【文献】
川崎邦弘,列車制御用無線通信システムの概要とシミュレーションによる伝送品質の評価,JREA,一般社団法人日本鉄道技術協会,2015年 8月 1日,第58巻、第8号,第13-17ページ
【文献】
國松武俊、ほか,移動閉そく方式に対応した列車運行シミュレーション手法の高速化,平成28年 電気学会全国大会講演論文集(第5分冊),2016年 3月 5日,第230-231ページ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所与の無線式列車制御システムに設定された無線基地局の数、設置位置、通信ゾーン及びタイムスロット数を少なくとも含む無線通信リソースに基づく各列車と前記無線基地局間の無線通信シミュレーションと、前記無線式列車制御システムでの所与のダイヤに基づく列車運行シミュレーションとを並列的に実行する無線式列車制御システムシミュレータ(以下単に「シミュレータ」という)を用いて、コンピュータに、前記無線式列車制御システムでの前記設定された無線通信リソースを評価させるためのプログラムであって、
前記ダイヤのうち、支障区間及び支障時間帯を設定して、当該支障区間及び当該支障時間帯に係る運転抑止を実施させる評価シナリオを設定する設定手段、
前記シミュレータに、前記評価シナリオを適用したシミュレーションを実行させる制御手段、
前記制御手段の制御に基づく前記シミュレータのシミュレーション結果のうち、前記無線通信シミュレーションによって得られた前記無線基地局毎の前記タイムスロット数の割当履歴に基づいて、前記無線基地局毎のタイムスロットの使用数を求め、前記タイムスロット数の充足度合を評価する評価手段、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
前記無線基地局それぞれについて、前記設定手段が当該無線基地局の前記通信ゾーンに前記支障区間を設定した前記評価シナリオを設定することと、前記制御手段が当該評価シナリオを適用したシミュレーションを前記シミュレータに実行させることと、前記評価手段が当該評価シナリオに係る前記評価を行うことと、を実行するように前記コンピュータを機能させるための請求項1に記載のプログラム。
前記列車運行シミュレーションは、各旅客の出現駅、出現時刻及び目標駅が定められた旅客流動データに基づく旅客流動を考慮して前記ダイヤに沿った列車運行をシミュレーションするものであり、
前記設定手段は、前記ダイヤのうち、前記旅客流動データに基づく所定のラッシュ時間帯に前記支障時間帯を設定した前記評価シナリオを設定する、
請求項1〜4の何れか一項に記載のプログラム。
所与の無線式列車制御システムに設定された無線基地局の数、設置位置、通信ゾーン及びタイムスロット数を少なくとも含む無線通信リソースに基づく各列車と前記無線基地局間の無線通信シミュレーションと、前記無線式列車制御システムでの所与のダイヤに基づく列車運行シミュレーションとを並列的に実行する無線式列車制御システムシミュレータ(以下単に「シミュレータ」という)を用いて、前記無線式列車制御システムでの前記設定された無線通信リソースを評価する評価装置であって、
前記ダイヤのうち、支障区間及び支障時間帯を設定して、当該支障区間及び当該支障時間帯に係る運転抑止を実施させる評価シナリオを設定する設定手段と、
前記シミュレータに、前記評価シナリオを適用したシミュレーションを実行させる制御手段と、
前記制御手段の制御に基づく前記シミュレータのシミュレーション結果のうち、前記無線通信シミュレーションによって得られた前記無線基地局毎の前記タイムスロット数の割当履歴に基づいて、前記無線基地局毎のタイムスロットの使用数を求め、前記タイムスロット数の充足度合を評価する評価手段と、
を備えた評価装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線式列車制御システムは、地上・車上間の無線通信の安定性や信頼性が列車制御システムに大きく影響するため、無線通信ネットワークの適切な設計が肝要である。しかし、その設計において考慮すべき事項は複雑であり、かつ多岐にわたる。例えば、線区の線形や無線基地局の位置、無線機の性能、鉄道沿線における電波環境、列車から発生するノイズ環境、他の無線基地局からの電波干渉、列車の走行位置及び走行速度などの列車運行状況、等を考慮する必要がある。また、正常時だけでなく、列車の運行乱れが発生した場合にも安全な列車運行を実現できる無線通信ネットワークが求められる。
【0005】
そこで、机上の設計を支援するために、無線通信ネットワークを含めた無線式列車制御システム全体を模擬するシミュレータが求められており、その開発が進められている。ところが、シミュレータは、与えられた無線式列車制御システムの条件に従って、無線式列車制御システムの動きを模擬する装置であって、無線基地局の数や配置位置、通信ゾーン、タイムスロット数といった無線通信ネットワークの無線通信リソースが適切に設計されているか否かを評価することはできない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、無線式列車制御システムのシミュレータを用いて、無線通信リソースを適切に評価する手法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための第1の発明は、
