(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1に示す列車1は、軌道2に沿って走行する車両(移動体)である。列車1は、例えば、電車、気動車、機関車、客車又は貨車などの鉄道車両である。軌道2は、列車1が走行する通路(線路)である。軌道2は、例えば、砂利又は砕石などの粒状体によって構成された道床上に左右一対のレールと支持体とによって構成された軌きょうを敷設した有道床軌道である。路盤3は、軌道2を支持する基盤である。路盤3は、列車1が通過するときに発生する荷重を支持する構造物である。路盤3は、例えば、良質な自然土などを用いて締め固められた土路盤などである。斜面4は、自然又は人工的に形成された傾斜地形である。斜面4は、例えば、自然に形成された自然斜面、地盤面よりも高く盛り上げた盛土若しくは原地盤を切り取った切取などの人工的に形成したのり面である。
【0021】
監視対象領域Aは、災害監視システム5Aによって災害の発生が監視される領域である。監視対象領域Aは、斜面災害の発生が予測される領域である。ここで、斜面災害とは、降雨又は地震などによって発生する地すべり、斜面崩壊又は落石などの地盤災害である。
図1に示す監視対象領域Aは、例えば、斜面災害が発生する可能性の高い鉄道沿線の斜面4である。衝突物Mは、災害監視システム5Aの衝撃検知装置6に衝突する物体である。衝突物Mは、例えば、斜面災害によって発生する土砂又は落石などである。
【0022】
災害監視システム5Aは、監視対象領域A内の災害の発生を監視するシステムである。災害監視システム5Aは、例えば、斜面4で発生する斜面災害を監視する。災害監視システム5Aは、
図1〜
図4に示す衝撃検知装置6と、
図6に示す判定装置11と、告知装置12などを備えている。災害監視システム5Aは、衝撃検知装置6によって衝撃が検知されたときに、この衝撃検知装置6の検知結果に基づいて判定装置11によって災害発生の有無を判定し、この判定装置11の判定結果に基づいて告知装置12によって災害の発生を告知する。災害監視システム5Aは、衝撃検知装置6と判定装置11とに相当する部分が衝撃検知システムを構成し、告知装置12に相当する部分が告知システムを構成する。
【0023】
図1〜
図4に示す衝撃検知装置6は、外部から作用する衝撃を検知する装置である。衝撃検知装置6は、監視対象領域A内で衝突物Mが衝突するときに発生する衝撃を検知する。衝撃検知装置6は、
図4に示すように、衝突物Mが衝突して曲げ変形及び圧縮変形したときに、圧電効果によってこの変形を電気信号に変換して出力する。衝撃検知装置6は、設置状態で衝撃を受けたときに内部の有機電気材料が変形して発生する電気信号をトリガーとして外部に信号を伝送する。衝撃検知装置6は、
図1〜
図3に示すように、内部が中空で外観が円柱状の部材である。衝撃検知装置6は、
図2に示すように、監視対象領域A内の地表面に固定される大径の固定部(基部)6aと、この固定部6aから上方に所定長さだけ突出する小径の柱状部6bとを備えている。衝撃検知装置6は、
図1及び
図2に示すように、道路の中央分離帯又は路側などに設置されて、道路の線形又は路肩などを示し視覚を通じて注意を喚起する誘導ポールに近似した外観である。衝撃検知装置6は、
図1に示すように、監視対象領域A内の地表面に所定の間隔を開けて配置されている。衝撃検知装置6は、
図1〜
図4に示す衝撃作用筒部7と、
図3及び
図5に示す圧電筒部8A,8Bと、
図3に示す保護筒部9A〜9Cと、
図5に示す配線材10A,10Bなどを備えている。衝撃検知装置6は、例えば、平板状の衝撃作用筒部7、圧電筒部8A,8B及び保護筒部9A〜9Cを接着剤などによって積層した後に円筒状に丸めて形成される。
【0024】
図1〜
図4に示す衝撃作用筒部7は、衝突物Mが衝突して衝撃が作用する部分である。衝撃作用筒部7は、衝撃が作用したときに圧電筒部8A,8B及び保護筒部9A〜9Cとともに径方向に弾性変形する。衝撃作用筒部7は、
図3に示すように、衝撃検知装置6の表層を形成しており、断面形状が円環状であり所定の厚さで形成されている。衝撃作用筒部7は、可撓性を有するゴム、合成樹脂又は高分子材料などによって形成されている。
【0025】
図3及び
図5に示す圧電筒部8A,8Bは、衝撃が作用したときに径方向に弾性変形し、圧電効果によって電気信号を発生する部分である。圧電筒部8A,8Bは、いずれも同一構造であり、積層された状態で衝撃検知装置6の内層を形成しており、断面形状が円環状であり所定の厚さで形成されている。圧電筒部8A,8Bは、衝撃検知装置6のセンサ部を構成する。圧電筒部8Aは、衝撃検知装置6の外周面側に形成されており、圧電筒部8Bは衝撃検知装置6の内周面側に形成されている。圧電筒部8Aは、この圧電筒部8Aの外周面が保護筒部9Aの内周面に嵌合しており、この圧電筒部8Aの内周面が保護筒部9Bの外周面に嵌合している。圧電筒部8Bは、この圧電筒部8Bの外周面が保護筒部9Bの内周面に嵌合しており、この圧電筒部8Bの内周面が保護筒部9Cの外周面に嵌合している。圧電筒部8A,8Bは、圧電ゴム部8aと電極部8b,8cなどを備えている。
