【実施例】
【0075】
実施例1
本明細書は、細菌バイオフィルムの主要なタンパク質性構成要素を遺伝的に修飾して機能性ペプチドを提示するようにすることにより、幅広い有益な応用、限定されるものではないが例えば産業用生体触媒作用、バイオレメディエーション、バイオエネルギー、物質のテンプレーティング、及びバイオセンシングのためにバイオフィルムをリプログラミングする方法を説明する。この技術は、分泌されたタンパク質の自己組織化により形成される細胞表面に固定されたアミロイド細線維からなるE.coliのcurliシステムに基づく(
図1A〜1F)。本明細書に記載の技術は、機能性ペプチドドメインを分泌タンパク質に付加することにより、これが組織化された後、アミロイド細線維ネットワークが機能(例えば、種々の生物学的及び化学的実体への結合)の増大を示すようにすることができることを示している。更に、この細胞外マトリックス−ペプチド提示技術は任意のタンパク質の固定化に適応させることができる。
【0076】
結果
【0077】
融合ドメインをCurliナノファイバー上に提示させることができる。
【0078】
多くの微生物は、細胞外マトリックス物質としてバイオフィルムを生成して種々の表面にコロニー形成し、環境ストレスから自身を保護する。これらのバイオフィルムの主要な構造的構成要素の1つが、タンパク質で構成されるナノスケールの繊維である。細菌はこれらのタンパク質を細胞外環境に分泌し、そこでタンパク質モノマーが自然に、細胞表面上に固定された重合体鎖へと自己組織化する。これらのタンパク質ナノファイバーは、アミロイド形成性の構造的特徴を示すことが知られており、非常に強固である。これらは、表面への接着の仲介、宿主細胞への侵入、及び有害金属の捕捉を含む複数の進化上の利点を与えることが示されている
1〜3。大部分の現在のバイオフィルム研究は、ヒトの健康に有害なバイオフィルムを阻害する又は分散させることに焦点を合わせている。ほぼあらゆる表面上における接着及び存続メカニズムとしてのバイオフィルムの形成は、生物医学業界及び食品業界において感染症の大きなリスクとなる
4。本明細書は、有益な応用にバイオフィルムを使用するプラットフォーム技術を記載する。本明細書中で、curli等の線毛形成ナノファイバーの遺伝的融合体の発現及び分泌の成功により機能性ペプチドをバイオフィルム中へと改変できることが実証されている。
【0079】
本明細書に記載されている技術の主な態様は以下を含むが、これに限定されない:種々の物理的、化学的、及び生化学的機能をバイオフィルムのタンパク質構造構成要素中に遺伝的にプログラムする能力;curliナノファイバー又は任意のそのような同様な細胞外自己組織化タンパク質ベースアミロイド繊維で構成されるバイオフィルム;1又は複数のcurli単位又は自己組織化ドメインと、種々の長さのスペーサードメインと、タンパク質のC末端の任意の長さのペプチド「活性」ドメインと、を含む自己組織化タンパク質ドメインで構成されるバイオフィルムナノファイバーの改変単位;タンパク質のN末端は、場合により、ペリプラズム局在及び/又は細胞外空間へのタンパク質分泌を可能にする種々のドメインを更に含んでよく;ペプチド活性ドメインは、基質接着、任意の生体分子若しくは化学物質への結合を可能にし、触媒活性を自ら有し、外部局在タンパク質と協調して触媒活性に関与し、無機構造のテンプレートとなることができ、細胞中で生理的反応を誘導でき、溶液中でイオンに結合でき、自己重合若しくは他の分子と重合でき、光学活性であり、電気伝導性を付与し、且つ/又は刺激反応性の挙動を導く、任意のペプチドであってよい。いくつかの実施形態では、タンパク質は、タンパク質ドメインと特異的に相互作用するペプチドタグをcurliナノファイバー上に発現させて共有結合性又は非共有結合性の複合体を形成させることにより、タンパク質を改変curliバイオフィルム上に固定化することができる。この相互作用性タンパク質ドメインに融合させた任意の標的タンパク質を、このようにして改変curli−ペプチドタグバイオフィルムを融合タンパク質に曝すことにより、バイオフィルム上に提示することができる。この融合タンパク質はシス又はトランスで発現させてよく、種々の純度で使用され得る。
【0080】
Escherichia coliのcurliシステムは小さなタンパク質モノマー、CsgAで構成され、CsgAは、細胞によって分泌されて非常に強固なアミロイドナノファイバーへと細胞外で自己組織化し、外膜に結合した相同なタンパク質CsgBにより細胞表面に固定される
5。生じたcurliナノファイバーは直径約7nmであり、絡まってカールした塊を形成し、洗剤中での煮沸に抵抗性である。アミロイドナノファイバーをモノマーへと解離させるには、約90%のギ酸中でcurli線毛をインキュベートする必要がある。本発明者らは、細胞外curli線毛形成能を維持したままCsgAタンパク質との遺伝的融合体を作製できることを実証した(
図1A)。これは、ステンレス鋼表面に強く結合することが知られているPseudomonas spp.由来のペプチドドメインである金属結合ドメイン(MBD)
6に種々の可変リンカーによりN末端又はC末端で融合させたCsgAからなる変異体のパネル(
図1B、左に模式的に示す)を作成することにより達成された。csgAバリアントをプラスミドにクローニングし、野生型csgA遺伝子を欠損しているが残りのcurliプロセシング機構は含むE.coli(LSR10)株に形質転換した。したがって、誘導後、アミロイド形成は、異種改変CsgA融合変異体のみに起因し得る。低塩培地上での細菌コロニーのコンゴーレッド(CR)染色が、アミロイド細線維形成の標準的な比色分析指標であり、細菌の赤色によってCurli線毛形成の成功が示される。挿入パネルの結果は、CsgAのC末端とMBDとの間に最も長いリンカーを有するC3融合体のみがはっきり認識できる量のアミロイド繊維を形成できることを示している。
【0081】
CsgAのC末端に融合させることができる機能性ドメインの範囲を調べるために、可変リンカーは保持したまま、サイズが7〜59残基の種々の機能性ペプチド及びタンパク質ドメインのライブラリーを選択し、C末端領域にクローニングした(
図1C)。CRプレートに画線したcurli融合体コンストラクトの
図1Dは、種々の小さな機能性ペプチドが、curli機構に許容され、CR染色によって示されるようにcurliナノファイバーを形成するが、59アミノ酸のMms6ドメインはアミロイド陽性CR染色を示さないことを示している。いくつかのCsgA融合タンパク質から得られたcurli線毛を可視化したTEM及びFE−SEMの画像はこのデータを支持しており、C3挿入部位でのMBDペプチド融合体及びSpyTagペプチド融合体は目に見えるナノファイバーを生成している(
図1E〜1F)。これらの結果は、(1)細胞からの分泌及び細胞外でのアミロイド繊維への組織化のための細胞curli機構によるプロセシングを維持しながらCsgAへの遺伝的融合体を作製することが可能であること、及び(2)可変リンカーを用いたC末端挿入部位が、curli分泌及び組織化にとって最も許容性のコンストラクト構成であることを示している。
【0082】
Curli提示融合ペプチドドメインは機能性であり、タンパク質提示のスキャフォールドとして用いることができる。
【0083】
細胞外で組織化された改変curliナノファイバー上に提示された時にペプチドドメインが機能性であるか試験するために、タンパク質ドメインと特異的に相互作用するペプチドタグを改変curliシステムで発現させた(
図2A)。このシステムは、タンパク質ドメイン(「SpyCatcher」と呼ばれ、本明細書中では「SC」と呼ばれる)がペプチドタグ(「SpyTag」と呼ばれ、本明細書中では「ST」と呼ばれる)とイソペプチド結合を特異的且つ強固に形成できる、最近実証された共有結合性捕捉プラットフォームである
7。したがって、curliバイオフィルム上の機能的に提示されたSTペプチドは、任意の標的タンパク質に融合させることができる外部から添加されるSCタンパク質ドメインと不可逆的結合を形成する。SCドメインに蛍光タンパク質(Venus)を付加したレポーター融合タンパク質をデザインし、発現させ、精製した。この精製Venus−SCタンパク質を、ペプチドを提示していない野生型curliバイオフィルムに添加した時には、バイオフィルムへの蛍光の局在は観察されなかった(
図2B、列1)。しかし、STペプチドを提示するバイオ改変curliバイオフィルムをVenus−SCタンパク質に暴露した時には、バイオフィルムに局在化した顕著な蛍光が観察された(
図2B、列2)。対照的に、STペプチドとの共有結合を触媒できないVenus−SC(E77Q)変異体は、強い局在化した蛍光を示していない(
図2B、列3)。これらの結果は以下を示している:(1)curliナノファイバー上に提示されたペプチドが機能的且つアクセス可能な形態で発現されていること、及び(2)本発明者らの改変curliバイオフィルム技術により提示されるペプチドと相互作用するタンパク質ドメインに標的タンパク質を融合させることにより、標的タンパク質をペプチド機能化curliバイオフィルム上に固定化できること。
【0084】
発現されたタンパク質の精製はタンパク質固定化戦略に必要ではない。むしろ、現在使用されているアフィニティー精製技術(すなわち、キチン結合又はNi−NTAビーズ)の多くと同様に、curli−SpyTagシステムは、徹底的な精製なしに細胞溶解物からSpyCatcher−融合タンパク質を捕捉することができる。本発明者らの実験中で、Venus−SC及びVenus−SC(E77Q)を発現させ、細胞を溶解してタンパク質を遊離させ、細胞片をペレット化し、清澄化した細胞溶解物を直接バイオフィルムに添加した。精製タンパク質を用いた上記実験と同様に、Venus−SCは、STなしのcurliを発現するバイオフィルムには捕捉されない(
図2C(i))が、curli−STを発現するバイオフィルムには捕捉される(
図2C(ii))。やはり、Venus−SC(E77Q)変異体はこれらのcurli−STバイオフィルムに捕捉されない(
図2C(iii))。これは、精製及び機能性材料合成を1つのステップにまとめる(すなわち、細菌がバイオフィルムスキャフォールド及び固定化対象である標的タンパク質の両方を生成する)ので、改変curliプラットフォームの頑強性に寄与する。産業的バイオトランスフォーメーションプロセスのための革新的な技術としての応用が考えられ、複数の複雑なバイオリアクターステップを単一の遺伝的にプログラムされた培養に統合することができる。これにより、全体的なコストが低減し、産業への応用上の主な懸念であるシステムセットアップ
8の効率が上昇する。
【0085】
curliペプチド提示技術を用いたバイオフィルム上へのタンパク質固定化は、相互作用性のペプチドタグ及びタンパク質ドメイン、例えば、限定されるものではないが、SpyTag−SpyCatcherシステム
7、BCCP−ビオチンリガーゼ−ストレプトアビジンシステム
9、又はSortase仲介ライゲーション
10からなる種々の技術のいずれも用いることができる。本明細書に記載の技術は、酵素的、光学活性、電子活性、バイオテンプレート的、構造的、刺激反応性、及び結合性タンパク質又はその任意の組合せのバイオフィルム固定化に幅広く適用可能である。
【0086】
応用
【0087】
本明細書に記載されているcurliシステムは、別の化学的若しくは生物学的実体を特異的に固定化するように又は特異的結合特性を示すようにプログラムできる生物学的に生成するペプチド機能化表面コーティングである。提示されるペプチドは、無機ナノ粒子(特に、興味のある光電子特性又は磁気応答性を有するもの)、カーボンベースナノ構造(すなわち、伝導性を付与し得るグラフェン又はナノチューブ)、又は環境毒素(すなわち、ホルモン又は有害金属)等のその他の外部から添加された機能性構成要素への結合等の固有の特性を有し得る。改変バイオフィルムは、無機又は有機材料形成のテンプレートとなるペプチドを提示するように用いることもできる。種々の材料に特異的に結合するペプチドを用いてバイオフィルムを機能化することにより、遺伝的にプログラム可能な様式でこれらの材料の表面コーティングが可能になる。更に、生体触媒作用、バイオテンプレーティング、又はバイオセンシングにおける応用に有用であり得る、任意のタンパク質を固定化及び提示するための生きたバイオフィルムを用いる応用が特に考えられる。同じ目的を果たす他の改変されたシステムとは対照的に、本明細書に記載されている材料の合成及び組織化は、プログラムされたナノ材料を生産するための工場として働く細菌細胞によって完全に達成される。
【0088】
潜在的な具体的応用例としては以下が含まれる:
・ペプチド/固定化タンパク質自体に由来する又はテンプレーティングされる材料の誘導に由来する、プログラム可能な光学的特性、磁気抵抗特性、又は半導体の特性を有する、生物学的に生成されたナノ材料。
・curliバイオフィルム上に触媒ペプチド又は酵素を提示することにより、バイオフィルムの接着に種々の固定化基質を用いることができ、任意のバイオリアクターデザインで用いることができる、高効率な固定化された生体触媒作用のためのシステムが考えられる。
・ペプチド/固定化タンパク質は、バイオフィルムが組織スキャフォールド又はワクチン送達材料として働くことを可能にする生物学的に活性な生体分子をコードしてもよい。
・合成ホルモン、小分子、又は有害金属等の環境毒素に結合する又はこれを酵素的に中和するペプチド/固定化タンパク質の発現を、バイオレメディエーションのためのバイオフィルムに基づく技術として用いることができる。
・本明細書に記載されているバイオフィルム上に金、銀、白金、及びロジウム等の貴金属に特異的に結合できるペプチドを発現させることにより、そのような貴重な物質を高い収益性で回収するための非常に広い活性表面積が得られ得る。
・curliナノファイバーは、本来的に伝導性であるペプチド/タンパク質の提示により、又は伝導性である材料のテンプレーティング/固定により、多くの先端材料用途のための伝導性ナノワイヤーとして改変することができる。
・FePO4等の伝導性又は半伝導性材料のテンプレートとなることができるペプチドのcurliバイオフィルム上での発現に基づくエネルギー貯蔵のためのナノワイヤーを作製するための細菌の使用。
・提示ペプチドを介して鋼、ガラス、又は金等の特異的基質に強く結合するように細菌を特異的に改変することができる。そのような物質特異的結合は、バイオフィルムに基づくバイオセンシング技術の基礎を形成することができる。
・curliナノファイバーマトリックスは、別の物質の機械的特性を強化する又は変化させるために、他の分子と相互作用するペプチド/タンパク質を提示するように改変することもできる。
・curliを特異的物質に接着するように改変することにより、バイオフィルムは、適応及び再生に関する利点、例えば幅広い固定化基質上での生体触媒作用、物質に対する腐食耐性、微生物燃料電池用途でのバイオフィルム被覆度の増大、を提供できる生きたコーティングとして働くことができ、又は環境応答性有機(バイオフィルム)−無機(基質)材料として働くことができる。
【0089】
考察
【0090】
バイオフィルムはバイオレメディエーション及び廃水処理のための技術に大規模に使用されている
11〜13。微生物燃料電池
14〜19、生体触媒作用
8、20〜24、及び腐食防止
25〜27等の更に別の応用のためのバイオフィルムの使用が研究されてきた。しかし、これらの応用は、天然微生物の固有の能力に頼っている。例えば、水試料から重金属を除去するために使用されるバイオフィルムは、金属イオンを捕捉する能力を有することが知られている土壌細菌を用い;燃料電池で使用される微生物はほとんどの場合、導電性細胞外構成要素を天然に生産することが知られているものである。これら既存の方法の大きな欠点の1つは、結合される又は生物的に触媒される基質を内部移行させることができる細胞が必要なことである。これにより動力学的拡散障壁(kinetic diffusion barrier)が加わるので、プロセスの効率が非常に制限される。対照的に、本明細書に記載の技術は、合理的な遺伝子操作アプローチに基づく完全に新規な能力により能力が強化された又は増大した細菌バイオフィルム構成要素(curli)を提供する。
【0091】
これは前述した基質アクセス性の障壁を回避するが、curliに基づくペプチド提示システムは従来の細胞表面提示システム
28〜31と比べて複数の明確な利点を有する。本明細書に記載の技術では、各細胞が改変ナノファイバーを生成する工場として働くので、ペプチド提示に利用可能なスキャフォールドの機能的表面積が大幅に増加する。更に、以前の細胞表面提示システムは細胞の溶解を引き起こし得る厳しい条件に弱いが、curli線毛は非常に安定であり、細胞除去後にも存在できる。
【0092】
本明細書に記載の技術は、タンパク質の固定化を含むプログラム可能な機能化されたバイオフィルムを提供し、これは先行技術と比べて進歩であり、このプラットフォーム技術の応用可能性を大幅に拡大する。更に、本発明の技術は、線毛システム(fimbriae systems)に対して、curliナノファイバーが単一モノマータンパク質CsgAの自己組織化により形成される点で線毛提示(fimbriae display)より好ましい。curliがE.coliバイオフィルムの主要タンパク質構成要素を形成し、単一タンパク質モノマーで構成されるシンプルな遺伝的システムであることは、本明細書に記載の改変curliプラットフォームに明確な利点を提供する。
【0093】
本明細書に記載の技術には、生体触媒作用、金属回収、及び電気生物学的用途を含む、しかしこれに限定されない、複数の用途があると考えられる。しかし、改変バイオフィルムは、プログラム可能な機能を有する表面コーティングが必要な任意の用途に有用であり得る。材料自体として働くことに加え、curliに基づくシステムは、所望の挙動を有する自己組織化タンパク質を迅速に同定するための、又はそれに進化させるための、スクリーニングツールとして有用であり得る。curliバイオフィルムの細胞外的性質、その固有の高い安定性、及び高表面積材料への大きな可能性が、種々の生体触媒作用、バイオレメディエーション、及び生体臨床医学用途におけるこの技術を非常に価値のあるものにしている。