所与の無線式列車制御システムに設定された無線基地局の数、設置位置、通信ゾーン及びタイムスロット数を少なくとも含む無線通信リソースに基づく各列車と前記無線基地局間の無線通信シミュレーションと、前記無線式列車制御システムでの所与のダイヤに基づく列車運行シミュレーションとを並列的に実行する無線式列車制御システムシミュレータ(以下単に「シミュレータ」という)を用いて、コンピュータに、前記無線式列車制御システムでの前記設定された無線通信リソースを評価させるためのプログラムであって、
前記ダイヤのうち、支障区間及び支障時間帯を設定して、当該支障区間及び当該支障時間帯に係る運転抑止を実施させる評価シナリオを設定する設定手段、
前記シミュレータに、前記評価シナリオを適用したシミュレーションを実行させる制御手段、
前記制御手段の制御に基づく前記シミュレータのシミュレーション結果のうち、前記無線通信シミュレーションによって得られた前記無線基地局毎の前記タイムスロット数の割当履歴に基づいて、前記無線通信リソースを評価する評価手段、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0008】
また、他の発明として、
所与の無線式列車制御システムに設定された無線基地局の数、設置位置、通信ゾーン及びタイムスロット数を少なくとも含む無線通信リソースに基づく各列車と前記無線基地局間の無線通信シミュレーションと、前記無線式列車制御システムでの所与のダイヤに基づく列車運行シミュレーションとを並列的に実行する無線式列車制御システムシミュレータ(以下単に「シミュレータ」という)を用いて、前記無線式列車制御システムでの前記設定された無線通信リソースを評価する評価装置であって、
前記ダイヤのうち、支障区間及び支障時間帯を設定して、当該支障区間及び当該支障時間帯に係る運転抑止を実施させる評価シナリオを設定する設定手段と、
前記シミュレータに、前記評価シナリオを適用したシミュレーションを実行させる制御手段と、
前記制御手段の制御に基づく前記シミュレータのシミュレーション結果のうち、前記無線通信シミュレーションによって得られた前記無線基地局毎の前記タイムスロット数の割当履歴に基づいて、前記無線通信リソースを評価する評価手段と、
を備えた評価装置を構成しても良い。
【0009】
この第1の発明等によれば、無線通信シミュレーションと、列車運行シミュレーションとを並列的に実行する無線式列車制御システムシミュレータに、支障区間及び支障時間帯に係る運転抑止を実施させる評価シナリオを適用したシミュレーションを実行させ、シミュレーション結果として得られた無線基地局毎のタイムスロット数の割当履歴に基づいて、無線式列車制御システムの無線通信リソースを評価することができる。
【0010】
つまり、運転抑止を実施させる評価シナリオによって、運行乱れにより線区の一部区間の列車本数が増加して、その一部区間に多くのタイムスロット数が必要とされる無線通信として厳しい状態を作り出す。そのような状況におけるタイムスロットの充足度合によって、無線基地局の数や設置位置、通信ゾーン、タイムスロット数といった無線通信リソースが適切であるかを評価することができる。
【0011】
第2の発明として、第1の発明のプログラムであって、
前記設定手段は、前記通信ゾーンに前記支障区間を設定した前記評価シナリオを設定する、
プログラムを構成しても良い。
【0012】
この第2の発明によれば、無線基地局の通信ゾーンに支障区間を設定した評価シナリオを設定することで、運転抑止によって特定の通信ゾーンに列車が集中し易くなり、タイムスロット数の充足度合をより適切に判断できる。
【0013】
第3の発明として、第1の発明のプログラムであって、
前記無線基地局それぞれについて、前記設定手段が当該無線基地局の前記通信ゾーンに前記支障区間を設定した前記評価シナリオを設定することと、前記制御手段が当該評価シナリオを適用したシミュレーションを前記シミュレータに実行させることと、前記評価手段が当該評価シナリオに係る前記評価を行うことと、を実行するように前記コンピュータを機能させるためのプログラムを構成しても良い。
【0014】
この第3の発明によれば、無線基地局それぞれについて、当該無線基地局の通信ゾーンに支障区間を設定した評価シナリオを適用したシミュレーションをシミュレータに実行させて、無線通信リソースの評価が行われる。つまり、無線通信リソースの評価として、線区全体の様々な区間に支障が発生した場合に、タイムスロット数が不足せずに対応可能かといったことを判断できる。
【0015】
第4の発明として、第1〜第3の何れかの発明のプログラムであって、
