(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、長尺の樹脂フィルムを得るために、インフレーション法にて樹脂ペレットを原料とするチューブを成形した後、チューブの両端部をトリミング(切り取る)することによって1枚のフィルムを得る成形方法や、Tダイ法によってフィルムを成形した後、厚味精度が悪いフィルムの両端部をトリミングして1枚のフィルムを得る方法等が広く実施されている。また各種の成形方法によって得られた樹脂フィルムを延伸させることも行われている。この延伸方法として、樹脂フィルムの幅方向両端部を把持したクリップを走行移動させることで、樹脂フィルムを引っ張る方法がある。この延伸方法が採用される場合には、クリップに把持された樹脂フィルムの幅方向両端部の強度が小さくなることで、樹脂フィルムの幅方向両端部をフィルム本体からトリミングすることが行われている。さらに、トリミング屑をリサイクルすべく、圧送管等によりトリミング屑を造粒機に搬送して、トリミング屑を樹脂ペレットにし、この樹脂ペレットを原料として樹脂フィルムを成形することが行われている。
【0003】
上記のように圧送管でトリミング屑を造粒機に搬送する場合には、例えば
図9に示すように、金網からなる籠50が造粒機2の上に設置される。籠50は、四角錐部51と、衝突壁52とを有する。四角錐部51は、下方になるほど縮径する四角錐状を呈する。四角錘部51の下端には、トリミング屑Tを排出するための排出口53が形成されており、排出口53は造粒機2の投入口(図示せず)に連通している。衝突壁52は、四角錐部51の上端から上方に延びるものであり、圧送管60の出口と相対する。トリミング屑Tを造粒機2に搬送する際には、トリミング屑Tが、搬送エアーAの圧力で圧送管60内を圧送されて、圧送管60の出口から吹き出される。圧送管60から吹き出たトリミング屑Tは、衝突壁52の内側面に衝突した後、衝突壁52や四角錐部51の内側面に沿って自然落下し、排出口53から排出されたトリミング屑Tが、造粒機2に投入される。
【0004】
また特許文献1や特許文献2には、樹脂フィルムから切り取られたトリミング屑(樹脂フィルムの幅方向両端部)をリサイクルすべく、トリミング屑を回収する技術が開示されている。特許文献1では、金属やゴムからなる一対のニップロールの回転で、トリミング屑が回収装置に搬送される。特許文献2では、金属やゴムからなる一対のニップロールの回転でトリミング屑が回収装置のダクト入口に搬送されるとともに、このダクト入口に設けられた裁断機の回転刃によってトリミング屑が裁断されて、当該裁断片が回収設備に回収される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで
図9に示すように、圧送管60により圧送されたトリミング屑を、籠50を介して造粒機2に投入する場合には、
図10に示すように、衝突壁52に衝突したトリミング屑Tが、衝突壁52に付着することで、トリミング屑Tが造粒機2に投入されない事態が生じ得る(
図10では、衝突壁52に付着したトリミング屑Tを明確に示すべく、籠50の網目の図示を省略している)。
【0007】
また特許文献1,2では、回転するニップロールにトリミング屑が巻き付くトラブルが生じ得る。さらに、ニップロールの摩耗で生じた金属やゴムの異物が、トリミング屑と共に回収装置に投入される虞もある。
【0008】
さらに特許文献2では、低弾性フィルムのトリミング屑を裁断する際にトリミング屑が回転刃に巻き付くトラブルや、回転刃の摩耗によるトリミング屑の切断不良も生じ得る。またさらに特許文献2では、回収対象のトリミング屑の原料を替えるときに、前回の回収時に裁断されて回収装置のダクト内に散乱した裁断屑を取り除く手間も要する。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、樹脂フィルムのトリミング屑等のフィルム状物や、粒状物をスムーズに造粒機や回収装置に搬送可能なサイクロンを提供することである。また本発明のさらなる目的は、前記サイクロンを用いる搬送方法であって、樹脂フィルムのトリミング屑をスムーズに造粒機に搬送可能な搬送方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定構造のサイクロンを用いることで、樹脂フィルムのトリミング屑等のフィルム状物や、粒状物をスムーズに造粒機等に搬送できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、下記のサイクロン及び搬送方法に関する。