【0094】
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【0095】
実施例2
【0096】
細菌の病原性及び存続における役割のため、バイオフィルムに関する多数の研究が、その形成防止及び分散促進に焦点を合わせてきた。しかし、これにより、バイオフィルムを機能性材料として開発する機会が見過ごされてきた。本明細書中で、薄いアミロイド形成ナノファイバーからなるバイオフィルムマトリックスの主要タンパク質性構成要素であるE.coliのcurliシステム上で機能性ペプチドの提示が遺伝的に改変されている新規な技術プラットフォーム、バイオフィルム組込み型ナノファイバーディスプレイ(BIND)を記載する。そのようなシステム中の細菌は、カスタマイズされた先端バイオマテリアル及びプログラム可能な表面コーティングの生産、組織化、及び後処理のための生きた工場として機能すると考えられる。本明細書中で、分泌されたCsgAキメラがcurli線毛ネットワークへと自己組織化する能力を保持しつつ、ペプチドの提示を可能にする、構造的curli遺伝子csgA中の融合部位が同定される。様々なサイズ及び二次構造の機能性ペプチドのライブラリーをcurliバイオフィルム中に組換え的に組み込み、curli提示システムのモジュール性及び柔軟性を実証した。更に、BINDナノファイバーの動態及び安定性を確かめ、ペプチドがデザインされた通りに完全に提示されていることを示す。最後に、BINDバイオフィルム中でのペプチド機能性の保持を3つの広い応用、すなわち改変された接着、ペプチド触媒作用、及びタンパク質固定化において実証した。
【0097】
イントロダクション
【0098】
自然界では、ほとんどの細菌はバイオフィルムコミュニティーとして存在し、厳しい環境から防御するタンパク質、糖、脂質、及び細胞外DNAのナノスケールの保護的な自己生成スキャフォールド中に存在する
5。バイオフィルム形成は、天然表面及び人工表面の両方において細菌の接着及びコロニー形成に必須である。20世紀半ばにおけるバイオフィルムの特徴解析により、微生物の存続及び病原性におけるそれらの主要な役割が明らかになり、近年、バイオフィルムの防止及び分散に関する多くの研究がなされることになった
6、7。しかし、これらの高度に進化した細胞外マトリックスは、有益なナノバイオテクノロジー工学プラットフォームとしての未開発の可能性を秘めている。廃水処理
8〜10及びバイオトランスフォーメーション
11〜13等の有益な目的のためのバイオフィルムの利用を調べている多くの研究があるが、これらの努力は、種々の望ましい性質を偶然進化させた天然生物の使用に焦点を合わせている。本発明者らの知る限り、分子レベルでバイオフィルムの構造を合理的に改変する努力は全くなされてこなかった。今日まで、バイオフィルム構成要素を容易に改変するための強固で応用範囲の広い技術は存在していない。
【0099】
バイオフィルムをベースとする材料の分子組成を調節するための本明細書に記載されているアプローチは、一部のE.coliバイオフィルムのタンパク質性構成要素であるcurliシステムに基づく。curliシステムは、小さな13kDaタンパク質モノマーCsgAで構成され、CsgAは細胞によって分泌され、自己組織化して非常に強固なアミロイドナノファイバーを形成し、相同な外膜タンパク質CsgBによって細胞表面に固定される
14〜16。生じたcurliナノファイバーは、直径が約7nmであり、細胞を封入する絡まったカールした塊を形成する
17。Curli生合成は、7個の遺伝子(csgA〜G)を含むオペロンによって促進される
18。これらのうち、CsgAは主要な構造的構成要素であるが
19、他のタンパク質はアミロイド繊維の核形成(CsgB)
20、又はCsgAのプロセシング(CsgE、F)21
、22、分泌(CsgC、G)23
、24、及び転写の調節(CsgD)
17に関与する。curliシステムは、本明細書で考えられている物質改変プラットフォームの種類を受け入れられる複数の特徴を示すので、この技術に選択された。第1に、CsgAによって形成されたアミロイド繊維は非常に強固であり、SDS中での煮沸に耐えることができ
25、そのため、厳しい環境中での使用可能性が高い。第2に、細胞外繊維ネットワークは主に単一タンパク質で構成されるので、単一遺伝子を操作することでその構造的特徴を容易に調節することができる。最後に、類似の細胞外アミロイドシステムが他の生物、特にSalmonella26、
27及びPseudomonas
28に存在するが、curliシステムははるかに最もよく研究されており、E.coli中で自然に生じ、単一構造タンパク質からなるため、非常に遺伝子的に扱いやすい。これらの他の線毛システムの一部は潜在的ワクチン送達剤として研究されてきたが
29、他のバイオフィルムに基づく生物工学的応用におけるそれらの使用に関する研究はなされていない。
【0100】
本明細書は、「バイオフィルム組込み型ナノファイバーディスプレイ」(BIND)と呼ばれる戦略を記載し、これはCsgAタンパク質に機能性ペプチドドメインを遺伝子的に付加することによりE.coliバイオフィルムの機能的特性のプログラミングを可能にする。新規なCsgA−ペプチドが分泌及び組織化された後、アミロイドナノファイバーネットワークがその表面に非常に高密度でペプチドを提示する。すると、提示ペプチドの配列に従ってバイオフィルムの機能が増強される。本明細書中で、curli線毛の形成を妨げることなく種々の長さ及び二次構造の機能性ペプチドドメインをCsgAに付加できることが示される。更に、CsgA変異体の自己組織化動態に対するペプチドドメイン融合の影響を定量する。最後に、ペプチドドメインが、分泌及び組織化後にバイオフィルムの状況下でその機能を維持していることを示す。
【0101】
結果
【0102】
プログラム可能な機能化バイオフィルムのためのBINDのデザイン
【0103】
本明細書に記載のBINDプラットフォームをデザインするために、複数の考慮すべき事項を考慮した。システムは、バイオフィルム中への任意の機能性ペプチドドメインの容易な組込みが可能なように、遺伝子的に扱い易く且つモジュール式でなければならない。したがって、バイオフィルム塊のバルクを形成する多糖バイオポリマー
30、31は、その合成を改変が難しい複数酵素経路に頼っているので
32、使用が除外される。細胞に固定されたナノスケールタンパク質繊維を形成する、線毛として知られるバイオフィルムのタンパク質性構成要素を最適なスキャフォールドとして選択した。細菌の線毛システムのうち、curliシステムはこれらのアミロイドナノファイバーが主に単一の自己組織化タンパク質CsgAで構成されるので、これを選択した。これは、組織化されたネットワーク中での機能性ドメインの提示を最大化し、システムの複雑さを大幅に単純化する。更に、このシステムはE.coliに天然のものであり、一緒に働く多くの遺伝子ツール及び発現技術が提供される。したがって、最初に、CsgAのN末端又はC末端への機能性ドメインの融合体を試験することにした。
【0104】
CsgAへのC末端ペプチド融合体はCurliナノファイバーを形成することができる
【0105】
curli線毛を形成する能力を維持しているCsgAタンパク質への遺伝的融合体を作製することを目標とした。これは、ステンレス鋼表面に強く結合することが知られているPseudomonas spp.由来のペプチドドメインである金属結合ドメイン(MBD)
33にN末端又はC末端で融合させたCsgAからなる変異体のパネル(
図3Aに模式的に示す)を作成することにより達成された。各末端につき3つのバリアントを作製した:MBDをCsgAに直接又は短い隣接リンカー(GS)若しくは長い隣接リンカー(GSGGSG)を用いて連結した。csgAバリアントをプラスミドにクローニングし、野生型csgA遺伝子を欠損しているが残りのcurliプロセシング機構を含むE.coli(LSR10)株
34に形質転換した。したがって、誘導後、アミロイド形成は、異種改変CsgA融合変異体のみに起因し得る。curli線毛生成の読取りには、低塩培地上での細菌コロニーのコンゴーレッド(CR)染色を用いた。これはアミロイド細線維形成の標準的な比色分析指標である
14。挿入パネルの結果は、CsgAのC末端とMBDとの間に最も長いリンカーを有するC3融合体のみがはっきり認識できる量のアミロイド繊維を形成できることを示している(
図1B)。他の融合体は、CR染色で染色されないことからわかるように、許容されない(
図1B)。CsgA融合タンパク質から生じたcurli線毛を可視化したTEM画像はこのデータを裏付けており、C3挿入部位は目に見えるナノファイバーを生成する(非掲載データ)。これらの結果は、細胞からの分泌及びアミロイド繊維への細胞外組織化を阻害することなくCsgAへのC末端遺伝子融合体を作製できることを明白に示している。
【0106】
C3デザインはCurliバイオフィルムへの種々のペプチドのモジュール方式での組込みを可能にする。
【0107】
CsgAのC末端に融合させることができる機能性ドメインのモジュール性を調べるために、C3の6アミノ酸可変リンカーを維持しつつ、サイズが7〜59アミノ酸のペプチドドメイン融合体のライブラリーを作成した(表1)。ライブラリーは更に種々の二次構造を表し、ほとんどのペプチドは決まったコンフォメーションを示すようにデザインされていないが、MBD及びMms635は細胞内ジスルフィド結合を含み、これによって、より強固なコンフォメーションにロックされると考えられる。最後に、タンパク質の捕捉
36並びに無機ナノ粒子
37〜39及び表面
33への結合を含む種々の技術へのBINDシステムの将来の応用に有用であり得る種々の機能にまたがるようにライブラリーのメンバーをデザインした。ライブラリーメンバーをLSR10細胞にクローニングし、CR染色によりcurliに基づくアミロイドネットワークの形成について調べた。ほとんどのライブラリーメンバーの陽性CR染色(
図2A)及び定量分析(
図4)は、小さなペプチド融合体がcurli搬出機構に許容され、細胞外アミロイドネットワークへの組織化に成功することを示唆している。陽性の染色がなかった唯一の変異体は59アミノ酸Mms6ドメインであった。CsgAは、折り畳まれていない配座異性体としてCsgG複合体により外膜を横切って輸送されると考えられている
15。理論により限定するものではないが、CsgG複合体のポアサイズが約2nmと推定されている
24ことを考えると、このことは、より大きな折り畳まれたドメインはcurli搬出機構と適合しないかもしれないことを示唆している。
【0108】
修飾curliバイオフィルムのTEMイメージングは、CsgA−ペプチド融合体がwt−CsgAで観察されるのと類似したナノスケールの繊維へと組織化すること示唆している(非掲載データ)。繊維は、特徴的な絡まったカールした形態を示し、細胞表面に密接に結合しているように見える。繊維のナノ構造を容易に識別できるように希釈サンプルで意図的にTEM画像を得た。完全に広がっているように見えるこれらの画像中の繊維は、サンプル調製中の乾燥プロセスのアーチファクトであると考えられ、自然の繊維形態を表していない。更に、SEMイメージングは、修飾curliバイオフィルムが、細胞間の繊維の高度に相互接続されたネットワークを維持しながら、非常に高密度且つ複数の細胞層の厚さであり得ることを示している(非掲載データ)。
【0109】
CsgA−ペプチド融合体のインビトロ自己組織化動態。
【0110】
CsgAの自己組織化に対するペプチドドメイン融合の影響を決定するために、インビトロでの精製及び組織化実験に複数のバリアントを選択した。精製のために、CsgA−ペプチド融合体を、Hisタグ及びそれに続くエンテロキナーゼ切断配列に付加した。タンパク質がペリプラズムに搬出されないように、及び細胞溶解物からのアフィニティー精製後にエンテロキナーゼ切断により、天然Secタグのプロセシング後に対応するLSR10形質転換体によって分泌されるものと同じタンパク質が生じるように、精製する配列をSecタグの代わりに挿入した
40。精製タンパク質は、確立されているチオフラビンT(ThT)アッセイを用いて組織化動態についてモニタリングすることができる。
【0111】
BINDで提示されたペプチドの機能性。
【0112】
BINDシステムは、curliベースのバイオフィルムに種々の新規な機能を導入することができる。したがって、CsgA−ペプチドキメラの分泌及び組織化の確認に加えて、融合させたペプチドドメインが、完全に形成されたバイオフィルムの状況下で同種の機能を維持していることを実証しようと努めた。そこで、2つのペプチドを表1から選択し(MBD及びSpyTag)、それらがバイオフィルムの性能を増強する能力を調べた。MBDは、鋼への親和性を有するのでステンレス鋼表面へのcurliベースバイオフィルムの接着を強化すると考えられるため、選択された。この仮説を試験するために、CsgA−MBD変異体を発現するLSR10細胞を培養中で成長させ、誘導後、ステンレス鋼304L片上にスポットし、風乾した。陰性対照として、wt−CsgAを発現する細胞及びCsgAを発現しない細胞で同じ手順を繰り返した。各片は、並んだ3つのスポット(各培養から1つ)を含んだ。その後、片を水性バッファー中に入れてボルテックスすることにより強く洗浄した(
図5A)。CsgA−MBD融合体で構成されたバイオフィルムは洗浄手順に明らかに耐えたが、wt−CsgAを発現する又はCsgAを発現しないものは表面から容易に洗い落とされた(
図5B〜5D)。このデータに基づき、所望の機能を示すように事前に選択したペプチドドメインを付加することにより、非天然表面へのcurliベースバイオフィルムの接着を人工的に強化できると結論付けられる。
【0113】
BINDシステムの有用性の第2の実証として、全長タンパク質をcurliマトリックスに固定化するための手段としてCsgA−SpyTag変異体を調べた。SpyTag−SpyCatcherシステムは、13アミノ酸ペプチド(SpyTag)及び15kDaタンパク質(SpyCatcher)に分割されたCnaB2タンパク質を用いるタンパク質捕捉のための近年開発された戦略である
36。2つの断片が一緒になると、分子間イソペプチド結合の形成を触媒する。この戦略を用いて、完全に遺伝子的にコード可能な構成要素を用いてcurliネットワークとより大きなタンパク質との間の共有結合形成を可能にすることにより、curli搬出機構の見かけのサイズの制限を回避しようとした。そこで、CsgAを過剰生産するように改変したE.coli株であるPHL628細胞を用いて、CsgA−SpyTagキメラを含むを提示するバイオフィルムを表面修飾ガラス基質上に形成した。SpyCatcher−Venus融合タンパク質を用いてSpyTagドメインの存在及び機能性を調べた。Venusは、光学的性質が強化された緑色蛍光タンパク質バリアントである。細胞の存在を調べるために、ガラスに固定化されたバイオフィルムを核酸染色(SYTO 61、インビトロジェン社)で処理した。その後、SpyCather−Venus又は共有結合形成しない変異体であるSpyCatcherEQ−Venusのいずれかを含む溶液で処理した。徹底的な洗浄ステップ後、蛍光顕微鏡法を用いてバイオフィルムをイメージングした。CsgA−SpyTagを発現するバイオフィルム及びSpyCatcher−Venus処理の適切な組合せでのみ、2つの蛍光シグナルが顕著に共局在した(
図6F)。wt−CsgAを発現するバイオフィルムは蛍光タンパク質を捕捉できなかった。同様に、CsgA−SpyTagを発現するバイオフィルムは、非機能性SpyCatcherEQ−Venus変異体で処理された時には緑色蛍光を示さなかった。総合すると、これらの結果は、SpyTagペプチドをCsgAに融合させることができること及びSpyTagペプチドがcurliネットワーク形成後に機能を維持していることを示唆している。
【0114】
考察
【0115】
本明細書が示す単純明快な自己組織化システムは、遺伝子改変により細菌細胞外マトリックス組成物の正確な分子的調節を可能にし、生きたシステムから機能性バイオナノ材料を作製するための、更にはおそらく生きた機能性材料を作製するためのプラットフォームを確立する。そのような合成生物学プラットフォームには多くの利点がある:無機材料への結合又は無機材料合成のバイオテンプレーティング、特定の表面へのバイオフィルム接着の強化、又は他の生体分子を固定化するためのスキャフォールド様表面コーティングの提供等の有用な特徴を有する種々のペプチドを提示するようにcurli線毛を改変することができる。バイオフィルム自体は、生合成的に作製され、石油由来の構成原材料(raw building block)を必要としない点で、「グリーンな」(すなわち、環境に優しい)材料である。更に、バイオフィルムは、自己生成的及び自己修復的な再生可能材料となり得る。
【0116】
表面修飾及び機能化は我々の社会のほぼ全ての状況でいたるところにおいて見られる。しかし、生物学的に由来する表面コーティングは使用されていない。生命は、表面の細菌コロニー形成を可能にする初期の進化上の適応である非常に効率的なコーティング戦略を進化させてきた
41。応用技術へのバイオフィルムの現在の応用では、薄膜生体触媒又はバイオレメディエーションのための所望の機能を生成するために天然のバイオフィルム又はバイオフィルム形成細菌の共培養物が用いられる
42。バイオフィルムの機能性をプログラムできないこと及びバイオフィルム形成の時間的力学(temporal dynamics)を調節できないことにより、これらの応用は限定的なままであり、他の産業におけるバイオフィルムに基づく技術の採用は大きく妨げられている。