前記設定手段は、前記ダイヤのうち、列車本数が所定の高密度条件を満たす時間帯に前記支障時間帯を設定した前記評価シナリオを設定する、
プログラムを構成しても良い。
【0016】
この第4の発明によれば、列車本数が高密度条件を満たす時間帯に支障時間帯を設定した評価シナリオを設定することで、最も多くの列車を運転抑止し、最も多くのタイムスロット数を必要とする状況を作り出すことができ、タイムスロット数の充足度合に基づいてより適切な無線通信リソースの評価を行うことができる。
【0017】
第5の発明として、第1〜第4の何れかの発明のプログラムであって、
前記列車運行シミュレーションは、各旅客の出現駅、出現時刻及び目標駅が定められた旅客流動データに基づく旅客流動を考慮して前記ダイヤに沿った列車運行をシミュレーションするものであり、
前記設定手段は、前記ダイヤのうち、前記旅客流動データに基づく所定のラッシュ時間帯に前記支障時間帯を設定した前記評価シナリオを設定する、
プログラムを構成しても良い。
【0018】
この第5の発明によれば、旅客流動データに基づくラッシュ時間帯に支障時間帯を設定した評価シナリオを設定することで、旅客の乗降人数が多いラッシュ時間帯に運行乱れが発生するとともに、列車に乗降する旅客が多いことによる列車の運行遅延も発生するといった状況を作り出し、このような状況に対する無線通信リソースの評価を行うことができる。
【0019】
第6の発明として、第1〜第5の何れかの発明のプログラムであって、
前記設定手段は、前記支障時間帯の経過後に前記運転抑止させた列車を一斉に出発させる前記評価シナリオを設定する、
プログラムを構成しても良い。
【0020】
この第6の発明によれば、支障時間帯の経過後に、運転抑止させた列車を一斉に出発させる評価シナリオを設定することで、運転再開後に、特定の区間において短い間隔で多数の列車が連なって運行するといった状況を作り出し、このような状況に対する無線通信リソースの評価を行うことができる。
【0021】
第7の発明として、第1〜第6の何れかの発明のプログラムであって、
前記制御手段は、所与の列車ダイヤに前記評価シナリオを適用した評価ダイヤを作成し、当該評価ダイヤに基づくシミュレーションを前記シミュレータに実行させる、
プログラムを構成しても良い。
【0022】
この第7の発明によれば、シミュレータに、所与の列車ダイヤに評価シナリオを適用した評価ダイヤに従った列車運行シミュレーションを実行させることで、評価シナリオを適用したシミュレーションの実行を実現することができる。
【0023】
第8の発明として、第1〜第7の何れかの発明のプログラムであって、
前記評価手段による評価結果に基づいて、前記無線通信リソースの修正案を作成する修正案作成手段、
として前記コンピュータを更に機能させるためのプログラムを構成しても良い。
【0024】
この第8の発明によれば、シミュレーション結果に基づく無線通信リソースの評価結果に基づいて、例えば、タイムスロット数が不足する区間に無線基地局を追加設置するといった、無線通信リソースの修正案を作成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[概要]
本実施形態は、無線式列車制御システムを模擬する無線式列車制御シミュレータを用いて、無線式列車制御システムの通信リソースを評価するものである。無線式列車制御システムは、沿線に設置された無線基地局を介した地上装置と列車に搭載された車上装置との無線通信を使用して、列車を制御するシステムである。無線式列車制御システムでは、無線基地局と車上装置との間の無線通信の安定性や信頼性が列車制御システムに大きく影響する。このため、設置する無線基地局の数や、各無線基地局の設置位置、通信ゾーン、タイムスロット数を少なくとも含む無線通信ネットワークの無線通信リソースを、適切に設計する必要がある。また、無線通信リソースとしては、更に、周波数チャネルの割当や、無線基地局のアンテナの位置・高さ・指向性・利得、アッテネータ、ハンドオーバー準備点、等を含めることができる。
【0027】
無線基地局は、通信フレームを複数のタイムスロットに分割し、1つのタイムスロットに1つの列車を割り当てる時分割多重方式によって、通信ゾーン内の列車(詳細には、車上装置)との無線通信を行っている。通信ゾーンとは、無線基地局の制御対象範囲であり、当該無線基地局の通信可能範囲に含まれるように定められる。線路を走行する列車と地上装置とが常に無線通信が行えるよう、無線基地局は、線路上の全ての位置が何れかの無線基地局の通信ゾーンに含まれるように配置される。
【0028】