1.樹脂フィルムのトリミング屑を搬送するためのサイクロンであって、
前記トリミング屑を含む前記搬送エアーが接線方向から導入される円筒部と、
前記円筒部の下端に連設されて、下方に向かうにつれて縮径する円錐部とを備え、
前記円錐部の側壁には、前記円筒部に導入された前記搬送エアーの一部を排出するための排気孔が形成され、
前記円錐部の下端には、前記トリミング屑を排出するための排出口が形成されるサイクロン。
2.前記円錐部の側壁の面積に対する前記排気孔の面積の合計の比率は、22.6%以上57.9%以下である項1に記載のサイクロン。
3.前記円筒部や前記円錐部は、金属から形成される項1又は2に記載のサイクロン。
4.項1乃至3のいずれかに記載のサイクロンを用いて、造粒機に前記トリミング屑を搬送する搬送方法であって、
前記サイクロンを前記造粒機の上に設置して、前記円錐部の排出口を前記造粒機の投入口に連通させるステップと、
前記円筒部の接線方向から、前記トリミング屑を含む前記搬送エアーを前記円筒部の内部に導入するステップとを備え、
前記円筒部の内部に導入された前記トリミング屑を含む前記搬送エアーが前記円筒部や前記円錐部の内壁面に沿って旋回しながら下降することで、前記トリミング屑が前記円錐部の排出口から排出されて前記造粒機の投入口に投入される搬送方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、樹脂フィルムのトリミング屑等のフィルム状物や、粒状物を含む搬送エアーが、円筒部の接線方向から円筒部の内部に導入される。そして、円錐部の側壁に排気孔が形成されていることで、円筒部3の接線方向から導入された搬送エアーが、サイクロンの内壁面に沿って旋回しながら下降し、この下降する旋回流によってフィルム状物や粒状物が搬送される。これにより、フィルム状物や粒状物は、サイクロン内を螺旋状に落下して円錐部の下端にある排出口に至り、当該排出口から排出される。したがって、サイクロンを造粒機や回収装置の上に設置して、円錐部の排出口を造粒機や回収装置の投入口に連通させることで、樹脂フィルムのトリミング屑等のフィルム状物や、粒状物を、スムーズに造粒機や回収装置に搬送できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1や
図2は、本発明の実施形態に係るサイクロン1A,1Bが造粒機2の上に設置された状態を示す斜視図である。
図3は、
図1に示すサイクロン1Aが造粒機2の上に設置された状態を示す写真である。
図4は、
図3に示すサイクロン1Aの一部を拡大して示す写真である。
図5は、サイクロン1A,1B内に生じる搬送エアーAの動きを示す側面図である。
【0015】
図1、
図3、
図4に示すサイクロン1Aと、
図2に示すサイクロン1Bとは、後述する排気孔11の開口率が相違し、その他の点については同様の構造を有する。したがって以下では、これらサイクロン1A,1Bをまとめて説明する。
【0016】
サイクロン1A,1Bは、樹脂フィルムのトリミング屑Tを造粒機2に搬送するために使用される。上記の樹脂フィルムは、ポリエチレンやポリプリピレンからなる樹脂ペレットを押出機にて加熱・溶融して、当該溶融物を平たく成形して、延伸したものである。この延伸は、樹脂フィルムの幅方向両端部を把持したクリップを走行移動させて、樹脂フィルムを引っ張ることで行われている。トリミング屑Tは、クリップに把持された樹脂フィルムの幅方向両端部を、樹脂フィルムの長尺方向に切断して得られたフィルム状物である。このトリミング屑Tの切断は、例えば、一対のローラの回転で樹脂フィルムを搬送しながら、樹脂フィルムの幅方向両側の2箇所にカッターを押し当てることで行われる。本実施形態は、上記の切断で得られたトリミング屑Tをリサイクルすべく、トリミング屑Tを、造粒機2に搬送して、押出機に投入可能な樹脂ペレットにするものであり、この目的を実現するために、