【0117】
E.coliのcurliシステムは、腸管病原性株の宿主−細胞接着において中心的役割を果たし、バイオフィルムの形成に重要である
25。Curliは、バイオフィルム阻害化合物の開発のため
43及び機能性細菌アミロイドのため
18のモデルシステムとして広く研究されてきた。本明細書中で、curliシステムは、単一の遺伝子的にプログラム可能な単位である自己組織化CsgAタンパク質で主に構成されるので、プログラム可能なバイオフィルムプラットフォームとして理想的であることが示される。
【0118】
材料及び方法
【0119】
細胞株及びプラスミド
【0120】
全てのクローニング及びタンパク質発現は、それぞれMach1(商標)(インビトロジェン社)及びRosetta(商標)細胞(EMD社)中で行われた。csgA遺伝子はE.coli K−12ゲノムDNAから単離され、Trcプロモーターの調節下にあるColE1プラスミドであるpBbE1a
44にクローニングされた。pET30aプラスミド(EMD社)を用い、CsgAタンパク質の天然N22領域をエンテロキナーゼ切断部位の直後にクローニングして発現ベクターを構築した。ペプチドインサート領域は、完全に合成されたか(インテグレイテッドDNAテクノロジーズ社)、オーバーラップエクステンションによりPCRで生成された。全てのクローニングは、報告されているように等温ギブソン・アセンブリー
45を用いて行われ、DNAシークエンシングにより確認された。
【0121】
Curliバイオフィルム形成
【0122】
curliを生成するために、CsgA又はCsgA−ペプチド融合体をコードするpBbE1aプラスミドでLSR10細胞又はPHL628細胞を形質転換した。陰性対照として、空のpBbE1aプラスミドで細胞を形質転換した。その後、10g/Lのカザミノ酸、1g/Lの酵母抽出物、及び20g/Lの寒天を含むYESCA−CRプレート上に細胞を画線又はスポットした。全ての培地成分はフィッシャー社製である。プレートには100mg/mLのアンピシリン、0.5mMのIPTG、25mg/mLのコンゴーレッド、及び5mg/mLのブリリアントブルーG250を補った。その後、プレートを25℃で48時間インキュベートし、次いで、イメージングしてコンゴーレッド結合の程度を決定した。スポットしたプレートでは、YESCA−CRプレートに20mLをスポットする前に、100mg/mLのアンピシリン及び0.2mMのIPTGを補ったYESCA液体培地中で25℃にて48時間形質転換体を成長させた。この同じYESCA液体誘導手順を用いてCsgA精製及び電子顕微鏡観察のためのサンプルを調製した。
【0123】
定量的コンゴーレッド結合アッセイ
【0124】
コンゴーレッド結合の測定は、以前に公開されている方法を改変して行った。簡潔に述べると、YESCAプレート上で25℃で48時間成長させた形質転換体培養物を掻き取り、PBS中に穏やかに再懸濁した。細胞懸濁液のOD600を3に調整した。この懸濁液1mLに、コンゴーレッド溶液を終濃度0.001%で加え、4℃で1時間インキュベートした。その後、細胞をペレット化し、BioTek H1マイクロプレートリーダーを用いて上清200μLの490nmの吸光度を測定した。この測定値からPBS+コンゴーレッド対照を引いた量としてコンゴーレッド結合の量を求めた。全てのサンプルはトリプリケートで行った。
【0125】
キメラCsgA精製
【0126】
Rosetta細胞形質転換体を対数増殖期中期までLB中で成長させ、0.2mM IPTGで3時間誘導した。細胞をペレット化した後、その後の精製のために−20℃で凍結した。ペレットを解凍し、BugBuster Protein Extraction Reagent(EMD社)、1mg/mLリゾチーム、50μg/mL DNase、及びプロテアーゼ阻害剤(ロシュ社)中で溶解した。30分後、溶解物を、8塩酸グアニジン、250mM NaCl、及び50mM TrisのpH7.5の溶液中に希釈し、16時間インキュベートして凝集体を溶解した。不溶性の塊を18,000rpmで30分の遠心によりペレット化し、清澄化した溶解物を0.22ミクロンのフィルターで濾過した後、Ni−NTA樹脂(キアゲン社)と2時間インキュベートした。その後、タンパク質が結合した樹脂を8塩酸グアニジン、250mM NaCl、0.1%Triton−X100、1mM DTT、及び50mM Tris(pH7.5)で洗浄し、200mMイミジアゾール(imidiazole)を補った同じバッファーで溶離させた。溶出液をEK切断バッファー(1M尿素、20mMメチルアミン、50mM Tris、pH7.5)中に透析した後、3μgのエンテロキナーゼ(ロシュ社)と24時間インキュベートした。その後、切断されたCsgAタンパク質を凍結乾燥し、100μLのHFIPで処理して全てのcurli線毛を溶解し、乾燥粉末として保存した。
【0127】
ThT動態アッセイ
【0128】
ThTアッセイの直前に、切断されたHFIP処理タンパク質を8M塩酸グアニジン、250mM NaCl、0.1%Triton−X100、及び50mM TrisにpH7.5で再度可溶化した。この溶液をSephadex−G75ゲル濾過カラム上でFPLC精製して二量体及びオリゴマーを除去した。その後、単量体CsgA融合体を含む画分を脱塩し、UVの吸光度により濃度を決定した。すぐに、30μMのCsgA融合体又は野生型タンパク質及び40μM ThTを用いてThTアッセイを行った。蛍光はSpectramaxM2プレートリーダーを用いて438ex/495emで測定された。
【0129】
TEM及びSEM
【0130】
Curli形成した野生型又はBIND細胞サンプルを、誘導したYESCA培養物から直接取り出すか、YESCA−CRプレートから掻き取り、ミリポアH2Oに再懸濁した。TEM分析では、5mLのサンプルをフォルムバール−カーボングリッド(Electron Microscopy Sciences社)上にスポットし、ミリポアH2Oで2回洗浄し、1%ウラニルホルマートで15秒間染色した後、JEOL 1200 TEMを用いて分析した。SEM分析では、サンプルをNucleoporeフィルターに減圧下でアプライし、ミリポアH2Oで洗浄し、2%グルタルアルデヒド+2%パラホルムアルデヒドを用いて4℃で一晩固定した。その後、サンプルをミリポアH2Oで洗浄し、増加エタノールステップグラジエントで脱水し、ヘキサメチルジシラザンのステップグラジエントを用いて乾燥させた後、金スパッタリングし、Zeiss Supra55VP FE−SEMを用いて分析した。
【0131】
免疫金TEM
【0132】
FLAGタグを提示するBIND細胞の抗FLAG免疫金標識のために、前述したように最初に細胞をTEMグリッドに接着させた。その後、グリッドをブロッキングバッファー(PBS+1%BSA)で3回洗浄し、一次抗FLAGマウス抗体とPBSの1:1000希釈物を含む液滴上にXX分浮かせ、ブロッキングバッファーで再度洗浄した後、1:1000希釈された抗マウス15nm金コンジュゲート抗体の液滴上に浮かせた。最後にPBSで3回、次いでミリポアH2Oで洗浄した後、1%ウラニルホルマートで15秒間グリッドを染色し、JEOL 1200 TEMを用いてイメージングした。
【0133】
SpyCatcher−Venusの構築及び発現
【0134】
pDEST14−SpyCatcher−Venusを含むRosetta細胞を、LB中37℃で、100mg/Lのアンピシリンと共に5mLの培養液中で一晩成長させた。アンピシリンを補った500mL培養液に一晩の培養物を接種し、ODが0.6になるまで37℃で6時間成長させた。SpyCatcher−Venus発現を0.5mM IPTGで誘導し、18℃で一晩発現させた。細胞を回収及び溶解し、Ni−NTAカラムでSpyCatcher−Venusを精製した。タンパク質を回収し、バッファーを50mMリン酸バッファー50mM NaCl pH7に交換し、濃縮し、その後の使用まで−80℃で保存した。
【0135】
蛍光バイオフィルムイメージング
【0136】
Leica TIRF DM16000B機器を用いて落射蛍光(epifluorescence)モードで蛍光画像を撮った。ガラス製カバースリップ(No:1.5)をそれぞれ30秒プラズマ活性化した。スライドを0.01w/v%のPLL溶液に2時間浸漬した後、60℃のインキュベーター中に2時間置いた。PHL628 WT及びCsgA−SpyTag(ST)細胞を20mLの培養液中で、100mg/Lアンピシリンを含むYESCAブロス中でODが0.6になるまで37℃で6時間成長させた。カバースリップを培養液中に落とし、0.5mM IPTG及び3%DMSOを用いてcurli発現及びバイオフィルム形成を誘導した。培養液を25℃、150rpmで48時間振盪した。スライドを培養液から取り出し、洗浄バッファー(1×PBS及び0.5%Tween 20)中で20分間の洗浄を3回行った。洗浄後、0.5mLの1mg/mL Venus−SpyCatcher又はVenus−SpyCatcher(EQ)溶液(1×PBS、1%BSA、0.5%Tween)をスライドに添加した。バイオフィルムを1時間インキュベートした後、洗浄バッファーで20分間の洗浄を2回行った。その後、バイオフィルムをSyto 61(10μM)で20分間染色し、洗浄バッファーで2×15分間、150rpmで振盪しながら洗浄した。その後、60倍及び100倍の油浸レンズ(oil lens)を用いて落射蛍光モードでスライドをイメージングした。
【0137】
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【0138】
【表1】
【0139】
実施例3:改変Curliナノファイバー由来のプログラム可能なバイオフィルムをベースとする材料
【0140】
細菌の病原性及び存続における役割のため、バイオフィルムに関する多数の研究が、その形成防止及び分散促進に焦点を合わせてきた。しかし、これにより、バイオフィルムを機能性材料として開発する機会が見過ごされてきた。本明細書中で、薄いアミロイド形成ナノファイバーからなるバイオフィルムマトリックスの主要タンパク質性構成要素であるE.coli curliシステム上で機能性ペプチドの提示が遺伝的に改変されている新規な技術プラットフォーム、バイオフィルム組込み型ナノファイバーディスプレイ(BIND)を記載する。本明細書中、そのようなシステム中の細菌は、カスタマイズされた先端バイオマテリアル及びプログラム可能な表面コーティングの生産、組織化、及び後処理のための生きた工場として機能できると考えられる。本明細書中で、分泌されたCsgAキメラがcurli線毛ネットワークへと自己組織化する能力を保持しつつ、ペプチドの提示を可能にする、構造的curli遺伝子csgA中の融合部位が同定される。様々なサイズ及び二次構造の機能性ペプチドのライブラリーをcurliバイオフィルム中に組換え的に組み込み、curli提示システムのモジュール性及び柔軟性を実証した。更に、BINDナノファイバーの動態及び安定性を確かめ、ペプチドがデザインされた通りに完全に提示されていることを示す。最後に、BINDバイオフィルム中でのペプチド機能の保持を3つの広い応用、すなわち改変された接着、ペプチド触媒作用、及びタンパク質固定化において実証した。
【0141】
ルイ・パスツール及びロベルト・コッホが19世紀に疾患の細菌論を発展させた時、微生物の唯一の役割はヒトの健康に対する主な脅威であると考えられた1、2。しかし、Lobban、Cohen、及びBoyerによる微生物研究の進歩及び組換えDNA技術の出現により、我々は、実質的に微生物生化学を制御可能なものにし、微生物を遺伝子操作して無数の技術のための生体分子を作製できる時代に突入した3、4。本明細書に記載されているように、細菌バイオフィルムも同様な軌道に乗り出そうとしている。自然界では、ほとんどの細菌はバイオフィルムコミュニティーとして存在し、厳しい環境から防御するタンパク質、糖、脂質、及び細胞外DNAのナノスケールの保護的な自己生成スキャフォールド中に存在する5。バイオフィルム形成は、天然表面及び人工表面の両方において細菌の接着及びコロニー形成に必須である。20世紀半ばにおけるバイオフィルムの特徴解析により、微生物の存続及び病原性におけるそれらの主要な役割が明らかになり、これにより、近年、バイオフィルムの防止及び分散に関する多くの研究がなされることになった6、7。しかし、これらの高度に進化した細胞外マトリックスは、有益なナノバイオテクノロジー工学プラットフォームとしての未開発の可能性を秘めている。廃水処理8〜10及びバイオトランスフォーメーション11〜13等の有益な目的のためのバイオフィルムの利用を調べている多くの研究があるが、これらの努力は、種々の望ましい性質を偶然進化させた天然生物の使用に焦点を合わせている。本発明者らの知る限り、分子レベルでバイオフィルムの構造を合理的に改変する努力は全くなされてこなかった。今日まで、バイオフィルム構成要素を容易に改変するための強固で応用範囲の広い技術は存在していない。
【0142】
バイオフィルムをベースとする材料の分子組成を調節するための本明細書に記載されているアプローチは、一部のE.coliバイオフィルムのタンパク質性構成要素であるcurliシステムに基づく。curliシステムは、小さな13kDaタンパク質モノマーCsgAで構成され、CsgAは細胞によって分泌され、自己組織化して非常に強固なアミロイドナノファイバーを形成し、相同な外膜タンパク質CsgBによって細胞表面に固定される14〜16。生じたcurliナノファイバーは、直径が約7nmであり、細胞を封入する絡まったカールした塊を形成する17。Curli生合成は、7個の遺伝子(csgA〜G)を含むオペロンによって促進される18。これらのうち、CsgAは主要な構造的構成要素であるが19、他のタンパク質はアミロイド繊維の核形成(CsgB)20、又はCsgAのプロセシング(CsgE、F)21、22、分泌(CsgC、G)23、24、及び転写の調節(CsgD)17に関与する。curliシステムを利用したのは、本明細書で考えられている物質改変プラットフォームの種類を受け入れられる複数の特徴を示すためである。第1に、CsgAによって形成されたアミロイド繊維は非常に強固であり、SDS中での煮沸に耐えることができ25、そのため、厳しい環境中での使用可能性が高い。第2に、この細胞外繊維ネットワークは主に単一タンパク質で構成されるので、単一遺伝子を操作することでその構造的特徴を容易に調節することができる。最後に、類似の細胞外アミロイドシステムが他の生物、特にSalmonella26、27及びPseudomonas28に存在するが、curliシステムははるかに最もよく研究されており、E.coli中で自然に生じ、単一構造タンパク質からなるため、非常に遺伝子的に扱いやすい。これらの他の線毛システムの一部は潜在的ワクチン送達剤のための細胞表面提示技術として研究されてきたが29、他のバイオフィルムに基づく生物工学的応用におけるそれらの使用に関する研究はなされていない。
【0143】
本明細書は、「バイオフィルム組込み型ナノファイバーディスプレイ」(BIND)と呼ばれる戦略を記載し、これはCsgAタンパク質に機能性ペプチドドメインを遺伝子的に付加することによりE.coliバイオフィルムの機能的特性のプログラミングを可能にする。新規なCsgA−ペプチドが分泌及び組織化された後、アミロイドナノファイバーネットワークがその表面に非常に高密度でペプチドを提示する。すると、提示ペプチドの配列に従ってバイオフィルムの機能が増強される。本明細書中で、curli線毛の形成を妨げることなく種々の長さ及び二次構造の機能性ペプチドドメインをCsgAに付加できることが示される。更に、CsgA変異体の自己組織化動態に対するペプチドドメイン融合の影響を定量する。最後に、本明細書中で、ペプチドドメインが、分泌及び組織化後にバイオフィルムの状況下でその機能を維持していることを示す。
【0144】
結果
【0145】
プログラム可能な機能化バイオフィルムのためのBINDのデザイン。本発明者らのBINDプラットフォームをデザインするために、複数の考慮すべき事項を考慮した。システムは、バイオフィルム中への任意の機能性ペプチドドメインの容易な組込みが可能なように、遺伝子的に扱い易く且つモジュール式でなければならない。したがって、バイオフィルム塊のバルクを形成する多糖バイオポリマー
30、31は、その合成を改変が難しい複数酵素経路に頼っているので
32、使用が除外される。細胞に固定されたナノスケールタンパク質繊維を形成する線毛として知られるバイオフィルムのタンパク質性構成要素を最適なスキャフォールドとして選択した。細菌の線毛システムのうち、curliシステムは、これらのアミロイドナノファイバーが主に単一の自己組織化タンパク質CsgAで構成されるので、これを選択した。これは、組織化されたネットワーク中における機能性ドメインの提示を最大化し、システムの複雑さを大幅に単純化する。更に、このよく研究されたシステムは、E.coliに天然のものであり、一緒に働く多くの遺伝子ツール及び発現技術が提供される。したがって、本発明者らは最初に、CsgAのN末端又はC末端への機能性ドメインの融合体を試験することにした。
【0146】
CsgAへのC末端ペプチド融合体はCurliナノファイバーを形成することができる。本明細書は、curli線毛を形成する能力を維持しているCsgAタンパク質への遺伝的融合体の作製を記載する。これは、ステンレス鋼表面に強く結合することが知られているPseudomonas spp.由来のペプチドドメインである金属結合ドメイン(MBD)33にN末端又はC末端で融合させたCsgAからなる変異体のパネル(