【0026】
図5に示す圧電ゴム部8aは、ゴム中に圧電材料を分散させた部分である。圧電ゴム部8aは、機械的な変形を電気信号に変換する機械電気変換部として機能し、衝撃の大きさ(荷重の大きさ)に応じた電力を発生し弾性を有する圧電素子である。圧電ゴム部8aは、例えば、ニトリルゴムなどのゴム材とチタン酸ジルコン酸鉛(商品名PZT)などの圧電セラミック粉末とを混合する混合工程と、この混合工程後の混合物を加硫する加硫工程と、この加硫工程後の混合物の両端部に電圧を印加してこの混合物を分極させる分極工程とによって製造される。圧電ゴム部8aは、
図1〜
図4に示すように、衝撃作用筒部7に作用する衝撃に応じた電気信号(衝撃検知信号)を判定装置11に出力する。
【0027】
図5に示す電極部8b,8cは、圧電ゴム部8aに電気的に接続される部分である。電極部8b,8cは、圧電ゴム部8aの内周面及び外周面にそれぞれ積層されており、圧電ゴム部8aの内周面及び外周面の全面を被覆するように接合されている。電極部8b,8cは、例えば、互いに所定の間隔を開けて圧電ゴム部8aを挟み込むように圧電ゴム部8aの内周面及び外周面に加硫接着して形成されたり、金属、金属酸化物又はカーボンなどの導電性材料を蒸着、シルクスクリーン印刷又はイオンスパッタリングなどの方法によって圧電ゴム部8aの内周面及び外周面に形成されたり、導電性材料を含有する樹脂又は導電性高分子などの導電性樹脂を圧電ゴム部8aの内周面及び外周面に多層化して形成されたりする。
【0028】
図3に示す保護筒部9A〜9Cは、圧電筒部8A,8Bを保護する部分である。保護筒部9A〜9Cは、
図3に示すように、圧電筒部8A,8Bの内周面及び外周面の全面を被覆しており、保護筒部9A,9Bは圧電筒部8Aを挟み込むように被覆しており、保護筒部9B,9Cは圧電筒部8Bを挟み込むように被覆している。保護筒部9A〜9Bは、例えば、衝撃作用筒部7と同様に可撓性を有するとともに、圧電筒部8A,8Bを電気的に絶縁する絶縁性を有するゴム、合成樹脂又は高分子材料などによって形成されている。
【0029】
図5に示す配線材10A,10Bは、圧電ゴム部8aが発生する電流が流れる電線である。配線材10A,10Bは、導電材の表面が絶縁材によって被覆された電線である。配線材10Aは、一方の端部が電極部8bに接続されており、他方の端部が判定装置11の入力部11aに接続されている。配線材10Bは、一方の端部が電極部8cに接続されており、他方の端部が判定装置11の入力部11aに接続されている。
【0030】
図6に示す判定装置11は、衝撃検知装置6の圧電筒部8A,8Bが発生する電気信号に基づいて、監視対象領域A内の災害の発生の有無を判定する装置である。判定装置11は、衝撃作用筒部7に衝撃が作用してこの衝撃作用筒部7が弾性変形したときに、圧電筒部8A,8Bが出力する電気信号のレベルがしきい値を超えるか否かを判定する。判定装置11は、
図2に示す衝撃検知装置6の固定部6a内に収容されている。判定装置11は、監視対象領域A内で災害が発生していると判定したときには災害発生信号を告知装置12に送信する。判定装置11は、
図6に示すように、入力部11aと、判定部11bと、電源部11cと、送信部11dと、制御部11eなどを備えている。
【0031】
入力部11aは、衝撃検知装置6の圧電筒部8A,8Bが出力する電気信号が入力する手段である。入力部11aは、圧電筒部8A,8Bが出力する電気信号(アナログ信号)からノイズ成分を除去するフィルタ回路と、このアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器などを備えており、変換後のディジタル信号(電気信号)を制御部11eに出力する。
【0032】
判定部11bは、圧電筒部8A,8Bが出力する電気信号がしきい値を超えるか否かを判定する手段である。判定部11bは、入力部11aが出力する電気信号のレベルがしきい値を超えるか否かを判定し、この電気信号のレベルがしきい値を超える(衝撃が所定値を超える)ときには、監視対象領域A内で災害が発生していると判定し、災害発生信号を制御部11eに出力する。
【0033】
電源部11cは、判定装置11に電力を供給する手段である。電源部11cは、例えば、太陽光を電力に変換して出力する太陽電池、又は充電によって繰り返し使用が可能な二次電池(蓄電池)などである。送信部11dは、判定部11bが出力する災害発生信号を送信する手段である。送信部11dは、制御部11eが出力する災害発生信号を告知装置12の受信部12aに無線送信する。
【0034】
