を成膜する場合には、トリメチルインジウム、トリメチルガリウム、及びジメチル亜鉛を用いる。なお、トリメチルインジウムの化学式は、In(CH
3)
3である。また、トリメチルガリウムの化学式は、Ga(CH
3)
3である。また、ジメチル亜鉛の化学式は、Zn(CH
3)
2である。また、これらの組み合わせに限定されず、トリメチルガリウムに代えてトリエチルガリウム(化学式Ga(C
2H
5)
3)を用いることもでき、ジメチル亜鉛に代えてジエチル亜鉛(化学式Zn(C
2H
5)
2)を用いることもできる。
【0393】
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化ハフニウム膜を形成する場合には、溶媒とハフニウム前駆体化合物を含む液体(ハフニウムアルコキシドや、テトラキスジメチルアミドハフニウム(TDMAH)などのハフニウムアミド)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてオゾン(O
3)の2種類のガスを用いる。なお、テトラキスジメチルアミドハフニウムの化学式はHf[N(CH
3)
2]
4である。また、他の材料液としては、テトラキス(エチルメチルアミド)ハフニウムなどがある。
【0394】
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化アルミニウム膜を形成する場合には、溶媒とアルミニウム前駆体化合物を含む液体(トリメチルアルミニウム(TMA)など)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてH
2Oの2種類のガスを用いる。なお、トリメチルアルミニウムの化学式はAl(CH
3)
3である。また、他の材料液としては、トリス(ジメチルアミド)アルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、アルミニウムトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)などがある。
【0395】
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化シリコン膜を形成する場合には、ヘキサクロロジシランを被成膜面に吸着させ、吸着物に含まれる塩素を除去し、酸化性ガス(O
2、一酸化二窒素)のラジカルを供給して吸着物と反応させる。
【0396】
例えば、ALDを利用する成膜装置によりタングステン膜を成膜する場合には、WF
6ガスとB
2H
6ガスを順次繰り返し導入して初期タングステン膜を形成し、その後、WF
6ガスとH
2ガスを用いてタングステン膜を形成する。なお、B
2H
6ガスに代えてSiH
4ガスを用いてもよい。
【0397】
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化物半導体膜、例えばIn−Ga−Zn−O膜を成膜する場合には、In(CH
3)
3ガスとO
3ガスを順次繰り返し導入してIn−O層を形成し、その後、Ga(CH
3)
3ガスとO
3ガスを用いてGaO層を形成し、更にその後Zn(CH
3)
2ガスとO
3ガスを用いてZnO層を形成する。なお、これらの層の順番はこの例に限らない。また、これらのガスを混ぜてIn−Ga−O層やIn−Zn−O層、Ga−Zn−O層などの混合化合物層を形成しても良い。なお、O
3ガスに変えてAr等の不活性ガスでバブリングして得られたH
2Oガスを用いても良いが、Hを含まないO
3ガスを用いる方が好ましい。また、In(CH
3)
3ガスにかえて、In(C
2H
5)
3ガスを用いても良い。また、Ga(CH
3)
3ガスにかえて、Ga(C
2H
5)
3ガスを用いても良い。
【0398】
〈オフ電流〉
本明細書において、特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態(非導通状態、遮断状態、ともいう)にあるときのドレイン電流をいう。オフ状態とは、特に断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低い状態、pチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも高い状態をいう。例えば、nチャネル型のトランジスタのオフ電流とは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低いときのドレイン電流を言う場合がある。
【0399】
トランジスタのオフ電流は、Vgsに依存する場合がある。従って、トランジスタのオフ電流がI以下である、とは、トランジスタのオフ電流がI以下となるVgsの値が存在することを言う場合がある。トランジスタのオフ電流は、所定のVgsにおけるオフ状態、所定の範囲内のVgsにおけるオフ状態、または、十分に低減されたオフ電流が得られるVgsにおけるオフ状態、等におけるオフ電流を指す場合がある。
【0400】
一例として、しきい値電圧Vthが0.5Vであり、Vgsが0.5Vにおけるドレイン電流が1×10
−9Aであり、Vgsが0.1Vにおけるドレイン電流が1×10
−13Aであり、Vgsが−0.5Vにおけるドレイン電流が1×10
−19Aであり、Vgsが−0.8Vにおけるドレイン電流が1×10
−22Aであるようなnチャネル型トランジスタを想定する。当該トランジスタのドレイン電流は、Vgsが−0.5Vにおいて、または、Vgsが−0.5V乃至−0.8Vの範囲において、1×10
−19A以下であるから、当該トランジスタのオフ電流は1×10
−19A以下である、と言う場合がある。当該トランジスタのドレイン電流が1×10
−22A以下となるVgsが存在するため、当該トランジスタのオフ電流は1×10
−22A以下である、と言う場合がある。
【0401】
本明細書では、チャネル幅Wを有するトランジスタのオフ電流を、チャネル幅Wあたりを流れる電流値で表す場合がある。また、所定のチャネル幅(例えば1μm)あたりを流れる電流値で表す場合がある。後者の場合、オフ電流の単位は、電流/長さの次元を持つ単位(例えば、A/μm)で表される場合がある。
【0402】