図3に模式的に示す)を作成することにより達成された。各末端につき3つのバリアントを作製した:MBDをCsgAに直接又は短い隣接リンカー(GS)若しくは長い隣接リンカー(GSGGSG)を用いて連結した。csgAバリアントをプラスミドにクローニングし、野生型csgA遺伝子を欠損しているが残りのcurliプロセシング機構を含むE.coli(LSR10)株34に形質転換した。したがって、誘導後、アミロイド形成は、異種改変CsgA融合変異体のみに起因し得る。curli線毛生成の読取りには、低塩培地上での細菌コロニーのコンゴーレッド(CR)染色を用いた。これはアミロイド細線維形成の標準的な比色分析指標である14。挿入パネルの結果は、CsgAのC末端とMBDとの間に最も長いリンカーを有するC3融合体のみがはっきり認識できる量のアミロイド繊維を形成できることを示している(
図1B)。他の融合体は、CR染色で染色されないことからわかるように、許容されない(
図1B)。CsgA融合タンパク質から生じたcurli線毛を可視化したTEM画像はこのデータを裏付けており、C3挿入部位は目に見えるナノファイバーを生成する(
図7A;比較のための野生型curliを
図7Bに示す)。これらの結果は細胞からの分泌及びアミロイド繊維への細胞外組織化を阻害することなくCsgAへのC末端遺伝子融合体を作製できることを明白に示している。
【0147】
C3デザインはCurliバイオフィルムへの種々のペプチドのモジュール方式での組込みを可能にする。
CsgAのC末端に融合させることができる機能性ドメインのモジュール性を調べるために、本発明者らは、C3の6アミノ酸可変リンカーを維持しつつ、サイズが7〜59アミノ酸のペプチドドメイン融合体のライブラリーを作成した(表1)。ライブラリーは更に種々の二次構造を表し、ほとんどのペプチドは決まったコンフォメーションを示すようにデザインされていないが、MBD及びMms635は細胞内ジスルフィド結合を含み、これによって、より強固なコンフォメーションにロックされると考えられる。最後に、タンパク質の捕捉36並びに無機ナノ粒子37〜39及び表面33への結合を含む種々の技術へのBINDシステムの将来の応用に有用であり得る種々の機能にまたがるようにライブラリーのメンバーをデザインした。ライブラリーメンバーをLSR10細胞にクローニングし、CR染色によりcurliに基づくアミロイドネットワークの形成について調べた。ほとんどのライブラリーメンバーの陽性CR染色(
図2A)及び定量分析(
図4)は、小さなペプチド融合体がcurli搬出機構に許容され、細胞外アミロイドネットワークへの組織化に成功することを示唆している。陽性の染色がなかった唯一の変異体は59アミノ酸Mms6ドメインであった。CsgAは折り畳まれていない配座異性体としてCsgG複合体により外膜を横切って輸送される15と考えられているので、このことは全く予想されないわけではなかった。CsgG複合体のポアサイズが約2nmと推定されている24ことを考えると、このことは、より大きな折り畳まれたドメインはcurli搬出機構と適合しないかも知れないことを示唆している。
【0148】
修飾curliバイオフィルムのTEMイメージングは、CsgA−ペプチド融合体がwt−CsgAで観察されるのと類似のナノスケールの繊維へと組織化することを示している(非掲載データ)。繊維は、特徴的な絡まったカールした形態を示し、細胞表面と密接に結合しているように見える。繊維のナノ構造を容易に識別できるように希釈サンプルで意図的にTEM画像を得た。完全に広がっているように見えるこれらの画像中の繊維は、サンプル調製中の乾燥プロセスのアーチファクトであると考えられ、自然の繊維形態を表していない。更に、SEMイメージングは、修飾curliバイオフィルムが、細胞間の繊維の高度に相互接続されたネットワークを維持しながら、非常に高密度且つ複数の細胞層の厚さであり得ることを示している(非掲載データ)。
【0149】
CsgA−ペプチド融合体のインビトロ自己組織化動態。CsgAの自己組織化に対するペプチドドメイン融合の影響を決定するために、インビトロでの精製及び組織化実験に複数のバリアントを選択した。精製のために、CsgA−ペプチド融合体を、Hisタグ及びそれに続くエンテロキナーゼ切断配列に付加した。タンパク質がペリプラズムに搬出されないように、及び細胞溶解物からのアフィニティー精製後にエンテロキナーゼ切断により、天然Secタグのプロセシング後に対応するLSR10形質転換体により分泌されるものと同じタンパク質が生じるように、精製する配列をSecタグの代わりに挿入した40。精製タンパク質を、確立されているチオフラビンT(ThT)アッセイを用いて組織化動態についてモニタリングした。
【0150】
BINDで提示されたペプチドの機能性。本明細書に記載のBINDシステムは、curliベースのバイオフィルムに種々の新規な機能を導入することができる。したがって、CsgA−ペプチドキメラの分泌及び組織化の確認に加えて、融合させたペプチドドメインが完全に形成されたバイオフィルムの状況下で同種の機能を維持していることを実証しようと努めた。そこで、2つのペプチドを表1から選択し(MBD及びSpyTag)、それらがバイオフィルムの性能を増強する能力を調べた。MBDは、鋼への親和性を有するのでステンレス鋼表面へのcurliベースバイオフィルムの接着を強化すると考えられるため、選択された。この仮説を試験するために、CsgA−MBD変異体を発現するLSR10細胞を培養中で成長させ、誘導後、ステンレス鋼304L片上にスポットし、風乾した。陰性対照として、wt−CsgAを発現する細胞及びCsgAを発現しない細胞で同じ手順を繰り返した。各片は、並んだ3つのスポット(各培養から1つ)を含んだ。その後、片を水性バッファー中に入れてボルテックスすることにより強く洗浄した(
図5A)。CsgA−MBD融合体で構成されたバイオフィルムは洗浄手順に明白に耐えたが、wt−CsgAを発現する又はCsgAを発現しないものは表面から容易に洗い落とされた(
図5B〜5D)。
【0151】
これらのデータは、所望の機能を示すように事前に選択したペプチドドメインを付加することにより非天然表面へのcurliベースバイオフィルムの接着を人工的に強化できることを示している。
【0152】
BINDシステムの有用性の第2の実証として、全長タンパク質をcurliマトリックスに固定化するための手段としてCsgA−SpyTag変異体を調べた。SpyTag−SpyCatcherシステムは、13アミノ酸ペプチド(SpyTag)及び15kDaタンパク質(SpyCatcher)に分割されたCnaB2タンパク質を用いる、タンパク質捕捉のための近年開発された戦略である36。2つの断片が一緒になると、分子間イソペプチド結合の形成を触媒する。完全に遺伝子的にコード可能な構成要素を用いてcurliネットワークとより大きなタンパク質との間の共有結合形成を可能にすることにより、curli搬出機構の見かけのサイズの制限を回避するために、この戦略を用いた。そこで、CsgAを過剰生産するように改変したE.coli株であるPHL628細胞を用いて、CsgA−SpyTagキメラを含むを提示するバイオフィルムを表面修飾ガラス基質上に形成した。SpyCatcher−Venus融合タンパク質を用いてSpyTagドメインの存在及び機能性を調べた。Venusは、光学的性質が強化された緑色蛍光タンパク質バリアントである。細胞の存在を調べるために、ガラスに固定化されたバイオフィルムを核酸染色(SYTO 61、インビトロジェン社)で処理した。その後、SpyCather−Venus又は共有結合形成しない変異体であるSpyCatcherEQ−Venusのいずれかを含む溶液で処理した。徹底的な洗浄ステップ後、蛍光顕微鏡法を用いてバイオフィルムをイメージングした。CsgA−SpyTagを発現するバイオフィルム及びSpyCatcher−Venus処理の適切な組合せでのみ、2つの蛍光シグナルが顕著に共局在した。(
図6F)。wt−CsgAを発現するバイオフィルムは蛍光タンパク質を捕捉できなかった。同様に、CsgA−SpyTagを発現するバイオフィルムは、非機能性SpyCatcherEQ−Venus変異体で処理された時には緑色蛍光を示さなかった。総合すると、これらの結果は、SpyTagペプチドをCsgAに融合させることができること及びSpyTagペプチドがcurliネットワーク形成後に機能を維持していることを示している。
【0153】
考察
【0154】
本明細書が示す単純明快な自己組織化システムは、遺伝子改変により細菌細胞外マトリックス組成物の正確な分子的調節を可能にし、生きたシステムから機能性バイオナノ材料を作製するための、更にはおそらく生きた機能性材料を作製するためのプラットフォームを確立する。そのような合成生物学プラットフォームには多くの利点がある:無機材料への結合又は無機材料の合成のバイオテンプレーティング、特定の表面へのバイオフィルム接着の強化、又は他の生体分子を固定化するためのスキャフォールド様表面コーティングの提供等の有用な特徴を有する種々のペプチドを提示するようにcurli線毛を改変することができる。バイオフィルム自体は、生合成的に作製され、石油由来の構成原材料(raw building block)を必要としない点で、「グリーンな」(すなわち、環境に優しい)材料である。更に、バイオフィルムは、自己生成的及び自己修復的な再生可能材料となり得る。
【0155】
表面修飾及び機能化は我々の社会のほぼ全ての状況でいたるところにおいて見られる。しかし、生物学的に由来する表面コーティングは使用されていない。生命は、表面の細菌コロニー形成を可能にする初期の進化上の適応である非常に効率的なコーティング戦略を進化させてきた41。応用技術へのバイオフィルムの現在の応用では、薄膜生体触媒又はバイオレメディエーションのための所望の機能を生成するために天然のバイオフィルム又はバイオフィルム形成細菌の共培養物が用いられる42。バイオフィルムの機能性をプログラムできないこと及びバイオフィルム形成の時間的力学(temporal dynamics)を調節できないことにより、これらの応用は限定的なままであり、他の産業におけるバイオフィルムに基づく技術の採用は大きく妨げられている。
【0156】
E.coliのcurliシステムは、腸管病原性株の宿主−細胞接着において中心的役割を果たし、バイオフィルムの形成に重要である25。Curliは、バイオフィルム阻害化合物の開発のため43及び機能性細菌アミロイドのため18のモデルシステムとして広く研究されてきた。本明細書中で、curliシステムは、単一の遺伝子的にプログラム可能な単位である自己組織化CsgAタンパク質で主に構成されるので、プログラム可能なバイオフィルムプラットフォームであり得ることが示される。
【0157】
材料及び方法
【0158】
細胞株及びプラスミド。全てのクローニング及びタンパク質発現は、それぞれMach1(インビトロジェン社)及びRosetta細胞(EMD社)中で行われた。csgA遺伝子はE.coli K−12ゲノムDNAから単離され、Trcプロモーターの調節下にあるColE1プラスミドであるpBbE1a44にクローニングされた。pET30aプラスミド(EMD社)を用い、CsgAタンパク質の天然N22領域をエンテロキナーゼ切断部位の直後にクローニングして発現ベクターを構築した。ペプチドインサート領域は、完全に合成されたか(インテグレイテッドDNAテクノロジーズ社)、オーバーラップエクステンションによりPCRで生成された。全てのクローニングは、報告されているように等温ギブソン・アセンブリー45を用いて行われ、DNAシークエンシングにより確認された。
【0159】
Curliバイオフィルム形成。curliを生成するために、CsgA又はCsgA−ペプチド融合体をコードするpBbE1aプラスミドでLSR10細胞又はPHL628細胞を形質転換した。陰性対照として、空のpBbE1aプラスミドで細胞を形質転換した。その後、10g/Lのカザミノ酸、1g/Lの酵母抽出物、及び20g/Lの寒天を含むYESCA−CRプレート上に細胞を画線又はスポットした。全ての培地成分はフィッシャー社製である。プレートには100mg/mLのアンピシリン、0.5mMのIPTG、25mg/mLのコンゴーレッド、及び5mg/mLのブリリアントブルーG250を補った。その後、プレートを25℃で48時間インキュベートし、次いで、イメージングしてコンゴーレッド結合の程度を決定した。スポットしたプレートでは、YESCA−CRプレートに20mLをスポットする前に、100mg/mLのアンピシリン及び0.2mMのIPTGを補ったYESCA液体培地中で25℃にて48時間形質転換体を成長させた。この同じYESCA液体誘導手順を用いてCsgA精製及び電子顕微鏡観察のためのサンプルを調製した。
【0160】
定量的コンゴーレッド結合アッセイ。コンゴーレッド結合の測定は、以前に公開されている方法を改変して行った。簡潔に述べると、YESCAプレート上で25℃で48時間成長させた形質転換体培養物を掻き取り、PBS中に穏やかに再懸濁した。細胞懸濁液のOD600を3に調整した。この懸濁液1mLに、コンゴーレッド溶液を終濃度0.001%で加え、4℃で1時間インキュベートした。その後、細胞をペレット化し、BioTek H1マイクロプレートリーダーを用いて上清200μLの490nmの吸光度を測定した。この測定値からPBS+コンゴーレッド対照を引いた量としてコンゴーレッド結合の量を求めた。全てのサンプルはトリプリケートで行った。
【0161】
キメラCsgA精製。Rosetta細胞形質転換体を対数増殖期中期までLB中で成長させ、0.2mM IPTGで3時間誘導した。細胞をペレット化した後、その後の精製のために−20℃で凍結した。ペレットを解凍し、BugBuster Protein Extraction Reagent(商標;EMD社)、1mg/mLリゾチーム、50μg/mL DNase、及びプロテアーゼ阻害剤(ロシュ社)中で溶解した。30分後、溶解物を、8塩酸グアニジン、250mM NaCl、及び50mM TrisのpH7.5の溶液中に希釈し、16時間インキュベートして凝集体を溶解した。不溶性の塊を18,000rpmで30分の遠心によりペレット化し、清澄化した溶解物を0.22ミクロンのフィルターで濾過した後、Ni−NTA樹脂(キアゲン社)と2時間インキュベートした。その後、タンパク質が結合した樹脂を8塩酸グアニジン、250mM NaCl、0.1%Triton−X100、1mM DTT、及び50mM Tris(pH7.5)で洗浄し、200mMイミジアゾール(imidiazole)を補った同じバッファーで溶離させた。溶出液をEK切断バッファー(1M尿素、20mMメチルアミン、50mM Tris、pH7.5)中に透析した後、3μgのエンテロキナーゼ(ロシュ社)と24時間インキュベートした。その後、切断されたCsgAタンパク質を凍結乾燥し、100μLのHFIPで処理して全てのcurli線毛を溶解し、乾燥粉末として保存した。
【0162】
ThT動態アッセイ。ThTアッセイの直前に、切断されたHFIP処理タンパク質を8M塩酸グアニジン、250mM NaCl、0.1%Triton−X100、及び50mM TrisにpH7.5で再度可溶化した。この溶液をSephadex−G75ゲル濾過カラム上でFPLC精製して二量体及びオリゴマーを除去した。その後、単量体CsgA融合体を含む画分を脱塩し、UVの吸光度により濃度を決定した。すぐに、30μMのCsgA融合体又は野生型タンパク質及び40μM ThTを用いてThTアッセイを行った。蛍光はSpectramaxM2プレートリーダーを用いて438ex/495emで測定された。
【0163】
TEM及びSEM。Curli形成した野生型又はBIND細胞サンプルを、誘導したYESCA培養物から直接取り出すか、YESCA−CRプレートから掻き取り、ミリポアH2Oに再懸濁した。TEM分析では、5mLのサンプルをフォルムバール−カーボングリッド(Electron Microscopy Sciences社)上にスポットし、ミリポアH2Oで2回洗浄し、1%ウラニルホルマートで15秒間染色した後、JEOL 1200 TEMを用いて分析した。SEM分析では、サンプルをNucleoporeフィルターに減圧下でアプライし、ミリポアH2Oで洗浄し、2%グルタルアルデヒド+2%パラホルムアルデヒドを用いて4℃で一晩固定した。その後、サンプルをミリポアH2Oで洗浄し増加エタノールステップグラジエントで脱水し、ヘキサメチルジシラザンのステップグラジエントを用いて乾燥させた後、金スパッタリングし、Zeiss Supra55VP FE−SEMを用いて分析した。
【0164】
免疫金TEM。FLAGタグを提示するBIND細胞の抗FLAG免疫金標識のために、前述したように最初に細胞をTEMグリッドに接着させた。その後、グリッドをブロッキングバッファー(PBS+1%BSA)で3回洗浄し、一次抗FLAGマウス抗体とPBSの1:1000希釈物を含む液滴上にXX分浮かせ、ブロッキングバッファーで再度洗浄した後、1:1000希釈された抗マウス15nm金コンジュゲート抗体の液滴上に浮かせた。最後にPBSで3回、次いでミリポアH2Oで洗浄した後、1%ウラニルホルマートで15秒間グリッドを染色し、JEOL 1200(商標) TEMを用いてイメージングした。
【0165】
SpyCatcher−Venusの構築及び発現。pDEST14−SpyCatcher−Venusを含むRosetta細胞を、LB中37℃で、100mg/Lのアンピシリンと共に5mLの培養液中で一晩成長させた。アンピシリンを補った500mL培養液に一晩の培養物を接種し、ODが0.6になるまで37℃で6時間成長させた。SpyCatcher−Venus発現を0.5mM IPTGで誘導し、18℃で一晩発現させた。細胞を回収及び溶解し、Ni−NTAカラムでSpyCatcher−Venusを精製した。タンパク質を回収し、バッファーを50mMリン酸バッファー50mM NaCl pH7に交換し、濃縮し、その後の使用まで−80℃で保存した。
【0166】