図1〜
図3に示すように、サイクロン1A,1Bが、造粒機2の上に設置されて、造粒機2へのトリミング屑Tの搬送に使用される。
【0017】
サイクロン1A,1Bは、円筒部3と、円筒部3の下端に連設される円錐部4を備える。円筒部3や円錐部4は、SUS(ステンレス鋼)やSS(普通鋼)等の金属から形成される。
【0018】
円筒部3の側壁には導入管6が接続される。導入管6は、図示しないブロワーから供給される搬送エアーAの圧力で、トリミング屑Tを圧送するものである。上記のブロワーは、例えば5m
3/min以上30m
3/min以下の風量の搬送エアーAを生じさせるものであり、この風量でトリミング屑Tを円滑に圧送できるよう、トリミング屑Tの幅は、30mm以上100mm以下、好ましくは40mm以上80mm以下とされ、トリミング屑Tの長さは、5mm以上500mm以下、好ましくは40mm以上300mm以下とされる。
【0019】
円筒部3に接続される導入管6が、円筒部3の接線方向に延びて、その延長線が円筒部3の軸中心から外れた位置を通過していることで、
図5に示すように、導入管6内を通過したトリミング屑Tを含む搬送エアーAが、円筒部3の接線方向から円筒部3の内部に導入されて、円筒部3の内壁面に沿って旋回する。
【0020】
円筒部3への導入管6の接続は、溶接や、ボルトナットを用いることで行われる。なお必ずしも導入管6を円筒部3に接続する必要はなく、トリミング屑Tを含む搬送エアーAを円筒部3の接線方向から円筒部3内に導入可能な限りにおいて、導入管6と円筒部3との間に隙間があいていてもよい。
【0021】
また円筒部3の上端には蓋板7が設けられており、この蓋板7の中央を気流排出管8が上下に貫通している。気流排出管8は、サイクロン1A,1B内に生じる搬送エアーAの上昇気流を排出する機能を有する(
図5)。
【0022】
円錐部4は、下方に向かうにつれて縮径する円錐状を呈する。円錐部4の下端には、トリミング屑Tを排出するための排出口9が形成される。この排出口9は造粒機2の投入口(図示せず)と連通する。
【0023】
円錐部4の側壁には、複数の排気孔11がパンチングによって形成されている。この排気孔11は、円筒部3に導入された搬送エアーAの一部を排出して負圧を生じせるものであり、この排気孔11の作用により、円筒部3の内周面に沿う搬送エアーAの旋回流が下降する(
図5)。この下降旋回流が勢いよく生じるように、円錐部4の側壁の面積に対する排気孔11の面積の合計の比率(以下、排気孔11の開口率)は、22.6%以上、57.9%以下に設定される。この排気孔11の開口率22.6%〜57.9%は、排気孔11の形状・形成パターン・形成ピッチ・形成範囲を適宜調整することで実現されるものであり、
図1に示すサイクロン1Aでは、直径φが10mmである円形の排気孔11が、12.5mmのピッチの千鳥状で、円錐部4の側壁の全体に亘って形成されていることで、排気孔11の開口率が57.9%とされている。
図2に示すサイクロン1Bでは、直径φが5mmである円形の排気孔11が、10mmのピッチの千鳥状で、円錐部4の側壁の全体に亘って形成されていることで、排気孔11の開口率が22.6%とされている。
【0024】
以上のサイクロン1A,1Bを用いて造粒機2にトリミング屑Tを搬送する際には、以下の(1),(2)の手順が順次実行される。
(1)サイクロン1A,1Bを造粒機2の上に設置して、円錐部4の排出口9を造粒機2の投入口に連通させる(この連通は、排出口9を造粒機2の投入口の上方に配置したり、排出口9と造粒機2の投入口とを管を介して接続することで実現される)。
(2)ブロワーを作動させることで、トリミング屑Tを含む搬送エアーAを、導入管6内に圧送して、円筒部3の接線方向から円筒部3の内部に導入する。
【0025】
上記(2)の手順が実行されると、
図5に示すように、トリミング屑Tを含む搬送エアーAが円筒部3内に接線方向から導入され、且つ、搬送エアーAの一部が排気孔11から排出されることで、搬送エアーAが、円筒部3や円錐部4の内壁面に沿って旋回しながら下降して、この旋回流にのってトリミング屑Tが円筒部3内や円錐部4内を螺旋状に落下する現象が生じる。