トランジスタのオフ電流は、温度に依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、室温、60℃、85℃、95℃、または125℃におけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証される温度、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例えば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)におけるオフ電流、を表す場合がある。トランジスタのオフ電流がI以下である、とは、室温、60℃、85℃、95℃、125℃、当該トランジスタが含まれる半導体装置の信頼性が保証される温度、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例えば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)、におけるトランジスタのオフ電流がI以下となるVgsの値が存在することを指す場合がある。
【0403】
トランジスタのオフ電流は、ドレインとソースの間の電圧Vdsに依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、Vdsが0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V,2.5V,3V、3.3V、10V、12V、16V、または20Vにおけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証されるVds、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVdsにおけるオフ電流、を表す場合がある。トランジスタのオフ電流がI以下である、とは、Vdsが0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V,2.5V,3V、3.3V、10V、12V、16V、20V、当該トランジスタが含まれる半導体装置の信頼性が保証されるVds、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVds、におけるトランジスタのオフ電流がI以下となるVgsの値が存在することを指す場合がある。
【0404】
上記オフ電流の説明において、ドレインをソースと読み替えてもよい。つまり、オフ電流は、トランジスタがオフ状態にあるときのソースを流れる電流を言う場合もある。
【0405】
本明細書では、オフ電流と同じ意味で、リーク電流と記載する場合がある。
【0406】
本明細書において、オフ電流とは、例えば、トランジスタがオフ状態にあるときに、ソースとドレインとの間に流れる電流を指す場合がある。
【0407】
以上、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
【0408】
(実施の形態5)
本実施の形態では、表示装置の表示画素の断面図の一例について説明する。
図35では、画素20が有する、トランジスタ21、容量素子25、及び発光素子24の、断面構造を例示している。
【0409】
具体的に、
図35に示す表示装置は、基板200上に絶縁膜216と、絶縁膜216上にトランジスタ21と、容量素子25とを有する。トランジスタ21は、半導体膜204と、半導体膜204上の絶縁膜215と、絶縁膜215を間に挟んで半導体膜204と重なり、ゲートとして機能する導電膜203と、半導体膜204と接し、絶縁膜217および絶縁膜218の開口部に設けられた導電膜205と、同じく半導体膜204と接し、絶縁膜217および絶縁膜218の開口部に設けられた導電膜206とを有する。なお、導電膜205および導電膜206は、トランジスタ21のソースおよびドレインとして機能する。
【0410】
容量素子25は、電極として機能する半導体膜207と、半導体膜207上の絶縁膜215と、絶縁膜215を間に挟んで半導体膜207と重なり、なおかつ電極として機能する導電膜210とを有する。
【0411】
絶縁膜215としては、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、窒化珪素、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム及び酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を、単層で、または積層させて用いればよい。なお、本明細書中において、酸化窒化物は、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化物は、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を指す。
【0412】
半導体膜204として酸化物半導体を用いる場合、絶縁膜216は、半導体膜204に酸素を供給させることが可能な材料を用いることが望ましい。上記材料を絶縁膜216に用いることで、絶縁膜216に含まれる酸素を半導体膜204に移動させることが可能であり、半導体膜204の酸素欠損量を低減することができる。絶縁膜216に含まれる酸素の半導体膜204への移動は、半導体膜204を形成した後に、加熱処理をおこなうことで効率的におこなうことができる。
【0413】
半導体膜204、導電膜203および導電膜210上には、絶縁膜217が設けられ、絶縁膜217上には絶縁膜218が設けられ、絶縁膜218上には、導電膜205、導電膜206、導電膜209および絶縁膜219が設けられている。絶縁膜219上には導電膜201および導電膜212が設けられ、導電膜201は絶縁膜219の開口部において、導電膜205と接続され、導電膜212は絶縁膜219の開口部において、導電膜209と接続されている。
【0414】
