(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を説明する。なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明の2-メチレングルタル酸エステル系重合体は、下記一般式(1)で表される構造単位を有する2−メチレングルタル酸エステル系ポリマーである。
【0012】
(R
1、R
2は、それぞれ独立に水素、アンモニウム塩、有機アミン塩、金属塩、または、一個以上の親水性基で置換された炭素数1から10のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は一個以上の親水性基で置換された炭素数1から10のアルキル基を表す。)
また、R
1及び/または、R
2がノニオン性親水性基で置換された炭素数1から10のアルキル基であることを特徴とする2−メチレングルタル酸エステル系ポリマーは本発明の好ましい形態の一つである。
また、R
1及び/または、R
2が、式(2)の構造である2−メチレングルタル酸エステル系ポリマーは、本発明の好ましい形態の一つである。
【0014】
上記式(1)において、R
1、R
2は、それぞれ独立に水素または、一個以上の親水性基で置換された炭素数1から10のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は一個以上の親水性基で置換された炭素数1から10のアルキル基である。R
1、R
2は、直鎖状であってもよく、分岐を有していてもよく、また環状であったり、一部に環を含む構造であってもよい。なお、1個以上の親水性基で置換されたアルキル基とは、アルキル基に含まれる水素原子の1個以上が、親水性基で置き換えられた構造の基を意味する。
上記親水性基としては、アニオン性、カチオン性、両性、ノニオン性のいずれであってもよく、アニオン性の親水基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基が挙げられる。また、カチオン性基としては、アミノ基、イミノ基、4級アンモニウム基、両性基としては、カルボベタイン基、スルホベタイン基、ホスホベタイン基が挙げられる。また、ノニオン性基としては、水酸基;アミド基;ピロリドン基、カプロラクタム基等の環状ラクタム基;アルコキシ基;ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基等のポリオキシアルキレン基;などが挙げられる。
【0015】
これらの内、ノニオン性基であることが好ましく、水酸基であることが更に好ましい。水酸基で置換されたアルキル基としては、具体的に、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基、1,2−ジヒドロキシプロピル基、1,3−ジヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、ヒドロキシエチルオキシエチル基、1,2−ジヒドロキシプロピルオキシエチル基、1,3−ジヒドロキシプロピルオキシエチル基、2,3−ジヒドロキシプロピルオキシエチル基、トリスヒドロキシメチルメチル基、トリスヒドロキシメチルエチル基、トリスヒドロキシメチルプロピル基、グリコシル基などが挙げられる。
【0016】
また、ノニオン性基がピロリドン基であることも好ましい実施形態の一つであり、ピロリドン基で置換されたアルキル基としては、具体的には、ピロリドンメチル基、ピロリドンエチル基、ピロリドンエトキシエチル基、ピロリドンエトキシプロピル基などが挙げられる。
【0017】
上記アルコキシ基で置換されたアルキル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、ブトキシメチル基、ブトキシエチル基、ブトキシプロピル基などが挙げられる。
【0018】
上記有機アミン塩としては、1級〜4級アミンの塩であり、好ましくは炭素数1〜20のアミンの塩である。上記金属塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;鉄の塩、亜鉛の塩等の遷移金属塩;等が例示される。
【0019】
<組成>
本発明の2−メチレングルタル酸エステル系ポリマーにおける、上記式1であらわされる構造単位の含有量としては、好ましくは5質量%以上である。更に好ましくは20質量%以上である。より更に好ましくは40質量%以上である。上記式1の構造単位の含有量が上記範囲の場合、2−メチレングルタル酸エステル構造に由来する耐塩性や、親水性といった機能が良好に発揮される傾向にある。また、上記式1の構造単位だけからなるホモポリマーも本発明の好ましい実施形態である。即ち、本発明の2−メチレングルタル酸エステル系ポリマーにおける、上記式1の構造単位の含有量の上限は好ましくは100質量%である。
【0020】
本発明の2−メチレングルタル酸エステル系ポリマーは、上記式1であらわされる構造単位以外の構造単位を含んでいても良い。例えば、後述する共重合可能なモノマーに由来する構造単位を含んでいても良い。共重合可能なモノマーに由来する構造単位とは、共重合可能なモノマーが重合して生成する構造単位であり、具体的には、共重合可能なモノマーに含まれる炭素炭素二重結合の少なくとも1つが、炭素炭素単結合に置き換わった構造を有する構造単位である。
