特許第6618922号(P6618922)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6618922
(24)【登録日】2019年11月22日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】軸受ユニット
(51)【国際特許分類】
   F16D 21/06 20060101AFI20191202BHJP
   F16D 25/063 20060101ALI20191202BHJP
   F16D 25/10 20060101ALI20191202BHJP
   F16D 13/46 20060101ALI20191202BHJP
   F16D 23/14 20060101ALI20191202BHJP
   F16C 19/16 20060101ALI20191202BHJP
   F16C 35/063 20060101ALI20191202BHJP
   F16C 35/073 20060101ALI20191202BHJP
【FI】
   F16D21/06
   F16D25/063
   F16D25/10 A
   F16D13/46 C
   F16D23/14 J
   F16C19/16
   F16C35/063
   F16C35/073
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-560403(P2016-560403)
(86)(22)【出願日】2015年3月13日
(65)【公表番号】特表2017-510767(P2017-510767A)
(43)【公表日】2017年4月13日
(86)【国際出願番号】DE2015200157
(87)【国際公開番号】WO2015149776
(87)【国際公開日】20151008
【審査請求日】2018年3月9日
(31)【優先権主張番号】102014205972.0
(32)【優先日】2014年3月31日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ボスニャック
【審査官】 日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0132712(US,A1)
【文献】 特開2000−81046(JP,A)
【文献】 特開2003−247558(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第10334867(DE,A1)
【文献】 特表2002−517692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 11/00−23/14
F16D 25/00−39/00,48/00−48/12
F16C 19/00−19/56,33/30−33/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に自動車用のクラッチのカバー(3)においてレリーズシリンダ(2)を支持する軸受ユニット(1)であって、前記クラッチの回転軸線に対して同心的に配置されたレリーズシリンダ(2)を有しており、該レリーズシリンダ(2)は、前記クラッチのクラッチカバー(3)によって支持されており、前記クラッチを前記レリーズシリンダに対して相対回動可能に支持するために、前記クラッチカバー(3)と前記レリーズシリンダ(2)との間に軸受(7)が配置されており、前記レリーズシリンダ(2)は、前記軸受(7)の軸受内輪(8)によって半径方向内側に受容された円筒状の外面(11)を有しており、前記クラッチカバー(3)は、前記軸受(7)の軸受外輪(9)を半径方向内側に受容する円筒状の開口(14)を備えて形成されており、前記軸受外輪(9)は、半径方向外側に段部(15)を有しており、前記クラッチカバー(3)は、半径方向内側にL字形の領域(16)を有しており、該L字形の領域(16)は、半径方向に延在する第1の脚部(17)と、軸方向に延在する第2の脚部(18)とを備えており、前記クラッチカバーは、前記第1の脚部(17)と前記第2の脚部(18)とで以て、前記軸受外輪(9)に当て付けられている、軸受ユニットにおいて、
前記軸受は、半径方向に向けられた中心軸線(20)を備える転動体(10)を有しており、前記軸受外輪(9)と前記第1の脚部(17)との当接領域は、前記中心軸線(20)の一方の側に配置されており、軸方向に延在する前記第2の脚部(18)は、前記第1の脚部(17)の当接領域も配置されている前記中心軸線(20)の側でのみ、前記軸受外輪(9)に当接していることを特徴とする、軸受ユニット。
【請求項2】
特に自動車用のクラッチのカバー(3)においてレリーズシリンダ(2)を支持する軸受ユニット(1)であって、前記クラッチの回転軸線に対して同心的に配置されたレリーズシリンダ(2)を有しており、該レリーズシリンダ(2)は、前記クラッチのクラッチカバー(3)によって支持されており、前記クラッチを前記レリーズシリンダに対して相対回動可能に支持するために、前記クラッチカバー(3)と前記レリーズシリンダ(2)との間に軸受(7)が配置されており、前記レリーズシリンダ(2)は、前記軸受(7)の軸受内輪(8)によって半径方向内側に受容された円筒状の外面(11)を有しており、前記クラッチカバー(3)は、前記軸受(7)の軸受外輪(9)を半径方向内側に受容する円筒状の開口(14)を備えて形成されており、前記軸受外輪(9)は、半径方向外側に段部(15)を有しており、前記クラッチカバー(3)は、半径方向内側にL字形の領域(16)を有しており、該L字形の領域(16)は、半径方向に延在する第1の脚部(17)と、軸方向に延在する第2の脚部(18)とを備えており、前記クラッチカバーは、前記第1の脚部(17)と前記第2の脚部(18)とで以て、前記軸受外輪(9)に当て付けられている、軸受ユニットにおいて、