半導体膜204として酸化物半導体を用いる場合、絶縁膜217は、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のブロッキングできる機能を有することが好ましい。絶縁膜217を設けることで、半導体膜204からの酸素の外部への拡散と、外部から半導体膜204への水素、水等の入り込みを防ぐことができる。絶縁膜217としては、例えば、窒化物絶縁膜を用いることができる。該窒化物絶縁膜としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム等がある。なお、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のブロッキング効果を有する窒化物絶縁膜の代わりに、酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜を設けてもよい。酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜としては、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等がある。
【0415】
絶縁膜219、導電膜201および導電膜212上には、絶縁膜220および導電膜213が設けられ、導電膜213は絶縁膜220の開口部において、導電膜212と接続されている。
【0416】
絶縁膜220及び導電膜213上には絶縁膜225が設けられている。絶縁膜225は、導電膜213と重なる位置に開口部を有する。また、絶縁膜225上において、絶縁膜225の開口部とは異なる位置に、絶縁膜226が設けられている。そして、絶縁膜225及び絶縁膜226上には、EL層227及び導電膜228が、順に積層するように設けられている。導電膜213及び導電膜228が、EL層227を間に挟んで重なり合う部分が、発光素子24として機能する。そして、導電膜213及び導電膜228は、一方がアノード、他方がカソードとして機能する。
【0417】
また、表示装置は、発光素子24を間に挟んで基板200と対峙する、基板230を有する。基板230の下、すなわち、基板230の発光素子24に近い側の面上には、光を遮蔽する機能を有する遮蔽膜231が設けられている。そして、遮蔽膜231は、発光素子24と重なる領域に開口部を有している。発光素子24に重なる開口部において、基板230の下には特定の波長範囲の可視光を透過する着色層232が設けられている。
【0418】
なお、絶縁膜226は、発光素子24と基板230との距離を調整するものであり、場合によっては省略してもよい。
【0419】
また、本実施の形態では、発光素子24の光を素子基板とは反対の側から取り出すトップエミッション構造を示したが、発光素子24の光を素子基板側から取り出すボトムエミッション構造、または、発光素子24の光を素子基板側からと、素子基板とは反対の側からと、取り出すデュアルエミッション構造も一態様となりうる。
【0420】
以上、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
【0421】
(実施の形態6)
本実施の形態においては、本発明の一態様の発光素子を有する表示装置、及び該表示装置に入力装置を取り付けた電子機器について、
図36乃至
図38を用いて説明を行う。
【0422】
〈タッチパネルに関する説明1〉
なお、本実施の形態において、電子機器の一例として、表示装置と、入力装置とを合わせたタッチパネル500について説明する。また、入力装置の一例として、タッチセンサを用いる場合について説明する。
【0423】
図36(A)(B)は、タッチパネル500の斜視図である。なお、
図36(A)(B)において、明瞭化のため、タッチパネル500の代表的な構成要素を示す。
【0424】
タッチパネル500は、表示装置501とタッチセンサ595とを有する(
図36(B)参照)。また、タッチパネル500は、基板510、基板570、及び基板590を有する。なお、基板510、基板570、及び基板590はいずれも可撓性を有する。ただし、基板510、基板570、及び基板590のいずれか一つまたは全てが可撓性を有さない構成としてもよい。
【0425】
表示装置501は、基板510上に複数の画素及び該画素に信号を供給することができる複数の配線511を有する。複数の配線511は、基板510の外周部にまで引き回され、その一部が端子519を構成している。端子519はFPC509(1)と接続する。
【0426】
基板590は、タッチセンサ595と、タッチセンサ595と接続する複数の配線598とを有する。複数の配線598は、基板590の外周部に引き回され、その一部は端子を構成する。そして、該端子はFPC509(2)と接続される。なお、
図36(B)では明瞭化のため、基板590の裏面側(基板510と対向する面側)に設けられるタッチセンサ595の電極や配線等を実線で示している。
【0427】
タッチセンサ595として、例えば静電容量方式のタッチセンサを適用できる。静電容量方式としては、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等がある。
【0428】
投影型静電容量方式としては、主に駆動方式の違いから自己容量方式、相互容量方式などがある。相互容量方式を用いると同時多点検出が可能となるため好ましい。
【0429】
なお、
図36(B)に示すタッチセンサ595は、投影型静電容量方式のタッチセンサを適用した構成である。
【0430】
なお、タッチセンサ595には、指等の検知対象の近接または接触を検知することができる、様々なセンサを適用することができる。
【0431】
投影型静電容量方式のタッチセンサ595は、電極591と電極592とを有する。電極591は、複数の配線598のいずれかと接続し、電極592は複数の配線598の他のいずれかと接続する。
【0432】
電極592は、
図36(A)(B)に示すように、一方向に繰り返し配置された複数の四辺形が角部で接続される形状を有する。
【0433】
電極591は四辺形であり、電極592が延在する方向と交差する方向に繰り返し配置されている。
【0434】
配線594は、電極592を挟む二つの電極591と接続する。このとき、電極592と配線594の交差部の面積ができるだけ小さくなる形状が好ましい。これにより、電極が設けられていない領域の面積を低減でき、透過率のバラツキを低減できる。その結果、タッチセンサ595を透過する光の輝度のバラツキを低減することができる。
【0435】