制御部11eは、判定装置11に関する種々の動作を制御する中央処理部(CPU)である。制御部11eは、例えば、入力部11aが出力する電気信号を判定部11bに出力したり、判定部11bに災害発生の有無の判定を指令したり、判定部11bが出力する災害発生信号を送信部11dに出力したり、災害発生信号の送信を送信部11dに指令したりする。制御部11eには、入力部11a、判定部11b、電源部11c及び送信部11dが接続されている。
【0035】
図6に示す告知装置12は、監視対象領域A内で災害が発生していると判定装置11が判定したときに、この監視対象領域A内の災害の発生を告知する装置である。告知装置12は、判定装置11が送信する災害発生信号を受信して、監視対象領域A内の災害の発生を告知する。告知装置12は、例えば、列車1の運転士に停止信号(赤信号)を現示する信号機、又は交通機関の運行状況に関する運行管理情報を列車1に送信する中央指令装置などである。告知装置12は、受信部12aと、警報部12bと、電源部12cと、制御部12dなどを備えている。
【0036】
受信部12aは、判定装置11の送信部11dから送信される災害発生信号を受信する手段である。受信部12aは、受信後の災害発生信号を制御部12dに出力する。警報部12bは、災害発生を警報する手段である。警報部12bは、文字、図形、記号、音声又はこれらの組み合わせによって災害発生を視覚又は聴覚を通じて知らせる。警報部12bは、例えば、警報音を発生するスピーカのような音声発生装置、又は所定の警告を表示するLED(light emitting diode)表示器のような表示装置である。電源部12cは、告知装置12に電力を供給する手段である。電源部12cは、電源部11cと同様の太陽電池、二次電池(蓄電池)又は電力会社から供給される商用電源などである。制御部12dは、告知装置12に関する種々の動作を制御する中央処理部(CPU)である。制御部12dは、例えば、受信部12aが出力する災害発生信号に基づいて警報部12bに災害発生の警報を指令する。制御部12dには、受信部12a、警報部12b及び電源部12cが接続されている。
【0037】
次に、この発明の第1実施形態に係る衝撃検知装置及び災害監視システムの動作を説明する。
図1に示すように、斜面4に斜面災害が発生して衝突物Mが衝撃検知装置6に衝突すると、
図4に示すように衝撃検知装置6の固定部6aを固定端として曲げ変形するとともに、衝撃検知装置6の柱状部6bが径方向に弾性変形して潰れ、圧電筒部8A,8Bの圧電ゴム部8aが電力を発生する。圧電ゴム部8aが電力を発生すると、電極部8b,8cから配線材10A,10Bを通じて判定装置11の入力部11aに電気信号が入力し、この入力部11aがこの電気信号を制御部11eに出力する。
【0038】
制御部11eが判定部11bにこの電気信号を出力するとともに、制御部11eが判定部11bに災害発生の有無の判定を指令すると、電気信号のレベルがしきい値を超えているか否かを判定部11bが判定する。
図4に示すように、衝撃検知装置6に異常な衝撃が作用すると衝撃検知装置6の柱状部6bが大きく変形して、圧電筒部8A,8Bが発生する電圧が高くなる。電気信号のレベルがしきい値以下であると判定部11bが判定したときには、監視対象領域A内の斜面災害が比較的小規模であるため、監視対象領域A内で災害が発生していないと判定部11bが判定し、判定部11bが制御部11eに災害発生信号を出力しない。一方、電気信号のレベルがしきい値を超えていると判定部11bが判定したときには、監視対象領域A内の斜面災害が比較的大規模であるため、監視対象領域A内で災害が発生していると判定部11bが判定し、判定部11bが制御部11eに災害発生信号を出力する。その結果、制御部11eが災害発生信号を送信部11dに出力するとともに、制御部11eが送信部11dにこの災害発生信号の送信を指令する。
【0039】
判定装置11の送信部11dが告知装置12の受信部12aに災害発生信号を送信し、受信部12aが制御部12dに災害発生信号を出力すると、制御部12dが警報部12bに災害発生の警報の発生を指令する。このため、例えば、警報部12bが信号機である場合にはこの信号機が停止信号を現示し、警報部12bが中央指令装置である場合には運行管理情報を車両の運転士に送信し、監視対象領域Aの手前で列車1が停止するように運転士がブレーキ装置を作動させる。
【0040】
この発明の第1実施形態に係る衝撃検知装置には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、衝撃が作用したときに圧電筒部8A,8Bが径方向に弾性変形し、この圧電筒部8A,8Bが圧電効果によって電気信号を発生する。このため、従来の崩落検知装置のセンサ部のように常時検知可能な状態を維持するためにセンサ部を通電状態にする待機電力が不要になり、省電力化を図ることができる。また、圧電筒部8A,8Bを予め円筒状に変形させた状態で使用するため、従来の板状の圧電材料と比較してより大きな電気信号を取り出すことができるとともに、チャージアンプなどの増幅回路を省略することができる。