【0021】
<分子量>
本発明の2−メチレングルタル酸エステル系ポリマーの分子量は特に制限はないが、重量平均分子量(Mw)は、好ましくは下限は1,000以上であり、上限は10,000,000以下である。更に好ましくは下限は5,000以上であり、上限は5,000,000以下である。
上記範囲であれば、強度、分散能、溶剤への溶解性、溶液の取扱い性が向上する傾向にある。
上記分子量は、後述するゲル浸透クロマトグラフィーによる測定により、得ることができる。
【0022】
<製造方法>
本発明にかかる2−メチレングルタル酸エステル系ポリマーは、例えば、下記式(3)の単量体を含む単量体成分を、重合して得ることができる。
【0024】
(R
3、R
4は、それぞれ独立に水素または、一個以上の親水性基で置換された炭素数1から10のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は一個以上の親水性基で置換された炭素数1から10のアルキル基を表す。)
上記式(3)の単量体は、1種のみで使用してもよく、2種以上を使用しても良い。
前記単量体成分は、少なくとも式(3)の単量体を含有していれば特に制限されるものではなく、例えば、式(3)の単量体を単独で用いてもよいし、式(3)の単量体と共重合可能な任意の単量体を併用してもよい。なお、式(3)の単量体以外の単量体を共重合させる場合、単量体成分中の式(3)の単量体の含有量は、特に限定されるものではないが、例えば、前記単量体成分中の式(3)の単量体の含有量を5質量%以上とすることが好ましく、20質量%以上とすることがより好ましく、40質量%以上とすることがさらに好ましい。
【0025】
<共重合可能なモノマー>
式(3)の単量体と共重合可能な単量体としては、特に限定されることはなく、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等の、(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、N−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N−モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の、(メタ)アクリルアミド誘導体;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の、塩基性不飽和単量体およびその塩または第4級化物;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルモルフォリン、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニル化合物類;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の、カルボキシル基含有不飽和単量体およびその塩;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の、不飽和無水物類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の、ビニルエステル類;ビニルエチレンカーボネートおよびその誘導体;スチレンおよびその誘導体;(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチルおよびその誘導体;ビニルスルホン酸およびその誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等の、ビニルエーテル類;エチレン、プロピレン、オクテン、ブタジエン等の、オレフィン類;などが挙げられる。
これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を混合して式(3)の単量体と共重合させてもよい。また、ランダム共重合であってもよく、ブロック共重合、グラフト共重合であってもよい。
【0026】
<重合方法>
本発明にかかる2−メチレングルタル酸エステル系ポリマーを得るための重合反応(「重合工程」ということがある)の方法は、特に制限されるものではなく、例えば、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、沈殿重合等の従来公知の方法によって行うことができる。
また、本発明にかかる2−メチレングルタル酸エステル系ポリマーを得るための重合方法は、得られるポリマーの物性面から、好ましくは静置重合法が採用される。静置重合法とは、重合時に攪拌機を用いた強制的な撹拌を伴わない重合を言い、重合前に予め原料を攪拌機により均一に混合するなどしても構わない。静置重合法としては回分式でも連続式でもよく、連続式としては可動式ベルトを用いた重合が好ましい。回分式の場合、例えば、単量体組成物、溶剤、重合開始剤を反応器に添加し、攪拌機を用いて混合した後、撹拌を止め、昇温することにより重合を開始する方法などがある。