なお、電極591及び電極592の形状はこれに限定されず、様々な形状を取りうる。例えば、複数の電極591をできるだけ隙間が生じないように配置し、絶縁層を介して電極592を、電極591と重ならない領域ができるように離間して複数設ける構成としてもよい。このとき、隣接する2つの電極592の間に、これらとは電気的に絶縁されたダミー電極を設けると、透過率の異なる領域の面積を低減できるため好ましい。
【0436】
〈表示装置に関する説明〉
次に、
図37(A)を用いて、表示装置501の詳細について説明する。
図37(A)は、
図36(B)に示す一点鎖線X1−X2間の断面図に相当する。
【0437】
表示装置501は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する。該画素は表示素子と、該表示素子を駆動する画素回路とを有する。
【0438】
以下の説明においては、白色の光を射出する発光素子を表示素子に適用する場合について説明するが、表示素子はこれに限定されない。例えば、隣接する画素毎に射出する光の色が異なるように、発光色が異なる発光素子を適用してもよい。
【0439】
なお、本明細書等においては、表示素子、表示素子を有する装置である表示装置、発光素子、及び発光素子を有する装置である発光装置は、様々な形態を用いること、又は様々な素子を有することが出来る。表示素子、表示装置、発光素子又は発光装置は、例えば、EL(エレクトロルミネッセンス)素子(有機物及び無機物を含むEL素子、有機EL素子、無機EL素子)、LED(白色LED、赤色LED、緑色LED、青色LEDなど)、トランジスタ(電流に応じて発光するトランジスタ)、電子放出素子、液晶素子、電子インク、電気泳動素子、グレーティングライトバルブ(GLV)、プラズマディスプレイ(PDP)、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)を用いた表示素子、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、DMS(デジタル・マイクロ・シャッター)、MIRASOL(登録商標)、IMOD(インターフェアレンス・モジュレーション)素子、シャッター方式のMEMS表示素子、光干渉方式のMEMS表示素子、エレクトロウェッティング素子、圧電セラミックディスプレイ、または、カーボンナノチューブを用いた表示素子、などの少なくとも一つを有している。これらの他にも、表示素子、表示装置、発光素子又は発光装置は、電気的または磁気的作用により、コントラスト、輝度、反射率、透過率などが変化する表示媒体を有する場合がある。EL素子を用いた表示装置の一例としては、ELディスプレイなどがある。電子放出素子を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(FED)又はSED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface−conduction Electron−emitter Display)などがある。液晶素子を用いた表示装置の一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディスプレイ)などがある。電子インク、電子粉流体(登録商標)、又は電気泳動素子を用いた表示装置の一例としては、電子ペーパーなどがある。なお、半透過型液晶ディスプレイや反射型液晶ディスプレイを実現する場合には、画素電極の一部、または、全部が、反射電極としての機能を有するようにすればよい。例えば、画素電極の一部、または、全部が、アルミニウム、銀、などを有するようにすればよい。さらに、その場合、反射電極の下に、SRAMなどの記憶回路を設けることも可能である。これにより、さらに、消費電力を低減することができる。なお、LEDを用いる場合、LEDの電極や窒化物半導体の下に、グラフェンやグラファイトを配置してもよい。グラフェンやグラファイトは、複数の層を重ねて、多層膜としてもよい。このように、グラフェンやグラファイトを設けることにより、その上に、窒化物半導体、例えば、結晶を有するn型GaN半導体層などを容易に成膜することができる。さらに、その上に、結晶を有するp型GaN半導体層などを設けて、LEDを構成することができる。なお、グラフェンやグラファイトと、結晶を有するn型GaN半導体層との間に、AlN層を設けてもよい。なお、LEDが有するGaN半導体層は、MOCVDで成膜してもよい。ただし、グラフェンを設けることにより、LEDが有するGaN半導体層は、スパッタ法で成膜することも可能である。
【0440】
基板510及び基板570としては、例えば、水蒸気の透過率が10
−5g/(m
2・day)以下、好ましくは10
−6g/(m
2・day)以下である可撓性を有する材料を好適に用いることができる。または、基板510の熱膨張率と、基板570の熱膨張率とが、およそ等しい材料を用いると好適である。例えば、線膨張率が1×10
−3/K以下、好ましくは5×10
−5/K以下、より好ましくは1×10
−5/K以下である材料を好適に用いることができる。
【0441】
なお、基板510は、発光素子への不純物の拡散を防ぐ絶縁層510aと、可撓性基板510bと、絶縁層510a及び可撓性基板510bを貼り合わせる接着層510cと、を有する積層体である。また、基板570は、発光素子への不純物の拡散を防ぐ絶縁層570aと、可撓性基板570bと、絶縁層570a及び可撓性基板570bを貼り合わせる接着層570cと、を有する積層体である。
【0442】
接着層510c及び接着層570cとしては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミド等)、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、もしくは、シリコーンなどのシロキサン結合を有する樹脂を含む材料を用いることができる。
【0443】
また、基板510と基板570との間に封止層560を有する。封止層560は、空気より大きい屈折率を有すると好ましい。また、
図37(A)に示すように、封止層560側に光を取り出す場合は、封止層560は封止層560を挟む2つの部材(ここでは基板570と基板510)を光学的に接合する層(以下、光学接合層ともいう)としても機能する。
【0444】