【0041】
(2) この第1実施形態では、圧電筒部8A,8Bがゴム中に圧電材料を分散させた圧電ゴム部8aである。このため、構造が簡単で製造が容易な圧電ゴム部8aを利用して圧電筒部8A,8Bを簡単に製造することができる。また、振動や荷重などの瞬間的な変形や衝撃の検知に適しており変形や衝撃により自ら電力を発生する圧電ゴム部8aを利用するため、異常を検知するために常時電力を使用する必要がなくなって、検知に必要な電力を大幅に減少させることができる。さらに、圧電ゴム部8aに衝撃力が作用しても、圧電ゴム部8aが弾力性と可撓性を有するため圧電ゴム部8aが破損することがなく、圧電筒部8A,8Bの耐久性を向上させることができる。
【0042】
この発明の第1実施形態に係る災害監視システムには、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、監視対象領域A内で衝突物Mが衝突するときに発生する衝撃を衝撃検知装置6が検知し、この衝撃検知装置6の圧電筒部8A,8Bが発生する電気信号に基づいて、監視対象領域A内の災害発生の有無を判定装置11が判定する。このため、圧電効果を利用して斜面災害の有無を小電力によって監視することができる。
【0043】
(2) この第1実施形態では、災害が発生していると判定装置11が判定したときに、監視対象領域A内の災害の発生を告知装置12が告知する。このため、例えば、信号機を停止信号に現示したり運行管理情報を列車1の運転士に送信したりすることによって、災害発生現場の手前で列車1を安全に停止させることができる。
【0044】
(第2実施形態)
以下では、
図1〜
図6に示す部分と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図11に示す衝撃検知装置6は、外部から衝撃が作用して圧電筒部8A,8Bが電気信号を出力したときに、この電気信号をトリガーとして亀裂検知部13に電力を供給する。衝撃検知装置6は、
図6に示す衝撃検知装置6と同様に衝撃作用筒部7と、圧電筒部8A,8Bと、保護筒部9A〜9Cと、配線材10A,10Bとを備えるとともに、
図11に示す亀裂検知部13と、配線材14A,14Bなどを備えている。
【0045】
図11に示す判定装置11は、衝撃検知装置6の圧電筒部8A,8Bが発生する電気信号と、この衝撃検知装置6の亀裂検知部13が発生する電気信号とに基づいて、監視対象領域A内の災害の発生の有無を判定する装置である。判定装置11は、
図6に示す判定装置11と同様に入力部11aと、電源部11cと、送信部11dと、制御部11eとを備えるとともに、
図11に示す入力部11fと、通電状態測定部11gと、判定部11hなどを備えている。
【0046】
図11に示す入力部11fは、衝撃検知装置6の亀裂検知部13が出力する電気信号が入力する手段である。入力部11fは、入力部11aと同様のフィルタ回路とA/D変換器などを備えており、変換後のディジタル信号(電気信号)を制御部11eに出力する。
【0047】
通電状態測定部11gは、亀裂検知部13の導電部13aの通電状態を測定する手段である。通電状態測定部11gは、入力部11fが出力する電気信号に基づいて導電部13aの電気抵抗(抵抗値)を測定し、亀裂Cの大きさを測定する。通電状態測定部11gは、測定後の亀裂Cの大きさに応じた電気信号を制御部11eに出力する。
【0048】
判定部11hは、圧電筒部8A,8Bが出力する電気信号がしきい値を超えるか否かを判定するとともに、亀裂検知部13の通電状態測定部11gが出力する電気信号がしきい値を超えるか否かを判定する手段である。判定部11hは、通電状態測定部11gが出力する電気信号のレベルがしきい値を超える(亀裂Cの大きさが所定値を超える)場合であって、かつ、圧電筒部8A,8Bが出力する電気信号のレベルがしきい値を超える(衝撃が所定値を超える)場合には、監視対象領域A内に災害が発生したと判定し、災害発生信号を制御部11eに出力する。
【0049】
図7〜
図11に示す亀裂検知部13は、衝撃が作用したときに発生する亀裂Cを検知する手段である。亀裂検知部13は、電気抵抗の変化によって亀裂Cの発生を検知する。亀裂検知部13は、圧電筒部8A,8Bが発生する電気信号に基づいて電源部11cから電力が供給される。亀裂検知部13は、
図9及び
図10に示す導電部13aと、電極部13b,13cと、
図10に示す絶縁部13d,13eと、保護部13fなどを備えている。
【0050】
図9及び
図10に示す導電部13aは、亀裂Cの発生に応じて電気抵抗が変化する部分である。導電部13aは、