蛍光バイオフィルムイメージング。Leica TIRF DM16000B(商標)機器を用いて落射蛍光モードで蛍光画像を撮った。ガラス製カバースリップ(No:1.5)をそれぞれ30秒プラズマ活性化した。スライドを0.01w/v%のPLL溶液に2時間浸漬した後、60℃のインキュベーター中に2時間置いた。PHL628 WT及びCsgA−SpyTag(ST)細胞を20mLの培養液中で、100mg/Lアンピシリンを含むYESCAブロス中で37℃、6時間、ODが0.6になるまで成長させた。カバースリップを培養液中に落とし、0.5mM IPTG及び3%DMSOを用いてcurli発現及びバイオフィルム形成を誘導した。培養液を25℃、150rpmで48時間振盪した。スライドを培養液から取り出し、洗浄バッファー(1×PBS及び0.5%Tween 20)中で20分間の洗浄を3回行った。洗浄後、0.5mLの1mg/mL Venus−SpyCatcher又はVenus−SpyCatcher(EQ)溶液(1×PBS、1%BSA、0.5%Tween)をスライドに添加した。バイオフィルムを1時間インキュベートした後、洗浄バッファーで20分間の洗浄を2回行った。その後、バイオフィルムをSyto 61(10μM)で20分間染色し、洗浄バッファーで2×15分間、150rpmで振盪しながら洗浄した。その後、60倍及び100倍の油浸レンズを用いて落射蛍光モードでスライドをイメージングした。
【0167】
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【0168】
実施例4:E.coliバイオフィルムのCurli線毛上へのオルトゴナル(Orthogonal)酵素固定化
【0169】
バイオフィルムは厳しい条件に耐えられ、表面に自然に付着し、スケーラブルであるので、触媒作用にバイオフィルムを用いることが望ましい。しかし、細胞膜を横切る基質の物質輸送が必要であるため、バイオフィルムを用いたホールセル触媒作用には制限がある。細菌表面上の酵素提示は、酵素を膜貫通タンパク質又は表面提示タンパク質と共発現させる必要があること及び細菌の表面積が限定されていることから、限定的な成功しか収めていない。バイオフィルム組込み型ナノファイバーディスプレイ(BIND)を用いて、E.coliバイオフィルムの細胞外マトリックスに共有結合的及び部位特異的にオルトゴナル酵素を付着させるための本明細書に記載のプラットフォームが開発された。付着ドメインSpyCatcherに融合させたαアミラーゼを、捕捉ドメインSpyTagを有するcurli線毛を提示するE.coliバイオフィルム上に固定化した。本明細書中に、バイオフィルムが遊離酵素と比べて酵素を厳しいpH条件から保護したことが示されている。更に、バイオフィルムは、非混和性有機溶媒中での変性から固定化αアミラーゼを保護した。多用途の調節可能な生体触媒表面を作製するためのE.coliの細胞外重合体マトリックスを用いる新規な方法が本明細書に記載される。
【0170】
生体触媒作用は、複雑な化学的変換をスケーラブルに行うことができ
2、化学合成に代わる環境に優しい代替
1を提供する。生体触媒の主な種類はホールセル改変微生物
3、細胞溶解物、又は精製酵素
4である。自然は、大きく複雑な分子の立体選択的中間体を生み出す触媒作用を行うことができるように酵素を進化させており、これは合成化学分野が未だ再現しようと試みている偉業である。更に、ホールセル触媒作用では、複数酵素経路により、グルコース等の簡単なインプット分子が価値の高い生成物へと変換される
5。
【0171】
これらの生体触媒には利点があるが、それらはそれぞれに欠点もある。ホールセル触媒は、基質の水への溶解度
6、細胞膜を横切る基質又は生成物の拡散障害による物質輸送の制限
7、及び副産物又は副反応の発生
4のため、それらが触媒できる反応の種類が制限される。細胞は固定化されていないので、生成物を単離するために反応混合物から細胞を分離しなければならない。固定化酵素は物質輸送又は単離の問題はないが、大規模に酵素を精製するにはコストが大きく
8、精製
9又は固定化プロセスが酵素の活性に悪影響を及ぼし得る。精製酵素は一般的に不安定であるため、しばしば、大規模な応用に用いられる場合、多孔質表面に固定化されるが、これは触媒のコストを上昇させる
10。水性溶媒中への基質不溶性の問題に取り組むために二相の水システムが開発されたが、これらのシステムは、細胞毒性、有機溶媒への長時間の暴露による生体触媒の不活性化、及び激しい混合による剪断に由来する触媒の変性という問題に直面している
11。
【0172】
バイオフィルムは、互いに及び/又は表面若しくは界面に接着したマトリックスに封入された細菌である
12。バイオフィルム中の細菌は毒性化学物質
13、金属
14、及び物理的ストレス
15からの保護を提供する細胞外重合体マトリックスを分泌するので、これらはホールセル触媒作用に伝統的に用いられるようなプランクトン細胞にはない多くの利点を有する。同時に、これらは、自然の生物学的環境中で必要な酵素の安定化
8、再生可能性、及び改変により活性を調節できることを含むホールセル触媒の利点を保持している。
【0173】
現在の表面提示技術は、2つ以上の酵素及び酵素複合体を共提示することの困難性、及び細菌の有限な表面積による提示される酵素数の制限等により、大きく制限を受ける。
【0174】
現在の技術的制限に取り組むための新規なバイオフィルム固定化プラットフォームであるバイオフィルム組込み型ナノファイバーディスプレイ(BIND)を本明細書に記載する。BINDはE.coliバイオフィルムのタンパク質性構成要素curli線毛を機能性ペプチドで修飾する。curli生合成中、curliモノマーCsgAが、外膜輸送されたCsgGを介して分泌され、膜貫通タンパク質CsgB上に固定され、その後、直径約7nmのアミロイド繊維へと自己組織化する
17。複数のCsgA−機能性ペプチドキメラをcurli発現経路を介して分泌させることができる。このCsgA−ペプチドがcurli線毛へと組織化する時、ペプチドは、線毛を修飾するため、金属、ナノ粒子を捕捉するため、又は接着のために用いることができる機能的ハンドルとなる
18。BINDは、E.coliバイオフィルム細胞外マトリックスの巨大且つ不活性な重合体ネットワークを固定化表面に変換することによる触媒的表面の作製を可能にする。反応の基質及び生成物はどの膜も通過する必要がないので、このアプローチは生体触媒の物質輸送の問題を解決する。
【0175】
Remautのグループの発現系は、より本来的な構造を有するタンパク質、例えば、CsgGの内径(約2.5nm)より大きなループを形成するジスルフィド結合を含むタンパク質について制限がある
19。本明細書に記載の研究は、curli線毛上にタンパク質を提示するためのより一般化可能な方法を提供するものである。その結果、SpyCatcher−SpyTagシステムが用いられた。SpyCatcherは、14アミノ酸SpyTagとのイソペプチド結合の形成を触媒する
20。以前に示されているように、CsgA−SpyTagは、SpyTagがSpyCatcherとのコンジュゲーションにアクセス可能な、ほぼ天然のcurli線毛へと組織化する
18。
【0176】
本明細書中で、大きな酵素、αアミラーゼをE.coliバイオフィルムのcurli線毛上に固定化するためにSpyCatcher−SpyTagシステムを用いることができることが示されている(
図8A〜8D)。この反応は強く、複雑な混合物中でも、2つの構成要素間の部位特異的付着を形成することができる。フィルター−プレートアッセイを用いてバイオフィルム上での酵素の活性を特徴付け、細胞の代謝活性が失われている場合でも、様々なpH及び有機溶媒インキュベーション条件下でαアミラーゼ活性が保持されていることが示された。
【0177】
材料及び方法
【0178】
細胞株及びプラスミド。全てのクローニング及びタンパク質発現は、それぞれMach1(商標)(インビトロジェン社)及びRosetta(商標)細胞(EMD社)中で行われた。E.coli csgA及びcsgA−SpyTag遺伝子を、以前に報告されているように、Trcプロモーター調節下にあるColE1プラスミドであるpBbE1aにクローニングした。10g/Lのカザミノ酸(フィッシャー社、BP1424)、1g/Lの酵母抽出物(フィッシャー社、BP1422)を含むYESCA培地中でCsgAを発現させた。αアミラーゼはBacillus licheniformis ATCC14580から単離された。pDEST14中のSpyCatcher遺伝子はAddGene(35044)から取得した。アミラーゼをSpyCatcherのN末端に挿入し、コンストラクトをpET28bベクターに移し、Terrific Broth(シグマ社 T0918)中で成長させたRosetta(商標)細胞中で発現させた。csgA欠失変異体はPHL628−ΔcsgA(MG1655 malA−Kan ompR234 ΔcsgA)とした。Misonix Probe Sonicator 4000(商標)を用いて細胞を溶解した。ミリポア社製PCF及び親水性PTFEフィルタープレート(PCFMSSLBPC10、MSRLN0410)及びMilipore MultiScreen(商標)バキュームマニホールドセットアップをフィルタープレートアッセイに用いた。アミラーゼ活性については、4−ニトロフェニル−a−D−マルトペンタオシド(pNPMP、シグマ社、66068−38−0)を基質として用い、Bacillus licheniformis由来のαアミラーゼ(シグマ社、A3403)を標準として用いた。
【0179】
Curli発現。各実験の前にCsgA又はCsgA−ST融合体をコードするpBbE1aプラスミドでPHL628細胞を形質転換した。その後、10g/Lのカザミノ酸、1g/Lの酵母抽出物、及び15g/Lの寒天を含むYESCAプレートに細胞を画線した。プレートには100g/mLのアンピシリンを補った。アンピシリンを含むYESCA中で、30℃でODが0.4〜0.6になるまでPHL628細胞を成長させた。0.3mM IPTGでCurli発現を誘導した。培養物を25℃及び150rpmで18時間24時間振盪した。
【0180】
定量的コンゴーレッド(CR)結合アッセイ。コンゴーレッド(CR)結合の測定は、以前に公開されている方法を改変して行った。簡潔に述べると、YESCA中で成長させた1mLの誘導された培養物を5000gで10分間ペレット化し、PBSに穏やかに再懸濁した。150μLの0.2mMコンゴーレッド水溶液をこれに加え、25℃で10分間インキュベートした。その後、細胞を21000gでペレット化し、BioTek H1マイクロプレートリーダーを用いて上清200μLの490nmの吸光度を測定した。この測定値からPBS+コンゴーレッド対照を引いた量としてコンゴーレッド結合の量を求めた。標準曲線を用いてコンゴーレッドの吸光度を濃度に変換した。
【0181】
アミラーゼ−SpyCatcher発現。pET28bアミラーゼ−Spycatcherを含むRosetta(商標)細胞を、100mg/Lのカナマイシンと共に、30℃、LB中で5mLの一晩培養物中で成長させた。1Lのterrific brothにカナマイシンを100mg/Lまで補って、一晩の培養物を接種し、ODが0.4になるまで30℃で5時間成長させた。アミラーゼSC発現を0.5mM IPTGで誘導し、20℃で一晩発現させた。細胞を回収し、TBST中で溶解し、アミラーゼSCをNi−NTAカラムを用いて精製した。タンパク質を回収し、バッファーをPBSに交換し、1日以内に実験に用いた。
【0182】
CsgAコンジュゲーションゲル。PHL628 WT及びSTの種培養(starter culture)を100μg/mL Amp中で一晩(ON)成長させた。種培養物を用いて50mLの細菌を成長させ、OD0.6でcurli生成を誘導した。細胞にcurliを24時間発現させた。細胞を4700gで10分間遠心沈殿(spin down)し、上清を捨てた。ペレットを、プロテアーゼ阻害剤を含む3mLのPBSに再度溶解した。プローブソニケーターを15Wで用いて5サイクル(1分オン、0.5分オフ)、細胞を超音波処理した。細胞を再度4700gで10分間遠心沈殿させた。100μLの上清を21000gで遠心沈殿させ、CRアッセイを用いてcurliの存在を確認した。残りの上清は、先に単離したアミラーゼ−SpyCatcherと一緒に24時間インキュベートした。この溶液にNaClを200μMまで加え、溶液を21000gで10分間遠心沈殿させた。上清を除去し、ペレットを1mLのH2Oで1回洗浄し、再度、21000gで10分間遠心沈殿させた。speed vacを用いて別個のチューブ中でペレット及び上清を乾燥させた。残渣を1.5mLのギ酸及び0.2mLのHFIPに再度溶解し、curli線毛をモノマーへと分解し、溶媒を再度蒸発させた。残渣を、4M尿素を含むLaemliバッファーに溶解し、5分間加熱し、75Vで2時間ゲル上で流した。
【0183】
インビトロアミラーゼ−SpyCatcher活性アッセイ。p−ニトロフェニル−a−D−マルトペンタオシド(pNPMP)を、この五糖由来の加水分解4−ニトロフェノール(pNP)を405nmでモニタリングできるので、アミラーゼ活性を測定するための基質として選択した。pNPの吸光度はプロトン化状態に依存するので、本発明者らは、全ての反応を96ウェルプレートフォーマット中のpH7.4のPBS中で行った。
【0184】
Bradfordアッセイを用いてアミラーゼSC及びαアミラーゼ(シグマ社)の濃度を測定し、1.35mMに希釈した。85μLの0.065〜2mM pNPMPを含むddH2Oを、50μlのPBS中タンパク質に加えた。BioTek H1マイクロプレートリーダーを用いて405nm、一晩(ON)で活性を測定した。
【0185】
Curliバイオフィルムフィルタープレートアッセイ。CsgA及びCsgA−ST発現PHL628細胞を上記と同様に25℃、150rpmで18時間培養した。定量的コンゴーレッド結合アッセイを用いてCurli含有量を測定した。50〜100μLの細胞(CR吸収を基準に標準化)を、2〜4%のBSAで1.5時間ブロッキングしたPTFEメンブレンフィルタープレートのミリポア社製PCF上に移した。バキュームマニホールドを用いて培地を濾過した。細胞を200μL PBSで2回洗浄した。50μLの1〜2%BSAを含むPBS中のアミラーゼSCと共に細胞を一晩(ON)インキュベートした。真空濾過を用いて液体を除去し、150μLの0.3%BSAを含むPBSで素早く3回、振盪しながら90分間にわたり更に3回、バイオフィルムを洗浄した。
【0186】
水混和性溶媒中での活性アッセイでは、50μLの2×溶媒溶液(PBS中)を、50μLの2.5mM pNPMP(H2O中)と共に加えた。プレートをデスクトップシェーカー上に室温で1.5〜2時間置いた。実験の終わりに、上清を新しい96ウェルプレート中に真空濾過し、4−ニトロフェノール遊離を405nmで測定した。
【0187】
水非混和性溶媒中での活性アッセイでは、バイオフィルムを100〜150μLの溶媒と1時間インキュベートした。溶媒を除去し、細胞を150μLの0.3%BSA(PBS中)で2回洗浄した。50μLのPBS及び50μLの2.5mM pNPMPをバイオフィルムに加えた。プレートをデスクトップシェーカー上に室温で1.5時間置いた。実験の終わりに、新しい96ウェルプレート中に上清を真空濾過し、pNP遊離を405nmで測定した。相対活性の基準はpH7のPBS条件である。
【0188】
MTSアッセイ。プロメガ社のCellTiter 96 Aqueous Non−Redioactive Cell Proliferation Assayを用いて細胞生存率を調べた。前述したように機能化バイオフィルムを作製した。バイオフィルムをpH、混和性及び非混和性の有機溶媒に曝した後、バイオフィルムをPBSで洗浄し、アッセイバッファーと1時間インキュベートし、濾過し、結果を490nmで光学的に読み取った。相対代謝活性の基準はpH7のPBS条件である。
【0189】
SEM。ハーバード大学のCenter for Nanoscale SystemsでZeiss Ultra Plus FESEMを用いて走査型電子顕微鏡観察を行った。SEMイメージングのために、酵素結合バイオフィルムを2%グルテルアルデヒド 4%パラホルムアルデヒド中で30分間固定した後、水で2回洗浄した。フィルターメンブレンをフィルタープレートから脱離し、増加エタノールグラジエントで脱水し、臨界点乾燥機で乾燥した後、金スパッタリングし、FESEM上でイメージングした(作動電圧5kV)。
【0190】
共焦点顕微鏡観察。PCFプレートサンプル由来のアッセイした細胞及び固定された細胞の共焦点顕微鏡観察を行った。細胞をDAPIと20分間インキュベートし、0.2%BSA(PBS中)で2時間にわたり4回洗浄した。PCFプレートからのメンブレンを切り取り、メンブレンを2つのカバースリップの間に置き、63倍のグリセロールレンズを用いてLeica SP5 X MP倒立共焦点顕微鏡でイメージングした。
【0191】
結果及び考察
【0192】
アミラーゼSC安定性の特徴解析。重合体又は表面へのタンパク質の部位特異的な共有結合性の付着を可能にする現在用いられている方法は非常に少ない。これらは通常、翻訳後修飾、又は非天然アミノ酸を介したオルトゴナルな化学単位の導入を含む
21。本明細書に記載のSpyCatcher−SpyTag技術は、生物学的に適合する反応条件で完全に遺伝子的に改変可能な構成要素を用いて共有結合性の翻訳後修飾を導入する点でユニークである。CsgA分泌機構(すなわち、搬出されたCsgG)は大きな構造タンパク質に対する許容度が低いことが示されているので
19、CsgAモノマーに直接酵素を融合させるよりも、SpyTag−SpyCatcher技術を選択した。
【0193】
広い用途、産業上の応用可能性、及び水溶性比色基質の商業的な入手し易さから、触媒性バイオフィルムの実証実験にαアミラーゼを用いた。複数のタンパク質(I27ドメイン、MBP、GFP)がSpyCatcherへの付着に成功しているが
20、機能性酵素−SpyCatcher融合体の作製が可能であることは過去に示されていない。2つのタンパク質を融合する時、融合されたドメインによる不安定化又は活性部位のブロッキングにより酵素の活性が減少するという問題がある。本発明者らは、アミラーゼ−SpyCatcherコンストラクトをデザインする際、2つのタンパク質間に13アミノ酸リンカーを含めてそのような不安定化の影響の軽減を試みた。