また、封止層560の外周部にシール材を形成してもよい。当該シール材を用いることにより、基板510、基板570、封止層560、及びシール材で囲まれた領域に発光素子550Rを有する構成とすることができる。なお、封止層560として、不活性気体(窒素やアルゴン等)を充填してもよい。また、当該不活性気体内に、乾燥材を設けて、水分等を吸着させる構成としてもよい。また、上述のシール材としては、例えば、エポキシ系樹脂やガラスフリットを用いるのが好ましい。また、シール材に用いる材料としては、水分や酸素を透過しない材料を用いると好適である。
【0445】
また、表示装置501は、画素502Rを有する。また、画素502Rは発光モジュール580Rを有する。
【0446】
画素502Rは、発光素子550Rと、発光素子550Rに電力を供給することができるトランジスタ502tとを有する。なお、トランジスタ502tは、画素回路の一部として機能する。また、発光モジュール580Rは、発光素子550Rと、着色層567Rとを有する。
【0447】
発光素子550Rは、下部電極と、上部電極と、下部電極と上部電極の間にEL層とを有する。発光素子550Rとして、例えば、先の実施の形態に示す発光素子を適用することができる。
【0448】
また、下部電極と上部電極との間で、マイクロキャビティ構造を採用し、特定波長における光強度を増加させてもよい。
【0449】
また、封止層560が光を取り出す側に設けられている場合、封止層560は、発光素子550Rと着色層567Rに接する。
【0450】
着色層567Rは、発光素子550Rと重なる位置にある。これにより、発光素子550Rが発する光の一部は着色層567Rを透過して、図中に示す矢印の方向の発光モジュール580Rの外部に射出される。
【0451】
また、表示装置501には、光を射出する方向に遮光層567BMが設けられる。遮光層567BMは、着色層567Rを囲むように設けられている。
【0452】
着色層567Rとしては、特定の波長帯域の光を透過する機能を有していればよく、例えば、赤色の波長帯域の光を透過するカラーフィルタ、緑色の波長帯域の光を透過するカラーフィルタ、青色の波長帯域の光を透過するカラーフィルタ、黄色の波長帯域の光を透過するカラーフィルタなどを用いることができる。各カラーフィルタは、様々な材料を用いて、印刷法、インクジェット法、フォトリソグラフィ技術を用いたエッチング方法などで形成することができる。
【0453】
また、表示装置501には、絶縁層521が設けられる。絶縁層521はトランジスタ502tを覆う。なお、絶縁層521は、画素回路に起因する凹凸を平坦化するための機能を有する。また、絶縁層521に不純物の拡散を抑制できる機能を付与してもよい。これにより、不純物の拡散によるトランジスタ502t等の信頼性の低下を抑制できる。
【0454】
また、発光素子550Rは、絶縁層521の上方に形成される。また、発光素子550Rが有する下部電極には、該下部電極の端部に重なる隔壁528が設けられる。なお、基板510と、基板570との間隔を制御するスペーサを、隔壁528上に形成してもよい。
【0455】
ゲート線駆動回路503g(1)は、トランジスタ503tと、容量素子503cとを有する。なお、駆動回路を画素回路と同一の工程で同一基板上に形成することができる。
【0456】
また、基板510上には、信号を供給することができる配線511が設けられる。また、配線511上には、端子519が設けられる。また、端子519には、FPC509(1)が接続される。また、FPC509(1)は、ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を供給する機能を有する。なお、FPC509(1)にはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。
【0457】
また、表示装置501には、様々な構造のトランジスタを適用することができる。
図37(A)においては、ボトムゲート型のトランジスタを適用する場合について、例示しているが、これに限定されず、例えば、
図37(B)に示す、トップゲート型のトランジスタを表示装置501に適用する構成としてもよい。
【0458】
また、トランジスタ502t及びトランジスタ503tの構成については、先の実施の形態の記載を参酌することができる。
【0459】
〈タッチセンサに関する説明〉
次に、
図37(C)を用いて、タッチセンサ595の詳細について説明する。
図37(C)は、
図36(B)に示す一点鎖線X3−X4間の断面図に相当する。
【0460】
タッチセンサ595は、基板590上に千鳥状に配置された電極591及び電極592と、電極591及び電極592を覆う絶縁層593と、隣り合う電極591を接続する配線594とを有する。
【0461】
電極591及び電極592は、透光性を有する導電材料を用いて形成する。透光性を有する導電性材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物を用いることができる。なお、グラフェンを含む膜を用いることもできる。グラフェンを含む膜は、例えば膜状に形成された酸化グラフェンを含む膜を還元して形成することができる。還元する方法としては、熱を加える方法等を挙げることができる。
【0462】
例えば、透光性を有する導電性材料を基板590上にスパッタリング法により成膜した後、フォトリソグラフィ法等の様々なパターニング技術により、不要な部分を除去して、電極591及び電極592を形成することができる。
【0463】
また、絶縁層593に用いる材料としては、例えば、アクリル、エポキシなどの樹脂、シリコーンなどのシロキサン結合を有する樹脂の他、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料を用いることもできる。
【0464】
また、電極591に達する開口が絶縁層593に設けられ、配線594が隣接する電極591と接続する。透光性の導電性材料は、タッチパネルの開口率を高めることができるため、配線594に好適に用いることができる。また、電極591及び電極592より導電性の高い材料は、電気抵抗を低減できるため配線594に好適に用いることができる。
【0465】
電極592は、一方向に延在し、複数の電極592がストライプ状に設けられている。また、配線594は電極592と交差して設けられている。