図10に示すように、絶縁部13dの表面に導電性塗料を塗布して形成される塗膜である。
図9及び
図10に示す電極部13b,13cは、導電部13aに電流を流す塗膜である。電極部13b,13cは、
図9に示すように、導電部13aの上縁部と下縁部とに導電性塗料を線状に塗布して形成される塗膜である。
図10に示す絶縁部13d,13eは、導電部13a及び電極部13b,13cを電気的に絶縁する部分である。絶縁部13dは、衝撃作用筒部7の外周面の全周に所定の幅で絶縁性塗料を帯状に塗布して形成される塗膜である。絶縁部13eは、絶縁部13dとの間に導電部13a及び電極部13b,13cを挟み込むように、導電部13a及び電極部13b,13cの表面に絶縁性塗料を塗布して形成される塗膜である。保護部13fは、絶縁部13eを保護する部分である。保護部13fは、絶縁部13eの表面に耐候性塗料などを塗布して形成される塗膜である。亀裂検知部13は、
図8に示すように、導電性塗料、絶縁性塗料及び耐候性塗料を重ねて塗布することによって筒状に形成されている。亀裂検知部13は、導電部13aに発生する亀裂Cの大きさに応じた電気信号(亀裂検知信号)を判定装置11に出力する。
【0051】
図9及び
図11に示す配線材14A,14Bは、導電部13aに電流を流す電線である。配線材14A,14Bは、導電材の表面が絶縁材によって被覆された電線である。配線材14A,14Bは、電源部11cから導電部13aに電力が供給されてこの導電部13aに電流が流れるように、電極部13b,13cと電源部11cとを電気的に接続している。
【0052】
次に、この発明の第2実施形態に係る衝撃検知装置及び災害監視システムの動作を説明する。
図1に示すように、斜面4に斜面災害が発生して衝突物Mが衝撃検知装置6の柱状部6bに衝突すると、圧電筒部8A,8Bの圧電ゴム部8aが電力を発生し、配線材10A,10Bを通じて判定装置11に電気信号が入力する。圧電筒部8A,8Bから電気信号が入力したと制御部11eが判断したときには、亀裂検知部13に電源部11cから電力を供給するように制御部11eが電源部11cに指令する。その結果、亀裂検知部13の導電部13aに電流が流れて、配線材14A,14Bを通じて判定装置11の入力部11fに電気信号が入力すると、この入力部11fがこの電気信号を制御部11eに出力する。
【0053】
制御部11eが通電状態測定部11gにこの電気信号を出力するとともに、制御部11eが通電状態測定部11gに電気抵抗の測定を指令すると、通電状態測定部11gが導電部13aの抵抗値を測定し、この測定結果を制御部11eに出力する。圧電筒部8A,8Bが出力する電気信号と通電状態測定部11gが出力する電気信号とを制御部11eが判定部11hに出力するとともに、判定部11hに災害発生の有無の判定を指令する。
【0054】
図4に示すように、衝撃検知装置6に異常な衝撃が作用すると衝撃検知装置6の柱状部6bが大きく変形して、圧電筒部8A,8Bが発生する電圧が高くなるとともに、亀裂検知部13の導電部13aの抵抗値も高くなる。圧電筒部8A,8Bが出力する電気信号のレベル又は通電状態測定部11gが出力する電気信号のレベルのいずれか一方が所定値以下であると判定部11hが判定したときには、監視対象領域A内の斜面災害が比較的小規模であると判定部11hが判定する。このため、監視対象領域A内で災害が発生していないと判定部11hが判定し、判定部11hが制御部11eに災害発生信号を出力しない。一方、圧電筒部8A,8Bが出力する電気信号のレベル及び通電状態測定部11gが出力する電気信号のレベルの双方が所定値を超えていると判定部11hが判定したときには、監視対象領域A内の斜面災害が比較的大規模であると判定部11hが判定する。このため、監視対象領域A内で災害が発生していると判定部11hが判定し、判定部11hが制御部11eに災害発生信号を出力する。その結果、判定装置11の送信部11dから告知装置12の受信部12aに災害発生信号が送信されると、告知装置12の警報部12bが信号機に停止信号を現示したり、警報部12bが運行管理情報を車両の運転士に送信したりする。
【0055】
この発明の第2実施形態に係る衝撃検知装置及び災害監視システムには、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第2実施形態では、衝撃が作用したときに発生する亀裂Cを亀裂検知部13が検知する。このため、圧電筒部8A,8Bが異常を検知した場合であって、亀裂検知部13も異常を検知した場合には、衝撃検知装置6に発生した異常を高精度に検知することができる。その結果、圧電筒部8A,8B及び亀裂検知部13の二重系の検知システムを採用することによって、衝撃検知の信頼性をより一層向上させることができる。
【0056】