【0194】
アミラーゼSCの安定性を調べるために、アミラーゼSC活性を64日間にわたり、80℃までの温度範囲で調べた。64日に集められた活性データに見られるように、37℃でも、αアミラーゼは活性を13%しか失っておらず、SpyCatcherに付着させた場合でも、その活性低下は30%と依然として比較的小さい。より広い温度範囲で見ると、アミラーゼSCは60℃を超えた場合のみ、αアミラーゼより速く活性を失った(
図14B)。ほとんどの細胞ベースの応用の通常の作動範囲は60℃より低いので、適切な温度で2つの酵素は同じように機能すると結論付けることができる。
【0195】
αアミラーゼをSpyCatcherに付着させることの活性への影響を決定するために、アミラーゼSCの動態研究をインビトロで行った。結果のミカエリスメンテン分析により、野生型αアミラーゼ及びアミラーゼ−SCの間でKm/kcat値がほぼ同じであることが示され(
図15A〜15B)、このことは融合タンパク質が野生型と同じ効率で反応を触媒できることを意味する。
【0196】
インビトロにおけるSpyTag発現curli線毛へのアミラーゼSCの付着。アミラーゼSCがcurli線毛に付着できるためには、SpyTagペプチドがアクセス可能でなければならない。バイオフィルム中では、このペプチドは、表面、他の細菌、他のタンパク質、又は近くのSpyTagペプチドとcurliとの相互作用によってブロックされ得る。更に、酵素の大規模な精製は費用と時間がかかるので
22、複雑な混合物からの酵素の付着が固定化プラットフォームにとって望ましい性質である。
【0197】
curli線毛が組織化されつつ、適当な複雑な混合物中でアミラーゼSCがCsgA−STに付着できることを示すために、アミラーゼSCを粗精製curli線毛とインキュベートし、変性SDS−Pageゲルを用いて、結合したタンパク質を可視化した。8M尿素及びギ酸の使用を含む厳しいサンプル調製条件のため、全ての非特異的結合タンパク質が破壊され、共有結合した実体だけが1つのバンドとして流れると考えられる。ゲルのレーン1及び2(
図9)に見られるように、約90kDaのバンド(CsgA−ST+アミラーゼSCの合わせた重量)が、CsgA−STコンジュゲーション反応沈殿物で見られるが、CsgA野生型サンプルでは見られず、これはCsgA−STへのアミラーゼSCの共有結合性コンジュゲーションを示している。コンジュゲートしなかったアミラーゼSCが可溶性画分に見られる。
【0198】
バイオフィルム上へのアミラーゼSC固定化。96ウェルフィルタープレートセットアップを用いて機能性バイオフィルムの触媒可能性を試験した。細胞を培養中で成長させ、curliを18時間発現させた後、96ウェルフィルタープレートに移した。その後、バイオフィルムをアミラーゼSCで24時間機能化し、pNPMPと反応させた。望ましい反応時間後、溶液を別の96ウェルプレート中に濾過し、pNPの加水分解について分析した。
【0199】
バイオフィルムがフィルター上で細胞の単層又は2重層で構成されるように細胞の播種密度を選択した。これらの実験で用いたMG1655 ΔcsgA ompR234細胞はcurli及びセルロースの両方をその細胞外マトリックス中に発現して、大量の細胞外物質を生じ、上記細胞密度より高い密度ではこれによってフィルターがブロックされるので、この細胞密度が望ましかった。DAPIで染色したバイオフィルムの共焦点蛍光画像を
図10A〜10Bに示す。図に見られるように、細胞は細胞外物質の厚いマット(matte)で囲まれている。真空濾過による繊維の圧縮のため、画像上でcurliとセルロースを区別するのは難しいが、細胞外マトリックスが大きなアクセス可能な表面積を形成していることは明らかである。このマトリックスはSEM画像上で中実(solid)に見えるが(非掲載データ)、SEMイメージングの前に同じサンプルにDAPI染色を行い、小分子が通り抜けられることが示されたので、これは実際には多孔性である可能性が最も高い。
【0200】
次に、バイオフィルム上で利用可能なSpyTag部位を飽和させるアミラーゼSCの量を決定することを試みた。およそ4×10
7細胞のバイオフィルムを20〜1500pmolのアミラーゼSCとインキュベートし、バイオフィルム上の酵素の活性を測定した。
図11Aに示されているように、インキュベーションバッファー中およそ250pmol超のアミラーゼSCでバイオフィルムの最大活性に達している。これはバイオフィルムに実際に付着したアミラーゼSCの量を正確に反映していないことに留意することが重要であり、20pmolの酵素でも、酵素のほとんどは反応液上清中に観察される(非掲載データ)。20pmolのインキュベーション濃度で飽和シグナルとなっていると見るのではなく、正規の結合曲線が観察される理由は酵素拡散の制限によるものであると仮定する。すなわち、バイオフィルムはウェル全体に分布しているのではなく、96ウェルプレートの底に位置しているので、インキュベーション時間内にアミラーゼSCの全てが結合に適したCsgA−STを見つけられるわけではない。本稿の残りの実験では、部位の飽和を確実にするためにバイオフィルムを750pmolのアミラーゼSCとインキュベートした。
【0201】
ウェル当たりの細胞の量とバイオフィルムの活性との関係から、細胞数とアミラーゼSCの固定化に利用可能なcurliの量との関係についての情報が得られる。バイオフィルムが厚い程、栄養素、抗生物質等の分子が底の細胞層に到達できる程度が低くなる
12、23。これはプランクトン様細菌と比べて重要な進化上の利点を有するバイオフィルムを提供するが、本触媒システムの場合、バイオフィルムの厚さとアミラーゼSCが可能なコンジュゲーション部位に到達する能力及びアミラーゼ基質が触媒部位に到達できる能力との間に不可避なトレードオフがある。
図11Bは、バイオフィルムの活性が8×10
6CFUから7×10
7CFU/ウェルの間で直線状に増加することを示している(上限はフィルターの詰まりによる)。これは、各細胞数増加に伴い付加されるcurliが、その前にバイオフィルム中で見られたcurliと同じ程度にアクセス可能であることを示している。線形回帰を用いると、この範囲でバイオフィルムに細胞10
7個が加わる毎に、本システム中で追加で4.6nmol又は3.7%の総pNPMPが加水分解される。この数は、フィルターが常に振盪された場合又はフローシステムで使用された場合、更に高くなるだろう。
【0202】
種々のpH下におけるバイオフィルム上でのアミラーゼSC活性。酵素上の荷電残基のイオン化の変化は、タンパク質を部分的にアンフォールディングし、及び/又は活性部位を不安定化することにより、酵素の活性を乱し得る
24。curli線毛上に固定された酵素は、細胞、curli線毛、及び他の近くのタンパク質上のイオン化可能な基により生じる緩衝作用により、極端なpHによる活性減少をより受けにくいという仮説を立てた。
【0203】
pHの関数としての酵素の活性をpH2〜12で測定した。この範囲は、αアミラーゼがpH4及び10付近で活性を失うことが以前に示されていること
25から選択された。
図12Aに示されているように、バイオフィルムに付着させたアミラーゼSCはpH4及び10では100%活性に近いが、これらの条件下で、溶液中のαアミラーゼはそれらのpHで活性の40%を失っている。溶液相も固定化された酵素も、pH3未満又はpH11超では活性を示さず、このことは、固定化アミラーゼSCの周りの環境が部分的に緩衝されていることを示唆している。αアミラーゼほど安定でない酵素では、これらのバイオフィルムの保護効果は更により顕著であり得る。
【0204】
curli線毛上のアミラーゼSCと同じpHの影響が内部酵素活性に対しても観察可能であるかどうかを決定するためにバイオフィルムの代謝活性を調べた。
図12Bは、pH2及びpH12を除く全てのpHでバイオフィルムが代謝活性を有することを示している。pH7(標準化のpH)よりpH3〜6でより活性が高いのは、より低いpHによる細胞へのストレスにより、細胞が最適以下の環境条件を軽減しようとして代謝活性が上がる結果である可能性が最も高い。細胞内の酵素は細胞外マトリックス上の酵素よりも変性から保護されているので、ホールセルでpH耐性がより高いのは妥当である。
【0205】
有機溶媒中におけるバイオフィルム上のアミラーゼSC活性。触媒バイオフィルムの使用を成功させるためには、バイオフィルムが細菌の成長又は酵素の安定性に通常有利でない条件に耐えられる必要があると考えられる。この主な理由の1つは、多くの小分子酵素基質は水に溶解できないということである。この問題を回避しようとして、多孔質スキャフォールド上に酵素を固定化した後の有機溶媒中での使用
26〜28、二相の水−有機系(two−phase aqueous−organic system)の使用
29、30等の複数の方法が開発されている。これらのどちらの場合でも、有機溶解性分子は、酵素が反応を触媒できる水相に短時間入り、その後、有機相に再度出る。
【0206】
これらの二相の水−有機系同様、疎水性溶媒に曝された時、バイオフィルムは水和したままであり、酵素の周りに保護的シェルを提供すると仮説を立てた。これを試験するために、バイオフィルムを、水に混和性及び非混和性の有機溶媒のパネルとインキュベートし、バイオフィルムの活性及び生存率を調べた。pNPMPは水以外の溶媒に可溶性でないので、非混和性溶媒では、バイオフィルムを有機溶媒とインキュベートした後、活性測定中、溶媒をPBSに交換した。
図13Aに示されているように、アミラーゼSCの相対活性は、非混和性溶媒とのインキュベーションによりほんのわずかに影響を受けているが、混和性溶媒中では完全に消失している。
【0207】
疎水性の尺度である分配係数は、S字曲線的に生物活性と相関する
31。一般的に、水混和性溶媒はlogP<0であり、0〜2のlogPは極性有機化合物に対応し、logP>2は主に非極性の化合物に対応する。ホールセル触媒では、2のlogPが活性に必要である。分配係数に対してプロットした結果は、バイオフィルムをlogP>0の溶媒中でインキュベートした時に酵素活性が保存され、logP>2の溶媒ではほぼ100%の活性が保持され、一方、ホールセル触媒では、logPが0.6〜0.8の溶媒中で70〜90%の活性が保持されることを示している。これは、本システムのユニークな特徴であり、有機合成におけるこのバイオフィルムプラットフォームのより幅広い使用可能性を示している。
【0208】
アミラーゼSCが混和性有機溶媒に耐えられる限界があったのかを調べるために、10〜50%アセトニトリル、ジオキサン、DMF、及びDMSO中における活性を調べた(
図13C)。10%溶媒中でも、バイオフィルムは活性の30〜60%を失い、50%までにはほぼ全ての活性を失った。試験した溶媒の中で、DMSOで活性の減少が最も少なかった。
【0209】
種々の生体触媒的応用へのBIND技術の有用性を理解するために、細胞自体が触媒と同時に生きたままでいることができるかどうかを知ることが重要である。有機溶媒中で細胞が死んだ場合、細胞がcurliネットワーク及び酵素の両方を合成するようにプログラムされている場合に、細胞はそれらを再生することができない。この場合、curliは、多数の付着ドメインを有すること以外は合成重合体システムと同様な高表面積重合体として機能する。細胞が生き続けられる場合、curli及び酵素の両方が再生され、それらの構成要素のいずれかの発現を外部から調節できる、組込み型の再生可能なシステムを想像することができる。本システムがどのカテゴリーに属するかを理解するために、細胞の代謝活性を細胞生存率の尺度として調べた(
図13D)。最も疎水性の溶媒であるデカン(logP=5.6)が、インキュベーション後に細胞が生き続けた唯一の有機溶媒であった。
【0210】
しかし、有機溶媒とインキュベートした後の細胞死はこのシステムの有益な特徴となり得る。バイオフィルムリアクターを使用する場合の主な課題の1つは、細菌の成長を調節することが困難なことである。一般的に、細菌はリアクターを詰まらせるまで成長し、全システムの浄化及びバイオフィルムの交換の必要を生じさせる
22。本システムでは、触媒を破壊することなく細菌を殺すのに有機溶媒を用いることができ、この問題を効果的に解決する。
【0211】
結論
【0212】
本明細書は、改変バイオフィルムの細胞外マトリックス上にオルトゴナル酵素を固定化するための新規なプラットフォームを示している。BIND技術を用いて、機能的ハンドルを提示するバイオフィルムをE.coliのcurliネットワーク上に作った。その後、SpyTag−SpyCatcher技術を用いてαアミラーゼをバイオフィルムに部位特異的にコンジュゲートさせた。
【0213】
BINDシステムの新規性は、環境に優しくない合成重合体のスケーラブルな代替である機能化可能な重合体表面を作製できることである。ほとんどのそのような重合体と異なり、CsgA−STを発現するcurli線毛は、SpyCatcherとの融合タンパク質として発現させた任意の酵素により容易に修飾できる機能的ハンドルを提示する。合成重合体上に提示された酵素同様、BINDを用いた酵素提示は、ホールセル触媒中での基質と酵素の結合における物質輸送の制限なしに、生きた表面上での生体触媒作用を可能にする。
【0214】
更に、curli線毛の合成から酵素−SpyCatcher融合タンパク質の発現まで、システムの全ての部分が遺伝子的に調節可能であるので、このシステムは多くの応用に高度に適応可能である。BINDプラットフォームの中核は固定化戦略であり、本明細書は更に、BINDを酵素の提示に用いることができ、この際に酵素が厳しい環境条件から保護されることを示している。医薬の合成及び分解等の応用のための合成中間体の触媒作用のために酵素を最適化することに多くの研究努力が置かれ、将来も置かれるであろう。BINDシステムにより、研究者はcurliに付着させる酵素を簡単に交換することが可能になり、これらの新しい酵素をホールセル又はバイオフィルム触媒に組み込むために細菌を再改変する必要がなくなる。
【0215】
BINDシステムのもう1つの利点は、細胞の機能的状態が触媒作用と無関係であることである。ホールセルバイオフィルム触媒作用では、細胞のほんの一部だけが実際の触媒機能を果たしており
22、32、残りの細胞は成長中であるか、不活性であるか、死んでいる可能性がある。更に、細胞の代謝活性はバイオフィルム成熟プロセス中にシフトするため、実験の存続期間中、活性が一定でない
33。BINDでは酵素が外部重合体ネットワーク上に提示されるので、それらが反応を触媒する能力は細胞周期の段階に依存しない。
【0216】
本明細書中では、本明細書に記載の方法及び組成物は、SpyCatcher−SpyTag固定化のみを用いることにより、又は固定化ドメインの組合せを用いることにより、curli上での複数の酵素の提示を可能にすると考えられる。これにより、複数の酵素ステップを介して分子を合成又は分解できるバイオフィルムが生成する。以前に示されているように、ナノスケールでの一連の酵素ステップのクラスター化には触媒プロセスの効率の点で利点がある
34。
【0217】
最後に、BINDを用いた酵素提示の開発は、同じ細菌にcurli及び酵素合成機構を組み込むことを可能にする。curli及び酵素合成機構を組み込むことにより、固定化された細菌による酵素−SpyCatcher融合体の発現及び分泌が可能になり、別個のタンパク質単離ステップの必要がなくなる。これにより、完全に自己機能的な触媒表面が作られる。このような技術は、薬剤合成、廃水中の薬剤の分解、地下水からの汚染物質の除去、又はバイオエネルギーのための触媒表面の作製を含む多くの形態の「グリーンな」生体触媒作用に応用可能性がある。
【0218】
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【0219】
実施例5:改変Curliナノファイバーに由来するプログラム可能なバイオフィルムベース材料
【0220】
自律的に生成し、再生可能であり、プログラム可能である、自己組織化する生きたシステムが次世代の先端バイオマテリアルである。本明細書は、バイオフィルムのタンパク質性構成要素であるアミロイド形成タンパク質CsgA(1)に種々のペプチドを遺伝子的に付加することによるE.coliバイオフィルムマトリックスのプログラム可能な機能化のための戦略として「バイオフィルム組込み型ナノファイバーディスプレイ」(BIND)を記載する。CsgA融合タンパク質が、細胞搬出機構により首尾よく分泌され、アミロイドナノファイバーネットワークへと自己組織化し、目的のペプチドを高密度で提示する。提示されたペプチドドメインは、特異的表面への接着、ナノ粒子のテンプレーティング、タンパク質固定化、又はその組合せ等の種々の非天然機能をバイオフィルムに付与する。BINDは、バイオフィルムの広い機能化のための新規な戦略であり、デザイン可能なバイオマテリアルとしてのバイオフィルムの有用性を示している。
【0221】
前世紀に、本発明者らの理解における細菌システムの進歩は、もっぱら健康への脅威として考えられていた微生物の役割を、生体分子及び化学物質を生産するための遺伝子的にプログラム可能な工場として活用するところまで拡大した。細菌バイオフィルムは機能性先端材料と同様な軌道へと乗り出し始めた。自然界の細菌の大部分はバイオフィルムとして存在し、これは、細胞外多糖、タンパク質、及び他の生体分子構成要素のネットワーク中に落ち着いた細胞の組織化されたコミュニティーである(2)。この細胞外マトリックスは、厳しい環境から細菌を保護し、基質接着を仲介することにより、微生物の存続及び病原性を促進する。
【0222】