【0027】
<重合溶媒>
前記重合反応に用いる溶媒としては、特に限定されるものではなく、例えば、水;トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶剤;などが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、好ましい重合溶媒として水が挙げられるが、水に溶解する溶媒、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、ジエチレングリコール等のアルコール類等から選ばれる単独あるいは2種以上を水と混合して用いることもできる。特に、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等の溶媒を水と混合して使用すると、共沸作用により水の沸点、すなわち重合温度が低くなるので、副反応を抑制する点から好ましい。
<重合温度>
前記重合反応を行う際には、例えば反応温度等の反応条件は、特に制限されるものではない。例えば、反応温度は、20〜150℃が好ましい。
【0028】
<重合開始剤>
重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物;過酸化水素;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物;などが挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、重合性単量体の組合せや反応条件などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
前記開始剤の使用量については、特に限定されないが、重合性単量体成分に対して0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がさらに好ましく、0.5〜3質量%がさらにより好ましい。
【0029】
前記重合反応を行う際には、重合反応の促進等の目的で、従来公知の遷移金属塩を使用することもできる。遷移金属塩としては、具体的には、銅、鉄、コバルト、ニッケル等のカルボン酸塩や塩化物等が挙げられ、これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。遷移金属塩を用いる場合、その使用量については特に限定されないが、重合性単量体成分に対して質量比で0.1〜20000ppbが好ましく、1〜5000ppbがさらに好ましい。前記重合反応を行う際には、前記重合開始剤および必要に応じて前記pH調節剤、前記遷移金属塩の他に、必要に応じて、任意の連鎖移動剤、緩衝剤等を用いることもできる。
【0030】
本発明の2−メチレングルタル酸エステル系ポリマーは、重合工程以外の工程を含んで製造しても構わない。含み得る工程としては、例えば、乾燥工程、濃縮・希釈工程、触媒失活工程、精製工程、エステル交換工程、加水分解工程などである。
【0031】
<発明の2−メチレングルタル酸エステル系ポリマーの用途>
本発明にかかる2−メチレングルタル酸エステル系ポリマーは、以上述べたように、親水性と、優れた耐塩性を有しているので、様々な塩濃度の環境で使用されることが想定される、シャンプー、リンス、食器用洗剤、衣料用洗剤、化粧品などの増粘剤として好適に用いることができる。また、有機顔料や無機顔料、各種フィラー、充填剤、薬剤の分散剤として好適に用いることができる。また、耐塩性が優れているため、種々の材料との混合安定性に優れるので、各種の親水性付与剤として好適に用いることができる。例えば、ポリエステル繊維やナイロン繊維、アクリル繊維等に添加、あるいは表面をコートすることで吸湿性等を改良する繊維処理剤としても好適である。また、防汚塗料や船底塗料などの塗料、樹脂改質剤、インク、インク受容層、各種表面処理剤、各種プライマー、各種バインダー、などの種々の用途で用いることができる。
【実施例】
【0032】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。なお、特に断らない限り、以下において「部」は「質量部」を表すものとする。
【0033】
<ガスクロマトグラフィー>
GC−2010(島津製作所製)を用い、キャピラリーカラム DB−17HT L30m×ID0.25mm、DF0.15mmにより測定した。
ピーク面積の測定の際には、ピークの左右のベースラインを直線で繋ぎ、該ベースラインとピークとで囲まれた部分の面積をピーク面積として測定した。
【0034】
<重量平均分子量>
重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPCシステム、東ソー社製)を用い、カラムにTSKgel SuperH3000と、TSKgel SuperH4000と、TSKgel SuperH5000とを連結したものを用い、溶離液にテトラヒドロフランを用いて、ポリスチレン換算により求めた。
【0035】
<合成例1>
(1)2−メチレングルタル酸ジイソピリデングリセリル(MG−2iPGL)の合成