(2) この第2実施形態では、亀裂Cの発生に応じて電気抵抗が変化する導電部13aを亀裂検知部13が備えており、この導電部13aが導電性塗料を塗布して形成されている。このため、衝撃検知装置6の表面に亀裂検知部13を短時間で簡単に形成することができる。また、有機電気材料である導電性塗料によって形成された亀裂検知部13を圧電筒部8A,8Bと組み合わせることによって、瞬間的な衝撃や変形の検知に優れた圧電筒部8A,8Bでは完全に検知しきれない静的な状態変化を亀裂検知部13によって検知することができる。
【0057】
(3) この第2実施形態では、圧電筒部8A,8Bが発生する電気信号に基づいて電源部11cから亀裂検知部13に電力が供給される。このため、圧電筒部8A,8Bによって異常が検知されたときに、圧電筒部8A,8Bが出力する電気信号をトリガーとして、亀裂検知部13に電源部11cから電圧が印加され、電源部11cからの電力を利用して亀裂検知部13が亀裂Cの発生を検知することができる。その結果、計測のための電圧を亀裂検知部13に電源部11cから常時印加する必要がなくなって省電力化を図ることができる。
【0058】
(4) この第2実施形態では、監視対象領域A内で衝突物Mが衝突するときに発生する衝撃を衝撃検知装置6が検知し、この衝撃検知装置6の圧電筒部8A,8Bが発生する電気信号と、この衝撃検知装置6の亀裂検知部13が発生する電気信号とに基づいて、災害発生の有無を判定装置11が判定する。このため、圧電筒部8A,8B及び亀裂検知部13の二重の検知システムによって、斜面災害などの発生をより一層高精度に検知することができる。
【0059】
(第3実施形態)
図12に示す衝撃検知装置6は、外部から衝撃が作用して圧電筒部8A,8Bが電気信号を出力したときに、この電気信号を電源として衝撃検知装置6の亀裂検知部13に電力を供給する。圧電筒部8A,8Bは、衝撃検知装置6に衝撃が作用したときに、圧電ゴム部8aが電気信号(衝撃検知信号)を判定装置11の入力部11aに出力するとともに、この電気信号を亀裂検知部13に出力する。亀裂検知部13は、圧電筒部8A,8Bが発生する電力が供給される。
【0060】
この発明の第3実施形態に係る災害監視システムには、第1実施形態及び第2実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第3実施形態では、圧電筒部8A,8Bが発生する電力が亀裂検知部13に供給される。このため、圧電筒部8A,8Bが発生する電圧を利用して、亀裂検知部13にこの電圧を印加することができる。その結果、亀裂検知部13に常時電圧を印加するための電源が不要になって、省電力化を図ることができるとともに衝撃検知装置6を簡単な構造にすることができる。
【0061】
(第4実施形態)
図13及び
図14に示す軌道2は、レール2aと、まくらぎ2bと、レール締結装置2cなどを備えている。レール2aは、列車1の車輪を支持し案内してこの車両を走行させる部材である。まくらぎ2bは、レール2aを支持する支持体(支承体)である。まくらぎ2bは、左右のレール2aの間隔(軌間)を正確に保持する。レール締結装置2cは、レール2aをまくらぎ2bに締結する装置である。レール締結装置2cは、レール2aとまくらぎ2bとの間に挿入されて車両走行時に発生する衝撃を緩和する軌道パッドと、レール2aの底部上面を押さえ付けてまくらぎ2bに締結する締結ばねなどを備えている。
【0062】
図13に示す工事作業区間Sは、軌道2に対して種々の工事を実施する区間である。工事作業区間Sは、例えば、軌道材料の補修又は交換、レール長さ方向の形状が変化する軌道変位の整正などの軌道保守(軌道補修)を実施する区間である。作業員Wは、工事作業区間Sで所定の作業を実施する者である。作業員Wは、例えば、列車1の接近を他の作業員に知らせる役目を持つ列車見張り員又は工事管理者などである。
【0063】
図13及び
図14に示す移動体検知システム5Bは、列車1の接近を検知するシステムである。移動体検知システム5Bは、例えば、
図13に示すように、工事作業区間Sに接近する列車1を検知する。移動体検知システム5Bは、軌道2上の任意の位置に着脱自在に設置可能な仮設型の検知システムであり、工事作業区間S内で工事を開始するときにはこの工事作業区間Sの手前に設置され、工事作業区間S内の工事を終了するときには設置箇所から撤去される。移動体検知システム5Bは、
図13及び
図14に示すように、衝撃検知装置6と、判定装置11と、告知装置12などを備えている。移動体検知システム5Bは、衝撃検知装置6によって衝撃が検知されたときに、この衝撃検知装置6の検知結果に基づいて判定装置11によって列車1の接近の有無を判定し、この判定装置11の判定結果に基づいて告知装置12によって列車1の接近を告知する。
【0064】
図13及び