【0026】
そして搬送エアーAが円錐部4の内壁面に沿って旋回・下降するようになると、搬送エアーAの回転半径が小さくなる。このため回転モーメンタム一定の原理から旋回速度が次第に大きくなり、搬送エアーAに含まれるトリミング屑Tに大きい遠心力が与えられる。トリミング屑Tは、この遠心力のために、重力による沈降速度の数百倍ないし数千倍の速度で、円錘部4内を螺旋状に落下して円錐部4の下端に至り、排出口9から排出されて造粒機2の投入口に投入される。搬送エアーAの気流は、円錐部4の下端近くまで達すると上方に反転し、サイクロン1A,1Bの中心部を旋回しつつ上昇して、気流排出管8からサイクロン1A,1Bの外側に出る。
【0027】
造粒機2では、サイクロン1A,1Bから投入されたトリミング屑Tが加熱・溶融されるとともに、当該溶融物が微小な孔から押し出されることで樹脂の棒状物が得られる。そして当該樹脂の棒状物が砕かれることで、樹脂ペレットが得られる。この樹脂ペレットは、押出機に投入されて、樹脂フィルムを成形する原料として使用される。
【0028】
本実施形態によれば、円筒部3内に導入された搬送エアーAが、円筒部3や円錐部4の内壁面に沿って旋回しながら下降し、この下降する旋回流によってトリミング屑Tが搬送される。これにより、トリミング屑Tは、サイクロン1A,1B内を螺旋状に落下して円錐部4の下端に至り、排出口9から排出されて造粒機2の投入口に投入される。また、サイクロン1A,1Bが、ニップロールや裁断機のような回転部を有しないので、当該回転部にトリミング屑Tが巻き付くようなトラブルが生じ得ない。以上のことから本実施形態によれば、トリミング屑Tをスムーズに造粒機2に搬送できる。
【0029】
また本実施形態によれば、サイクロン1A,1Bが、金属やゴムからなるニップロールを有しないので、当該ニップロールの摩耗で生じた金属やゴムの異物が、トリミング屑Tと共に造粒機2に投入される事態も生じ得ない。さらに、サイクロン1A,1Bが、トリミング屑Tを裁断する裁断機を有しないので、裁断屑を取り除く手間を要せず、サイクロン1A,1Bを介して造粒機2に搬送するトリミング屑Tの原料を替えることができる。
【0030】
また排気孔11の開口率(円錐部4の側壁10の面積に対する排気孔11の面積の合計の比率)が、22.6%以上57.9%以下であることで、サイクロン1A,1B内に搬送エアーAの下降螺旋流を勢いよく生じさせることができる。したがって、サイクロン1A,1B内に導入されたトリミング屑Tを勢いよく落下させて排出口9から排出できる。
【0031】
また円筒部3や円錐部4が金属から形成されることで、サイクロン1A,1B内に導入されたトリミング屑Tが、静電気によって円筒部3や円錐部4の内壁面に付着して落下しない事態を防止できる。
【0032】
なお本発明は上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲において種々改変することができる。
【0033】
例えば、サイクロン1A,1Bの各部における寸法(円筒部3や円錐部4の高さや径等)は、トリミング屑Tの材料・寸法(幅・長さ)や、搬送エアーAの風量等に応じて適宜調整され得る。
【0034】
また上記実施形態では、円筒部3の上端に気流排出管8を設ける例を示したが、気流排出管8を設けずに、円筒部3の上端を蓋板7で密閉してもよい。このようにする場合でも、排気孔11の開口率等を調整することにより、サイクロン1A,1B内に搬送エアーAの下降螺旋流が生じるので、サイクロン1A,1B内に導入されたトリミング屑Tを落下させて屑排出孔9から排出できる。
【0035】
また上記実施形態では、パンチングで円錐部4の側壁に排気孔11を形成する例を示したが、排気孔11は、パンチング以外の方法で形成されてもよい。また、排気孔11として細長いスリットが円錐部4の側壁に形成されてもよい。また細長いスリットの寸法・形成パターン・形成ピッチ・形成範囲も、円錐部4の材料・寸法やトリミング屑Tの材料・寸法や搬送エアーAの風量等に応じて適宜調整され得る。
【0036】