撹拌子を入れた反応容器に、ガス導入管、温度計、還流塔および冷却器を設けたディーンスターク装置を付し、2−メチレングルタル酸ジメチル(MG−2M) 30g、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール(DOM)120g、ジブチルスズオキシド1.8gを仕込み、ガス導入管を通して酸素/窒素混合ガス(酸素濃度7%)を吹き込みながら反応溶液を攪拌し、オイルバス(バス温130℃)で加熱を行い、10kPaの減圧下でエステル交換反応を開始させた。生成してくるメタノールを留去しながら、ガスクロマトグラフィ(GC)分析によりMG−2Mの減少を追跡し、12時間で反応を終了した。室温まで冷却し、飽和食塩水75gと抽出溶媒として酢酸エチル150gを加え、分液漏斗に移し、有機層と水層を分離した。有機層を水75gで複数回洗浄し、過剰の原料アルコールを除いた後、軽沸分を減圧留去することで、2−メチレングルタル酸ジイソピリデングリセリル(MG−2iPGL)を42g得た。
【0036】
(2)MG−2iPGLの脱保護
ガス導入管を設けたフラスコにメタノール300mlとMG−2iPGL30gとを加えて溶解させた後に、予め水に浸漬後風乾した固体酸触媒アンバーリスト50gを仕込み、ガス導入管を通して酸素/窒素混合ガス(酸素濃度7%)を吹き込みながら反応溶液をパドル翼で攪拌し、室温下で脱保護反応を開始させた。薄層クロマトグラフィーによりMG−2iPGLのスポットの消失と、中間体および目的物スポットの生成を確認し、24時間で終了した。固体酸触媒を濾別して得た濾液をn−ヘキサンで洗浄し、未反応MG−2iPGLを除いたのち、減圧濃縮して得た生成物をシリカゲルカラム(移動相メタノール/酢酸エチル)で単離し、目的とする2−メチレングルタル酸ジグリセリル(MG−2GL)の淡黄色透明液体10gを得た。
【0037】
<実施例1>
攪拌子を入れた反応容器にガス導入管、温度計、冷却管を付し、単量体として合成例1で合成したMG−2GL 5.0g、溶媒としてイオン交換水 5.0g、アゾ系ラジカル重合開始剤0.025g(和光純薬社製、商品名:V-50)を仕込み、窒素ガスを流しながら攪拌、昇温を開始した。内温50℃で撹拌を停止し、そのまま12hr静置することで重合反応を行った。得られた反応液をアセトンで希釈し、大量のn−ヘキサン中に撹拌しながら投入することで再沈し、固体の重合体(MG−2GLホモポリマー 以下、PM
G2Gポリマー)を得た。得られた重合体は、重量平均分子量が33.5万であった。得られたPM
G2Gポリマーの
1H−NMRスペクトル(重溶媒:重水)を
図1に示す。
【0038】
<比較例1>
実施例1において、MG−2GLを、2‐メチレングルタル酸とした以外は同様に重合反応等行い、2‐メチレングルタル酸のホモポリマー(以下、PMGAポリマー)を得た。実施例の条件ではGPCでピークが表れなかったため、分子量は特定できなかった。得られたPMGAポリマーの
1H−NMRスペクトル(重溶媒:重水)を
図2に示す。
【0039】
<実施例2(耐塩性評価)>
PMG2Gポリマーの水溶液をNaOH水溶液により、pH7〜8に調整し、更にイオン交換水で希釈して、pH7〜8、濃度1%の水溶液を調整した。同様に、PMGAポリマーのpH7〜8、濃度1%の水溶液を調整した。
それぞれに塩化カルシウム水溶液を徐々に添加し、状態変化を観察した。PMGAポリマーは、塩化カルシウム水溶液の添加とともに顕著に粘度が低下し、カルシウム濃度が0.1mol/Lに達するまでに水溶液が白濁し、乳化状態となった。
一方、PMG2Gポリマーでは、塩化カルシウム水溶液の添加に対して、やや粘度が低下するだけで、外観上の変化は全くなく、カルシウム濃度が0.5mol/L に達しても白濁することはなかった。
以上の観察より、PMG2Gポリマーは、PMGAポリマーと比較して、耐塩性が優れていることが明らかであった。
【0040】
<実施例3>
攪拌子を入れた反応容器にガス導入管、温度計、冷却管を付し、単量体として合成例1で合成したMG−2GL2.0g、ブチルアクリレート(BA)3.0g、溶媒としてメタノール5.0g、アゾ系ラジカル重合開始剤0.025g(和光純薬社製、商品名:V−65)を仕込み、窒素ガスを流しながら攪拌、昇温を開始した。内温50℃で撹拌を停止し、そのまま12hr静置することで重合反応を行った。得られた反応液をアセトンで希釈し、大量のn−ヘキサン中に撹拌しながら投入することで再沈し、固体の重合体(P(M2gB)ポリマー)を得た。得られた重合体は、重量平均分子量が34.6万であった。得られたP(M2gB)ポリマーの
1H−NMRスペクトル(重溶媒:重クロロホルム)を
図3に示す。
【0041】
<参考例(接触角測定)>
実施例3で得られたP(M2gB)ポリマーの、0.5%MEK溶液を調整し、スピンコーターにより、PETフィルム上にP(M2gB)ポリマーの薄膜を製膜した。水中気泡法で、P(M2gB)ポリマー表面の接触角を測定したところ、164°であった。基材のPETフィルムの接触角を同様に測定したところ、117°であった。このことより、P(M2gB)ポリマーが表面親水化処理剤として有用であることが示された。