図14に示す衝撃検知装置6は、列車1が通過するときに発生する衝撃を検知する。衝撃検知装置6は、レール2aとまくらぎ2bとの間に挿入されている。衝撃検知装置6は、例えば、レール2aの底部下面とまくらぎ2bの上面との間にこの衝撃検知装置6の外周面が挟み込まれて密着するように設置されている。衝撃検知装置6は、
図13に示すように、列車1を検知してから工事作業区間Sに列車1が到達するまでの間に作業員Wに列車1の接近を告知可能なように、工事作業区間Sから所定距離だけ離れた位置に設置されている。衝撃検知装置6は、例えば、工事作業区間Sの手前数10〜100mに設置される。
【0065】
判定装置11は、衝撃検知装置6の圧電筒部8A,8Bが発生する電気信号に基づいて、列車1の接近の有無を判定する装置である。判定装置11は、列車1が接近していると判定したときには列車接近信号を告知装置12に送信する。
図14に示す判定部11bは、入力部11aが出力する電気信号のレベルがしきい値を超えるか否かを判定し、この電気信号のレベルがしきい値を超える(衝撃が所定値を超える)ときには、列車1が接近していると判定し、列車接近信号を制御部12dに出力する。電源部11cは、例えば、太陽光を電力に変換して出力する太陽電池などである。送信部11dは、判定部11bが出力する列車接近信号を送信する手段である。送信部11dは、制御部11eが出力する列車接近信号を告知装置12の受信部12aに無線送信する。制御部11eは、判定部11bに列車1の接近の有無の判定を指令したり、判定部11bが出力する列車接近信号を送信部11dに出力したり、列車接近信号の送信を送信部11dに指令したりする。
【0066】
図13及び
図14に示す告知装置12は、列車1が接近していると判定装置11が判定したときに、この列車1の接近を告知する装置である。告知装置12は、判定装置11が送信する列車接近信号を受信して、列車1の接近を告知する。告知装置12は、例えば、工事作業区間Sの作業員Wに列車1の接近を告知する警報機などである。告知装置12は、
図14に示すように、受信部12aと、警報部12bと、電源部12cと、制御部12dなどを備えている。
【0067】
受信部12aは、判定装置11の送信部11dから送信される列車接近信号を受信する手段である。受信部12aは、受信後の列車接近信号を制御部12dに出力する。警報部12bは、列車1の接近を警報する手段である。警報部12bは、文字、図形、記号、音声又はこれらの組み合わせによって列車1の接近を視覚又は聴覚を通じて知らせる。警報部12bは、例えば、警報音を発生するスピーカのような音声発生装置、又は所定の警告を表示するLED(light emitting diode)表示器のような表示装置である。電源部12cは、例えば、太陽光を電力に変換して出力する太陽電池などである。制御部12dは、例えば、受信部12aが出力する列車接近信号に基づいて警報部12bに列車1の接近の警報を指令する。
【0068】
次に、この発明の第4実施形態に係る衝撃検知装置及び災害監視システムの動作を説明する。
図13に示すように、工事作業区間Sの手前に設置されている衝撃検知装置6上を列車1が通過すると、衝撃検知装置6の柱状部6bに衝撃が作用する。その結果、
図5に示すように、衝撃検知装置6が径方向に弾性変形して潰れ、圧電筒部8A,8Bの圧電ゴム部8aが電力を発生する。圧電ゴム部8aが電力を発生すると、電極部8b,8cから配線材10A,10Bを通じて判定装置11の入力部11aから電気信号が入力し、この入力部11aがこの電気信号を制御部11eに出力する。
【0069】
その結果、制御部11eが判定部11bにこの電気信号を出力するとともに、制御部11eが判定部11bに列車1の接近の有無の判定を指令すると、電気信号のレベルがしきい値を超えているか否かを判定部11bが判定する。電気信号のレベルがしきい値以下であると判定部11bが判定したときには、工事作業区間Sから列車1が離れているため、列車1が接近していないと判定部11bが判定し、判定部11bが制御部11eに列車接近信号を出力しない。一方、電気信号のレベルがしきい値を超えていると判定部11bが判定したときには、工事作業区間Sに列車1が近づいているため、列車1が接近していると判定部11bが判定し、判定部11bが制御部11eに列車接近信号を出力する。このため、制御部11eが列車接近信号を送信部11dに出力するとともに、制御部11eが送信部11dにこの列車接近信号の送信を指令する。
【0070】
その結果、判定装置11の送信部11dが告知装置12の受信部12aに列車接近信号を送信し、受信部12aが制御部12dに列車接近信号を出力すると、制御部12dが警報部12bに列車1の接近の警報の発生を指令する。このため、例えば、
図13に示すように、警報部12bが列車1の接近を作業員Wに告知し、工事作業区間S内の他の作業員が工事作業区間S外に安全に退避可能なように作業員Wが他の作業員を誘導する。
【0071】