しかし、1つの無線基地局において列車を割り当て可能なタイムスロットの数(タイムスロット数)に上限があるため、1つの無線基地局の通信ゾーン内にタイムスロットの上限数を超える本数の列車を在線させることはできない。このため、列車が通信ゾーンを跨いで新たな通信ゾーンに進入する際には、新たな通信ゾーンの無線基地局のタイムスロットを割り当てるハンドオーバー処理を行う必要がある。空いたタイムスロットがない場合には、列車は次の通信ゾーンに進入することができず、その手前で停止することになる。単純には、無線基地局の設置数が多いほど、通信ゾーンを狭小化できるため、1つの通信ゾーンに在線し得る列車本数が低減し、タイムスロットに余裕が生まれ易くなるといえる。しかし、無線基地局の設置数が多いほど、設置コストや運用コスト、保守コストといったコストが高くなる。また、周波数チャネルには限りがあるため、同じ周波数チャネルの無線基地局が近接することとなって電波干渉が生じ易くなる。また、無線基地局の通信ゾーンを跨ぐ際のハンドオーバー処理の回数が増加するといった問題が生じる。このため、各無線基地局の設置位置や通信ゾーン、タイムスロットの上限数といった無線通信リソースを適切に設計する必要がある。
【0029】
図1は、無線式列車制御シミュレータ10の構成を説明する図である。
図1に示すように、無線式列車制御シミュレータ10は、列車ダイヤに従った列車の運行を模擬する列車運行シミュレーション12と、無線通信ネットワークを模擬する無線通信シミュレーション14とを、互いにデータのやりとりをしながら並列的に実行する(連携する)ことで、無線式列車制御システムのシミュレーションを行う。
【0030】
列車運行シミュレーション12は、線路の配置構成のデータである線形データや列車ダイヤ、信号データ、車両データ、旅客流動データ(各旅客のODデータ)などを入力すると、各列車の各駅での旅客の乗降時間を計算して各列車の各駅での停車時分を求めて駅出発をシミュレーションするとともに、列車制御用ネットワークシミュレーション16で算出された各列車へのタイムスロットの割り当てに従いながら、列車ダイヤに従った各列車の運行を模擬するミュレーションである。タイムスロットの割り当てに従った処理としては、具体的には次のような処理である。すなわち、在線する通信ゾーンと次の通信ゾーンとの境界の手前に停止させる停止パターンを作成し、この停止パターンに沿って列車を走行させる。そして、次の通信ゾーンの手前に定められたハンドオーバー準備点に到達すると、列車制御用ネットワークシミュレーション16によって、列車と次の通信ゾーンの無線基地局との通信を開始して、列車に次の通信ゾーンのタイムスロットを割り当てるハンドオーバー処理がなされる。タイムスロットが割り当てられない場合、次の通信ゾーンに進入できずに、停止パターンに従って、次のゾーンの手前で停止することになる。タイムスロットが割り当てられると、次の通信ゾーンに進入可能となるので、更にその次の通信ゾーンの手前に停止させる停止パターンに更新する。また、列車運行シミュレーション12は、無線データ伝送回線シミュレーション18で計算された列車と無線基地局との無線通信の伝送品質が所定品質以下まで低下した場合に、列車を停止させるとともに、その後に、伝送品質が所定品質まで回復した場合に、列車の走行を再開させるといった処理も行う。
【0031】
無線通信シミュレーション14は、列車制御用ネットワークシミュレーション16と無線データ伝送回線シミュレーション18とを、互いにデータのやりとりをしながら並列的に実行する(連携する)ことで、無線通信ネットワークにおける無線通信を模擬する。
【0032】
列車制御用ネットワークシミュレーション16は、無線基地局や車上装置といった無線通信ネットワークを構成する装置(ネットワーク構成)や適用するプロトコル、各無線基地局のタイムスロットの上限数を定めたスロット割当ルール、各無線基地局の設置位置(無線基地局配置)などを入力すると、列車運行シミュレーション12で計算された列車の走行位置や速度、無線データ伝送回線シミュレーション18で計算された無線基地局と列車との無線通信の伝送品質をもとに、各無線基地局への制御対象の列車の割り当てやハンドオーバー処理を行いながら、無線通信ネットワーク全体の各無線基地局と各列車との間の制御電文の伝送を模擬するシミュレーションである。すなわち、列車運行シミュレーション12で計算された各時刻における各列車の位置や速度から、各無線基地局がどの列車を制御対象としているのかを特定する。そして、列車がハンドオーバー準備点に到達すると、その列車に次の通信ゾーンのタイムスロットを割り当て、列車が通信ゾーンの境界に達すると、その列車と無線通信する無線基地局(すなわち、その列車を制御する無線基地局)を切り替えるといったハンドオーバー処理を行う。
【0033】
無線データ伝送回線シミュレーション18は、線形データや基地局配置、各無線基地局に割り当てた送信周波数及び受信周波数(周波数配置)、符号化方式や復変調方式、伝送方速度といった無線基地局の性能(無線機の仕様)、沿線の環境などを入力すると、鉄道沿線の電波伝搬環境や、列車から発生するノイズ環境、他の無線基地局からの電波干渉を模擬的に発生させ、列車の走行位置に応じた無線基地局と列車(車上装置)との無線通信の伝送品質(ビット誤り率、電文損失率、伝送遅延時間など)を計算するシミュレーションである。
【0034】