したがって、臨床感染においてバイオフィルムが果たすマイナスの役割のため、ほとんどのバイオフィルム研究はその根絶に焦点を合わせてきた。本明細書は、細菌がその構成原材料の合成、高次構造へのその組織化、及びその長期間の維持のための生きた工場として機能する、プログラム可能でモジュール的な自己組織化ナノ材料のプラットフォームとしてのバイオフィルムの資源化(domestication)を記載する。エネルギー生成(3)、廃水処理(4)、及びバイオトランスフォーメーション(5)等の有益な目的のための天然バイオフィルムの使用に関する限定的な研究があるが、バイオフィルムの形成、形態、接着、及び機能を合理的に改変する方法がないため、その広い使用が妨げられている。今日までのバイオフィルムの改変は、バイオフィルム材料自体ではなく細胞集団を変えることに焦点を合わせてきた。種々の細胞外スキャフォールド上にペプチド及びタンパク質を提示する方法が存在するが(6)、バイオフィルムマトリックスの分子の構造及び特性を合理的に改変しようとする努力は、本発明者らの知る限り、全くなされていなかった。
【0223】
実用的な応用のためにバイオフィルム細胞外マトリックスを改変する本明細書に記載されている本発明のアプローチは、E.coliバイオフィルムの主要なタンパク質性構造構成要素であるcurliシステムに焦点を合わせている。Curliは、細胞を封入する絡み合ったネットワークを形成する直径約7nmの非常に強固な機能性アミロイドナノファイバーである。Curliは、13kDaの小さな分泌型タンパク質である細胞外自己組織化CsgAから形成される。相同な外膜タンパク質CsgBが、CsgA組織化の核となり、更に細菌表面にナノファイバーを固定する。curli生合成オペロンは7個の遺伝子(csgA〜G)を含み(1)、その生成物はCsgA及びCsgBのプロセシング(CsgE、F)、分泌(CsgC、G)、及び転写制御(CsgD)を仲介する。
【0224】
curliシステムは、本明細書に記載の合成生物学による種類の物質改変に理想的なプラットフォームとなる多くの特徴を示す。第1に、curliナノファイバーは、主に1種類のタンパク質で構成されるので、通常の遺伝子操作方法を用いて非常に多様なバイオフィルム細胞外マトリックスを作るための扱い易い入口となる。対照的に、タンパク質合成機構と比べて多糖合成はしばしば多段階経路と関連しており、化学的に多様なモノマーへの許容度が限定されているので、バイオフィルムの菌体外多糖構成要素の改変はより困難であると考えられる。第2に、CsgAにより形成される機能性アミロイド繊維は非常に強固であり、洗剤中での煮沸(7)及び溶媒中での長期インキュベーションに耐えられ、このことは厳しい環境での潜在的有用性を高めている。同様なアミロイドナノファイバーが、鋼に匹敵する強度及び絹に匹敵する機械的堅さを有することが示されており(8)、このことは、高アミロイド含有量のバイオフィルムが物理的に厳しい環境に耐え得ることを示唆している。第3に、機能性アミロイド細線維は多くの天然細菌バイオフィルム中で豊富であり、全生体量(biovolume)の最大10〜40%までを構成することがあり(9)、このことは、curliを人工的に改変してバイオフィルムのかなりの部分を構成させることができることを示唆している。更に、類似の細胞外機能性アミロイドが多くの細菌により産生されているが、curliシステムは最もよく研究されており、標準的なモデル細菌に天然のものであるので、改変物質開発の魅力的な出発プラットフォームである。最後に、近年の発見により、curliシステムがアミロイド形成ポリペプチドを効率的に搬出でき、機能性CsgA−ラクダ抗体断片融合体を発現できることが示されており、このことは、E.coliバイオフィルムマトリックス全体に機能性ペプチドを提示するための広くモジュール的な方法にcurliシステムを使用できることを示している(10、11)。
【0225】
BINDシステムは、機能性ペプチドドメインをCsgAタンパク質に融合させることによるE.coliバイオフィルムマトリックスの正確な遺伝的プログラミングを可能にする(
図16A)。本明細書中に、キメラCsgAバリアントが、天然の細胞搬出機構により分泌され、野生型システムに似たcurli線毛ネットワークへと組織化することを示す。更に、この技術が種々の長さ及び二次構造の幅広いペプチドドメインと適合することを示す。最後に、ペプチドドメインが、分泌及び組織化後に機能を維持しており、バイオフィルム全体に人工的機能を付与することを示す。3つの実証実験において、バイオフィルムに種々の機能、すなわち非生物的表面への特異的接着、ナノ粒子のテンプレーティング、及び任意の機能化組換えタンパク質の部位特異的共有結合固定化、をプログラムする能力が明らかにされる。
【0226】
CsgAにペプチドを付加するための好適な融合点を決定するために、ステンレス鋼表面に強く結合することが知られている(12)ペプチドドメインへのN末端及びC末端融合体からなるライブラリーを作製した(
図3)。線状のペプチド及び環状に束縛されたペプチドのどちらも組込みが可能となるように末端融合体を選択した。種々の可変リンカー長を用いて各末端につき3つのバリアントを調製した。天然制御下で残りのcurliプロセシング機構を保持しているE.coliのcsgA欠失株(LSR10)中でcsgAバリアントを発現させた(13)。この株は鞭毛、セルロース、又はLPS O多糖を生成しない(14〜16)。したがって、全ての細胞外繊維は、異種改変CsgA融合変異体の自己組織化のみに起因し得る。アミロイドを染色する比色分析用色素コンゴーレッド(CR)を用いて、種々の変異体のcurli生成の程度を決定した。このアッセイによれば、CsgAとMBDとの間に最も長いC末端リンカーを有するC3融合部位のみがかなりの量のアミロイド繊維を形成した(
図1B)。N末端融合体は、CsgG特異的搬出認識配列に近接しているため、細胞搬出を阻害した可能性がある。C3変異体curli線毛の走査型電子顕微鏡観察(SEM、
図16M)及び透過型電子顕微鏡観察(TEM、図
図20M)による特徴解析により、これらが野生型CsgA繊維と類似の形態を示すことが確認された。
【0227】
好適な融合部位を同定し、分泌及び組織化に対するペプチドの長さ及び構造の影響を試験するために12個のペプチドドメイン融合体のライブラリーを作った。ライブラリーのメンバーは、長さが7〜59アミノ酸にわたり、幅広い機能をコードし(17〜28)、これらを6アミノ酸可変リンカーを用いてCsgAのC末端に融合させた(表1、
図17)。ライブラリーのメンバーをLSR10細胞中にクローニングし、CR染色によりcurliの形成について調べた。CRプレートにスポットした形質転換体の染色強度を測定することにより、ライブラリーのメンバー間のcurli生成の量的変化をモニタリングした(
図16B)。修飾curliバイオフィルムのSEM(
図16C〜16P)及びTEM(
図20A〜20N)は、細胞外アミロイドの生成についてのCRデータを裏付けている。全体的に、ほとんどの小さいペプチド融合体はcurli搬出機構に許容され、アミロイドネットワークへと組織化することができた。抗FLAG抗体を有するCsgA−FLAG変異体を発現するBINDバイオフィルムの免疫染色により、ペプチドドメインの存在及びアクセスし易さが確認された(
図21A〜21B)。陽性のCR染色がなかった唯一の変異体は59アミノ酸のMms6タンパク質ドメインであり、このことから、長い配列又は固有の構造を有するポリペプチドが、ポアサイズが2nmであるCsgG外膜トランスポーターを介して効率的に搬出されない可能性があるという過去の報告(10、29)が確認された。curli生成株では、CsgA−ペプチド融合体はwt−CsgAと同様な形態のナノスケールの繊維へと組織化されている(
図16C〜16O)。繊維は、特徴的な絡み合った形態を示し、メッシュ様のネットワークで細胞表面に密に結合しているようであり、任意の配列及び機能のペプチドがcurli線毛の表面に提示され得ることを示唆している。FLAG−BIND等のBINDバリアントのいくつかは、通常のcurliバイオフィルムでは見られない広範囲にわたる薄い布地様の2Dメッシュを形成する能力を示し、このことは、このプラットフォームを操作してバイオフィルムの巨大分子構造を変えることもできることを示唆している(
図22)。
【0228】
BINDシステムの真価は、機能をモジュール方式で遺伝的にプログラムできる活性表面コーティングとして機能できることである。これらの能力のいくつかの証明として、3つのペプチドを表1から選択し(MBD、A3、及びSpyTag)、それらがcurli生産性バイオフィルムに新しい機能を導入する能力、具体的には非生物的表面への接着を強化させる能力、無機ナノ粒子の成長のバイオテンプレートとなる能力、及び全長タンパク質を共有結合的に固定する能力を試験した。これらの実験には、curliプロセシング機構を過剰発現し、CR陽性のバイオフィルムを生成できるcsgA欠失株であるPHL628を用いた(
図4)(30)。
【0229】
BINDを界面材料開発の効率的なプラットフォームにするためには、特異的非生物的表面へのナノファイバーの接着を調整することが重要である。この能力の例として、最も多用途で広く用いられる鋼合金である304Lステンレス鋼への、MBDを提示するE.coli細胞の接着を試験した。CsgA−MBD変異体を発現するPHL628細胞を304L片上にスポットし、48時間接着させた後、非特異的結合細胞を除去するために水性緩衝液中で激しく洗浄した(
図5A)。CsgA−MBD融合体で構成されるバイオフィルムは洗浄手順に耐えたが、wt−CsgAを発現するもの又はCsgAを発現しないものは表面から容易に洗い落とされた(
図18B〜18E)。この結果は、MBDを用いたBINDプログラミングがバイオフィルムへの接着機能の付与に充分であることを示している。BINDプラットフォームのモジュール性は、非特異的バイオフィルム成長が不利益と見なされるバイオレメディエーション又は化学合成における用途のためのバイオフィルム接着をデザインするためのプラグ・アンド・プレイアプローチに適している。この能力は、バイオフィルム形成の空間的調節のためにパターン化された表面が用いられる応用、又は産業用バイオリアクターの場合にしばしばそうであるように、バイオフィルムの成長を特定の物質に限定することが望ましい応用において特に有用である。
【0230】
表面へのペプチド結合は物質のテンプレーティングを促進するために用いることもでき、これはCsgA−A3融合体で構成されるBINDを用いて本明細書中で実証される。A3ペプチドは、銀に結合するようにファージディスプレイによって過去に開発されたものであり、銀ナノ粒子のテンプレーティングを調節することが示されている。A3−BINDバイオフィルムは、野生型バイオフィルムとは対照的に、AgNO3溶液から成長中の銀ナノ粒子に結合する能力の強化を示す(
図18D〜18E)。短いペプチドを提示することに加え、任意の長さ及び次元の全長タンパク質を提示して人工的な触媒、電子輸送、又はセンシングの能力を有するバイオフィルムをプログラムするためにBINDシステムを用いることができれば、BINDシステムの有用性は大幅に広がると考えられた。13アミノ酸ペプチド(SpyTag)が15kDaタンパク質(SpyCatcher)とイソペプチド結合を形成する、分割アドへシンシステム(split−adhesin system)(31)を用いて、完全に遺伝子的にコード可能な戦略を用いて(
図19A)、BINDネットワーク上にタンパク質を共有結合的に固定した。したがって、CsgA−SpyTagキメラを提示するバイオフィルムを、PHL628細胞を用いてガラス基質上で成長させ、wt−CsgA又はCsgA−SpyTagのいずれかが発現した時に特徴的curliネットワークが形成された(
図19B〜19G)。SpyCatcher−Venus融合タンパク質を用いてSpyTagドメインの存在及び機能性を調べた。SpyCatcher−Venus又は非機能性変異体(SpyCatcherEQ−Venus)のいずれかを用いた処理により、CsgA−SpyTagを発現するバイオフィルムだけがSpyCatcher−Venusに結合できることが明らかになった(
図6F)。これらの結果は、SpyTagペプチドをCsgAに融合させることができ、ペプチドがcurliネットワーク形成後にその機能を維持していることを裏付けている。固定化プロセスを更に単純化するために精製タンパク質の代わりにSpyCatcher融合タンパク質を含む非精製細胞溶解物を用いても同様な結果が得られたことから(非掲載データ)、複雑な混合物中でもCsgASpyTag curliネットワークとその同族SpyCatcher融合タンパク質との間の結合特異性が示された。BINDのこの特徴は、酵素再利用のための効率的固定化プロセスを開発するために、生体触媒作用の領域において特に有用である。
【0231】
本明細書は、ナノファイバースキャフォールドの作製、酵素の生合成、及び固定化反応の全てを、精製ステップなしに単一の改変細菌株によって達成することができる、BINDプラットフォームを用いたエレガントな戦略を記載する。
【0232】
BINDの重要な側面は、curli線毛のランダムな細胞外自己組織化により、種々のCsgA融合体の発現によって多機能性のバイオフィルム表面が得られることである。したがって、BIND構造は、接着、提示、分子的テンプレーティング、又はタンパク質固定化の任意の組合せにプログラムすることができる。この特徴は本明細書中で、CsgA−FLAG及びCsgA−SpyTagを共培養して、FLAGタグを提示でき且つSpyTag−SpyCatcherシステムを介してGFPを固定化できる二機能性BINDバイオフィルムが生成することにより実証される(非掲載データ)。
【0233】
本明細書中で、バイオフィルムに新たな機能を導入する目的での微生物細胞外マトリックス構成要素の合理的分子デザインのための戦略が実証される。これらの結果は、アミロイドベースの細胞外マトリックスへと自己組織化できる種々のキメラCsgA−ペプチドコンストラクトをE.coliのcurliシステムが分泌及び組織化できることを示している。融合させたペプチドドメインは、ネットワーク表面に高密度で提示され、組織化後でもその機能を維持している。本明細書中で、3つの別個の非天然機能(鋼表面への接着、銀ナノ粒子のテンプレーティング、及び共有結合によるタンパク質固定化)を、種々の改変ペプチド配列の所定の機能に基づきE.coliバイオフィルム中にモジュール的に導入できることが示される。重要なことに、各機能的実証は、システムの再最適化を必要とせずに達成され、このことは、本システムに他の配列を容易に組み込んで様々な非天然機能を有する、更には一度に複数の新規な機能を有する材料を利用できることを示している。BINDは、既知のペプチド及びタンパク質の多様なレパートリーから引き出すことができる機能を有する界面ナノ材料の迅速な開発に役立つ。これらのバイオフィルムをベースとする材料は、細胞生存の助けとなり得る又はならないかもしれない幅広い環境で用いることができる。快適な環境では、バイオフィルムの封入された細胞は時間をかけて自己再生するように若しくは材料を修復させるように、又は環境要因に応答して材料を変化させるように誘導され得る。しかし、より厳しい環境では、強固な改変されたマトリックスは、メンテナンスを必要とせずに自身で機能し得る。本明細書に記載の方法及び組成物を用いて、類似の機能性アミロイドを有する多くの他の微生物バイオフィルム(例えば、Salmonella、Pseudomonas、Bacillus spp.)に新しい機能を導入して各野生型株の特定の特徴を利用することができる。改変細菌が急速に増殖すること、及び外部マトリックスの生合成に石油由来の構成原材料を必要としないことを考えると、BINDは、幅広いサイズ規模及び環境にわたるカスタマイズされた界面材料を作製するためのスケーラブル且つ「グリーンな」アプローチとして有用であり得る。
【0234】
材料及び方法
【0235】
細胞株及びプラスミド。全てのクローニング及びタンパク質発現は、それぞれMach1(商標)(インビトロジェン社)及びRosetta(商標)細胞(EMD社)中で行われた。csgA遺伝子はE.coli K−12ゲノムDNAから単離され、Trcプロモーターの調節下にあるColE1プラスミドであるpBbE1aにクローニングされた。ペプチドインサート領域は、完全に合成されたか(インテグレイテッドDNAテクノロジーズ社)、オーバーラップエクステンションによりPCR生成された。全てのクローニングは、等温ギブソン・アセンブリーを用いて行われ、DNAシークエンシングにより確認された。
【0236】
Curliバイオフィルム形成。curliを生成するために、CsgA又はCsgA−ペプチド融合体をコードするpBbE1aプラスミドでLSR10細胞又はPHL628細胞を形質転換した。陰性対照として、空のpBbE1aプラスミドで細胞を形質転換した。その後、10g/Lのカザミノ酸、1g/Lの酵母抽出物、及び20g/Lの寒天を含むYESCA−CRプレート上に細胞を画線又はスポットした。これらのプレートには、100μg/mLのアンピシリン、0.5mMのIPTG、25μg/mLのコンゴーレッド、及び5μg/mLのブリリアントブルーG250を補った。その後、プレートを25℃で48時間インキュベートし、次いで、イメージングしてコンゴーレッド結合の程度を決定した。スポットしたプレートでは、YESCA−CRプレートに20μLをスポットする前に、100μg/mLのアンピシリン及び0.2mMのIPTGを補ったYESCA液体培地中で25℃にて48時間形質転換体を成長させた。
【0237】
TEM及びSEM。Curli形成した野生型又はBIND細胞サンプルを、誘導したYESCA培養物から直接取り出すか、YESCA−CRプレートから掻き取り、ミリポアH2Oに再懸濁した。TEM分析では、5μLのサンプルをフォルムバール−カーボングリッド(Electron Microscopy Sciences社)上にスポットし、ミリポアH2Oで洗浄し、1%ウラニルホルマートで染色した後、JEOL 1200 TEMを用いて分析した。SEM分析では、サンプルをNucleoporeフィルターに減圧下でアプライし、ミリポアH2Oで洗浄し、2%グルタルアルデヒド+2%パラホルムアルデヒドを用いて4℃で一晩固定した後、1%四酸化オスミウムで固定した。その後、サンプルをミリポアH2O中で洗浄し、増加エタノールステップグラジエント、その後ヘキサメチルジシラザンステップグラジエントで脱水した後、金スパッタリングし、Zeiss Supra55VP(商標) FE−SEMを用いて分析した。