前記軸受は、半径方向に向けられた中心軸線(20)を備える転動体(10)を有しており、前記軸受外輪(9)と前記第1の脚部(17)との当接領域は、前記中心軸線(20)の一方の側に配置されており、軸方向に延在する前記第2の脚部(18)は、前記第1の脚部(17)の当接領域とは異なる側に位置する、前記中心軸線(20)の側にまで延在して、前記軸受外輪(9)に当接していることを特徴とする、軸受ユニット。
【請求項3】
前記第2の脚部(18)は、面取り部(19)又は切欠きを有していて、この脚部(18)の一部の領域だけが、前記軸受外輪(9)に当て付けられている、請求項1または2記載の軸受ユニット。
【請求項4】
前記第2の脚部(18)は、該第2の脚部(18)の全長にわたって前記軸受外輪(9)に当接している、請求項1または2記載の軸受ユニット。
【請求項5】
前記軸受(7)は、アンギュラ玉軸受である、請求項1からまでのいずれか1項記載の軸受ユニット。
【請求項6】
前記軸受内輪(8)は、軸方向に延在する内輪面を有しており、前記レリーズシリンダ(2)は、前記内輪面の軸方向長さ全体にわたって当該内輪面に当て付けられている、請求項1からまでのいずれか1項記載の軸受ユニット。
【請求項7】
前記レリーズシリンダ(2)は、半径方向に突出したストッパ部材を有しており、このストッパ部材に、前記軸受内輪(8)が軸方向で支持されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の軸受ユニット。
【請求項8】
前記レリーズシリンダ(2)は、クラッチを操作するピストン‐シリンダユニットを備えて形成されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の軸受ユニット。
【請求項9】
前記レリーズシリンダ(2)は、デュアルクラッチを操作する2つのピストン‐シリンダユニットを備えて形成されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の軸受ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車用のクラッチのカバーにおいてレリーズシリンダを支持する軸受ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
クラッチは、従来技術ではクラッチカバーにより支持される同心的なレリーズシリンダを介して作動させられ、この場合、レリーズシリンダに対して相対回動可能にクラッチを支持するためには、クラッチカバーとレリーズシリンダとの間に、軸受が配置されている。円筒状の外面を備えたレリーズシリンダは、軸受内輪によって半径方向内側に受容されており、クラッチカバーは、円筒状の開口で以て、軸受外輪を半径方向内側に受容している。
【0003】
周知の構造では、軸受外輪はカバーの開口に圧入され、このことが軸受の耐用年数に関する問題をもたらす。なぜならば、軸受が最適に配置されて圧入されないと、規定されていない軸方向力及び半径方向力が生じる恐れがあるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、簡単に構成されているにもかかわらず、規定された配置及び圧入部を有しており、従来技術に比べて軸受の耐用年数が増加した軸受ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記課題は、請求項1記載の特徴によって解決される。
【0006】
本発明の1つの実施例は、特に自動車用のクラッチのカバーにおいてレリーズシリンダを支持する軸受ユニットであって、クラッチの回転軸線に対して同心的に配置されたレリーズシリンダを有しており、レリーズシリンダは、クラッチのクラッチカバーによって支持されており、クラッチをレリーズシリンダに対して相対回動可能に支持するために、クラッチカバーとレリーズシリンダとの間に軸受が配置されており、レリーズシリンダは、軸受の軸受内輪によって半径方向内側に受容された円筒状の外面を有しており、クラッチカバーは、軸受の軸受外輪を半径方向内側に受容する円筒状の開口を備えて形成されており、軸受外輪は、半径方向外側に段部を有しており、クラッチカバーは、半径方向内側にL字形の領域を有しており、L字形の領域は、半径方向に延在する第1の脚部と、軸方向に延在する第2の脚部とを備えており、クラッチカバーは、第1の脚部と第2の脚部とで以て、軸受外輪に当て付けられている、軸受ユニットに関する。これにより、半径方向及び軸方向でのセンタリングが達成されるようになっており、このことは、クラッチカバーの開口に軸受を圧入する場合の、規定された状態を可能にする。
【0007】
この場合、第2の脚部が、面取り部又は切欠きを有していて、この脚部の一部の領域だけが軸受外輪に当て付けられていると有利である。これにより、所定の間隔が保証されるので、カバー軸受の外輪とクラッチカバーとの間に空気が流入可能になっている。これにより、規定された力が軸受輪に導入されることになる。
【0008】
また、第2の脚部が、この第2の脚部の全長にわたって軸受外輪に当接していると有利である。第2の脚部の長さを規定することによって、軸受輪に導入される力を規定することができるようになっている。
【0009】
また、軸受が、半径方向に向けられた中心軸線を備える転動体を有しており、軸受外輪と第1の脚部との当接領域は、中心軸線の一方の側に配置されており、軸方向に延在する第2の脚部は、第1の脚部の当接領域も配置されている中心軸線の側でしか、軸受外輪に当接していないと有効である。これにより、中心軸線の一方の側において、規定された力が軸受輪に導入されるようになっている。