また上記実施形態では、サイクロン1A,1Bを用いて造粒機2にトリミング屑Tを搬送する例を示したが、トリミング屑Tの搬送先は、造粒機2に限らず、造粒を行わない回収装置であってもよい。この場合、円錐部4の排出口9が回収装置の投入口に連通するように、サイクロン1A,1Bが回収装置の上に設置される。
【0037】
また、サイクロン1A,1Bを用いて搬送する対象は、樹脂フィルムのトリミング屑Tに限られない。例えば、トリミング屑T以外の樹脂のフィルム状物或いは粒状物や、紙等の切断や破砕で得たフィルム状物或いは粒状物を、サイクロン1A,1Bを用いて造粒機や回収装置に搬送することもできる。この場合には、フィルム状物や粒状物や含む搬送エアーAが円筒部3の接線方向から円筒部3の内部に導入される。そして、円錐部4の側壁に排気孔11が形成されていることで、円筒部3の接線方向から導入された搬送エアーAが、サイクロン1A,1Bの内壁面に沿って旋回しながら下降し、この下降する旋回流によってフィルム状物や粒状物が搬送される。これにより、フィルム状物や粒状物は、サイクロン1A,1B内を螺旋状に落下して円錐部4の下端にある排出口9に至り、排出口9から排出されたフィルム状物や粒状物が、造粒機や回収装置に投入される。なお上述のようにサイクロン1A,1Bを用いてフィルム状物や粒状物を搬送する場合には、排気孔11の形状は、フィルム状物や粒状物が抜け出ないような形状とされる。
【0038】
本発明者らは、本発明の効果確認のために、後述する本発明の実施例1,2と比較例1〜4とを比較する試験を行っている。以下、本試験について具体的に説明する。但し本発明は、後述の実施例1,2の範囲に限定されない。
【0039】
本発明の実施例1として、
図1に示すサイクロン1Aを介して、搬送エアーAで圧送されるトリミング屑Tを、造粒機2に搬送することを行った。上述したように、サイクロン1Aは、円錐部4の側壁に57.9%の開口率でエアー排出口9が形成されて、円筒部3の上端に気流排出管8が設けられたものである。
【0040】
本発明の実施例2として、
図2に示すサイクロン1Bを介して、搬送エアーAで圧送されるトリミング屑Tを、造粒機2に搬送することを行った。上述したように、サイクロン1Bは、円錐部4の側壁に22.6%の開口率でエアー排出口9が形成されて、円筒部3の上端に気流排出管8が設けられたものである。
【0041】
比較例1として、
図6に示すサイクロン20を介して、搬送エアーAで圧送されるトリミング屑Tを、造粒機2に搬送することを行った。
図6に示すサイクロン20では、円錐部4の側壁に排気孔11が形成されておらず、サイクロン1A,1B内に導入された搬送エアーAは、円筒部3の上端に設けた気流排出管8のみから排出されるようになっている。
【0042】
比較例2として、
図7に示すように、金属製のニップロール30Aとゴム製のニップロール30Bとの間にトリミング屑Tを挟み込み、これらニップロール30A,30Bの回転でトリミング屑Tを造粒機2に搬送することを行った。
【0043】
比較例3として、
図8に示すように、金属製のニップロール30Aとゴム製のニップロート30Bとの間にトリミング屑Tを挟み込み、これらニップロール30A,30Bの回転でトリミング屑Tを裁断機40に搬送するとともに、裁断機40の回転刃41A,41Bでトリミング屑Tを裁断して、この裁断片を造粒機2に投入することを行った。
【0044】
比較例4として、
図9に示すように、搬送エアーAで圧送されるトリミング屑Tを、籠50を介して造粒機2に搬送することを行った。以下の表1は、本試験の実施条件を示している。
【0046】
実施例1,2や比較例1〜4で搬送したトリミング屑Tは、いずれも直鎖状低密度ポリエチレン(PE)からなる樹脂フィルムの幅方向両端部を切り取ったものである。実施例1,2や比較例1〜4の樹脂フィルムの生産ラインスピードは、50m/minであり、実施例1,2や比較例1〜4では、このスピードで生産・搬送される樹脂フィルムの幅方向両側にカッターを押し当てることで、80mm幅のトリミング屑Tを切断している。そして
図1や
図2に示す実施例1,2や、
図6や
図9に示す比較例1,4では、16m