【0238】
免疫金TEM。FLAGタグを提示するBIND細胞の抗FLAG免疫金標識のために、前述したように最初に細胞をニッケルTEMグリッドに接着させた。その後、グリッドをブロッキングバッファー(PBS+1%BSA)中で3回洗浄し、一次抗FLAGマウス抗体とPBSの1:1000希釈物を含む液滴上に下向きに30分間浮かせ、ブロッキングバッファー中で再度洗浄した後、1:1000希釈された抗マウス15nm金コンジュゲート抗体の液滴上に30分間浮かせた。最後にPBS中で3回、次いでミリポアH2O中で洗浄した後、1%ウラニルホルマートで15秒間グリッドを染色し、JEOL 1200(商標) TEMを用いてイメージングした。
【0239】
304Lステンレス鋼片へのMBD−BIND結合。鋼合金304L片(アラバマ・スペシャルティ・プロダクツ社(Alabama Specialty Products, Inc.))を目の細かい紙やすり、アセトン、ミリポア水でクリーンにし、1M NaOH中、80℃で1時間、超音波処理し、ミリポア水で再度洗浄し、最後にアセトンですすいだ後、風乾した。PHL628 csgA形質転換体を前述したようにYESCA培地中で成長させ、0.5mM IPTG及び3%DMSOを添加することにより25℃、150rpmで48時間誘導した。細胞培養液をOD600=1に標準化し、20μLを304L片上にスポットした。スポットされた片を無菌ペトリ皿中に置き、4℃に置いて蒸発を最小限に抑えて付着させた。48時間後、片をPBSで短時間すすぎ、PBSを満たしたチューブに入れ、ボルテックスの設定を5にして30秒のボルテックスを3回行った。その後、前述したプロトコールに従い、片を固定し、SEM画像を得た。
【0240】
銀ナノ粒子のテンプレーティング。PHL628 csgA細胞を、野生型CsgA又はCsgA−A3を発現するプラスミドで形質転換し、100μg/mLのカルベニシリンを含むYESCAブロスで0.2mM IPTGで48時間誘導した。細胞及びcurliをペレット化により単離した後、PBS+CMに再懸濁した。ニッケルフォルムバール/カーボンTEMグリッドを、これらの再懸濁サンプルの液滴に浮かべ、PBS+CMで2回、mpH2Oで3回洗浄した後、147mM AgNO3を含む液滴上で4時間インキュベートした。次いで、グリッドをmpH2Oで3回洗浄し、ネガティブ染色し、前述したようにTEMで分析した。
【0241】
バイオフィルム蛍光顕微鏡イメージング。対照、野生型CsgA、及びCsgA−SpyTagを発現するプラスミドで形質転換したPHL628 csgA細胞を、100μg/mLのアンピシリンを含む20mLのYESCAブロス中で、ODが0.6になるまで30℃で成長させた。プラズマ活性化及びPLL機能化カバースリップを培養液に入れ、0.5mM IPTG及び3%DMSOを加えることによりcurli発現及びバイオフィルム形成を誘導した。培養物を、25℃、150rpmで48時間成長させた。スライドを培養液から取り出し、150rpmで振盪しながら洗浄バッファー(1×PBS+0.5%Tween 20)中で20分間、3回洗浄した。洗浄後、0.5mLの1mg/mL Venus−SpyCatcher又はVenus−SpyCatcher(E77Q)溶液(PBS+1%BSA+0.5%Tween中)をスライドに加えた。バイオフィルムを1時間インキュベートした後、洗浄バッファーを用いて20分間の洗浄を2回行った。その後、サンプルをSYTO−61(10μM)で20分間染色し、150rpmで振盪しながら洗浄バッファーを用いて15分間の洗浄を2回行った。その後、スライドをLeica TIRF DM16000B(商標)を用いて60倍及び100倍で落射蛍光モードでイメージングした。多機能性BIND実験では、初期OD600=2.5の細胞を、誘導条件下(YESCA、0.5mM IPTG、100ng/mLカルベニシリン、3%DMSO)でMatTek社のガラス底ディッシュ中で72時間培養した。その後、バイオフィルムをPBST中で10分間、3回洗浄し、1%BSAのPBSTで1時間ブロッキングし、清澄化した細胞溶解物を含むVenus−SpyCatcherと1時間インキュベートした。その後、ディッシュを穏やかに振盪しながら0.1%BSA+PBSTで徹底的に洗浄した後、抗FLAG DyLight 680抗体(ピアース社)と1時間インキュベートした。サンプルを上記と同様に0.1%BSA+PBSTで洗浄し、2%グルタルアルデヒド+2%パラホルムアルデヒドを含む0.1Mカコジル酸ナトリウムバッファーで15分間固定し、その後、PBS+10mMグリシン中で4℃で一晩インキュベートして自己蛍光を除いた。全ての多機能性BINDサンプルをLeica SP5 X MP(商標)倒立共焦点顕微鏡を用いて分析した。
【0242】
SpyCatcher−Venusの構築及び発現。pDEST14−SpyCatcher−Venusを含むRosetta(商標)細胞形質転換体を、100g/mLアンピシリンを補った500mL培養液に接種し、OD0.6まで37℃で6時間成長させた。SpyCatcher−Venus発現を0.5mM IPTGで誘導し、18℃で一晩発現させた。細胞を回収及び溶解し、Ni−NTAカラムを用いてSpyCatcher−Venusを精製した。タンパク質を回収し、バッファーを50mMリン酸バッファー/50mM NaCl(pH7)に交換し、濃縮し、その後の使用まで−80℃で保存した。E77Q変異体も同様に精製した。
【0243】
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【0244】
配列番号1 CsgAポリペプチド NCBI Ref Seq:NP_415560
1 mkllkvaaia aivfsgsala gvvpqygggg nhggggnnsg pnselniyqy gggnsalalq
61 tdarnsdlti tqhgggngad vgqgsddssi dltqrgfgns atldqwngkn semtvkqfgg
121 gngaavdqta snssvnvtqv gfgnnatahq y
【0245】
配列番号2 CsgA−SpyTagの核酸配列
ATGAAACTTTTAAAAGTAGCAGCAATTGCAGCAATCGTATTCTCCGGTAGCGCTCTGGCAGGTGTTGTTCCTCAGTACGGCGGCGGCGGTAACCACGGTGGTGGCGGTAATAATAGCGGCCCAAATTCTGAGCTGAACATTTACCAGTACGGTGGCGGTAACTCTGCACTTGCTCTGCAAACTGATGCCCGTAACTCTGACTTGACTATTACCCAGCATGGCGGCGGTAATGGTGCAGATGTTGGTCAGGGCTCAGATGACAGCTCAATCGATCTGACCCAACGTGGCTTCGGTAACAGCGCTACTCTTGATCAGTGGAACGGCAAAAATTCTGAAATGACGGTTAAACAGTTCGGTGGTGGCAACGGTGCTGCAGTTGACCAGACTGCATCTAACTCCTCCGTCAACGTGACTCAGGTTGGCTTTGGTAACAACGCGACCGCTCATCAGTACGGCAGCGGTGGTTCTGGCGCGCACATCGTTATGGTTGACGCGTACAAACCGACCAAATGA
【0246】
配列番号3 CsgA−SpyTagのアミノ酸配列
MKLLKVAAIAAIVFSGSALAGVVPQYGGGGNHGGGGNNSGPNSELNIYQYGGGNSALALQTDARNSDLTITQHGGGNGADVGQGSDDSSIDLTQRGFGNSATLDQWNGKNSEMTVKQFGGGNGAAVDQTASNSSVNVTQVGFGNNATAHQYGSGGSGAHIVMVDAYKPTK
【0247】
配列番号4 アミラーゼ−SpyCatcherの核酸配列
ATGGGCAGCAGCCATCATCATCATCATCACAGCAGCGGCCTGGTGCCGCGCGGCAGCCATATGGCAAATCTTAATGGGACGCTGATGCAGTATTTTGAATGGTACATGCCCAATGACGGCCAACATTGGAAGCGCTTGCAAAACGACTCGGCATATTTGGCTGAACACGGTATTACTGCCGTCTGGATTCCCCCGGCATATAAGGGAACGAGCCAAGCGGATGTGGGCTACGGTGCTTACGACCTTTATGATTTAGGGGAGTTTCATCAAAAAGGGACGGTTCGGACAAAGTACGGCACAAAAGGAGAGCTGCAATCTGCGATCAAAAGTCTTCATTCCCGCGACATTAACGTTTACGGGGATGTGGTCATCAACCACAAAGGCGGCGCTGATGCGACCGAAGATGTAACCGCGGTTGAAGTCGATCCCGCTGACCGCAACCGCGTAATTTCAGGAGAACACCCAATTAAAGCCTGGACACATTTTCATTTTCCGGGGCGCGGCAGCACATACAGCGATTTTAAATGGCATTGGTACCATTTTGACGGAACCGATTGGGACGAGTCCCGAAAGCTGAACCGCATCTATAAGTTTCAAGGAAAGGCTTGGGATTGGGAAGTTTCCAATGAAAACGGCAACTATGATTATTTGATGTATGCCGACATCGATTATGACCATCCTGATGTCGCAGCAGAAATTAAGAGATGGGGCACTTGGTATGCCAATGAACTGCAATTGGACGGTTTCCGTCTTGATGCTGTCAAACACATTAAATTTTCTTTTTTGCGGGATTGGGTTAATCATGTCAGGGAAAAAACGGGGAAGGAAATGTTTACGGTAGCTGAATATTGGCAGAATGACTTGGGCGCGCTGGAAAACTATTTGAACAAAACAAATTTTAATCATTCAGTGTTTGACGTGCCGCTTCATTATCAGTTCCATGCTGCATCGACACAGGGAGGCGGCTATGATATGAGGAAATTGCTGAACGGTACGGTCGTTTCCAAGCATCCGTTGAAATCGGTTACATTTGTCGATAACCATGATACACAGCCGGGGCAATCGCTTGAGTCGACTGTCCAAACATGGTTTAAGCCGCTTGCTTACGCTTTTATTCTCACAAGGGAATCTGGATACCCTCAGGTTTTCTACGGGGATATGTACGGGACGAAAGGAGACTCCCAGCGCGAAATTCCTGCCTTGAAACACAAAATTGAACCGATCTTAAAAGCGAGAAAACAGTATGCGTACGGAGCACAGCATGATTATTTCGACCACCATGACATTGTCGGCTGGACAAGGGAAGGCGACAGCTCGGTTGCAAATTCAGGTTTGGCGGCATTAATAACAGACGGACCCGGTGGGGCAAAGCGAATGTATGTCGGCCGGCAAAACGCCGGTGAGACATGGCATGACATTACCGGAAACCGTTCGGAGCCGGTTGTCATCAATTCGGAAGGCTGGGGAGAGTTTCACGTAAACGGCGGGTCGGTTTCAATTTATGTTCAAAGAGGCGGCGGTTCTGATTACGACATCCCAACGACCGAAAACCTGTATTTTCAGGGCGCCATGGTTGATACCTTATCAGGTTTATCAAGTGAGCAAGGTCAGTCCGGTGATATGACAATTGAAGAAGATAGTGCTACCCATATTAAATTCTCAAAACGTGATGAGGACGGCAAAGAGTTAGCTGGTGCAACTATGGAGTTGCGTGATTCATCTGGTAAAACTATTAGTACATGGATTTCAGATGGACAAGTGAAAGATTTCTACCTGTATCCAGGAAAATATACATTTGTC
GAAACCGCAGCACCAGACGGTTATGAGGTAGCAACTGCTATTACCTTTACAGTTAATGAGCAAGGTCAGGTTACTGTAAATGGCAAAGCAACTAAAGGTGACGCTCATATTTAA
【0248】
配列番号5 アミラーゼ−SpyCatcherのアミノ酸配列
MGSSHHHHHHSSGLVPRGSHMANLNGTLMQYFEWYMPNDGQHWKRLQNDSAYLAEHGITAVWIPPAYKGTSQADVGYGAYDLYDLGEFHQKGTVRTKYGTKGELQSAIKSLHSRDINVYGDVVINHKGGADATEDVTAVEVDPADRNRVISGEHPIKAWTHFHFPGRGSTYSDFKWHWYHFDGTDWDESRKLNRIYKFQGKAWDWEVSNENGNYDYLMYADIDYDHPDVAAEIKRWGTWYANELQLDGFRLDAVKHIKFSFLRDWVNHVREKTGKEMFTVAEYWQNDLGALENYLNKTNFNHSVFDVPLHYQFHAASTQGGGYDMRKLLNGTVVSKHPLKSVTFVDNHDTQPGQSLESTVQTWFKPLAYAFILTRESGYPQVFYGDMYGTKGDSQREIPALKHKIEPILKARKQYAYGAQHDYFDHHDIVGWTREGDSSVANSGLAALITDGPGGAKRMYVGRQNAGETWHDITGNRSEPVVINSEGWGEFHVNGGSVSIYVQRGGGSDYDIPTTENLYFQGAMVDTLSGLSSEQGQSGDMTIEEDSATHIKFSKRDEDGKELAGATMELRDSSGKTISTWISDGQVKDFYLYPGKYTFVETAAPDGYEVATAITFTVNEQGQVTVNGKATKGDAHI
(付記)
<1> CsgAポリペプチドに隣接するC末端提示タグを有するCsgAポリペプチドを含む、改変CsgAポリペプチドであって、
前記提示タグが、活性ポリペプチド及びリンカー配列を含み、
前記リンカー配列が、前記提示ポリペプチドのN末端側に位置し、
前記リンカー配列が少なくとも6アミノ酸を含む、
ポリペプチド。
<2> 前記リンカー配列が、グリシン残基及びセリン残基からなる、<1>に記載のポリペプチド。
<3> 前記提示タグ及び/又は前記活性ポリペプチドが、
金属結合ドメイン(MBD);SpyTag;グラフェン結合(GBP);カーボンナノチューブ結合(CBP);金結合(A3);CT43;FLAG;Z8;E14;QBP1;CLP12;及びAFP8
からなる群から選択されるポリペプチドを含む、<1>〜<2>のいずれか一項に記載のポリペプチド。
<4> 前記活性ポリペプチドがコンジュゲーションドメインを含む、<1>〜<2>のいずれか一項に記載のポリペプチド。
<5> 前記コンジュゲーションドメインが、
SpyTag;ビオチンアクセプターペプチド(BAP);ビオチンカルボキシルキャリアータンパク質(BCCP);及びLPXTGモチーフを含むペプチド
からなる群から選択される、<4>に記載のポリペプチド。
<6> <1>〜<5>のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする核酸配列。
<7> <6>に記載の核酸配列を含むベクター。
<8> <1>〜<7>のいずれか一項に記載のベクター、核酸配列、又はポリペプチドを含む改変微生物細胞。
<9> コンジュゲーションドメインを含む活性ポリペプチドを含む改変CsgAポリペプチドを発現する、<7>に記載の細胞。
<10> パートナーコンジュゲーションドメインを含む機能化ポリペプチドをコードする核酸配列を更に含む、<9>に記載の細胞。
<11> 第1の細胞型及び第2の細胞型を含む細胞集団であって、前記第1の細胞型が、<9>に記載の細胞であり、前記第2の細胞型が、パートナーコンジュゲーションドメインを含む機能化ポリペプチドをコードする核酸配列を含む、細胞集団。
<12> <8>〜<11>のいずれか一項に記載の細胞を含むバイオフィルム。
<13> バイオフィルムの生成に適した条件下で<8>〜<11>のいずれか一項に記載の細胞を培養することにより生成するバイオフィルム。
<14> <8〜<11>のいずれか一項に記載の細胞を含む、<13>に記載のバイオフィルム。
<15> <1>〜<6>のいずれか一項に記載のポリペプチドを含む組成物。
<16> <1>〜<6>のいずれか一項に記載のポリペプチドを含むフィラメントを含む、<15>に記載の組成物。
<17> タンパク質性ネットワークを含む、<15>〜<17>のいずれか一項に記載の組成物。
<18> さらなるタンパク質性バイオフィルム構成要素を更に含む、<15>〜<18>のいずれか一項に記載の組成物。
<19> <8>〜<11>のいずれか一項に記載の細胞を更に含む、<15>〜<19>のいずれか一項に記載の組成物。
<20> 前記バイオフィルム内に、又は前記組成物を用いて、又は前記細胞表面上にポリペプチドを提示するための、<8>〜<19>のいずれか一項に記載の細胞、組成物、又はバイオフィルムの使用。
<21> 生体触媒作用;産業用生体触媒作用;固定化された生体触媒作用;化学生産;濾過;水溶液からの分子の単離;水の濾過;バイオレメディエーション;ナノ粒子合成;ナノワイヤー合成;光学活性材料の提示;バイオセンサー;表面コーティング;治療用バイオマテリアル;生物学的スキャフォールド;物体の構造的補強;及び治療剤のデリバリーシステム、
からなる群から選択される用途における、<8>〜<19>のいずれか一項に記載の細胞、組成物、又はバイオフィルムの使用。