【0010】
また代替的に、軸受が、半径方向に向けられた中心軸線を備える転動体を有しており、軸受外輪と第1の脚部との当接領域は、中心軸線の一方の側に配置されており、軸方向に延在する第2の脚部は、第1の脚部の当接領域とは異なる側に位置する、中心軸線の側にまで延在して、軸受外輪に当接していると有効である。これにより、中心軸線の両側において、規定された力が軸受輪に導入されるようになっている。
【0011】
特に有利なのは、軸受がアンギュラ玉軸受である場合である。
【0012】
軸受内輪が、軸方向に延在する内輪面を有しており、レリーズシリンダが、内輪面の軸方向長さ全体にわたって当該内輪面に当て付けられていると、特に有利である。
【0013】
また、レリーズシリンダが、半径方向に突出したストッパ部材を有しており、このストッパ部材に、軸受内輪が軸方向で支持されていると有効である。
【0014】
またこの場合は、レリーズシリンダが、クラッチを操作するピストン‐シリンダユニットを備えて形成されていると有効である。
【0015】
代替的に、レリーズシリンダが、デュアルクラッチを操作する2つのピストン‐シリンダユニットを備えて形成されていると有利である。
【0016】
以下、本発明を添付の図面に関連した好適な実施例に基づいて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】クラッチのクラッチカバー内でレリーズシリンダを支持する軸受ユニットの概略図である。
図2】軸受ユニットの拡大図である。
図3】軸受ユニットの別の実施例の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1には、クラッチのカバー3においてレリーズシリンダ2を支持する軸受ユニット1の概略的な部分断面図が示されている。
【0019】
このクラッチは、好適には軸方向に移動可能な少なくとも1つのプレッシャプレートを有する摩擦クラッチである。図1に示す実施例では、クラッチは、移動可能な2つのプレッシャプレートを備えたデュアルクラッチであり、レリーズシリンダ2は、2つのピストン‐シリンダユニットの、軸方向に移動可能であり且つ互いに同心的に配置された2つのピストン4,5を有している。
【0020】
ピストン4,5は、レリーズシリンダ2のケーシング6内に配置されている。ケーシング6の半径方向外側には軸受7が配置されており、この軸受7は、軸受内輪8と軸受外輪9と、軸受内輪8と軸受外輪9との間に配置された転動体10とを有している。軸受7は、その軸受内輪8で以て、ケーシング6の円筒状の領域11または円筒状の外面に圧着されている。このために、軸受内輪8は、その軸方向長さのほぼ全体にわたって、上記の領域11に当て付けられている。領域11の溝12には、リング13が軸方向ストッパとして取り付けられており、リング13は、円筒状の領域11から半径方向に突出している。
【0021】
本発明のこの実施例では、軸受7は、アンギュラ玉軸受である。但し、代替的に、別の軸受であってもよい。
【0022】
レリーズシリンダ2は、クラッチの回転軸線またはトランスミッション入力軸に対して同心的に配置されている。また、レリーズシリンダ2は、クラッチのクラッチカバーによって支持されており、クラッチをレリーズシリンダ2に対して相対回動可能に支持するために、クラッチカバー3とレリーズシリンダ2との間に軸受7が配置されている。
【0023】
レリーズシリンダ2の円筒状の外面11は、軸受7の軸受内輪8により、半径方向内側に受容されており、クラッチカバー3は、軸受7の軸受外輪9を半径方向内側に受容する、円筒状の開口14を備えて形成されている。
【0024】
軸受外輪9は、半径方向外側に段部15を有している。更にクラッチカバー3は、半径方向内側に、L字形の領域16を有しており、L字形の領域16は、半径方向に延在する第1の脚部17と、軸方向に延在する第2の脚部18とを備えている。このことは図2及び図3において良好に認められる。
【0025】
クラッチカバー3は、その第1の脚部17と第2の脚部18とで以て、軸受外輪9に当て付けられている。
【0026】
図2では、第2の脚部18は、この第2の脚部18の全長Lにわたって、軸受外輪9に当て付けられている。
【0027】
図2に示す実施例では、軸受7は、半径方向に向けられた中心軸線を備えて配置された複数の転動体10を有している。軸受外輪9と第1の脚部17との当接領域は、中心軸線20の一方の側に配置されており、軸方向に延びる第2の脚部18は、第1の脚部17の当接領域とは異なる側に位置する、中心軸線20の側にまで延在して、軸受外輪9に当接している。
【0028】
図3に示す実施例では、第2の脚部18が面取り部19又は切欠きを有していて、カバー軸受の外輪とクラッチカバーとの間に空気が流入可能である。面取り部19または切欠きは後退部として形成されており、脚部18の一部の領域Bしか軸受外輪9に当接していない。
【0029】
図3に示した実施例では、軸受7は、半径方向に向けられた中心軸線20を備えた転動体10を有している。軸受外輪9と第1の脚部17との当接領域は、中心軸線20の一方の側に配置されており、軸方向に延在する第2の脚部18は、第1の脚部17の当接領域も配置されている中心軸線20の側でしか、軸受外輪9に当接していない。
【符号の説明】
【0030】
1 軸受ユニット
2 レリーズシリンダ
3 カバー
4 ピストン
5 ピストン
6 ケーシング
7 軸受
8 軸受内輪
9 軸受外輪
10 転動体
11 領域、外面
12 溝
13 リング
14 開口
15 段部
16 領域
17 脚部
18 脚部
19 面取り部、切欠き
20 中心軸線
図1
図2
図3