列車運行シミュレーション12、列車制御用ネットワークシミュレーション16、及び無線データ伝送回線シミュレーション18は、例えば、公益財団法人鉄道総合技術研究所において開発されているシミュレータを利用して実現することができる。
【0035】
図2は、無線式列車制御シミュレータ10を用いた無線通信リソースの評価の概要を説明する図である。
図2に示すように、無線式列車制御シミュレータ10に対して、線形データや無線通信リソースといった評価対象となる無線式列車制御システムの設計要件や、列車ダイヤ、旅客流動データ等を与えて、シミュレーションを実行させる。
【0036】
すると、無線式列車制御シミュレータ10によるシミュレーションの実行結果として、実績ダイヤや、無線基地局毎に制御対象として割り当てた列車を時系列に示したスロット割当履歴が得られる。そして、得られたスロット割当履歴をもとに、無線通信リソースを評価する。具体的には、各無線基地局のタイムスロットの使用数によって、各無線基地局の配置位置やタイムスロットの上限数といった無線通信リソースが適切であるかを評価する。ある基地局のタイムスロットが不足している場合、その通信ゾーン(ハンドオーバー点)の手前で列車が停止することになり、無線通信リソースが不適切である(より正確には、無線通信リソースの設計が不適切である)と判断できる。
【0037】
本実施形態の特徴として、無線式列車制御シミュレータ10に、更に、列車運行に影響を与える評価シナリオを適用したシミュレーションを実行させることで、様々な運行状況における各無線基地局のタイムスロットの使用数を算出し、タイムスロット数の充足度合に基づいて無線通信リソースを評価する。具体的には、評価シナリオとして、列車の運行乱れを発生させ、無線通信として厳しい状況を作り出し、無線式列車制御システムにおける無線通信の耐性を評価する。詳細には、一部区間に短い間隔で多数の列車が在線する、いわゆるだんご運転の状況を作り出すこととする。そのために、列車ダイヤに対して支障区間及び支障時間帯を設定し、この支障区間及び支障時間帯に係る列車の運転を抑止させるとともに、支障時間帯の経過後は、運転抑止していた列車の運転を一斉に再開させるような評価シナリオを設定する。
【0038】
評価シナリオとして設定する支障区間は、無線通信として最も厳しい状況、すなわち無線基地局の通信ゾーン内になるべく多数の列車が在線するような状況を作り出すため、通信ゾーンを単位とする。ある無線基地局の通信ゾーンに相当する区間を支障区間とすることで、運転抑止によって、その手前の通信ゾーンに多数の列車が在線するだんご運転を発生させることになり、そのだんご運転が発生した通信ゾーンの無線基地局について、タイムスロット数の過不足を含む充足度合を評価することができる。
【0039】
また、評価シナリオとして設定する支障時間帯は、例えば、朝夕の通勤時間帯といった、単位時間当たりの列車本数が最多である高密度条件を満たす時間帯を設定する。高密度条件を満たす時間帯を支障時間帯として設定することで、より多くの本数の列車を運転抑止することになり、だんご運転を発生し易くすることができる。
【0040】
さて、無線式列車制御シミュレータ10による評価シナリオを適用したシミュレーションの実行であるが、本実施形態では、評価シナリオを無線式列車制御シミュレータ10に直接与えるのではなく、
図3に示すように、所与の列車ダイヤに評価シナリオを適用した評価ダイヤを作成し、この評価ダイヤを無線式列車制御シミュレータ10に与えて、評価ダイヤに従った列車運行シミュレーション12を実行させる。評価ダイヤは、列車ダイヤにおいて、評価シナリオで設定される支障(支障区間及び支障時間帯に係る列車の運行を抑止させるとともに、支障時間帯の経過後に運転抑止していた列車の運行を一斉に再開させる)を発生させた場合のダイヤである。
【0041】
そのシミュレーションの結果として、スロット割当履歴が得られる。スロット割当履歴は、全ての無線通信基地局毎(通信ゾーン毎)に、各時刻における、列車を割り当てたタイムスロットの数である使用スロット数を示したデータである。
【0042】
図4〜
図7は、評価ダイヤの作成を説明する図である。
図4では、F駅からA駅に向かって8本の列車(1列車〜8列車)が運行する列車ダイヤに対して、支障時間帯を10時0分から10時30分までの30分、支障区間をC駅と設定した評価シナリオを適用して、評価シナリオを作成する例を示している。
【0043】
先ず、列車ダイヤに対して、評価シナリオで定められる支障時間帯に支障区間及び支障区間の手前に位置する列車を、抑止対象列車として抽出する。
図4の例では、2列車〜7列車の6本の列車が、抑止対象列車として抽出される。
【0044】
次いで、
図5に示すように、抑止対象列車それぞれについて、支障時間帯の開始時刻(支障発生時刻)における在線位置から支障区間までの間の駅であって、支障時間帯の終了時刻(支障解除時刻)までの間に到着する駅のうちから、抑止可能な駅を抽出する。なお、本実施形態では、抑止可能な駅とするが、更に細かく、抑止可能な駅及び番線として抽出することとしても良い。