【0466】
一対の電極591が1つの電極592を挟んで設けられる。また、配線594は一対の電極591を接続している。
【0467】
なお、複数の電極591は、1つの電極592と必ずしも直交する方向に配置される必要はなく、0度を超えて90度未満の角度をなすように配置されてもよい。
【0468】
また、配線598は、電極591または電極592と接続される。また、配線598の一部は、端子として機能する。配線598としては、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、チタン、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、またはパラジウム等の金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。
【0469】
なお、絶縁層593及び配線594を覆う絶縁層を設けて、タッチセンサ595を保護してもよい。
【0470】
また、接続層599は、配線598とFPC509(2)を接続させる。
【0471】
接続層599としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)や、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
【0472】
〈タッチパネルに関する説明2〉
次に、
図38(A)を用いて、タッチパネル500の詳細について説明する。
図38(A)は、
図36(A)に示す一点鎖線X5−X6間の断面図に相当する。
【0473】
図38(A)に示すタッチパネル500は、
図37(A)で説明した表示装置501と、
図37(C)で説明したタッチセンサ595と、を貼り合わせた構成である。
【0474】
また、
図38(A)に示すタッチパネル500は、
図37(A)及び
図37(C)で説明した構成の他、接着層597と、反射防止層567pと、を有する。
【0475】
接着層597は、配線594と接して設けられる。なお、接着層597は、タッチセンサ595が表示装置501に重なるように、基板590を基板570に貼り合わせている。また、接着層597は、透光性を有すると好ましい。また、接着層597としては、熱硬化性樹脂、または紫外線硬化樹脂を用いることができる。例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、またはシロキサン系樹脂を用いることができる。
【0476】
反射防止層567pは、画素に重なる位置に設けられる。反射防止層567pとして、例えば円偏光板を用いることができる。
【0477】
次に、
図38(A)に示す構成と異なる構成のタッチパネルについて、
図38(B)を用いて説明する。
【0478】
図38(B)は、タッチパネル600の断面図である。
図38(B)に示すタッチパネル600は、
図38(A)に示すタッチパネル500と、表示装置501に対するタッチセンサ595の位置が異なる。ここでは異なる構成について詳細に説明し、同様の構成を用いることができる部分は、タッチパネル500の説明を援用する。
【0479】
着色層567Rは、発光素子550Rと重なる位置にある。また、
図38(B)に示す発光素子550Rは、トランジスタ502tが設けられている側に光を射出する。これにより、発光素子550Rが発する光の一部は、着色層567Rを透過して、図中に示す矢印の方向の発光モジュール580Rの外部に射出される。
【0480】
また、タッチセンサ595は、表示装置501の基板510側に設けられている。
【0481】
接着層597は、基板510と基板590の間にあり、表示装置501とタッチセンサ595を貼り合わせる。
【0482】
図38(A)(B)に示すように、発光素子から射出される光は、基板の上面及び下面のいずれか一方または双方に射出されればよい。
【0483】
本実施の形態に示す表示装置および電子機器に、先の実施の形態に示す構成を用いることで、表示動作に並行して外部補正を行うことができる。これにより、発光輝度のばらつきや表示ムラの少ない表示装置および電子機器を実現できる。または、これにより、精細な表示を行うことができる表示装置および電子機器を実現できる。
【0484】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
【0485】
(実施の形態7)
本実施の形態では、上記の実施の形態で例示した表示装置を用いることができる表示モジュール及び電子機器について説明する。
【0486】
〈表示装置の外観〉
図39は、表示装置の外観の一例を示す、斜視図である。
図39に示す表示装置は、パネル251と、コントローラ、電源回路、画像処理回路、画像メモリ、CPUなどが設けられた回路基板252と、接続部253とを有している。パネル251は、画素が複数設けられた画素部254と、複数の画素を行ごとに選択する駆動回路255と、選択された行内の画素への映像信号の入力を制御する駆動回路256とを有する。
【0487】
回路基板252から、接続部253を介して、各種信号と、電源の電位とが、パネル251に入力される。接続部253には、FPC(Flexible Printed Circuit)などを用いることができる。また、接続部253にCOFテープを用いる場合、回路基板252内の一部の回路、或いはパネル251が有する駆動回路255や駆動回路256の一部などを別途用意したチップに形成しておき、COF(Chip On Film)法を用いて当該チップをCOFテープに接続しておいても良い。
【0488】
〈電子機器の構成例〉
上記の実施の形態で示した表示装置は、表示装置、ノート型パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いることができる。その他に、上記の実施の形態で示した表示装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、電子書籍端末、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどのカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンター、プリンター複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を