3/minの風量の搬送エアーAによって、トリミング屑Tをサイクロン1A,1Bに圧送した。また
図8に示す比較例3では、1800rpmの速度で回転する回転刃41A,41Bによってトリミング屑Tを裁断し、この裁断片を造粒機2に投入した。
【0047】
以上の条件で、実施例1,2及び比較例1〜4の各々において、40時間連続して運転を行い、この間、造粒機2へのトリミング屑Tの供給が停止した回数を計測した。この結果を以下の表2に示す。
【0049】
図1や
図2に示すサイクロン1A,1Bを用いた実施例1,2では、40時間の間、トリミング屑Tが造粒機2に供給され続け、造粒機2にトリミング屑Tが供給されないトラブルは生じなかった。
【0050】
図6に示すサイクロン20を用いた比較例1では、40時間の間、気流上昇管8からトリミング屑Tが吹き出たことで、造粒機2にトリミング屑Tが供給されないトラブルが、10回生じた。
【0051】
図7に示すニップロール30A,30Bを用いた比較例2では、40時間の間、ニップロール30A,30Bにトリミング屑Tが巻き付いたことで、造粒機2にトリミング屑Tが供給されないトラブルが、3回生じた。またニップロール30A,30Bの摩耗で生じた金属やゴムの異物が、トリミング屑Tと共に造粒機2に投入されるトラブルも生じた。
【0052】
図8に示すニップロール30A,30Bや裁断機40を用いた比較例3では、40時間の間、ニップロール30A,30Bや回転刃41A,41Bにトリミング屑Tが巻き付いたことで、造粒機2にトリミング屑Tが供給されないトラブルが、1回生じた。またニップロール30A,30Bの摩耗で生じた金属やゴムの異物が、トリミング屑Tの裁断片に混入して、裁断片と共に造粒機2に投入されるトラブルも生じた。
【0053】
図9に示す比較例4では、40時間の間、搬送エアーAの圧力で衝突壁52に衝突したトリミング屑Tが、衝突壁52に付着することで、造粒機2にトリミング屑Tが投入されないトラブルが、4回生じた。
【0054】
以上の結果から、本発明の実施例1,2は、比較例1〜4に比べて、トラブルなく安定してトリミング屑Tを造粒機2に搬送できることが確認された。
【0055】
また本発明者らは、排気孔11の開口率が異なる本発明の3つのサイクロンを介して、搬送エアーAで圧送されるトリミング屑Tを、造粒機2に搬送する試験を行った。3つのサイクロンは、
図1に示す開口率57.9%のサイクロン1Aと、
図2に示す開口率22.6%のサイクロン1Bと、図示を省略する開口率40.2%のサイクロンである。この開口率40.2%のサイクロンは、径が10.0mmの円形の排気孔11を、15.0mmのピッチの千鳥状で、円錐部4の側壁の全体に亘って形成したものである。本試験では、上記3つのサイクロン内でトリミング屑Tが旋回・落下する状況を目視で確認して、トリミング屑Tの旋回状況や落下状況について、良好:○、やや良好:△、不良:×の三段階で評価した。この結果を以下の表3に示す。
【0057】
開口率が22.6%、40.2%、57.9%のサイクロン全てにおいて、トリミング屑Tが円滑に旋回する状況が確認された。
【0058】
また、開口率が22.6%のサイクロン1Bでは、一部のトリミング屑Tが、搬送エアーAの反転上昇気流にのってサイクロン内を上昇したものの、搬送エアーAの下降螺旋流が勢いよく生じたことで、トリミング屑Tの大半が、下降旋回流によりサイクロン内を勢いよく落下して排出口9から排出された。また、開口率が40.2%や57.9%のサイクロンでは、搬送エアーAの下降螺旋流がより勢いよく生じたことで、トリミング屑Tの全てが、下降旋回流によってサイクロン内を落下して排出口9から排出されて、反転上昇流にはのらなかった。
【0059】
以上の結果から、排気孔11の開口率を22.6%以上57.9%以下とすることで、サイクロン内に生じる搬送エアーAの下降螺旋流によって、サイクロン内に導入されたトリミング屑Tを落下させて排出口9から排出できることが確認された。またさらに排気孔11の開口率を40.2%以上57.9%以下とすることで、サイクロン内により一層勢いよく下降螺旋流が生じて、サイクロン内に導入されたトリミング屑Tを確実に落下させて排出口9から排出できることが確認された。