図5の例では、2列車〜7列車の6本の抑止対象列車のうち、3列車〜6列車のそれぞれについては、F駅、E駅及びD駅が抑止可能駅であり、7列車については、F駅及びE駅が抑止可能駅である。2列車については、抑止可能駅が無い。
【0045】
続いて、
図6に示すように、各抑止可能列車に対して、列車ダイヤ上で支障区間の通過時刻が早い順に、支障区間に近い駅から抑止を設定する。このとき、抑止可能駅がない抑止可能列車や、駅が足りなくて抑止が設定できない抑止可能列車については、機外停止を設定する。
図6の例では、2列車、3列車、・・、7列車の順に、支障区間に近い駅への抑止を設定する。すなわち、2列車については、抑止可能駅が無いため、D駅〜C駅間で機外停止とし、3列車については、D駅での抑止を設定し、4列車については、E駅での抑止を設定し、5列車については、F駅での抑止を設定し、6列車及び7列車については、駅が足りないため、機外停止とする。
【0046】
図7は、
図4の列車ダイヤに対して、
図4に示したような列車の運転抑止を設定するとともに、支障時間帯の終了時刻(支障解除時刻)において、運転抑止していた抑止対象列車を一斉に運転再開させた結果として作成された評価ダイヤである。運転間隔の調整を行わずに一斉に運転再開させることで、運転再開時において、無線通信として一層厳しい状態を作り出している。
【0047】
[機能構成]
図8は、評価装置1の機能構成図である。
図8によれば、評価装置1は、操作入力部102と、表示部104と、通信部106と、処理部200と、記憶部300とを備えて構成されるコンピュータシステムである。評価装置1は、1台のコンピュータで構成することとしてもよいし、複数台のコンピュータが通信接続された構成としてもよい。
【0048】
操作入力部102は、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、各種スイッチ等で構成される入力装置であり、ユーザの操作入力に応じた操作信号を処理部200に出力する。表示部104は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)や有機ELディスプレイ等で構成される表示装置であり、処理部200からの表示信号に基づく各種表示を行う。通信部106は、例えば無線通信モジュールやルータ、モデム、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等で構成される通信装置であり、外部装置との間でデータ通信を行う。
【0049】
処理部200は、例えばCPUやFPGA等の演算装置や演算回路で構成され、記憶部300に記憶されたプログラムやデータ、操作入力部102からの入力データ等に基づいて各種演算処理を行うとともに、評価装置1を構成する各部への指示やデータ転送を行う。また、処理部200は、記憶部300の評価プログラムを読み出して実行することで、評価シナリオ設定部202、評価ダイヤ作成部204、SIM実行制御部206、評価部208、修正案作成部210、として機能する。
【0050】
ここで、評価対象となる無線式列車制御システムの設計要件である線形データや、無線基地局の配置位置等の無線通信リソースデータ306、無線式列車制御システムに適用する所与の列車ダイヤである列車ダイヤデータ308や旅客流動データ310は、予め記憶部300に記憶されている。旅客流動データ310は、各旅客の出現駅、出現時刻及び目標駅を定めたデータである。
【0051】
評価シナリオ設定部202は、列車ダイヤに対して運行乱れを発生させる評価シナリオを設定する。具体的には、支障区間を無線基地局の通信ゾーンを単位として設定することで、配置されている無線基地局と同数の評価シナリオを設定する。通信ゾーン内に駅が含まれる場合には、当該駅構内を支障区間とする(1つの通信ゾーン内に複数駅が含まれる場合には、何れかの駅(例えば進入側に最も近い駅)を支障区間とする)。また、支障時間帯は、例えば、30分といった所定時間毎に区切られた時間帯のうち、列車ダイヤにおいて支障区間(支障駅)を通過する列車本数が最多である高密度条件を満たす時間帯を、支障時間帯として設定する。
【0052】
評価ダイヤ作成部204は、列車ダイヤに評価シナリオを適用して、評価ダイヤを作成する(
図4〜
図7参照)。
【0053】
SIM実行制御部206は、評価シナリオ毎に、当該評価シナリオを列車ダイヤに適用して作成された評価ダイヤとともに、評価対象の無線式列車制御システムの設計要件である線形データや無線通信リソースデータ306、旅客流動データ310を無線式列車制御シミュレータ10に与えてシミュレーションを実行させ、そのシミュレーション結果を取得する。SIM実行制御部206は、1つの評価シナリオについて1回のミュレーションを実行させる。つまり、評価シナリオの数に等しい回数のシミュレーションが行われ、シミュレーション毎の評価データ312が生成される。
【0054】