図40に示す。
【0489】
図40(A)は表示装置であり、筐体301、表示部302、支持台303等を有する。上記の実施の形態で示した表示装置は、表示部302に用いることができる。なお、表示装置には、パーソナルコンピュータ用、TV放送受信用、広告表示用などのすべての情報表示用表示装置が含まれる。
【0490】
図40(B)は携帯情報端末であり、筐体311、表示部312、操作キー313等を有する。上記の実施の形態で示した表示装置は、表示部312に用いることができる。
【0491】
図40(C)は表示装置であり、曲面を有する筐体341、表示部342等を有する。上記の実施の形態で示した表示装置に可撓性を有する基板を用いることで、曲面を有する筐体341に支持された表示部342に、当該表示装置を用いることができ、フレキシブルかつ軽くて使い勝手の良い表示装置を提供することができる。
【0492】
図40(D)は携帯型ゲーム機であり、筐体321、筐体322、表示部323、表示部324、マイクロホン325、スピーカー326、操作キー327、スタイラス328等を有する。上記の実施の形態で示した表示装置は、表示部323または表示部324に用いることができる。表示部323または表示部324に上記の実施の形態で示した表示装置を用いることで、ユーザーの使用感に優れ、品質の低下が起こりにくい携帯型ゲーム機を提供することができる。なお、
図40(D)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部323と表示部324とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
【0493】
図40(E)は電子書籍端末であり、筐体331、表示部332等を有する。上記の実施の形態で示した表示装置は、表示部332に用いることができる。そして、可撓性を有する基板を用いることで、表示装置に可撓性を持たせることができるので、フレキシブルかつ軽くて使い勝手の良い電子書籍端末を提供することができる。
【0494】
図40(F)は携帯電話であり、筐体351に、表示部352、マイク357、スピーカー354、カメラ353、外部接続部356、操作用のボタン355が設けられている。表示部352に、上記の実施の形態で示した表示装置を用いることできる。また、上記の実施の形態で示した表示装置を、可撓性を有する基板に形成した場合、
図40(F)に示すような曲面を有する表示部352に当該表示装置を適用することが可能である。
【0495】
本実施の形態に示す電子機器に、先の実施の形態に示す表示装置を用いることで、表示動作に並行して外部補正を行うことができる。これにより、発光輝度のばらつきや表示ムラの少ない電子機器を実現できる。または、これにより、精細な表示を行うことができる電子機器を実現できる。
【0496】
以上、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
【0497】
(本明細書等の記載に関する付記)
以上の実施の形態、及び実施の形態における各構成の説明について、以下に付記する。
【0498】
〈実施の形態で述べた本発明の一態様に関する付記〉
各実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて、本発明の一態様とすることができる。また、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場合は、互い構成例を適宜組み合わせることが可能である。
【0499】
なお、ある一つの実施の形態の中で述べる内容(一部の内容でもよい)は、その実施の形態で述べる別の内容(一部の内容でもよい)、及び/又は、一つ若しくは複数の別の実施の形態で述べる内容(一部の内容でもよい)に対して、適用、組み合わせ、又は置き換えなどを行うことが出来る。
【0500】
なお、実施の形態の中で述べる内容とは、各々の実施の形態において、様々な図を用いて述べる内容、又は明細書に記載される文章を用いて述べる内容のことである。
【0501】
なお、ある一つの実施の形態において述べる図(一部でもよい)は、その図の別の部分、その実施の形態において述べる別の図(一部でもよい)、及び/又は、一つ若しくは複数の別の実施の形態において述べる図(一部でもよい)に対して、組み合わせることにより、さらに多くの図を構成させることが出来る。
【0502】
また、各実施の形態において本発明の一態様を説明したが、本発明の一態様はこれらに限定されない。例えば、本発明の一態様として、先の実施の形態では表示素子の一例として発光素子を用いる構成について説明したが、本発明の一態様はこれに限定されない。状況に応じて、他の表示素子、例えば液晶素子などを用いる構成としてもよい。また、先の実施の形態ではブランキング期間中にしきい値電圧の情報を読み出す構成について説明したが、本発明の一態様はこれに限定されない。状況に応じて、例えばブランキング期間以外においてトランジスタの情報を読み出す構成としてもよい。また、先の実施の形態では主に画素の駆動用トランジスタの電流特性の情報を読み出す構成について説明したが、本発明の一態様はこれに限定されない。状況に応じて、例えば駆動用トランジスタ以外のトランジスタの電流特性の情報を読み出す構成としてもよい。または、場合によっては、または、状況に応じて、トランジスタの電流特性の情報を読み出さなくてもよい。または、場合によっては、または、状況に応じて、外部補正を行わなくてもよい。
【0504】
本明細書等において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化する。そのため、配置を示す語句は、明細書で説明した記載に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
【0505】
また、「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が直上または直下で、かつ、直接接していることを限定するものではない。例えば、「絶縁層A上の電極B」の表現であれば、絶縁層Aの上に電極Bが直接接して形成されている必要はなく、絶縁層Aと電極Bとの間に他の構成要素を含むものを除外しない。