この発明の第4実施形態に係る移動体検知システムには、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第4実施形態では、列車1が通過するときに発生する衝撃を衝撃検知装置6が検知し、この衝撃検知装置6の圧電筒部8A,8Bが発生する電気信号に基づいて、列車1の接近の有無を判定装置11が判定する。このため、振動や荷重などによって自ら電力を発生する圧電筒部8A,8Bを利用することができ、列車1を検知するための常時電力が不要になり、列車1の検知に必要な電力を大幅に減少させることができる。
【0072】
(2) この第4実施形態では、列車1が接近していると判定装置11が判定したときに、この列車1の接近を告知装置12が告知する。このため、例えば、告知装置12によって列車1の接近を作業員Wに告知することができるとともに、工事作業区間S内の他の作業員が工事作業区間S外に安全に退避可能なように作業員Wによって他の作業員を迅速に誘導することができる。
【0073】
(3) この第4実施形態では、列車1が走行するレール2aとこのレール2aを支持するまくらぎ2bとの間に衝撃検知装置6が挿入されている。このため、大きく弾性変形可能な特性を有する圧電筒部8A,8Bをセンサ部として適用することによってレール2aとまくらぎ2bとの間の隙間に衝撃検知装置6を簡易に設置することができる。また、衝撃検知装置6を設置するためにレール2aの持ち上げ工事などの手間が不要になり、衝撃検知装置6を短時間に設置することができ工事作業の効率化及び安全性を向上させることができる。
【0074】
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、衝突物Mが土砂又は落石である場合を例に挙げて説明したが、雪崩又は津波などについてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、監視対象領域Aが鉄道沿線の斜面4である場合を例に挙げて説明したが、道路沿い又は住宅地付近の斜面についてもこの発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、二層の圧電筒部8A,8Bと三層の保護筒部9A〜9Cとによって衝撃検知装置6を構成する場合を例に挙げて説明したが、圧電筒部8A,8Bを単層又は三層以上に構成し保護筒部9A〜9Cを二層又は四層以上に構成した場合についてもこの発明を適用することができる。
【0075】
(2) この実施形態では、衝撃検知装置6の横断面形状が円形である場合を例に挙げて説明したが、楕円形である場合についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、衝撃作用筒部7と保護筒部9Aとが別部材である場合を例に挙げて説明したが、これらを一体に形成した場合についてもこの発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、衝撃検知装置6の内側に圧電筒部8Aを配置する場合を例に挙げて説明したが、衝撃検知装置6の外側に圧電筒部8Aを配置する場合についてもこの発明を適用することができる。
【0076】
(3) この第2実施形態及び第3実施形態では、圧電筒部8A,8Bと亀裂検知部13とを別部材である場合を例に挙げて説明したが、圧電筒部8A,8Bの電極部8b,8cを亀裂検知部13の導電部13aと兼用して、圧電筒部8A,8Bと亀裂検出部14とを一体化する場合についてもこの発明を適用することができる。また、この第4実施形態では、移動体として列車1が接近する場合を例に挙げて説明したが、自動車などの車両や動物などの移動体が接近する場合についてもこの発明を適用することができる。
【0077】
(4) この第4実施形態では、支持体としてまくらぎ2bを例に挙げて説明したが、まくらぎ以外の支持体についてもこの発明を適用することができる。例えば、矩形平板状のプレキャストのコンクリート版(軌道スラブ)によって構成されて道床とまくらぎとを一体化させた省力化軌道の一種である軌道スラブなどの支持体、又はレール2aをそれぞれ支持するプレストレスコンクリート構造(PRC構造)の縦梁を鋼管製の継材によって連結する梯子状のラダーまくらぎなどの支持体についても、この発明を適用することができる。この場合には、レール2aの底部下面とコンクリート版の上面との間、又はレール2aの底部下面とラダーまくらぎの上面との間に衝撃検知装置6を挿入することができる。また、この第4実施形態では、工事作業区間Sに列車1が接近する場合を例に挙げて説明したが、軌道2と道路とが平面交差する踏切に列車1が接近する場合についてもこの発明を適用することができる。この場合には、衝撃検知装置6を踏切の前後に設置することによって踏切に進入及び踏切から退出する列車1を検知することができる。