図9は、評価データのデータ構成例である。
図9によれば、評価データ312は、評価シナリオデータ314と、評価ダイヤデータ316と、SIM結果データ318とを含む。評価シナリオデータ314は、支障区間、及び、支障時間帯が設定された評価シナリオのデータである。評価ダイヤデータ316は、評価シナリオデータで示される評価シナリオを、列車ダイヤに適用して作成された評価ダイヤのデータである。SIM結果データ318は、評価ダイヤデータで示される評価ダイヤを用いたシミュレーションを、無線式列車制御シミュレータ10に実行させて得られた結果であり、無線基地局毎(通信ゾーン毎)に、各時刻における使用スロット数(列車を割り当てたタイムスロットの数)を示したスロット割当履歴のデータである。評価シナリオ毎に支障区間が異なるため、シミュレーション毎、すなわち評価データ毎に、シミュレーション結果であるスロット割当履歴は異なる。
【0055】
評価部208は、無線式列車制御シミュレータ10によるシミュレーション結果に基づいて、無線式列車制御システムの無線通信リソースを評価する。具体的には、シミュレーション結果であるスロット割当履歴から、各無線基地局にタイムスロットの不足が生じたか、充足度を判断する。例えば、通信ゾーン毎に、各時刻におけるタイムスロットの上限数に対する使用スロット数の割合であるスロット占有率を算出する。このスロット占有率が100%に達しているということは、その時点においてタイムスロットが不足し、その通信ゾーン(ハンドオーバー点)の手前での列車の停止が余儀なくされていると推察される。つまり、スロット占有率が100%に達していないほうが“良い”と判断できる。
【0056】
また、支障時間帯に相当する時間帯におけるスロット占有率の推移に着目し、スロット占有率が100%には達していない、すなわち、運行乱れが発生してもタイムスロットは足りているが、未使用のタイムスロット数の余裕がどの程度かを判断することもできる。例えば全スロット数のうちの使用タイムスロット数の割合が、80%程度といった所定の理想割合に近いか否かで、良否を判断することができる。また、スロット占有率を複数に区分し、各区分のスロット占有率であった時間を集計して、無線通信リソースを評価することもできる。例えば、ある評価シナリオの結果、30%以下が5時間45分、30〜40%が1時間10分、40〜50%が26分、50%超が5分、といった具合に集計されたとすると、その評価シナリオの支障時間の長さに対して、50%超の5分が長いか否か、40〜50%の26分が長いか否かを所定の評価基準に沿って判定する、といった評価を行うことができる。
【0057】
修正案作成部210は、評価部208による無線通信リソースの評価結果に基づいて、無線通信リソースの修正案を作成する。例えば、ある無線基地局のタイムスロットが不足する状況が発生する、或いは、余裕が無いといった場合には、無線基地局のタイムスロット上限数を増やす、或いは、配置する無線基地局を増やすといったことで、無線通信ネットワーク全体でのタイムスロット数を増加させるといった修正案を作成する。
【0058】
修正案の作成に当たっては更に次のようにすることができる。すなわち、修正案を仮の案として作成し、当該修正案(仮の案)に基づいて、評価シナリオ設定部202による評価シナリオの設定、評価ダイヤ作成部204による評価ダイヤの作成、SIM実行制御部206による無線式列車制御シミュレータ10のシミュレーション制御、評価部208による評価を行って、所定の高評価条件を満たさなければ再度、修正案作成部210が修正案を作成することを繰り返す。そして、所定の高評価条件を満たす評価が得られた場合に、当該修正案を本決定する。
【0059】
記憶部300は、処理部200が評価装置1を統合的に制御するための諸機能を実現するためのシステムプログラムや、本実施形態を実現するためのプログラムやデータを記憶するとともに、処理部200の作業領域として用いられ、処理部200が各種プログラムに従って実行した演算結果や、操作入力部102からの入力データが一時的に記憶される。本実施形態では、記憶部300には、評価プログラム302と、線形データ304と、無線通信リソースデータ306と、列車ダイヤデータ308と、旅客流動データ310と、評価データ312と、が記憶される。
【0060】
[処理の流れ]
図10は、評価処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は、処理部200が評価プログラム302に従った処理を実行することで実現される。
【0061】
先ず、無線通信リソースとして設定された無線基地局それぞれを対象とした繰り返し処理(ループA)を行って、無線通信基地局の配置数と同数の評価シナリオを設定する。すなわち、評価シナリオ設定部202が、対象の無線基地局の通信ゾーンに支障区間を設定する(ステップS1)。次いで、列車ダイヤにおいて、予め定められた複数の時間帯のうち、支障区間を通過する列車本数が最多の時間帯を、支障時間帯とする(ステップS3)。そして、決定した支障区間、及び、支障時間帯を、評価シナリオとして設定する(ステップS5)。ループAの処理はこのように行われる。