【0506】
また本明細書等において、ブロック図では、構成要素を機能毎に分類し、互いに独立したブロックとして示している。しかしながら実際の回路等においては、構成要素を機能毎に切り分けることが難しく、一つの回路に複数の機能が係わる場合や、複数の回路にわたって一つの機能が関わる場合があり得る。そのため、ブロック図のブロックは、明細書で説明した構成要素に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
【0507】
また、図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、説明の便宜上任意の大きさに示したものである。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は明確性を期すために模式的に示したものであり、図面に示す形状又は値などに限定されない。例えば、ノイズによる信号、電圧、若しくは電流のばらつき、又は、タイミングのずれによる信号、電圧、若しくは電流のばらつきなどを含むことが可能である。
【0508】
また、図面において、上面図(平面図、レイアウト図ともいう)や斜視図などにおいて、図面の明確性を期すために、一部の構成要素の記載を省略している場合がある。
【0510】
本明細書等において、トランジスタの接続関係を説明する際、ソースとドレインとの一方を、「ソース又はドレインの一方」(又は第1電極、又は第1端子)と表記し、ソースとドレインとの他方を「ソース又はドレインの他方」(又は第2電極、又は第2端子)と表記している。これは、トランジスタのソースとドレインは、トランジスタの構造又は動作条件等によって変わるためである。なおトランジスタのソースとドレインの呼称については、ソース(ドレイン)端子や、ソース(ドレイン)電極等、状況に応じて適切に言い換えることができる。
【0511】
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合なども含む。
【0512】
また、本明細書等において、電圧と電位は、適宜言い換えることができる。電圧は、基準となる電位からの電位差のことであり、例えば基準となる電位をグラウンド電位(接地電位)とすると、電圧を電位に言い換えることができる。グラウンド電位は必ずしも0Vを意味するとは限らない。なお電位は相対的なものであり、基準となる電位によっては、配線等に与える電位を変化させる場合がある。
【0513】
なお本明細書等において、「膜」、「層」などの語句は、場合によっては、または、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0514】
〈語句の定義に関する付記〉
以下では、上記実施の形態中で言及しなかった語句の定義について説明する。
【0515】
[スイッチについて]
本明細書等において、スイッチとは、導通状態(オン状態)、または、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有するものをいう。または、スイッチとは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有するものをいう。
【0516】
一例としては、電気的スイッチ又は機械的なスイッチなどを用いることができる。つまり、スイッチは、電流を制御できるものであればよく、特定のものに限定されない。
【0517】
電気的なスイッチの一例としては、トランジスタ(例えば、バイポーラトランジスタ、MOSトランジスタなど)、ダイオード(例えば、PNダイオード、PINダイオード、ショットキーダイオード、MIM(Metal Insulator Metal)ダイオード、MIS(Metal Insulator Semiconductor)ダイオード、ダイオード接続のトランジスタなど)、又はこれらを組み合わせた論理回路などがある。
【0518】
なお、スイッチとしてトランジスタを用いる場合、トランジスタの「導通状態」とは、トランジスタのソースとドレインが電気的に短絡されているとみなせる状態をいう。また、トランジスタの「非導通状態」とは、トランジスタのソースとドレインが電気的に遮断されているとみなせる状態をいう。なおトランジスタを単なるスイッチとして動作させる場合には、トランジスタの極性(導電型)は特に限定されない。
【0519】
機械的なスイッチの一例としては、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)のように、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)技術を用いたスイッチがある。そのスイッチは、機械的に動かすことが可能な電極を有し、その電極が動くことによって、導通と非導通とを制御して動作する。
【0520】
[チャネル長について]
本明細書等において、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲートとが重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとの間の距離をいう。
【0521】
なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
【0522】
[チャネル幅について]
本明細書等において、チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。
【0523】
なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
【0524】
[画素について]
本明細書等において、画素とは、例えば、明るさを制御できる要素一つ分を示すものとする。よって、一例としては、一画素とは、一つの色要素を示すものとし、その色要素一つで明るさを表現する。従って、そのときは、R(赤)G(緑)B(青)の色要素からなるカラー表示装置の場合には、画像の最小単位は、Rの画素とGの画素とBの画素との三画素から構成されるものとする。
【0525】
なお、色要素は、三色に限定されず、それ以上でもよく、例えば、RGBW(Wは白)や、RGBに、イエロー、シアン、マゼンタを追加したものなどがある。