【0062】
全ての無線基地局それぞれを対象としたループAの処理を行うと、続いて、設定した評価シナリオそれぞれを対象とした繰り返し処理(ループB)を行う。すなわち、評価ダイヤ作成部204が、列車ダイヤ上で、対象の評価シナリオで設定された支障区間及び支障区間の手前路線を支障時間帯に通過する列車を、抑止対象列車として抽出し(ステップS7)、抽出した抑止対象列車毎に、抑止可能駅を抽出する(ステップS9)。
【0063】
次いで、抑止対象列車に対して、列車ダイヤ上で支障区間の通過時刻が早い順に、支障区間に近い駅から抑止を設定する(ステップS11)。また、駅に抑止を設定できない抑止対象列車については、機外抑止を設定する(ステップS13)。続いて、抑止対象列車それぞれを、設定に従って抑止させるとともに、支障時間帯の終了時刻(支障解除時刻)に抑止を解除して一斉に運転再開させるように、列車ダイヤを修正することで、列車ダイヤに対象の評価シナリオを適用した評価ダイヤを作成する(ステップS15)。
【0064】
その後、SIM実行制御部206が、作成された評価ダイヤを用いたシミュレーションを無線式列車制御シミュレータ10に実行させ(ステップS17)、シミュレーションの結果であるスロット割当履歴を取得する(ステップS19)。ループBの処理はこのように行われる。
【0065】
全ての評価シナリオを対象としたループBの処理を行うと、続いて、評価部208が、評価シナリオ毎に得られたシミュレーション結果に基づいて、無線通信リソースを評価する(ステップS21)。例えば、スロット占有率の最も高い値や、一定値以上のスロット占有率となった累計時間等に基づいて、無線通信リソースの耐性や信頼性、安定性を示す指標値を算出し、評価値とすることができる。
【0066】
その後、例えば、操作入力部102から入力されるユーザの指示に従って、無線通信リソースの修正を行うかを判断する。無線通信リソースの修正を行うならば(ステップS23:YES)、修正案作成部210が、評価結果に基づいて無線通信リソースの修正案を作成した後(ステップS25)、ステップS1に戻り、無線通信リソースの修正案を対象として同様の処理を行う。一方、無線通信リソースの修正を行わないならば(ステップS23:NO)、評価処理は終了となる。
【0067】
[作用効果]
このように、本実施形態によれば、無線通信シミュレーション14と列車運行シミュレーション12とを並列的に実行する無線式列車制御シミュレータ10に、支障区間及び支障時間帯に係る運転抑止を実施させる評価シナリオを適用したシミュレーションを実行させ、シミュレーション結果として得られた無線基地局毎のタイムスロット数の割当履歴に基づいて、無線式列車制御システムの無線通信リソースを評価することができる。
【0068】
つまり、運転抑止を実施させる評価シナリオによって、運行乱れにより線区の一部区間の列車本数が増加して多くのタイムスロット数を必要とするような状態を作り出し、そのような状況におけるタイムスロットの充足度合に基づいて、無線基地局の数や設置位置、通信ゾーン、タイムスロット数といった無線通信リソースが適切であるかを評価することができる。
【0069】
[変形例]
なお、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
【0070】
(A)評価シナリオの設定
評価シナリオ設定部202が行う評価シナリオの設定を、操作入力部102から入力されるユーザの指示に従って設定することとしても良い。すなわち、支障区間や支障時間帯を任意に設定することとしても良い。
【0071】
(B)支障時間帯の設定
また、評価シナリオに含まれる支障時間帯の設定を、列車ダイヤにおける列車の運行本数を基準として設定するのではなく、旅客流動データに基づく旅客の乗降人数を基準として設定するとしても良い。具体的には、例えば、30分単位で区切った複数の時間帯のうち、支障区間の駅における旅客の乗降人数が最多であるラッシュ時間帯を、支障時間帯として設定する。
【0072】
(C)無線通信リソースの修正
修正案作成部210が行う無線通信リソースの修正を、例えば、操作入力部102から入力されるユーザの指示に従って行うこととしても良い。
【0073】
(D)無線通信リソース
無線通信リソースは、無線式列車制御シミュレータ10がシミュレーション要素とする無線通信の条件のことであり、上述した実施形態では、無線基地局の数、設置位置、通信ゾーン及びタイムスロット数を少なくとも含むこととした。更に、周波数チャネルの割当や、無線基地局のアンテナの位置・高さ・指向性・利得、アッテネータ、ハンドオーバー準備点、等をシミュレーション要素として含んで無線式列車制御シミュレータ10がシミュレーションするのであれば、本実施形態で評価対象とする無線通信リソースには、これらの要素が内在されることとなる。